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キモオタ「我輩がおとぎ話の世界に行くですとwww」ティンカーベル「そう」 不思議の国のアリス編

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Part25
677 :◆oBwZbn5S8kKC :2017/05/16(火)01:40:09 ID:uYn
広間の奥の通路
ダダダッ ダダダッ
司書「ねぇヘンゼル。あの人、きっとハートの女王だよ?無視しちゃっても良かったの?」
グレーテル「遠くてあんまりはっきり見えなかったけど……すんごい怖い顔してたよ……怒ってるかもしれないよ……?」
小夜啼鳥「いえ、絶対に怒っていますよ。顔をまさにハートのように真っ赤にしてましたから」
ヘンゼル「いいんだよ、怒りたけりゃ怒らせておけば。僕達はアリスに用事があってここにいる、ハートの女王の相手なんかしている暇は無いよ」
ヘンゼル「それに大方、あいつは僕達を足止めするために待ち構えていたんだろう?
だったら相手するのは悪手だよ、あいつらの思うツボになっちゃうからね」
司書「それはそうだけど…。私達を足止めするために待ち構えていたんなら、こんなに簡単に先に進む事を許すかな?」
小夜啼鳥「そう言われると確かに妙ですね。もしかしたらこの通路に何か罠を仕掛けているのかもしれません、十分に注意してください」
ヘンゼル「……確かにそうだね、慎重に進んだ方がよさそうだ。魔獣、少しだけ速度を落としてーー」
トランプ兵達「「……Enemy discovery」」ザザッ
司書「言った傍から物陰から敵兵が…!」
ヘンゼル「クッ…やっぱり罠だったのか!?魔獣!今すぐに止まれ!」
銀貨の魔獣「ガ、ガルルゥッ!!」キキーッ
グレーテル「ダメ……魔獣ちゃんは急に止まれない……」
トランプ兵「「……Mission start」」ドガッ
ドバーッ!!
銀貨の魔獣「ガルッ…!?」ビシャーッ

678 :◆oBwZbn5S8kKC :2017/05/16(火)01:48:28 ID:rzL
広間
白ウサギ「あ、あの…女王様?い、いかがなさいますか…?連中、僕達を完全に無視して先に行っちゃいましたけど…」
ハートの女王「……」ゴゴゴゴゴ
白ウサギ(あ、やばい…!女王様の怒りのボルテージが上がっていく…!)
ハートの女王「許さん…許さんぞガキ共…!この女王を軽視し、無礼を働いた罪!死んで償わせてくれるわ!!」バンッ
ハートの女王「兵共!取り乱すでない!戦いはこの広間で続行だ、隊列を乱さず待機しておれ!」
トランプ兵達「「「Y…Yes my lord…!!」」」
白ウサギ「お、恐れながら女王様!連中は魔獣の背に乗っております!今から追いかけたのでは追いつけないかもしれませんが…」
ハートの女王「馬私を誰だと思っておる!万が一を考え、ガキ共を葬る為の策は複数準備させておるのだ!連中はこの先には進めん、決して…!」
白ウサギ「はっ…!そう言われればトランプ兵の数が何体か少ないような……?」
ハートの女王「フンッ、今頃気がついたかグズめ。何体かの兵はこの先の通路を封鎖しておる、当然あの魔獣でさえも先には進めんようにな」
白ウサギ「流石は女王様…!前もって進路を妨害しておくとは……!」
ハートの女王「さぁ、私が直々に連中を迎えに行ってやろうではないか。即刻、あの世へと送ってやるのだ!総員反転!そして前進せよ!!」ツカツカ

679 :◆oBwZbn5S8kKC :2017/05/16(火)01:53:25 ID:rzL
グレーテル「あの兵隊さん達、何かの液体を魔獣ちゃんにぶちまけたよ……なんだろう……?」ソッ
小夜啼鳥「グレーテルさん、触ってはだめです!その液体、得体が知れませんが…おそらくは魔法具の類です」
ヘンゼル「僕が警戒を怠っていたからこんなことに…!魔獣!大丈夫か!?怪我はしていないか?」
銀貨の魔獣「ガ、ガルルッ…」ベタベタ
グレーテル「魔獣ちゃん……もしかして、動けない……?」
銀貨の魔獣「ガルゥ…!ガルルゥ…!」グイグイ
司書「魔獣さん、無理に動こうとしないで。液体が更に広がったら余計に動けなくなっちゃうよ」
ヘンゼル「あの液体、接着剤とかボンドみたいなものか…?僕のせいだ、ごめんね魔獣。すぐになんとかしてーー」
ハートの女王「ホホホホッ!まんまと罠にかかったようだな!女王たる私を無視した天罰だ!己の愚かさを悔いるがいいわガキ共!」ホホホホッ
司書「女王…!それじゃあやっぱりあなたは……ハートの女王!」
ハートの女王「女王『様』を付けんか娘!首を刎ねられたいのか!?」
ヘンゼル「相手しなくていいよお千代。そんな事より魔獣を助けてあげないと」
ハートの女王「無駄だ小僧。その獣が浴びたのは【ホレおばさん】の世界から奪った魔法のタールを元に、海底の魔女に何倍も粘度を高めさせた代物。そうそう剥がす事はできんわ!」
ヘンゼル「……」
ハートの女王「どうする小僧?ここで大人しく殺されるか?それとも魔獣を置いて逃げるか?もっとも私の大軍勢から逃げるなど不可能だがな!ホホホホホッ!」
ハートの女王「どちらにせよお前達の命運はここで尽きるのだ!喜べ、特別にこのハートの女王が直々に首を刎ねてやる!」

680 :◆oBwZbn5S8kKC :2017/05/16(火)01:59:36 ID:rpp
ヘンゼル「……ごめんね魔獣。僕の不注意でこんな目に合わせてしまった」
銀貨の魔獣「ガルルゥ…」フルフル
ヘンゼル「すぐに助けてあげたいけど少し時間がかかりそうだ。でも必ず助けるから少し待っててくれるかい?」
銀貨の魔獣「ガルル!」コクコク
ハートの女王「さっきからブツブツと…私の話を聞いているのか小僧!?再び無礼を働くと言うのならば真っ先にその首を刎ねるぞ!」
ヘンゼル「御託はいいからさ、出来るものならさっさと僕の首を刎ねて見せなよ、トランプおばさん」
ハートの女王「言うに事欠いてトランプおばさんなどと……!小僧!私は相手がガキだろうと容赦せぬぞ!」ギリッ
ヘンゼル「つべこべ言わずに僕の友人を解放しなよ。でなきゃ僕だって容赦しないよ、トランプババァ」ギロリ
司書「ヘンゼル!それは流石に口が汚いよ!あの人はとてもそうは見えないけど一応は女王様なんだから、そんな言い方は失礼だよ!」
グレーテル「そうだよお兄ちゃん……トランプおばあちゃん……でしょ?」メッ
小夜啼鳥(彼女たちは素なのか挑発をしているのか……)
ハートの女王「……」ビキビキビキ
白ウサギ「ほわぁぁ…!?あの兄妹、女王様に向かってなんて事を…!」
ハートの女王「女王である私をここまで侮辱するとは…!命を奪うだけでは全く足りん!それほどに無礼なガキ共だ!あの無礼な女、雪の女王に育てられただけのことはある!」バンッ

681 :◆oBwZbn5S8kKC :2017/05/16(火)02:03:49 ID:hn1
ヘンゼル「……なんだか直接会った事があるような口ぶりだけど、あんた雪の女王に会った事でもあるの?」
ハートの女王(ほう、あの女の名前を出したとたん食いついてきたか。よし、それならば……)
ハートの女王「ホホホッ!当然だろう!お前達の育ての親である雪の女王を亡き者にしたのは何を隠そうこの私、ハートの女王なのだからな!!」ホーッホッホッホ
司書「亡き者…。それってハートの女王が……」
グレーテル「雪の女王様を殺しちゃったって事……?」
ヘンゼル「……」
ハートの女王「ホッホッホッ!その通りだガキ共!お前らと家族ゴッコをしておった雪の女王は私が殺してやったのだ!この女王直々に!」
白ウサギ「じょ、女王様!嘘はいけませんよ!雪の女王は死んでませんし…そもそも殺すどころかあなた様は一瞬で返り討ちにされてるじゃないですか!?」ヒソヒソ
ハートの女王「黙れ黙れ!結局アリスが無力化させたのだから私が殺したも同然だろう!」ヒソヒソ
白ウサギ「えぇぇ…無茶苦茶ですよぉ…」ヒソヒソ


682 :◆oBwZbn5S8kKC :2017/05/16(火)02:07:05 ID:MUE
ハートの女王「情報によればこのガキ共は雪の女王と共に暮らし家族同然の感情を持っているようなのだ。ならば私があの女を殺したと知ればこのガキ共も悲しみ恐れ私にひれ伏すに違いない!」ヒソヒソ
白ウサギ「う、うーん……そうでしょうか……?」ヒソヒソ
ハートの女王「えぇい、お前は何だ!この私に意見しようと言うのか!?」ギロッ
白ウサギ「と、とんでもございません!」
ハートの女王「お前は黙って見ていろ!このガキ共が私にひれ伏す様をな!」ヒソヒソ
白ウサギ「は、はぁ…わかりました…」
司書「あの、ハートの女王様。私、【キジも鳴かずば】の千代という者なんですが……少しお話いいですか?」
ハートの女王「フン、なんだ?先に言っておくが私の言葉には一切の偽りは無い。雪の女王が死んだという事も真実、そしてその息の根を止めたのが私だと言う事もーー」
司書「そういう物言いをされるとちょっと言いづらいんですけど。あなたが雪の女王様を殺したというのは嘘ですよね?嘘は良くないですよ、身を滅ぼしますから」
白ウサギ(一瞬でバレてる…)

683 :◆oBwZbn5S8kKC :2017/05/16(火)02:11:12 ID:MUE
司書「だから、今すぐに正直に謝って欲しいんです。口は災いのもとって言いますしね、私は痛いほどよく解ってますけど……」
ハートの女王「な、何を言っておる!謝る必要などない!私はこの手であの女をーー」
司書「雪の女王様が生きているのか亡くなっているのか、それは私達には解りません。ただキモオタさん達を逃がすためにアリスと戦ったとだけ聞いてます、となるとあなたがとどめを刺したとは考えにくいです」
司書「まぁ…女王様が生きていたとしても亡くなっていたとしても、私達は絶対に家族を取り戻すつもりです。それに私達の故郷の【雪の女王】の世界も必ず取り戻します。これは残された兄妹三人で決めた事です。そうだよね?」
グレーテル「うん、そうだよ…。頑張って戦って……女王様と宮殿、取り戻すの……」
ヘンゼル「そうだね。大切な人と場所を失ったのは僕達だけじゃない、だからわざわざみんなの前で言ったりしなかったけど……僕達は絶対に家族と宮殿を取り返す、そのつもりだ」
司書「ハートの女王様、わかってもらえましたか?」
ハートの女王「えぇい、お前らの都合など知らん!そんな宣言を私にして何がしたいのだ貴様は!」
司書「えっとですね、ただ知っておいて欲しかっただけです。私達がどれだけ家族の事を…雪の女王様の事を大切にしているのかって事を。それと忠告なんですけど」
司書「あなたが女王様を殺したなんて嘘で家族を侮辱されたので、ヘンゼルもグレーテルもそして私も……」
司書「とても、怒っていますよ…?」

684 :◆oBwZbn5S8kKC :2017/05/16(火)02:14:06 ID:omQ
今日はここまで 不思議の国のアリス編 次回に続きます
なんだか調子悪くて何度も再起動させられて時間かかってすまぬ…
『うちの女性陣は全員怒ると怖い』匿名希望H氏K氏談
次回もお付き合いください!

685 :名無しさん@おーぷん :2017/05/16(火)02:52:31 ID:5Su
乙です!
千代ちゃんかっこいいな

687 :名無しさん@おーぷん :2017/05/16(火)11:06:11 ID:Zr1
乙乙!
トランプおばさんwwwひどいwwww
キモオタ口調のグレーテルが可愛い

694 :◆oBwZbn5S8kKC :2017/05/22(月)01:58:30 ID:yYj
ハートの女王「えぇい!やかましい女め!怒っているだと?だからどうしたというのだ!あの女、雪の女王は無様にも我々に敗北した!愚かな敗者を侮辱して何が悪い!」
司書「……やっぱり素直に謝ってもらえませんか、不要な争いは避けたかったんですが仕方ないです。これ以上私の大切な人を侮辱するなら……黙っていられません」キッ
ハートの女王「なんだその目は……!お前は誰に対してその様な態度をとっている!!」バンッ
司書「あなたにですよハートの女王!私はあなたの従者でもこの国の人間でも無い、あなたに頭を下げる理由なんかありません!」キッ
ハートの女王「キィィィィッ!!無礼者!無礼者!その首を刎ねられる覚悟は出来ているだろうな貴様ァァ!!」キィィ!
白ウサギ「お、落ち着いてください女王様!感情的になっては連中の思うツボで…ぐえっ!」ドスッ
ハートの女王「えぇい!黙れ!従者風情が私に意見するな!」ベシバシ
ハートの女王「王族は崇め敬うべき存在!共に暮らしていながらそんな当然の常識さえ教えていないとはあの酔狂な女の底が知れる!女王を騙る薄汚い魔女めが!」
司書「他の家族や女王様は関係ありません、これは私の意志です!」
ハートの女王「フン、千代と言ったな?貴様は随分と家族という存在にこだわっているようだが、お前にそんな事を口にする資格があるのか?」
ハートの女王「お前はあの魔女と血の繋がりなど無い、当然そこのガキ共も同じだ!何処に住もうが誰と暮らそうが結局お前は孤独で哀れな孤児に過ぎない!」
ハートの女王「チェシャ猫から聞いたが…貴様は自らの愚かな行動で父親を殺したのだろう?そんな奴に家族云々を語る資格などあるわけがないだろうが!」

695 :◆oBwZbn5S8kKC :2017/05/22(月)02:00:32 ID:yYj
グレーテル「……あのおばさん、かんじわるい」ムスッ
ヘンゼル「黙って聞いてれば。おばさん、あんたいい加減にーー」スッ
司書「ヘンゼル、グレーテル。大丈夫、平気だよ」スッ
ハートの女王「ここまで言ってやったというのに尚も家族ゴッコを続けるとは救いようの無い孤児共だ!」フンッ
ハートの女王「だがそれもここまでだ、いい加減にお前達を処刑せねばな。だが容易く父親の元へ行けると思うな、私に無礼を働いたお前はじわじわとなぶり殺しにーー」
司書「できませんよ。あなたに私は殺せない」
ハートの女王「見苦しい強がりをするでない!チェシャ猫からお前達の情報を得ていると言っただろう!お前が魔力も戦う為の武器も持たない足手まといだという事は知っている!」
司書「その情報には誤りがありますね。私、戦うための武器なら持っていますよ?」
ハートの女王「フン、あのキモオタとかいう醜悪な豚の真似事か?この女王にそんな手が通じると思っているのか愚か者!」
司書「違いますよ。でも仮に私が一切の武器を持っていなかったとしても、やっぱりあなたは私には勝てませんよ。だって、当然ですよね?」
司書「いくら人間の姿をしていても、王族の様な尊大な態度をとっていてもーー所詮あなたは『ただのトランプに過ぎない』んですから」
ハートの女王「……っ!!」ギリッ
司書「ただの紙切れが人間にできることなんか、指先をちょっぴり切る事くらいですよね?」ニコリ

696 :◆oBwZbn5S8kKC :2017/05/22(月)02:04:43 ID:yYj
ハートの女王「私はただのトランプではない…!断じて紙切れなどではない…!貴様ァ!!今すぐに口にした事を撤回しろッ!!」ワナワナワナ
トランプ兵「「「……Q Queen」」」ザワザワザワ
白ウサギ「あぁぁ…!なんて事を言ってくれたんだ!あれだけは絶対に禁句だったのに…!」
グレーテル「お兄ちゃん……あれって確か……」
ヘンゼル「【不思議の国のアリス】のラストでアリスが女王に叫ぶ台詞だ…。あの女王があんな事を言われて怒り狂わないはずが無い」
グレーテル「じゃあお千代ちゃんは……ワザとトランプおばさんを怒らせるために……?」
ヘンゼル「だろうね。元々癇癪持ちの女王だ、怒り狂えば正確な判断が出来ないだろうから…それを狙ったんだろうね。もう、戦いは避けられそうにないし…その為だろうね」
ハートの女王「あやつは決して言ってはならぬ事を言った!もう勘弁ならん!今すぐに処刑だ!首を刎ねてやる!」
司書「御存じですか?あなたは何度も『処刑せよ』『首を刎ねよ』って言いますけど、実際に処刑も斬首も行われてませんよ?王様が全てナイショで赦免してますから」
ハートの女王「なっ!?ぐ、ぐぎぃぃ…!!」
司書「旦那様を少しも疑うことなく信じきっているんですから実はピュアな一面もあるんですね。そういえばそんなに怒りっぽいのにタルト作るのお好きなんですよね?」
司書「意外ですけど家庭的で素敵な趣味ですよね。それと権力を振りかざしてでもクロッケーに勝ちたいってところも子供っぽくて、私は可愛らしいと思います」ニコニコ
ハートの女王「〜〜〜っ!!」ギイィィィィ
ヘンゼル「あのおばさんも相手が悪いよ。千代は司書なんだから……童話の事は隅から隅まで知り尽くしている」

700 :◆oBwZbn5S8kKC :2017/05/24(水)00:18:44 ID:iAZ
ヘンゼル「でも、挑発はもう十分だ。あれだけ怒り狂ってれば判断力もかなり鈍っているだろう、千代もそれは解っているハズなのに……どうして挑発をやめないんだろう?」
グレーテル「なんでかな…?でもお千代ちゃんの事だから……なにか考えがあるんだと思う……」
ハートの女王「キイイィィィ!!忌々しい!忌々しい!一体何なのだこの女は!?何故こうも的確に私の怒りに触れるのだこの女は!!」ボカボカ!!
白ウサギ「じょ、女王様!聞く耳を持ってはいけません!あの女は明らかに女王様を挑発しようとしt…痛い痛い痛い!耳がちぎれるちぎれる!ちぎれますって!」グワー
ハートの女王「えぇい!あの女をなんとかしろこの役立たずめ!耳を引っこ抜いてミートパイにしてやっても構わんのだぞ!」
トランプ兵達「「「MEAT PIE WA IISUGI DAYONE…」」」ザワザワ
ハートの女王「黙れ黙れ!お前達も他人ごとではないのだぞ!主人である私がここまで侮辱されているのに、何故奴を殺してやろうと飛び出す者が一人もいないのだ!?」ムキー
トランプ兵達「「「SOU MOUSAREMASITEMO…」」」
ハートの女王「えぇい、もうよい!何をグズグズしておる!一刻も早くあの女を殺すのだ!そうでなければ貴様等の首を刎ねるぞ兵隊ども!!」
司書「そんな風に怒鳴るのはやめたほうがいいと思いますよ?実は皆さん、本心ではあなたの事を良く思っていないのに……これ以上嫌われれば信頼も地に落ちて威厳も失墜しt」
ハートの女王「やかましい!貴様はもう口を開くな!!」
司書「……」フイッ
ハートの女王「ぐぬぬ…!この私の命令を無視するとは…!!キイイィィィッ!!許せぬっ!!」ギギギィ
チラッ
グレーテル「お千代ちゃん……今、こっち見たよね……?」
ヘンゼル「見たね…。そして残念なことに、僕には千代が何をしようとしてるのか解ってしまったよ……まぁ付き合うけどさ」ハァ…

701 :◆oBwZbn5S8kKC :2017/05/24(水)00:22:59 ID:iAZ
ハートの女王「えぇい!なぶり殺しにしてやろうと思っていたがもう知らぬ!トランプ兵共!即刻、戦闘態勢に入れ!」ビッ
トランプ兵「「「Yes my lord!!」」」ズラッ
司書「……」ザッ
ハートの女王「ホッホッホッ!隊列を整えた我が軍を前にしてようやく黙り込んだか!恐ろしかろう!まさに絶望であろう!だが今更怖気づいても遅いわ!」ホーッホッホッホッ
司書「大丈夫です、怖気づいてなんかいませんから」
ハートの女王「フンッ、虚勢も大概にしろ!この圧倒的な兵力差!そしてお前は戦う力を持たぬ足手まとい!この劣勢を覆す事などできず、そのまま死にゆくのだ!」
ハートの女王「私はあの酔狂な女と違って甘くはないのでな、お前がいくら無様に命乞いをしたところで許すつもりは無い。大人しく死を受け入れて絶望に沈むが良い!」
司書「うふふっ、無茶を言わないでください。トランプに命乞いなんかできません」
ハートの女王「貴様…!どうやら悔いるつもりは一切無いようだな!」
司書「そうですね、悔いる必要がありません。むしろ雪の女王様への数々の侮辱を全部まとめて悔いて欲しいくらいですよ、ハートの女王……いいえ」
司書「私もヘンゼルやグレーテルの様に『トランプおばさん』と呼んだ方が良いですか?」ウフフ
ハートの女王「そんなに死にたいのならば止めはせんわ!だがその軽口…次は貴様自身の命を失う事になるぞ女ァ!」ギロリ
ハートの女王「トランプ兵共!貴様等の主、ハートの女王が命じる!圧倒的な力の元、あの無礼な女の首を刎ねてしまえ!!」バッ

702 :◆oBwZbn5S8kKC :2017/05/24(水)00:25:58 ID:iAZ
トランプ兵「「「Yes my lord!!」」」バババッ
ハートの女王「散開せず、一斉攻撃を仕掛けよ!恐れる事は無い!あの女は丸腰!武器も魔法の力も持たないあの女に反撃の術などないのだからな!」
ハートの女王「あの女を直接殺した者には望むままの報酬を約束してやる!さぁ殺せ!一刻も早く、王族に仇なすあの女を殺してしまえ!!」
ウオォォォォ!!
司書「こうして改めて見ると壮観ですね…。流石は【不思議の国のアリス】のハートの女王、立派な軍隊を持ってます」ボソッ
トランプ兵「Target Lock-on…!!」ジャキッ
司書「でも、兄妹が頑張ってるのに私だけ何もしないなんて…そんなのありえないんよっ!」ババッ
プシューッ
トランプ兵達「「NUWA-!MEGA…MEGAAAAA!!!」」ジタバタ
他のトランプ兵達「「YABEE! SANKAI SIRO! ITIMOUDAJIN NI SARERUZO!!」」
ハートの女王「チィ…目潰しか!?小癪な足掻きを…!えぇい怯むな怯むな!!散らばっては相手の思うツボだ、一丸となって攻撃を仕掛けよ!!」
ZAWAZAWA ZAWAZAWA
ハートの女王「ぐぬぬ…兵共が統率を失いつつある…!チェシャ猫の奴め!千代という女は魔法具を所有していないと言っていたが、強力な魔法具を持っているではないか!」ギリッ
司書「これは魔法具じゃありませんよ。現実世界にあるうちの近所のドンキホーテで購入した催涙スプレーですっ!」プシューッ

703 :◆oBwZbn5S8kKC :2017/05/24(水)00:36:40 ID:iAZ
トランプ兵達「「「GYAAAAA!!MEGA ITEEEEE!!」」」ジタバタ
ハートの女王「ぐぬぬ…!現実世界の道具ごときで我が兵が無力化されるとは…!」ギリッ
司書「すごいですよね、私も始めは驚きました。でも科学の力ってすごいですから、おとぎ話の世界の魔法に匹敵すると言っても過言じゃないですっ!」プシューッ
トランプ兵「「……GUNUNU」」ジリジリ
ハートの女王「えぇい何を攻めあぐねている!数を生かして取り囲め!!目がつぶれている奴を盾にしてでも近づけ!!」
トランプ兵達「「Yes my lord!!」」スススッ
司書「味方を盾にするなんて、酷いことしますね…。私には考えられないです……あっ!」グイッ
トランプ兵「YOSI!!MORATTA…!」ガシッ
ハートの女王「よしっ!腕をつかんだか!あの華奢な腕では振りほどく事など出来まい!さらにあの姑息な道具は使えぬ!このまま一気に仕留めてしまえ!!」
トランプ兵「OMAKASE KUDASAI! my lord!!」
司書「……。腕を掴まれた場合は手のひらを開いて、返し……引きぬくっ!」スパッ
ハートの女王「なんだと!?あの馬鹿めが…!何を容易く逃げられているのだ!!貴様の首を刎ねてやろうか!?」
トランプ兵「SONNA!? TASHIKANI SIKKARI NIGITTEITANONI!?」
司書「今のは少し危なかったかも…。でも良かった、全て終わったらちゃんと裸王様にお礼を言っておかなきゃ」

704 :◆oBwZbn5S8kKC :2017/05/24(水)00:48:32 ID:iAZ
ハートの女王「ぐぬぬ…先程からちょこざいな小細工ばかりしおって…!大人しく殺されればいいものを!」
司書「そうはいきません。催涙スプレーも裸王様直伝の護身術も、戦う手段を持たない私が身を守るための手段なんですから」ババッ
ハートの女王「えぇい!奴を調子に乗らせるな!もう誰が手柄をとったかなどどうでもよい!手近に居る者で一斉に襲い掛かってしまえ!」
司書「それじゃあ今度は…これです」ビッ シュッ
ピロロロロロロロロロッ!!
トランプ兵「「「UOO…!!URUSEEEEEE!!NANDA KOREHA!?」」」
ハートの女王「今度はやかましい機械を…また現実世界の道具か!?正々堂々と戦うという事が出来んのか貴様は!卑怯だぞ女ァ!!」ギリギリ
司書「えーっ…あなたには卑怯とか言われたくないですよ…」シュッ ピロロロロロロロロ
ハートの女王「えぇい、腹の立つ…!口先で散々この女王をコケにしておきながらいざ戦うとなれば時間稼ぎの様な真似ばかりしおって!!」
白ウサギ「時間稼ぎ…?し、しまった…!女王様!!ヘンゼルとグレーテルは…あの子供達は何処です!?」
ハートの女王「そんなもの私が知るわけないだろう!あんなガキ共どうでもいい!今はあの無礼な女を殺す事を最優先にすべきだろう!!」
白ウサギ「そ、それが連中の狙いだったんですよ!あの女には始めから私達と戦う気なんか無いんです!?女王様を怒らせて自らが標的になる事が目的…!」

705 :◆oBwZbn5S8kKC :2017/05/24(水)00:58:55 ID:iAZ
ハートの女王「なんだと!?つまり、どういうことだ!?答えろ白ウサギ!!」
白ウサギ「ですから彼女は囮なんです!女王様が彼女を殺そうと躍起になっている間、兵士達の合間を縫ってあの子供達がーー」
ヒョコッ
グレーテル「あの子供、じゃないよ……『グレーテル』だよ……。覚えてね……?」バッ
ハートの女王「ガキ共…!いつの間にこんなに近くまでーー!?」
ヘンゼル「…まったく、こんな作戦を勝手に進めるなんて千代も僕の事言えないじゃないか」ブツブツ
白ウサギ「女王様!妹の方は何もできませんが兄の方は危険人物です!強力な魔力を打ち出してきます!どうか距離をとってください!!」
ハートの女王「言われずともわかっておる!トランプ兵共!あの女は後回しだ!防衛部隊は私を守れ!残りの部隊はガキ共を取り囲め!!」
トランプ兵達「「「Yes my lord!!」」」ザザッ
グレーテル「あらら……あっという間に囲まれちゃったね……」
ヘンゼル「そうだね。もう少しで苦労せずあのおばさんを倒せたのに、惜しかったね」
ハートの女王「フンッ、ガキ共の浅知恵がこの女王に通用するはずがなかろう!!」ギロリ
ヘンゼル「いや、気づいたのは白ウサギでしょ?おばさんは全然気づかずにお千代にばっかり気をとられてたじゃないか」
グレーテル「やーいやーい……うっかりさん……」
ハートの女王「揃いも揃って貴様等…!」

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