神様「神様だっ!」 神使「神力ゼロですが・・・」
Part157
573: ◆8YCWQhLlF2 :2021/01/05(火) 00:16:57 ID:Ejl.vlV.
――― 宝物庫
ギー
神使「あっ、神様」
主神「少女さんの方はどうでした?」
神様「ん? あ~ モノノケ達を見て興奮してる」
巫女「・・・・・・。 そうですか」
神様「良い子だよ。 人のかわゆいところを凝縮したみたいだ」
巫女「?」
574: ◆8YCWQhLlF2 :2021/01/05(火) 00:17:43 ID:Ejl.vlV.
神様「取りあえず今日の所は帰ろうぜ。 眠くなってきた」
主神「そうですね。 よろしければ巫女さん達も山ノ神社へ来ませんか?」
巫女「え?」
主神「今後のこともありますし、よろしいですよね神様?」
神様「私はOKよ。 部屋もいっぱいあるし」
巫女「ありがとうございます。 でも今日は二人で自宅に帰ります」
神様「近いの?」
巫女「はい。 ここからですと歩いて5分くらいですので」
神様「んじゃ、途中まで一緒に帰ろ?」
巫女「その前に、モノノケ達を戻してきます。 流石にこのままではマズいので」ニコッ
575: ◆8YCWQhLlF2 :2021/01/05(火) 00:18:17 ID:Ejl.vlV.
――― 帰り道
テクテク
少女「―― それで、マシュマロのモノノケがね――」キャッ キャッ
巫女「そうなんですか?」フフフ
テクテク
神使「巫女さんと少女さんはとても仲が良いようですね」
神様「少女ちゃんはツンツンしないで普段から笑顔でいれば良いのにな」
576: ◆8YCWQhLlF2 :2021/01/05(火) 00:18:50 ID:Ejl.vlV.
巫女「それでは皆さん、私達はここで」
主神「土日はゆっくり休んで頂いて、週明けはいつも通り神社に来て頂けますよね?」
巫女「ありがとうございます。 週明けは時間通り出勤します」ニコッ
神様「少女ちゃんも、また来週学校で」
少女「そうね」
神様「なんか冷たくね?」
少女「そう? いつも通りだけど」
神様「・・・・・・。 そうだ、良いもの上げる」ゴソゴソ
少女「?」
577: ◆8YCWQhLlF2 :2021/01/05(火) 00:19:42 ID:Ejl.vlV.
神様「はい、これ」スッ
少女「お守り?」
神様「まぁ、御利益無いんだけど持ってて欲しいなぁ~って」
少女「・・・・・・」
神様「もらってよ~」スリスリ
少女「わ、分かったよ」
巫女「それでは、失礼いたします。 今日はありがとうございました」フカブカ
テクテク
神様「バイバ~イ!」
578: ◆8YCWQhLlF2 :2021/01/05(火) 00:20:14 ID:Ejl.vlV.
神様「さてと、私達も帰りますかね」
主神「この後はどうするつもりなんですか?」
神様「あ?」
主神「流石に巫女さん達をモノノケの世界に、って事はないですよね?」
神使「ご安心を。 神様が首を突っ込んで起こした事態を放っておくはずありません。 ね、神様?」
神様「良く分かってんじゃん。 ここはパイセンの為に一肌脱ぎますかね」ニヤッ
神使「うっ・・・」
神様「うっ! って何だよ!」ゲシッ
主神「ちなみに、どんな作戦なんです?」
神様「主神さぁ、ちょっと教えてもらいたい場所があるんだけど」
主神「?」
579: ◆8YCWQhLlF2 :2021/01/05(火) 00:21:01 ID:Ejl.vlV.
ことよろ!
581: ◆8YCWQhLlF2 :2021/01/10(日) 23:41:38 ID:Uv.i5s9o
――― 翌日朝
神使「おはようございます」テクテク
主神「おはようございます神使さん。 ゆっくり眠れましたか?」
神使「お陰様で。 神様の姿が見当たらないのですがご存じありませんか?」
主神「神様でしたら朝一で神宮に行きましたよ」
神使「神宮!?」
主神「神宮資産管理銀行に用があるとか」
神使「そういえば、昨日主神さまに場所を聞いていましたね」
主神「新幹線を使えば片道2時間ですし、明日には戻ると言ってました」
神使「神様は新幹線に乗るほどお金は持っていないと思うのですが」
582: ◆8YCWQhLlF2 :2021/01/10(日) 23:43:09 ID:Uv.i5s9o
主神「そうなんですか? グリーン車の切符をクレジットカードで買ってましたけど」
神使「グリーン車!? クレジットカード!?」
ゴソゴソ
主神「?」
神使「・・・・・・。 私のクレジットカードがない」
主神「神様は自分のカード使ったのでは?」
神使「神様のカードはすでに限度額を超えているので使えません」
主神「でも、クレジットカードって他人の物は使えないですよね?」
神使「それが私のカードの暗証番号がバレているんです」
主神「あ~・・・ それで窓口でなく不慣れな券売機で買ってたんですね」
神使「悪知恵ばかり覚えて・・・ バレたら捕まりますよ」ハァ
583: ◆8YCWQhLlF2 :2021/01/10(日) 23:44:16 ID:Uv.i5s9o
――― 神宮・地下特別個室
神様「ほぇ~ 神宮の地下にこんな場所あったんだ・・・」トテトテ
守衛「こちらの部屋となります」
ギー
神様「ここ? ただの応接室みたいだけど、本当に銀行?」キョロキョロ
守衛「私も詳しくは知らされておりませんので。 こちらにご案内するようにと」
神様「ふ~ん。 そうなんだ」
守衛「それでは失礼致します。 すぐに係の者が参りますので」
バタン
584: ◆8YCWQhLlF2 :2021/01/10(日) 23:45:02 ID:Uv.i5s9o
神様「何か思ってたのと違うな」
コンコン
神様「? どうぞ~」
ガチャッ
「失礼致します」フカブカ
神様「A子ちゃん!?」
A子「あっ、神ちゃんだ」
神様「こんな所で何してんの・・・ あっ、飲み物ならコーラでお願い」
A子「そんなの自分で買ってきなよ」
神様「・・・本当に何しに来たの? ここは神宮の巫女でも立入禁止っぽいけど」
585: ◆8YCWQhLlF2 :2021/01/10(日) 23:45:41 ID:Uv.i5s9o
A子「え? 資産管理銀行のお客さんが来てるって聞いたんだけど」
神様「それ私」
A子「合ってんじゃん」
神様「まさかとは思うけど、A子ちゃんが銀行の人?」
A子「そだよ。 私が掛け持ちで神宮資産管理銀行の担当してるの」
神様「またまた~ A子ちゃんが銀行の管理? 冗談でしょ、しかも掛け持ちって」
A子「失礼だなぁ。 前の大宮司が辞める前に引き継いだんだよ」
神様「なんでA子ちゃんなんかに・・・」
A子「だって顧客は一人しか居ないし、やることないから楽だって。 月1500円の手当も付くし」
神様「安っす!」
586: ◆8YCWQhLlF2 :2021/01/10(日) 23:46:26 ID:Uv.i5s9o
A子「銀行のたった一人のお客さんって神ちゃんだったんだ」
神様「そうなの? 私だけの銀行ってなんか凄くね!?」
A子「で、何の用?」
神様「銀行に来たんだから目的は一つ! お金を下ろしたいの」
A子「いくら?」
神様「逆に残高っていくらあるの?」
A子「いくらでも言って!」
神様「さすがA子ちゃん! 格好いい~」
A子「ドヤサッ!」フンスッ
神様「じゃ、じゃぁ取りあえず10億円くらい下ろそっかなぁ~」クネクネ
587: ◆8YCWQhLlF2 :2021/01/10(日) 23:47:08 ID:Uv.i5s9o
A子「それは無理だよ。 何言ってんの?」
神様「だ、だよね~ んじゃ1億円くらいならどう?」
A子「無理無理」ハァ
神様「そっか~ その位はいけると思ったんだけど・・・ んじゃ1千万円で!」
A子「だから無理だって」
神様「え? その位は流石にあるでしょ。 明治時代までの資産を全部入れてあると思うんだけど」
A子「そうじゃなくて、現金は1円もないんだって」
神様「?」
A子「実際の現金はないから、振り込みだけで対応するの」
588: ◆8YCWQhLlF2 :2021/01/10(日) 23:47:55 ID:Uv.i5s9o
神様「つまり・・・ どういう意味?」
A子「どういう意味だろ?」
神様「何かマニュアルとかそんな感じの書類はない?」
A子「これ」ドサッ
神様「おう・・・ 結構あるね」
A子「資産表と売却先のリストだって」
神様「売却?」
A子「資産管理銀行で必要になったお金はここに載ってる資産表の中から売却して現金化するらしいよ」
神様「あ~ そういう事ね」
589: ◆8YCWQhLlF2 :2021/01/10(日) 23:48:45 ID:Uv.i5s9o
A子「どれ売る?」
神様「うわっ、神宮本庁とかあるけどこれって売っていいの?」
A子「売却先は日本国政府のみだって。 でも売ったら3兆円だよ!」
神様「さんちょう・・・」ゴクリ
Aこ「でも、これはダメだよ? 売っちゃったら私無職になっちゃうし」
神様「だよね~ 私も無職になっちゃうか。 あっ、これなんかどう?」
A子「参伍報告文書? なにこれ」
神様「通称みこ書」
A子「巫女書?」
590: ◆8YCWQhLlF2 :2021/01/10(日) 23:49:20 ID:Uv.i5s9o
神様「そう。 昔、悪代官から没収した金銀財宝を保管してある場所が記載された報告書」
A子「埋蔵金のありかが書いてある文書って事? なんで巫女書なの?」
神様「私が率いる巫女軍団が起こした反乱だから。 巫女で参伍、なんちゃって」ウヒャヒャ
A子「ふ~ん。 うわっ! 資産見積もり20~50億だって!」
神様「いいね~」
A子「こんな大金何に使うの?」
神様「ちょっと古い神社を建て直したくてさぁ」
A子「今の時代に神社なんて立て直さなくても。 元取れないよ?」
神様「まぁね~ そこも悩みの種でさ」
A子「これだけのお金使うなら少し変わった神社がいいなぁ」
神様「変わったって?」
A子「例えば―――」
592: ◆8YCWQhLlF2 :2021/01/18(月) 22:29:29 ID:hmERLUJs
――― 翌日・山ノ神社
ガラガラ
神様「たでーま~」
神使「・・・・・・」
神様「おや神使君。 出迎えご苦労」
神使「返して頂けますか?」スッ
神様「?」
神使「私のクレジットカード」
神様「っ!」ビクッ
神使「新幹線のグリーン車代と、食費、買い物代の合わせて6万5千円は天引きです」
神様「あい・・・」
593: ◆8YCWQhLlF2 :2021/01/18(月) 22:32:05 ID:hmERLUJs
――― 本殿
ギー
主神「神様、お戻りでしたか」
神様「うん、今戻ったところ。 何か変わったことは?」
主神「一点、少しマズいことが・・・」
神様「何か問題でもあったか?」
主神「うちのご神体がすり替わっているんです」
神様「っ!」ビクッ
594: ◆8YCWQhLlF2 :2021/01/18(月) 22:33:07 ID:hmERLUJs
主神「で、神様の部屋から同じ牛さんの象が出てきました。 こんなに沢山」
ゴロゴロッ
神様「・・・・・・」
主神「全部に“予備”ってシールが貼ってあります。 何の予備でしょう?」
神様「ちょっと何を言っているのか難しくて分からないですね」
主神「私の貯めた神力」ボソッ
神様「オーケー。 取り引きしよう」
主神「取り引き?」
神様「実はうまい話があるんだよ」ズイッ
主神「そ、それはどうのような・・・」
神様「聞くか?」ニヤッ
595: ◆8YCWQhLlF2 :2021/01/18(月) 22:33:54 ID:hmERLUJs
――― 夜・社務所
神様「ん~・・・」
神使「どうされたんです?」
神様「あ? 勉強してんだよ。 来月試験だし」
神使「神様が勉強!?」
神様「何その失礼なリアクション。 こう見えて私は勉強大好きっ子だぜ?」
神使「はじめて聞きました・・・ でも、どうしてそんなに本気出してるんです?」
神様「負けられない戦いがそこにあるから」キリッ
神使「・・・・・・。 そうですか、まぁ頑張って下さい」
神様「夜食は生牡蠣20個でいいや」
神使「それ夜食で出すメニューじゃないですよね・・・」
596: ◆8YCWQhLlF2 :2021/01/18(月) 22:34:48 ID:hmERLUJs
――― 週明け・山ノ神社
神様「おっはよ~」トテトテ
主神「あっ、神様・・・」
神様「お昼のお弁当くれ」
主神「それが・・・」
神様「?」
神使「実は巫女さんが出勤してないようでして、今日はパンでも買って頂ければと」
神様「は?」
主神「携帯にも何度かかけたんですが連絡が取れず」
神使「疲れが溜って寝ているだけならいいのですが・・・」
神様「ん~ 取りあえず学校行ってくるわ。 何かあったら電話してくれ」タッタッタッ
597: ◆8YCWQhLlF2 :2021/01/18(月) 22:35:18 ID:hmERLUJs
――― 学校
ガラガラ
神様「」キョロキョロ
生徒A「あっ、神ちゃんおはよう」
神様「おは。 少女ちゃんは来てない?」
生徒A「少女ちゃん?」
神様「いつも一番に来てるし、いないって事は今日は休みか?」
598: ◆8YCWQhLlF2 :2021/01/18(月) 22:36:07 ID:hmERLUJs
生徒B「ねぇ、少女ちゃんって誰?」
神様「え?」
生徒A「別のクラスの子? でも聞いたことない名前だなぁ。 B子ちゃん知ってる?」
生徒B「知らないなぁ」
神様「・・・・・・」
生徒A「それより神ちゃん、今日の放課後サイセリアで―――」
神様「っ!」タッタッタッ
生徒B「ちょ、神ちゃん! どこ行くの!?」
599: 以下、名無しが深夜にお送りします :2021/01/19(火) 19:11:58 ID:npM2cJ9Q
わくわく
600: ◆8YCWQhLlF2 :2021/01/26(火) 02:05:40 ID:FoQtZErI
――― 10分後・海ノ神社
神様「お~い」タッタッタッ
神使「あっ、神様」
神様「どうだ?」
主神「本殿を中心に強力な結界が張られているようです」
神様「見たことない結界だな」
神使「もしかして巫女さんと少女さんはモノノケの世界に・・・」
神様「間違いないな。 向こうから結界を張ったんだろ」
主神「流石に我々では解除できそうに無いですね」
601: ◆8YCWQhLlF2 :2021/01/26(火) 02:06:28 ID:FoQtZErI
神使「巫女さん達はもうこちらに戻って来ないつもりなんでしょうか」
神様「どうして・・・ どうして黙って行っちゃうんだよ!!」クッ!
神使「神様・・・」
神様「な~んてね」ウヒャヒャ
主神・神使「・・・・・・」
神様「お前達二人で取りあえず金目になりそうな物だけ運び出せ」
神使「え!?」
神様「この神社、ぶっ潰すぞ」
神使「ど、どういう事ですか!?」
602: ◆8YCWQhLlF2 :2021/01/26(火) 02:07:39 ID:FoQtZErI
神様「言ったとおりだよ。 まずは海ノ神社を解体して更地にする」
神使「解体!? 更地になんかしてその後はどうするんですか?」
神様「遊園地にしようぜぇ~」
神使「・・・・・・」
神様「どちらにしろ解体は必要だし、近くに山ノ神社だってあるんだからここは必要ないだろ」
神使「いくら何でもこのタイミングで解体しなくても。 巫女さんと少女さんはどうするんですか」
神様「どうしようもないだろ。 主神、後は任せたぞ」
主神「え? あっ、はい・・・」
神使「・・・・・・」
神様「大丈夫だよ。 立派な遊園地にするから」
神使「そこを心配しているわけではないのですが・・・」
603: ◆8YCWQhLlF2 :2021/01/26(火) 02:11:04 ID:FoQtZErI
――― 翌週
ガガガガッ
神使「もうほとんど残っていませんね」
神様「解体って結構早いのな」
神使「神社の隣にあった建物も解体しているみたいですが?」
神様「あ~ 隣の土地を買ったから一緒に潰してる」
神使「え!?」
神様「なんかボロボロの空き家だったし、不動産屋に欲しいって言ったら売ってくれた」
神使「そんなに土地を広くしてどうされるんです? まさか本当に遊園地を作る気ですか!?」
神様「本気も本気、大マジよ。 有言実行、それが神ちゃんのモットー」
604: ◆8YCWQhLlF2 :2021/01/26(火) 02:11:54 ID:FoQtZErI
神使「そんなお金どこから・・・」
神様「心配すんなって。 私の隠し貯金を使っただけだから」
神使「・・・そのお金の出所は問題ないんですよね? これ以上の借金は本当に洒落になりませんよ?」
神様「大丈夫だよ。 ちゃんと銀行の人が手続きしてくれたんだから」
神使「だったら良いのですが」
神様「今日中に更地にして、明日からアトラクションの建設に入るぞ」
神使「こんな町中にジェットコースターは無理ですよ? 苦情ラッシュになりますから」
神様「そんなありふれたものなんか作らねーよ。 もっと独創的なアトラクションだよ」ニヒヒ
605: 以下、名無しが深夜にお送りします :2021/01/29(金) 17:01:06 ID:d8mtPwOk
妖怪ランド
607: ◆8YCWQhLlF2 :2021/02/04(木) 23:14:08 ID:prglVsVw
――― 翌月・山ノ神社
神様「ふぁ~ おはよ~」トテトテ
神使「おはようございます。 昨日も随分遅くまで勉強されていたようですね」
神様「まぁね~ あれ? 主神は?」キョロキョロ
神使「海ノ神社へ行かれました」
神様「そういえば、そろそろ完成だな」
神使「私には今だに何の施設なのか分からないですが」
神様「考えるんじゃない。 感じるんだよ」
神使「そうですか。 私にはまだ早すぎたようです」
神様「んじゃ、学校行ってくる。 帰りに海ノ神社に寄るって主神に言っておいて」タッタッタッ
神使「行ってらっしゃいませ・・・」
608: ◆8YCWQhLlF2 :2021/02/04(木) 23:14:59 ID:prglVsVw
――― 学校
神様「おはよ~さん」ガラガラ
生徒A「あっ、神ちゃん・・・」
ガヤガヤ
神様「ん? 何か騒がしいけど、どしたの?」
生徒A「神ちゃんの隣の空いている席を片付けて前に詰めるんだって」
神様「え?」
609: ◆8YCWQhLlF2 :2021/02/04(木) 23:15:50 ID:prglVsVw
先生「お~い、空き机の中に入っている教科書は誰のヤツだ?」
神様「先生」トテトテ
先生「おう、どうした? この教科書は神宮さんのヤツか?」
神様「いえ。 あの~ この席、もう少しこのままにしておいてもらえないでしょうか」
先生「そうは言ってもなぁ」
神様「せめて期末試験が終わるまではこのままに・・・」
生徒A「私からもお願いします」
生徒B「お願いします」
先生「まぁ、そこまで言うのであれば試験まではこのままでも構わないが・・・」
神様「ありがとうございます」ペコリ
610: ◆8YCWQhLlF2 :2021/02/04(木) 23:17:56 ID:prglVsVw
――― 昼休み
神様「ねぇ」
生徒A「な~に?」モグモグ
生徒B「お弁当ならあげないよ?」モグモグ
神様「え~ って、そうじゃなくて・・・ 空き席の件」
生徒A「あ~ 何となくだけどあの机は片付けちゃダメな気がして」
生徒B「私も。 なんか誰か座っていた気がするんだよね」
神様「・・・そう」
生徒A「でも、思い出せないんだよね~」
生徒B「そうそう。 出てきそうで出てこないモヤモヤした感じ、もしかして神ちゃんも?」
611: ◆8YCWQhLlF2 :2021/02/04(木) 23:18:31 ID:prglVsVw
神様「私は・・・ 私は覚えてる」
生徒A・B「え?」
神様「ここは、少女ちゃんの席」
生徒A「少女・・・ ちゃん?」
神様「負けず嫌いで、ちょっと短気で生意気な優等生」
生徒B「・・・・・・。 それ神ちゃんの事じゃないの?」
神様「いやいや、私は生意気じゃないし。 負けず嫌いでも短気でもないよ?」
生徒B「えっと・・・ そうなんだ」
612: ◆8YCWQhLlF2 :2021/02/04(木) 23:19:04 ID:prglVsVw
生徒A「少女ちゃん・・・かぁ」
生徒B「聞いたことあるような無いような~」ウーン
神様「私と期末試験の得点勝負の約束をしてるんだよ」
生徒A「試験・・・」ウッ
生徒B「明日だね・・・ なんか急に食欲がなくなってきたよ・・・」
神様「食欲がないならそのお弁当食べてあげようか?」
生徒A・B「お気遣い無く」
613: ◆8YCWQhLlF2 :2021/02/04(木) 23:19:54 ID:prglVsVw
――― 夕方/旧・海ノ神社
神様「お~い」タッタッタッ
主神「ご苦労様です。 もう下校の時間でしたか」
神様「おう。 犬ころも来てたんだ」
神使「はい。 完成と聞いたもので」
神様「出来はどうだ?」
主神「和をふんだんに取り入れた斬新な建物が良い感じです」
神様「ん~ 私的にはもう少し洋風テイストが良かったんだけど」
主神「施工が神宮建設ですから。 時間もありませんでしたし」
神様「多少は大目に見るか」
614: ◆8YCWQhLlF2 :2021/02/04(木) 23:20:38 ID:prglVsVw
神使「あの、それでここは一体どういう施設なのでしょうか?」
神様「ムフフ~ 聞きたいか?」
神使「それはまぁ」
神様「ここは“モノノケランド”だ!」ドヤッ
神使「・・・・・・。 はい?」
神様「モノノケと触れ合える斬新な施設」
主神「ちょ、ちょっと待って下さい」
神様「なに?」
主神「私は神様から“モーモーランド”と聞いていたのですが」
神様「モーモー? 何それ」
主神「え!?」
615: ◆8YCWQhLlF2 :2021/02/04(木) 23:21:24 ID:prglVsVw
神様「それ、ただの牧場じゃん」
主神「牧場じゃないんですか!?」
神様「こんな町中に牧場はないだろ。 常識で考えろって」
主神「・・・・・・」
神使「え~と・・・ どこからモノノケさん達を連れてくるんですか?」
主神「結界が張られてこちらの世界と分断されているかと思いますが」
神様「そだね」
神使「どうされるおつもりで?」
神様「結界を解除してもらえば良いじゃん」
主神「まぁそうなんですが、問題は私達では解除出来ない結界でして」
神様「張った本人が解除すれば良いだろうが」
主神「それが可能であれば苦労しないのですが」
616: ◆8YCWQhLlF2 :2021/02/04(木) 23:22:14 ID:prglVsVw
神様「確かに。 んじゃ巫女ちゃんと少女ちゃんを呼び戻しますか」
主神・神使「え!?」
神使「そんな事が出来るのですか!?」
神様「私が何の策もせずにあの二人を野放しにするとでも思った?」
神使・主神「はい」
神様「お前ら、後で電気あんま神ちゃんスペシャル10連ね」
神使・主神「・・・・・・」
神様「まぁ見てろって。 私のずる賢・・・ 神がかり的な力を刮目せよ!」スッ
主神「? 神様・・・ その牛の象って・・・」
617: ◆8YCWQhLlF2 :2021/02/04(木) 23:23:04 ID:prglVsVw
神様「我が守護の証を召還せし。 我が神力に応えよ!」ポワッ
主神「ちょ、神様! 待って! 私の神力! 待って~!!」
神様「神力全解放!」
ピカー
神使「あっ」
主神「う~・・・」
622: ◆8YCWQhLlF2 :2021/02/10(水) 01:34:52 ID:QKhM5ujc
シュン
少女「―――で、神ちゃんったら私に勝つんだって鼻息荒くしちゃって」
巫女「そうなんですか?」フフフ
少女「だから、私言ってやっ・・・ って、あれ?」キョロキョロ
巫女「?」クルッ
神様「ハロ~」
少女「神ちゃん!?」
巫女「しゅ・・・ 主神さまと神使さま!?」
主神「どうも、お久しぶりです」ペコリ
神使「ご、ご無沙汰しております」ペコリ
623: ◆8YCWQhLlF2 :2021/02/10(水) 01:35:37 ID:QKhM5ujc
少女「どうして神ちゃん達がモノノケの世界に!?」
神様「いやいや、逆だよ」
少女「?」
神様「ここ、人間の世界ですが」
少女「え?」
巫女「どうして・・・ 結界が機能していたはずですが・・・」
神様「私の神力を引き寄せて戻しただけなんだけどね」
巫女「引き寄せ・・・ どういう意味でしょうか?」
神様「少女ちゃんにあげた私のお守り」
少女「お守りって・・・」ゴソゴソ
624: ◆8YCWQhLlF2 :2021/02/10(水) 01:36:24 ID:QKhM5ujc
少女「もしかして、これ?」スッ
神様「そう、それ。 私の持ってるお守りの中で一番強力な神力を入れてあるヤツ」
巫女「まさか、神ちゃん様の神力を少女に持たせて召還したと?」
神様「ザッツライト!」
少女「どうして・・・」
神様「?」
少女「どうして私達を戻したの!」
625: ◆8YCWQhLlF2 :2021/02/10(水) 01:37:04 ID:QKhM5ujc
神様「決まってんじゃん。 明日は勝負の日だし」
少女「はぁ?」
神様「明日は期末試験だぜ」
少女「期末って・・・ そんな理由で?」
神様「そんなって失礼な。 私は受けた勝負はどんな事をしてでも勝つ!!」
少女「それって結界を壊してまですること?」
神様「すること」
巫女「このままだとまたモノノケがこちらの世界に・・・」
神様「大丈夫。 結界維持は手を打ってあるから」
巫女「?」
――― 宝物庫
ギー
神使「あっ、神様」
主神「少女さんの方はどうでした?」
神様「ん? あ~ モノノケ達を見て興奮してる」
巫女「・・・・・・。 そうですか」
神様「良い子だよ。 人のかわゆいところを凝縮したみたいだ」
巫女「?」
574: ◆8YCWQhLlF2 :2021/01/05(火) 00:17:43 ID:Ejl.vlV.
神様「取りあえず今日の所は帰ろうぜ。 眠くなってきた」
主神「そうですね。 よろしければ巫女さん達も山ノ神社へ来ませんか?」
巫女「え?」
主神「今後のこともありますし、よろしいですよね神様?」
神様「私はOKよ。 部屋もいっぱいあるし」
巫女「ありがとうございます。 でも今日は二人で自宅に帰ります」
神様「近いの?」
巫女「はい。 ここからですと歩いて5分くらいですので」
神様「んじゃ、途中まで一緒に帰ろ?」
巫女「その前に、モノノケ達を戻してきます。 流石にこのままではマズいので」ニコッ
575: ◆8YCWQhLlF2 :2021/01/05(火) 00:18:17 ID:Ejl.vlV.
――― 帰り道
テクテク
少女「―― それで、マシュマロのモノノケがね――」キャッ キャッ
巫女「そうなんですか?」フフフ
テクテク
神使「巫女さんと少女さんはとても仲が良いようですね」
神様「少女ちゃんはツンツンしないで普段から笑顔でいれば良いのにな」
576: ◆8YCWQhLlF2 :2021/01/05(火) 00:18:50 ID:Ejl.vlV.
巫女「それでは皆さん、私達はここで」
主神「土日はゆっくり休んで頂いて、週明けはいつも通り神社に来て頂けますよね?」
巫女「ありがとうございます。 週明けは時間通り出勤します」ニコッ
神様「少女ちゃんも、また来週学校で」
少女「そうね」
神様「なんか冷たくね?」
少女「そう? いつも通りだけど」
神様「・・・・・・。 そうだ、良いもの上げる」ゴソゴソ
少女「?」
577: ◆8YCWQhLlF2 :2021/01/05(火) 00:19:42 ID:Ejl.vlV.
神様「はい、これ」スッ
少女「お守り?」
神様「まぁ、御利益無いんだけど持ってて欲しいなぁ~って」
少女「・・・・・・」
神様「もらってよ~」スリスリ
少女「わ、分かったよ」
巫女「それでは、失礼いたします。 今日はありがとうございました」フカブカ
テクテク
神様「バイバ~イ!」
神様「さてと、私達も帰りますかね」
主神「この後はどうするつもりなんですか?」
神様「あ?」
主神「流石に巫女さん達をモノノケの世界に、って事はないですよね?」
神使「ご安心を。 神様が首を突っ込んで起こした事態を放っておくはずありません。 ね、神様?」
神様「良く分かってんじゃん。 ここはパイセンの為に一肌脱ぎますかね」ニヤッ
神使「うっ・・・」
神様「うっ! って何だよ!」ゲシッ
主神「ちなみに、どんな作戦なんです?」
神様「主神さぁ、ちょっと教えてもらいたい場所があるんだけど」
主神「?」
579: ◆8YCWQhLlF2 :2021/01/05(火) 00:21:01 ID:Ejl.vlV.
ことよろ!
581: ◆8YCWQhLlF2 :2021/01/10(日) 23:41:38 ID:Uv.i5s9o
――― 翌日朝
神使「おはようございます」テクテク
主神「おはようございます神使さん。 ゆっくり眠れましたか?」
神使「お陰様で。 神様の姿が見当たらないのですがご存じありませんか?」
主神「神様でしたら朝一で神宮に行きましたよ」
神使「神宮!?」
主神「神宮資産管理銀行に用があるとか」
神使「そういえば、昨日主神さまに場所を聞いていましたね」
主神「新幹線を使えば片道2時間ですし、明日には戻ると言ってました」
神使「神様は新幹線に乗るほどお金は持っていないと思うのですが」
582: ◆8YCWQhLlF2 :2021/01/10(日) 23:43:09 ID:Uv.i5s9o
主神「そうなんですか? グリーン車の切符をクレジットカードで買ってましたけど」
神使「グリーン車!? クレジットカード!?」
ゴソゴソ
主神「?」
神使「・・・・・・。 私のクレジットカードがない」
主神「神様は自分のカード使ったのでは?」
神使「神様のカードはすでに限度額を超えているので使えません」
主神「でも、クレジットカードって他人の物は使えないですよね?」
神使「それが私のカードの暗証番号がバレているんです」
主神「あ~・・・ それで窓口でなく不慣れな券売機で買ってたんですね」
神使「悪知恵ばかり覚えて・・・ バレたら捕まりますよ」ハァ
583: ◆8YCWQhLlF2 :2021/01/10(日) 23:44:16 ID:Uv.i5s9o
――― 神宮・地下特別個室
神様「ほぇ~ 神宮の地下にこんな場所あったんだ・・・」トテトテ
守衛「こちらの部屋となります」
ギー
神様「ここ? ただの応接室みたいだけど、本当に銀行?」キョロキョロ
守衛「私も詳しくは知らされておりませんので。 こちらにご案内するようにと」
神様「ふ~ん。 そうなんだ」
守衛「それでは失礼致します。 すぐに係の者が参りますので」
バタン
584: ◆8YCWQhLlF2 :2021/01/10(日) 23:45:02 ID:Uv.i5s9o
神様「何か思ってたのと違うな」
コンコン
神様「? どうぞ~」
ガチャッ
「失礼致します」フカブカ
神様「A子ちゃん!?」
A子「あっ、神ちゃんだ」
神様「こんな所で何してんの・・・ あっ、飲み物ならコーラでお願い」
A子「そんなの自分で買ってきなよ」
神様「・・・本当に何しに来たの? ここは神宮の巫女でも立入禁止っぽいけど」
585: ◆8YCWQhLlF2 :2021/01/10(日) 23:45:41 ID:Uv.i5s9o
A子「え? 資産管理銀行のお客さんが来てるって聞いたんだけど」
神様「それ私」
A子「合ってんじゃん」
神様「まさかとは思うけど、A子ちゃんが銀行の人?」
A子「そだよ。 私が掛け持ちで神宮資産管理銀行の担当してるの」
神様「またまた~ A子ちゃんが銀行の管理? 冗談でしょ、しかも掛け持ちって」
A子「失礼だなぁ。 前の大宮司が辞める前に引き継いだんだよ」
神様「なんでA子ちゃんなんかに・・・」
A子「だって顧客は一人しか居ないし、やることないから楽だって。 月1500円の手当も付くし」
神様「安っす!」
586: ◆8YCWQhLlF2 :2021/01/10(日) 23:46:26 ID:Uv.i5s9o
A子「銀行のたった一人のお客さんって神ちゃんだったんだ」
神様「そうなの? 私だけの銀行ってなんか凄くね!?」
A子「で、何の用?」
神様「銀行に来たんだから目的は一つ! お金を下ろしたいの」
A子「いくら?」
神様「逆に残高っていくらあるの?」
A子「いくらでも言って!」
神様「さすがA子ちゃん! 格好いい~」
A子「ドヤサッ!」フンスッ
神様「じゃ、じゃぁ取りあえず10億円くらい下ろそっかなぁ~」クネクネ
587: ◆8YCWQhLlF2 :2021/01/10(日) 23:47:08 ID:Uv.i5s9o
A子「それは無理だよ。 何言ってんの?」
神様「だ、だよね~ んじゃ1億円くらいならどう?」
A子「無理無理」ハァ
神様「そっか~ その位はいけると思ったんだけど・・・ んじゃ1千万円で!」
A子「だから無理だって」
神様「え? その位は流石にあるでしょ。 明治時代までの資産を全部入れてあると思うんだけど」
A子「そうじゃなくて、現金は1円もないんだって」
神様「?」
A子「実際の現金はないから、振り込みだけで対応するの」
588: ◆8YCWQhLlF2 :2021/01/10(日) 23:47:55 ID:Uv.i5s9o
神様「つまり・・・ どういう意味?」
A子「どういう意味だろ?」
神様「何かマニュアルとかそんな感じの書類はない?」
A子「これ」ドサッ
神様「おう・・・ 結構あるね」
A子「資産表と売却先のリストだって」
神様「売却?」
A子「資産管理銀行で必要になったお金はここに載ってる資産表の中から売却して現金化するらしいよ」
神様「あ~ そういう事ね」
589: ◆8YCWQhLlF2 :2021/01/10(日) 23:48:45 ID:Uv.i5s9o
A子「どれ売る?」
神様「うわっ、神宮本庁とかあるけどこれって売っていいの?」
A子「売却先は日本国政府のみだって。 でも売ったら3兆円だよ!」
神様「さんちょう・・・」ゴクリ
Aこ「でも、これはダメだよ? 売っちゃったら私無職になっちゃうし」
神様「だよね~ 私も無職になっちゃうか。 あっ、これなんかどう?」
A子「参伍報告文書? なにこれ」
神様「通称みこ書」
A子「巫女書?」
590: ◆8YCWQhLlF2 :2021/01/10(日) 23:49:20 ID:Uv.i5s9o
神様「そう。 昔、悪代官から没収した金銀財宝を保管してある場所が記載された報告書」
A子「埋蔵金のありかが書いてある文書って事? なんで巫女書なの?」
神様「私が率いる巫女軍団が起こした反乱だから。 巫女で参伍、なんちゃって」ウヒャヒャ
A子「ふ~ん。 うわっ! 資産見積もり20~50億だって!」
神様「いいね~」
A子「こんな大金何に使うの?」
神様「ちょっと古い神社を建て直したくてさぁ」
A子「今の時代に神社なんて立て直さなくても。 元取れないよ?」
神様「まぁね~ そこも悩みの種でさ」
A子「これだけのお金使うなら少し変わった神社がいいなぁ」
神様「変わったって?」
A子「例えば―――」
592: ◆8YCWQhLlF2 :2021/01/18(月) 22:29:29 ID:hmERLUJs
――― 翌日・山ノ神社
ガラガラ
神様「たでーま~」
神使「・・・・・・」
神様「おや神使君。 出迎えご苦労」
神使「返して頂けますか?」スッ
神様「?」
神使「私のクレジットカード」
神様「っ!」ビクッ
神使「新幹線のグリーン車代と、食費、買い物代の合わせて6万5千円は天引きです」
神様「あい・・・」
593: ◆8YCWQhLlF2 :2021/01/18(月) 22:32:05 ID:hmERLUJs
――― 本殿
ギー
主神「神様、お戻りでしたか」
神様「うん、今戻ったところ。 何か変わったことは?」
主神「一点、少しマズいことが・・・」
神様「何か問題でもあったか?」
主神「うちのご神体がすり替わっているんです」
神様「っ!」ビクッ
594: ◆8YCWQhLlF2 :2021/01/18(月) 22:33:07 ID:hmERLUJs
主神「で、神様の部屋から同じ牛さんの象が出てきました。 こんなに沢山」
ゴロゴロッ
神様「・・・・・・」
主神「全部に“予備”ってシールが貼ってあります。 何の予備でしょう?」
神様「ちょっと何を言っているのか難しくて分からないですね」
主神「私の貯めた神力」ボソッ
神様「オーケー。 取り引きしよう」
主神「取り引き?」
神様「実はうまい話があるんだよ」ズイッ
主神「そ、それはどうのような・・・」
神様「聞くか?」ニヤッ
――― 夜・社務所
神様「ん~・・・」
神使「どうされたんです?」
神様「あ? 勉強してんだよ。 来月試験だし」
神使「神様が勉強!?」
神様「何その失礼なリアクション。 こう見えて私は勉強大好きっ子だぜ?」
神使「はじめて聞きました・・・ でも、どうしてそんなに本気出してるんです?」
神様「負けられない戦いがそこにあるから」キリッ
神使「・・・・・・。 そうですか、まぁ頑張って下さい」
神様「夜食は生牡蠣20個でいいや」
神使「それ夜食で出すメニューじゃないですよね・・・」
596: ◆8YCWQhLlF2 :2021/01/18(月) 22:34:48 ID:hmERLUJs
――― 週明け・山ノ神社
神様「おっはよ~」トテトテ
主神「あっ、神様・・・」
神様「お昼のお弁当くれ」
主神「それが・・・」
神様「?」
神使「実は巫女さんが出勤してないようでして、今日はパンでも買って頂ければと」
神様「は?」
主神「携帯にも何度かかけたんですが連絡が取れず」
神使「疲れが溜って寝ているだけならいいのですが・・・」
神様「ん~ 取りあえず学校行ってくるわ。 何かあったら電話してくれ」タッタッタッ
597: ◆8YCWQhLlF2 :2021/01/18(月) 22:35:18 ID:hmERLUJs
――― 学校
ガラガラ
神様「」キョロキョロ
生徒A「あっ、神ちゃんおはよう」
神様「おは。 少女ちゃんは来てない?」
生徒A「少女ちゃん?」
神様「いつも一番に来てるし、いないって事は今日は休みか?」
598: ◆8YCWQhLlF2 :2021/01/18(月) 22:36:07 ID:hmERLUJs
生徒B「ねぇ、少女ちゃんって誰?」
神様「え?」
生徒A「別のクラスの子? でも聞いたことない名前だなぁ。 B子ちゃん知ってる?」
生徒B「知らないなぁ」
神様「・・・・・・」
生徒A「それより神ちゃん、今日の放課後サイセリアで―――」
神様「っ!」タッタッタッ
生徒B「ちょ、神ちゃん! どこ行くの!?」
599: 以下、名無しが深夜にお送りします :2021/01/19(火) 19:11:58 ID:npM2cJ9Q
わくわく
600: ◆8YCWQhLlF2 :2021/01/26(火) 02:05:40 ID:FoQtZErI
――― 10分後・海ノ神社
神様「お~い」タッタッタッ
神使「あっ、神様」
神様「どうだ?」
主神「本殿を中心に強力な結界が張られているようです」
神様「見たことない結界だな」
神使「もしかして巫女さんと少女さんはモノノケの世界に・・・」
神様「間違いないな。 向こうから結界を張ったんだろ」
主神「流石に我々では解除できそうに無いですね」
601: ◆8YCWQhLlF2 :2021/01/26(火) 02:06:28 ID:FoQtZErI
神使「巫女さん達はもうこちらに戻って来ないつもりなんでしょうか」
神様「どうして・・・ どうして黙って行っちゃうんだよ!!」クッ!
神使「神様・・・」
神様「な~んてね」ウヒャヒャ
主神・神使「・・・・・・」
神様「お前達二人で取りあえず金目になりそうな物だけ運び出せ」
神使「え!?」
神様「この神社、ぶっ潰すぞ」
神使「ど、どういう事ですか!?」
602: ◆8YCWQhLlF2 :2021/01/26(火) 02:07:39 ID:FoQtZErI
神様「言ったとおりだよ。 まずは海ノ神社を解体して更地にする」
神使「解体!? 更地になんかしてその後はどうするんですか?」
神様「遊園地にしようぜぇ~」
神使「・・・・・・」
神様「どちらにしろ解体は必要だし、近くに山ノ神社だってあるんだからここは必要ないだろ」
神使「いくら何でもこのタイミングで解体しなくても。 巫女さんと少女さんはどうするんですか」
神様「どうしようもないだろ。 主神、後は任せたぞ」
主神「え? あっ、はい・・・」
神使「・・・・・・」
神様「大丈夫だよ。 立派な遊園地にするから」
神使「そこを心配しているわけではないのですが・・・」
603: ◆8YCWQhLlF2 :2021/01/26(火) 02:11:04 ID:FoQtZErI
――― 翌週
ガガガガッ
神使「もうほとんど残っていませんね」
神様「解体って結構早いのな」
神使「神社の隣にあった建物も解体しているみたいですが?」
神様「あ~ 隣の土地を買ったから一緒に潰してる」
神使「え!?」
神様「なんかボロボロの空き家だったし、不動産屋に欲しいって言ったら売ってくれた」
神使「そんなに土地を広くしてどうされるんです? まさか本当に遊園地を作る気ですか!?」
神様「本気も本気、大マジよ。 有言実行、それが神ちゃんのモットー」
604: ◆8YCWQhLlF2 :2021/01/26(火) 02:11:54 ID:FoQtZErI
神使「そんなお金どこから・・・」
神様「心配すんなって。 私の隠し貯金を使っただけだから」
神使「・・・そのお金の出所は問題ないんですよね? これ以上の借金は本当に洒落になりませんよ?」
神様「大丈夫だよ。 ちゃんと銀行の人が手続きしてくれたんだから」
神使「だったら良いのですが」
神様「今日中に更地にして、明日からアトラクションの建設に入るぞ」
神使「こんな町中にジェットコースターは無理ですよ? 苦情ラッシュになりますから」
神様「そんなありふれたものなんか作らねーよ。 もっと独創的なアトラクションだよ」ニヒヒ
605: 以下、名無しが深夜にお送りします :2021/01/29(金) 17:01:06 ID:d8mtPwOk
妖怪ランド
607: ◆8YCWQhLlF2 :2021/02/04(木) 23:14:08 ID:prglVsVw
――― 翌月・山ノ神社
神様「ふぁ~ おはよ~」トテトテ
神使「おはようございます。 昨日も随分遅くまで勉強されていたようですね」
神様「まぁね~ あれ? 主神は?」キョロキョロ
神使「海ノ神社へ行かれました」
神様「そういえば、そろそろ完成だな」
神使「私には今だに何の施設なのか分からないですが」
神様「考えるんじゃない。 感じるんだよ」
神使「そうですか。 私にはまだ早すぎたようです」
神様「んじゃ、学校行ってくる。 帰りに海ノ神社に寄るって主神に言っておいて」タッタッタッ
神使「行ってらっしゃいませ・・・」
608: ◆8YCWQhLlF2 :2021/02/04(木) 23:14:59 ID:prglVsVw
――― 学校
神様「おはよ~さん」ガラガラ
生徒A「あっ、神ちゃん・・・」
ガヤガヤ
神様「ん? 何か騒がしいけど、どしたの?」
生徒A「神ちゃんの隣の空いている席を片付けて前に詰めるんだって」
神様「え?」
609: ◆8YCWQhLlF2 :2021/02/04(木) 23:15:50 ID:prglVsVw
先生「お~い、空き机の中に入っている教科書は誰のヤツだ?」
神様「先生」トテトテ
先生「おう、どうした? この教科書は神宮さんのヤツか?」
神様「いえ。 あの~ この席、もう少しこのままにしておいてもらえないでしょうか」
先生「そうは言ってもなぁ」
神様「せめて期末試験が終わるまではこのままに・・・」
生徒A「私からもお願いします」
生徒B「お願いします」
先生「まぁ、そこまで言うのであれば試験まではこのままでも構わないが・・・」
神様「ありがとうございます」ペコリ
610: ◆8YCWQhLlF2 :2021/02/04(木) 23:17:56 ID:prglVsVw
――― 昼休み
神様「ねぇ」
生徒A「な~に?」モグモグ
生徒B「お弁当ならあげないよ?」モグモグ
神様「え~ って、そうじゃなくて・・・ 空き席の件」
生徒A「あ~ 何となくだけどあの机は片付けちゃダメな気がして」
生徒B「私も。 なんか誰か座っていた気がするんだよね」
神様「・・・そう」
生徒A「でも、思い出せないんだよね~」
生徒B「そうそう。 出てきそうで出てこないモヤモヤした感じ、もしかして神ちゃんも?」
611: ◆8YCWQhLlF2 :2021/02/04(木) 23:18:31 ID:prglVsVw
神様「私は・・・ 私は覚えてる」
生徒A・B「え?」
神様「ここは、少女ちゃんの席」
生徒A「少女・・・ ちゃん?」
神様「負けず嫌いで、ちょっと短気で生意気な優等生」
生徒B「・・・・・・。 それ神ちゃんの事じゃないの?」
神様「いやいや、私は生意気じゃないし。 負けず嫌いでも短気でもないよ?」
生徒B「えっと・・・ そうなんだ」
612: ◆8YCWQhLlF2 :2021/02/04(木) 23:19:04 ID:prglVsVw
生徒A「少女ちゃん・・・かぁ」
生徒B「聞いたことあるような無いような~」ウーン
神様「私と期末試験の得点勝負の約束をしてるんだよ」
生徒A「試験・・・」ウッ
生徒B「明日だね・・・ なんか急に食欲がなくなってきたよ・・・」
神様「食欲がないならそのお弁当食べてあげようか?」
生徒A・B「お気遣い無く」
613: ◆8YCWQhLlF2 :2021/02/04(木) 23:19:54 ID:prglVsVw
――― 夕方/旧・海ノ神社
神様「お~い」タッタッタッ
主神「ご苦労様です。 もう下校の時間でしたか」
神様「おう。 犬ころも来てたんだ」
神使「はい。 完成と聞いたもので」
神様「出来はどうだ?」
主神「和をふんだんに取り入れた斬新な建物が良い感じです」
神様「ん~ 私的にはもう少し洋風テイストが良かったんだけど」
主神「施工が神宮建設ですから。 時間もありませんでしたし」
神様「多少は大目に見るか」
614: ◆8YCWQhLlF2 :2021/02/04(木) 23:20:38 ID:prglVsVw
神使「あの、それでここは一体どういう施設なのでしょうか?」
神様「ムフフ~ 聞きたいか?」
神使「それはまぁ」
神様「ここは“モノノケランド”だ!」ドヤッ
神使「・・・・・・。 はい?」
神様「モノノケと触れ合える斬新な施設」
主神「ちょ、ちょっと待って下さい」
神様「なに?」
主神「私は神様から“モーモーランド”と聞いていたのですが」
神様「モーモー? 何それ」
主神「え!?」
615: ◆8YCWQhLlF2 :2021/02/04(木) 23:21:24 ID:prglVsVw
神様「それ、ただの牧場じゃん」
主神「牧場じゃないんですか!?」
神様「こんな町中に牧場はないだろ。 常識で考えろって」
主神「・・・・・・」
神使「え~と・・・ どこからモノノケさん達を連れてくるんですか?」
主神「結界が張られてこちらの世界と分断されているかと思いますが」
神様「そだね」
神使「どうされるおつもりで?」
神様「結界を解除してもらえば良いじゃん」
主神「まぁそうなんですが、問題は私達では解除出来ない結界でして」
神様「張った本人が解除すれば良いだろうが」
主神「それが可能であれば苦労しないのですが」
616: ◆8YCWQhLlF2 :2021/02/04(木) 23:22:14 ID:prglVsVw
神様「確かに。 んじゃ巫女ちゃんと少女ちゃんを呼び戻しますか」
主神・神使「え!?」
神使「そんな事が出来るのですか!?」
神様「私が何の策もせずにあの二人を野放しにするとでも思った?」
神使・主神「はい」
神様「お前ら、後で電気あんま神ちゃんスペシャル10連ね」
神使・主神「・・・・・・」
神様「まぁ見てろって。 私のずる賢・・・ 神がかり的な力を刮目せよ!」スッ
主神「? 神様・・・ その牛の象って・・・」
617: ◆8YCWQhLlF2 :2021/02/04(木) 23:23:04 ID:prglVsVw
神様「我が守護の証を召還せし。 我が神力に応えよ!」ポワッ
主神「ちょ、神様! 待って! 私の神力! 待って~!!」
神様「神力全解放!」
ピカー
神使「あっ」
主神「う~・・・」
622: ◆8YCWQhLlF2 :2021/02/10(水) 01:34:52 ID:QKhM5ujc
シュン
少女「―――で、神ちゃんったら私に勝つんだって鼻息荒くしちゃって」
巫女「そうなんですか?」フフフ
少女「だから、私言ってやっ・・・ って、あれ?」キョロキョロ
巫女「?」クルッ
神様「ハロ~」
少女「神ちゃん!?」
巫女「しゅ・・・ 主神さまと神使さま!?」
主神「どうも、お久しぶりです」ペコリ
神使「ご、ご無沙汰しております」ペコリ
623: ◆8YCWQhLlF2 :2021/02/10(水) 01:35:37 ID:QKhM5ujc
少女「どうして神ちゃん達がモノノケの世界に!?」
神様「いやいや、逆だよ」
少女「?」
神様「ここ、人間の世界ですが」
少女「え?」
巫女「どうして・・・ 結界が機能していたはずですが・・・」
神様「私の神力を引き寄せて戻しただけなんだけどね」
巫女「引き寄せ・・・ どういう意味でしょうか?」
神様「少女ちゃんにあげた私のお守り」
少女「お守りって・・・」ゴソゴソ
624: ◆8YCWQhLlF2 :2021/02/10(水) 01:36:24 ID:QKhM5ujc
少女「もしかして、これ?」スッ
神様「そう、それ。 私の持ってるお守りの中で一番強力な神力を入れてあるヤツ」
巫女「まさか、神ちゃん様の神力を少女に持たせて召還したと?」
神様「ザッツライト!」
少女「どうして・・・」
神様「?」
少女「どうして私達を戻したの!」
625: ◆8YCWQhLlF2 :2021/02/10(水) 01:37:04 ID:QKhM5ujc
神様「決まってんじゃん。 明日は勝負の日だし」
少女「はぁ?」
神様「明日は期末試験だぜ」
少女「期末って・・・ そんな理由で?」
神様「そんなって失礼な。 私は受けた勝負はどんな事をしてでも勝つ!!」
少女「それって結界を壊してまですること?」
神様「すること」
巫女「このままだとまたモノノケがこちらの世界に・・・」
神様「大丈夫。 結界維持は手を打ってあるから」
巫女「?」
神様「神様だっ!」 神使「神力ゼロですが・・・」
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