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キモオタ「我輩がおとぎ話の世界に行くですとwww」ティンカーベル「そう」
Part194


861 :◆oBwZbn5S8kKC :2017/07/11(火)02:30:10 ID:1RM
アシェンプテル「それがお前の決意であり覚悟か、桃太郎。なるほど、良く解ったーーだが」
ヒュッ
アシェンプテルの声「私にだって決意も覚悟もある。そして私は、私自身の尊厳と意思を守る為にも……必ずそれを成す」
ライオン「し、シンデレラさんの姿が…!またどこから来るかわからない攻撃…!」
桃太郎「用心するぞライオン!あれだ、目で見ようとしたって駄目だ!空気の流れっていうか…肌で感じれば案外わかるぞ!」
ライオン「そ、そんな達人みたいな事言われても…。急には出来ないよぉ…」
桃太郎「そ、そうか…!じゃあとりあえず拙者の側に来てくれ!そうすりゃシンデレラの攻撃は絶対こっちに来るだろ!」
ライオン「い、いいけど…それじゃあ防御しきれなかったら二人まとめて倒されちゃうんじゃ…」
桃太郎「それは問題ない!こっちに攻撃が来るって解ってたらーー」
ガキィィンッ
桃太郎「なんとか防ぎきれる…!」
アシェンプテル「……見事、と褒めてやろう。だが、身を守ってばかりじゃあ埒が明かないぞ」

862 :◆oBwZbn5S8kKC :2017/07/11(火)02:34:38 ID:1RM
アシェンプテル「私もお前と戦ううちに一つ気がついた事がある。桃太郎、お前は……何かを狙っているな?」
桃太郎「ばれてるのか…。気づかれないつもりだったんだけどな…」
アシェンプテル「気づくさ、時折お前の意識が私では無い方に向いているからな。具体的に言うのならばーー」
アシェンプテル「お前が背中に背負っている、布の撒かれた何か……何かしらの武器の類だろう、切り札といったところか?」
桃太郎「見抜かれてるなら隠す必要もないか…。そうだ、お前の予想通りこれは武器だよ、お前を正気に戻すための魔法具だ」
ライオン(……桃太郎さん、あの魔法具を本当に使うつもりなのかな……?)
ライオン(あれを使えば確かにシンデレラさんを正気に戻せるかもしれない。でも、一歩間違えればその命を奪ってしまうかも知れないのに……)
アシェンプテル「…隠すつもりは無し、か。余程自信があるようだな…?」
桃太郎「自信なんか、拙者はいつだって無いよ。ただ自信があろうとなかろうと…やるべき事はやり遂げる!いざ……!」チャキッ
アシェンプテル「いいさ、お前がそのつもりならば私も全力で相手をしてやる。この速さに、ついてこられるとは思えないがな。さぁ……!」カツン
ヒュバッ
桃太郎「参る…!」ザッ
アシェンプテルの声「行かせてもらう…!」ビュバッ
ヒュゥゥゥゥ…ガッシャーン!!!
桃ンプテル「「!?」」バッ
ロック鳥「ルオッルォォォォォッ!!!」ガッシャーン
ラプンツェル「あははははははっ!ガシャーンだって!ガシャーンだって!あはははは!!」アハハ
青い鳥「あああぁぁぁーー!!本気で突っ込むとか馬鹿か…!馬鹿だお前はラプンツェアァァァ!!!」ウワアァァァ

863 :◆oBwZbn5S8kKC :2017/07/11(火)02:42:52 ID:1RM
今日はここまで!続きは水曜日(深夜)更新予定!

864 :名無しさん@おーぷん :2017/07/11(火)02:46:36 ID:ZhL
乙!
思いがけずリアルタイムで読めた
桃さんアシェさんの緊迫してるところに……来たか!!

866 :名無しさん@おーぷん :2017/07/11(火)19:22:30 ID:QBM
天然って怖い(・・;)
アハハハ言いながらトラブル巻き起こす(・・;)
とりあえずラプの彼氏を誰か連れてこいwwwwwww間違えてもお母さん呼ぶなよwwwwwww

873 :◆oBwZbn5S8kKC :2017/07/14(金)02:24:55 ID:UEH
スタッ
ラプンツェル「よーしっ、ここが目的地のダンスホールだねっ!うんうん、無事にとーちゃくして良かったよ〜!ロック鳥が頑張ってくれたおかげだねっ、ありがとっ!」ナデナデ
ロック鳥「ルォッ!」モフモフ
青い鳥「無事に到着したって!?ガラスと瓦礫をこんなにぶちまけておいてよくそんな事が言えるな!?大体あんたはーーうぅ、ダメだ…大声出したら傷に響く……」ヨロヨロ
ラプンツェル「だいじょーぶ?あっ、私おくすり持ってるから青い鳥にあげるよ!これ飲んだら大丈夫!ほらほら飲んで飲んで、すぐ治っちゃうから!」スッ
青い鳥「(痛み止めかな…?)ありがとう、助かるよ。それじゃあ早速……なんだか飲み薬にしては妙にドロッとしてるけど、まぁいいか…」ゴクゴク
青い鳥「人間用の薬が効くかわからないけど少しは……ってこれ『塗り薬』って書いてあるじゃないか!?なんで飲ませたんだ!?」
ラプンツェル「あっ、ほんとだ!えへへ、なんか間違えちゃったー、ごめんね!でもこのおくすりはすんごく効くよ?こないだちょっと火傷した時もすぐ治った!」ドヤッ
青い鳥「痛み止めですらないとか…。ダメだ、怪我とは別の理由で目眩が…」フラフラ
ラプンツェル「あちゃー、だったら休んでた方が良いよ!ねぇねぇロック鳥!こっちは私だけで頑張ってみるからロック鳥はそこで青い鳥と一緒にいてあげてくれるー?」
ロック鳥「ルオォォッ!」バサッ
アシェンプテル「……」
桃太郎「おいいぃぃぃ!!ラプンツェルお前なにやってんだよぉぉぉぉ!!とりあえず無事でよかったけどさぁ!」タッタッタッ
ラプンツェル「あっ、桃太郎だ!ちょうど良かった!私お腹すいてるからきびだんごちょっと分けてー!」トテトテ
桃太郎「食ってる場合か!今まさに戦いの火ぶたが切って落とされるって雰囲気だったんだぞ!?まぁお前がブチ壊しちゃったけども!」

874 :◆oBwZbn5S8kKC :2017/07/14(金)02:30:43 ID:UEH
ライオン「あ、あのぉ…すごい勢いでガラス突き破ってきたけど…ら、ラプンツェルさん達は怪我とかしてないのかな…?」
ラプンツェル「大丈夫!ロック鳥がいい感じに突っ込んでくれたからちょっとの怪我もしてないよ!」フンス
桃太郎「なんか色々といいたい事あるんだけども…っていうかまずなんで窓から入ってきたんだよ!」
ラプンツェル「えっ…?窓から入るのっておかしい?でも私がちっちゃい時からママは塔の出入りに窓使ってたよ?今は私もあの窓から下りたり入ったりするし…。だから普通でしょ?」
ライオン「そ、そっかぁ…ラプンツェルさんの塔には出入り口が窓しかないから、窓からの出入りが普通なんだねぇ。じゃ、じゃあ仕方ないね、桃太郎さん」
桃太郎「騙されるなライオン、全然仕方なくないから!ラプンツェルのペースに飲まれちゃ駄目だって!」
アシェンプテル「……相変わらず、お前の頭の中には花畑が広がっているようだな。ラプンツェル」フゥ…
ラプンツェル「えっと…?あれっ?シンデレラ……だよね?んー…でもなんだか雰囲気も喋り方も違うし……すんごく似てるけど別人だよね?」
桃太郎「…いいや、別人なんかじゃない。悪魔の鏡の影響を受けて性格も雰囲気も変わっちゃってるけど、こいつはまぎれもなくシンデレラ本人だ」
アシェンプテル「肉体的にはな。だがお前の友人だった『シンデレラ』はもう存在しない、目の前にいる女はお前とは縁の無い赤の他人の灰かぶり『アシェンプテル』だ」
ラプンツェル「そんな……そんなのって……私、信じられないよっ!」プルプル
桃太郎(ラプンツェル、随分と衝撃を受けてるみたいだな。無理もないか…魔法具の影響とはいえ仲良くしてた友達がここまで変わってしまったんだからな。衝撃を隠せないだろう…)
ラプンツェル「桃太郎、どうしよう…!シンデレラがなんだかすんごくエッチっぽいドレス着てる…!前はこんなの絶対着なかったのに…信じられないよっ!だってあの格好セクシー通り越してヒワイだよ!?捕まっちゃわない!?」ガビーン
桃太郎「そこはどうだっていいだろ!みんな気づいてるけどなんとなく黙ってるんだからわざわざ言うなって!」

875 :◆oBwZbn5S8kKC :2017/07/14(金)02:38:29 ID:UEH
ラプンツェル「だって見てよあれ!すんごいスリット入ってるし、おっぱいのとこだってがばーって開いてて肩も背中もでてるし!あんなので走ったら絶対におっぱいぽr」
桃太郎「具体的に言うなよ!拙者も直視しづらいの耐えてんだぞ!」
ライオン「ふ、二人ともそんな事言ってる場合じゃないよぉ…」ワタワタ
ラプンツェル「でもさー、私が知ってるシンデレラはあんまり肌がでなくて可愛い感じの服の方が好きだったし、そっちのが似合ってたよ?」
アシェンプテル「私は自分が着たいものを着ているだけだ。あの時と違って…今はあれを着ろこれを着ろとやかましく言う王家の者はいないのでな」
ラプンツェル「でもー、魔法使いもシンデレラの旦那さんもきっと前の方が好きだって言うよー?」
アシェンプテル「だからどうした?今や連中と私の間につながりなど無い。それに他人の好みや主張に合わせて流されているとロクなことにならない」
アシェンプテル「それこそ流されるがままに舞踏会へ向かい、一切の努力をする事無く王族に成り上がり、しなくてもいい苦労をする羽目になるのだ」
ラプンツェル「苦労ー?」
アシェンプテル「能天気なお前にはわからないだろうがな、貧民の娘が一夜にして王家の仲間入りを果たしたとなれば相応の苦労がついて周る。お前達もその片鱗をあの日見たはずだが?」
ラプンツェル「えーっと、シンデレラが玉の輿に乗ったからおんなじようになろうとしてた女の人がいっぱい国にいたんだっけ?」
桃太郎「そんな事もあったな。まぁそれだけじゃなかったんだろう、目立つって事は良くも悪くもいろんなもんを引き寄せるからな…富や名声に妬みとか陰口、数え上げりゃキリがない」
桃太郎「拙者が悪鬼を征伐して帰った時もそうだった。称賛の声は大きく得たものは多かったけど……まぁ、いいもんだけじゃ無かったからな」
ラプンツェル「んー…?私にはよくわかんないなー…?」

876 :◆oBwZbn5S8kKC :2017/07/14(金)02:47:54 ID:UEH
アシェンプテル「解る必要などないだろう。お前の頭でそれが出来るとは思えない、それに出来たところで先の短い命だ」
アシェンプテル「ラプンツェル、お前の能天気な雰囲気にあてられてしまったのか…長々と無駄な会話を続けてしまったが、それももう終わりだ」スッ
桃太郎「ラプンツェル…!用心しろ!『シンデレラ』だろうと『アシェンプテル』だろうとあのガラスの靴は姿さえ見えない程に戦場を駆ける!」
ラプンツェル「んー……」
桃太郎「ちょ、聞いてんの!?認めたくないけど今のあいつは拙者達の事を敵としてみてる油断してたらそれこそーー」
ラプンツェル「私はあんまり頭良くないからシンデレラが苦労したこととか、何か嫌なことがあったのかーとか、魔法具がどーとかよくわかんないけどさ」
ラプンツェル「悩んでる事があったら私に言ってくれたらよかったんだよー?っていうか今でもオッケーだよ!友達の相談にならどんなときだって乗ったげる!」フンス
アシェンプテル「要らない世話だな。それに言ったはずだ、私にとってお前は赤の他人。友人などではない」
ラプンツェル「またまたー!私は知ってるよー?それは魔法具に心がぎゅーってされてるからそんな事言ってるだけでしょー?」
アシェンプテル「……解らないというのならその身に刻んでやろうか。私とお前の間には、今や何もないという事を」
ラプンツェル「だったら私はその逆をやっちゃうからね!今だって私とシンデレラはおともだち!悪魔のナントカって魔法具のせいで見えにくくなってるだけで」
ラプンツェル「シンデレラと私達の間になんにもないなんて、そんな寂しい事はもう言わせないんだからねっ!」フンス

877 :◆oBwZbn5S8kKC :2017/07/14(金)02:52:58 ID:UEH
アシェンプテル「好きに言っていればいい。もうじき解る、私の主張とお前の主張どちらが正しいのかーー」スッ
ライオン「き、消えた…!標的はきっとラプンツェルさんだよ!早く逃げt」
ドゴォ!
ラプンツェル「んぐっ…!」ガッシャーン!!
桃太郎「くっ…拙者を警戒して速攻をしかけてきたか。大丈夫かラプンツェル!?」
アシェンプテル「あのアホ娘は戦士ではない。桃太郎のように避ける能力も身を守る手段も持ち合わせていない、場を散々掻き乱したわりにあっけの無い奴だっーー」
スクッ
ラプンツェル「いたた…ふっふっふーん!あんなヘナチョコキックじゃあラプちゃんとシンデレラの友情は切れないんだよっ!」フンス
桃太郎「マジか…!あの衝撃じゃあ骨の一本二本折れててもおかしくない感じだったのに!となると…髪の毛か!」
ラプンツェル「そのとーり!壁にぶつかる瞬間に髪の毛をもふもふってやってクッションのかわりにしたんだよ!」ドヤァァァァ
アシェンプテル「……忘れていたよ」
ラプンツェル「?」
アシェンプテル「桃太郎がそのヘタレな本性の底に真の力を持っている事も、ラプンツェルの髪の毛が自在に操れる万能なものだという事もよく知っていたはずなのに…過去をたち切るという事に気を取られ過ぎて、忘れていた」
アシェンプテル「認めたくはないがお前達は強い。お前達との関係を完全に断ちたいのならば、私は始めから全力を尽くすべきだったんだ」スッ
桃太郎「消えた…そしてどうやら拙者達はあいつを本気にさせちゃったみたいだな。そうなったなら、こっちも相応に相手するだけだけど…!」チャキッ
アシェンプテルの声「あぁ、幸いにも私には十分な時間がある。今回は十二時の鐘が鳴るまで…なんて面倒な事は言わない」
アシェンプテルの声「私とお前達、どちらかが倒れるまで踊り明かそうじゃあないか。なぁ、かつての友…桃太郎!ラプンツェル!」ヒュバッ

878 :◆oBwZbn5S8kKC :2017/07/14(金)02:55:58 ID:UEH
ヒュバババババ
桃太郎「ラプンツェル…お前、シンデレラの事、目で追えるか?」
ラプンツェル「もちろん見えないよ!」フンス
桃太郎「だよなぁ…知ってた…。んじゃあさっきの髪の毛で身を守るってのはやっぱ受け身な技、そのうち対策されるだろうな…。あともう一つ聞くけど、シンデレラを正気に戻す作戦っていうか考えみたいなのってーー」
ラプンツェル「ないよ!でもシンデレラが悪い子になっちゃったら私が元に戻すって約束したし、頑張るよ!そのためだったらなんだってやるよ!」ドヤァ
桃太郎「だよな、拙者もあいつを正気に戻せるってならなんだってやる覚悟だ」
ラプンツェル「っていうことは…桃太郎にはシンデレラを元に戻す作戦があるって事でいいんだよね?」
桃太郎「あぁ、拙者一人じゃちょっと不安なとこもあったけどお前がいるならぐっと成功する可能性上がるとおもう、ちょっと思いきった作戦になっちゃうけども」
ラプンツェル「それじゃ桃太郎の作戦に任せる!どんなことするつもり?教えて教えて!」
桃太郎「機会さえ見極められればやること自体は単純だ。でもこの状況だゆっくり説明してる余裕はない、だから一回しか言わないから、それで理解してくれよ?」
ラプンツェル「えっ、一回で理解しなきゃダメなのかぁ……できるかな」ボソッ
桃太郎「お、おいラプンt」
ラプンツェル「大丈夫!まかせて!そういうのとくいだから!」ドヤァ
桃太郎(不安すぎる)

879 :◆oBwZbn5S8kKC :2017/07/14(金)03:00:14 ID:UEH
ダンスホールの隅 崩壊したテラス周辺
青い鳥「……理解できないよ、僕には」
ロック鳥「ルォ?」
青い鳥「だってそうだろう?あいつらの…キモオタ達の目的は消されたおとぎ話の世界の奪還だ。その為にはアリスさん…アリスを倒すか魔法のランプを奪取するのが近道だ」
青い鳥「シンデレラは強いけれどラプンツェルの髪の毛でとりあえず拘束だけしておくとかすればいいじゃないか。それなのにあの二人はどうして今、この場であいつを正気に戻そうとするんだろう?」
青い鳥「非効率じゃないかな?シンデレラを今すぐ正気に戻したって戦いに参加できるとは思えないし、だったら手早く捕縛だけして全てが終わってから正気に戻せばいいんじゃ…」
ロック鳥「ルォォ…」
◆ロック鳥は人語を喋れません。でもそれじゃわかりにくいからここからは翻訳バージョンをお楽しみください◆
ロック鳥「汝の主張は確かに合理的だ。だが人間という種族は、時として損得を勘定に入れずに行動する。今の桃太郎とラプちゃんがまさにそれだ」
青い鳥「うーん…やっぱり効率的じゃないよ。シンデレラを正気に戻せる保証も無いのにさ、もっと大局を見なきゃいけないとおもうよ僕は」
ロック鳥「人間という種族はそう単純にできていないのだ、青い鳥よ。……時に、満身創痍とはいえ目までは霞んではおるまい?」
青い鳥「えっ?目?まぁ、一応見えるけど?」
ロック鳥「ならばラプちゃんの瞳をよく見てみよ。彼女が何故ここまで友の開放にこだわるか、見えてくるだろう」
青い鳥「どういう事?まぁ見ろっていうなら見るけど……。……あれっ?なんかよく見たらあいつの目、赤くなってるしちょっと腫れてない?」
ロック鳥「泣き腫らしたのだ。全てのおとぎ話の世界が消え、この世界に降り立った我の背中でラプちゃんはしばらくの間声を殺して泣いていたのだ。友からの連絡にさえ応答出来ぬほどに」
ロック鳥「無理もあるまい。普段明るく振る舞っていようとも、まだ若き娘…。友や恩人、親衛隊。そして大切な母親と、死別したも同然だったのだからな……」

880 :◆oBwZbn5S8kKC :2017/07/14(金)03:05:13 ID:UEH
今日はここまでです 次回に続きます
ゴーテルの娘ラブのせいで霞んでるけど、ラプも大概なマザコン
そしてエッチっぽいドレスプテル
次回もお付き合いください!

881 :名無しさん@おーぷん :2017/07/14(金)06:57:08 ID:XZC
おお…ラプちゃんよ…

882 :名無しさん@おーぷん :2017/07/14(金)20:07:36 ID:O3Y
ロック鳥そんな口調だったのね
でもラプちゃん呼びw

883 :名無しさん@おーぷん :2017/07/15(土)06:48:17 ID:hs4
マザコンと娘ラブかぁ・・・将来は髪の魔女になるんですねそんで旦那といつまでも幸せになる、か
おとぎ話としては100点の結末ですな

889 :◆oBwZbn5S8kKC :2017/07/18(火)02:08:44 ID:VHC
青い鳥「……あんたの言葉を信じないわけじゃない、でも正直に言うと想像が出来ないよ。あいつが泣いている姿なんてさ」
青い鳥「城前での戦いに乱入したときだって、このホールに突っ込んだときだってあいつはヘラヘラ笑っていたじゃないか。桃太郎とアシェンプテルの間に流れる緊迫した空気を壊した時だってそうだ」
青い鳥「あいつはいつだって笑っていた。そこに殺意が渦巻こうと、危険が待ち構えていようと、息苦しいほど重い空気の時でさえあいつは能天気に笑っていたんだ。それなのに…」
ロック鳥「育った環境のせいかラプちゃんは世間知らずで実年齢よりもずっと子供っぽい、アホの娘などと揶揄される事も多いと聞く。だが彼女とて何も知らぬ訳ではない」
ロック鳥「現実世界の存在、おとぎ話の世界の存在はもとより、おとぎ話がそしてその世界が消滅するとどうなるか……人間が、生物が死ぬという事がどういう事かも、当然な」
青い鳥「……」
ロック鳥「【アラビアンナイト】に属する世界が崩壊を始めた時、我は相棒の頼みを受けラプちゃんがいる【アリババと四十人の盗賊】の世界へと向かい、彼女に状況を説明した」
ロック鳥「我が主が紡ぎし物語の消滅。そして他のおとぎ話が消滅を始めるのも時間の問題だという事、その事を聞いたラプちゃんが真っ先に心配したのは母親であるゴーテル殿だった」
青い鳥「確かラプンツェルとは別行動をしていたんだったね。【シンデレラ】の世界で魔法使いと共にアリスを止める手立てを考えていたんだっけ…」
ロック鳥「うむ。故に我はラプちゃんを背に乗せ【シンデレラ】の世界を目指す事にした。その時、ラプちゃんは親衛隊の面々にも行動を共にするよう声をかけたが彼等はそれを拒んだ」
ロック鳥「盗賊稼業から足を洗い、過去の清算をしようという時に散々迷惑を掛けてきた街の者達を見捨てるなど出来ぬというのが兄貴分の主張だった。同時に、我にならばラプちゃんを任せられるとも」
青い鳥「それでその…親衛隊?とかいう連中とは別れてあいつとあんたの二人でゴーテルの元に向かったのか」
ロック鳥「うむ。だが我々が【シンデレラ】の世界、魔法使いの屋敷にたどり着いた時、そこにはゴーテル殿どころか……誰一人いなかった」

890 :◆oBwZbn5S8kKC :2017/07/18(火)02:11:01 ID:VHC
ロック鳥「半壊した屋敷、鮮血で汚れた床、燃え盛る瓦礫を見れば何が起きたのかは一目瞭然。笑顔を失ったラプちゃんに急かされ、我はその世界を後にし【ラプンツェル】に世界へ飛んだ」
ロック鳥「敵の襲撃を受けて別世界に逃げたのならばきっと母親はここに居るのだとラプちゃんは考えたようだが、ゴーテル殿は塔にも小屋にも居なかった」
青い鳥「ラプンツェルの読みは外れた、って事か」
ロック鳥「結果的にはそうなる。だが我はこう思った、ゴーテル殿はあえて【ラプンツェル】の世界に逃げなかったのだと」
青い鳥「どうしてだ?ゴーテルは魔法植物の扱いに長けているって聞いてる、小屋に戻れば怪我を治すような植物だってあるだろうに…」
ロック鳥「ゴーテル殿は魔女である前にラプちゃんの母親、緊急時に娘がどう行動するか予想する事は容易い」
ロック鳥「世界の崩壊が始まれば愛娘は必ず自分を心配して訪ねてくる。【シンデレラ】の世界に自分が居なければ必ず【ラプンツェル】の世界へ来る、とな」
青い鳥「それじゃあ、ゴーテルはもしかして…」
ロック鳥「解っていたのだ。世界が崩壊を始めた時、愛娘が自分を見捨てる事が出来ないという事を…。例え別世界に居ようと、娘は必ず自分を助けようとすると言う事を」
ロック鳥「しかし…その意を汲んで行動を共にしては、大切な愛娘の足を必ず引っ張ってしまうという事も解っていたのだろう。手負いの老婆が戦場で出来る事など…知れている」
青い鳥「……」
ロック鳥「ラプちゃんは呆然としていた。どこでもいいから別の世界へ飛んで母親を探してくれと叫んでいたが……既に時間は無かった」
ロック鳥「我は彼女の言葉を振り切るようにこの【不思議の国のアリス】の世界へ飛んだ。そして到着と同時に、もう二度と別世界に飛び立つ事は出来ないという事を悟ったのだ」

891 :◆oBwZbn5S8kKC :2017/07/18(火)02:12:23 ID:VHC
青い鳥「それじゃあ結局、あいつは母親に会えなかったのか…」
ロック鳥「娘を危険に晒すくらいならば消滅する世界と運命を共にする…。そんなゴーテル殿の想いをラプちゃんが理解できたかどうかは解らん。だが彼女にも理解できたことはあった」
ロック鳥「血の繋がっていない自分を我が子のように大切に育ててくれた母親はもう世界中のどこにもいないという事を。そしてそれだけじゃない」
ロック鳥「学問指南をしてくれた我が主シェヘラザード、そしてその夫である国王。彼女が城に来るたび優しく接してくれた城の者たち、そして我が相棒シンドバッドーー」
ロック鳥「母の友であった魔法使い、そして自分を慕い何かと協力をしてくれた親衛隊の面々……そういった彼女の大切な者達の殆どは既に命を失っていると」
青い鳥「……」
青い鳥(……それはアリスが世界の消滅をランプに願ったからだ。でも僕はその野望の片棒を担いだ。僕にも当然、責任はある……そう思うと、やはり申し訳ない気持ちになってしまう)
ロック鳥「もっともそれに関してはキモオタや他の仲間達も同じだ、彼等も同様に大切な人々や居場所を失った。だが…塔の中で暮らしていたラプちゃんは『別れ』に慣れていない」
ロック鳥「我々が想像する以上に、彼女が負った悲しみは深かっただろう。何しろ十数年の間知ることの無かった別れの悲しみを一度に経験してしまったのだから」
ロック鳥「故に彼女は我の背で声を殺して泣いた。声を上げれば、我に入らぬ心配をかけてしまうとでも思ったのだろう……」
青い鳥「何も考えていない能天気な馬鹿だと思っていたけど、そんな事は無かったんだね…」
ロック鳥「うむ。だがラプちゃんはやがて涙を拭いて我に言った『みんなの所につれてって。シンデレラはきっと、今の私よりもずっとずっと悲しくて…それで苦しい思いをしてるはずだから』と」
青い鳥「…それって、どういう意味だい?」
ロック鳥「そのままの意味だろう。ラプちゃんは精神を操られ感情を操作された者の苦しみを知っている。同じような目にあわされた者を彼女は知っているのだから」
・・・

892 :◆oBwZbn5S8kKC :2017/07/18(火)02:15:09 ID:VHC
ハートの女王の城 ダンスホール
アシェンプテルの声「さぁ…まずはラプンツェルと踊ろうか、その厄介な髪の毛は早々に封じておきたい」スタッ
バッ
ライオン「グルルゥ…!」ババッ ザシュッ
アシェンプテル「……ッ。鋭い牙に強靭な顎、食らえば一大事だが…どこを狙っている?いや、そもそも私の攻撃を邪魔するとは、どういうつもりだ?」
ライオン「ぼ、僕が君の相手をするよ…!さ、さっきのようには行かないからね…!」
桃太郎「ラ、ライオン!?お前どうして…」
ライオン「あ、あんまり長く持たないかもしれないけど…僕が粘るよ、だから桃太郎さんは今のうちにラプンツェルさんに作戦を伝えて!」
桃太郎「お前…。わかった、すぐに助太刀するから少しだけ耐えてくれ!」
アシェンプテル「お前じゃあ私の相手は務まらない。目障りだ」
シュバッ
ライオン「ひゃあっ!あ、危なかった…お、同じ手を何度も食らう訳にはいかないよぉ!」ササッ
アシェンプテル「私の蹴りをかわすとは一応は百獣の王ということか。だが……甘い」シュッ
ドスッ
桃ラプ「ライオン…!」「ライオン!だいじょーぶ!?」
ライオン「うぐぅっ…!だ、大丈夫だから僕の事は気にしないで…!ま、まだだよ…僕はまだやれるんだ…!」グググッ

893 :◆oBwZbn5S8kKC :2017/07/18(火)02:19:17 ID:VHC
アシェンプテル「お前は確か【オズの魔法使い】のライオンだったな…。随分としぶといが何故お前がここまでやる?」
アシェンプテル「桃太郎がラプンツェルに作戦を伝える間の時間稼ぎ、それは理解できるが……それに協力してお前に何の利があるんだ?」
ライオン「桃太郎さんは君を助けるためにすごく頑張っているんだ…。で、でも僕にできるのはこれくらい、だから僕はそれを出来る限り頑張るんだ…!」
ライオン「僕は一分でも一秒でも君の攻撃を耐えて…桃太郎さん達の作戦の成功につなげるんだ…!」
アシェンプテル「その意気を認めて相手をしてやる。だがどれだけ時間を稼ごうとどれだけ作戦を練ろうと無意味だ。私の意思は私のもの、他人に変えられたりはしない」
ザシュッ ヒュヒュヒュッ
ラプンツェル「シンデレラの事引き受けてくれるのは助かるけど、心配だよー。大丈夫かなライオン…」
桃太郎「俺も同じ気持ちだけど、今は作戦をしっかり聞いてくれ。少しでも早く作戦を伝えて、ライオンの助太刀に行きたいからな。いいか?よく聞いてくれよ」
・・・
桃太郎「ーーっと、これが拙者が用意したシンデレラを正気に戻すための策だ。危険は伴うけど現状じゃこれしか方法がないと思う…理解できたか、ラプンツェル?」
ラプンツェル「……?」
桃太郎「……と、とりあえずお前はシンデレラを拘束してくれればそれでいい。まぁ簡単にさせてくれないだろうけど…拘束さえできればあとはこっちでなんとかするから」
ラプンツェル「わかった!私にまかせて、すんごくがんばるよ!すんごくこーそくするよ!」フンス
桃太郎「お、おう…お前がそう言うなら大丈夫……だよな?」