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少女「君は爆弾に恋をした」

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Part17
187 : ◆J9pjHtW.ylNB :2014/11/28(金) 21:08:56.23 ID:OHxEuXQAO
銀髪「待て、少女さん!」
銀髪「彼が着いてきてない!」
少女「!」
少女「……しまった……!」
その時不意に声がかかり、彼女たちは振り返る
老人「ずいぶんと暴れてくれたのう」
少女「お前は……」
少女「彼と……お母さんを返せ!」
老人「連れてこい」
警備員「はっ」
僕は警備員と白衣の男に連れられて歩く
博士も一緒に連れてこられた
男「ごめん……」
せっかく体を鍛えたのに、情けない
博士「言ったろう、逃げろって」
少女「逃げるわけないだろう」
博士「逃げて幸せになる選択肢も有ったはず」
少女「お母さんが拷問にかけられてるかも知れないのに?」
少女「逃げられないよ、逃げても幸せになれない」
こうなることも博士の計算のうちのはずだ
何を考えているのだろう?
博士「ふふ……」
老人「ふん……ようやく儂の元に戻ってきおったわ」
老人「兵器が情に流されるとは滑稽だの……精神を改造する手法も考えるべきかのう」
外道が……
博士「ここに私の研究成果は全てそろった」
博士「全てを焼き尽くす」
男「!」
少女「……」
少女「ごめん、覚悟はできてる……?」
彼女は僕の目を真っ直ぐに見つめてきた

188 : ◆J9pjHtW.ylNB :2014/11/28(金) 21:12:49.73 ID:OHxEuXQAO
覚悟はとっくに決まっている
決まっている……筈だった
でも実際にこの事態になると、冷や汗が出てくる
しかし、逡巡していても彼女の決意が鈍るだけだ
僕が彼女を迷わせたく無い
少女「仕方がない」
少女「君は爆弾に恋をした」
老人「……ま、まさか」
老人「馬鹿な、死ぬ気か!?」
男「僕は」
男「君と一緒にいる!」
僕の言葉を聞くと彼女は一つ頷き、懐から封印された試験管を取り出す
バラバラと封印を外す
老人「と、止めろ!」
警備員「はっ!」
白衣「ひ、ひいっ」
白衣の男は事情を知っているのか、腰を抜かした
警備員は彼女に飛びかかる
銀髪「……俺がいるの忘れてないか?」
警備員は後頭部に手刀を食らい、倒れた
銀髪「ふう……これで終わりか」
銀髪「君たちと彼女のお陰で……楽しかったよ」
銀髪「……やれ!」
銀に促されて、彼女は一つ頷くと試験管に満たされた薄桃色の液体を
ゆっくりと飲み干した

189 : ◆J9pjHtW.ylNB :2014/11/28(金) 21:18:10.85 ID:OHxEuXQAO
老人「ひっ、ひいっ!」
白衣「うわああっ」
銀が警備員を揺り起こす
銀髪「……行け」
警備員「ひいっ!」
警備員は銀に怯んで逃げ出した
彼女が爆発するまで、まだ時間がある
僕はゆっくりと彼女の元に歩いていく
約束を果たすために
少女「……ありがとう……」
男「約束だから」
僕はゆっくりと
彼女にキスをした
銀髪「はあ、やれやれ」
博士「ふふふ……」
銀髪「これで老人たちは大丈夫なんでしょうか?」
博士「この技術が内部分子によってテロに使われる危険性はこれで十分伝わったはずだ」
博士「人を使う以上は、必ず予期しない事態が起こる」
博士「もちろん脳の無い体だけを作ることもできるが、使うのは人間だ」
博士「テロの危険性は消えない……あの老人もそこまで馬鹿ではないだろう」
二人の会話を横で聞きつつも思う
僕らは最後に世界を平和に近づけたのだと
これで最後
最後だから……
僕は彼女をしっかりと抱き締めて目を閉じる……
その桃の香りがする唇を……感じて……

190 : ◆J9pjHtW.ylNB :2014/11/28(金) 21:22:12.86 ID:OHxEuXQAO
女は教室に誰もいなくなったような静けさを感じていた
大切な友達が三人、今日は登校してこなかった
委員長の話では三人は何かのトラブルに巻き込まれたらしい
しかし、帰ってくると
委員長は確かに言った
だから少し寂しいが、女は待っている
女「帰ってくるよね……」
女友「銀ちゃん〜……」
眼鏡「寂しいです……」
委員長「帰って来るさ」
友「……でもよお……」
友「トラブルってこの前のストーカー絡みじゃねえの?」
女「……私のせいなのかな……」
委員長「いや、それはないと断言しておく」
委員長「詳しくは話せないが」
待っている
三人は自分の大切な友達だから
待っている
やがて午後の授業が始まる
寒い教室
雪も降ってくる
女が降ってくる雪を眺めていると
校門の所に三人の影が見えた気がした
ーー終わりーー

193 : ◆J9pjHtW.ylNB :2014/11/28(金) 22:27:32.62 ID:OHxEuXQAO
エピローグ
彼女の体内で激しい勢いで精製される核物質はやがて臨界量を迎える
まず発生した中性子線は辺りの全ての命を奪い去る
暴走する中性子線
失われたおよそ一グラムの質量による巨大な核爆発が起こり
百テラジュールの炎は山間を埋め尽くし……全てを焼いていく……
ぶっちゃけて言おう
そんなことは無かった
彼女の唇から漂う桃の香りと共に僕はあることを思い出していた
少女「桃のジュースとか好きかな〜?」
確かに言ってたけど
確かに桃色だったけど……、え〜〜〜
少女「すまんな」
博士「初めから薬品なんか処分してるわ、誰が大切な娘を爆発させるものか」
少女「お母さん」
彼女は博士を抱きしめた
博士「ぬくい」
ちょっ
男「ちょっと待て〜っっ!」
少女「ごめん」
銀髪「敵をだますにはまず味方から、か」
少女「なんでもするから、許して欲しい」
いや、良かったけど、死なずにすんで良かったけど……
男「じゃあもう一回キスすること」
少女「……うん!」
キスした
最後じゃなかった
それから、資料を処分してから僕らは歩いて山を降りていく
途中、谷底が明るく輝いていた
博士「馬鹿め、事故を起こしたか……」
男「……こんな風に終わるなんて……」
それから警察を呼んで色々と事情を話した
お陰で凄く眠いのに、帰れなかった
だが、これで本当に終わり


194 : ◆J9pjHtW.ylNB :2014/11/28(金) 22:30:33.14 ID:OHxEuXQAO
そのまま僕らは警察で寝てしまった
慌てて帰宅し、着替えてから学校に向かう
三人で待ち合わせして、三人で登校
放課後、友たちに色々聞かれたが、何も話せることはない
仕方なく話を捏造する
銀も彼女もその話に乗ってきた
彼女のお母さんが夜遅くまで帰ってこなかった
僕らは彼女を探して走り回った
明け方になって家に帰ったら酔っ払った彼女のお母さんが帰ってきていた
僕らはそのまま寝てしまったので今になって登校
……無理があるかな?
とりあえず博士は悪者にしておいた
女「心配したんだから」
男「ごめん」
少女「すまんな、人騒がせな母で」
銀髪「まあ帰ってきて良かったよ」
少女「うん」
友「ラーメンでも食いに行こうぜ」
男「ああいいな、疲れたからラーメン食べたい」
女友「行こう〜」
眼鏡「三人のおごりですかい?」
少女「し、仕方ないな」
委員長「学校帰りに寄り道か」
委員長「……たまにはいいね」
男「委員長には迷惑をかけたからな、ぜひ奢らせてくれ」
委員長「無理はしないでくれよ?」

195 : ◆J9pjHtW.ylNB :2014/11/28(金) 22:32:14.49 ID:OHxEuXQAO
僕らは美味しいと評判の町外れの小さなラーメン屋さんに入った
八人で二つのテーブルを埋めると、店員たちは忙しく走り回った
ラーメンが来る
熱い湯気が顔にかかる
濃厚な豚骨スープにニンニクの香り
熱いスープが喉を通る度に疲れがほどけていく
卵の味の強い麺をすする
女「あ、あれ!」
女がテレビを指す
テレビでは例の黒服二人が隣県で逮捕されたというニュース……!
キャスター「なお、二人は爆弾を探していたなどと意味不明な供述を繰り返しており……」
キャスター「本日二人が所属する組織に家宅捜索が……」
女「くくっ」
少女「あははっ!」
男「間抜けだなあ……」
委員長「良かった、ストーカーは逮捕されたんだね」
女友「良かったね〜」
女「あんがと!」
これで肩の荷が降りた
全く彼女を追う者がいなくなった訳では無いはずだが、もう大きな脅威は無いはずだ
僕と彼女はいつもの公園に立ち寄る
少女「……これからも……よろしく」
男「うん」
ずっと
これからもずっと離さない

196 : ◆J9pjHtW.ylNB :2014/11/28(金) 22:33:09.26 ID:OHxEuXQAO
少女「えっと……」
少女「今キスしたらニンニク臭いかも」
男「確かに」
男「じゃあ今日はやめとこう……」
少女「……あ……」
……フェイントで頬にキスをした
だって寂しそうな顔するんだもの
少女「わっ!」
少女「うう……」
彼女は真っ赤になって何度かうなった後、一言
少女「爆発する……!」
ーー終わりーー

197 : ◆J9pjHtW.ylNB :2014/11/28(金) 22:38:46.11 ID:OHxEuXQAO
みじかっ
これで終わりです、今度は本当に終わりです
また同じキャラでいちゃラブギャグでも書きたいなあ
設定倒れな気もしますが、色々勉強になりました
なにかもったいないですが、次のお話を書きたいので仕方ないですね
見かけたら読んでやってください
ではまた

198 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2014/11/28(金) 23:16:07.07 ID:v7cVBL5/O


199 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2014/11/29(土) 02:55:14.94 ID:Bh27EHCSO
邦画でいけそうなお話だったな
面白かった。

200 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2014/12/01(月) 11:16:37.09 ID:uhabnoPYO
おつ

201 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2014/12/05(金) 15:36:16.29 ID:F32CnVTAO
>>198-200
ありがとうございます
次が出来たのでHTML化依頼出してきます
明日までには投稿したいです
>>199
SFとは名ばかりなのでCGちょろっと使えば普通に映像は作れそうですね
ありがとうございます

203 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2014/12/09(火) 00:29:50.70 ID:zyxYSzgX0
素晴らしすぎる。