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神様「神様だっ!」 神使「神力ゼロですが・・・」

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Part115
307: ◆8YCWQhLlF2 :2018/05/17(木) 00:56:13 ID:QRRK9RNQ
─── 翌日・神様機構本庁舎(ボロビル)
猫神「この建物まだあったんだねぇ〜」
長官「私もボロビルに来たのは久しぶりだ」
神使「本当にボロビルと言うのですね・・・」
神様「あれ? 祭儀神は?」キョロキョロ
A子「なんか出かけてるみたい。 昨日キャバクラに行くって出たきり戻ってない」
B夫「時間も惜しいし始めよう」
神様「おっ、B夫やる気だねぇ」
猫神「悠長な事を言っていられない状況だしねぇ〜」
神様「聞きましょうか」

308: ◆8YCWQhLlF2 :2018/05/17(木) 00:58:36 ID:QRRK9RNQ
B夫「まずは封印されているものについて」
神使「何か分かったのですか!?」
B夫「取り付けてもらった測定器が奥社近辺で大量の鉛を検出した」
神様「なまり?」
B夫「そう、通常では考えられない量」
神使「どういう事です?」
B夫「過去にこの場所で鉛が大量に生成される事象が起こっていたと考えられる」
A子「鉛ってどうやったら出来るの?」
B夫「方法は色々あるけど・・・ 他に検出した物質と合わせて推察するに、ある物質が核分裂を起こした後に出来たと考えられる」
神使「核分裂!?」

309: ◆8YCWQhLlF2 :2018/05/17(木) 00:59:51 ID:QRRK9RNQ
B夫「単刀直入に言う。 高純度のウランが大量に地下にあると思われる」
一同「ウラン!?」
神使「それって原子炉とかに使われる燃料ですよね?」
B夫「ザッツライト」
長官「なんでそんな物が日本に?」
B夫「ウラン自体は結構どこにでも微量ながらある。 日本でもいくつか採掘できる場所もあるし」
長官「これは驚いたな」
神使「でも仮にウランだとしたら、龍というのは一体・・・」
B夫「高速の放射線粒子が物質と相互作用するときに青く光る現象がある。 もちろん核分裂時にも起こる」
神使「青く・・・ まさかその光が!?」

310: ◆8YCWQhLlF2 :2018/05/17(木) 01:00:58 ID:QRRK9RNQ
B夫「目視できる程では無いけど、目や頭部内で反応が起こると青く光ったと感じるという報告がある」
神使「それが青い龍の正体・・・」
B夫「正確にはチェレンコフ効果」
A子「私、感じた事ないよ?」
B夫「これを感じたらまず助からない」
A子「何それ怖い!」
神使「仮に、今結界を解いた場合どうなるんです?」
B夫「推定埋蔵量からすると結界解除と同時に核分裂の暴走が始まって一瞬で一帯が吹き飛ぶ」
神使「一帯というのはどのくらいの規模です?」
B夫「日本はもう住めないかもね」
一同「!?」

311: ◆8YCWQhLlF2 :2018/05/17(木) 01:02:10 ID:QRRK9RNQ
神使「しかし、当時はそこまでにはなっていなかったのでは?」
B夫「当時は鉱物が核崩壊をある程度抑制していたと考えられる」
神使「今は違うんですか?」
B夫「地殻の変動で奥社近辺に地下水が流れてる。 しかもかなりの量」
A子「神宮菜園も地下から水汲んでるって言ってた」
神使「それが何か問題でも?」
B夫「水が核分裂のスピードを速める。 この辺を掘ったら水がウランに浸かって間違いなく暴走する」
神使「ちょっと想像を超えた事態ですね・・・」
猫神「もう一つマズい事があるんだよね〜」
長官「まだあるのかね・・・」


312: ◆8YCWQhLlF2 :2018/05/17(木) 01:03:30 ID:QRRK9RNQ
B夫「土地の売却に関して」
神使「ウランの事を話せば神宮も思いとどまるのでは?」
B夫「逆。 神宮はそのウランを採掘しようとしてる」
一同「は!?」
B夫「あの土地を取得しようとしているのは“日本新燃準備会社”という所」
A子「何その変な名前の会社。 センスないね」
B夫「1年前にインターナショナルエクスプロレーションという資源開発の世界的企業と合弁で設立された会社」
神使「合弁?」
B夫「そう、筆頭株主は神宮土地開発財団」
長官「神宮? どういう事かね?」
B夫「神宮が神宮の出資した会社に土地を売り払うって事」
神使「なるほど・・・ つまり営利事業が出来ない神宮のダミー会社という事ですか?」
B夫「ザッツライト。 神宮も地下にウランが埋まっている事に気付いている」

313: ◆8YCWQhLlF2 :2018/05/17(木) 01:05:19 ID:QRRK9RNQ
長官「しかし、封印を解いたら暴走するようなものを採掘するだなんて無理だろう」
B夫「ウランは時間経過と共に減衰していく。 通常の計算では発掘には問題ないという結果になる」
神使「しかし、話せば分かってもらえるのでは?」
B夫「相手は世界的な資源開発会社。 結界で自然界から隔離状態で維持されているなんて信じるわけない」
長官「至急契約の中止を進めよう」
猫神「それが〜」
B夫「契約はすでに終了して売買契約が締結されている」
長官「なっ!」
B夫「しかも、発掘作業が来週から始まる」
神使「そんな・・・」
神様「・・・・・・」
長官「神宮は神が不要な存在になっているようだな・・・」ハァ

318: ◆8YCWQhLlF2 :2018/05/18(金) 00:26:13 ID:IgWVRr3Y
神使「神様、どうしましょう・・・」
神様「すまない」
神使「神様・・・」
神様「ちんぷんかんぷんで何を話しているのか全く分からない」
一同「」ガクッ
神様「でも、一つだけ・・・」
一同「?」

319: ◆8YCWQhLlF2 :2018/05/18(金) 00:29:02 ID:IgWVRr3Y
神様「リンクが切れる直前、内宮神は“この結界は私が守るから気にするな”って言ったんだ」
一同「・・・・・・」
神様「私は、結界を守れるようにしておくから後は任せろと告げた」
神使「神様・・・」
神様「私は絶対諦めない。 今までだって守ってきたんだ」グッ
一同「・・・・・・」
長官「四柱結界の威力をさらに上げるのはどうだ?」
神使「なるほど、結界の威力を上げれば第零柱の封印も強化できるという事ですね」
 祭儀神「それは無理だな」テクテク
猫神「祭儀神く〜ん?」
祭儀神「遅れてすまないな」

320: ◆8YCWQhLlF2 :2018/05/18(金) 00:30:24 ID:IgWVRr3Y
A子「キャバクラの朝帰りは良くないと思います」
祭儀神「失礼だな、青森に行ってたんだよ。 その前にキャバクラには寄ったけど」
猫娘「キャバクラには行ってるニャ。 ニャ」
猫神「青森って、凄爺のところ〜?」
祭儀神「あぁ。 四柱結界について聞いてきた」
猫神「そっか〜・・・」
祭儀神「四柱結界はボロボロだ。 持ってあと数十年」
長官「数十年!?」
祭儀神「今の状態を維持して数十年だ。 とても出力を上げるなんて不可能だな」
B夫「俺の計算だと、第二柱が決壊寸前。 出力アップより先にこっちを修復する方が先」
長官「だったら、この際新しく結界を張り直すというのは?」
B夫「その場しのぎ。 問題解決とは言えない」
神様「・・・・・・」

321: ◆8YCWQhLlF2 :2018/05/18(金) 00:32:46 ID:IgWVRr3Y
A子「なんか一辺に色々起こってるんだね〜」
長官「少し妙じゃないか?」
猫神「・・・・・・」
長官「四柱結界は少し前から不安定な状態にあったが・・・」
神使「確かに神様と内宮神様の件も含め、神宮がある程度知っていたとしてもタイミングが・・・」
B夫「もしかして偶然だと思ってる?」
長官「どういうことかね?」
神使「まさか・・・」
B夫「四柱結界は意図的に不安定にされている」
長官「何だと?」

322: ◆8YCWQhLlF2 :2018/05/18(金) 00:34:08 ID:IgWVRr3Y
B夫「神宮のメールを漁っていたらこんなもの見つけた」ペラッ
長官「・・・これは!?」
神使「第三柱結界減衰化計画!?」
B夫「神ちゃんが再封印をして失敗に終わったみたいだけど」
猫神「たぶん、他の四柱にも手をつけてるだろうね〜 特に今は第二柱とか」
長官「あいつら・・・」
B夫「それと・・・」チラッ
猫神「・・・・・・」
長官「まだ何かあるのか・・・ この際だ、全て話してくれ」
猫神「神ちゃん? 内宮神ちゃんとのリンク・・・ もしかして、自分から切った〜?」
一同「え!?」
神様「・・・・・・」

323: ◆8YCWQhLlF2 :2018/05/18(金) 00:34:49 ID:IgWVRr3Y
神使「ちょっと待って下さい。 どういう事ですか!?」
神様「」トテトテ
神使「神様?」
神様「ちょっと出かけてくる・・・」
ギー バタン
神使「神様・・・」
猫神「今日は、一旦解散しようか〜・・・」

324: ◆8YCWQhLlF2 :2018/05/18(金) 00:35:27 ID:IgWVRr3Y
─── 10分後・神宮奥社
神様「」コンコン
ギー
内宮神「久しぶり」
神様「よっ」
内宮神「上がって」
神様「ん」
ギー バタン

326: ◆8YCWQhLlF2 :2018/05/19(土) 03:50:19 ID:ql5LHZOg
─── 夜・機構ビル屋上
神様「・・・・・・」ボー
ギーッ
神様「?」クルッ
 神使「神様、ここにいたんですか」テクテク
神様「犬ころか」
神使「何しているんです?」
神様「何も?」

327: ◆8YCWQhLlF2 :2018/05/19(土) 03:51:40 ID:ql5LHZOg
神使「隣、座っても良いですか?」
神様「・・・どうぞ」
神使「失礼します」
神様「・・・・・・」
神使「曇っていて月は見えないですね」
神様「そうね」
神使「どちらへ行かれていたのですか?」
神様「ちょっと」
神使「・・・・・・」
神様「内宮神の所だよ。 ちょっと顔見ておこうと思って」
神使「次の作戦会議は明日の朝だそうです」
神様「ん」
神使「・・・・・・」
神様「・・・・・・」

328: ◆8YCWQhLlF2 :2018/05/19(土) 03:53:09 ID:ql5LHZOg
神使「神様、何か隠してらっしゃいますね?」
神様「はて、どのことでしょうか? 懲りずに鬼牡蠣の封印解除を狗神にやらせていることかな?」
神使「先日、神様が仰った私とA子ちゃんを神にしたいというお話しです」
神様「そっちか。 本心だし嘘じゃない」
神使「再封印をすることになった場合、神力が足りなくなるから先に私達を神にしたいんですよね?」
神様「・・・そうね」
神使「つまり、二人を神にするには結構な量の神力が必要だと」
神様「まぁ・・・ それなりには」
神使「それだけ神力を使って、いざという時に再封印は出来るんですか?」
神様「・・・・・・」
神使「もし出来るのであれば、今私達が神にならなくても問題ないと思いますが?」
神様「・・・・・・」

329: ◆8YCWQhLlF2 :2018/05/19(土) 03:54:28 ID:ql5LHZOg
神様「ハァ〜・・・ しくったね〜」
神使「神様らしくないですね」
神様「・・・・・・。 神になってくれる?」
神使「お断りします」
神様「・・・・・・」
神使「全て知っていらしたんですね?」
神様「・・・・・・」
神使「四柱結界の件も神宮が手を引いていると。 神宮が結界を壊して封印されているものを掘り出そうとしている事も」
神様「・・・・・・」
神使「そして、危険な状態になっている内宮神様を助けるために意識共有を切った」
神様「・・・・・・」

330: ◆8YCWQhLlF2 :2018/05/19(土) 03:55:51 ID:ql5LHZOg
神使「他に方法はないんですか?」
神様「まるで私がこれから何をしようとしているのか分かっているような言い方だな」
神使「分かります」
神様「・・・・・・」
神使「分かりますよ。 神様は優しいですから・・・ 何をしようとするかなんて簡単に分かります」
神様「」フッ
神使「もう少し一緒に考えましょうよ。 いつもみたいな小ずるい手段でも」

331: ◆8YCWQhLlF2 :2018/05/19(土) 03:57:20 ID:ql5LHZOg
神様「・・・なぁ、神使」
神使「?」
神様「人も神使も神も、この世界に生がある物には全て終わりがある」
神使「・・・・・・」
神様「お前や私は人に比べれば随分と長いけど、それでもいつかは終わりを迎えるときが来る」
神使「・・・・・・」
神様「次の世代に役割を繋ぐことでこの世界は回っているんだ」
神様「だから・・・」
神様「私は、自分の役割をお前に託すと決めている。 当然、お前も次の世代に繋ぐことになる」
神様「私は・・・ 私はお前にこの国の平和を任せたい」
神使「それは今でなくても・・・」

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