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神様「神様だっ!」 神使「神力ゼロですが・・・」

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Part107
85: ◆8YCWQhLlF2 :2018/01/19(金) 02:25:10 ID:ncqnY2sk
神様「あんた達、全員訛りがない。 ここ来るときに乗ったバスの運転手、すげー訛りがあったのに」
村長「・・・・・・」
神様「それに、この村の家ちょっと崩壊しすぎ」
村長「・・・・・・」
神様「あとは〜 神体」
村長「神体?」
神様「女神使ちゃんは神体のこと位は知っているでしょ?」
女神使「あの神体はこの村に代々伝わる本物です」
神様「本物偽物は関係ない。 あの神体にはお願い事が入っていないんだよ」
女神使「お願い事?」

86: ◆8YCWQhLlF2 :2018/01/19(金) 02:25:59 ID:ncqnY2sk
神様「そう。 見た感じ20年前にここに立ち寄った神が成就のために神力を吸い上げてから、誰もお願い事をしていない」
女神使「・・・・・・」
神様「人がいて、神社があって20年間お願い事がないなんておかしい訳。 願いがないから神力もない」
神使「それでご神体の神力がカラだったんですね」
村長「抜かりましたな。 そこまで頭が回りませんでした」
神様「納得?」
村長「はい、見事な証明です」

87: ◆8YCWQhLlF2 :2018/01/19(金) 02:26:55 ID:ncqnY2sk
神様「いつからこの村に?」
村長「20年に一度、この村に神が立ち寄るという情報を私達は2年前に聞きました」
神使「まさかそんなに前からこのい村に!?」
村長「確実に神が神力を使う場所で、様々な測定器を配置するには好都合でした」
女神使「2年前、無人だったこの村の土地を全て買い取って入念に準備をしてきたんです」
神使「そこまでして・・・ 貴方たちは一体何者なんですか?」

88: ◆8YCWQhLlF2 :2018/01/19(金) 02:28:10 ID:ncqnY2sk
神様「さて、それじゃぁお互い自己紹介といきましょうか」
村長「・・・・・・」
女神使「所長、全て話しましょう」
村長「そうだな」
女神使「私達は、有職故実研究財団の研究グループです」
神使「有職・・・ それって確か神宮管轄の外郭団体ですよね?」
神様「あ? 何それ」
神使「過去にGHQの意向で設立された帝都有職研究公団が母体で、現在は神宮が引き継いでいる機関です」
女神使「お詳しいんですね」
神使「私も神宮の者ですからその位は」
神様「・・・お、おうよ。 公団ね、知ってる。 日本道路公団」

89: ◆8YCWQhLlF2 :2018/01/19(金) 02:32:52 ID:ncqnY2sk
神使「しかし、私の知る限り今は運営が停止されていると思うのですが」
神様「そうそう、今はJHだよね。 はっ! JHのJは神宮のJ・・・」
神使「・・・・・・」
村長「表向きはね」
神使「表向き?」
村長「財団の管轄は神宮だけじゃないんだよ」
神使「?」
村長「さっき自分で言ったじゃないか、外郭団体って」
神使「・・・ まさか!」
神様「JH!」
神使「神様、ちょっと黙っていて下さい。 それと今はJHでなくNEXCOです」
神様「はい」


90: ◆8YCWQhLlF2 :2018/01/19(金) 02:34:56 ID:ncqnY2sk
村長「資金は、国からも回っているんだよ」
神使「国が・・・」
村長「まぁ、神宮も停止中と言いながら後ろ盾しているがね」
神使「それって・・・」
村長「神宮の闇。 いや、日本の闇と言った方が良いのかな?」
神使「貴方たちの目的は?」
村長「私達のグループは、神力を解明することが研究テーマだ」
神使「それを解明して何をするんですか?」
村長「私達は研究者だ。 テーマを研究し結果を出して上に提出するのが職務だ」
神使「どのように扱われるかも分からないのに研究するんですか?」
村長「電子を研究した学者はどのように扱われるか分かってやっていたと思うのかね?」
神使「・・・・・・」

91: ◆8YCWQhLlF2 :2018/01/19(金) 02:35:52 ID:ncqnY2sk
村長「ただ、これだけは分かって欲しい。 もし、研究成果が悪に使われるのであれば私達はそれを阻止する義務もある」
神使「・・・・・・」
村長「その為にも研究は必要だ。 今は神という存在がその力を抑止しているから良いが、この先どうなるか誰も分からない」
神使「そんな極端な・・・」
村長「神力だっていつかは科学で証明される。 神の奇跡と思われていた雷や地震だって今や科学的に説明が付く」
神様「うんうん」
神使「ちょっと、神様・・・」

92: ◆8YCWQhLlF2 :2018/01/19(金) 02:37:47 ID:ncqnY2sk
神様「詳しいことはよく分からんけど、信念は理解した」
神使「本当に理解したんですか?」
神様「あれだろ? 日本道路公団がNEXCOになっても高速道路を作り続けなくちゃいけないって事だろ?」
神使「誰もそんな事は言っていないのですが・・・」
神様「大丈夫だよ」
神使「しかし、神力を科学的に測定させるだなんて危険では・・・」
神様「いいや。 村長の言っていることに私は賛同できる」
神使「・・・・・・」
神様「時代は進む。 止まっちゃダメなんだよ」
神使「・・・わかりました。 神様がそう言うのであれば」

95: ◆8YCWQhLlF2 :2018/01/29(月) 01:44:40 ID:WcwYnvvY
神様「でもさぁ、何でこんな回りくどい事をしてまで神力を調査しようとしたの?」
女神使「私達も好きでこんな大掛かりな仕掛けをしたわけではありません」
村長「正攻法では他の神の協力を得ることが出来ませんでしたので」
神様「神宮に申請すれば多少は協力してくれるんじゃない? 関連団体なんだし」
村長「表向きは停止中の機関。 毎年名を変え研究協力申請は出しましたが未だ許諾は出ておりません」
神様「神宮も相変わらずそういう所がダメだな。 やっぱここら辺で私が頂点に立って───」
神使「ちなみに神宮のどちらへ申請を?」
女神使「広域特務課です」
神様「・・・・・・」
神使「へぇ〜 広域特務課ですか」ジー

96: ◆8YCWQhLlF2 :2018/01/29(月) 01:46:25 ID:WcwYnvvY
神様「さて、次は私達の自己紹介を」アセアセ
神使「・・・・・・」ジー
神様「だから、そんなに見つめられると照れちゃうって言ってんだろーが!」ゲシッ
神使「痛い!」ガクッ
神様「こいつは私のお付きで、極悪邪道腐れ犬ころ変態すけこま意識高い系ポークビッツアホ神使」
神使「狛犬の神使と申します」ペコリ
女神使「神使学校で何度かお見かけしました」
神使「覚えていてくれていたんですか!?」
女神使「私の論文発表であなただけが真剣に話を聞いていてくれましたから」
神使「お恥ずかしい・・・ ほとんど理解できなかったんですが・・・」

97: ◆8YCWQhLlF2 :2018/01/29(月) 01:47:36 ID:WcwYnvvY
神様「そして、私の名前はかわゆい神───」
村長「私は、あの論文を見せられて衝撃が走ったのを今でも覚えているよ」
神様「私の名前は、かわゆ───」
神使「ちなみにあの後、女神使さんは学校を辞められてしまったのですがどういう経緯があ───」
神様「聞けよ!!」ゲシッ
神使「痛い! 何で私だけ!」ガクッ
神様「私はかわゆい神ちゃん! 神宮の最高神だ!!」フンスッ
村長・女神使「え!? 最高神?」
神使「そこまでバラさなくても・・・」
神様「うるせー こうでもしないと私に注目が集まらないんだよ!」
神使「またチヤホヤされたい病ですか・・・」

98: ◆8YCWQhLlF2 :2018/01/29(月) 01:48:35 ID:WcwYnvvY
女神使「最高神って・・・ 本当に存在していたんですか・・・」
神様「今までどこからも協力してもらえず大変だったであろう。 今日は気の済むまで最高神の神力を味わうが良い」キリッ
神使「申請をほったらかしにした罪滅ぼしですね」
神様「シーット!」ゲシッ
神使「痛い!」ガクッ
神様「ところで、そちらの偽神さんは? お宅も研究者?」
偽神「あっ、私はマジシャンです」
神使「財団の方ではないのですか?」
偽神「はい、女神使さんからマジックアドバイスの依頼を受けまして」
神使「そうだったんですか・・・」
偽神「役者の仕事もやっているんで、何かお仕事があればお声がけ下さい」
神使「はぁ」

99: ◆8YCWQhLlF2 :2018/01/29(月) 01:50:27 ID:WcwYnvvY
女神使「それでは偽神さん、ありがとうございました。 演料は明日にでもお振り込みいたしますので」
偽神「分かりました、では失礼いたします。 あっ、マジック道具はあとで送っておいて頂けますか?」
女神使「はい。 後ほど事務所にお送りいたします」
偽神「では、偽神☆私はこの地を去る!」テクテク
神使「部外者にマズいことを聞かれてしまったような気がしますが・・・」
女神使「あの方もプロです。 ここでの事は他言無用で契約いたしましたから」
神使「大丈夫でしょうか・・・」
女神使「神宮管轄の芸能プロダクションですからご心配なく」
神様「え!? 神宮って芸能プロダクションもあるの?」
神使「雅楽等の派遣依頼もあるので、そういう団体を持っているというのは聞いたことあります」
神様「後で教えて。 私も登録する」

100: ◆8YCWQhLlF2 :2018/01/29(月) 01:51:28 ID:WcwYnvvY
神使「・・・・・・。 それで、神力の調査というのはどのように?」
女神使「この神社の周囲に様々な測定器が設置されているので、神力を発動して頂けるだけで大丈夫です」
神使「神力を測る機械なんてあるんですね」
村長「いいえ、実際動作するのかも分かりません」
神様「そうなの?」
女神使「なにしろ初めてですから。 神力が何に反応するのかも分からないので」
神様「ふ〜ん」ゴソゴソ
女神使「? あの、何を?」
神様「ん? 私、自分の神力封印していてさぁ、お守りに昔の神力を入れてあって必要なときに使うんだよ」
女神使「神力は保存が利くのですか?」
神様「うん。 適当な依代があればそこに移せる」
村長「これは驚いた」


101: ◆8YCWQhLlF2 :2018/01/29(月) 01:52:38 ID:WcwYnvvY
神様「我、封印されし神力を解放す」
ポワポワ
神様「さぁ〜て、何を見せようかなぁ〜」
女神使「出来れば最初は軽めの物からお願い出来ればと」
神様「んじゃ、風吹かせますか」
村長「測定器の準備は良いか?」
村人「はい」
神様「風よ吹け吹け、風よ吹け〜」クルクル

102: ◆8YCWQhLlF2 :2018/01/29(月) 01:53:44 ID:WcwYnvvY
ビュー
神使「風ですね」
村長「これは凄い。 無風状態から風が・・・」
女神使「測定器に反応は?」
村人「地表の温度が一時的に高温になったようです」
村長「周囲の大気温度も上昇したようだな」
女神使「ベナール対流でしょうか?」
村長「あぁ、近いかもな」

103: ◆8YCWQhLlF2 :2018/01/29(月) 01:54:53 ID:WcwYnvvY
神様「何か分かった?」
女神使「つむじ風の発生する原理に近い現象のようですが・・・ まだ何とも」
神使「科学的に説明できるんですか?」
村長「風が起こる仕組みは説明できるんですが、その条件を満たすまでの課程が分かりません」
神様「じゃぁ、次は少し難易度を上げちゃいましょうかね」
神使「難易度?」
神様「あの枯れ木に花を咲かせましょう〜」クルクル
ポンポンポンッ
一同「!?」
神様「綺麗」

104: ◆8YCWQhLlF2 :2018/01/29(月) 01:55:49 ID:WcwYnvvY
女神使「すごい・・・」
村長「こんな事が・・・」
神様「調子出てきた! 次は思い切ってあの山を真っ二つに!」
神使「ダメです」
神様「え〜」
神使「測定の方はどうですか?」
村長「特に反応は・・・」
村人「こっちの計器にも変化はありません・・・」
神様「ん〜 残念。 まぁ今のはかなり難しい神力の使い方だからね」
神使「さすがに現代の器械では測定することは出来ないようですね・・・」
女神使・村長「・・・・・・」

105: ◆8YCWQhLlF2 :2018/01/29(月) 01:56:34 ID:WcwYnvvY
神様「じゃ、残った神力を使ってその体で神力を感じてみる?」
女神使「体で?」
神様「皆の健康を願い我が神力を持って成就せよ」
ポワポワ
村長「!?」
女神使「体が・・・ 温かい・・・」

106: ◆8YCWQhLlF2 :2018/01/29(月) 01:57:16 ID:WcwYnvvY
神様「どう? 神力は感じた?」
女神使「は、はい」
神様「よかった」ニコッ
神使「・・・あの」
神様「あ?」
神使「私には掛けてくれないのでしょうか?」
神様「忘れてた」
神使「そうですか・・・」


111: ◆8YCWQhLlF2 :2018/02/07(水) 22:39:56 ID:sV073TC6
─── 深夜・社務所
神様「こんな遅くまでお仕事?」
女神使「!?」クルッ
神様「あまり役に立てなかった?」
女神使「そんな事ありません。 まだ未解析のデータもありますので」
神様「村長とか他の人は?」キョロキョロ
女神使「収集したデータを持って研究所の方に。 たぶん明日の夜には戻ると思いますが」
神様「そう。か弱い女の子を一人置いていくなんてダメだなぁ〜」
女神使「そんな事ないです」
神様「?」
女神使「研究者に男も女も関係ありませんし。 分け隔てなく扱ってくれることには感謝しているんです」
神様「いや〜 でもさぁ」

112: ◆8YCWQhLlF2 :2018/02/07(水) 22:41:00 ID:sV073TC6
女神使「研究所の皆、私が神使だって知っても普通に接してくれて」
神様「・・・・・・」
女神使「私、ビックリすると・・・ その・・・ 耳とか尻尾とか出ちゃうんですけど・・・///」
神様「ウサちゃんだよね」
女神使「はい/// そんな事になっても研究所の皆は驚きもせず・・・」
神様「ふ〜ん」
女神使「神使という事を隠さず、気兼ねなく過ごすことが出来るのがすごく嬉しくて」
神様「そっか。 でも、女神使ちゃんはどうして神力の解明をしたいと思ってるの?」
女神使「自分の・・・ 自分の存在意義を調べるためです」
神様「自分?」
女神使「どうして神使というものが存在しているのか・・・ 神力を解明すればきっとそれが分かると思って」
神様「・・・・・・」
女神使「でも、先は長そうです」ニコッ

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