キモオタ「我輩がおとぎ話の世界に行くですとwww」ティンカーベル「そう」 不思議の国のアリス編
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777 :名無しさん@おーぷん :2017/06/17(土)14:03:44 ID:ymy
青い鳥ってたしかファミチキだっけ?
778 :◆oBwZbn5S8kKC :2017/06/18(日)23:09:17 ID:rNI
諸事情で定期更新明日にずらします、申し訳ないー!
悟空&玉龍ちゃん(+分身悟空1 2 3)の活躍、概ね書けているんで一日だけお待ちをー
代わりに前に息抜きで書いた番外編久々にあげとく
>>777 ですね、今はでっかい鳥です
ではまた明日 どうかお付き合いを!
【僕と妹が捨てられた森にそっくりな場所】
現実世界 とあるお休みの日 驚安の殿堂ドン・キホーテ
\ドンドンドン ドンキー ドンキーホーテー/
グレーテル「ドンドンドン……ドーンキー……ドン・キホーテー……」ウキウキ
司書「ボリューム満点、激安ジャングル〜」ウフフ
グレーテル「ジャングルだー……」ワクワク
ヘンゼル「……」
司書「ヘンゼル?さっきから黙ってるけどどうかしたの?お腹痛い?」
ヘンゼル「いや、そういうんじゃないけど…」
グレーテル「それじゃあなんで元気無いの……?せっかくのドン・キホーテなのに……おかしをお安く買えるチャンスだよ……」
ヘンゼル「いや…そもそも僕あんまりここ好きじゃないんだよ。通路狭いし、商品は山のように置いてあるし、順路はわかりにくいしさ。この感じ……」
ヘンゼル「『一度迷えば終わり』そんな雰囲気が漂ってる。僕にとってそんな雰囲気は……昔、グレーテルと一緒に捨てられた森を思い出させるんだ」
779 :◆oBwZbn5S8kKC :2017/06/18(日)23:11:35 ID:rNI
グレーテル「大丈夫だよ……ここに悪い魔女はいない……いるのは優しい店員さんとドンペンだけだよ……」
司書「トラウマだね。気持ちは解るけど、昔の悪い思い出はちょっとずつでも克服していかなきゃって私は思うよ?」
司書「私もあれからしばらく赤飯も小豆も無理だったけど、頑張って少しずつ食べるようにしたから今はまた大好きになったしね」ニコリ
ヘンゼル「君のメンタルどうなってんの…努力は買うけど赤飯くらい別に避ければいいだけの様な気がするけどね」
グレーテル「不安になるのはお腹がすいてるからだよ……さぁさぁお菓子コーナーに急ごう……」トテトテトテ
司書「ちょ、一人でいっちゃ駄目グレーテルっ!なんでお菓子選びに行く時だけこんなに早いの…!?」スタタタ
ヘンゼル「ちょっと待ってよ。こんな森の奥地みたいな場所ではぐれたら取り返しがつかない事にーー」
ドンッ
ドンキ好きなおっさん「おっとゴメンよ。驚くほど豊富な品揃えと安心する値段設定に目移りして、つい前を見ていなかったよ」ハハハ
ヘンゼル「いや、僕こそ。すいません」スクッ
ドンキ好きなおっさん「ハハッ、お互い様だね。それじゃあ私は引き続きドカンとあふれる夢を買うとするよ」シュタッ
ヘンゼル「……さて、と」
ポツーン
ヘンゼル「言ってる傍からはぐれた……」ズーン
780 :◆oBwZbn5S8kKC :2017/06/18(日)23:15:28 ID:rNI
ヘンゼル「どうする…?二人と連絡する手段は当然無い。…あっ、小夜啼鳥だ!彼女の事だからいつものように僕の鞄とかその辺の陰に隠れてるに違いない。小夜啼鳥、助けて欲しいんだ。出てきてくれないか!」
シーン
ヘンゼル「なんでだ!いつもは勝手に鞄に潜んでるのになんでこんな日に限ってあいつ……!これでもう完全に積みじゃないか!」ギリッ
ヘンゼル「こうなったらリスクを伴う最後の手段、闇雲に探すしかない。とりあえずここをスタート地点として、迷わないように目印を残しながら……よし進むぞ!」ポトッ
キモオタ「ちょwwwヘンゼル殿wwwドン・キホーテの店内にほんのり光る石を置いていくのは迷惑ですぞwwwやめてくだされwww」コポォ
ヘンゼル「じゃあどうしろっていうんだ!?パン屑でも撒けっていうのか!?それじゃ食い意地が張ってるあんたみたいな輩に食われてーーって、君達か。奇遇だね」グイッ ファサ
ティンカーベル「いやもう奇遇とかどうでもいいよ。メッチャ取り乱してるじゃん、普段のヘンゼルどこ行ったのさ!?」
ヘンゼル「……ごめん、道に迷うの正直トラウマなんだ。グレーテル達が居るとまだ大丈夫なんだけど、一人で迷うとどうしても取り乱しちゃうんだ」
キモオタ「そんな事では好感度下がりますぞwww主にドロシー殿からのwwwそれはさておきはぐれたのならば我輩が司書殿にメールしてみるでござるよ」ポチポチ
ヘンゼル「……」
キモオタ「っと、返信キタコレwwwどうやらお菓子売り場にいるようですなwww二人とも心配しているようでござるし、共に行くでござるwww」
ヘンゼル「うん、助かったよ。それにしてもキモオタお兄さんはこんなにも頼れる男だったんだね、見直した。優しいチャーシューくらいに思ってたけど、これからは評価を改めなきゃね……うん、すごく見直した」
キモオタ「こんなことで見直されてもwww今までどんだけ評価低かったでござるかwww」コポォ
ティンカーベル「まぁ好感度マイナススタートみたいなところあるからねキモオタは。っていうかキモオタじゃなくてスマホの手柄だからね、単なる文明の勝利だよ!」
キモオタ「ちょwwwお主はwww黙ってれば我輩の手柄だったというのにwww」コポォ
ヘンゼルの弱点その1 『道に迷うのがトラウマ。一人に時に迷うとポンコツ化する』
781 :名無しさん@おーぷん :2017/06/18(日)23:35:24 ID:ORm
優しいチャーシューwwwww
782 :名無しさん@おーぷん :2017/06/19(月)00:39:04 ID:7A6
乙!
玉竜ちゃんとメリーアン
チャイナドレスとメイド服……う〜む甲乙つけがたいな
そして、ファミチキに何があったのか気になる
番外編でティンク見れて嬉しい
785 :◆oBwZbn5S8kKC :2017/06/20(火)01:24:30 ID:MEA
ハートの女王の城 城前
ワーワー ワーワー
分身悟空第二弾「ウキッ、ウキキィィィッ!!」ビュバッ
「チョロチョロとすばしっこい猿め…!いつまでも分身の相手してるわけにゃいかないんだよ!」ズバッ
分身悟空第二弾「キキッ、ウキィ…」ドサッ
「よしっ!次だ、次!ドンドン蹴散らして行くぞっ!」
「おぉっ!あいつやるなぁ…よぉし、俺達も続くぞ!さっさと分身始末して本物倒さねぇと、アリスさんに合わせる顔が無いしな!」
「そうだね。アリスちゃんの為にもあいつらここで食い止めないとねっ!気合入れ直そう!」オォー!!
シュタッ
分身悟空第一弾「ったく、やっぱ分身出し過ぎっと精度も強さも下がっちまうな……あの程度の剣術にやられちまうなんて、情けねぇったらないぜ」
「出たぞ!まともな言葉話してるって事はアイツ強い分身だ!みんな気を付けろ!」
「あぁ!こいつには大勢で一気に仕掛けるぞ!そうでなきゃ勝てないぞ!」
「了解!近くにいる奴は手を貸せ!一気に叩いて動きを封じてやれ!!」
分身悟空第一弾「ヘヘッ、一気に叩くっつぅ判断は正しいけどよぉ……一つだけ間違ってんなぁお前ら」
ビュバッ
分身悟空第一弾「分身だっつっても俺ァ孫悟空だ!倒してぇってぇんならその倍の人数で襲ってこなけりゃ話になんねぇぜぇ!!」ブォン
786 :◆oBwZbn5S8kKC :2017/06/20(火)01:26:40 ID:MEA
「ぐ、ぐあぁぁっ!さっきの猿っぽい分身より何倍も強い…!」ドサッ
「ま、まさか分身でこれ程に力の差があるとは……ぐふっ」ドサッ
分身悟空第一弾「ヘヘッ、俺の実力は本体と遜色ねぇからな!さぁ次はどいつだ?何匹束になってこようと俺は相手してやるぜぇ?」
ビル「フッ…分身如きが大口叩くじゃねぇか。いいぜ、今度はこのビル様が相手になってやろうじゃねぇか」スッ
分身悟空第一弾「お前…確かさっき赤ずきんに二度も撃たれてたトカゲだろ?やめとけ、お前の実力じゃ俺には敵わねぇからよぉ」
ビル「うるせェ!!俺の専門は接近戦なんだよォ!銃とかいう卑怯な武器でやられたってノーカンだあんなもん!今度こそ俺の実力思い知らせてやらァ!」オォン?
分身悟空第一弾「……」
ビル「ヘヘッ…どうやら俺の凄さを感じ取ったようだな?だが今更命乞いしたって遅いぜ!このビル様の妙技、余すことなく披露してやるぜぇ!」
分身悟空第一弾「いや、どうでもいいけどよぉ……お前後ろ気をつけた方が良いぜ?」
ビル「あぁん?後ろがどうかしたって言うのかy」クルッ
分身悟空第三弾「うっほほーい!!シンゴチャァァァン!」ウッチャン
ビル「べぶっ」ゴキッ ドサッ
分身悟空第一弾「あーあー…こいつ本当に口だけだったな…。つぅかよぉ、オメェはもうちょっと俺等と意思の疎通できねぇのかよ?動きも読めねぇし戦いにくいったらねぇぜ」
分身悟空第三弾「うほほーーっい!『孫悟空』デ ググルト サイヤジン ノ ホウバッカリ デテクルゥゥゥーー!!」ナットクイカナイ
分身悟空第一弾「何言ってんのかわかんねぇっての…。まぁ、言うだけ無駄か…しゃあねぇ、本体が青い鳥倒しちまうまで雑魚共は俺が食い止めてやるかぁ!」
・・・
787 :◆oBwZbn5S8kKC :2017/06/20(火)01:29:14 ID:MEA
一方、玉龍VSメリーアン
バシュッ ババッ バッ シュババ
「なんてハイレベルな戦いなんだ…!龍の娘の方が上手に見えるがメリーアンも負けちゃいない!」
「あいつ元々やたら格闘に詳しかったし、今回更に力つけたみたいだしなぁ…多分タイマン勝負なら俺達の中で一番強いぜ」
「あんなに強いのになんでメイドなんかやってんだアイツ……」
玉龍「隙ありッス!玉龍ちゃんのとっておきっ!龍の爪!山さえ斬り裂く鋭利な刃、その身で味わうといいッス!」ズバッ
メリーアン「……」スタッ
玉龍「おっとっと、今のは決まったと思ったんスけどね。流石はウサギちゃん、身のこなし軽々ッスね…!」
メリーアン「……っ」スタッ ブンッ
玉龍「っとぉ…!間髪入れずに反撃ッスか!でも爪を使わなくったって接近戦はお手の物……なんて言ってる傍から捕えたッスよぉ!流石は玉龍ちゃんッス」ガシッ
メリーアン「……違う、捕えさせた」クルッ
玉龍「あん?何を強がりを言って……あだだだだ!ちぎれるちぎれるッスゥゥゥゥ!!」ビキビキ
メリーアン「……このまま左腕をネジ切る」ギギギッ
玉龍「くぅ…可愛い格好の割にえげつないッス!でも思い通りにはさせないッスよ…!」クルンッ
玉龍「おっ…らぁぁ!!玉龍ちゃんエスケープ!はー…しっかし今のはヤバかったッスね」ゼーゼー
メリーアン「……抜けだされるとは、不覚。しかし称賛に値する、あの状態から抜け出せる者はそう多くはない」
788 :◆oBwZbn5S8kKC :2017/06/20(火)01:31:56 ID:MEA
玉龍「あんたの技、関節技…って奴ッスね?噂には聞いたことあるッスけど受けたのは初めてッスよ」
メリーアン「関節を極めれば、どんな相手でも沈められる。例え相手が龍の娘でも」
玉龍「テクニックでパワーを押さえつけるって感じッスかー。でもそういう小細工に頼るって事は、力押しに不安があるって事ッスー!」シュバッ
メリーアン「……」シュバッ
ババッ シュババッ ヒラッ ババッ シュバババ
「本来ならメリーアンの援護をすべきなんだろうが……思わず見入っちまう。何なんだこの激しい攻防は…目が離せねェ!」
「仕方ねぇよ、こいつ等は俺達の理解を越えた攻防を繰り広げてる。下手に援護なんかしちゃかえって邪魔になる」
「あぁ、でも仲間が頑張ってるんだ。目をそらさず見届けようぜ」
(戦闘で破れたメイド服が背徳的な感じでグッド…!チャイナドレスのスリットから見える生足がセクシーでグッド…!)
ババッ ビッ シュババッ
メリーアン「……」ゼーハー…
玉龍「どうやらスタミナにはいまひとつ自信無しって感じッスね…!メイドちゃんの弱点見抜いたりッス!」シュババ
メリーアン「……弱点、そんな物は関係無い。私はメイド、与えられた任務を遂行するのみ」ググッ
玉龍「弱点を見抜かれても戦おうって気概…そういうの嫌いじゃないッス!まっ、弱点を見抜いたところであんたは油断ならない相手ッスから…全力玉龍ちゃんッスよー!」バッ
メリーアン「望む所…。どちらにしてもあなたを先に行かせるわけにはいかない。それはーー『アリスお譲様』の意思に、反する」バッ
・・・
789 :◆oBwZbn5S8kKC :2017/06/20(火)01:34:49 ID:MEA
一方、孫悟空VS青い鳥(怪鳥形態)
青い鳥「ブルウウウウウォォォォォッ!!」グワッ
ガキィィン
孫悟空「おおっと、危ねぇ危ねぇ。そんなバカデケェくちばしで啄ばまれちまったらハラワタが取り返しのつかねぇ事になっちまう」シュタッ
青い鳥「ぐぅ…これだけ身体の大きさに差があるって言うのに、どうして攻撃が通らないんだ!?」グヌヌ…
孫悟空「そりゃあ、オメェ…図体がデカけりゃその分動きも鈍っちまうのが普通だからな。玉龍の奴だってそうだ、まぁあいつの場合はでかくても素早いけどな」ヘヘッ
青い鳥「ぐぬぬ…。さっさとこいつを倒さなきゃアリスさんに申し訳が立たない…!いつまでもモタモタしてちゃアリスさんに恩返しできない…!」
孫悟空「だからそれがわかんねぇんだよなぁ…。他の連中は【不思議の国のアリス】の住人だからまだ解るんだがよ」
孫悟空「お前は【青い鳥】の世界の住人だ。アリスを崇める理由も無けりゃ敬う理由だってねぇハズなんだがなぁ…?」
青い鳥「……アリスさんは僕を救ってくれたんだ。あの最悪で残酷な世界から、僕を助け出してくれたんだ」
孫悟空「ほう、お前を助けた…?アリスがか?」
青い鳥「あぁ、そうだ。だから僕はアリスさんに従うし恩を返したいんだ、だからお前をここで食い殺す…!」ガキンッ
孫悟空「そう殺気立つなってのに。さて如意棒、出番だぜ。ちょっくら奴の背中に飛ばしてくれよ……っとぉ!」ビュバッ
スタッ
青い鳥「なっ!?如意棒を利用して僕の背中に……!えぇい降りろ!降りろ!さもないと振り落とすぞ!!」
孫悟空「そう暴れんなって、俺は少しばかりお前と話がしてぇだけなんだからよ」
790 :◆oBwZbn5S8kKC :2017/06/20(火)01:39:22 ID:MEA
青い鳥「そうやって僕を話術で懐柔しようって魂胆か!?見え透いた手だ!そんな手にはーー」
孫悟空「ちげぇよ。まぁ俺の説得でお前が退けば一番だがな」
青い鳥「誰が退くもんか!そんな事より早く降りろよ、不愉快だ!降りないって言うなら全速で飛んで振り落とすしかーー」
孫悟空「よっこいせっと」ドカッ
青い鳥「なんで座った!?降りろって言ってるだろ!座るな!まぁいい…!すぐに振り落としてーー」
孫悟空「やめとけって。お前なら知ってんだろ?俺ァ龍の背にだって雲にだって乗りなれてんだ、今更デカイだけの鳥の背から落ちたりしねぇよ」
青い鳥「くっ…!何が目的だ!?」
孫悟空「だから言ってんだろ、オメェと話がしてぇと思ってな」
青い鳥「だから僕と話す事の目的を教えろって言ってるんだ!そうか、情報を聞き出すつもりか?そうだな!?」
孫悟空「お前、少しばかり思い込みが激しいタイプじゃねぇのか…?どうでもいいことだけどよ」
青い鳥「警戒するのは当然だろう!僕とお前は敵同士、急に話がしたいなんて何か裏があるに決まっている!だってさっきまでお互いの事を倒そうと打ち合っていたんだぞ!?」
孫悟空「だからこそだ、戦う前はお前の事なんざどうとも思っちゃいなかったが…。お前に殺気を向けられ、攻撃され、それを交わしてるうちになんか引っかかりを感じたんだよなぁ」
孫悟空「どうもお前の攻撃からは迷いっつぅか後悔っつぅか……そういうもんを感じるんだよな。戦う事に対する覚悟が固まってねぇっていやわかりやすいか?」
792 :◆oBwZbn5S8kKC :2017/06/20(火)01:53:55 ID:MEA
青い鳥「馬鹿な…!僕はアリスさんの為に戦うと決めた!覚悟だってしてるんだ、あまり僕を侮辱するような真似をすると許さないぞ!」
孫悟空「なぁ青い鳥。お前……アリスに救われたって言ったよなぁ?」
青い鳥「……あぁ、言ったさ」
孫悟空「つぅ事は『何か』がお前を苦しめてたって訳だ。その『何か』ってのはよぉ……一体、なんなんだ?」
青い鳥「……言っただろ、お前に理解なんか出来やしない。だから話す必要だってない」
孫悟空「あぁそうかい。でも俺はお前の背から降りねぇぜ?っつぅか……このまま如意棒をお前の身体に突き刺すことだって、俺は出来るんだぜ?」
青い鳥「……。おとぎ話【青い鳥】だ」
孫悟空「あぁ、お前の生まれ育った世界だろう?それは知ってるぜ。そうじゃなくてよぉ、お前を苦しめたもんが何か話してみろって言ってんだよ」
青い鳥「察しが悪いな。だからそう言ってるだろう、僕を苦しめたのは【青い鳥】というおとぎ話、そして世界そのものだ」
青い鳥「この際だ、もっとわかりやすく言ってやろうか?僕はあの世界の主人公チルチルとミチルが嫌いだ」
青い鳥「あいつらに青い鳥を探して来いなんて言った老婆が嫌いだ。連中に協力した精霊が嫌いだ。そんな物語を紡いだ作者が嫌いだ」
孫悟空「そいつぁ…どうしてだ?理由が、何かあるんだろ?」
青い鳥「理由?あぁ、あたりまえじゃないか。連中は僕から家族を奪った、両親も兄弟も友人も連中のせいで死んだんだ」
青い鳥「そして連中は僕から未来を奪った。自由を奪った、自分達が幸福になるためにーー僕達を追いかけまわして、何もかも奪ったんだ」
796 :◆oBwZbn5S8kKC :2017/06/26(月)01:06:21 ID:f8n
ビュオォォォォ バサバサッ
「おぉっ、青い鳥の奴ものすごい高さまで飛び上がったぞ!」
「孫悟空に背中をとられた時はヤバいと思ったが杞憂だったな、あの高さじゃ相手もむやみに動けねぇ。さぁどうする?そのまま振り落とすつもりか?勢いよく叩きつけるつもりか?」
「どっちにしろ考えがあってのことだろうさ。孫悟空は奴に任せて俺達は分身を始末しようぜ、アリスさんの願いの為に!」シュババ
玉龍(先輩、青い鳥との打ち合いの中で何かを感じ取ったみたいッスけど…。今更、あいつと話なんかしてどうしようっていうんスか?それで何かが変わるなんてとてもーー)
ビッ
メリーアン「……心外。私の相手など余所見をしながらでも十分、そう言いたいのですか?」ハァハァ
玉龍「そんなことないッスよ。でもこればっかりは勘弁して欲しいッスね、恋する乙女はいつだって愛する人を目で追っちゃうもんなんスからっ!」シュバッ
玉龍(……余計な心配をしている余裕はないッスね。でも大丈夫ッス、先輩の事だから何か考えがあるに違いないッスよ)
・・・
青い鳥「……孫悟空。お前は知っているのか?【青い鳥】がどんな物語なのか、【青い鳥】が僕達に何をしたのか」
孫悟空「悪ィが詳しくは知らねぇ。チルチルとミチルって名の子供が青い鳥を探して旅する話だって事くらいしか、な」
青い鳥「まぁそうだろうね。あの【西遊記】の主人公、天下無双の孫悟空様には他のおとぎ話の筋書きなんて興味無いだろうしね?ましてや異国の貧乏人の物語なんか眼中にないか」
孫悟空「ぐっ、よく知らねぇのは事実だから言い返せねぇ…。にしても随分とトゲのある言い方しやがるなお前…」
青い鳥「……まぁいいさ、成り行きだ。話してやるよ、僕の事。【青い鳥】の事をね」
797 :◆oBwZbn5S8kKC :2017/06/26(月)01:10:37 ID:f8n
青い鳥「ある村にきこりの夫婦、そしてチルチルとミチルという兄妹が住んでいた。こいつらが【青い鳥】の主人公、そして僕はそいつらに飼われていたのさ」
青い鳥「まぁ、飼われてると言えば聞こえはいいけどさ…クリスマスの祝いもまともにできない貧乏な家だ。子供たちが寂しがらないようにカゴに繋がれてたって言う方が正しいかな」
孫悟空「しっかし、また貧しい子供の話か。おとぎ話の主人公の子供達ってのはどうもその手の境遇に置かれてる奴等が多いな…」
青い鳥「ある時、連中の前に老婆が現れた。そしてチルチルに魔法の帽子を渡してこう言うんだ『病気の娘を助けるために、幸せを呼ぶ青い鳥を探して欲しい』ってね」
青い鳥「青い鳥は幸福を運んでくる。そんな戯言を信じたお人好しの兄妹はあっさり了承して、青い鳥を探す旅に出かけたよ。世界を渡る事が出来るその魔法の帽子を使ってね」
孫悟空「ん…?ちょっと待ってくれ。青い鳥、お前はチルチルに飼われていたんだろ?」
孫悟空「だったらわざわざ余所に探しに行く必要なんかねぇだろ?すぐ手元にお前がいるんだからよ」
青い鳥「その頃の僕の翼は青くなかったのさ。白い羽だったか灰色の羽だったか忘れたけどさ」
孫悟空「そりゃあ…どういう事だ?」
青い鳥「……そんな事、僕が知りたいくらいだ」
孫悟空「あぁ?」
青い鳥「【青い鳥】の筋書きを最後まで聞けばわかるさ。というかわざわざ話してやっているんだ、話の腰を折るのはやめて欲しいもんだね」フンッ
孫悟空「そりゃ悪ぃ事したな。ほら、もう黙ってるから続けてくれ」
798 :◆oBwZbn5S8kKC :2017/06/26(月)01:17:11 ID:f8n
青い鳥「旅に出た二人は立ち寄った世界ですぐに青い鳥を見つけた。でもその鳥は捕まえた途端、羽の色が抜け落ちて『青い鳥』じゃなくなった」
青い鳥「それでも二人は諦めず、幸せを呼ぶ青い鳥を探し続けた。そして次の世界でも青い鳥を見つけたけれど……それも捕まえた途端に死んでしまった」
青い鳥「どこの世界へ行っても結果は同じだ。兄妹は青い鳥を追い続ける、けれど手にした途端に鳥達は本来の姿を失うか死んでしまう。その繰り返しーー」
青い鳥「……そして結局、青い鳥を捕まえる事が出来ずに兄妹は老婆の元へ帰ってくる。そして青い鳥を捕えられなかった事を詫びるんだ」
青い鳥「そこで老婆は言うのさ。『そのカゴの中にいる、お前の鳥をおくれ』ってね」
孫悟空「そりゃあ、お前の事だな?」
青い鳥「あぁ、そうだよ。さっき話した通り……ただの小鳥だった僕は兄妹が気づかぬうちに青い鳥になっていた。二人が追い求めていた青い鳥は、すぐ近くにいた」
青い鳥「あとは僕を老婆に渡しておしまい。追い求めていた幸せはとても身近な場所にあった。そういうおとぎ話だ、【青い鳥】というのは」
孫悟空「なるほど、な…。大体理解したぜ【青い鳥】がどんなおとぎ話かって事はな。でもまだ話は終わっちゃいねぇ、そうだろう?」
青い鳥「あぁ、そうだよ。チルチルとミチルは大冒険の末に、老婆の願いを叶えて病の娘を救えた。そうなりゃお人好しのあいつらも幸せ。文句なしのハッピーエンドだ」
青い鳥「でも僕が話したいのはこんな事じゃない。この物語の筋書きを知った上で、始めっから物語を追ってみようか?今度は主人公であるチルチル達の視点じゃなくーー」
青い鳥「生まれたときからおとぎ話の事情と、自分の運命を知っている僕の視点でね」
799 :◆oBwZbn5S8kKC :2017/06/26(月)01:18:56 ID:f8n
孫悟空「お前、知ってたってのか…?おとぎ話がどういうもんかって事を、生まれたときから」
青い鳥「あぁ。別に驚く事じゃないだろう?あんたの友人のかぐや姫だって師匠の三蔵法師だって知っていたんだ、僕も彼等と同じだ」
青い鳥「始めは特になにも思わなかったさ。チルチルもミチルも優しくしてくれたし、カゴの中の生活は快適では無かったけど安全ではあった、それに二人の事だって……」
青い鳥「……いや、よそう。僕は脇役だけど、重要な役柄だ。それはあの頃の僕にとって誇りでもあった。でも、チルチルに連れられて色々な世界を巡る事になってすぐに考えは変わった」
孫悟空「そうか、お前は……」
青い鳥「最初の世界で、チルチルが捕まえた鳥は僕の友人だった。兄妹に飼われる前に付き合いのあった親友、ってところかな」
青い鳥「彼は青い羽根を誰よりも誇りに思っていたよ、でもチルチルに捕まえられたばかりにそれを失った」
孫悟空「……」
青い鳥「次の世界でチルチルが捕まえたのは僕の母親だったかな。住んでいた場所が違ったから目を疑ったけれど、自分の母親を間違えたりしない」
青い鳥「当然、死んだよ。その場にいた仲間の青い鳥達も全て。次の世界でも、次の世界も、その次の世界でも同じだ」
孫悟空「チルチルが捕まえるたびにその青い鳥は姿が変わったり命を失う、そりゃあつまり……お前にとっちゃ同族の死ってことか」
青い鳥「想像できるか、孫悟空?カゴの中の僕はチルチルに話しかける事は許されない、カゴから出る事も出来ない、なにも出来ないんだ」
青い鳥「目の前で家族や友人が殺されている、山のようにだ!そうなってしまう事を僕は知っていた、でも自分には何もできない…!その苦しみがお前に解るか!?」
800 :◆oBwZbn5S8kKC :2017/06/26(月)01:24:15 ID:f8n
孫悟空「……俺も若い時ツレを余所の輩に殺された。その時の悔しさや哀しさ、どうしようもねぇ怒りってのは理解できるつもりだ」
孫悟空「しっかし……未来を知ってそれでも何もできねぇカゴの中でその現実を見せられ続けるってのは……辛ぇよなぁ」
青い鳥「お前の想像を超える苦痛だよ。彼等は何もしちゃいない、ただ青い鳥が幸せを呼ぶなんていう迷信のせいで狙われて殺された」
青い鳥「そのわけのわからない迷信のせいで…青い鳥達は殺された!幸福になりたいなんていう他人の欲望を満たす為だけに命を狙われた!」
青い鳥「挙句の果てに、ただの小鳥にされたボクをもう一度青い鳥に戻して『幸せは身近な所にいた』?なんだよそれ…馬鹿なのか!?」
青い鳥「そんなわけのわからない教訓を現実世界に広めるために僕は生み出されたのか!?そんな事の為に苦しめられた!そんなくだらない事の為に、仲間を失った!」
孫悟空「……」
青い鳥「僕はもう心底嫌になった。【青い鳥】の世界も、仲間を殺した兄妹も老婆も。恨んで恨んで気が狂いそうだったけど、それでもカゴの中の僕には何もできなかった」
青い鳥「でも、そのままおしまいとはならなかった。物語の終盤、チルチルが老婆の元に帰った時……本来現れる事無い登場人物がその世界に現れた」
孫悟空「それがアリス…って訳か」
青い鳥「偶然か必然か、とてもいいタイミングだった。チルチルは僕を老婆に渡すためにカゴの扉を開けていた。それが僕に与えられた最初で最後のチャンスだった。だから僕はーー」
青い鳥「二人を見限った。迷わず逃げた。僕を縛るあのカゴを捨てて、アリスさんの元へと飛び立った」
青い鳥ってたしかファミチキだっけ?
778 :◆oBwZbn5S8kKC :2017/06/18(日)23:09:17 ID:rNI
諸事情で定期更新明日にずらします、申し訳ないー!
悟空&玉龍ちゃん(+分身悟空1 2 3)の活躍、概ね書けているんで一日だけお待ちをー
代わりに前に息抜きで書いた番外編久々にあげとく
>>777 ですね、今はでっかい鳥です
ではまた明日 どうかお付き合いを!
【僕と妹が捨てられた森にそっくりな場所】
現実世界 とあるお休みの日 驚安の殿堂ドン・キホーテ
\ドンドンドン ドンキー ドンキーホーテー/
グレーテル「ドンドンドン……ドーンキー……ドン・キホーテー……」ウキウキ
司書「ボリューム満点、激安ジャングル〜」ウフフ
グレーテル「ジャングルだー……」ワクワク
ヘンゼル「……」
司書「ヘンゼル?さっきから黙ってるけどどうかしたの?お腹痛い?」
ヘンゼル「いや、そういうんじゃないけど…」
グレーテル「それじゃあなんで元気無いの……?せっかくのドン・キホーテなのに……おかしをお安く買えるチャンスだよ……」
ヘンゼル「いや…そもそも僕あんまりここ好きじゃないんだよ。通路狭いし、商品は山のように置いてあるし、順路はわかりにくいしさ。この感じ……」
ヘンゼル「『一度迷えば終わり』そんな雰囲気が漂ってる。僕にとってそんな雰囲気は……昔、グレーテルと一緒に捨てられた森を思い出させるんだ」
779 :◆oBwZbn5S8kKC :2017/06/18(日)23:11:35 ID:rNI
グレーテル「大丈夫だよ……ここに悪い魔女はいない……いるのは優しい店員さんとドンペンだけだよ……」
司書「トラウマだね。気持ちは解るけど、昔の悪い思い出はちょっとずつでも克服していかなきゃって私は思うよ?」
司書「私もあれからしばらく赤飯も小豆も無理だったけど、頑張って少しずつ食べるようにしたから今はまた大好きになったしね」ニコリ
ヘンゼル「君のメンタルどうなってんの…努力は買うけど赤飯くらい別に避ければいいだけの様な気がするけどね」
グレーテル「不安になるのはお腹がすいてるからだよ……さぁさぁお菓子コーナーに急ごう……」トテトテトテ
司書「ちょ、一人でいっちゃ駄目グレーテルっ!なんでお菓子選びに行く時だけこんなに早いの…!?」スタタタ
ヘンゼル「ちょっと待ってよ。こんな森の奥地みたいな場所ではぐれたら取り返しがつかない事にーー」
ドンッ
ドンキ好きなおっさん「おっとゴメンよ。驚くほど豊富な品揃えと安心する値段設定に目移りして、つい前を見ていなかったよ」ハハハ
ヘンゼル「いや、僕こそ。すいません」スクッ
ドンキ好きなおっさん「ハハッ、お互い様だね。それじゃあ私は引き続きドカンとあふれる夢を買うとするよ」シュタッ
ヘンゼル「……さて、と」
ポツーン
ヘンゼル「言ってる傍からはぐれた……」ズーン
780 :◆oBwZbn5S8kKC :2017/06/18(日)23:15:28 ID:rNI
ヘンゼル「どうする…?二人と連絡する手段は当然無い。…あっ、小夜啼鳥だ!彼女の事だからいつものように僕の鞄とかその辺の陰に隠れてるに違いない。小夜啼鳥、助けて欲しいんだ。出てきてくれないか!」
シーン
ヘンゼル「なんでだ!いつもは勝手に鞄に潜んでるのになんでこんな日に限ってあいつ……!これでもう完全に積みじゃないか!」ギリッ
ヘンゼル「こうなったらリスクを伴う最後の手段、闇雲に探すしかない。とりあえずここをスタート地点として、迷わないように目印を残しながら……よし進むぞ!」ポトッ
キモオタ「ちょwwwヘンゼル殿wwwドン・キホーテの店内にほんのり光る石を置いていくのは迷惑ですぞwwwやめてくだされwww」コポォ
ヘンゼル「じゃあどうしろっていうんだ!?パン屑でも撒けっていうのか!?それじゃ食い意地が張ってるあんたみたいな輩に食われてーーって、君達か。奇遇だね」グイッ ファサ
ティンカーベル「いやもう奇遇とかどうでもいいよ。メッチャ取り乱してるじゃん、普段のヘンゼルどこ行ったのさ!?」
ヘンゼル「……ごめん、道に迷うの正直トラウマなんだ。グレーテル達が居るとまだ大丈夫なんだけど、一人で迷うとどうしても取り乱しちゃうんだ」
キモオタ「そんな事では好感度下がりますぞwww主にドロシー殿からのwwwそれはさておきはぐれたのならば我輩が司書殿にメールしてみるでござるよ」ポチポチ
ヘンゼル「……」
キモオタ「っと、返信キタコレwwwどうやらお菓子売り場にいるようですなwww二人とも心配しているようでござるし、共に行くでござるwww」
ヘンゼル「うん、助かったよ。それにしてもキモオタお兄さんはこんなにも頼れる男だったんだね、見直した。優しいチャーシューくらいに思ってたけど、これからは評価を改めなきゃね……うん、すごく見直した」
キモオタ「こんなことで見直されてもwww今までどんだけ評価低かったでござるかwww」コポォ
ティンカーベル「まぁ好感度マイナススタートみたいなところあるからねキモオタは。っていうかキモオタじゃなくてスマホの手柄だからね、単なる文明の勝利だよ!」
キモオタ「ちょwwwお主はwww黙ってれば我輩の手柄だったというのにwww」コポォ
ヘンゼルの弱点その1 『道に迷うのがトラウマ。一人に時に迷うとポンコツ化する』
781 :名無しさん@おーぷん :2017/06/18(日)23:35:24 ID:ORm
優しいチャーシューwwwww
乙!
玉竜ちゃんとメリーアン
チャイナドレスとメイド服……う〜む甲乙つけがたいな
そして、ファミチキに何があったのか気になる
番外編でティンク見れて嬉しい
785 :◆oBwZbn5S8kKC :2017/06/20(火)01:24:30 ID:MEA
ハートの女王の城 城前
ワーワー ワーワー
分身悟空第二弾「ウキッ、ウキキィィィッ!!」ビュバッ
「チョロチョロとすばしっこい猿め…!いつまでも分身の相手してるわけにゃいかないんだよ!」ズバッ
分身悟空第二弾「キキッ、ウキィ…」ドサッ
「よしっ!次だ、次!ドンドン蹴散らして行くぞっ!」
「おぉっ!あいつやるなぁ…よぉし、俺達も続くぞ!さっさと分身始末して本物倒さねぇと、アリスさんに合わせる顔が無いしな!」
「そうだね。アリスちゃんの為にもあいつらここで食い止めないとねっ!気合入れ直そう!」オォー!!
シュタッ
分身悟空第一弾「ったく、やっぱ分身出し過ぎっと精度も強さも下がっちまうな……あの程度の剣術にやられちまうなんて、情けねぇったらないぜ」
「出たぞ!まともな言葉話してるって事はアイツ強い分身だ!みんな気を付けろ!」
「あぁ!こいつには大勢で一気に仕掛けるぞ!そうでなきゃ勝てないぞ!」
「了解!近くにいる奴は手を貸せ!一気に叩いて動きを封じてやれ!!」
分身悟空第一弾「ヘヘッ、一気に叩くっつぅ判断は正しいけどよぉ……一つだけ間違ってんなぁお前ら」
ビュバッ
分身悟空第一弾「分身だっつっても俺ァ孫悟空だ!倒してぇってぇんならその倍の人数で襲ってこなけりゃ話になんねぇぜぇ!!」ブォン
786 :◆oBwZbn5S8kKC :2017/06/20(火)01:26:40 ID:MEA
「ぐ、ぐあぁぁっ!さっきの猿っぽい分身より何倍も強い…!」ドサッ
「ま、まさか分身でこれ程に力の差があるとは……ぐふっ」ドサッ
分身悟空第一弾「ヘヘッ、俺の実力は本体と遜色ねぇからな!さぁ次はどいつだ?何匹束になってこようと俺は相手してやるぜぇ?」
ビル「フッ…分身如きが大口叩くじゃねぇか。いいぜ、今度はこのビル様が相手になってやろうじゃねぇか」スッ
分身悟空第一弾「お前…確かさっき赤ずきんに二度も撃たれてたトカゲだろ?やめとけ、お前の実力じゃ俺には敵わねぇからよぉ」
ビル「うるせェ!!俺の専門は接近戦なんだよォ!銃とかいう卑怯な武器でやられたってノーカンだあんなもん!今度こそ俺の実力思い知らせてやらァ!」オォン?
分身悟空第一弾「……」
ビル「ヘヘッ…どうやら俺の凄さを感じ取ったようだな?だが今更命乞いしたって遅いぜ!このビル様の妙技、余すことなく披露してやるぜぇ!」
分身悟空第一弾「いや、どうでもいいけどよぉ……お前後ろ気をつけた方が良いぜ?」
ビル「あぁん?後ろがどうかしたって言うのかy」クルッ
分身悟空第三弾「うっほほーい!!シンゴチャァァァン!」ウッチャン
ビル「べぶっ」ゴキッ ドサッ
分身悟空第一弾「あーあー…こいつ本当に口だけだったな…。つぅかよぉ、オメェはもうちょっと俺等と意思の疎通できねぇのかよ?動きも読めねぇし戦いにくいったらねぇぜ」
分身悟空第三弾「うほほーーっい!『孫悟空』デ ググルト サイヤジン ノ ホウバッカリ デテクルゥゥゥーー!!」ナットクイカナイ
分身悟空第一弾「何言ってんのかわかんねぇっての…。まぁ、言うだけ無駄か…しゃあねぇ、本体が青い鳥倒しちまうまで雑魚共は俺が食い止めてやるかぁ!」
・・・
787 :◆oBwZbn5S8kKC :2017/06/20(火)01:29:14 ID:MEA
一方、玉龍VSメリーアン
バシュッ ババッ バッ シュババ
「なんてハイレベルな戦いなんだ…!龍の娘の方が上手に見えるがメリーアンも負けちゃいない!」
「あいつ元々やたら格闘に詳しかったし、今回更に力つけたみたいだしなぁ…多分タイマン勝負なら俺達の中で一番強いぜ」
「あんなに強いのになんでメイドなんかやってんだアイツ……」
玉龍「隙ありッス!玉龍ちゃんのとっておきっ!龍の爪!山さえ斬り裂く鋭利な刃、その身で味わうといいッス!」ズバッ
メリーアン「……」スタッ
玉龍「おっとっと、今のは決まったと思ったんスけどね。流石はウサギちゃん、身のこなし軽々ッスね…!」
メリーアン「……っ」スタッ ブンッ
玉龍「っとぉ…!間髪入れずに反撃ッスか!でも爪を使わなくったって接近戦はお手の物……なんて言ってる傍から捕えたッスよぉ!流石は玉龍ちゃんッス」ガシッ
メリーアン「……違う、捕えさせた」クルッ
玉龍「あん?何を強がりを言って……あだだだだ!ちぎれるちぎれるッスゥゥゥゥ!!」ビキビキ
メリーアン「……このまま左腕をネジ切る」ギギギッ
玉龍「くぅ…可愛い格好の割にえげつないッス!でも思い通りにはさせないッスよ…!」クルンッ
玉龍「おっ…らぁぁ!!玉龍ちゃんエスケープ!はー…しっかし今のはヤバかったッスね」ゼーゼー
メリーアン「……抜けだされるとは、不覚。しかし称賛に値する、あの状態から抜け出せる者はそう多くはない」
788 :◆oBwZbn5S8kKC :2017/06/20(火)01:31:56 ID:MEA
玉龍「あんたの技、関節技…って奴ッスね?噂には聞いたことあるッスけど受けたのは初めてッスよ」
メリーアン「関節を極めれば、どんな相手でも沈められる。例え相手が龍の娘でも」
玉龍「テクニックでパワーを押さえつけるって感じッスかー。でもそういう小細工に頼るって事は、力押しに不安があるって事ッスー!」シュバッ
メリーアン「……」シュバッ
ババッ シュババッ ヒラッ ババッ シュバババ
「本来ならメリーアンの援護をすべきなんだろうが……思わず見入っちまう。何なんだこの激しい攻防は…目が離せねェ!」
「仕方ねぇよ、こいつ等は俺達の理解を越えた攻防を繰り広げてる。下手に援護なんかしちゃかえって邪魔になる」
「あぁ、でも仲間が頑張ってるんだ。目をそらさず見届けようぜ」
(戦闘で破れたメイド服が背徳的な感じでグッド…!チャイナドレスのスリットから見える生足がセクシーでグッド…!)
ババッ ビッ シュババッ
メリーアン「……」ゼーハー…
玉龍「どうやらスタミナにはいまひとつ自信無しって感じッスね…!メイドちゃんの弱点見抜いたりッス!」シュババ
メリーアン「……弱点、そんな物は関係無い。私はメイド、与えられた任務を遂行するのみ」ググッ
玉龍「弱点を見抜かれても戦おうって気概…そういうの嫌いじゃないッス!まっ、弱点を見抜いたところであんたは油断ならない相手ッスから…全力玉龍ちゃんッスよー!」バッ
メリーアン「望む所…。どちらにしてもあなたを先に行かせるわけにはいかない。それはーー『アリスお譲様』の意思に、反する」バッ
・・・
789 :◆oBwZbn5S8kKC :2017/06/20(火)01:34:49 ID:MEA
一方、孫悟空VS青い鳥(怪鳥形態)
青い鳥「ブルウウウウウォォォォォッ!!」グワッ
ガキィィン
孫悟空「おおっと、危ねぇ危ねぇ。そんなバカデケェくちばしで啄ばまれちまったらハラワタが取り返しのつかねぇ事になっちまう」シュタッ
青い鳥「ぐぅ…これだけ身体の大きさに差があるって言うのに、どうして攻撃が通らないんだ!?」グヌヌ…
孫悟空「そりゃあ、オメェ…図体がデカけりゃその分動きも鈍っちまうのが普通だからな。玉龍の奴だってそうだ、まぁあいつの場合はでかくても素早いけどな」ヘヘッ
青い鳥「ぐぬぬ…。さっさとこいつを倒さなきゃアリスさんに申し訳が立たない…!いつまでもモタモタしてちゃアリスさんに恩返しできない…!」
孫悟空「だからそれがわかんねぇんだよなぁ…。他の連中は【不思議の国のアリス】の住人だからまだ解るんだがよ」
孫悟空「お前は【青い鳥】の世界の住人だ。アリスを崇める理由も無けりゃ敬う理由だってねぇハズなんだがなぁ…?」
青い鳥「……アリスさんは僕を救ってくれたんだ。あの最悪で残酷な世界から、僕を助け出してくれたんだ」
孫悟空「ほう、お前を助けた…?アリスがか?」
青い鳥「あぁ、そうだ。だから僕はアリスさんに従うし恩を返したいんだ、だからお前をここで食い殺す…!」ガキンッ
孫悟空「そう殺気立つなってのに。さて如意棒、出番だぜ。ちょっくら奴の背中に飛ばしてくれよ……っとぉ!」ビュバッ
スタッ
青い鳥「なっ!?如意棒を利用して僕の背中に……!えぇい降りろ!降りろ!さもないと振り落とすぞ!!」
孫悟空「そう暴れんなって、俺は少しばかりお前と話がしてぇだけなんだからよ」
790 :◆oBwZbn5S8kKC :2017/06/20(火)01:39:22 ID:MEA
青い鳥「そうやって僕を話術で懐柔しようって魂胆か!?見え透いた手だ!そんな手にはーー」
孫悟空「ちげぇよ。まぁ俺の説得でお前が退けば一番だがな」
青い鳥「誰が退くもんか!そんな事より早く降りろよ、不愉快だ!降りないって言うなら全速で飛んで振り落とすしかーー」
孫悟空「よっこいせっと」ドカッ
青い鳥「なんで座った!?降りろって言ってるだろ!座るな!まぁいい…!すぐに振り落としてーー」
孫悟空「やめとけって。お前なら知ってんだろ?俺ァ龍の背にだって雲にだって乗りなれてんだ、今更デカイだけの鳥の背から落ちたりしねぇよ」
青い鳥「くっ…!何が目的だ!?」
孫悟空「だから言ってんだろ、オメェと話がしてぇと思ってな」
青い鳥「だから僕と話す事の目的を教えろって言ってるんだ!そうか、情報を聞き出すつもりか?そうだな!?」
孫悟空「お前、少しばかり思い込みが激しいタイプじゃねぇのか…?どうでもいいことだけどよ」
青い鳥「警戒するのは当然だろう!僕とお前は敵同士、急に話がしたいなんて何か裏があるに決まっている!だってさっきまでお互いの事を倒そうと打ち合っていたんだぞ!?」
孫悟空「だからこそだ、戦う前はお前の事なんざどうとも思っちゃいなかったが…。お前に殺気を向けられ、攻撃され、それを交わしてるうちになんか引っかかりを感じたんだよなぁ」
孫悟空「どうもお前の攻撃からは迷いっつぅか後悔っつぅか……そういうもんを感じるんだよな。戦う事に対する覚悟が固まってねぇっていやわかりやすいか?」
792 :◆oBwZbn5S8kKC :2017/06/20(火)01:53:55 ID:MEA
青い鳥「馬鹿な…!僕はアリスさんの為に戦うと決めた!覚悟だってしてるんだ、あまり僕を侮辱するような真似をすると許さないぞ!」
孫悟空「なぁ青い鳥。お前……アリスに救われたって言ったよなぁ?」
青い鳥「……あぁ、言ったさ」
孫悟空「つぅ事は『何か』がお前を苦しめてたって訳だ。その『何か』ってのはよぉ……一体、なんなんだ?」
青い鳥「……言っただろ、お前に理解なんか出来やしない。だから話す必要だってない」
孫悟空「あぁそうかい。でも俺はお前の背から降りねぇぜ?っつぅか……このまま如意棒をお前の身体に突き刺すことだって、俺は出来るんだぜ?」
青い鳥「……。おとぎ話【青い鳥】だ」
孫悟空「あぁ、お前の生まれ育った世界だろう?それは知ってるぜ。そうじゃなくてよぉ、お前を苦しめたもんが何か話してみろって言ってんだよ」
青い鳥「察しが悪いな。だからそう言ってるだろう、僕を苦しめたのは【青い鳥】というおとぎ話、そして世界そのものだ」
青い鳥「この際だ、もっとわかりやすく言ってやろうか?僕はあの世界の主人公チルチルとミチルが嫌いだ」
青い鳥「あいつらに青い鳥を探して来いなんて言った老婆が嫌いだ。連中に協力した精霊が嫌いだ。そんな物語を紡いだ作者が嫌いだ」
孫悟空「そいつぁ…どうしてだ?理由が、何かあるんだろ?」
青い鳥「理由?あぁ、あたりまえじゃないか。連中は僕から家族を奪った、両親も兄弟も友人も連中のせいで死んだんだ」
青い鳥「そして連中は僕から未来を奪った。自由を奪った、自分達が幸福になるためにーー僕達を追いかけまわして、何もかも奪ったんだ」
796 :◆oBwZbn5S8kKC :2017/06/26(月)01:06:21 ID:f8n
ビュオォォォォ バサバサッ
「おぉっ、青い鳥の奴ものすごい高さまで飛び上がったぞ!」
「孫悟空に背中をとられた時はヤバいと思ったが杞憂だったな、あの高さじゃ相手もむやみに動けねぇ。さぁどうする?そのまま振り落とすつもりか?勢いよく叩きつけるつもりか?」
「どっちにしろ考えがあってのことだろうさ。孫悟空は奴に任せて俺達は分身を始末しようぜ、アリスさんの願いの為に!」シュババ
玉龍(先輩、青い鳥との打ち合いの中で何かを感じ取ったみたいッスけど…。今更、あいつと話なんかしてどうしようっていうんスか?それで何かが変わるなんてとてもーー)
ビッ
メリーアン「……心外。私の相手など余所見をしながらでも十分、そう言いたいのですか?」ハァハァ
玉龍「そんなことないッスよ。でもこればっかりは勘弁して欲しいッスね、恋する乙女はいつだって愛する人を目で追っちゃうもんなんスからっ!」シュバッ
玉龍(……余計な心配をしている余裕はないッスね。でも大丈夫ッス、先輩の事だから何か考えがあるに違いないッスよ)
・・・
青い鳥「……孫悟空。お前は知っているのか?【青い鳥】がどんな物語なのか、【青い鳥】が僕達に何をしたのか」
孫悟空「悪ィが詳しくは知らねぇ。チルチルとミチルって名の子供が青い鳥を探して旅する話だって事くらいしか、な」
青い鳥「まぁそうだろうね。あの【西遊記】の主人公、天下無双の孫悟空様には他のおとぎ話の筋書きなんて興味無いだろうしね?ましてや異国の貧乏人の物語なんか眼中にないか」
孫悟空「ぐっ、よく知らねぇのは事実だから言い返せねぇ…。にしても随分とトゲのある言い方しやがるなお前…」
青い鳥「……まぁいいさ、成り行きだ。話してやるよ、僕の事。【青い鳥】の事をね」
797 :◆oBwZbn5S8kKC :2017/06/26(月)01:10:37 ID:f8n
青い鳥「ある村にきこりの夫婦、そしてチルチルとミチルという兄妹が住んでいた。こいつらが【青い鳥】の主人公、そして僕はそいつらに飼われていたのさ」
青い鳥「まぁ、飼われてると言えば聞こえはいいけどさ…クリスマスの祝いもまともにできない貧乏な家だ。子供たちが寂しがらないようにカゴに繋がれてたって言う方が正しいかな」
孫悟空「しっかし、また貧しい子供の話か。おとぎ話の主人公の子供達ってのはどうもその手の境遇に置かれてる奴等が多いな…」
青い鳥「ある時、連中の前に老婆が現れた。そしてチルチルに魔法の帽子を渡してこう言うんだ『病気の娘を助けるために、幸せを呼ぶ青い鳥を探して欲しい』ってね」
青い鳥「青い鳥は幸福を運んでくる。そんな戯言を信じたお人好しの兄妹はあっさり了承して、青い鳥を探す旅に出かけたよ。世界を渡る事が出来るその魔法の帽子を使ってね」
孫悟空「ん…?ちょっと待ってくれ。青い鳥、お前はチルチルに飼われていたんだろ?」
孫悟空「だったらわざわざ余所に探しに行く必要なんかねぇだろ?すぐ手元にお前がいるんだからよ」
青い鳥「その頃の僕の翼は青くなかったのさ。白い羽だったか灰色の羽だったか忘れたけどさ」
孫悟空「そりゃあ…どういう事だ?」
青い鳥「……そんな事、僕が知りたいくらいだ」
孫悟空「あぁ?」
青い鳥「【青い鳥】の筋書きを最後まで聞けばわかるさ。というかわざわざ話してやっているんだ、話の腰を折るのはやめて欲しいもんだね」フンッ
孫悟空「そりゃ悪ぃ事したな。ほら、もう黙ってるから続けてくれ」
798 :◆oBwZbn5S8kKC :2017/06/26(月)01:17:11 ID:f8n
青い鳥「旅に出た二人は立ち寄った世界ですぐに青い鳥を見つけた。でもその鳥は捕まえた途端、羽の色が抜け落ちて『青い鳥』じゃなくなった」
青い鳥「それでも二人は諦めず、幸せを呼ぶ青い鳥を探し続けた。そして次の世界でも青い鳥を見つけたけれど……それも捕まえた途端に死んでしまった」
青い鳥「どこの世界へ行っても結果は同じだ。兄妹は青い鳥を追い続ける、けれど手にした途端に鳥達は本来の姿を失うか死んでしまう。その繰り返しーー」
青い鳥「……そして結局、青い鳥を捕まえる事が出来ずに兄妹は老婆の元へ帰ってくる。そして青い鳥を捕えられなかった事を詫びるんだ」
青い鳥「そこで老婆は言うのさ。『そのカゴの中にいる、お前の鳥をおくれ』ってね」
孫悟空「そりゃあ、お前の事だな?」
青い鳥「あぁ、そうだよ。さっき話した通り……ただの小鳥だった僕は兄妹が気づかぬうちに青い鳥になっていた。二人が追い求めていた青い鳥は、すぐ近くにいた」
青い鳥「あとは僕を老婆に渡しておしまい。追い求めていた幸せはとても身近な場所にあった。そういうおとぎ話だ、【青い鳥】というのは」
孫悟空「なるほど、な…。大体理解したぜ【青い鳥】がどんなおとぎ話かって事はな。でもまだ話は終わっちゃいねぇ、そうだろう?」
青い鳥「あぁ、そうだよ。チルチルとミチルは大冒険の末に、老婆の願いを叶えて病の娘を救えた。そうなりゃお人好しのあいつらも幸せ。文句なしのハッピーエンドだ」
青い鳥「でも僕が話したいのはこんな事じゃない。この物語の筋書きを知った上で、始めっから物語を追ってみようか?今度は主人公であるチルチル達の視点じゃなくーー」
青い鳥「生まれたときからおとぎ話の事情と、自分の運命を知っている僕の視点でね」
799 :◆oBwZbn5S8kKC :2017/06/26(月)01:18:56 ID:f8n
孫悟空「お前、知ってたってのか…?おとぎ話がどういうもんかって事を、生まれたときから」
青い鳥「あぁ。別に驚く事じゃないだろう?あんたの友人のかぐや姫だって師匠の三蔵法師だって知っていたんだ、僕も彼等と同じだ」
青い鳥「始めは特になにも思わなかったさ。チルチルもミチルも優しくしてくれたし、カゴの中の生活は快適では無かったけど安全ではあった、それに二人の事だって……」
青い鳥「……いや、よそう。僕は脇役だけど、重要な役柄だ。それはあの頃の僕にとって誇りでもあった。でも、チルチルに連れられて色々な世界を巡る事になってすぐに考えは変わった」
孫悟空「そうか、お前は……」
青い鳥「最初の世界で、チルチルが捕まえた鳥は僕の友人だった。兄妹に飼われる前に付き合いのあった親友、ってところかな」
青い鳥「彼は青い羽根を誰よりも誇りに思っていたよ、でもチルチルに捕まえられたばかりにそれを失った」
孫悟空「……」
青い鳥「次の世界でチルチルが捕まえたのは僕の母親だったかな。住んでいた場所が違ったから目を疑ったけれど、自分の母親を間違えたりしない」
青い鳥「当然、死んだよ。その場にいた仲間の青い鳥達も全て。次の世界でも、次の世界も、その次の世界でも同じだ」
孫悟空「チルチルが捕まえるたびにその青い鳥は姿が変わったり命を失う、そりゃあつまり……お前にとっちゃ同族の死ってことか」
青い鳥「想像できるか、孫悟空?カゴの中の僕はチルチルに話しかける事は許されない、カゴから出る事も出来ない、なにも出来ないんだ」
青い鳥「目の前で家族や友人が殺されている、山のようにだ!そうなってしまう事を僕は知っていた、でも自分には何もできない…!その苦しみがお前に解るか!?」
800 :◆oBwZbn5S8kKC :2017/06/26(月)01:24:15 ID:f8n
孫悟空「……俺も若い時ツレを余所の輩に殺された。その時の悔しさや哀しさ、どうしようもねぇ怒りってのは理解できるつもりだ」
孫悟空「しっかし……未来を知ってそれでも何もできねぇカゴの中でその現実を見せられ続けるってのは……辛ぇよなぁ」
青い鳥「お前の想像を超える苦痛だよ。彼等は何もしちゃいない、ただ青い鳥が幸せを呼ぶなんていう迷信のせいで狙われて殺された」
青い鳥「そのわけのわからない迷信のせいで…青い鳥達は殺された!幸福になりたいなんていう他人の欲望を満たす為だけに命を狙われた!」
青い鳥「挙句の果てに、ただの小鳥にされたボクをもう一度青い鳥に戻して『幸せは身近な所にいた』?なんだよそれ…馬鹿なのか!?」
青い鳥「そんなわけのわからない教訓を現実世界に広めるために僕は生み出されたのか!?そんな事の為に苦しめられた!そんなくだらない事の為に、仲間を失った!」
孫悟空「……」
青い鳥「僕はもう心底嫌になった。【青い鳥】の世界も、仲間を殺した兄妹も老婆も。恨んで恨んで気が狂いそうだったけど、それでもカゴの中の僕には何もできなかった」
青い鳥「でも、そのままおしまいとはならなかった。物語の終盤、チルチルが老婆の元に帰った時……本来現れる事無い登場人物がその世界に現れた」
孫悟空「それがアリス…って訳か」
青い鳥「偶然か必然か、とてもいいタイミングだった。チルチルは僕を老婆に渡すためにカゴの扉を開けていた。それが僕に与えられた最初で最後のチャンスだった。だから僕はーー」
青い鳥「二人を見限った。迷わず逃げた。僕を縛るあのカゴを捨てて、アリスさんの元へと飛び立った」
キモオタ「我輩がおとぎ話の世界に行くですとwww」ティンカーベル「そう」 不思議の国のアリス編
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キモオタ「我輩がおとぎ話の世界に行くですとwww」ティンカーベル「そう」一覧に戻る
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