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神様「神様だっ!」 神使「神力ゼロですが・・・」

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Part159
693: ◆8YCWQhLlF2 :2021/03/18(木) 23:28:02 ID:NJZRwtQs


――― 海ノ町・商店街


神様「う~ん・・・ 何かお土産でも買っていくかなぁ」キョロキョロ


 和菓子屋「いちご大福特売だよ~」


神様「おっ、いちご大福良いねぇ~ あれにしよ」トテトテ


神様「おっちゃん、いちご大福6つ頂戴」

和菓子屋「いらっしゃ・・・ !?」ビクッ

神様「お土産だから包んでくれる?」

和菓子屋「は、はい! すぐにお包みします!!」ゴソゴソ

神様「?」


694: ◆8YCWQhLlF2 :2021/03/18(木) 23:28:35 ID:NJZRwtQs

和菓子屋「お待たせしました」

神様「いくら?」

和菓子屋「お代なんて滅相もない。 どうぞお持ち下さい」スッ

神様「え? いいの?」

和菓子屋「勿論です。 今日は大安吉日、どうぞお納め下さい」

神様「ラッキ~ んじゃもらっていくね。 あんがと」トテトテ


和菓子屋「・・・・・・。 はぁ~・・・ 緊張した」


695: ◆8YCWQhLlF2 :2021/03/18(木) 23:29:20 ID:NJZRwtQs

神様「いや~ 儲けた儲けた!」トテトテ

 通行人「・・・・・・」ペコリ

神様「?」ペコリ


神様「知り合いだっけか? まぁいいか」トテトテ

 通行人「!?」フカブカ

神様「・・・こんちは」


神様「・・・・・・」トテトテ

 通行人「」ペコリ
 通行人「」ペコリ

神様「・・・・・・」ペコリ


神様「これって・・・ !! もしかして、私の人徳に皆が気付いた!?」ニヘエ


696: ◆8YCWQhLlF2 :2021/03/18(木) 23:30:07 ID:NJZRwtQs

――― モノノケランド(旧海ノ神社)


 神様「お待たせ~」トテトテ


生徒A「あっ」

神様「ちょっと遅れちゃった。 ごめ~んね」

少女「ちょっと? 20分も遅刻しておいて」

神様「いや~ お土産買ってきたからさぁ」

少女「お土産?」

神様「超高級いちご大福!!」

生徒B「私大好物!」

生徒A「私も!」

神様「うむ。 皆、我に感謝し崇め奉るが吉と知り給え! 頭が高いぞ!」カッカッカッ


697: ◆8YCWQhLlF2 :2021/03/18(木) 23:30:58 ID:NJZRwtQs

生徒A「!! もっ、申し訳ございません!」ドゲザ

生徒B「生意気な言葉使い大変失礼しました!!」ドゲザ

神様「え!? ちょ、何? なんで土下座!? やめてって・・・」オロオロ


少女「流石この国を治める最高神様は下々の者にも寛大ね」ニヤッ

神様「・・・ちょっと少女ちゃん、こっち来て」グイッ

少女「な、何よ。 制服伸びちゃうから引っ張らないで」ズルズル



698: ◆8YCWQhLlF2 :2021/03/18(木) 23:31:49 ID:NJZRwtQs

――― 建物裏


神様「説明プリーズ」

少女「何の?」

神様「いやいや、おかしいでしょ。 なんか皆の私への接し方がいつもと違うし」

少女「それが普通の態度じゃない?」

神様「・・・・・・。 もしかして、私の正体バレてる?」

少女「神ちゃんはこの国の最高神。 何か間違いでもある?」

神様「ない。 でもね、それ隠してるの。 内緒なの。 シーなの」

少女「昨日まではそうだったみたいね」


699: ◆8YCWQhLlF2 :2021/03/18(木) 23:32:27 ID:NJZRwtQs

神様「どういう意味?」

少女「さて問題。 昨日と今日、何が変わったでしょうか」

神様「モノノケの存在がオープンになった」

少女「厳密に言えば暗示結界を緩めた。 まだ完全に解除はしてないけど」

神様「それが何か?」

少女「ここまで言っても分からないの?」

神様「全く」

少女「神ちゃんは神の存在を今までどうやって隠してたの?」

神様「ん? え~と・・・ 何となく? 強いて言うなら私の努力の賜」


700: ◆8YCWQhLlF2 :2021/03/18(木) 23:33:08 ID:NJZRwtQs

少女「努力だけで隠せるの? だったら地神様も苦労しなかったのに」

神様「・・・・・・。 まさか、私が張ってた暗示結界も一緒に解いたりとかしてないよね?」

少女「その結界の事って他に誰か知ってる?」

神様「誰にも言ってない。 他の神にも話していない」

少女「あら。 それは大変」

神様「・・・・・・。 まさか・・・」

少女「一緒に解除されちゃったみたいね」クスクス

神様「何て事してくれとんねん!」

少女「暗示結界を解除したのは私じゃなくて、そちら側の方よ?」

神様「んが!」


701: 以下、名無しが深夜にお送りします :2021/03/19(金) 17:11:27 ID:33Mo9NRA
あちゃー


702: 以下、名無しが深夜にお送りします :2021/03/19(金) 20:07:09 ID:gknxCt0k
やってしまったなw


703: ◆8YCWQhLlF2 :2021/03/22(月) 00:20:30 ID:Y4qvqDtg

――― モノノケランド・中庭


狐娘「ふわ~・・・ ようやく終わりました。 結局貫徹になるなんて私の力もまだまだですね・・・」フラフラ


 神様「狐娘ちゃーん!」タッタッタッ


狐娘「神ちゃん様?」クルッ

神様「お願いが! お願いがあるのです!」ガシッ

狐娘「え!? ちょ、どうされたんですか?」


704: ◆8YCWQhLlF2 :2021/03/22(月) 00:21:12 ID:Y4qvqDtg

神様「結界を! 結界を張って欲しいの!」

狐娘「結界ですか? どの位の規模でしょう」

神様「大きいの!」

狐娘「この建物の侵入結界くらいでしたら私でも可能だと思いますが」

神様「そんな小さいのじゃなくて、この国全体に!」

狐娘「・・・・・・。 はい?」

神様「日本全土に暗示結界を今すぐ張って!」

狐娘「この国全体!? そんな巨大な結界・・・ しかも暗示結界なんて凄爺様クラスでないと」


705: ◆8YCWQhLlF2 :2021/03/22(月) 00:21:46 ID:Y4qvqDtg

神様「何でもするから・・・凄爺には内緒で、しかも超特急で・・・ 頼むよ」ガクッ

狐娘「私の力ではとても・・・ それに、そんな事を勝手にしたら凄爺様に大目玉を食らってしまいます」

神様「神使君を1ヶ月りんごちゃん神宮に貸し出す!」

狐娘「!」ピクッ

神様「2ヶ月! 狐娘ちゃん専属で貸すから!」

狐娘「!! お任せ下さい! この狐娘、自分の力を超えて挑む所存です!!」フンスッ

神様「狐娘ちゃんは話が分かるヤツで助かるよ」ウルウル

狐娘「でも、ちょっとだけ寝させてもらっても良いですか?」


706: ◆8YCWQhLlF2 :2021/03/22(月) 00:22:42 ID:Y4qvqDtg

――― 山ノ神社・本殿


主神「ふんふ~ん♪ ようやく神力も溜ってきました」キュッキュッ

神使「主神さま、ご神体を磨いている状況ではないのですが・・・」

主神「まぁ私達に出来ることなんて何もありませんからね。 きっと時が解決してくれますよ」

神使「そんな悠長な・・・」

神体『おい』

主神・神使「・・・・・・」キョロキョロ

神体『おい、聞こえないのか?』

主神「あれ? おかしいですね・・・ 私の神体から声が聞こえます」

神使「この声、この状況・・・ 以前、私同じ体験をしたことがあります」


707: ◆8YCWQhLlF2 :2021/03/22(月) 00:23:13 ID:Y4qvqDtg

神体『お前は相変わらず仕事をしてないようじゃな』

主神「まさか、りんごのじじい!?」

神体(凄爺)『お前、後でりんごちゃん神宮へ一人で来い』

主神「・・・・・・」

神使「凄爺様、ご無沙汰しております」

凄爺『その声は、ガキのお付きか?』

神使「その節はお世話になりました。 今日はどういうご用件で?」

凄爺『ワシ自らが出張る事態、お前も分かっているであろう』

神使「神の存在がオープンになっている件でしょうか・・・」


708: ◆8YCWQhLlF2 :2021/03/22(月) 00:27:16 ID:Y4qvqDtg

凄爺『全く・・・ あのクソガキはワシに内緒で暗示結界を張っていたとは』

神使「やはりそういう事でしたか」

凄爺『まだ完全には解除されてはおらぬが、張り直さねばならんな』

神使「可能なんでしょうか?」

凄爺『正直厳しいのぉ。 結界自体は張ることは出来るが安定化のために人柱が必要じゃ』

神使「人柱?」

凄爺『簡潔に言えば結界維持を担う生け贄じゃ。 まぁ言うても多少の行動制限が伴う程度じゃが』

主神「でしたら、私がやりましょうか? どうせずっとここにいますし」

凄爺『バカ者、神力で不安定になってしまうわ』

神使「では私が」

凄爺『それも無理じゃ。 人柱は読んで字のごとく“人”またはそれに準ずる物でなければ務まらぬ』


709: ◆8YCWQhLlF2 :2021/03/22(月) 00:28:01 ID:Y4qvqDtg

主神「それって結構ハードル高いですよね」

神使「どういう事です?」

主神「いや、人の寿命では結界維持に限界もありますし」

神使「確かに言われてみれば・・・」

凄爺『まぁ良い。 その件に関しては少し考える』

神使「お手数をおかけします」

凄爺『じゃが、その前にクソガキに少しお仕置きが必要じゃな』

神使「それに関しては私からも是非お願いします」

凄爺『うむ。 では二人共、ワシに協力せい』

神使・主神「?」


710: ◆8YCWQhLlF2 :2021/03/22(月) 00:28:34 ID:Y4qvqDtg

――― 数分後・山ノ神社社務所


 ガラガラ


神様「うわ~ん!!」タッタッタッ

神使「お帰りなさいませ。 そんなに慌てていかがされました?」

神様「神使く~ん! 皆が私を崇め奉ってくるの~」ウワーン

神使「それは良い事ではございませんか。 なんと言っても神様はこの国の最高神なのですから」ニコッ

神様「し、神使君!?」

主神「お勤めご苦労様です神様。 湯浴みのご用意が出来ておりますが」テクテク

神様「主神・・・ お前までどうした!? お前はそんな気の利いたことするヤツじゃないだろ!」


711: ◆8YCWQhLlF2 :2021/03/22(月) 00:29:08 ID:Y4qvqDtg

主神「そんな・・・ 私はただ・・・ 最高神様のために・・・ ちょっと首吊ってきます」

神様「待て待て! 怒ってないから! お前の気遣い心から感謝するから!」

主神「有り難き慈悲。 その心の広さ、流石最高神・神様!」ウルウル

神様「マジでそういうのやめて下さいませんか? 気持ち悪い」

主神「気持ち悪い!? ・・・ちょっと首吊ってきます」

神様「あー! もう!!」ジタバタ

神使「神様、そろそろ祭儀服にお着替えになられては?」

神様「は? 何で祭儀服なんかに着替えるの?」

神使「最高神がいつまでもそのような下々と同じ格好もどうかと思いますので」

神様「うわ~ん! 今日はもう寝る~! 明日まで起こさないで!!」タッタッタッ


712: ◆8YCWQhLlF2 :2021/03/22(月) 00:29:44 ID:Y4qvqDtg


神使「だいぶ効いてますね」

主神「よほど最高神扱いされるのが嫌なんでしょう」

神使「普段は崇め奉れと大口を叩いているくせに、いざとなるとヘタレるんですよね」

主神「神様らしいといいますか・・・ しかし神様が最も精神的ダメージを負うお仕置きを思いつく凄爺が怖いです」


主神・神使「ご武運を」パンパンッ



713: 以下、名無しが深夜にお送りします :2021/03/22(月) 09:43:28 ID:JqmBe2vk
お仕置きが待ってる


714: 以下、名無しが深夜にお送りします :2021/03/22(月) 09:48:04 ID:czlU4Zrg
713と同じ時間に読んでたよわろた


715: 以下、名無しが深夜にお送りします :2021/03/22(月) 20:37:43 ID:.XdgRB5k
神ちゃんが実は強かったと聞いて


716: ◆8YCWQhLlF2 :2021/03/26(金) 00:03:40 ID:qvZH5pe.

――― 深夜・モノノケランド


少女「こんなもんかな」ガチャガチャ


 巫女「遅くまでご苦労様」トテトテ


少女「地神さま」

巫女「結界維持装置の調子はどうですか?」

少女「順調です。 もう少し結界調整のスピードを速めることも出来ますけど」

巫女「悩ましいところですね・・・」

少女「神ちゃんの件ですか?」

巫女「えぇ」

少女「凄爺さんに聞いてみます? 何かアドバイスをもらえるかも」


717: ◆8YCWQhLlF2 :2021/03/26(金) 00:04:16 ID:qvZH5pe.


 凄爺『うむ。 良きタイミングじゃ』


少女「?」キョロキョロ


 凄爺『結界維持装置を中継して話をしておる』


巫女「凄爺さま、こんな遅くまでご苦労様です」

凄爺『これがワシの仕事、気にせずとも』


巫女「こんな時間に何か急用でしょうか?」

凄爺『其方達の心配事と同じであろう。 聞いてもらえるであろうか』

巫女「もちろんでございます」


718: ◆8YCWQhLlF2 :2021/03/26(金) 00:05:37 ID:qvZH5pe.

少女「じゃあ、私は部屋に戻ってるね」

凄爺『お主も一緒に聞いて欲しい』

少女「私も?」

凄爺『話の内容はお主と、クソガキに関わる事じゃ』

少女「私?」

凄爺『相談に乗ってもらえると助かる』

少女「はあ」


719: ◆8YCWQhLlF2 :2021/03/26(金) 00:06:41 ID:qvZH5pe.


――― 翌日・学校


先生「よ~し、それじゃぁテスト返すぞ」


 ガヤガヤ


少女「」チラッ

神様「・・・・・・」ブルブル

少女「・・・・・・。 今更緊張しても仕方ないと思うけど?」

神様「そっちの意味で震えてるわけじゃないから」

少女「あれだけ自信満々だったんだし、良い点数なんじゃないの? 最高神さ・ま」ニヤッ

神様「それ止めて。 マジで今精神追い込まれてるの」


720: ◆8YCWQhLlF2 :2021/03/26(金) 00:07:15 ID:qvZH5pe.


 先生「次は少女さん」


少女「はい」スタスタ

先生「流石だ。 相変わらずだな」

少女「ありがとうございます」ペコリ


神様「どう?」

少女「100点」

神様「やるじゃん・・・」チッ


721: ◆8YCWQhLlF2 :2021/03/26(金) 00:08:00 ID:qvZH5pe.


 先生「次は、最高神 神宮天上乃御子大御神さま」


神様「あっ、はい。 それ、たぶん私のことですよね」トテトテ

先生「流石最高神様、我が校始まって以来の高得点です」


 生徒「お~」


神様「え? あの・・・ この点数って・・・」

先生「全教科100点超えでございます」


 生徒「流石最高神様、素敵」
 生徒「100点を超えるなんてまさに神業」


神様「・・・・・・」


722: ◆8YCWQhLlF2 :2021/03/26(金) 00:08:49 ID:qvZH5pe.

少女「へ~ 流石最高神さま。 下々にはどうがんばっても取れない点数、私の完敗です」

神様「いやいや、こことここ×のはずなのに何で○なの? 後、どうして100点突破してるの?」

少女「だって、神ちゃんはこの国で一番偉い最高神だもの」

神様「偉くないし。 それに神とテストの点数なんて何の関係もないじゃん」

少女「×なんて付けたらどんな神罰をくらうか分からないじゃない」ニヤッ

神様「神罰なんてしないよ・・・」

少女「理由はどうあれ、勝負は私の負け。 何すれば良い?」

神様「こ・・・ こんなの私の求めていた勝負じゃなーい!」タッタッタッ

少女「ちょ、神ちゃん!? まだ授業が―――」


 神様「ちくしょー! もう嫌だ~!!」タッタッタッ


少女「・・・・・・」


723: 以下、名無しが深夜にお送りします :2021/03/26(金) 02:10:43 ID:jlnzvT.k
神ちゃん...わざと間違えたんやな


724: 以下、名無しが深夜にお送りします :2021/03/27(土) 13:57:51 ID:kE4xIMOw
723と同意見


725: ◆8YCWQhLlF2 :2021/03/31(水) 22:33:52 ID:1UYvtEMM


――― 夕方・山ノ神社


 コンコン

神使「はーい」ガラガラ


 少女「こんにちは」ペコリ


神使「おや、少女さんじゃないですか」

少女「あの・・・ 神ちゃんいますか」

神使「いるにはいるのですが・・・」

少女「?」

神使「取りあえず中へどうぞ」

少女「お邪魔します」


726: ◆8YCWQhLlF2 :2021/03/31(水) 22:34:31 ID:1UYvtEMM

――― 本殿


神使「神様はこちらの本殿の中に・・・」

少女「中に入っても?」

神使「それが・・・」

少女「何か取り込み中ですか?」

神使「え~と・・・ この穴から中を覗いてみて下さい」

少女「?」コソッ


727: ◆8YCWQhLlF2 :2021/03/31(水) 22:35:17 ID:1UYvtEMM


 神様「怖い・・・ 怖いよ・・・」ブルブル

 狐娘「怖い・・・ 怖いよ・・・」ブルブル


少女「・・・・・・」

神使「と、言うような状況です」

少女「神ちゃんが震えている理由は分かるんですけど、どうして狐娘さんまで?」

神使「どうも神様の口車に乗ろうとしたのがバレたようで、凄爺様に大目玉をもらったそうです」

少女「はあ、そうなんですか。 お気の毒に」

神使「こういう状況でして、しばらく表に出てこないと思います」

少女「そのようですね・・・」ハァ

神使「折角ですし、社務所でお茶でもいかがでしょうか」

少女「・・・・・・。 ではお言葉に甘えて」


728: ◆8YCWQhLlF2 :2021/03/31(水) 22:36:41 ID:1UYvtEMM

――― 社務所


神使「―――という感じで神様の正体が知れ渡ってしまったようで」

少女「神ちゃんの結界が崩壊したのは知ってます」

主神「そうなんですか?」

少女「はい。 僅かですが地神さまも感じたようで」

神使「流石ですね」

少女「昨日りんごちゃん神宮の凄爺さんから相談もあったので」

主神「りんごのじじいが?」

少女「はい。 その時に、神ちゃんへのお仕置きの件も聞きました」


729: ◆8YCWQhLlF2 :2021/03/31(水) 22:38:15 ID:1UYvtEMM

主神「元は神様がダマテンで結界を張っていたのが原因ですからね」

少女「神ちゃん相当堪えていましたね」

神使「・・・・・・。 神様のことを気にかけて頂きありがとうございます」ペコリ

少女「わ、私は神ちゃんが凹んでいる姿が見れて嬉しかったというか///」

神使「?」

少女「その・・・ 地神さまが気になるから見に行けって言ったんで・・・ 仕方なく・・・」モジモシ

神使「そうでしたか。 巫女さんにもよろしくお伝え下さい」ニコッ


少女「・・・・・・」


神使「少女さん?」


730: ◆8YCWQhLlF2 :2021/03/31(水) 22:38:51 ID:1UYvtEMM

少女「あの!」ガタッ

神使・主神「!?」


少女「その・・・ え~と・・・ごめんなさい!」フカブカ

主神「え!? 急にどうしたんです?」

少女「私、何度も主神さまを怖がらせるようなことをしてしまって・・・」

主神「・・・あ~ 大丈夫ですよ。 ぜ、全然怖くなかったですし。 こう見えて神ですから」アセアセ

少女「神使さんにも嫌な思いをさせたと思います・・・」

神使「私は何も。 気にする必要などございませんよ」


731: ◆8YCWQhLlF2 :2021/03/31(水) 22:39:34 ID:1UYvtEMM

少女「私、こんな性格で性根も腐ってますし表裏も激しいし・・・」

少女「いろんな人に迷惑をかけたと自覚はしています」

少女「だから・・・ ごめんなさい!」フカブカ


主神「何かあったんですか?」

少女「私、神ちゃんがこの町に来たのはモノノケの世界を壊すのが目的だと思ってました」

少女「でも、蓋を開けてみれば・・・ モノノケの存在とか、地神さまの悩みとか全部解決していて」

少女「それって、全部神ちゃんのお陰なんだって」

神使「・・・・・・」


732: ◆8YCWQhLlF2 :2021/03/31(水) 22:40:11 ID:1UYvtEMM

少女「凄爺さんから、神ちゃんの過去の話も色々と聞きました」

神使「神様のことを?」

少女「私、神ちゃんがあんなに苦労してきたなんて知らなかったから・・・」

神使「神様はそれを見せないように・・・ いえ、知られないようしていますからね」


少女「私、今日は神ちゃんに謝ろうと思って来たんです・・・」


神使「必要ないですよ」

少女「え?」

主神「そうですね、私もその意見に同意します」


733: ◆8YCWQhLlF2 :2021/03/31(水) 22:40:55 ID:1UYvtEMM

少女「でも、わたし神ちゃんを相当傷つけたと思いますし。 きちんとお礼もしたいし」

神使「神様が一番喜ぶ方法をお教えしましょうか」

少女「?」

神使「今まで通り、いえ今まで以上に神様を罵って挑発することです」

少女「どういう事ですか?」

主神「神様は敵が欲しいんです。 それも仲良しの天敵が」

少女「仲良しの天敵?」

神使「簡単に言えば、神様は友達が欲しいんですよ」

主神「正直、これが意外と少ないんです」

少女「でも、私にはそんな資格・・・ 最高神と友達だなんて」


734: ◆8YCWQhLlF2 :2021/03/31(水) 22:41:28 ID:1UYvtEMM

神使「みんな神様の正体を知ると、そう言って距離を置いてしまうんです」

主神「他の神でも神様とは対等に接することも難しいですからね」

少女「・・・・・・」


神使「神様はああ見えても最高神。 少女さんの性格くらい最初から見破っていますよ」

主神「それ込みで神様はちょっかい出してたんでしょうし」

神使「神様は今の少女さんが好きなんです。 表裏があって、でも根っこは優しくて芯の強い少女さんが」

主神「そうですね。 少女さんは神様が大好物な性格だと思いますから」


735: ◆8YCWQhLlF2 :2021/03/31(水) 22:42:38 ID:1UYvtEMM

少女「神ちゃんてMなんですか?」

神使「難しいですね。 SでもありMでもあります」

主神「両刀使いですね。 私と同じです」

少女「え・・・ それ、言い方がちょっと気持ち悪い」ゾッ

主神「そう。 その顔! 神様が大好な顔です。 もちろん私も」グッ

少女・神使「・・・・・・」

神使「ま、まぁそういう事ですから神様との関係は今まで通りでお願い出来ませんでしょうか」

少女「・・・・・・。 分かりました」


736: ◆8YCWQhLlF2 :2021/03/31(水) 22:43:42 ID:1UYvtEMM

神使「神様が調子こいてウザくなったら私に相談して下さい」

少女「はい」クスッ


神使「もう一杯、お茶はいかがですか?」

少女「いえ、今日はこれで失礼します」スッ

神使「そうですか。 モノノケランドまでお送りします」

少女「まだ明るいですし大丈夫です」

神使「では、お気を付けてお帰り下さい」

主神「明日から、私も館長としてできる限りは出勤いたしますので」


少女「・・・・・・」


神使「少女さん?」

少女「あの、お二人にお願いがあるのですが」

主神・神使「?」


740: ◆8YCWQhLlF2 :2021/04/02(金) 22:02:05 ID:t0c7Tl5I

――― 夜・山ノ神社本殿


神様「いーやーだー」ジタバタ

神使「ワガママ言っていないで来て下さい!」グイグイ

神様「お外出たくない! ずっとここでニートしてる!!」

神使「全く・・・」ハァ

神様「それより狐娘ちゃんはどこだよ! さっきお前に連れて行かれたきり帰ってこないぞ!!」

神使「先程凄爺さまから電話があって・・・」

神様「あって?」


741: ◆8YCWQhLlF2 :2021/04/02(金) 22:02:43 ID:t0c7Tl5I

神使「話をしている途中で意識を失っ・・・ 疲れが溜っていた様で今は寝室で寝ています」

神様「“意識を失って”って言いかけただろ! ぜってーここから出ない!!」

神使「神様は同じ目に遭いたくないですよね?」ニコッ

神様「・・・・・・。 ど、どこに連れて行く気だよ」

神使「モノノケランドです」

神様「モノノケ? 何しに?」

神使「行けば分かりますから」

神様「・・・・・・」


742: ◆8YCWQhLlF2 :2021/04/02(金) 22:03:25 ID:t0c7Tl5I

――― モノノケランド


神様「こんな遅くに連れてきて、誰もいないじゃないかよ」キョロキョロ

神使「まぁまぁ。 そろそろ時間ですから」

神様「時間?」


 少女「ようこそモノノケランドへ!」


神様「?」クルッ

少女「しけた顔してるわね。 それでもこの国の最高神?」

神様「そうですが何か?」

少女「ふっ、私にテストで負けたのがそんなに悔しいの?」

神様「悔しくねーし! それに私の方がテストの点数高かったし! 100点超えだし!!」


743: ◆8YCWQhLlF2 :2021/04/02(金) 22:04:04 ID:t0c7Tl5I

少女「私は全問正解、神ちゃんは確かミスがあったわよね? 無理矢理正解になってたけど」ニヤッ

神様「うぐっ」

少女「厳密に言えば私の勝ち」

神様「学校では“神ちゃんの勝ち”とか言ってたくせに」ブツブツ

少女「なに?」

神様「何でもないですぅー」

少女「忘れてないでしょうね? 負けた方が勝った方の言うことを聞くって約束」

神様「今回はノーカン、ノ~カン」

少女「そう。 じゃあ、こういうのはどうかしら?」

神様「あ?」


744: ◆8YCWQhLlF2 :2021/04/02(金) 22:04:53 ID:t0c7Tl5I

少女「私が神ちゃんの願いを一つ叶えてあげる」

神様「はい?」

少女「最高神ですら叶えられない願いを私が叶える。 それが成就できたら私の言う事を二つ聞く事」

神様「ほぉ」

少女「勝負から少しかけ離れるけど、お互い悪くないと思わない?」

神様「いいねぇ、面白い。 その勝負のった!」

少女「じゃあ、私はこれから祈願成就の準備に取りかかるから明日学校で会いましょう」

神様「うっ・・・ 学校行くの? っていうか、私まだ願いを言ってないんだけど」

少女「私を誰だと思ってるの? そんなの聞かなくても分かるわ」

神様「その生意気な態度、好きだぜ。 よし、あえて聞かずにいておこう」

少女「私は別に構わないけど、本当に聞かなくても良いの?」

神様「その方が面白いし。 外に出るのは嫌だけど明日は我慢して学校行ってやる!」

少女「私の力が凄すぎて腰を抜かさないようにね」クスクス


745: ◆8YCWQhLlF2 :2021/04/02(金) 22:06:09 ID:t0c7Tl5I


――― 物陰


神使(少女さん・・・)


 巫女「こんなに遅くにどうしたんです?」テクテク


神使「?」クルッ


巫女「こんばんは」ペコリ

神使「巫女さんでしたか」ホッ

巫女「神ちゃんさま・・・ と、少女? あの二人は何をしてるんです?」

神使「とても素敵な意地の張り合いです」

巫女「そうですか。 それは喜ばしい事ですね」ニコッ


神使「・・・・・・。 あの」

巫女「?」


746: ◆8YCWQhLlF2 :2021/04/02(金) 22:06:43 ID:t0c7Tl5I

神使「少女さんを巻き込んでしまって申し訳ございません」フカブカ

巫女「あの子が自分で決めた事ですから。 それにこの役を任せるには適任だと思います」

神使「でも、少女さんの生活を犠牲にしてまで・・・」

巫女「多少の行動制限があるくらいです。 心配には及ばないと思いますよ?」

神使「そう言って頂けるとありがたいです」

巫女「私も少女を見習わないと」

神使「?」

巫女「ふふっ。 では、私はこれで」スタスタ


神使「・・・・・・。 巫女さん?」


749: ◆8YCWQhLlF2 :2021/04/08(木) 02:31:22 ID:dsXZiCkc


――― 翌日・山ノ神社


神様「おはよう也」トテトテ

神使「おはようございま―― ぶっ!」ゲホゲホ

主神「神様!? どうしたんですかその格好は!」

神様「あ? 我は最高神也や。 これはその装束也」

神使「どうして継姫様みたいな喋り方を・・・」

主神「まさか、その格好で学校へ行くんですか?」

神様「もう諦めた。 これなら皆ビビって声かけてこないだろうし」

主神「確かに声はかけてこないと思いますね。(色々な意味で)」


750: ◆8YCWQhLlF2 :2021/04/08(木) 02:32:19 ID:dsXZiCkc

神使「しかし、少々目立ちすぎでは?」

神様「お前、この前は装束着て過ごせって言ったじゃねーかよ!」

神使「うっ」


主神「神使さん、神使さん」チョイチョイ

神使「?」

主神「やはり、神様は暗示結界が再構成されたことに気が付いていないようですね」ボソッ

神使「教えて上げたいところですが、少女さんとの約束もありますし」ボソッ


751: ◆8YCWQhLlF2 :2021/04/08(木) 02:32:58 ID:dsXZiCkc

神様「おいそこ! 何コソコソ話してんだよ」

神使「いえ、別に」

神様「お前ら、何か怪しいなぁ?」ジー

主神「な、なにがです?」

神様「私への態度がおざなりになってる気がする」

神使・主神「・・・・・・」

神様「もしかして~ 何か隠し事でも・・・」

神使「そ、そんな事はございませんよ」

主神「わ、私達は神様を常に崇め奉り尊敬致しております」

神様「じゃあ、何をコソコソ話してたんだ? 言うてみぃ」


752: ◆8YCWQhLlF2 :2021/04/08(木) 02:33:35 ID:dsXZiCkc

神使「え~と・・・ 失礼ながら平緒の色は紫の方がよろしいのでは? と思ったもので」

神様「平緒?」

主神「そうですね。 やはり最高神ですから格の高いお色の方が」

神様「あ~ 朱色は私のこだわりなのだよ。 紫は階位が高いとか考え古すぎ」

神使「そ、そうでしたか。 失礼しました」ハハハ

神様「まぁいいや。 んじゃ、学校行ってくる」

神使「お気を付けて」

主神「色々な意味でお気を付けて・・・」


 神様「ったく歩きにくいなぁ」トテトテ


神使・主神「・・・・・・」

主神「流石にあの格好は止めた方が良かったでしょうか」

神使「難しいところですね・・・」


753: ◆8YCWQhLlF2 :2021/04/08(木) 02:34:25 ID:dsXZiCkc

――― 海ノ町・町中


神様「♪~」トテトテ

 通行人「!?」

神様「おはよう」

 通行人「え!? あ、おはようございます」


神様「おはよう」

 通行人「ど、どうも・・・」ペコリ


神様「いや~ これはこれで懐かしいねぇ。 昔を思い出すよ」トテトテ


通行人「あれ何?」

通行人「コスプレってやつ?」


754: ◆8YCWQhLlF2 :2021/04/08(木) 02:34:56 ID:dsXZiCkc


――― 学校


 ガラガラ


神様「皆おはよう也」トテトテ


 生徒達「・・・・・・」


神様「ここは学校、我を敬い奉る必要などない也。 一生徒として接してくれると嬉しい也や」オホホ


 シーン


755: ◆8YCWQhLlF2 :2021/04/08(木) 02:35:41 ID:dsXZiCkc

少女「神ちゃん・・・」

神様「おはよう也。 どうかな? 私の正装は」

少女「あっ、うん。 その・・・ 古風だね」

神様「本当はもう少しゴテゴテしてんだけど、動きにくいから少し簡素化してみた也」

少女「そ、そうなんだ。 でも、目立ちすぎじゃ・・・」

神様「もう吹っ切れたよ。 これはコレで悪くないと思ってね。也」

少女「いや、でも学校だし制服の方が・・・ あと語尾のナリって何?」

神様「私は最高神だよ? その示しだけは付けないと。 あと、也は也ナリ」

少女「・・・・・・。 あのね、神ちゃんその件なんだけど―――」


756: ◆8YCWQhLlF2 :2021/04/08(木) 02:36:18 ID:dsXZiCkc

生徒A「ねぇ神ちゃん、その格好どうしたの?」

神様「ん?」

生徒B「いくら神宮の人だからって、それは流石に引くんだけど・・・」

神様「・・・・・・。 だって私、神だし」

生徒A「神?」

生徒B「神ちゃん・・・ 頭大丈夫?」

神様「は? ちょ、何? どういう事??」


 ガラガラ

 先生「よーし。ホームルーム始めるぞ~ って、神宮! 何て格好しているんだ!!」


神様「え?」


757: ◆8YCWQhLlF2 :2021/04/08(木) 02:37:04 ID:dsXZiCkc

――― お昼休み


神様「う~///」

少女「ずっと顔が赤いけど熱でもあるの? 最高神さ・ま」クスッ

神様「ここまで恥ずかしかったの数百年ぶりなんですけど! 絶対許さない!」ムスッ

少女「私からの祈願成就は気に入らなかった?」

神様「結界張り直したなら朝に言ってよ! 電話してよ! 事前に教えてよ!!」

少女「敢えて聞かないって言ったのは神ちゃんだけど?」

神様「うぐっ・・・ まぁそうだけどさぁ」

少女「もしかして迷惑だった?」

神様「・・・・・・。 いや、そんな事は・・・」ブツブツ

少女「よかった」


758: ◆8YCWQhLlF2 :2021/04/08(木) 02:37:55 ID:dsXZiCkc

神様「でも、あの暗示結界はそう簡単に張れるようなものじゃないと思うけど。 どうやったの?」

少女「それは秘密。 別に私が一人で張り直したわけじゃないし」

神様「?」

少女「神は神力成就の方法なんて種明かしないでしょ?」

神様「感じ悪っ!」

少女「さて、それじゃ私のお願いも聞いてもらおうかしら」

神様「はぁ・・・ まあ約束だし、何か願いでもあるの?」

少女「学校が終わったらモノノケランドに来て」

神様「モノノケランドに?」

少女「その時に話すわ」


759: ◆8YCWQhLlF2 :2021/04/14(水) 00:28:45 ID:FbleumL2

――― 夕方・モノノケランド


 神様「よぉ」トテトテ


主神「あっ、神様」

神使「学校は終わられたんですか?」

神様「まぁね。 っていうか、お前ら結界が復活してたこと私に隠してたろ」ジー

神使「え!? さ、さぁ何のことでしょうか?」アセアセ

主神「わ、私達も先程気が付いた所でして」アセアセ

神様「はぁ~・・・ まぁ良いけど。 で? お前達はここで何してるの?」

主神「私は館長としての仕事を」

神使「私はお手伝いですね」


760: ◆8YCWQhLlF2 :2021/04/14(水) 00:29:19 ID:FbleumL2

神様「山ノ神社は不在かよ・・・」

主神「まさかまさか。 狐娘さんにお留守番してもらっております」

神様「狐娘ちゃんが?」

神使「凄爺様から次のお仕置きが決まるまで、奉公するようにと厳命を受けたようで」

神様「次のお仕置きって何だよ・・・」ブルッ


神使「少女さんから裏庭で待っていると伝言を預かっております」

神様「ふ~ん。 お前らもグルって訳か」ジトー

神使・主神「!?」

神様「今日は付き合ってやるけど、後でちゃんと話せよ」トテトテ


主神「流石神様・・・ お見通しのようですね・・・」

神使「やはり私達では役不足っぽかったですね・・・」


761: ◆8YCWQhLlF2 :2021/04/14(水) 00:29:54 ID:FbleumL2

――― モノノケランド・裏庭


 神様「はろ~」トテトテ


少女「いらっしゃい」クルッ

神様「へぇ~ 中々様になってるじゃん」

少女「こ、これは・・・ モノノケランドの制服だから。 仕方なく・・・」モジモジ

神様「作ったの? 言ってくれれば私の装束あげたのに」

少女「これは、地神さまからのプレゼントだから・・・ これが良いの!///」

神様「そっか。 上等な装束だよそれ、似合う似合う」

少女「ほ、本当?」パァ


762: ◆8YCWQhLlF2 :2021/04/14(水) 00:30:35 ID:FbleumL2

神様「まぁ私の上級装束には及ばないけど」ニヤッ

少女「感じ悪っ」


神様「さて、前置きはここまでにして約束通り願いを聞きましょうか」

少女「・・・・・・」

神様「さあ、其方の願い我に聞かせてみよ」

少女「・・・・・・」

神様「どうした? 最高神自らが願いを叶えると言っている」

少女「・・・・・・。 まず一つ目! モノノケランドの安泰を祈願して下さい!」フカブカ

神様「承ろう。 二つ目の願いを申せ」

少女「二つ目! ・・・・・・。 二つ目は・・・」モジモジ

神様「?」


763: ◆8YCWQhLlF2 :2021/04/14(水) 00:31:10 ID:FbleumL2

少女「わ、私と・・・ 私と、友達になって下さい!」フカブカ

神様「・・・・・・」


少女「だ、ダメ?」

神様「その願いは難しい」

少女「そ、そうだよね。 虫が良すぎるよね」シュン

神様「いやいや、そうじゃなくて」

少女「?」

神様「親友とか、そんな感じじゃダメかな?」

少女「え?」

神様「だってすでに友達だし。 あっ、マブダチとかそんな感じの方がカッチョイイかな」ウーン

少女「じゃあ・・・ し、親友で///」


764: ◆8YCWQhLlF2 :2021/04/14(水) 00:31:45 ID:FbleumL2

神様「でも、それもちょっと照れくさいよね。 “永遠のライバル”とか“盟友”なんてどう?」

少女「え? それなら普通の友達で良いよ。恥ずかしいし」

神様「ただの友達じゃ願いの成就には入らないって言ったじゃん」

少女「言い方なんてどうでも良いと思うけど?」

神様「いや~ でもさぁ」

少女「神ちゃん、ちょっとしつこい」

神様「!?」

少女「わかった。 そしたら、もう一つのお願いはここの草むしりで」

神様「ちょっと待てや! そんな雑な願い久しぶりに聞いたわ! 神だよ? 我は神なりぞ?」

少女「願いは願いよ? 神宮の神は願いの大小で成就を振り分けたりするの? 小さっ」ハァ

神様「ム・カ・つ・くー!」キー

少女「ふふっ、神ちゃん面白い」クスクス


765: ◆8YCWQhLlF2 :2021/04/14(水) 00:32:30 ID:FbleumL2

神様「あのさぁ、1分前まで私にペコペコしたくせになんでそんなに態度が変わるの?」

少女「ペコペコなんかしてないけど?」

神様「してたね! モノノケランドの安泰を祈願して下さい! ってフカブカしたし!」

少女「そっちだって、申せ! とか、承ろう! な~んて偉そうに」

神様「威厳ですぅ~ 神としての貫禄ですぅ~」

少女「威厳? 貫禄? ろくに神力も使えないくせにどの面下げてそんな言葉を使ってるの?」

神様「言ったな! よ~し、私の本気見せてやるよ!」

少女「見せられるだけの物を持ってるなら見せてみなさいよ! このポンコツ女神!」

神様「あー! 言っちゃいけないこと言った!」ムキー


766: ◆8YCWQhLlF2 :2021/04/14(水) 00:33:02 ID:FbleumL2


――― 物陰


神使「何て品のない喧嘩を・・・」

主神「小学生レベルですよね・・・ まぁ神様らしいと言えばそうなんですが・・・」


 巫女「また随分と面白そうなことをしてますね」テクテク


神使「巫女さん」

巫女「少女の様子はどうですか?」

神使「あの通りです」


767: ◆8YCWQhLlF2 :2021/04/14(水) 00:33:38 ID:FbleumL2


 神様「私なんて、昔はチヤホヤされて凄かったんですー」

 少女「それでそんな子供みたいな性格なんだ。 いい加減成長したら?」

 神様「うっせーよ!! そっちの方がお子ちゃまだろーが!!」キー


巫女「随分と打ち解けたようですね」クスッ

神使「ははは」


768: 以下、名無しが深夜にお送りします :2021/04/15(木) 12:37:02 ID:A.7N8XIs
うん
こういうのが好き
更新楽しみにしてますありがとう


769: ◆8YCWQhLlF2 :2021/04/21(水) 23:14:57 ID:8JMxnCRc

巫女「・・・・・・。 最初から何も心配する必要なんてなかったのですね」ボソッ

主神「?」

巫女「主神さま、諸々の失礼を深くお詫びいたします」フカブカ

主神「え、ちょっと・・・ 止めて下さいよ。 どうしたんですか急に」オロオロ

巫女「海ノ神社を追い出され、路頭に迷っていた私を迎え入れてくれた事は本当に感謝しております」

主神「私なんか何も・・・ それに、お世話になったのは私の方ですから」

巫女「今日まで、あの子と暮らしてこられたのは主神さまのお陰です」フカブカ

主神「巫女さん・・・」


770: ◆8YCWQhLlF2 :2021/04/21(水) 23:15:47 ID:8JMxnCRc

神使「主神さまはどういう経緯で巫女さんを雇われたのですか?」

主神「えっ? それは~・・・」

巫女「私が町を歩いていたら声をかけて頂いたんです」

神使「それって、スカウトですか?」

巫女「そういえば、どうして私に声をかけて頂けたのでしょう」

主神「え~と・・・ 着物姿が美しかったので・・・」ボソッ

神使「・・・・・・」

主神「・・・・・・」

神使「え? それだけですか?」

主神「だって、こんなに若くて和服美人とか絶対巫女向きだと思ったんですよ」

巫女「ふふっ、ありがとうございます」ニコッ


771: ◆8YCWQhLlF2 :2021/04/21(水) 23:16:31 ID:8JMxnCRc

神使「それは、主神さまが巫女さんのことを好みだったという―――」

主神「そ、そんな事より事務所でお茶でもどうです?」

巫女「そうですね。 和菓子のモノノケも来ているので美味しい大福を作ってもらいましょう」

神使「あの二人は・・・ まぁ、後で良いでしょう」

主神「では、早速―――」


 ブーン


巫女・神使・主神「?」クルッ

神使「来客でしょうか?」

巫女「随分と高級なお車ですね」

神使「・・・・・・。 あの車って・・・」

主神「ドアに神宮紋みたいなものが入っているようですが。 私ちょっと見てきます」タッタッタッ


772: ◆8YCWQhLlF2 :2021/04/21(水) 23:17:02 ID:8JMxnCRc

巫女「神使さんどうされたんですか? 顔色が良くないようですけど」

神使「いえ・・・ 別に・・・」

巫女「?」

神使「残念ですが、今日は失礼しなければいけなくなりそうです」

巫女「え?」

神使「大福はとても魅力だったのですが・・・」

巫女「何か急ぎの御用でも?」

神使「下手したら神宮に戻らないといけないかも知れなく・・・」

巫女「・・・・・・。 それは、この町を出て行くという事でしょうか」

神使「場合によっては」

巫女「・・・そうですか」


773: ◆8YCWQhLlF2 :2021/04/21(水) 23:17:33 ID:8JMxnCRc

神使「正直、私達ももう少しこちらに滞在していたいのですが」

巫女「でしたら、近いうちにお礼を兼ねて宴を設けさせて下さい」
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