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キモオタ「我輩がおとぎ話の世界に行くですとwww」ティンカーベル「そう」
Part170


223 :◆oBwZbn5S8kKC :2017/01/05(木)00:44:06 ID:vL8
アリス「君達はそれくらい分が悪い勝負に出てるって事だ。それでも足掻くっていうのならどこからでもかかってーー」
カイ「さっきから聞いてりゃあゴチャゴチャゴチャゴチャ……うるせえぇぇ!!」ビュバッ
ドゴォッ バシィッ
アリス「ボクが話している最中だというのに…礼儀を知らないんだな、カイ」ザザッ
雪の女王「カイ…!」フラフラ
キモオタ「カイ殿!?突然何を…!」
カイ「黙って聞いてりゃ勝ち誇った顔で好き勝手言いやがって…。俺はな、そういう輩を見てると虫唾が走んだよ…!」ヒュバッ
アリス「……今退くなら見逃してやる。ボクには君と戦う意味も理由もないからな」スッ
カイ「お前に無くても俺にはあんだよ。うちの女王をこんなにボロボロにしやがって…ただで済むと思ってねぇだろうな?」
カイ「聞いた話だとうちの弟妹もお前には随分と世話になったみてぇじゃねぇか。だったらよぉ、身内としてキッチリ礼をしなきゃなんねぇなぁ!」ダダッ
ヒュバッ スッ
カイ「チッ、この距離で避けやがるか…!」
アリス「そんな素人の蹴り、食らうわけないだろう」
カイ「あぁ…?ナメてんのかぁ!」ザッ
アリス「事実だろう。お前にはヘンゼルのような魔力も魔法具も、グレーテルのような魔術の適正も、千代のような知識もない。武器と言えばその蹴りと悪態くらいのものだ」
アリス「お呼びじゃあないんだよ、お前はこの戦いの舞台に上がる資格すらない」
カイ「言ってくれるじゃねぇか…!なんなら試してみようぜ、本当に俺じゃあお前の相手にならねぇのかどうかをなぁ!」ギロリ

224 :◆oBwZbn5S8kKC :2017/01/05(木)00:48:04 ID:vL8
キモオタ「ちょ、ちょちょちょ!ストップ・ザ・カイ殿!」ガシッ
カイ「何すんだ…!このっ…!放せ豚ァ!」ジタバタ
雪の女王「カイ…!悔しい気持ちは理解できるが…退くべきだ、君が戦って敵う相手じゃあない…!」
ティンカーベル「そうだよ!あいつは私達に任せてカイは女王に肩貸してあげて!立ってるのもやっとっぽいし…ね?」
カイ「そうもいかねぇんだよ!女王やあいつらは必死で戦ってんだ、俺だけ安全な場所で高みの見物なんざ…できるわけねぇだろうが!」
キモオタ「アリス殿はお主の蹴りを二度もかわしたのですぞ!聡明なカイ殿なら…力の差に気づいているはずでござろう!?しかもアリス殿はまだ全然全力ではないのでござるよ?」
カイ「……」グッ
キモオタ「ここは耐える時でござるカイ殿。アリス殿の相手は我々に任せ、お主は女王殿の傍にいてあげて欲しいでござるよ」
ティンカーベル「大丈夫だよカイ、私達に任せてよ!私とキモオタの友情パワーでボッコボコにしてやるからさ、あんな奴!」
アリス「出来ない事を口にするもんじゃないよティンカーベル。非力な妖精の君が戦いに身を投じたところで何の足しにもならない、足手まといだ」
ティンカーベル「はぁんっ!?そんなことないし!ていうか出来るから言ってるんだよバーッカ!覚悟しろバーカ!!」
キモオタ「だから挑発に乗るなというのにwwwしかし我々が厳しい特訓を乗り越えたことは事実wwwあまり我々を見くびらない事ですなアリス殿www」コポォ
アリス「毎度毎度、口だけは達者な奴らだ」チャキッ
キモオタ「それが我々のスタイル故wwwさて…ティンカーベル殿!特訓の成果をアリス殿にぶつけますぞ!」
ティンカーベル「オッケー!あいつをボッコボコのベッコンベッコンにしてやろう!」フンスッ

225 :◆oBwZbn5S8kKC :2017/01/05(木)00:52:18 ID:vL8
アリス「それじゃあ見せてもらおうか、君達の特訓の成果とやらをね」ヒュバッ
ティンカーベル「距離詰めてきたよ!武器はナイフ…魔法具とかじゃなくて普通の奴っぽい!でも一気に近づいてなんか魔法具使う気かも!」
キモオタ「ほうwww要注意ですなwwwなんにせよ接近戦を御所望とあらば応じますぞ!」フリフリ
おはなしサイリウム『コード認識完了『裸王』魔法発現状態へ移行……モード『muscle』』
アリス「裸王の身体能力を宿すか。だが怪力を得たところでボクの攻撃を避けられるわけじゃない」ズバッ
キモオタ「ドゥフフwwwこの魔法で得られるのは怪力だけではないですぞwww」ヒラリッ
アリス「ボクのナイフをかわすか。なるほど、腕力を増すだけじゃないのかその魔法は」
キモオタ「ドゥフフwww全身のあらゆる筋力を増強させるのがこの魔法の真骨頂www故にこの距離ならばマッチョマンの瞬発力を纏う事で……お主を捕えることも可能なのでござるよ、アリス殿!」ガシッ
カイ「おぉ…!キモオタの奴、接近してきた事を逆手にとってアリスを捕まえやがった!」
アリス「流石は裸王の腕力、力づくでは逃げられそうにないな。ならばコイツだ、この汚い手を放してもらおう」ジャキッ
キモオタ「ファッ!?拳銃ですと!?それガチでヤバイ奴でござr」バッ
アリス「筋肉ごと弾けろ、キモオタ」グッ
ティンカーベル「させるかぁー!てぇい!」ピュー ゲシッ
カシャーン
アリス「……っ!」
ティンカーベル「へへーん!まさかピストルを蹴飛ばされるとは思わなかったでしょ!油断してるからだよバーカ!」
アリス「役に立たない妖精だと思っていたけど、前よりもずっと鬱陶しくなったじゃないかティンカーベル」
ティンカーベル「フフンッ、褒め言葉として受け取ってあげるよ!こっから一気にいくよー!」

226 :◆oBwZbn5S8kKC :2017/01/05(木)00:56:29 ID:vL8
アリス「不意打ちが成功したくらいで調子に乗らない事だね。近距離戦はボクの領分だ、もう奇襲は通用しない」ズバッ
ティンカーベル「おわっ、危なっ!これじゃスリングショット構えられないじゃん!」ピューッ
キモオタ「ティンカーベル殿!ここはひとまず距離をとるでござるよ!」
ティンカーベル「そだね、でも私は攻撃の手を緩めるつもりは無いよ!キモオタ、なんかいい感じの援護して!」
キモオタ「ちょwww無茶ぶりwwwとはいえ何とかやってみるでござるかなwww」フリフリ
おはなしサイリウム『コード認識完了『シンデレラ』 魔法発現状態へ移行……モード『step』』
キモオタ「さぁアリス殿、見えざる豚の一撃をどう防ぎますかなwww」シュン
アリス「消えたか。だがその魔法は知っている、消えたように見せかけて素早く動いているだけだ。それなら次の一手は不意打ちの蹴り、返り討ちにするのは簡単だ」ジャキッ
キモオタ「ドゥフフwww残念ながらハズレでござるwww吾輩が選んだ一手はこれですぞ!必殺www超高速www泥飛ばしwww」ヒュヒュヒュッ
ザバザバッ
アリス「魔法具を使ってこんなくだらない事を…。泥を蹴りあげて目潰しでもしようって魂胆かい?そう上手くいくわけないだろう」バッ
ティンカーベル「いいんだよそれで!あんたが泥に気を取られればこっちの勝ちなんだから!」ヒュンッ
アリス「ティンカーベル…あぁ、泥掛けはお前が私に接近するための策か」
ティンカーベル「こんだけ近づけば避けらんないし痛いでしょ!くらえ必殺!当たるとすんごく痛い弾!」ギギッ
パピュン!!
バチーン!!

227 :◆oBwZbn5S8kKC :2017/01/05(木)00:58:44 ID:vL8
ドサッ
ティンカーベル「手ごたえあり!やったか!?」ピューッ
ハリネズミ「ふしゅぅ……」グッタリ
ティンカーベル「ああっ、変わり身の術…!ってことはアリスは!?」バッ
キモオタ「ティンカーベル殿、あっちですぞ!」
ザッ
アリス「まったく…泥掛けからの奇襲なんて姑息過ぎないか?でもまぁ、前よりは戦えるようになったと思うよ。多少はね」
アリス「だが戦略が大味すぎる。近距離からスリングショットを放てば時間停止も間に合わないと考えたんだろうが、甘い。ボクに気付かれた時点でその攻撃は失敗なんだよ」
キモオタ「むぅ、ワンチャンあるかと思ったでござるがやはり避けられてしまったでござるな」
ティンカーベル「もう!あれだけ近づいてもダメとか時止めズル過ぎるよ!チートだよあんなの!」バンッ
アリス「これはボクが元から使える能力、どう扱おうと僕の勝手だ。それにズルイのはおとぎ話の世界にありもしない魔法具を作らせたお前達の方じゃないのか?」
ティンカーベル「ぐぬぬ…!そんなことないし!」
キモオタ「ドゥフフwwwこれは一本取られましたなぁwww確かにティンカーベル殿のスリングショットも吾輩のおはなしサイリウムもオーダーメイドの魔法具でござるからなぁwww」
ティンカーベル「はぁっ!?なんであいつの言う事に納得しちゃってんのさ!」
キモオタ「しかしでござるよ?強力な魔法具を有しているのはお互いさまのはず、アリス殿も使えば戦況を一変できるほどの魔法具を有しているはずでござるがーー」
キモオタ「何故、今回はそれを使わないのでござるかなwww」コポォ

228 :◆oBwZbn5S8kKC :2017/01/05(木)01:00:40 ID:vL8
アリス「そんな事を気にしている余裕が、お前たちにあるの?」
キモオタ「我輩は気になった事をそのままにしておけない性質でしてなwww」
ティンカーベル「でも言われてみればそうかも…さっきもピストルとかナイフとか使って、全然魔法具使ってきてない!」
キモオタ「で、ござろう?そして我輩の推理が正しければ…アリス殿は今、魔法具を使う事が出来ないのでござる!」キリッ
ティンカーベル「なんでなんで!?どーいうこと?」
キモオタ「思い出すでござるよ、アリス殿が魔法具を集めていたのは【アラジンと魔法のランプ】の結界を崩すため。そして遂にその時がやってきた、という事は…」
キモオタ「今、アリス殿が所有している魔法具は結界を崩すために使われているのでござる!故に、アリス殿は戦うための魔法具を所有していないのですぞ!」キリッ
ティンカーベル「ほんとだ…!名推理じゃんキモオタ!あいつが今魔法具持ってないっていうなら時止めさえなんとかすれば勝てるかm」
カイ「……だったらさっきの炎の海はどうやって説明すんだよ」
キモオタ「ファッ!?」
雪の女王「残念だがその推理は間違いだ。彼女は私との戦いでいくつもの魔法具を使っている…君も見たはずだ」ゼェゼェ
雪の女王「戦闘に必要な魔法具は確保したうえで…結界を破る魔力も手にしたと考えるのが妥当だ…」ゼェゼェ
キモオタ「……どうやら推理ミスのようでござるなwwwドゥフフwww」
ティンカーベル「感心して損したよ!なんだったの今のくだり!」

229 :◆oBwZbn5S8kKC :2017/01/05(木)01:03:03 ID:vL8
アリス「自分たちに有利な可能性にすがりたいのはわかるが、あまりに雑な推理だ。ボクがろくな準備もなく戦いの場に赴く訳ないだろう」
キモオタ「確かにそうですなwwwしかし我輩の目の付けどころは悪くなかったのではないですかな…アリス殿?」
アリス「何の根拠があってそんな自信を持ってるのやら」
ティンカーベル「いつまでその話引っ張るのさキモオタ!アリスは何個か魔法具持ってるって女王が言ってたじゃん!」
キモオタ「そのようでござるな。ならばなおの事、何故それらの魔法具を使わないのですかな?」
ティンカーベル「えっ?えーっと…あれ?なんでだろ…」
キモオタ「今思えば我々が接近した時にあの火炎を出す魔法具を使えばこちらは相当な痛手…。なのにそれを使わなかった理由とは、なんでござろうな…?」
キモオタ「アリス殿は魔法具を持っている、そしてそれを使う事もできるでござる。それなのに我々相手にそれを使わなかった…その理由、我輩は気になりますなwww」
アリス「深い理由なんか無いさ、お前たちが魔法具を使う価値すらない雑魚だというだけだ」
キモオタ「ほうwww果たしてそれは本当にアリス殿の本心でござるかなwww」コポォ
アリス「またお得意の煽りやら挑発やらで場を掻き乱そうって考えかい?」
キモオタ「そう思いたければご自由にどうぞでござるwww我輩は我輩の考えを述べるだけでござるよwww」
ティンカーベル「アリスが私達に魔法具使わない理由、キモオタには心当たりがあるの?」
キモオタ「モチのロンですぞwww我輩が考えるに、ああ見えてアリス殿は我々を警戒しているのでござるよwww」コポォ
キモオタ「直球な物言いをするのなら、我々にビビって魔法具を出し渋っているとでも言いましょうかなwww」

230 :◆oBwZbn5S8kKC :2017/01/05(木)01:04:17 ID:vL8
アリス「キモオタ、あんたにしては随分と大雑把な挑発だ。そんな挑発に乗るとでも思っているのか?」
キモオタ「ほうwwwならば何故我々に魔法具を使わないのかwww」
アリス「何度も言わせるな、君たちが魔法具を使うに値しない雑魚だからと言っただろう」
キモオタ「その主張はおかしいですなぁwwwお主が持つ魔法具が一度限りの使い捨て方式だというならともかく、何度でも使える強力な魔法具をお主は複数所持しているはずwww」
キモオタ「本来ならば出し惜しみをする必要などありませんぞwwwむしろ圧倒的な魔法の力で我々をさっさと塵にするのが道理というものwww」
ティンカーベル「確かに!ドロシーから奪ったあの靴にだって前に使ったって聞いた笛とかあの火打石だって何度も使える魔法具だもんね!」
アリス「まぁ、そういう考えもできるか。だからなんだっていうんだ?」
キモオタ「アリス殿、お主のやっている事は派手で目立つでござるよね。数々の世界を容赦なく消し、多くの人々を躊躇なく傷つけてきたでござる」
キモオタ「その思い切りの良さや大胆な行動に隠れがちでござるけどお主…実は結構慎重派でござろう?」
アリス「さぁ、どうだろうね」
キモオタ「スパイを活用して情報を十分に収集し、キッチリ相手の弱点をつける状態にしてから作戦を実行に移すあたりがまさに慎重派と言えると思うでござるけどね」
アリス「……それで?結局お前は何が言いたいんだ?」
キモオタ「アリス殿、お主はスパイを使ってもなお、我々の手の内を完全に把握しているわけではないのでござろうな」
キモオタ「故に…あえて手を抜き、我々に手の内を完全に晒させようという魂胆なのでござろう?」
キモオタ「アリス殿…お主、実は我々の事…相当警戒しているのでは?」

231 :◆oBwZbn5S8kKC :2017/01/05(木)01:08:18 ID:vL8
アリス「フフッ、ハハッ…!なるほど、なるほどな…!悟られないだろうと思っていたけれど、そこに気づくか…!」クスクスクス
アリス「やはりお前は侮れない豚だよ、キモオタ」
キモオタ「我輩の説が正しいと…認めるのでござるな?」
アリス「あぁ、認めてやる。本音で話してやるよ。ボクはこう見えて実はお前たちの事を警戒している、雪の女王が役立たずになった今、ボクにはもはや障害らしい障害は無い。ただ一つその可能性があるとすれば…」
アリス「キモオタ…本来このおとぎ話の世界に存在するはずの無い、お前だ」
ティンカーベル「えっ…どゆこと?アリスは私達の事、雑魚だって見下してたじゃん?いつでも倒せるって思ってるんじゃないの…?」
アリス「いつでも倒せるさ。お前を…【ピーターパン】の世界の妖精を消す方法をボクは知ってる。赤ずきんが守りたいモノを脅かす手段、鬼を無効化する策、桃太郎を戦えなくする戦術、裸王を動けなくする作戦…」
アリス「ラプンツェルを涙に溺れさせる行為、ヘンゼルを寝返らせる言葉…それらをボクは用意している。もちろん、そこの豚の戦意を喪失させる方法もね」
キモオタ「お主はそれだけの根回し&下準備を万全にしているにも関わらず我々の手の内を全て知ろうとしている…そうでござるな?」
アリス「そうだ、ボクには確かにお前とその仲間を這いつくばらせる策がある。でもそれじゃあ不十分だ、キモオタと言うイレギュラーな存在を相手にするには…足りない」
アリス「スパイを使っても知りえなかったお前の戦略、手の内の底の底までボクは知っておきたい。それほどまでにお前は何をしでかすかわからない予想不可能な存在だからだ」
アリス「なぜならお前は取るに足らない男に見えて…数多くのおとぎ話の主人公を味方につける謎の力を持っている。ボクの目的を確実に叶えるため、何をしでかすかわからないお前を警戒するのは当然だろう」
キモオタ「どんな形であれ我輩を評価してくれた事には感謝しますがなwwwその様に我輩を手の内を探っている間に取り返しのつかない事にならないように気をつけた方が良いでござr」
アリス「ひとつ忠告しよう。ボクは確かにお前を警戒している、それは本心だ」スッ
アリス「だがそれでも、お前達よりもボク達が圧倒的に有利だということになんの変わりもないんだぞ?」
ヒュンッ
アリス「その気になればお前をどうにでもできるってこともね」

232 :◆oBwZbn5S8kKC :2017/01/05(木)01:10:28 ID:vL8
キモオタ「アリス殿が消えましたぞ…!ティンカーベル殿!御注意を!」バッ
ティンカーベル「キモオタ!後ろ!アリスはキモオタの後ろにいるよ!」
キモオタ「ファッ!?なんですt」
ゲシッ
キモオタ「ぶひぃぃぃっ!」ドシャー
ティンカーベル「キモオタ!ぐぬぬ…アリスの奴、また瞬間移動して攻撃を…!」
アリス「ボクがお前を警戒してるって事、気がついた事は褒めてやるよ。でもそれで優位に立ったつもりになられちゃ困るな」
アリス「お前に、お前たちにボクを倒す策があるっていうのか?【不思議の国のアリス】の世界に襲撃を掛けるって言っても、具体的な作戦があるわけじゃないんだろう?」
キモオタ「それでも、我々はやらねばならんのでござるよ…。シンデレラ殿を救い、お主の企みを止めるためにも…」ヨロッ
ヒュンッ ゲシッ
キモオタ「おぶっ!」ドズシャー!
ティンカーベル「キモオタ…!アリスの奴また…!いい加減にしろバカー!」ググッ パチーン
スカッ
アリス「がむしゃらにそんなもの放って当たるわけないだろう。そもそも無策でボクに敵うわけがない。実際、こうやってボクが能力を使うだけでお前たちは手も足も出ない」
アリス「ボクの企みを止めるなんて言っている割に…お前たちにはその準備も努力も根回しも、何もかも不足しているんだよ」
アリス「その程度ではボクの想いは止められない、ボクの願いを阻止するなんて絶対にできない」

233 :◆oBwZbn5S8kKC :2017/01/05(木)01:13:52 ID:vL8
キモオタ「例えそうだとしても…我輩は立ち向かうでござる。お主は…おとぎ話の世界だけでなく現実世界も消すつもりなのでござろう…?」ヨロッ
アリス「そうだ、あんなくだらない世界。残しておく必要ないだろう」
キモオタ「それは聞き捨てなりませんな。あの世界は我輩が住む世界、消滅させるわけにはいかないのですぞ!」
アリス「おかしなことを言うんだなキモオタ。お前は本当にあの世界が必要か?」
キモオタ「どういう意味でござるかな…?現実世界に住む我輩が現実世界を守ろうとするのは至極当然の…」
アリス「少し調べさせてもらった、お前のような『キモオタ』と呼ばれる人種はあの世界ではあまり…いや、相当やっかい者扱いされているそうじゃないか」
キモオタ「……」
アリス「世間ではお前たちをまるで犯罪者予備軍のように言う連中もいるんだと聞いたな。白い目で見られ、後ろ指を指されるような事も多いらしいじゃないか」
ティンカーベル「うるさい!キモオタはいい奴だし!オタクの人だってほとんどはちゃんとしてる人だし!たいして知らないくせに適当な事言うなバーカ!」
アリス「だろうな。…まぁ、その点に関しては同情するさ」
ティンカーベル「…?」
アリス「だとしても、あの世界は…あの世界の多くの人間はお前をやっかい者扱いし、そして虐げてきたはずだ」
アリス「キモオタ、それでもお前にはあの現実世界を守ろうなんて思えるのか?」

234 :◆oBwZbn5S8kKC :2017/01/05(木)01:15:37 ID:vL8
キモオタ「確かにお主が言うように、我々オタクに良い印象を持っていない者は多いでござる。故に隠れオタが多いわけでござるしな…」
キモオタ「我輩もまぁ散々苦汁をなめさせられましたぞ。しかし、あの世界が無くなっていいかどうかというのはまた別問題なのでござるよ」
アリス「何故そんな風に思える…?」
キモオタ「あの世界には【マッチ売りの少女】を聞いて涙した子供たちがいるでござる、夢に向かって頑張る司書殿がいるでござるし…多くの作者殿が残したおとぎ話があるでござる」
キモオタ「それらを守る事が出来る現実世界の住人が我輩だけだというのなら、やるしかないでござろう。いや、我輩がやるときめたのですぞ!」
アリス「……」
キモオタ「それにあの世界もさほど捨てたもんではないですぞwww電話一本でピザが届くでありますし、ティンカーベル殿のようにオタに理解のある人物も結構いるでござるしなwww」
ティンカーベル「そうだそうだ!現実世界はあんたが思ってるほど悪いもんじゃないし!深夜アニメとか面白いし!」
キモオタ「ちょwwwお主www我輩があえて言わなかったのにwwwそれ言うでござるかwww」コポォ
アリス「…くだらない、くだらないな。そんな些細な娯楽や僅かな理解者の為に、お前は自分が受けた理不尽な苦しみを忘れるって言うのか?」
ヒュッ ゲシッ
キモオタ「ぶひぃぃっ!」ズシャーッ
アリス「少しはお前に同情もしたが…それは間違いだったみたいだ、やはりお前はボク達とは違う」
アリス「ボクは…ボク達はお前のようにヘラヘラ笑って誤魔化したりしない。かつて虐げられた恨みは、嘲笑われた憎しみは決して忘れない」
アリス「ボク達をまるで犯罪者のように扱った連中を、世間を、世界をボクは許さない。そんなくだらない世界は必ず…消してやる」

235 :◆oBwZbn5S8kKC :2017/01/05(木)01:19:16 ID:vL8
キモオタ「お主…何故そこまで現実世界を恨むのでござるか…?」
ティンカーベル「そうだよ、だってあんたは【不思議の国のアリス】の住人でしょ?今のいい方じゃ、現実世界でひどい目にあったみたいな言い方じゃん!」
キモオタ「教えてほしいでござる、お主と現実世界との間に…一体何があったのでござるか?」
アリス「そんな事を聞いて、お前はどうするつもりだい?」
キモオタ「決まってるでござろう、お主と現実世界との間に何らかの確執があったのなら…現実世界に住む我輩ならそれを何とか出来るかもしれないでござる!」
キモオタ「そしてその確執がお主の行動の原動力だというのなら、それを解決することでお主を止める事が出来るかもしれないでござろう」
アリス「無駄だよ、今更誰かにボクを止めることなんかできない」
キモオタ「アリス殿…!」
ティンカーベル「ダメだよキモオタ…諦めよう。そりゃ争わずに解決すれば一番いいけど、あいつにその気が無いんじゃ無理だよ!」
キモオタ「しかし…アリス殿が何故現実世界を憎悪しているかはわからんでござるが、現実世界もそれほど悪いもんではないと思うのでござる。故になにかの誤解や勘違いの可能性も…」
アリス「…今のは聞き捨てならないなキモオタ。ボクのこの現実世界への憎悪が誤解や勘違いだって?そんな訳ないだろう」
アリス「ボク達が受けた苦しみは誤解なんかじゃない、この怒りは勘違いなんかじゃない。何も知らないくせに適当な事を抜かすな」
キモオタ「……」
アリス「いいだろう、話すつもりはなかったけれど…ボク達の憎悪が本物だという証明だ、少しだけ昔話をしてやるよ」

236 :◆oBwZbn5S8kKC :2017/01/05(木)01:20:54 ID:vL8
アリス「現実世界の時間の流れで言えば百年以上も昔の事になる、イギリスのとある都市に一人の数学者が居た」
アリス「彼はとても優秀な学者だったけれど、全ての人間が彼を称賛したわけじゃなかった。もちろん彼を称賛する人間もいたけれど、それと同時に彼を変人扱いする人間もいた」
キモオタ「それは、何故ですかな…?」
アリス「彼は周囲と少し違っていたからだ。率直に言うのなら、彼は職を持つ立派な成人男性だったが幼い少女を何よりも愛していた」
キモオタ「ほう…今でいうロリコンと言うやつですかな」
アリス「その呼び名は適切じゃないな。彼流に言うのならロリコンではなく、健全なロリコンだ」
雪の女王「待ってくれるかい、アリス。その呼び名…私は聞きおぼえがある」
アリス「そうだろうな、雪の女王。あんたはここまでこの事実を知らず、気がつかなかったようだけど。彼はあんたのよく知る人物だ」
雪の女王「アリス、その人物の名はもしかして…」
アリス「想像の通りだ、かつてあんたが現実世界でアンデルセンと共に生活していた頃、弟子として共に生活していた男こそがこの数学者だ」
アリス「チャールズ・ラドヴィッジ・ドジソン…それが本名だったな」
雪の女王「なんという偶然だ…チャールズは君と面識があったというのか?」
アリス「面識があった…なんてものじゃないよ、ボクは彼とはとても親しい友人だったんだ。そしてそれと同時に彼は【不思議の国のアリス】の作者でもある」
雪の女王「馬鹿な…!【不思議の国のアリス】の作者はルイス・キャロル。チャールズでは……」
アリス「ペンネームだよ。まぁ君と親しいアンデルセンやグリム兄弟は本名で作品を世に出していたから、まさかルイスこそが君の後輩だなんて気がつかなかっただろうね」

237 :◆oBwZbn5S8kKC :2017/01/05(木)01:23:04 ID:vL8
雪の女王「まさか…まさかチャールズが【不思議の国のアリス】の作者だったとは…」
アリス「まぁ知らないのも無理は無いと思うけど、とにかく今は話を戻そう」
アリス「ルイスは周囲から危険なロリコンだと思われていたし、ボクもその危険人物と行動を共にするおかしな子供のレッテルを張られた。女のくせにこんな喋り方をしてるからって理由でね」
キモオタ「我輩にしてみればただボクっ娘という認識でござったが、百年以上も昔だと理解されにくかったのでござろうな…」
ティンカーベル「ちょ、ちょっとまってよ!アリスはさ、さっきからまるでルイスと一緒に現実世界で暮らしていたような喋り方してるけど…あんたはおとぎ話の主人公でしょ!?」
ティンカーベル「作者がまだ生きてるような時代に【不思議の国のアリス】の世界が結末を迎えてるとは思えないし、なんで現実世界にとどまる事が出来たのさ!」
アリス「あぁ、その事か…。なんとなく想像できないか?」
ティンカーベル「わかるわけないじゃんそんなのヒントもないのに!ねっ、キモオタ!?」
キモオタ「そうですな…。主人公であるアリス殿には雪の女王殿のような待機期間があったわけでもないでござろうし…」
アリス「難しい話じゃない、ボクは【不思議の国のアリス】の主人公でありながら、主人公ではないからだ」
アリス「ボクはアリスであってアリスじゃない、それだけの事さ」
ティンカーベル「はぁ?なにそれ!もっとわかりやすく説明してよ!」
キモオタ「……」
アリス「ここまで話せばわかりそうなものだけど。…どうやら君の相棒は察しがついたようだしね」