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女「ハローハロー。誰かいませんか?どうぞ」

Part1
女「ハローハロー。誰かいませんか?どうぞ」
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1 :名無しさん@おーぷん:2015/09/06(日)12:47:15 ID:FGZ
ザザザ
ガガッ
「…あー」
「あー、あー。只今マイクのテスト中 只今マイクのテスト中」
「…」
ザザザ
「えー、こちらは●●県××町。私の名前は、……」
ザザ
「です。ハロー、ハロー。誰かこの放送を聞いてはいませんか?」
「…聞こえていたら、どうか応答を」
「私は朝の9時から10時、午後2時から3時の間にはここにいます」
「繰り返します。●●…県、××町、…の商店街です」
「ハロー、ハロー。私は元気です。応答どうぞ」
ザザザ
プツン

7 :名無しさん@おーぷん :2015/09/06(日)12:57:12 ID:FGZ
女「…」
ピピピ ピピピ
女「…3時か」
ピッ
女「…ふー」ノビ
女「…」パラ
“9月6日 ×”
女「よし、っと」パタン
この手帳にも、ずいぶん×が増えた。
女「今日の晩御飯、…なににしようかなー」
私の独り言も、ずいぶん増えた。

9 :名無しさん@おーぷん :2015/09/06(日)13:01:50 ID:FGZ
女「あるーひー」
女「もりのなーかー」
女「くまさーんにー」
女「であーったー」
ガタ
女「…」カラ
女「消費期限……2日前か」
女「…」ウーン
女「ま、いっか」
女「きょうのごはんはーレトルトカレー」フンフン
商店街の店には、多くのレトルト食品や缶詰がある。
日持ちしないものは、すぐに食べた。
5年経った今でも賞味期限以内の食べ物は、珍しい。
女「…って、もう三日連続カレーだよ」
これが6年、7年、…10年ってなったらどうなるんだろうか。
女「…料理勉強すっか」
それまで生きていられたらの話なんだけども。

11 :名無しさん@おーぷん :2015/09/06(日)13:06:52 ID:FGZ
女「…」カチ
グツグツ
女「よしよし」
私は、多分恵まれている。
こうやって食べ物を得ることもできる。 自家発電と浄水機能のついた家に住むことができる。
女「あちち」
女「…よし、完成」
まあ、今のところは。
女「……」カチ
ご飯を食べる時は、いつもラジオをつける。
ザザザ
女「…」
ノイズしか聞こえない。5年前から変わらない。
しかし、この音すら消すと、どうしようもなく
女「…カレー飽きた」
寂しくて、たまらない。

12 :名無しさん@おーぷん :2015/09/06(日)13:11:14 ID:FGZ
女「しゃーぼんだーまーとーんだー」ゴシゴシ
女「やーねまーでーとーんだー」パンパン
女「やーねーまーでーとーんでー」ギュッ
女「こーわれてーきえたー」
女「よし。洗濯完了、っと。お風呂入ろう」
もう何年もシャワーしか浴びてない。
歩けば銭湯があるけど、沸かし方なんて分からないし。
多分、恐ろしく汚いから、行かない。
女「…」ヌギ
女「おう、セクシー」
女「…」
嘘だ。私は痩せてて、少しみっともない体をしている。
胸も、多分平均よりも小さい。
女「栄養不足なのかな」
これも嘘。私のお母さんも、小さかったから、遺伝だ。

16 :名無しさん@おーぷん :2015/09/06(日)13:20:21 ID:FGZ
女「…」ジャー
女「ふんふん」フキフキ
女「ふんふーーん…」
女「…はあ。涼しいな」
ずっと一人で生きていると、開放的になってしまうらしい。
女「風がすーすーするー」
誰にも見られていないので、パンいちでいることはザラだ。
女「…っくしゅっ」
女(もう秋だもんなー…。いやー、涼しくて結構結構)
女「よっと」パサ
女「…そろそろ衣替えするかなー」
女「…」ピッ
女「1時、か」
女「ちょっと夜更かししすぎたかな。…寝よう」
生活リズムは、変えないようにしているけど
最近は夜更かしするようになった。
寝て起きる作業が、だんだん苦痛になってきた気がするのだ。

17 :名無しさん@おーぷん :2015/09/06(日)13:24:05 ID:FGZ
女「…よいしょ」ボフ
女「おやすみなさい」
誰もいない空間に向かって挨拶するのも、変えないようにしてる。
何か言っていないと、喉が塞がってしまう気がして。
もう二度と、喋れない気がして。
女「…あ」
女「やば、閉めるの忘れてた」タタタ
女「あぶないあぶない」
シャッターは、かならず降ろして寝る。
野犬が入り込んできたことがあるのだ。
もう、そんな動物の姿すら見られなくなってしまったけど。
女「よし、」
ガシャン
女「今度こそ、マジで。おやすみなさい」
私は一人だ。

18 :名無しさん@おーぷん :2015/09/06(日)13:31:08 ID:FGZ
女「…」スゥ
「…夜が来て」
「あたりが闇に支配される時」
「月明かりしか見えなくたって」
「恐れることなんてないさ…」
女「…」モゾ
「怖がる必要なんて、どこにもない」
「ただ君が暗闇の中ずっと」
女「…」
女「う、ん?」
「ソー、ダーリンダーリン…」
女「…」ガバッ
「スタンド・バイミー…」
女「え、え?」
女「…ラジ、オ?」

女「違う…」

19 :名無しさん@おーぷん :2015/09/06(日)13:33:57 ID:FGZ
綺麗な、澄んだ歌声だった。
少女のような、甘く深みのある、それでいてどこか粗い。
女「…な、に?」
手元の音楽プレイヤーを見たけど、違う。
第一私のプレイヤーにこんな歌入ってない。
女「…」
女「あ、…」
窓が開いていた。
少しかけた、白い月が見えた。
女「まさか」
まさかね。
女「…」
「スタンド・バイミー…」
女「!」
空耳じゃ、ない。

20 :名無しさん@おーぷん :2015/09/06(日)13:37:06 ID:FGZ
女「…っ」バッ
靴も履かずに、飛び出していた。
女「だ、誰かいるの!?」
街灯もない、月明かりだけが頼りの道だ。
女「ねえ、誰?!」
歌声が、聞こえない。
女「…」
女「ねえってば!!」
しんとしている。
女「…やっぱ、…気のせい?」
コツ
女「!」ビク
振り返ると、目の端が何か動く物体を捕らえた。
遠くにある角を曲がっていったようだ。
女「…待って!」
女「ねえ、ちょっと!待ってってば!」タッ

21 :名無しさん@おーぷん :2015/09/06(日)13:39:46 ID:FGZ
女「はぁ、はぁ」タタタ
コツ コツ
女「止まって!ねえ、誰なの!」
コツ コツ
女「ちょ、…」
女(暗い。全然見えない…。音だけが頼りだ)
女「おーい!!」
女「…っ、はぁ、はぁ」
私の声は届かないのだろうか。
女「…っ」タタ
足音は規則正しく、私を引き離すように進んで、進んで
女「…」
消えた。
女「…嘘」

22 :名無しさん@おーぷん :2015/09/06(日)13:42:15 ID:FGZ
女「…なによ、もう…!」ダン
女「…」ハァ
女(って、あれ?)
女「…放送局、だ」
女「…」
女「…誰か、いますか?」

女「…はぁ」
女(私の耳も、ついにおかしくなったか)
女「…あほらし」クル
女「帰ろ」
コツ
「ダーリン・ダーリン…」
女「!」バッ
女(やっぱり、いる!)

24 :名無しさん@おーぷん :2015/09/06(日)13:45:18 ID:FGZ
女「…」キィ
放送局は、頻繁に出入りするので掃除してある。
床に、乾いた土の足跡がついている。
女「…」ゴク
やっぱ、いんじゃねえか。
女「…ちょっと、誰なのっ」
ざっと見渡しても、人影は無い。
ということは、残っているのはスタジオのみ。
女「…」
女(あけ、…るか)キィ
ガチャ
女「…」
女「あれ?」
女(誰も、…いない?)
ギシ
「動くな」
女「!!」

25 :名無しさん@おーぷん :2015/09/06(日)13:49:11 ID:FGZ
女(え、ちょ、なにこれこの背中にあたってる固いのは)
女(っていうか今声したよね、人だよね、なんで動くな?え?いやいや、動くわ)
「だから動くなって」
女「い、…った!」
「刺すぞ」
女「え、え、…な」
「…人か?」
女「み、見て…分かるでしょ?そうだよ…」
「タッセルクリア」
女「え?」
「タッセルクリア、…感染は?」
女「してない」
「証拠は」
女「首を見たら分かるでしょ」
「…」
私のうなじに、冷たい指が触れた。
「…アザはないな。よし、膝をつけ」
女「な、なんでよ」
「武器を携行していないか調べる」
女「あのねえ!!」

26 :名無しさん@おーぷん :2015/09/06(日)13:53:22 ID:FGZ
女「武器もなにも、持ってるわけないでしょ!私今シャツ一枚なんだよ!?」
「可能性はある」
女「持ってない!本当に、ない!あるわけない!」
「…」
女「あなたを傷つけるとか、そういう考えがあってここに来たんじゃないんだって」
女「ただ、寝てたら歌が聞こえて。それで、びっくりして」
女「人がいるんだって…無我夢中で飛び出してきたんだって!」
「…そうか」
女「だから、…何も持ってないってば」
「そのようだな」
ピッ
「金属探知機の反応はない。本当に何も持ってないようだな」
女「何時の間にそんな。…だからそう言ってる」
「はだしで、何も持たず走ってきたのか?」
女「そうよ」
「馬鹿かお前は」
女「…」
返す言葉もない。
女「あ、あなた…誰なの」
「お前こそ誰だ」
女「…」