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キモオタ「我輩がおとぎ話の世界に行くですとwww」ティンカーベル「そう」 不思議の国のアリス編

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Part30
801 :◆oBwZbn5S8kKC :2017/06/26(月)01:27:45 ID:f8n
孫悟空「……お前が老婆の手に渡らなけりゃ物語は進まねぇ、当然代役になるような青い鳥なんか存在しねぇってか」
青い鳥「そうすることで世界が消えてしまう事もわかった、目の前の少女……アリスさんが敵なのか味方なのか、その時は目的すら知らなかった」
青い鳥「でも、僕は迷わなかった。例え自分が死んでも、チルチルとミチルを殺せるのなら良いと思った。仲間の仇をうてるなら、世界さえ消えてしまえと思った」
孫悟空「世界が崩壊していく混乱の中、アリスはチルチルとミチルをさらっていったって訳か」
青い鳥「そんなところだ。アリスさんは自分が自由に動く為に、代役をさせる女の子を探していたからね」
青い鳥「ミチルは代役にはピッタリだったのさ。年の頃はアリスさんよりも幼いけどそこは問題ない、何よりチルチルを人質として捕えれば強制的に従わせられる」
孫悟空「なるほどな…。それで結局【不思議の国のアリス】が結末を迎えて用済みになっちまったから兄妹は幽閉されてるってところか」
青い鳥「そうだよ、僕には関係ない話だけどね」
青い鳥「これでお前も少しはわかっただろう?僕が何故【青い鳥】の世界を見限ったか、何故アリスさんに従うのか」
孫悟空「……あぁ、よくわかったぜ」
青い鳥「だろうね。さぁ、理解できたなら僕の背から降りて貰おうか。もうおしゃべりは終わりだ、今度こそ決着をつけようじゃないか」
孫悟空「そりゃあ、無理な話だぜ青い鳥。さっきも言っただろ?お前の攻撃には迷いを感じる、不安を感じる」
孫悟空「そんな奴とこれ以上戦うなんざ、俺にゃあできねぇな」

802 :◆oBwZbn5S8kKC :2017/06/26(月)01:37:07 ID:f8n
青い鳥「またそれか…!ふざけるな!また僕に迷いがあるって?覚悟が決まって無いって!?馬鹿を言うな!」
孫悟空「なぁ青い鳥、お前なんだかんだ言って俺に過去の事話してくれたじゃねぇか」
青い鳥「それはお前がしつこいから仕方なく話しただけだ!それに背中に居座られちゃ気分が悪い!」
孫悟空「だったらどうしてわざわざこんな上空まで飛んで話したんだ?」
青い鳥「それは……お前と話している姿を他の連中に見られたら、裏切ったと思われるかもしれないからだ!」
孫悟空「本当にそうか?お前、本当は誰かに聞いて欲しかったんじゃあねぇのか?」
青い鳥「馬鹿にするな…!僕はそんなに弱い奴じゃない!大体、少し戦ったくらいで僕の何をわかったつもりだ!?」
孫悟空「解っちまうんだよ、何度か攻撃を交わせばな。いいや、お師匠様に解るように努力しろって言われてなぁ、色々苦労して……ってそりゃどうでもいいか」
孫悟空「実際な、【西遊記】の世界で俺達に襲い掛かってくる妖怪の中にもほんの一つまみ程居たんだよ。迷いを心に抱えたまま襲ってくる輩が」
青い鳥「……」
孫悟空「俺としちゃあ倒しちまった方が楽でいいんだが、お師匠様がゆるさねぇンだよ。『迷いを持って戦いに臨んでいる者は、本当は戦いを望んでいないのかもしてない』」
孫悟空「『ですから、そういった者達は例え相手が妖怪だとしても。見逃し、改心の機会を与えるように』ってな。とんだあまちゃん僧侶でなぁ」

803 :◆oBwZbn5S8kKC :2017/06/26(月)01:42:10 ID:f8n
青い鳥「……僕も心に迷いを持っている、だから改心改心させよう。そういう考えなんだな、お前は?」
孫悟空「おうよ。これでも一応僧のはしくれなんでな。つぅか、お師匠の教えはしっかり守らねぇとコレがどうなっちまうかわからねぇしな」キンコジコンコン
青い鳥「……」
孫悟空「なぁ青い鳥。この高さじゃあ誰も聞いちゃいねぇぜ、下の連中はせいぜいお前が俺を倒すのに手こずってる程度にしか思っちゃいねぇさ」
青い鳥「……僕はアリスさんに感謝してる。それに不安も悩みも無い。お前に懐柔されるつもりだって毛頭無いんだ」
孫悟空「そうは言うがお前なぁ……」
青い鳥「……ただ」
孫悟空「あぁ?」
青い鳥「……」
孫悟空「何だよ、言いかけたんなら言っちまえよ」
青い鳥「ずっと前から気になっていた……納得がいかない事が、一つだけある」
孫悟空「なんだ、そりゃあ?」
青い鳥「……僕は敵として、密偵としてお前達の身の周りを見てきた。でも、どうしても理解できない事がある」
青い鳥「あのティンカーベルとかいう僕に散々突っかかってきた羽虫がいただろう?あいつはどうして……あんな豚を信用していたんだ?」

804 :◆oBwZbn5S8kKC :2017/06/26(月)01:46:43 ID:f8n
青い鳥「【ピーターパン】の世界を失って、それを取り戻そうって考えるのは解る。非力な妖精が他人の力を借りようってのも理解は出来る」
青い鳥「でもそれならもっと適任がいるだろう。あの羽虫は世界移動が出来たんだ、魔法や妖術使いに頼るとか……それこそお前の様な強いおとぎ話の住人に頼った方が効率的だ」
青い鳥「高名な魔女に頼むとか、もっと方法はあったはずだろ。現実世界の奴に頼むにしてももっと痩せてて身体能力の高い奴に頼む方がずっとスムーズだったはずだろ」
青い鳥「それなのにあいつはあの豚を選んだ。気持ち悪さに服を着せたようなあのどんくさい豚に自分の運命を託した。それが……理解できない」
孫悟空「お前、そんな事考えてたのか?」
青い鳥「そうさ、悪いか?でも当然だろう、あの羽虫はそれほどに効率の悪い事をしていたんだ」
青い鳥「どうしてあの羽虫はあの豚を信じられたんだ?自分の世界を取り戻してくれると、どうして願いを託せた?」
青い鳥「あんたもそうだ孫悟空。話の筋書きがそうなってるとはいえ、どうして三蔵法師に付き従うんだ?」
青い鳥「三蔵法師はただの人間、お前よりずっと体力が無くて妖術が使えるわけでもない、しかもその肉を食べると不老長寿になるとかで妖怪に狙われてるーー」
青い鳥「そんな奴にどうして自分の運命を託そうなんて思えるんだ?マッチ売りの少女も、あの豚の仲間達だって同じだ。力も魔力も実績も無い、そんな奴をどうして信じられるんだ?」

805 :◆oBwZbn5S8kKC :2017/06/26(月)02:00:51 ID:f8n
孫悟空「俺とお師匠の場合は…なんつぅか最初は成り行きだったが、結局はこの人となら天竺だろうと何処だろうと行けるって思えたからだな」
青い鳥「なんだよ、それ。結局根拠の無い感情論って事じゃないか」
孫悟空「ティンカーベルも似たような理由だと思うぜ?確かにキモオタより強い奴や頼れるやつはいただろうが、何よりあいつにとってキモオタは他の誰より気があったんだろ」
孫悟空「だからすぐに仲良くなれた、だから信用できた。それだけの話だろ?」
青い鳥「……いくら仲が良くても、好きだった相手でも。ほんの少しのきっかけで、信じられなくなるもんだ。それを僕は良く知ってる」
青い鳥「実際、チルチルもミチルも……僕にとっては大切な友人で家族だった、きっと向こうもそう思っていたと思う。でも……今は見ての通りだ」
青い鳥「仲が良いとか、気が合うとか、信じられる相手だとかそんな感情は脆いもんだ。大事なのは真実の裏打ちがある情報じゃないか」
孫悟空「だから強さと実績があるアリスに従ってるってのか?」
青い鳥「もちろん恩があるからって言うのも本当だ。でもアリスさんなら実績もあるし強さも折紙付きだ、彼女と一緒にいれば……間違いが無い」
孫悟空「……でもそりゃあお前の本音じゃあねぇって訳だな?」
青い鳥「……」
孫悟空「後悔、しちまってんじゃねぇのか?チルチルとミチルを裏切っちまった事をよ」


806 :◆oBwZbn5S8kKC :2017/06/26(月)02:03:33 ID:f8n
青い鳥「……解らない。解るわけがないじゃないか」
青い鳥「あの時、僕が二人に向けた怒りの感情は確かなものだ。今だって許しているわけじゃないし、仲間を殺した二人を許す事は無いと思う。この恨みは消えない」
青い鳥「でも、どういう訳だろうな……あの羽虫と豚が仲良くしていたり、無礼なジョークを交わしたり、そういうのを見るたびに兄妹の笑顔を思い出したんだ」
青い鳥「まだ、僕達がただの貧乏な家族だった頃の姿を」
孫悟空「……俺はあんまり偉そうな事言えた立場じゃねぇけどよ。心残りだってぇんなら、やり直したらいいじゃねぇか」
青い鳥「馬鹿を言うなよ、僕を救ってくれたアリスさんだって裏切れない。それに今更やり直しなんて出来るわけがない」
孫悟空「成り行きでそうなっただけで、別にアリスはお前を助けたわけじゃねぇ。そんな事解ってんじゃねぇのか?」
青い鳥「……」
孫悟空「それにな、やり直すことに今更なんてことはねぇよ。間違いに気付いたりよぉ、心残りがあるってならいつだってひきかえしゃいいんだ」
孫悟空「なぁ青い鳥、これを機にやりなおしてみねぇか?今だったらかぐやもドロシーも償いの最中だしよぉ。何だったら俺と一緒に来るってのもありだぜ?」
青い鳥「あんたと一緒にって……天竺へか?」
孫悟空「おうよ。アリスの一件が終わったら旅も再開するからよ。お師匠様以外は償いの旅だからよぉ、お前もすぐに馴染めるぜ。なぁ、どうだ?チルチルとミチルだってよ、お前の話聞きゃあ許してくれるんじゃねぇか?」
青い鳥「……そう、かもしれないな」
ヒュヒュヒュヒュヒュッ
孫悟空「なんだ!?くっ…!あぶねぇ!?畜生、全部は防ぎきれねェ…!」ヒュッ キンキンッ

807 :◆oBwZbn5S8kKC :2017/06/26(月)02:06:25 ID:f8n
青い鳥「ぐあ…っ!」ドスドスドス
孫悟空「こりゃあ投石部隊の攻撃…!?標的は俺か…いや、違う!なんだって青い鳥めがけて攻撃なんかしてんだ連中は…!」キンキンッ
青い鳥「僕の背から離れろ孫悟空…。きっと話したことを感づかれたんだ、そのうち僕を始末するための……次の攻撃が来る」ゼェゼェ
孫悟空「お前に話せって言ったのは俺だ、ここで見捨てられるわきゃあねぇだろうが!」
???「それならばお前もろとも地に叩き落とすまでだな。投石部隊、攻撃を開始せよ」
ヒュヒュヒュヒュヒュッ
青い鳥「ぐぅあ…!!」ドスドスドスッ
孫悟空「青い鳥…!畜生、今の声……誰だ!?姿を現しやがれ!」
チャシャ猫「まったく、様子を見に来てみればこれだ。だから私は反対したんだ、青い鳥はルイスが生み出した存在ではない。余所者は信用できない、必ず裏切るとな」スゥッ…
孫悟空「顔だけ…ってこたぁアリスのとこのチャシャ猫って奴か!?」
チャシャ猫「ご名答。孫悟空、青い鳥を懐柔しようとしたようだが残念だったな。こいつはもうじき墜落する、使い物にはならない」
孫悟空「懐柔なんかじゃねぇ、俺ァこいつが迷ってるみてぇだったから道を示してやっただけだ」ギロリ
チェシャ猫「どっちでも同じだ、この鳥の末路は決まっている。が…今まで尽くしてきた褒美だ、お前の態度次第では命までは奪いはしないが。青い鳥、どうだ?」
青い鳥「僕は……解りません。ただ、ただ……やり直しが、出来るというのならーー」フラフラ
チェシャ猫「もう結構、これ以上は聞く意味が無い。…つくづく選択を誤る無様な鳥め。投石部隊、攻撃に移れ。裏切り者を処分しろ」

808 :◆oBwZbn5S8kKC :2017/06/26(月)02:15:13 ID:f8n
今日はここまでです 不思議の国のアリス編 続くったら続く
仲良しの友達が仲間を(意図せずとも)殺していく絶望

811 :名無しさん@おーぷん :2017/06/26(月)20:10:35 ID:jYj
ファミキチにぼろくそにいわれるキモオタ

821 :◆oBwZbn5S8kKC :2017/07/03(月)00:07:47 ID:mC2
補足番外編『お師匠様の教え』
ずっとずっと昔 まだ孫悟空と三蔵法師が共に旅を始めた頃
西遊記の世界 とある村はずれ
タッタッタッ ザザッ
孫悟空「ヘヘッ、ようやく追いつめたぜぇ!ったく、下級の雑魚妖怪のクセして逃げ足だけは一人前だなぁ?おぉん?」
妖怪「ひっ、ひえぇぇ…!ど、どうか慈悲を…!命だけはお助けを…!」
孫悟空「あぁん?慈悲だぁ?先に手を出してきやがったのはテメェだろうが!都合のいい事抜かしてんじゃねぇぞオラァ!コラァ!!」
妖怪「ひ、ひぃぃ!すいませんすいません!三蔵法師っていう僧侶の肉を喰えばスゲェ妖力が得られるって話を聞いて、それでつい魔がさして…」
妖怪「も、申し訳ありませんでした!この通り反省しています!ほ、ほんの出来心だったんです!どうかどうかお許しを…!」ペコペコ
孫悟空「出来心だぁ?テメェの都合なんざ知った事じゃねぇ!俺ァ守護者としてお師匠に仇なす輩は残らずブチ殺す!一撃で冥土に送ってやっから感謝しなぁ!!」ビュオンビュオン
妖怪「ひ、ひぃぃ…!」ガタガタブルブル
孫悟空「ヒャーッハッハッハ!!下級妖怪の分際で調子に乗りやがった事、地獄で永遠に悔やんでやがれクソ雑魚g……アァァーーーッ!?」ビキビキビキ
ガッシャーン
妖怪「!?」ビクッ
三蔵法師「まったく…いい加減にしなさい悟空!完全にチンピラの立ち居振る舞いではないですか!仏様に仕える者としての自覚をしっかり持ちなさい愚か者!!」ナムナムナム

822 :◆oBwZbn5S8kKC :2017/07/03(月)00:08:48 ID:mC2
孫悟空「痛い痛い痛いィィ!なんでこのクソ輪っかが締まりやがる!?俺の何が間違ってるってんだよお師匠オオオォォ!!守護者として真面目にそいつをブチ殺そうとしただr…アアアァァーー!!」ガシャーン
三蔵法師「戦意喪失している者を…しかも命乞いをしている相手を攻撃するなど許されません!恥を知りなさい!」
孫悟空「はあぁぁ!?こいつはアンタを殺そうとしたんだぞ!?自分の身も護れねぇ人間如きが甘ぇ事言ってんじゃねぇぞハゲコラァ!あっ、すまねぇ…ハゲは言い過ぎた悪かったっtアァァァーー!!」ドガシャーン
三蔵法師「……さて、あなた」
妖怪「は、はい…!」ビクッ
三蔵法師「早々にお逃げなさい、この暴れ猿がおとなしくしている間に」
妖怪「お、俺はあんたを殺そうとしたってのに…許してくれるんですかい?」
三蔵法師「反省しているというあなたの言葉を信じるだけです。次は無いと肝に銘じ、今後は邪な事を考えず真面目に生活するよう心掛けなさい」
妖怪「あ、ありがとうごぜぇます…!これからは真面目に暮らしていきます!そ、それじゃあ俺はこれで…!」タッタッタッ
三蔵法師「……さて、これで彼も心を入れ替えてくれることでしょう。あなたもそう思いますね、悟空?」
孫悟空「」
三蔵法師「いつまで横になっているのですか!シャキッとしなさいシャキッと!!」ドゴォ
孫悟空「おうふっ…!ハァー…ハァー…あまりの激痛に気絶しちまってたぜ…。天竺への旅、俺にとっちゃこの輪っかが一番の障害なんじゃねぇか…?」ゼハーゼハー

823 :◆oBwZbn5S8kKC :2017/07/03(月)00:18:27 ID:mC2
・・・
孫悟空「キッチリ説明してもらうぜお師匠!どうしてあの妖怪を逃がしちまったんだ!?言っとくが戦意喪失してたとか命乞いしてきたとかいう甘い言いぶんじゃ俺ァ納得しねぇぞ!?」
三蔵法師「…悟空、私とあなたが旅を共にするようになってまだ数日です。ですが既に多くの妖怪が私の命を狙って来ていますね?」
孫悟空「あぁ、うんざりするくれぇにな…。まぁ仕方ねぇさ、お師匠の肉を食らえば不老長寿になれるだとかバカデケェ妖力が手に入るってぇ噂が流れてるらしいからよぉ」
孫悟空「弱っちぃ人間一人殺せばスゲェ力が手に入るってんだ、そんな好機逃す手はねぇよ。まっ、俺ァ既に不老不死だし他人食って強くなってもつまらねぇから興味ねぇけどな」
三蔵法師「まったくハタ迷惑な噂です。ただ火の無い所に煙は立ちません、もしかすると真実かもしれませんが…」
孫悟空「おいおい、それがどうしたってんだよ?んなもんあの妖怪を逃がした事とは関係ねぇだろ?」
三蔵法師「関係ありますよ。それよりも…悟空、先程の妖怪は強かったですか?」
孫悟空「いいや、妖力もねぇに等しい下級の妖怪だったぜ。まぁ、雑魚中の雑魚ってとこだ。だからこそアンタを殺して力を得ようってんだろうな」
三蔵法師「でしょうね。おそらくあの者はきっと自分自身の弱さを知っていた、だからこそ『三蔵法師を殺せば力が手に入る』…そう聞いて思わず出来心で私達を襲ったのでしょう、心に迷いを残したまま」
孫悟空「あぁ?迷ってたかどうかなんてわからねーだろ。それになんで出来心かどうかなんてわかるんだよ。あいつが言ってた事なんざデマカセかもしれねぇだろ」
三蔵法師「迷いなど無く心の底から私を殺そうというのなら、あなたがのたうちまわっていたあの状況で逃げたりせずに私を攻撃するはずでは?」
孫悟空「……そう言われてみりゃあ、確かにそうだ。雑魚とはいえ妖怪、人間相手に遅れなんかとらねぇしそんな事は解ってるはずだよな…」

824 :◆oBwZbn5S8kKC :2017/07/03(月)00:49:18 ID:mC2
三蔵法師「魔がさした、出来心だったというあの者の言葉はおそらく真実。今後、彼は改心して真っ当な人生を送る事ができるです、それでも命を奪う必要がありますか?」
三蔵法師「迷いを持って戦いに臨んでいる者は本当は戦いを望んでいないのかもしれません、そういった者達に改心の機会を与える……必要な事なのですよ、これは」
孫悟空「……まぁ、そういう事だったら殺す必要はねぇよ。殺しちまったら償いも改心もできねぇからな」
三蔵法師「そういうことです。人も妖怪も生きている以上間違いを犯すものです、判断を誤ったり悩みや不安に弱い心を揺らされるものです。それを頭ごなしに否定して処罰してはなりません」
三蔵法師「いいですか悟空。私達は天竺へ向かっていますが…これは目的ではなく手段です。本来の目的は仏の教えを広め、そして世界を平和に導く事なのです」
三蔵法師「目の前に選択や判断を誤った者がいたならば、その者達を導き救うという行為もまた私の私達の役目なのです。わかりましたね?」
孫悟空「そりゃいいけどよぉ…。相手の頭ん中は当然見えやしねぇんだ、そいつが何かしらの悩みや不安を抱えてるなんてもんどうやって見抜くんだ?」
三蔵法師「悟空程の実力を持ってすれば拳を交えた相手の心のうち程度なら見破れるのでは?あなたは五百年以上生きてるんですから、出来ますよね?」
孫悟空「んなわけねぇだろ!無茶ぶりにも程があるってもんだ!つぅか何百年生きようとできねぇもんはできねぇっての!」
三蔵法師「そうでしたか。では出来るようになってください」ニッコリ
孫悟空「お師匠じゃなかったらぶん殴ってるとこだぜ……。まぁいいぜ、俺は守護者だ。お師匠がそうしろって言うなら従うまでだ」
三蔵法師「よろしい。それでこそ私の守護者です。改めて…共に天竺を目指しつつ世界を良いものに変えていきましょうね。長く困難な旅になるでしょうが、それでも笑顔がついて回るような旅にしたいですね」
孫悟空「おう、まかせときなお師匠。…っていうかよぉ、お師匠大丈夫か?」
三蔵法師「? 何がですか?」
孫悟空「いやな?命狙われて、天竺への旅もしてるってのに世直しみてぇな事にも手ぇだして…そんで敵にまで情けかけちまってよ。あれもこれも考えすぎなんじゃねぇか?あんまり頭使いすぎると、毛根が死滅しちまうんじゃねぇか?もうしてるって?ハハッ!」
三蔵法師「ハハハ、面白い事を言いますね悟空……毛根が、死滅ですか。ハハハ……」スッ ジャラッ
孫悟空「えっ…なんで数珠握りしめてんだよ?えっ、ちょっ!?今の冗談だからな!?お師匠が笑顔がついて回るような旅が良いって言うから俺なりの冗談で……やめろ、やめろぉぉぉ!!」
アァァァーーーー!! ガシャーン

825 :◆oBwZbn5S8kKC :2017/07/03(月)00:53:25 ID:mC2
今日はここまで 明日は本編更新します!
???「明日は私にもちょっとだけ出番があるよー!今までお留守番してたぶん頑張るからねっ!」フンス
またお付き合いを!よろしくお願いします!

826 :名無しさん@おーぷん :2017/07/03(月)13:37:35 ID:qLh
悟空・・・これが後の世で東南アジアのほうで信仰を集める仏になるとかまだみんな知らないんだろうなぁ
ちな八戒は中国で人気があるんだとか
悟浄は・・・うん察してあげてw

829 :◆oBwZbn5S8kKC :2017/07/04(火)04:20:09 ID:3Zr
「よしっ、攻撃命令が出たぞ!みんな準備を急げ急げ!マッハで準備して速攻で殺すぞ!」
「もちろん!今度こそ青い鳥を撃ち落とすぞ!まったく、仲間だと思ってたのに裏切るなんて…酷い奴だ!」
「そうだな。アリスさんに散々お世話になってたくせに孫悟空に何か言われたくらいでなびくなんて…許せねぇ!」
「青い鳥が裏切ろうとしてるって見抜いてくれたチェシャ猫には感謝しないとな!さぁ準備急げ急げ!俺達の団結を見せてやれ!裏切り者を許すなー!」
青い鳥「うぐぐ……」ヨロヨロ
孫悟空「耳を貸すな、好きに言わせとけ!それより避ける事を考えろ!とっとと逃げちまうかもっと高度上げるとか出来ねぇのか!?」
青い鳥「悪いけど無理だよ…最初の投石で僕の両翼はボロボロでね。飛び去るのも飛び上がるのも難しい…今、この高度を保っているのだって結構無理してるんだ」ゼェゼェ
孫悟空「となると、この場で石の雨を迎え撃つか投石部隊そのものを叩くか…ってところか。玉龍!そっから投石部隊叩けねぇか!?」
玉龍「もうとっくにやろうとしてるッスよ!でもこのメイドが案外粘るんスよぉ!ぐぬぬ…玉龍ちゃんの邪魔をするなッス!」シュバッ
メリーアン「……行かせない。投石部隊が連中を仕留めれば、私達の勝利は決定的。その為にも、あなたは私が食い止める」ギギッ
孫悟空「チィ…玉龍には頼れねぇか。だったら連中に如意棒ブチ込んで…いや駄目だリスクがデカ過ぎる。となるとどうにかして投石を全部はじき返すか?いや、現実的じゃねぇ……考えろ考えろ、何か打開策があるはずだ」ブツブツ
ラプンツェル「ねぇねぇ悟空ー、何をそんなに悩んでるのー?晩ごはんのメニューで悩んでるなら、私がアドバイスしてあげよっか?」ヘラヘラ
孫悟空「いらねぇよ!今は晩飯の事なんざどうだっていいんだよ!この危機をどう切り抜けるか考えてるに決まってんだろ!」
ラプンツェル「そっかー、ごめんごめんー。私なんだかお腹すいちゃっててー、だからついついご飯の事考えちゃってた。ねーっ、ロック鳥ー?」テヘペロ
ロック鳥「ルォォー」バッサバッサ
孫悟空「ったくよぉ、ラプ公……どうしてお前はそう緊張感ってもんがーー」
孫悟空「!?」ニドミッ

830 :◆oBwZbn5S8kKC :2017/07/04(火)04:23:12 ID:3Zr
孫悟空「ラプ公!?どうしてテメェがこんな所にいるんだよ!?」
ラプンツェル「どうしてって…私もみんなと同じ!アリスをやっつける為にここに来たんだよ!」フンスッ
ラプンツェル「でね、大きなお城が見えたからとりあえずロック鳥の背中に乗って飛んできたらー、なんか悟空が難しい顔してるの見えたから話しかけてみたの!そーだよねーっ?ロック鳥ー?」ナデナデ
ロック鳥「ロォック!」バッサバッサ
孫悟空「そんな事聞いてんじゃねぇんだよ!テメェ今の今までどこで何をしてやがったんだ!?キモオタ達はお前の事ずいぶん心配してたんだぞ!何があったか知らねぇがせめて一報入れるとかーー」
青い鳥「孫悟空、今は説教している場合じゃあない。奴ら、ようやく準備が完了したみたいだ。来るぞ……無数の石の雨が!」
孫悟空「チィッ!そうだったぜ……説教は後だラプ公!こうなりゃお前にも手ぇ貸してもらうぜ!」
ヒュヒュヒュヒュヒュッ!!
ラプンツェル「わーっ!見て見て悟空!下にいる動物たちが一斉に石を投げてきたよ!私あんなの初めて見るよー!」ワクワク
孫悟空「ワクワクしてんじゃねぇよ!いいか?この青い鳥はもうロクに飛べねぇんだ、当然あの攻撃を避けるなんてできねぇし見捨てるなんて事もできねぇ!」
孫悟空「あの数の投石だ、少し厳しいかもしれねぇが…俺とお前でなんとか全て防ぐしかねぇ!できるか?ラプ公!?」
ラプンツェル「んー…?ねぇねぇ悟空、よーするにあの石ころ全部なんとかしたらいいんだよね?」
孫悟空「あぁ、だからそう言ってーー」
ラプンツェル「じゃ二人もいらないね!あれくらいなら私だけでも簡単にできるよー!悟空、なんかちょっと怪我とかしてるし休んでても良いよっ!」フンスッ

831 :◆oBwZbn5S8kKC :2017/07/04(火)04:26:58 ID:3Zr
孫悟空「あぁん!?テメェこりゃあ遊びじゃねぇんだぞ!?あの数の投石を一人でなんとかできるわけがーー」
ラプンツェル「ふっふっふー……ところがどっこい私にならできるんだよー!悟空はそこで見てるといいよー!」バッ
シュルシュルシュルルッ
ラプンツェル「いくよー!私の魔法の髪の毛!急いで編もうっ、みぎひだりみぎひだりー!」アミアミアミアミ
孫悟空「長い長い髪の毛を交互に編み込んで……なるほど、そういうことか!」
ラプンツェル「ヘヘーン!ラプンツェル特製『髪の毛の網』だよー!これを使えば簡単に……石ころ全部キャーッチできるよねっ!」バッサー
ポスポスポスッ
青い鳥「おぉ…!投石が全部髪の毛の網に絡め取られていく…!」
孫悟空「たまげたぜ…!本当に一人でなんとかしちまいやがった…!」
ラプンツェル「じーびーきーあーみっ、とー!大漁大漁ー!どうどう?私の新しい技すんごいでしょ、悟空びっくりしたでしょー?褒めても良いんだよ〜?」ドヤァァァァァ
孫悟空「褒めてやりてぇとこだがまだ戦いの最中だろうが!油断すんじゃねぇ!」
ラプンツェル「ちぇーっ…まぁいっか。さってとー…この大量の石ころどうしよっかなぁー……ずっと持ってても重くてロック鳥が可哀想だし、捨てちゃおっと」バッ
孫悟空「お、おい待て待て!いくら相手は敵だっていってもだな、こんな高さから石なんざ落としたらーー」
ラプンツェル「えっ?もう捨てちゃったよ?」キョトーン
ドサドサドサー

832 :◆oBwZbn5S8kKC :2017/07/04(火)04:28:55 ID:3Zr
ドスドスドスドスドス
「う、うわぁぁぁー!!殺される…石の雨に殺される…!これが因果応報って奴か!?逃げろ!逃げろぉぉー!」
「に、逃げろったってこんなもん避けようが……ぐえっ」ドサッ
「お、おい!大丈夫か!?……おぶっ」ドサッ
「さ、最悪だ…!地獄絵図じゃないかこんなもん……げぶっ」ドサッ
青い鳥「うわぁ…ひどいこれ…」
孫悟空「おーい!玉龍!お前大丈夫か!?まだ生きてるかー!?」
玉龍「生きてるッスけど…ふざけんなッスー!!あやうく死ぬところッスよ!?もっと良く考えて行動しろってそこの金髪ロングに言って欲しいッス!」プンスカ
孫悟空「わ、わりぃ…俺も油断してた……」
ラプンツェル「あははっ、戦いの最中に油断しちゃ駄目だよ悟空ー」ケラケラ
孫悟空「こいつ……」イラァ
ラプンツェル「でもでも、何はともあれ石ころ攻撃は全部なんとかできたし、石投げてくる動物も退治出来たからこれでよかったよね?バッチリ大成功ー!ロック鳥もがんばってくれてありがとねー」ナデナデ
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孫悟空「戦果的には上出来なんだが…なんか喜べねェ…」

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