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神様「神様だっ!」 神使「神力ゼロですが・・・」

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Part158
626: ◆8YCWQhLlF2 :2021/02/10(水) 01:38:10 ID:QKhM5ujc

~~~
~~


――― 数日前・りんごちゃん神宮


 prrr prrr


狐娘「? 凄爺様、携帯が鳴っておりますが」

凄爺「四柱結界の維持で手が離せん。 代わりに出てくれ」

狐娘「わかりました」テクテク


 ピッ

狐娘「はい、凄爺さまの携帯です」

神様『あっ、もしもし? その声は狐娘ちゃん?』

狐娘「神ちゃんさま! ご無沙汰しております」

 凄爺「ん? クソガキからか?」


627: ◆8YCWQhLlF2 :2021/02/10(水) 01:38:54 ID:QKhM5ujc

神様『実はお願いがあってさぁ』

狐娘「お願い・・・ どのような?」

 凄爺「安請け合いはするでないぞ」


神様『新しく結界維持をお願いしたのがあって』

狐娘「追加の結界維持ですか?」

 凄爺「断れ」


神様『ちょっと見たことのない結界で定期的な維持も必要になる案件なんだよね~』

狐娘「神ちゃん様でも見たことのない結界なのですか?」

 凄爺「絶対に断れ」


628: ◆8YCWQhLlF2 :2021/02/10(水) 01:39:43 ID:QKhM5ujc

神様『凄爺って追加で結界維持お願い出来そう?』

狐娘「」チラッ

 凄爺「無理じゃ。 これ以上仕事増やされたら死ぬ」


狐娘「ちなみに、どのような結界なのでしょうか?」

神様『モノノケの世界と人間の世界の次元結界。 しかも結構複雑な術式』

狐娘「モノノケ!? 次元結界!?」

 凄爺「ふざけるな! そんなもの扱ったことなど無いわ!」


神様『何とかならないかなぁ。 困っている人とモノノケちゃん達がいてさぁ』

狐娘「それは困りましたね・・・」

 凄爺「おい、ヤツの口車に乗せられるんじゃないぞ!」


629: ◆8YCWQhLlF2 :2021/02/10(水) 01:41:36 ID:QKhM5ujc

神様『頼むよ~ ちゃんと埋め合わせはするから』

狐娘「・・・・・・」チラッ

 凄爺「狐娘! 替われ! ワシと電話を替われ!」


神様『うちの神使君がさぁ、狐娘ちゃんならきっと取り持ってくれるからって』

狐娘「先輩が!?」

神様『神使君がどうしても狐娘ちゃんにお願いしたいって』

狐娘「お任せ下さい! 凄爺さまは完璧にこなすとおっしゃっております!」

 凄爺「言っとらん!!」


神様『助かったよ。 ありがと、狐娘ちゃん』

狐娘「困ったときはお互い様です!」

神様『んじゃ、詳細は後でラインするねぇ~ それと神使君のベスト写真も送るわ』

狐娘「お待ちしております!!」キャッ キャッ


630: ◆8YCWQhLlF2 :2021/02/10(水) 01:42:14 ID:QKhM5ujc

 ピッ


狐娘「ゴホン」

凄爺「おい」

狐娘「私もお手伝いしますので。 がんばりましょう!」フンスッ

凄爺「ワシは助手の選定を間違えたか・・・」ハァ



~~
~~~



631: ◆8YCWQhLlF2 :2021/02/16(火) 06:13:06 ID:1VkqqWC.

――― 旧海ノ神社・裏手


巫女「本当にここが海ノ神社なんですか?」キョロキョロ

少女「面影が跡形もないんだけど」

神様「元・海ノ神社ね。 新しく観光施設に改造したけど」

少女「破産して神社を手放した私達に言う権利はないけど・・・ 神聖さゼロね」

神様「こう見えても神宮最高の最新設備なんですぜ」

巫女「設備?」

神様「まずは、あれ。 結界維持のための柱」


632: ◆8YCWQhLlF2 :2021/02/16(火) 06:15:03 ID:1VkqqWC.

巫女「随分と高さのある見事な御柱ですね」

神様「あれで青森から結界の維持と次元接続の管理を担うらしい」

巫女「次元接続?」

神様「人とモノノケの世界を柱の下にある小屋を通じて行き来可能」

巫女「まさか結界の解読をされたんですか!?」

神様「らしい」

巫女「そんな簡単には解読できないと思うのですが・・・」

神様「何か、すっげー大変だったって聞いた」

巫女「絶対に解除されないと思っていた自惚れが恥ずかしいです・・・」


633: ◆8YCWQhLlF2 :2021/02/16(火) 06:15:48 ID:1VkqqWC.

少女「で? それは向こうにある変ちくりんな建物は何の関係があるわけ?」

神様「分からないかなぁ~?」

少女「分かるわけないでしょ」

神様「商売だよ」

少女「は?」

神様「これ、いくらかかったと思う?」

少女「知らないけど・・・ 1千万くらい?」

神様「ここの整地で1億、結界維持の柱の建設が3億、少女ちゃん達の住居とか合わせたら8億もかかっているのだ!」

少女・巫女「8億!?」


634: ◆8YCWQhLlF2 :2021/02/16(火) 06:16:38 ID:1VkqqWC.

神様「そんだけつぎ込んだんだから、せめて元は取ってもらわないとね~」

少女「そんな大金一生かかっても返せないわよ。 一体私達に何させるつもりなのよ」

神様「簡単に言えば遊園地的なアトラクション管理のお仕事」

少女「遊園地?」

神様「まぁ百聞は一見にしかず。 当施設一番の目玉にご案内しま~す」トテトテ

巫女・少女「・・・・・・」


635: ◆8YCWQhLlF2 :2021/02/16(火) 06:17:42 ID:1VkqqWC.

――― 変な形の建物


主神「ようこそ、いらっしゃいませ!」

巫女「主神さま・・・ 何をしているのですか」

神様「主神にはこのアトラクション施設の館長を任せた」

主神「神様からは、モーモーランドの館長と聞いていたのですが」

神様「思い込みは良くないぞ」

主神「・・・・・・。 まぁ、どうぞ中へお入り下さい」

巫女「では・・・」テクテク

少女「おじゃまします」テクテク


 ギー


巫女・少女「!?」


636: ◆8YCWQhLlF2 :2021/02/16(火) 06:18:47 ID:1VkqqWC.


 ワチャワチャ


巫女「モノノケ達が・・・」

少女「いっぱいいる・・・」


神様「ここはモノノケ達とふれあえる“モノノケ友達館”!」

少女・巫女「・・・・・・」


神様「良いアイデアだと思わない?」

少女「いやいや」

巫女「モノノケ達は一体誰と触れ合うのでしょうか・・・」

神様「そりゃ人でしょ」


639: ◆8YCWQhLlF2 :2021/02/16(火) 21:59:52 ID:1VkqqWC.

少女「神ちゃん、自分で何を言ってるか分かってるの?」

神様「もちろん。 何か問題でも?」

少女「大問題よ! モノノケの存在が世間に知れ渡ったら大騒ぎになる!」

神様「本当にそう思う?」

少女「思う。 逆にそう思わない理由が見つからない」

神様「んじゃ、ここへ遊びに来た人は記憶を操作してから帰ってもらうとか」

少女「あのねぇ・・・ そんな事を一々出来るわけないでしょうが」ハァ

神様「え~ 今までモノノケ見た人の記憶をチマチマと操作してきたくせに~」

少女「それは・・・ 数が違いすぎるでしょ」

神様「本当に~?」チラッ

巫女「・・・・・・」


640: ◆8YCWQhLlF2 :2021/02/16(火) 22:00:53 ID:1VkqqWC.

神使「神様、何を考えているんですか?」

神様「ん? 私が考えるベストな選択肢が二つある」

巫女「それはどのような・・・」

神様「一つは、ここを訪れた人からモノノケの記憶を消してから帰す」

少女「さっきも聞いた。 論外ね」

神様「んじゃ、もう一つの方で」

少女「私達を帰して結界を張り直す。 そして、ここはオープンすることなく閉鎖」

神様「それは私的に論外なのよ」

巫女「ではどのような?」

神様「もう~ 分かってるくせに~」

少女「勿体つけずに言いなさいよ」


641: ◆8YCWQhLlF2 :2021/02/16(火) 22:01:56 ID:1VkqqWC.

神様「すでにかけられている暗示を解く」

巫女「!」ビクッ

少女「はぁ? どういう意味?」

神様「太古の昔から現在まで、超強力な暗示結界がかけられているんでしょ?」

主神・神使・少女「え!?」

神様「簡単に言えば、モノノケの存在は本来周知の事実ってこと」

神使「ちょっと待って下さい。 言っている意味が分からないのですが」

神様「分かれよ。 モノノケはこの世に存在しないって暗示がこの国全体にかけられているんだよ」

主神「そんな・・・ それだけの規模の暗示なんてかけられるのですか?」

神様「いや~ 凄いね巫女ちゃんは。 流石パイセン」

巫女「・・・・・・」


642: ◆8YCWQhLlF2 :2021/02/16(火) 22:02:48 ID:1VkqqWC.

少女「地神さま、こんな妄想に付き合う必要はないですよ。 ハッキリ言ってやって下さい」

巫女「・・・・・・。 神ちゃんさま、良くお気づきになられましたね」

少女「え!? 本当に!?」

巫女「仰るとおり、モノノケの存在は周知の事実です。 私が記憶操作をして封じています」

神様「ほら、言った通りじゃん。 どうよ私の推理は!」フンスッ

神使「正直ビックリしました・・・」

主神「正直ビックリしました・・・」

少女「正直ビックリしました・・・」

神様「正直ビックリしました・・・」

巫女「・・・・・・。 ビックリしました///」


643: 以下、名無しが深夜にお送りします :2021/02/16(火) 23:17:05 ID:qKTs4FGI
読んでてビックリしました…


644: 以下、名無しが深夜にお送りします :2021/02/17(水) 00:36:27 ID:VSb58K7I
    ∩ ∧_∧ ビクッ


645: 以下、名無しが深夜にお送りします :2021/02/17(水) 02:50:58 ID:VSb58K7I
   、ゞヾ∧""'∧


646: 以下、名無しが深夜にお送りします :2021/02/18(木) 13:29:54 ID:9IU9XDRQ
    ハ,,ハ
  ( ゚ω゚ )
  /     ヽ
  ||   | |
 ||   ||:ハ_ハ:
  し|  i |J ゚ω゚


647: ◆8YCWQhLlF2 :2021/02/23(火) 23:48:14 ID:VjDBbCrg

主神「でも、どうしてそんな事をしているのですか?」

巫女「それは・・・」

神様「ま、取りあえずはこの施設から少しずつ元の姿に戻していきましょ」

少女「ごめん、神ちゃんの目的が全く分からないんだけど」

神様「あ? 最初に言ったじゃん。 全ては明日のテスト勝負のためだって」

少女「あのね、今更私が学校なんかに行くわけないでしょ」ハァ

神様「何? 勝負するのが怖い? まぁ少女ちゃん負けちゃうもんねぇ~」

少女「はぁ?」キッ

神様「私、凄いよ? 超勉強したし」ニヤッ



648: ◆8YCWQhLlF2 :2021/02/23(火) 23:49:04 ID:VjDBbCrg

少女「学校のテストなんて普段の努力の積み重ねよ。 そんな付け焼き刃に私が負けるわけないじゃない」

神様「そんだけ威勢を張るなら勝負せーやー!」

少女「私がそんなベタベタな挑発にのると思ってるの?」

神様「最初に挑発してきたのはそっちだろーが!!」

神使「まぁまぁ、お二人とも冷静に」

少女「私は冷静よ」

神様「私なんて超冷静だし! 感情死滅してんかよ!ってくらい冷静だし!!」ムキー

神使「顔真っ赤ですが・・・」


649: ◆8YCWQhLlF2 :2021/02/23(火) 23:49:43 ID:VjDBbCrg

主神「えーと・・・ あっ、施設の案内をしますので巫女さんと少女さんどうぞこちらへ」テクテク

巫女「はあ、では。 少女も行きますよ」テクテク

少女「全く・・・ べ~~だっ!」テクテク

神様「べーべーべー!!」


神使「神様、そんな無理に白黒付けなくても」

神様「悪いど最初に白黒付けようって言ったのはあっちだからね?」

神使「だからってそんなに無理強いしなくても・・・ 少女さんも色々とあるでしょうし」

神様「そんな安い理由じゃねーよ」

神使「?」

神様「・・・・・・。 犬ころ、コーラ飲みたいから買ってきて!」


650: ◆8YCWQhLlF2 :2021/02/23(火) 23:50:20 ID:VjDBbCrg

――― 10分後・裏庭


神使「神様、どうぞ」スッ

神様「おっ、缶コーラじゃん。 ここの自販機は優秀だな」プシュッ

神使「神様の意思が働いたとしか思えないラインナップしか売っていませんでしたが」

神様「そういえば、私が指示したような気もする」ゴクゴク


神使「まさかモノノケの存在が当たり前の事実だったなんて未だに信じられません」

神様「本当だよ。 私の天才的な洞察力が無ければ解決できなかったわ」ゴクゴク


651: ◆8YCWQhLlF2 :2021/02/23(火) 23:52:16 ID:VjDBbCrg

神使「どうして暗示がかかっていると分かったんです?」

神様「まぁ、少し考えれば分かるはずだったんだよ」

神使「?」


神様「私は今まで妖怪とかお化け、幽霊なんかは見たことがない。 当然モノノケも」

神使「私もございませんね」

神様「じゃぁ、どうして居る居ないなんて噂が立つんだ?」

神使「?」


652: ◆8YCWQhLlF2 :2021/02/23(火) 23:59:15 ID:VjDBbCrg

神様「人は見たことないものは想像なんて出来ない」

神使「今回のように結界の歪みで偶然モノノケさんを見た人がいたのでは?」

神様「そのレベルなら、見たことのない人は存在の想像は難しいだろうなぁ」

神使「なるほど。 確かに私も見たことはありませんでしたが姿形の想像は何となく出来ました」

神様「つまり、全員モノノケ自体の概念は多少なり持っていたという事」

神使「巫女さんの結界が完全ではなかったという事でしょうか?」

神様「さぁね~ そうかも知れないし、わざとかも知れない・・・」

神使「存在自体はみんなに知ってもらいたかったのかも知れませんね」

神様「巫女ちゃんは私よりも年上だし、あまり深追いは出来ないけどな」


653: ◆8YCWQhLlF2 :2021/02/24(水) 00:00:13 ID:I1CEslkQ

神使「でも、それだけのヒントで良くそこまでたどり着けましたね」

神様「まぁ私は凄いって事だよ。 褒めて称えて牡蠣を献上せよ!!」カッカッカッ


 ??「神ちゃん様~」タッタッタッ


神様・神使「?」クルッ

狐娘「お久しぶりです」ペコリ

神使「狐娘さん!?」

狐娘「ご無沙汰しております神使先輩///」モジモジ

神様「・・・・・・」


654: ◆8YCWQhLlF2 :2021/02/24(水) 00:00:58 ID:I1CEslkQ

狐娘「神ちゃん様、先日は電話で失礼しました」ペコリ

神様「・・・・・・。 お、おう」

神使「どうして狐娘さんがこちらに?」

狐娘「結界維持の御柱の最終調整です」

神使「それはそれはご苦労様です」ニコッ

狐娘「はうっ!」ポッ

神様「んじゃ、私はちょっと向こうに用事があるんで」

狐娘「モノノケさんの暗示結界は上手く解けましたか?」

神様「!」ビクッ


655: ◆8YCWQhLlF2 :2021/02/24(水) 00:01:58 ID:I1CEslkQ

神使「え? もうこの国全体の結界を解かれたんですか?」

狐娘「いえいえ、そんな事をしたら大騒ぎですから」

神使「でも、今結界を解いたと」

狐娘「神ちゃん様にだけ結界を解いたんです」

神使「それはどういう事でしょうか?」

狐娘「凄爺様と結界解析をしていた時に強大な暗示結界を確認しまして、テスト的に神ちゃん様に暗示解除をしたんです」

神使「へぇ~ 神様にだけ暗示解除を。 そうだったんですか」ジー

神様「ま、まぁ暗示解除なんか無くても私には全てお見通しだったんだけどね」アセアセ

神使「へぇ~」


656: ◆8YCWQhLlF2 :2021/02/24(水) 00:03:10 ID:I1CEslkQ

神様「何ていうか・・・ そう、考察の補強をしただけ!」

神使「・・・・・・」ジー

神様「すいません、暗示解除がなければ全く分かりませんでした」ドゲザ

神使「謝れる子は良い子です」

神様「ありがとうございます!」

狐娘「?」


657: ◆8YCWQhLlF2 :2021/03/02(火) 01:49:49 ID:bFVw9rEY

神使「狐娘さんは今日はゆっくりしていけるのですか?」

狐娘「それが、調整を終えたらすぐに戻らないといけなくて・・・」

神使「今日中に終わるのですか?」

狐娘「徹夜で作業して明日の夕方の新幹線に間に合えばと言う感じです」

神使「相変わらず狐娘さんは頑張り屋さんですね」ニコッ

狐娘「はぁ~」ウットリ

神様「狐娘ちゃん? 口から涎垂れてるけど・・・」

狐娘「!? あ! すみません!!」ジュルリ

神使「体調良くないのですか?」

狐娘「いえ! その・・・ お、御柱はどちらでしょうか!」

神使「向こう側のようですが、ご案内しましょうか?」

狐娘「大丈夫です! 一人で行けます!!///」タッタッタッ


658: ◆8YCWQhLlF2 :2021/03/02(火) 01:50:25 ID:bFVw9rEY

神使「狐娘さん顔が赤かったですが大丈夫でしょうか?」

神様「放っておきゃ治るだろ」

神使「りんごちゃん神宮のお二人が結界維持をされるのであれば安心ですね」

神様「まぁね。 結構大変そうだけど」

神使「今まで巫女さんは一人でこなしていたなんて、凄い神力量なんですね」

神様「流石パイセン、どうやったらそんな量の神力を得られるのか教えて欲しいわ」


 モノノケ「教えてあげようかぁ~」


神様「?」


659: ◆8YCWQhLlF2 :2021/03/02(火) 01:50:56 ID:bFVw9rEY

モノノケ「巫女ちゃんには神力の神さまが付いてるからだよ」

神様「なにそれ! そんな奴いるの!?」

モノノケ「何を隠そう私が神力のモノノケなのだ!」エヘン

神様「マ・ジ・で!?」

モノノケ「マ・ジ・で!」

神様「ほぉ。 アヒルっぽいかわゆい姿なのに中々のお力をお持ちのようで」ゴクリ

モノノケ「巫女ちゃんにならいくらでも神力を補充しちゃうも~ん」

神様「ねぇ~ 巫女ちゃんから私に鞍替えしない?」

モノノケ「嫌だよ~だ」


660: ◆8YCWQhLlF2 :2021/03/02(火) 01:51:32 ID:bFVw9rEY

神様「そう言わずにさぁ~ ちょっと私とお話ししな~い?」ワナワナ

モノノケ「ちょ・・・ ちょっとそれ以上近づかないで・・・」

神様「私についてくれたら生牡蠣いっぱい食べさせてあげるからぁ」

モノノケ「生牡蠣はお腹壊してピーピーになるから嫌・・・」

神様「大丈夫だよ。 一緒にドキドキを味わおうぜ~」

モノノケ「嫌だー!!」タッタッタッ

神様「あっ! 逃げないで! 待って~」タッタッタッ


 モノノケ「きゃ~」

 神様「おら! まてやー!」タッタッタッ


神使「神様・・・」


661: ◆8YCWQhLlF2 :2021/03/02(火) 01:52:48 ID:bFVw9rEY


 巫女「何かございましたか?」テクテク

神使「あっ、巫女さん。 神様が神力のモノノケさんを・・・」

巫女「神力? あの子は“おまる”のモノノケですが」

神使「おまる!?」

巫女「いたずら好きで困りものです」ハァ

神使「そうでしたか・・・」

巫女「でも、とても楽しそう」


662: ◆8YCWQhLlF2 :2021/03/02(火) 01:53:54 ID:bFVw9rEY

神使「見学の方は終わったんですか?」

巫女「一通り。 今は少女が結界維持装置の操作方法を教えてもらっているところです」

神使「今回は神様が勝手なことをして申し訳ございませんでした」ペコリ

巫女「そんな事はありません。 こちらに戻れたことは感謝しています」

神使「・・・・・・。 一つお伺いしてもよろしいでしょうか?」

巫女「私に答えられることでしたら」

神使「どうしてモノノケの世界へ行かれたのですか?」

巫女「・・・・・・。 私、神ちゃん様を利用したんです」

神使「え?」

664: 以下、名無しが深夜にお送りします :2021/03/03(水) 02:53:54 ID:n71A6alY
結局内宮神ってどうなったの?


665: 以下、名無しが深夜にお送りします :2021/03/04(木) 18:49:51 ID:tfqxc.yc
お留守番?


666: ◆8YCWQhLlF2 :2021/03/05(金) 04:04:30 ID:LG8HH0XE
永遠のお留守番?


667: ◆8YCWQhLlF2 :2021/03/05(金) 04:05:53 ID:LG8HH0XE

巫女「モノノケの管理は私の力では無理でした」

神使「でも、今までは守ってこられたのですよね?」

巫女「崩壊するのは時間の問題だったと思います。 ですから・・・ 私は神ちゃん様に進退を預けたんです」

神使「進退?」

巫女「私が必要か、不必要かを」

神使「不必要なんて事は無いと思いますが。 モノノケさん達にとって巫女さんはとても大切な存在なのですよね」


巫女「・・・神使さんは今の世界が好きですか?」

神使「?」

巫女「人がいて、神使がいて、神がいて・・・ 多種多様な生物が共存する今の姿のことです」

神使「それが普通だと思っているので、好き嫌いという事は考えたことなかったです」


668: ◆8YCWQhLlF2 :2021/03/05(金) 04:06:46 ID:LG8HH0XE

巫女「とても素晴らしい回答です。 きっと神ちゃん様も喜ぶと思いますよ」

神使「神様が? どういう関係があるのでしょうか」

巫女「昔は全て別の世界だったんです」

神使「え?」

巫女「現在の生物学的に言うところの“科”や“目”くらいの分類で世界が分断されていたのです」

神使「そんな・・・ はじめて聞きました」

巫女「太古の昔のことですから」


669: ◆8YCWQhLlF2 :2021/03/05(金) 04:07:20 ID:LG8HH0XE

神使「それがどうして現在の姿に?」

巫女「神ちゃん様の先代様が統一をしていったのです」

神使「幼女神さまが?」

巫女「当然それぞれの管理者は反対し全力で抵抗しました。 私も反対派でしたから」

神使「それが崩れて今の姿になっているという事は・・・」

巫女「はい。 私が管轄するモノノケの世界以外は全て統一されてしまいました」

神使「巫女さんだけが残ったという事ですか!? それは凄いですね・・・」

巫女「少しは見直して頂けましたか? 私、こう見えて武闘派なんです」フフッ


670: ◆8YCWQhLlF2 :2021/03/05(金) 04:08:35 ID:LG8HH0XE

神使「神様ともやり合ったのですか?」

巫女「私は直接ないですが。 でも、神ちゃん様は一人で別の統一の仕方を模索されていました」

神使「別の・・・ それはどういった方法でしょうか」

巫女「神使」

神使「?」

巫女「神と人、そして動物を統一して神使という存在を作りました」

神使「・・・・・・」

巫女「驚きましたか? あなた達“神使”という存在は神ちゃん様の理想型なんですよ?」

神使「えっと・・・」

巫女「どうしてそんな事をしていたのか、その時は私にも理解できなかったですが・・・」


671: ◆8YCWQhLlF2 :2021/03/05(金) 04:09:14 ID:LG8HH0XE

神使「スケールが大きすぎて私にはついて行けそうにないお話です」

巫女「ごめんなさい、混乱させるつもりはなかったのですが」

神使「まさに“神の戦い”といった時代ですね」

巫女「当時は大変な時代と思いましたが、今に思えば一番楽しかったかも知れません」

神使「やはり神という存在は凄いのですね」

巫女「神ちゃん様と先代様はとくに強い力を持っていました」

神使「その二人に対抗した巫女さんも十分凄いと思いますが」

巫女「確かに神の力という事だけで言えば私の方が勝っていると思います」

神使「では、どうして身を引くようなことを・・・」

巫女「神ちゃん様と神使様にお会いしてようやく気付いたんです」

神使「?」


672: ◆8YCWQhLlF2 :2021/03/05(金) 04:10:02 ID:LG8HH0XE


巫女「完全に私の負けだって。 私の役目は終わったと」


神使「しかし、神様も今回は随分と苦戦していたみたいですが」

巫女「そうですね・・・ 追い返すだけであれば簡単に勝敗は着いたと思います」

神使「どうして、そうなさらなかったのですか?」

巫女「その考えが間違っていたからです」

神使「?」

巫女「神の力は強すぎるんです。 神ちゃん様はそれに気付き、私は気付けなかった・・・」


673: ◆8YCWQhLlF2 :2021/03/05(金) 04:10:40 ID:LG8HH0XE


巫女「・・・・・・。 神ちゃん様には力が無かったんです」


神使「力・・・ 神力の事でしょうか?」

巫女「はい。 この国を治める最高神の神力がゼロだったなんてビックリしました」

神使「お恥ずかしい限りです・・・」

巫女「でも、それが正しい力の使い方だったんです。 いえ、それが神ちゃん様が辿り着いた道」

神使「道?」

巫女「私は守る為には力が必要だと思っていました」

神使「間違っていないような気もしますが」

巫女「私が使っていた力は、モノノケの存在を抑え込むための物」


674: ◆8YCWQhLlF2 :2021/03/05(金) 04:11:15 ID:LG8HH0XE


巫女「私は、誰にも頼ることをしなかった。 なまじ力がある事に自惚れていたんです」


神使「・・・・・・」

巫女「こんな簡単な事、どうして気付かなかったんでしょう。 学ぶ機会は沢山あったのに・・・」


神使「神様は他人に頼りすぎのような気もしますが」

巫女「そうなんですか?」

神使「毎日大変ですよ。 アレやれコレやれって、自分で出来ることすらやらないんですから」

巫女「ふふっ」クスッ

神使「“巫女服着させろ”、“足袋履かせろ”、“あ~んで食わせろ”とか」

巫女「・・・・・・」

神使「歩挙げ句の果てには歩くのが面倒だからおんぶしろって」ハァ


675: ◆8YCWQhLlF2 :2021/03/05(金) 04:12:02 ID:LG8HH0XE


巫女「・・・・・・。 私からも神使さんに一つ質問しても良いですか?」

神使「私にですか?」

巫女「神使さんは、神ちゃん様とはどういう関係なのですか?」

神使「は!?」

巫女「どういう関係なのですか?」ズイッ

神使「じょ・・・ 上司と部下。 神とお付きの神使な関係です」

巫女「・・・・・・」ジー

神使(もしかして、私の心を読まれて・・・)ゴクリ

巫女「・・・・・・」ジー


676: ◆8YCWQhLlF2 :2021/03/05(金) 04:12:33 ID:LG8HH0XE

神使「え~と・・・ 正直、恋い焦がれております///」

巫女「えっ? そうなんですか!? それは意外です」キョトン

神使「は!? 私の心を読まれたのでは!?」

巫女「そんな事はしませんよ。 私は“良きパートナー”という言葉を期待していたのですが」

神使「今のは忘れて下さい。 本当にお願いします」ドゲザ

巫女「どうしようかなぁ~」ニタニタ

神使「神様とは良きパートナーです!」

巫女「私、これでも性格がかなりひん曲がっているんです」

神使「・・・・・・」


677: ◆8YCWQhLlF2 :2021/03/05(金) 04:13:13 ID:LG8HH0XE

巫女「冗談ですよ。 今のは聞かなかったことにしておきます」フフッ

神使「ありがとうございます」ホッ

巫女「でも、私が神ちゃん様だったら・・・ その言葉を早く聞きたいと思いますけどね」

神使「・・・・・・」

巫女「すみません。 ちょっと意地悪でした」クスクス

神使「え~と・・・ あっ、神様が抱きついている“おまる”のモノノケさんを助けないと!」

巫女「そうですね」ニコッ


679: 以下、名無しが深夜にお送りします :2021/03/05(金) 20:16:16 ID:xlJzV0u6
やっとおまるの話が明らかになるのか


681: ◆8YCWQhLlF2 :2021/03/08(月) 23:58:40 ID:lR3s7dcY
墓まで持っていく所存


682: ◆8YCWQhLlF2 :2021/03/08(月) 23:59:47 ID:lR3s7dcY

――― 翌日・学校


 ガラガラ

神様「おはよーさん」トテトテ


生徒A「あっ、神ちゃん様おはようございます」

神様「おはよ・・・ ん? 様?」


生徒A「今日は良い天気だよね」

生徒B「テストじゃなければなぁ~・・・」

神様「私は今日のテスト楽しみですわ」カッカッカッ

生徒B「相当自信があるようで・・・」

神様「勿の論の助よ。 で、私の隣の席にいるのはどちら様ですかな?」

少女「・・・・・・」


683: ◆8YCWQhLlF2 :2021/03/09(火) 00:00:32 ID:blfqc9ws

神様「おや、少女ちゃんでしたか。 昨日まで空席だったから転校生かと思ったよ」

生徒B「空席? 2年になってから少女ちゃんの席って変わってないよね」

少女「そうね。 まさか、神ちゃん痴呆? まぁその歳じゃ無理もないけど」ニヤッ

神様「あ?」

生徒A「相変わらずだね・・・ そんな事を面と向かって言えるの少女ちゃんくらいだよ」ハハハ


 先生「おーい、席に着け。 テスト始めるぞ~」


神様「正々堂々、どちらが上か決着をつけようぜ」

少女「そんなのやる前から分かってるのに。 アホくさ」プイッ

神様「何を!? その腐った性根、コテンパンにへし折ってやる!」


684: ◆8YCWQhLlF2 :2021/03/09(火) 00:01:05 ID:blfqc9ws

――― テスト中


神様「う~ん・・・ ここってどうやって解くんだっけ?」ウーン


 生徒「先生ー」


先生「どうした?」

生徒「黒板にモノノケが張り付いていてテストに集中出来ません」

先生「モノノケ?」クルッ


 モノノケ「あたいもテスト受けたーい」


先生「・・・・・・」


685: ◆8YCWQhLlF2 :2021/03/09(火) 00:01:42 ID:blfqc9ws

神様「うお! モノノケやんけ!」


 生徒「うわ~ かわいい~」
 生徒「あのモノノケ初めて見た~」


先生「おい、少女。 これ何とかならないか?」

少女「・・・・・・」

先生「っていうか、これ何のモノノケだ?」

少女「その子は電子黒板のモノノケです。 最近生まれたばかりの新米ちゃんです」

神様「電子黒板!? ニッチすぎだろ・・・」


686: ◆8YCWQhLlF2 :2021/03/09(火) 00:02:19 ID:blfqc9ws

 モノノケ「少女ちゃ~ん。 やっほ~」


少女「学校が終わったら遊んであげるから、今日はお帰りなさい」


 モノノケ「わかったー」スー


先生「おっ、消えた・・・」

神様「ほぉ、これはこれは」

少女「モノノケは人にとって身近な存在。 驚くことでもないわ」

神様「へぇ~」

少女「神ちゃんの責任でこういう世界構造になったんだから、少しは責任を感じて欲しいんだけど」

神様「結界解除の効果か。 良きかな良きかな」

少女「おめでたいわね」ハァ


先生「よーし、テスト再開だ。 おしゃべり禁止な」


687: ◆8YCWQhLlF2 :2021/03/09(火) 00:02:53 ID:blfqc9ws

―――放課後


生徒A「テストどうだった?」

生徒B「最悪。 あれ問題意地悪すぎでしょ」

神様「まぁ多少クセはあったよねー」


生徒A「ねぇ、少女ちゃん。 気分転換に今日モノノケランドに行っても良い?」

少女「え?」

生徒B「あっ、わたしもモノノケちゃんと触れ合いたい!」

少女「構わないけど・・・」


688: ◆8YCWQhLlF2 :2021/03/09(火) 00:03:36 ID:blfqc9ws

神様「いいねぇ~ 私も一緒に行く~」

生徒AB「・・・・・・」

神様「?」

生徒A「もちろんです。 是非ご一緒に」

神様「敬語流行ってるの?」

生徒B「え~と・・・ 一度家に帰ってからモノノケランドの入り口集合で良い?」

少女「今日は施設点検で臨時休業なんだけど、特別入場チケット用意しておく」

生徒A「やったー! 貸し切り! じゃ、また後でね~」タッタッタッ

生徒B「ばいばーい!」タッタッタッ

神様「さようなら~」フリフリ


 生徒AB「!?」ペコリ


689: ◆8YCWQhLlF2 :2021/03/09(火) 00:04:24 ID:blfqc9ws


少女「はぁ~・・・」グテッ

神様「ねぇ、少女ちゃん?」

少女「なに」

神様「モノノケランドってもうオープンしてるの?」

少女「そういう風に暗示を付加したの。 その方が都合が良いし」

神様「ふ~ん。 あ、あともう一つ聞きたいんだけど」

少女「なによ。 私、昨日狐娘さんと徹夜で暗示補正してたから疲れてるの」

神様「いやさ、なんか皆さんの私への接し方に距離を感じるんですけど気のせいでしょうか?」

少女「・・・・・・。 気のせいじゃない?」

神様「そうかなぁ?」ウーン

少女「いつも通りだって」ニヤッ


690: 以下、名無しが深夜にお送りします :2021/03/11(木) 17:15:01 ID:nsQGBePE
おつ


692: ◆8YCWQhLlF2 :2021/03/18(木) 23:27:08 ID:NJZRwtQs


――― 山ノ神社


ガラガラ


神様「たでーまー」トテトテ

神使「あっ! 神様! 大変な事がおこっ―――」

神様「私モノノケランド行ってくる。 戻り遅くなるから夕ご飯は遅くて良いや」タッタッタッ

神使「ちょ、神様!」


 神様「牡蠣フライでよろしく~」タッタッタッ


神使「・・・・・・。 私、知りませんよ?」


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