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少女「君は爆弾に恋をした」

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Part11
117 : ◆J9pjHtW.ylNB :2014/11/21(金) 21:06:46.44 ID:uiuzbvcAO
大晦日
二人をリビングに招いて飲み物を用意していると彼女が出てくる
男「待ってたらいいよ」
少女「ん、手伝う」
博士「あ、私は少しでかけてくるから二人分だけで良いぞ」
男「え、どこに?」
博士「いや、酒を買いにな」
男「酒?」
博士「今夜は君のお母さんと二人で飲む約束をしてるんだ」
そう言うと博士はにこやかに外出した
うちの母もまあまあお酒を飲むのだが博士もお酒が好きなようで
僕は急に彼女と二人で残されてしまって、焦る
男「じゃ、じゃあ部屋で待ってようか」
少女「うん……」
彼女が微妙に緊張している気がする
僕も少し緊張してしまう
前にも二人きりで部屋にいたことはあるんだけど……
部屋に戻るとしばらく沈黙してしまった
男「また一年が終わるね」
少女「うん、でも君と一緒に年越しするのは初めてだね」
男「来年もよろしく」
少女「まだ早いよ」
彼女はくすくす笑う
う〜ん、可愛いなあ……
男「そうだ、こたつ出そう」
少女「こたつあるのか」
男「今日は大掃除したから片付けてた」
少女「私も大掃除したぞ」

118 : ◆J9pjHtW.ylNB :2014/11/21(金) 21:09:38.40 ID:uiuzbvcAO
はたきを持ってかけまわる彼女を想像して、少しほっこりする
……やっぱり彼女といると、空気が柔らかくなる効果があるみたいだ
男「来年のデートはどうしようかな?」
少女「今からレストラン予約とかは、無理だな……」
男「そうだね」
少女「そういえば親戚の人は来ないの?」
男「父さんが帰ってこないからね」
少女「そうなのか、従兄弟とかいないのか?」
男「いるけど、まだ小さい子だよ」
少女「そうか、遊びたかったかも」
男「うん……、でもまあ親戚が来たら二人を呼べなかったけどね」
少女「そっか」
二人でこたつに入って緩く過ごしていると母たちが帰って来た
賑やかに
母「まあ、こんなに良いんですか?」
博士「いやいや、お邪魔しているんだから気にしなくていいよ」
母「今夜はたっぷり飲めますね〜」
博士「楽しみだ」
二人が仲が良いのは良いことだけど、今夜は賑やかになりそう
でも四人で年越しも楽しそうでいいかな〜
とりあえず彼女と一階に降りた
博士「お、酒の肴が来た」
母「まあまあ、あんまりいじったら可哀想ですよ」
撤回しよう、嫌な予感しかしない

119 : ◆J9pjHtW.ylNB :2014/11/21(金) 21:12:06.22 ID:uiuzbvcAO
母「うちの子は奥手なのかしら?」
博士「私も推奨しているのだがな」
母「推奨!?」
母「うちは男の子だからあんまり押したら無理矢理とかやっちゃいそうだし……」
博士「うちの子も相思相愛ラブラブ惚気まくりだから大丈夫だと思うが」
母「まあ女は度胸よね!」
今すぐ彼女に爆発する薬品を飲ませたい
どうしてそう言う方向に話を持って行きたがるのか
和食を食べてるのにコーラをぶっかけたがるようなものではないか
よく分からないが彼女と僕はまだそう言う関係では無いのだ
ふと横を見ると彼女は真っ赤になってモジモジしていた
駄目だ、これ以上この二人を喋らせては
僕はテーブルに並ぶお酒を掴むと蓋を開け、母に向ける
男「もうちょっと飲んだら?」
さっさと酔い潰すべきだ
母「いっとくけどお母さんチューハイだと三リットル飲んでも酔わないわよ?」
酒豪か
博士もかなり飲みそうだが博士の方にもそそぐ
博士「桃味にライム味を足しちゃ駄目だ」
ミックスジュースみたいなものだろ
母「チャンポンは悪酔いの元だから〜」
良く分からないが、混ぜたらより酔いやすいようだ
混ぜよう

120 : ◆J9pjHtW.ylNB :2014/11/21(金) 21:15:07.18 ID:uiuzbvcAO
僕は二人の隙を見ては様々なアルコール度数も高めのお酒をお酌して行った
しかし年越しに寝てしまうわけにいかないらしく二人の飲む速度は落ちてくる
そのうち博士は一人で日本酒を飲み始め、母は年越し蕎麦の準備を始めた
一時休戦だ
しきりにお酒を勧めたからかあまり喋らなかったのは幸いだ
少女「お蕎麦を食べたら君の部屋に行こう……」
今二人きりになるのもどうかと思ったがそうしよう
キッチンでカタコト音がするのを聞いてると眠くなってくる
男「ちょっと眠いね」
博士「私も寝る」
博士は言うやいなやその場で突っ伏した
少女「だらしないなあ」
男「ちょっと飲ませすぎたかな?」
少女「まあこれでしばらく喋らないだろうから放っておこう」
男「うん」
やがて良い香りがし始めた
母「はい、おまたせ」
少女「ありがとう」
母「熱いから気をつけて」
博士を起こしてお蕎麦を食べ始める
もう今年も終わりなんだなあ、と改めて感じる
少女「美味しい」
博士「私らには作れないな、料理を教えて欲しい」
母「喜んで」
毎日食べていると気にならないが、母は料理が上手いらしい

123 : ◆J9pjHtW.ylNB :2014/11/21(金) 21:39:12.44 ID:uiuzbvcAO
蕎麦をすすった後歯を磨いてから二階に上がる
自分の部屋に帰ってくると沈黙が怖いのでテレビをつけた
少女「あはは」
男「んー、やっぱり年越しはこたつみかんだね」
少女「こたつ暖かいな」
男「あー、来年のデートはどうしようかなあ」
少女「なんでもいいぞ、二人で居られたら」
男「じゃあ大きい公園があるから行ってみようか」
少女「良いな」
公園でのんびりしたらまた映画も良いかな
その後何か買い食いして
色々計画を立てていると熟練カップルのような気分になってくる
まだ付き合い始めて数ヶ月しか経ってないんだなあ
思い返せば一瞬だけど
少女「今年は色々あったから一瞬だった」
男「楽しかったね」
少女「うん」
少女「来年も……よろしくな」
男「もちろん」
数時間後もおんなじ会話してるんだろうなあ
男「あ、飲み物とおやつ用意してあるんだ」
少女「ありがとう」
男「ちょっと待っててね」
下に降りると二人の話し声が聞こえてくる
母「私の若い頃はね〜」
博士「私はあんまり恋愛はしなかったな」
母「あら、旦那さんとも?」
そう言えばどういう設定なんだろう?


124 : ◆J9pjHtW.ylNB :2014/11/21(金) 21:39:52.20 ID:uiuzbvcAO
博士「私は強引に押し切られた感じで、あの子ができたらすぐに別れたよ」
母「あら、もったいない」
まあ実子なわけがないが、そう言う話にした方が良いのだろう
しばらく二人の話を聞きながらお茶の準備をして二階に上がる
彼女はこたつでそのまま眠ってしまっていた
男「風邪引くよ」
少女「ん」
男「お茶を用意したから飲もう」
少女「うん」
二人で熱いお茶をすすっていると目も冴えてきた
少女「落ち着く」
男「そうだね」
少女「ドキドキしたり落ち着いたり、恋愛は忙しいな」
男「あはは」
やがて年越しを告げる鐘の音が鳴ってきた
男「明けましておめでとう」
少女「おめでとう」
男「今年もよろしく」
少女「よろしくな」
彼女は眠そうだ
男「五時くらいまで寝ようか?」
少女「そうだな」
僕はアラームをセットすると、そのままこたつで横になる
寒いな
すぐ体を起こすとベッドから毛布を剥ぎ取り、彼女に渡す
少女「いいのか?」
男「うん、寒いし」
少女「ありがとう」
少女「君の匂いがする……」
何か照れる
僕は押し入れからもう一枚毛布を出してくるまった

125 : ◆J9pjHtW.ylNB :2014/11/21(金) 21:41:31.62 ID:uiuzbvcAO
こたつに入ると彼女の足に当たる
少女「あ、悪い」
男「う、うん、ごめん」
これから二人で一つの部屋で眠るんだ……
静かになると色々想像してしまって、なかなか眠れそうになかった
少ししてトイレに起きる
男「やっぱり緊張するなあ……」
二階に上がろうとするとまだ二人の話し声がしている
あのまま徹夜するのだろうか?
それにしてもよく話のネタがあるものだ
同じような話を繰り返している気もするが
二階に帰るとまたこたつに、彼女に当たらないよう潜り込んで眠りについた
やがてアラームの音で目を覚ます
少女「おはよ……」
男「うん、おはよう」
少女「まだ真っ暗だ」
男「明るかったら困る、初日の出見ないと」
少女「それもそうか」
まだ彼女は眠そう
僕も……あくびをすると外出の準備をする
彼女もベッドに置いてあったマフラーを着けたり準備をした
男「さ、行こうか」
少女「うん」
母たちはテーブルで眠っているようだ
家を出て彼女と手を繋ぐ
手袋越しの温もりが優しくて、また眠くなってきて、あくび
少女「大きな口……ふわあ……」
男「あくびうつったね、あはは」

126 : ◆J9pjHtW.ylNB :2014/11/21(金) 21:44:06.07 ID:uiuzbvcAO
街灯の灯りのある道を選んで、僕らは東に歩いた
神社に向かうのか、いくらか人が歩いている
いくつか交差点を横切ると、やがて目的の川岸にたどり着く
まだ少し早いようだ
少女「寒いね〜」
男「うん、寒い」
僕は彼女を抱き寄せた
少女「ふふっ、温かい」
男「ん……ちょっと明るくなってきた」
少女「うん」
彼女の白い息が見える
ゆっくりと
今年初めての太陽の輝きが射してくる
男「明けましておめでとう」
少女「明けましておめでとう!」
彼女は嬉しそうに橋を駆けて行く
元気だなあ
彼女の体温が無くなった代わりに太陽の熱が強まってくる
風が無くて良かった
歩いて彼女の後を追っていく
男「待ってよ」
僕が声をかけると、彼女はこちらに走ってきて、抱きついてきた
そのまま山を乗り越えつつある太陽を背景に
キスをした
少女「明けまして初キス」
男「なにそれ」
ちょっと笑う
またキス
そのまましばらく
……君の体温を感じて……
男「……帰ろっか」
少女「うん……」
帰るまでにこの体が溶けないといいけど

127 : ◆J9pjHtW.ylNB :2014/11/21(金) 21:46:38.79 ID:uiuzbvcAO
家に着くと味噌の香りがしている
少女「お雑煮か」
男「歩いたらお腹減ったね」
少女「うん、それにしてもいい香り」
家に入ると博士が顔を出して
博士「二人とも、明けましておめでとう」
少女「おめでとう、お母さん」
男「明けましておめでとうございます」
今日はあと何回明けましておめでとう、と言うだろうか?
母「おめでとう」
少女「おめでとうございます」
男「おめでとう」
三人でテーブルに着く
博士「これ、少ないが」
博士がお年玉をくれた
ずいぶん分厚いな……
男「あ、ありがとうございます、すみません」
博士「ほら、お前も」
少女「ありがとう」
博士「デートで使い切るなよ」
少女「う〜ん、たぶん使い切る」
博士「まあそれも良いな」
その後母からもお年玉をもらうと、お雑煮を食べた
部屋に戻り、お昼まで二人でみかんを食べたり今までのデートの話をしたり、新しいカップルの話をする
お昼前になって、出かけることにした
少女「現地集合だっけ」
男「うん」
外に出ると、彼女が腕を組んできた
温かいなあ