少女「君は爆弾に恋をした」
Part15
163 : ◆J9pjHtW.ylNB :2014/11/22(土) 21:57:49.00 ID:0q+uCgFAO
ひっくり返った砂時計
砂は止めようもなく落ちていく
こちらの寂しい気持ちなんか知ることもなく
運命は流れていく
これが最後かも知れないから
僕は君を大切に、記憶に刻みたい
例えこれがいつか物理的に失われる気持ちだとしても
164 : ◆J9pjHtW.ylNB :2014/11/22(土) 21:59:55.10 ID:0q+uCgFAO
やがてまた一週間が過ぎて、釣りデートの日が来た
僕らは駅にクーラーボックスを持って集まった
大きなクーラーボックスだが、ほとんど釣れなかったら寂しいな
少女「冬場だから厳しいけど、潮は悪くないよ」
男「潮?」
少女「満潮に向かって徐々に満ちていく時間帯だ」
少女「潮が引くと岩場が砂浜になったりするぞ」
委員長「これから行くのは堤防だけど、今がちょうど干潮時刻だから水がどれくらい動くか分かるよ」
友「まあ満潮まではいられないかなあ」
銀髪「そうだね、二、三時間釣って帰ろう」
男「アウトドアは一日潰れるなあ」
少女「そうだな、自然を眺めて一日のんびり過ごすのがアウトドアだからな」
女「潮風が寒いかも」
女友「あんまり風が無くて良かった〜」
銀髪「海際は風が強いと思うけどね」
銀髪「気をつけて」
女友「うん〜」
海に落ちて亡くなる人もいるらしいから、ほんと気をつけないと
少なくともこんな所では死ねない
眼鏡「魚……触れるかな……」
委員長「俺がやるから気にしないで」
眼鏡「でも自分で釣った魚……さばきたいかもです」
165 : ◆J9pjHtW.ylNB :2014/11/22(土) 22:02:03.99 ID:0q+uCgFAO
委員長「う〜ん、根魚なら鱗を落としてはらわたを抜いたら、後は煮ても唐揚げにしても美味しいと思うよ?」
委員長「なんならそこまで俺がやってもいいし」
眼鏡「ん……頑張ります……自分でさばく……」
委員長「そう、やりたいならやってみたらいいよ」
魚か……
魚をさばいたこと無いなあ
彼女が大きな鯛を釣り上げてさばいてくれって言われたらどうしよう
釣れるわけないけど
根魚ってなんだろうと思って調べたら魚の生息域などでグループ分けして名前がつけられているらしい
根魚は岩礁などに隠れ住むカサゴやメバルなどの魚の総称だそうだ
鯛は三十から二百メートルの深海に住む魚で、陸から釣れることもあるが一般的には沖に船を出さないと釣れないらしい
銀髪「根魚だけだと釣果が心配だから投げ竿とサビキ仕掛けも用意したよ」
友「俺らは青イソメで女の子たちはアジの切り身やエビで釣り分けるんだな」
委員長「色々釣れた方が面白いからね」
銀髪「カサゴしか釣れなかったら飽きそうだし、アミエビなら色々釣れるだろうから」
友「ひさびさだから楽しみだな」
166 : ◆J9pjHtW.ylNB :2014/11/22(土) 22:04:45.83 ID:0q+uCgFAO
男「餌はどこで調達するの?」
委員長「現地の釣具屋さんで買うよ」
銀髪「一応魚の切り身だけは用意してある」
友「イソメ見たら流石の女もびびるだろうな」
友が意地悪そうに笑う
青イソメ……
僕にしてもとても触りたくはない虫だ……
節のあるミミズと言うか、足の溶けたムカデのような容姿に黒い牙……
しかし多分彼女はほいほい掴むだろう
怯んではいけない
少女「楽しみだな」
男「うん」
イソメさえ無ければ
しかし彼女の手前友よりヘタレて見せるわけにはいかない
電車に乗る前におやつやお弁当を買う
少女「飲み物は持ってきた」
男「何?」
少女「コーヒー、甘いの」
僕にあわせてくれたのかな?
嬉しい
委員長「一応お茶と紙コップも買っておくか……」
男「僕が買うよ、竿のレンタル代って事で」
委員長「悪いな」
少女「紙コップ忘れてたな」
女「二人なら間接キスくらい何ともないでしょ」
改めて言われると割とドキドキする
少女「私は構わないけど……」
男「僕も構わないけど……」
眼鏡「さっそくいちゃつきおってけしからん」
おい、言葉
167 : ◆J9pjHtW.ylNB :2014/11/22(土) 22:07:30.85 ID:0q+uCgFAO
眼鏡「うっ、つい……」
委員長「いいよ、もう気楽にしてよ」
眼鏡「ありがとうです……」
男「普通に緊張してるみたいだな」
電車に揺られて一駅、水族館のあった海際に着いた
途中にある釣具店に八人でぞろぞろと入る
委員長「青イソメは千円分あれば足りるか?」
友「良いんじゃね?」
銀髪「エビはパックの奴二セットあればいけるか……」
委員長「メインはサビキ釣りだからそれくらいで、仕掛けも買っておこう……後撒き餌買わないとな」
銀髪「アミエビブロック意外と安いね」
委員長「バケツとか道具は用意してるから……」
みんな結構詳しいな……
準備を終えると海に向かう
厚着していて良かった……かなり潮風が冷たい
男「釣れるのかな?」
少女「釣れなかったら海を見ていたら良いんだ」
男「せっかくのアウトドアだしね」
今は潮が満ち始めた所らしい
海面までの距離を高く感じる
これはこれでいい眺めだ
委員長「さて」
友「まずは適当に投げといてサビキとちょい投げ教えるか」
女「お手柔らかに……これすごい臭い……」
友「まあ手は汚さないようにな」
委員長「タオルはいくつか」
さすが委員長、準備がいいなあ
168 : ◆J9pjHtW.ylNB :2014/11/22(土) 22:09:41.80 ID:0q+uCgFAO
少女「コーヒー飲みながらゆっくりやろう、はい」
男「ありがとう」
女友「こっちもちょうだい〜」
少女「はい」
友たちが投げ竿で遠投した後、エビや魚の切り身で足元を探る釣りを教わる
青イソメも
うわっ、絡まってうにうにしてる……
友「この釣りが気楽で良いよな〜」
委員長「バス竿でもできるし、道具を問わないからね」
銀髪「じゃあ俺は女の子たちにサビキ釣りを教える」
委員長「適当に釣りはじめるか」
とりあえず委員長のやり方を見て、同じようにやってみる
餌はエビだ
青イソメは無理だった
委員長は青イソメを使うようだ
委員長「こっちの方が色々釣れるんだよ」
釣れなかったら覚悟を決めて青イソメに手を出すか……
しかし、意外とすぐ釣れた
男「……これ、鯛?」
委員長「おお、文字通り海老で鯛を釣ったね」
男「陸からは釣れないんじゃ……」
委員長「いや、小さいのはわりと良く釣れるよ?」
友「ビギナーズラックだな〜」
その後はあまり釣れなかったが、委員長たちはどんどんアイナメだとかカサゴだとか釣り上げて行く
169 : ◆J9pjHtW.ylNB :2014/11/22(土) 22:11:58.64 ID:0q+uCgFAO
委員長「あっちにプロがいるんだが……」
委員長が指す方を見るとライフジャケットに帽子を深くかぶった彼女が見えた
あれは何だろう、ルアーと言う奴だろうか?
友「餌木かよ」
銀髪「アオリイカ狙いか」
男「イカ?!」
見ていると何度も同じ場所でその尻尾にとげが逆さに生えたエビのような物を投げ入れていく
投げては巻き上げてを何度も繰り返している
男「すごく様になってる……声をかけづらい……」
委員長「俺もルアーでやってみるか」
銀髪「小さいミノーか……俺はソフトルアー使うかな」
友「俺もルアータックル持ってくるんだったな……」
女「友、あっちの竿魚かかったみたい!」
友「はいよ!」
友は投げ竿を巻き上げて行く
ハゼだろうか、薄い茶色の魚が釣れてきた
友「キスだな」
女「キス?」
女は何を思ったか友にキスした
友「魚の名前だよ!」
女友「こっちいっぱい釣れだしたんですけど〜」
眼鏡「魚取ってくらはい」
委員長「はいはい、こっちも忙しいな」
僕も魚の切り身でカサゴを釣っていく
170 : ◆J9pjHtW.ylNB :2014/11/22(土) 22:15:33.25 ID:0q+uCgFAO
流石に取ってくれとは言えないので自分で取る
委員長「赤いのや知らない魚が釣れたら触らないで教えてくれ、毒がある魚もいるからな」
男「分かった、助かる」
釣れてくると面白い
僕は色々やり方を試してみた
青イソメにもチャレンジする
銀色の良く知らない魚が釣れた
ぬめぬめしている……毒は無い……よな?
男「委員長〜」
委員長「はいはい」
委員長「ヒイラギだな」
男「食えるの?」
委員長「俺は食べないけど美味いらしいよ?」
男「一応キープしておくか」
銀髪「ヒット、メバルだね」
委員長「本命来たね」
眼鏡「委員長様〜」
委員長「俺の釣りができないな……」
銀髪「俺が全部釣っておくよ」
委員長「うう、残しててくれよ……」
みんな釣り好きなんだな
僕も特に趣味がないから魚釣りを趣味にするのもいいかも知れない
竿が震え、引き込まれる感触が気持ちいい
彼女の方を見ると餌木に取り付いたイカを海から引き抜いている所だった
銀髪「デカい……」
男「彼女に釣りを教わろうかな……?」
171 : ◆J9pjHtW.ylNB :2014/11/22(土) 22:17:59.31 ID:0q+uCgFAO
銀髪「こんなにいろんな種類の釣りを一度にやったのは初めてだ」
男「これだけ色々できると面白いな」
銀髪「俺の彼女が釣り好きならダブルデートするんだけど」
男「難しいんじゃない?」
銀髪「彼女は都会派っぽいもんね」
女友「銀ちゃん魚取って〜」
銀髪「は〜い、委員長は……バトル中か」
委員長はなにやら大物と格闘していた
委員長「スズキ……セイゴサイズだけど」
本当に色々釣れるなあ
帰ってから食べるのも楽しみだ
昼になったのでお弁当を食べることにした
男「たくさん釣れた?」
少女「イカは三杯だけだった」
男「難しい釣りなんだ?」
少女「そりゃ餌釣りの方が楽だな」
男「楽しそうだけど」
少女「難しいから面白いぞ」
女「友が釣り好きみたいだし、たまにはいいかな?」
男「まあまあ楽しいよね、手は汚れるけど」
委員長「それは仕方ないかな?」
男「釣りを始めるのはお金かかるかな?」
委員長「それはね、一万もあれば十分だけど最初は五千円くらいでも」
眼鏡「魚を上手にさばける女は好きですか?」
委員長「え?うん、だね」
眼鏡「頑張ります……」
172 : ◆J9pjHtW.ylNB :2014/11/22(土) 22:20:57.50 ID:0q+uCgFAO
その後もう少し釣ると、餌も少なくなったので帰ることにした
委員長はもちろん、銀や友もかなりの数を釣り上げたようだ
女友「アジいっぱい釣れたよ〜」
銀髪「帰ったらアジフライかな?」
女友「美味しそう〜」
銀髪「自分で釣った魚は格別に美味しいよ」
女友「楽しみ〜」
少女「イカとカサゴとヒイラギか……唐揚げにしようか煮付けにしようか」
男「食べたいな」
少女「じゃあ作りに行く……お母さんに電話してくる」
男「うん」
彼女の手料理……嬉しいな
料理は科学と言うし得意なのかも知れないな
銀髪「俺はどうしようかな?」
女友「私作りに行くよ〜」
銀髪「魚さばける?」
女友「わりと料理できる〜」
意外だな
女「じゃあ私も行かないとね」
友「えっ、マジで?」
女「私は料理はあまりできないけど……」
友「いやいや、俺やるし」
男「友って料理できるのか」
友「塩焼きとか簡単なのはな〜、自分で釣ったら料理したいしなあ」
男「僕も釣りとあわせて料理も始めようかな?」
友「まずは青イソメに慣れないとな」
青イソメは当分ご遠慮願いたい
173 : ◆J9pjHtW.ylNB :2014/11/22(土) 22:24:29.75 ID:0q+uCgFAO
無事に家に着く
彼女と
まずは魚臭い手を洗う
母はクーラーボックスを開けて中を見ている
母「カサゴにアジにイカかあ」
男「アジはもらった、カサゴは僕が釣った奴、イカは彼女」
母「良いわね、食費が助かるわ」
少女「台所お借りします」
母「あらあら、それも助かるわね」
少女「油使っても大丈夫ですか?」
母「アジフライとか唐揚げ?」
少女「その予定です」
彼女と母が料理を始める
僕は魚のさばき方だけ見るとテーブルに座って待つことに
やがていい音と香り……
食欲がわいてくるなあ
しばらくして、テーブルの上にサラダと唐揚げ、フライが並べられた
美味そう!
母「じゃあいただきます!」
男「いただきまーす」
少女「いただきます」
僕はまず自分の釣ったカサゴを食べてみた
うん、すごく旨味があって食感もしっかり硬めで美味しい!
味付けもちょうどいい!
母「美味しいわ〜」
少女「良かった」
男「これは釣りにハマりそう」
少女「ぜひ、また行こう」
こうして僕たちは楽しい一日を過ごした
……しかし、その幸せを打ち砕く事件はその日のうちに起こったのだった……
174 : ◆J9pjHtW.ylNB :2014/11/22(土) 22:29:55.57 ID:0q+uCgFAO
今回はここまでです
時間かけた割りに推敲甘かったな……
日常を描くのはすごく難しいですね
いつか釣りSS書こうかな
次回、いよいよ大詰めです
終わらない物語なんか無いですし、最後まで気合いを入れて頑張ります
175 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2014/11/22(土) 23:38:44.08 ID:NZU+U2DCO
乙
日常に食傷ぎみなので
次回期待
176 : ◆J9pjHtW.ylNB :2014/11/28(金) 20:43:30.55 ID:OHxEuXQAO
>>175
ありがとうございます
終わるとなると一気に終わるのが分かってたので、ちょっともったいなくて引き延ばしてしまいました
更新します
ひっくり返った砂時計
砂は止めようもなく落ちていく
こちらの寂しい気持ちなんか知ることもなく
運命は流れていく
これが最後かも知れないから
僕は君を大切に、記憶に刻みたい
例えこれがいつか物理的に失われる気持ちだとしても
164 : ◆J9pjHtW.ylNB :2014/11/22(土) 21:59:55.10 ID:0q+uCgFAO
やがてまた一週間が過ぎて、釣りデートの日が来た
僕らは駅にクーラーボックスを持って集まった
大きなクーラーボックスだが、ほとんど釣れなかったら寂しいな
少女「冬場だから厳しいけど、潮は悪くないよ」
男「潮?」
少女「満潮に向かって徐々に満ちていく時間帯だ」
少女「潮が引くと岩場が砂浜になったりするぞ」
委員長「これから行くのは堤防だけど、今がちょうど干潮時刻だから水がどれくらい動くか分かるよ」
友「まあ満潮まではいられないかなあ」
銀髪「そうだね、二、三時間釣って帰ろう」
男「アウトドアは一日潰れるなあ」
少女「そうだな、自然を眺めて一日のんびり過ごすのがアウトドアだからな」
女「潮風が寒いかも」
女友「あんまり風が無くて良かった〜」
銀髪「海際は風が強いと思うけどね」
銀髪「気をつけて」
女友「うん〜」
海に落ちて亡くなる人もいるらしいから、ほんと気をつけないと
少なくともこんな所では死ねない
眼鏡「魚……触れるかな……」
委員長「俺がやるから気にしないで」
眼鏡「でも自分で釣った魚……さばきたいかもです」
165 : ◆J9pjHtW.ylNB :2014/11/22(土) 22:02:03.99 ID:0q+uCgFAO
委員長「う〜ん、根魚なら鱗を落としてはらわたを抜いたら、後は煮ても唐揚げにしても美味しいと思うよ?」
委員長「なんならそこまで俺がやってもいいし」
眼鏡「ん……頑張ります……自分でさばく……」
委員長「そう、やりたいならやってみたらいいよ」
魚か……
魚をさばいたこと無いなあ
彼女が大きな鯛を釣り上げてさばいてくれって言われたらどうしよう
釣れるわけないけど
根魚ってなんだろうと思って調べたら魚の生息域などでグループ分けして名前がつけられているらしい
根魚は岩礁などに隠れ住むカサゴやメバルなどの魚の総称だそうだ
鯛は三十から二百メートルの深海に住む魚で、陸から釣れることもあるが一般的には沖に船を出さないと釣れないらしい
銀髪「根魚だけだと釣果が心配だから投げ竿とサビキ仕掛けも用意したよ」
友「俺らは青イソメで女の子たちはアジの切り身やエビで釣り分けるんだな」
委員長「色々釣れた方が面白いからね」
銀髪「カサゴしか釣れなかったら飽きそうだし、アミエビなら色々釣れるだろうから」
友「ひさびさだから楽しみだな」
166 : ◆J9pjHtW.ylNB :2014/11/22(土) 22:04:45.83 ID:0q+uCgFAO
男「餌はどこで調達するの?」
委員長「現地の釣具屋さんで買うよ」
銀髪「一応魚の切り身だけは用意してある」
友「イソメ見たら流石の女もびびるだろうな」
友が意地悪そうに笑う
青イソメ……
僕にしてもとても触りたくはない虫だ……
節のあるミミズと言うか、足の溶けたムカデのような容姿に黒い牙……
しかし多分彼女はほいほい掴むだろう
怯んではいけない
少女「楽しみだな」
男「うん」
イソメさえ無ければ
しかし彼女の手前友よりヘタレて見せるわけにはいかない
電車に乗る前におやつやお弁当を買う
少女「飲み物は持ってきた」
男「何?」
少女「コーヒー、甘いの」
僕にあわせてくれたのかな?
嬉しい
委員長「一応お茶と紙コップも買っておくか……」
男「僕が買うよ、竿のレンタル代って事で」
委員長「悪いな」
少女「紙コップ忘れてたな」
女「二人なら間接キスくらい何ともないでしょ」
改めて言われると割とドキドキする
少女「私は構わないけど……」
男「僕も構わないけど……」
眼鏡「さっそくいちゃつきおってけしからん」
おい、言葉
167 : ◆J9pjHtW.ylNB :2014/11/22(土) 22:07:30.85 ID:0q+uCgFAO
眼鏡「うっ、つい……」
委員長「いいよ、もう気楽にしてよ」
眼鏡「ありがとうです……」
男「普通に緊張してるみたいだな」
電車に揺られて一駅、水族館のあった海際に着いた
途中にある釣具店に八人でぞろぞろと入る
委員長「青イソメは千円分あれば足りるか?」
友「良いんじゃね?」
銀髪「エビはパックの奴二セットあればいけるか……」
委員長「メインはサビキ釣りだからそれくらいで、仕掛けも買っておこう……後撒き餌買わないとな」
銀髪「アミエビブロック意外と安いね」
委員長「バケツとか道具は用意してるから……」
みんな結構詳しいな……
準備を終えると海に向かう
厚着していて良かった……かなり潮風が冷たい
男「釣れるのかな?」
少女「釣れなかったら海を見ていたら良いんだ」
男「せっかくのアウトドアだしね」
今は潮が満ち始めた所らしい
海面までの距離を高く感じる
これはこれでいい眺めだ
委員長「さて」
友「まずは適当に投げといてサビキとちょい投げ教えるか」
女「お手柔らかに……これすごい臭い……」
友「まあ手は汚さないようにな」
委員長「タオルはいくつか」
さすが委員長、準備がいいなあ
少女「コーヒー飲みながらゆっくりやろう、はい」
男「ありがとう」
女友「こっちもちょうだい〜」
少女「はい」
友たちが投げ竿で遠投した後、エビや魚の切り身で足元を探る釣りを教わる
青イソメも
うわっ、絡まってうにうにしてる……
友「この釣りが気楽で良いよな〜」
委員長「バス竿でもできるし、道具を問わないからね」
銀髪「じゃあ俺は女の子たちにサビキ釣りを教える」
委員長「適当に釣りはじめるか」
とりあえず委員長のやり方を見て、同じようにやってみる
餌はエビだ
青イソメは無理だった
委員長は青イソメを使うようだ
委員長「こっちの方が色々釣れるんだよ」
釣れなかったら覚悟を決めて青イソメに手を出すか……
しかし、意外とすぐ釣れた
男「……これ、鯛?」
委員長「おお、文字通り海老で鯛を釣ったね」
男「陸からは釣れないんじゃ……」
委員長「いや、小さいのはわりと良く釣れるよ?」
友「ビギナーズラックだな〜」
その後はあまり釣れなかったが、委員長たちはどんどんアイナメだとかカサゴだとか釣り上げて行く
169 : ◆J9pjHtW.ylNB :2014/11/22(土) 22:11:58.64 ID:0q+uCgFAO
委員長「あっちにプロがいるんだが……」
委員長が指す方を見るとライフジャケットに帽子を深くかぶった彼女が見えた
あれは何だろう、ルアーと言う奴だろうか?
友「餌木かよ」
銀髪「アオリイカ狙いか」
男「イカ?!」
見ていると何度も同じ場所でその尻尾にとげが逆さに生えたエビのような物を投げ入れていく
投げては巻き上げてを何度も繰り返している
男「すごく様になってる……声をかけづらい……」
委員長「俺もルアーでやってみるか」
銀髪「小さいミノーか……俺はソフトルアー使うかな」
友「俺もルアータックル持ってくるんだったな……」
女「友、あっちの竿魚かかったみたい!」
友「はいよ!」
友は投げ竿を巻き上げて行く
ハゼだろうか、薄い茶色の魚が釣れてきた
友「キスだな」
女「キス?」
女は何を思ったか友にキスした
友「魚の名前だよ!」
女友「こっちいっぱい釣れだしたんですけど〜」
眼鏡「魚取ってくらはい」
委員長「はいはい、こっちも忙しいな」
僕も魚の切り身でカサゴを釣っていく
170 : ◆J9pjHtW.ylNB :2014/11/22(土) 22:15:33.25 ID:0q+uCgFAO
流石に取ってくれとは言えないので自分で取る
委員長「赤いのや知らない魚が釣れたら触らないで教えてくれ、毒がある魚もいるからな」
男「分かった、助かる」
釣れてくると面白い
僕は色々やり方を試してみた
青イソメにもチャレンジする
銀色の良く知らない魚が釣れた
ぬめぬめしている……毒は無い……よな?
男「委員長〜」
委員長「はいはい」
委員長「ヒイラギだな」
男「食えるの?」
委員長「俺は食べないけど美味いらしいよ?」
男「一応キープしておくか」
銀髪「ヒット、メバルだね」
委員長「本命来たね」
眼鏡「委員長様〜」
委員長「俺の釣りができないな……」
銀髪「俺が全部釣っておくよ」
委員長「うう、残しててくれよ……」
みんな釣り好きなんだな
僕も特に趣味がないから魚釣りを趣味にするのもいいかも知れない
竿が震え、引き込まれる感触が気持ちいい
彼女の方を見ると餌木に取り付いたイカを海から引き抜いている所だった
銀髪「デカい……」
男「彼女に釣りを教わろうかな……?」
171 : ◆J9pjHtW.ylNB :2014/11/22(土) 22:17:59.31 ID:0q+uCgFAO
銀髪「こんなにいろんな種類の釣りを一度にやったのは初めてだ」
男「これだけ色々できると面白いな」
銀髪「俺の彼女が釣り好きならダブルデートするんだけど」
男「難しいんじゃない?」
銀髪「彼女は都会派っぽいもんね」
女友「銀ちゃん魚取って〜」
銀髪「は〜い、委員長は……バトル中か」
委員長はなにやら大物と格闘していた
委員長「スズキ……セイゴサイズだけど」
本当に色々釣れるなあ
帰ってから食べるのも楽しみだ
昼になったのでお弁当を食べることにした
男「たくさん釣れた?」
少女「イカは三杯だけだった」
男「難しい釣りなんだ?」
少女「そりゃ餌釣りの方が楽だな」
男「楽しそうだけど」
少女「難しいから面白いぞ」
女「友が釣り好きみたいだし、たまにはいいかな?」
男「まあまあ楽しいよね、手は汚れるけど」
委員長「それは仕方ないかな?」
男「釣りを始めるのはお金かかるかな?」
委員長「それはね、一万もあれば十分だけど最初は五千円くらいでも」
眼鏡「魚を上手にさばける女は好きですか?」
委員長「え?うん、だね」
眼鏡「頑張ります……」
172 : ◆J9pjHtW.ylNB :2014/11/22(土) 22:20:57.50 ID:0q+uCgFAO
その後もう少し釣ると、餌も少なくなったので帰ることにした
委員長はもちろん、銀や友もかなりの数を釣り上げたようだ
女友「アジいっぱい釣れたよ〜」
銀髪「帰ったらアジフライかな?」
女友「美味しそう〜」
銀髪「自分で釣った魚は格別に美味しいよ」
女友「楽しみ〜」
少女「イカとカサゴとヒイラギか……唐揚げにしようか煮付けにしようか」
男「食べたいな」
少女「じゃあ作りに行く……お母さんに電話してくる」
男「うん」
彼女の手料理……嬉しいな
料理は科学と言うし得意なのかも知れないな
銀髪「俺はどうしようかな?」
女友「私作りに行くよ〜」
銀髪「魚さばける?」
女友「わりと料理できる〜」
意外だな
女「じゃあ私も行かないとね」
友「えっ、マジで?」
女「私は料理はあまりできないけど……」
友「いやいや、俺やるし」
男「友って料理できるのか」
友「塩焼きとか簡単なのはな〜、自分で釣ったら料理したいしなあ」
男「僕も釣りとあわせて料理も始めようかな?」
友「まずは青イソメに慣れないとな」
青イソメは当分ご遠慮願いたい
173 : ◆J9pjHtW.ylNB :2014/11/22(土) 22:24:29.75 ID:0q+uCgFAO
無事に家に着く
彼女と
まずは魚臭い手を洗う
母はクーラーボックスを開けて中を見ている
母「カサゴにアジにイカかあ」
男「アジはもらった、カサゴは僕が釣った奴、イカは彼女」
母「良いわね、食費が助かるわ」
少女「台所お借りします」
母「あらあら、それも助かるわね」
少女「油使っても大丈夫ですか?」
母「アジフライとか唐揚げ?」
少女「その予定です」
彼女と母が料理を始める
僕は魚のさばき方だけ見るとテーブルに座って待つことに
やがていい音と香り……
食欲がわいてくるなあ
しばらくして、テーブルの上にサラダと唐揚げ、フライが並べられた
美味そう!
母「じゃあいただきます!」
男「いただきまーす」
少女「いただきます」
僕はまず自分の釣ったカサゴを食べてみた
うん、すごく旨味があって食感もしっかり硬めで美味しい!
味付けもちょうどいい!
母「美味しいわ〜」
少女「良かった」
男「これは釣りにハマりそう」
少女「ぜひ、また行こう」
こうして僕たちは楽しい一日を過ごした
……しかし、その幸せを打ち砕く事件はその日のうちに起こったのだった……
174 : ◆J9pjHtW.ylNB :2014/11/22(土) 22:29:55.57 ID:0q+uCgFAO
今回はここまでです
時間かけた割りに推敲甘かったな……
日常を描くのはすごく難しいですね
いつか釣りSS書こうかな
次回、いよいよ大詰めです
終わらない物語なんか無いですし、最後まで気合いを入れて頑張ります
175 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2014/11/22(土) 23:38:44.08 ID:NZU+U2DCO
乙
日常に食傷ぎみなので
次回期待
176 : ◆J9pjHtW.ylNB :2014/11/28(金) 20:43:30.55 ID:OHxEuXQAO
>>175
ありがとうございます
終わるとなると一気に終わるのが分かってたので、ちょっともったいなくて引き延ばしてしまいました
更新します