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キモオタ「我輩がおとぎ話の世界に行くですとwww」ティンカーベル「そう」 不思議の国のアリス編

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Part26
706 :◆oBwZbn5S8kKC :2017/05/24(水)01:25:52 ID:iAZ
ハートの女王「フンッ、まぁいい。結局お前の攻撃が私に届く事は無いのだからな」
ハートの女王「小僧、お前は強力な魔力を有していてもそれを扱う能力は無いと聞いている。故に魔力を拳に乗せて殴る程度の真似しか出来ないのだろう?」フフン
ヘンゼル「詳しいね、確かチェシャ猫が偵察をしてるんだっけ?優秀な猫だね。どこかのトランプと違ってさ」
ハートの女王「フン、何を喚こうと結局貴様等の言葉は負け惜しみにしかならん!悔しければこの私を殴って見せるがいい!壁の如く立ちはだかる兵共を一掃できるならな!」
ハートの女王「ホッホッホッ!そんな事お前にはできやしないだろう!拳も届かず、魔法も使えず、魔獣も使役出来ない、お前はもはやただのガキ!おそるるに足りぬわ!」
白ウサギ「そうですとも!妹の方にいたっては魔法は使えても常に魔力切れですからね!どっちにしろ雪の女王から魔法を使う事を禁止されている、なにもできやしませんよ!」
ハートの女王「文字通り、無力なガキが考えなく突っ込んで来ただけという訳だな」
ヘンゼル「フフッ…。おめでたいね、あんた達」クスクス
グレーテル「わらっちゃうよね……ぷーくすくす……」
ハートの女王「……? 何を笑っている?絶体絶命の状況に追い込まれ、気でも触れたか?」クックックッ
ヘンゼル「僕はさ、大人ってあんまり好きじゃないんだけど。トランプおばさんみたいな人は嫌いじゃない、むしろ好きだよ。馬鹿な大人は相手にするのが楽だからさ」
ハートの女王「なんだと…?」ギロリ
ヘンゼル「自分がこんなガキに負ける訳ない。そんな風に信じ込んでいるから何も見えなくなるんだよ」
ヘンゼル「こんな緊急事態なのにさ、平和な頃に決められた『魔法を使ってはいけない』なんて女王の言いつけを……守るとでも思ってるの?」

707 :◆oBwZbn5S8kKC :2017/05/24(水)01:44:00 ID:iAZ
ハートの女王「なんだと!?まさかこの小僧…妹に魔法を使わせるつもりか!?チェシャ猫はそれだけはあり得ないと言っていたぞ!?」
白ウサギ「大丈夫です!デマカセに決まっていますよ!情報によると小娘は魔力に耐性が無く強い魔力に中てられると体調を崩し、最悪死に至るとか…!」
白ウサギ「あの小僧は何よりも妹を優先するシスコンだという情報も得ております!緊急時といえど妹を危険にさらすなど、あの小僧にできるはずがありません!」
ヘンゼル「随分と無礼な情報が広まってるみたいだね……まぁ、いいけどさ。でも少しだけ、認識を改めた方が良い。グレーテル、頼めるね」スッ
グレーテル「まかせて……」ギュッ
白ウサギ「ば、馬鹿な!?手をつないだ…!女王様!!子供達は本当に魔法を使うつもりです!!お逃げください!」
ハートの女王「えぇい…!兵共!!何をしている!?小娘が魔法を使う前に一気に叩いてしまえ!!」
トランプ兵「「「Y…Yes my lord!!」」」ババッ
グレーテル「駄目……もう間に合わないよ……?でも、そっちから入りに来てくれるなら、止めない……」スッ
グレーテル「私のかまどはあつあつかまど…。なんでも焼けちゃうおっきなかまど…。おしえて欲しいな……燃やされたいのはーー」
ブォオォォォォォッ!! メラメラメラッ!!
グレーテル「だぁれだ……?」

708 :◆oBwZbn5S8kKC :2017/05/24(水)01:47:05 ID:iAZ
今日はここまでです 不思議の国のアリス編 次回に続きます
魔法使うとグレーテルヤバいんじゃないかって?
大丈夫。やばかったらシスコンは魔力を渡したりしない
次回もお付き合いください!

709 :名無しさん@おーぷん :2017/05/24(水)02:53:48 ID:RLU
凄くスカッとして面白い!!
>>1さん乙ですー!!

710 :名無しさん@おーぷん :2017/05/25(木)00:34:31 ID:foT
乙!
お千代さんかっけえな
で、グレーテルちゃんどうなる!?


715 :◆oBwZbn5S8kKC :2017/05/29(月)01:34:31 ID:Q7m
回想 数日前・・・
裸の王様の世界 裸王の城 トレーニングルーム
司書「……」タッタッタッ
マッチョ兵士「グハハハハ〜!逃がさんぞ〜!俺は悪党だァ〜!お前を捕まえて二度と筋トレ出来ない身体にしてやるぞォ〜!」グイッ
司書「後ろから肩を掴まれた場合は…こうっ!」シュルッ
マッチョ兵士「ぬぅ、小癪なァ〜!ならばこれでどうだァ〜!」ガバッ
司書「正面から手首を握られた場合は…こうです!」グイッ
マッチョ兵士「ぐぐぅ…。おのれェ〜…ならば正面から襲いかかってy」
司書「そして相手が少しでも隙を見せたらチャンス!この隙に…逃げますっ!」スタタタッ
マッチョ兵士「ぐぬぬ〜!取り逃がしてしまったあァ〜!おのれェ〜!流石は裸王様直伝の護身術だァー……!」グヌヌ
裸王「そこまでっ!千代よ、どうやら基礎はしっかり身に着いているようだな!では少し休憩した後『裸王式護身術・応用編』をレクチャーするとしよう!」ハッハッハッ
司書「はい!ありがとうございます。兵士さんもお相手して頂きありがとうございました、見事な悪役でした」ペコッ
マッチョ兵士「いえ、私のような若輩筋肉者がお役に立てたのなら光栄です!」マッスル
裸王「御苦労だったマッチョ兵士よ。これは礼にもならぬが取っておくといい!私からの気持ちだ!」つ[スペシャル筋トレチケット]
マッチョ兵士「こ、これは裸王様が直々にトレーニングの指導をしてくださるという特別なチケット…!結果にコミットするという噂のこの逸品、頂いてもよろしいのですか!?」
裸王「うむっ!いつでも使ってくれたまえ!友の願いに協力してくれた礼だ、遠慮することは無いぞ!共に筋肉に磨きをかけようではないか!」マッスル
マッチョ兵士「ありがたき幸せ…!またいつでもお呼び下さい、喜んで馳せ参じます!!」マッチョ

716 :◆oBwZbn5S8kKC :2017/05/29(月)01:39:55 ID:Q7m
・・・
司書「んー……いーち、にっ、いーち、にっ」グッグッ
裸王「ハッハッハッ!休憩中だというのにストレッチかね?やる気に満ちているのは良い事だ、だが適度な休息をとる事もまた鍛錬の一部だぞ?」マッスル
司書「…裸王様の仰るとおりです。ですが、どうしても気持ちが焦ってしまって…本来、戦う力を持たない私が戦場に出向くなんて無謀だという事は理解しています」
司書「ですが、それでも私はヘンゼルの側に居たい。知識面で少しでも皆さんのお役に立ちたい。その為には最低限、自分の身体くらいは守れるようにしないといけないので…」
裸王「焦る気持ちは解る、だがオーバーワークは逆効果!鍛錬すべき時は鍛え、休息すべき時は休む!己が肉体を蔑ろにし酷使するような者に、筋肉は力を貸してはくれぬぞ?」マッチョ
司書「…ふふっ、そうかもしれませんね」
裸王「うむっ!それに案ずる事は無い、お主は裸王式護身術を着実に自分のものにしている。そして筋肉とも良好な関係を築けているように思える。心配する必要などないのだ!」
司書「裸王様がそう言って下さると、なんだか安心できます。ありがとうございます」
裸王「なんのなんの!お主が真面目に取り組んでいる成果が出ているだけの事!だが千代よ、これは何度も言っている事なのだが……」
裸王「護身術はその名の通り護りの術。攻撃も捕縛も捨て、護りと逃走に特化した体術だ。決して敵を倒せる類のものではないという事は決して忘れぬようにな?」
司書「はい、心得ています。それに攻めに関しては…私にはとても妹思いで凄く頼りになるナイトが居ますから。なんでも背負いこんじゃうところが珠に傷ですけど」ウフフ
裸王「ハッハッハッ!そうであったな!ではそろそろ裸王式護身術応用編のレクチャーを開始し……むっ?なんだか騒がしいな?」マッスル
ギャーギャー

717 :◆oBwZbn5S8kKC :2017/05/29(月)01:41:25 ID:Q7m
ヘンゼル「そんなこと許可できるわけがないじゃないか!僕は絶対に手を貸さないぞ、いくらグレーテルの頼みだからってそれだけは駄目だ!」
グレーテル「むぅ……お千代ちゃんがごしんじゅつ習うのは良いよって言ってたのに……私のお願いは聞いてくれないなんておかしいよ……さべつだよ……」ムスー
ヘンゼル「千代の護身術は彼女自身の身を守るためのものだからだ!グレーテルのそれとは違うじゃないか!」
グレーテル「違わない……魔法を使いたいっていう私のお願いだって、私や皆を守れる……悪い敵もみんなかまどできる……」
ヘンゼル「何を言っているんだ…!確かに君の強力な魔法があれば皆を守れる、敵を倒せる!でもその代償としてグレーテルの命を削る事になるんだぞ!?」
グレーテル「大丈夫だよ……きっと昔より魔力に強くなってると思うから……やりすぎなかったら大丈夫だよ……多分……」
ヘンゼル「『きっと』とか『思う』とか『多分』なんて曖昧な感覚で…大切な妹に危険な橋を渡らせられるもんか!」
グレーテル「じゃあ私が嘘をついてるって、お兄ちゃんは言うの……?信じてくれないの……?兄妹なのに……?」
ヘンゼル「そうじゃない!確かに僕はもう君を一人にしないって約束した。だからアリスの所に連れていく事だって不安だけど納得した。でも魔法だけは絶対に駄目だ!危険すぎる!」
グレーテル「私にはいっつもダメダメって……自分はいつだって無茶ばっかりするくせに……お兄ちゃんのわからずや……!」プクー
ヘンゼル「わからずやはグレーテルじゃないか!僕は君の身体の事を心配しているだけなのになんでわかってくれないんだ!」
グレーテル「そんなのお互い様だよ……お兄ちゃんだって私の気持ち解ってくれないくせに……」

718 :◆oBwZbn5S8kKC :2017/05/29(月)01:47:03 ID:Q7m
司書「もう二人ったら…!城内であんな風に騒いでごめんなさい裸王様、すぐに仲裁に入りますから…!」
裸王「ハッハッハッ!兄妹など喧嘩して当然、気にする事は無い!」ムキムキッ
司書「そうかもしれませんけど…でも私、やっぱり止めてきます」タッタッタッ
ヘンゼル「もういいよ、この話は終わりにしよう。どっちにしたって僕が魔力を渡さなかったら君は魔法を使えないんだ。これ以上話したって僕の気持ちは変わらない」プイッ
グレーテル「……」プクー
ヘンゼル「そんな風に膨れたって駄目なものは駄目だからね」
グレーテル「もういい……!お兄ちゃんなんか知らない……お兄ちゃんなんかキライだよ……!世界一キライ……!」
ヘンゼル「せ、世界一……!?そんな、馬鹿な……!」グサッ
グレーテル「ぅー……」ズキズキ
司書「二人ともそこまでっ!ヘンゼルは気にし過ぎだよ、本心じゃないの解ってるでしょ!グレーテルも自分で傷付くくらいなら最初から言わないのっ!」
司書「もー…ヘンゼルの気持ちもグレーテルの気持ちも解るけど、だからって喧嘩してもしょうがないでしょ?それにお城の中では静かに!まずは裸王様に謝る事、わかった?」
ヘングレ「「……ごめんなさい」」
裸王「ハッハッハッ!気にする事は無い!トレーニングが筋肉を強固なものにするように、喧嘩もまた互いの絆を深めるためには必要な事なのだからなっ!」マッスル

719 :◆oBwZbn5S8kKC :2017/05/29(月)01:53:01 ID:Q7m
裸王「とはいえ、喧嘩したままというのは良くないなっ!とはいえ…ヘンゼルとグレーテル、どちらも自分の考えを変えるつもりは無いようだなっ!」マッチョ
ヘンゼル「……僕は今まで散々無茶をして、グレーテルに寂しい思いをさせた。その事は反省してる。でも、魔法を使う事だけは駄目だ、グレーテルの命にかかわる」
グレーテル「……私も諦めるの、イヤ。もしも、また魔力の中毒なっちゃったらみんなに心配かけちゃう事もわかってる……でも、みんなの力になりたい……」
司書「うーん、こればっかりはどっちの味方も出来ないなぁ……」
ヘンゼル「……」
グレーテル「……」
裸王「お互いに譲る気無しというわけか…。このような状態では戦いなどとてもではない、何か解決策を考えねば…」
ピチチチチ
小夜啼鳥「やれやれ。どうやら私の出番のようですね」
ヘンゼル「小夜啼鳥…!いいから君は僕の鞄の中に身を隠してなよ、君になんとかできる問題じゃーー」
小夜啼鳥「……感心しませんね、ヘンゼル君。自分の意見を通すために隠し事をするなんて。その上、それを隠すために私を追い払うなんて…フェアではないですね」ジロリ
ヘンゼル「……」クッ
グレーテル「……小夜啼鳥さん、それってどういうこと?お兄ちゃん、また隠し事してる……?」
小夜啼鳥「まぁ、そうなるんですかね…。でも、あなたの事を思ってだという事は事実ですので責め立てないでください」

720 :◆oBwZbn5S8kKC :2017/05/29(月)01:55:53 ID:Q7m
小夜啼鳥「さて、私の『鳴き声』の事は御存じですか?とはいっても、ヘンゼル君と千代さんは御存じでしょうから、実質これはグレーテルさんへの質問ですね」
グレーテル「よく知らない……とっても綺麗な鳴き声……?」
小夜啼鳥「ありがとうございます。皆さんもそう言ってくださいます、でもそうではなく……千代さん、説明お願いできますか?」
司書「うん。あのねグレーテル、小夜啼鳥さんの鳴き声はーー」
ヘンゼル「…いや、僕が説明するよ」
小夜啼鳥「そうですか、そのほうがいいですね。ではヘンゼル君、お願いします」
ヘンゼル「グレーテル。小夜啼鳥はね、ただの美しい鳥じゃないんだ。その鳴き声には……特別な力がある」
グレーテル「特別な力……?なにかな……?」
ヘンゼル「おとぎ話【小夜啼鳥】で、彼女の元の主人だった某国の皇帝は重い病にかかったんだ。挙句の果てに死神に魅入られてしまって……国民達は皆、皇帝の死を覚悟した」
ヘンゼル「でも皇帝は死ななかった。彼女の美しいさえずりは病を癒し、死神を祓う事に成功したんだ」
グレーテル「っていうことは……?」
ヘンゼル「小夜啼鳥の鳴き声にはね、死の宣告さえもはねのける程の…病を浄化する強い力があるんだ。だから……」
ヘンゼル「グレーテルが魔力で中毒を起こしたとしても、小夜啼鳥の鳴き声があれば……助かるんだ。そうだろう、小夜啼鳥?」
小夜啼鳥「えぇ、程度によるところはありますが…。多少の中毒症状ならば私のさえずりで浄化できるでしょうね」

721 :◆oBwZbn5S8kKC :2017/05/29(月)02:01:55 ID:Q7m
裸王「なんと…!それはつまり、小夜啼鳥は桃太郎と同様の能力を持っているという事かねっ?」マッスル
小夜啼鳥「いえ、少し違いますね。私のさえずりでは…桃太郎さんの様に疲労や肉体の損傷を回復させる事はできません。あくまで病自体の浄化ですから、死者の蘇生もできません」
小夜啼鳥「ですが私は彼よりも広範囲の病の浄化が可能ですし、他には幻覚幻聴の無力化も出来ます。それと呪いの浄化も。ただ、魔法そのものを打ち消す力は無いのでーー」
グレーテル「でも、私が魔力で中毒を起こしても……直せるんだよね?それは……本当だよね?」
小夜啼鳥「えぇ、グレーテルさんの魔力中毒は『魔法による効果』ではなく『体質による症状』ですから。私、魔法は打ち消せませんが病気は浄化できますからね」
グレーテル「むぅ……こんな大切な事知ってたのに、お千代ちゃんもお兄ちゃんも黙ってたの……?」ムッスー
司書「確かに小夜啼鳥さんの鳴き声の事は知ってたよ?でもそれがグレーテルの症状に有効かどうかの確信は無かったから言わなかったの……ごめんね?」
ヘンゼル「僕は、小夜啼鳥の鳴き声で中毒症状が消せるって知ったらグレーテルが絶対に無茶するって解ってたから黙ってた……ごめん」
グレーテル「……いいよ、許してあげる。でも、これで魔法を使っても私は大丈夫って解ったでしょ……?だから、魔法使うの許してくれるよね……?」
ヘンゼル「……」グヌヌ
グレーテル「黙ってちゃわかんない……ちゃんと返事しーてー……」プクー
小夜啼鳥「頑なですねぇ…今に始まった事ではないですけど」
司書「ねぇ、小夜啼鳥さん。あなたの鳴き声でグレーテルの中毒症状を治せる事、雪の女王様は当然知っていたんだよね?」

722 :◆oBwZbn5S8kKC :2017/05/29(月)02:07:57 ID:Q7m
小夜啼鳥「流石は千代さん。良い所に気がつきましたね。当然知っておられましたし実は女王様は私にこんな風に仰いました」
小夜啼鳥「『浄化の能力の事、子供たちが気付くまで黙っているように』と」
司書「グレーテルが小夜啼鳥さんの能力の事をすぐに知ってしまえばなんでも魔法に頼ってしまうって心配して下さったんだね……」
小夜啼鳥「でしょうね。ですが、絶対に魔法を使わせたくないのなら私を同行させなければいいはず。それなのにヘンゼル君のお目付け役に私を選んでくださったという事は……」
ヘンゼル「……いざという時、グレーテルが魔法を使えるようにするためだろうね」
小夜啼鳥「はい。私の能力が無ければ、あなたは絶対にグレーテルさんに魔法を使わせなかったでしょうから」
グレーテル「そんなところまで考えてくれたんだ……やっぱり雪の女王様はやさしい……」
小夜啼鳥「さてヘンゼル君…心配する君の気持ちはわかります。ですが察しの良い君の事ですから女王様や妹様方の気持ちも解っているでしょう?」
小夜啼鳥「グレーテルさんが魔法を使う事、認めてはくれませんか?必要以上に魔力の供給をしない事、そして私が常に側に居る事、この二つを守れば彼女の命が危険にさらされる事はありません」
ヘンゼル「……君が皇帝を誰よりも愛しているように、僕は誰よりもグレーテルを大切に思っているんだ」
小夜啼鳥「存じていますよ。だからこそ、私にお任せください。大切な人が苦しむ姿を目の当たりにする……そんな思いをするのはあの頃の私だけで十分です。必ずあなたの妹様を守ります」
ヘンゼル「……わかった。その言葉を信じるよ小夜啼鳥。グレーテルが魔法を使う事、認めるよ」

723 :◆oBwZbn5S8kKC :2017/05/29(月)02:24:15 ID:Q7m
現在
ハートの女王の城 
ボボボゥッ!!
「GYAAAAA!!」ボシュッ
「MASAKA KOREHODONO MAHOUWO TUKAERUTOHA…!!」ボジュウ
「ORE WA KAWAIKO CYAN NI YARARETE HONMOUDA…」ボボォ
白ウサギ「そ、そんな…!そんな馬鹿な…!あの大軍勢が…!女王様が誇るトランプ兵部隊が……!一瞬で壊滅状態に……!!」
ハートの女王「えぇい…!どうなっておる!どうなっておる!何一つ事前の情報と違うではないか!!おのれチェシャ猫ォォォ!!!」グヌヌヌッ
ヘンゼル「癇癪起こしてる余裕なんかあるの?気がついてる?おばさんを守ってくれるトランプは、もう居ないんだよ」
ハートの女王「おのれ小僧め…!小娘め…!まだ全滅したわけではない!残っている兵共!早急に集まり、我が盾となれ…!」ギリッ
グレーテル「……」ヒョイッ
トランプ兵達「「Yes my l……」」ボジュウッ
ハートの女王「なっ…!?」
グレーテル「おばさんのとこに集まるって解ってたら……かまどするの、すっごく簡単だよ……?」
ヘンゼル「子供でもそんな事すぐ解るのにね。どうやら千代の挑発が聞いてるみたいだね、あんたの判断力はもうズタズタじゃないか」
グレーテル「もう誰も盾にできないね……?かまど、いやだったら頑張って逃げてね……じゃなきゃ、手加減するの……むずかしい……」

724 :◆oBwZbn5S8kKC :2017/05/29(月)02:27:56 ID:Q7m
ハートの女王「えぇい…!兵共を蹴散らした程度で調子に乗りおって…もうよい!私が直々にその首を刎ねる!」ギリッ
白ウサギ「む、無謀です女王様!どうやら連中は、チェシャ猫が情報を得たときから随分と成長している様子です!まだ隠し玉を持っている可能性があります!」
白ウサギ「対する我々は兵のほぼ全てを失っています!既にトランプ兵のストックも手元にはありません!ここは一度退いて体勢を立て直しましょう!」
ハートの女王「馬鹿を言うな!体勢を立て直すだと!?それでは負けを認め、このガキどもから逃げるという事ではないか!そんな事ができるか!」
白ウサギ「しかし、このままでは全滅の可能性もあります!ご決断を…!今は悔しくとも撤退を選択すべきです…女王様!!」
ハートの女王「ぐぬぬ…!」
ヘンゼル「たたみかけるよグレーテル!…まだ体調は平気だね?」
グレーテル「もっかいくらい大丈夫……いくよトランプおばさん……あつあつ火の玉……あたると熱くて、すんごく痛いよ……?」ヒュッ
ビュォォォ!!
ハートの女王「……っ!」グイッ
白ウサギ「えっ!?ちょ!?女王様!?なんで私を盾にしt…ぐああああああ!!」ボジュウッ
司書「白ウサギを盾に…!なんて人…!」
ハートの女王「王は…女王は…何よりも、そして誰よりも権力と!富と!名声を持つ!何人たりともその存在に逆らう事は許されない!」
ハートの女王「まして下賤な庶民に敗北するなど、あってはならぬ。こんな貧乏人のガキ共に背を向けて逃げるなど、王族のする事ではない!!敗走など、あり得ない!!」
ハートの女王「私が叫べば白であろうと赤となり!私が命じれば虚構さえ真実となる!私が勝利を望むのならば、運命はそれを差し出す義務があるのだ!」
ハートの女王「何故なら私は女王だからだ!全てが恐れひれ伏す、ハートの女王なのだからだ!!」ゴゴゴゴゴ

725 :◆oBwZbn5S8kKC :2017/05/29(月)02:31:53 ID:Q7m
今日はここまでです、不思議の国のアリス編 次回に続きます
アンデルセン童話【サヨナキドリ】オススメですぞ
次回、VSハートの女王&白ウサギ 決着!次回もお付き合いください!

731 :◆oBwZbn5S8kKC :2017/06/05(月)01:32:31 ID:vpx
ハートの女王「いつまで寝ているつもりだ白ウサギ!遊びは終わりだ!連中に絶望を与え、そして私に勝利を捧げよ!!」
白ウサギ「うぅ…。女王様、私に薬草を……傷を癒す死神の薬草を……」ボロボロ
ハートの女王「小娘の魔法ごときで情けない…!従者には勿体ない代物だが恵んでやる、早急に持ち直し私の手足となって働け!」ベチッ
白ウサギ「あ、ありがたき幸せ…」モグモグ
ヘンゼル「……僕が口を出す事じゃないけどさ、あんたはもっと兵士や従者を大切にすべきなんじゃないの?」
ハートの女王「兵も従者も私の所有物だ。私の道具をどう使おうと他人に文句など言わせん!王族とはそういうものだガキ共!」
グレーテル「でも、裸王様は兵士さんやお城の人達にすっごく優しかったよ……私にもお菓子をくれたし……」
ハートの女王「それは裸の王が三流だという証拠だ。兵も従者も国を繁栄させるための駒に過ぎん、そんなモノに情を持つなど王としての資質が欠けているとしか思えん」
司書「裸王様はとても立派な方です。少なくとも…国民に慕われていないあなたに裸王様を侮辱する権利はありません」
ハートの女王「フンッ!もうお前の安い挑発には乗らんぞ!」フンッ
ハートの女王「私はガキ共を宮殿に住ませるような酔狂な女王とも、駒に情をもつ愚かな王とも違う!そして奥の手を隠し持っているのが自分達だけだと思わん事だガキ共!」
白ウサギ「ま、まさか女王様…!あ、アレを使うつもりでは…!?」
ハートの女王「当然だ!この魔法薬でこのガキ共を蹴散らし、私は勝利を確実なものとするのだ!!」スッ

733 :◆oBwZbn5S8kKC :2017/06/05(月)01:34:15 ID:vpx
白ウサギ「お、おやめください…!それはあまりに危険な代物です!」
ハートの女王「そんな事は解っている!だが負うリスクが高い分、その効果は絶大だ!そう海底の魔女が言っていたのだから間違いあるまい!」
白ウサギ「考え直してください女王様!あなた様も帽子屋さん達も間違っています!アリスさんに内緒でそんな危険な魔法薬を作らせて……」
白ウサギ「アリスさんはあなた様方を特に大切に思っているのです、身を犠牲にして勝利を手にしてもアリスさんを悲しませるだけです」
ハートの女王「えぇい黙れ!そうだとしてもガキ共は始末せねばならん、こやつらは私を侮辱した!それに何よりーー」
ハートの女王「小娘の魔法は想像以上の脅威だ。こんな力を持つガキ共をアリスの元へ向かわせるわけにはいかぬのだ!」
白ウサギ「そ、それはそうですが…。やはり危険すぎます!そのようなものを口にされては女王様が……」
ハートの女王「何を勘違いしている?確かにこれは危険な魔法薬だ、だがこれを飲むのは私ではない」グイッ
白ウサギ「えっ、ちょっ、女王様!?なんで私を掴んでーー」
ハートの女王様「支配者である女王が危険を冒してどうする。この魔法薬を口にし、連中を完膚なきまでに叩きのめすのは貴様の役割だ!」
白ウサギ「お、おやめ下さい女王様!それだけは勘弁してくださ……んぐぐ……!」グビグビ
ハートの女王「光栄に思う事だ白ウサギ、大した戦力にならん貴様に力を与えてやるのだから。さぁ戦え我が従者よ、そしてアリスに勝利を私に栄光を捧げろ!」

734 :◆oBwZbn5S8kKC :2017/06/05(月)01:37:35 ID:vpx
白ウサギ「うぅ……きもちわるい……うぅぅ……ううぅぅ……!!」ウググ…
ハートの女王「おぉ…見る見るうちに白ウサギの身体が変貌していく!流石は海底の魔女が作りし魔法具…!」
司書「…ヘンゼル!グレーテル!ここは一度距離をとって!始めからこの世界に存在する魔法具じゃないなら、どんなものなのか想像もつかない!」
グレーテル「でも……もうちょっと頑張ればあのおばさん、かまどにできるよ……?」トローン
小夜啼鳥「いえ、一度下がりましょう。グレーテルさん、明らかに眠そうな目をしてます。これ以上の魔法使用は危険でしょうね」
ヘンゼル「わかった。小夜啼鳥、グレーテルと一緒にお千代の所へ頼むよ」
小夜啼鳥「解りました。さぁグレーテルさん、私と一緒に行きましょう」ピチチ
グレーテル「でも……お兄ちゃんは……?」
ヘンゼル「僕はここで白ウサギを食い止める。二人で同時に逃げたらいい標的だからね」
グレーテル「……」ジトー
ヘンゼル「そんな顔をしないでよ、無理だって思ったらちゃんと逃げるよ。約束しちゃったからね、一人で背負わないって。それに僕一人じゃ、あいつらは倒せそうにない」
ヘンゼル「今は一度退いて、小夜啼鳥に回復してもらうんだ。魔法が使える状態まで体勢を立て直したら、そしたら今度こそ僕と一緒にあのおばさんを倒そう。いいね?」
グレーテル「わかった…。すぐに戻ってくるから……その間だけ、ちょっとだけお願いするね……」

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