しんのすけ「アローラ地方を冒険するゾ」
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444 :超超ゴルーグロボ ◆g/SXBgh1y6 :2017/06/20(火) 20:53:44.37 ID:Pr7L8+H70
ジュナイパー(ボール)『無茶しちゃダメだ! 僕が代わりにーー』
フェローチェ『あの方はカザマさんにとって不利なタイプですわん。それにハウさんの手持ちにはまだポケモンが1匹控えていますもの』
ジュナイパー(ボール)『それは……』
フェローチェ『わたくしが最悪、引き分けまで持ち込んでみせます。あと1回は耐え切れますわん』
ヨワシ(ボール)『でも、あっちにはカウンターがあるんだよ? また当たったら今度こそあいちゃん倒れちゃうよ』
しんのすけ「カウンターが当たらないところから攻撃すりゃいいじゃん。れいとうビームとか」
フェローチェ『さすがしん様! その手がありましたわね。遠距離を中心に攻めていけば、カウンターは仕掛けられませんもの』
しんのすけ「じゃ、あいちゃんおねがーい!」
フェローチェ『がってんですわん!』
あいは後方に下がると、後頭部に生えている髪のように見える翅を小刻みに震えさせた。耳障りな羽音から繰り出される超音波がマッシブーンに襲いかかる!
ジジジジジ!!
マッシブーン「ブブブッ?!」
ハウ「うー、カウンターを警戒してきたかー。でも、おれだってー! ストーンエッジ!」
445 :超超ゴルーグロボ ◆g/SXBgh1y6 :2017/06/20(火) 20:54:42.94 ID:Pr7L8+H70
マッシブーン「ブーンッ!」グワッ!
ドンッ!
マッシブーンはむしのさざめきを耐えながら拳で地面を叩くと、槍のように鋭く尖った岩が飛び出し、あいに向かって次々と伸びていく!
フェローチェ「!」
むしのさざめきを止めると、あいは足に力を溜めて頭上へ跳躍、さらに両手かられいとうビームをマッシブーンに放った。
マッシブーン「ブー……!」ビキビキビキッ!!
今度はきあいだまで相殺できる余裕はなく、れいとうビームを受けて全身が凍りついてしまった。
しかし、氷漬けになったマッシブーンは自ら震えだし、氷にひびが入る。
バリンッ!
マッシブーン「ブーーーンッ!!」ダブルバイセップス!!
ハウ「マッシブーン、いわなだれ!」
氷漬けの状態から自ら脱出すると、マッシブーンはストーンエッジで出来た石の柱を砕き、あいに向けて怒涛の勢いで投げつける。
フェローチェ『……!』シュパパパパ!!
あいは反復横跳びをするように避けつつ、確実にマッシブーンに向けて距離を詰める。そして、顔めがけて上段蹴りを繰り出す!
ドゴッ!
マッシブーン「ブブッ!?」
446 :超超ゴルーグロボ ◆g/SXBgh1y6 :2017/06/20(火) 20:55:55.72 ID:Pr7L8+H70
いわなだれを中断されながらも、再びカウンターの構えを取る。マッシブーン。しかし、
軽やかな身のこなしであいはしんのすけの傍へ戻っていった。
ククイ博士(カウンターを警戒しながらのヒット&アウェイか)
フェローチェ『うっ……』フラッ
マッシブーン『ブーン……』ゼイゼイ
マッシブーンも先ほどのむしのさざめきとれいとうビーム、そしてけたぐりでだいぶ体力が削られた。あいも、カウンターのダメージが響いている。
ククイ博士(両者ともに満身創痍だね。次の攻撃で、決着が付く)
ククイ博士(でもやっぱりーー)
ハウ(たぶん、これ以上カウンターだせる機会はなさそうだねー。だったらここで攻めて決めるー!)
ハウ「……マッシブーン! アームハンマー!」
しんのすけたち『「あいちゃん! ファイヤーッ!」』
マッシブーン「……ッ!」ダッ!
フェローチェ『はい! 行きますっ!』
両者が走り出し、急接近する。マッシブーンがアームハンマーをあいめがけて、あいはマッシブーンにとびひざげりを、それぞれ放つ!
447 :超超ゴルーグロボ ◆g/SXBgh1y6 :2017/06/20(火) 20:56:27.10 ID:Pr7L8+H70
マッシブーン「ブーーンッ!」ゴウッ
フェローチェ『はぁっ!』バッ!
ドゴッ!
マッシブーン「……!」
フェローチェ『……!』
あいのひざがマッシブーンの腹にめり込み、腹と背中がくっつきそうなほどに沈んでいく。だが、マッシブーンの大木のような右腕も、あいの腹に叩きつけていた。
マッシブーン「ブ……」フラッ
フェローチェ『しん様……あい、成し遂げましたわ』フラッ
ドサッ!
しんのすけ&ジュナイパーたち「あいちゃん!」
448 :超超ゴルーグロボ ◆g/SXBgh1y6 :2017/06/20(火) 20:57:30.45 ID:Pr7L8+H70
同時刻 ウラウラ島
エーテルハウス
アセロラ「やっぱり引き分けだねー!」
クチナシ「こうなるだろうとは思ってたけどよ」
クチナシ「っていうか、試合見んのにおじさんを巻き込むなよ……」
アセロラ「おじさん一人じゃ寂しいかなって思って! こーゆーのはみんなで見たほうが楽しいでしょ?」
クチナシ「……ま、これを見る価値はあったな。ビーストを連れたトレーナーが、こうして大大試練で戦わせるなんて……すげーもん見ちまった」ニヤッ
アセロラ「お口あんぐりしちゃったよ! だってしんちゃんもハウくんも、ビーストを捕まえてたんだもん」
クチナシ「だが……本番はこれからだね」
アセロラ「うん! まだ2人とも、Zワザを使ってないからね!」
アセロラ「しんちゃんとハウくんのゼンリョク……それでチャンピオンが決まるよ!」
449 :超超ゴルーグロボ ◆g/SXBgh1y6 :2017/06/20(火) 20:58:30.17 ID:Pr7L8+H70
ハウ「マッシブーン、よく頑張ったねー」シュンッ
フェローチェ(ボール)『ふぅ……ポケモン勝負ってこんなに大変なものですのね』
キテルグマ(ボール)『ふーん、よくやったじゃん』
ヨワシ(ボール)『あいちゃん、お疲れ様!』
ミミッキュ(ボール)『お互いに、あと残り1匹。カザマくんと……』
ジュナイパー(ボール)『ガオガエン、だね』
ミミッキュ(ボール)『タイプ相性は悪いけど……大丈夫?』
ジュナイパー(ボール)『わかってる。僕らにはあのZワザがある。それで決着をつける! ……向こうもそれをわかっててZワザを撃ってくるだろうけどね』
ククイ博士「さあ2人とも! ここまで引き分け続きだったけど、泣いても笑っても互いに残り1匹! どちらかがこの場所で立っていた方が島巡りチャンピオンだ!」
ハウ「しんのすけー」
しんのすけ「なにー?」
ハウ「おれーしんのすけと島巡り出来てよかったー! だって、こんなに楽しい勝負が出来るなんて思わなかったからー!」
しんのすけ「いやん、なんだか告白されたみたい。でも、オラもハウくんと島巡りして楽しかったゾ」
ハウ「だから最後はーおれとガオガエンのゼンリョクをしんのすけにぶつけていくねー!」
しんのすけ「じゃーオラもカザマくんと一緒にハウくんにゼンリョクぶつけちゃうねー!」
450 :超超ゴルーグロボ ◆g/SXBgh1y6 :2017/06/20(火) 21:01:48.04 ID:Pr7L8+H70
ハウ「行くよー! ガオガエン!」ヒョイッ!
ガオガエン「ガォォォッ!!」ポンッ!
しんのすけ「カザマくん! レッツラゴー!」ヒョイッ!
ジュナイパー『しんのすけ! 準備は出来てるか?』ポンッ!
しんのすけ「まっかせなさい!」
対峙するカザマとガオガエン。
唐突にハウが笑顔を浮かべた。
ハウ「ねーねー、しんのすけが初めて戦った時を思い出さない?」
しんのすけ「そーいや、そうですな」
ジュナイパー『うん、そうだね。あの時はオマエ、ろくな命令しか下さなかったんだから……』
ーーじゃ、カザマくん、オラにおしゃくしてくれたまえー
ーー指示って、そういう指示じゃなぁぁい!
451 :超超ゴルーグロボ ◆g/SXBgh1y6 :2017/06/20(火) 21:02:28.00 ID:Pr7L8+H70
しんのすけ「オラもまだまだ子供でしたなぁ」
ジュナイパー『今も子供だろっ! 大体、今だって指示出せてないじゃないか!』
ジュナイパー『まったく……ここに来ていい加減なこと言ったら、承知しないからな』
しんのすけ「ほーい!」
ハウ「あの時はおれが勝ったけどー。今度もまたおれが勝つよー!」
しんのすけ「いやいや今回はオラが勝つもんね。おねいさんが懸かってるから!」
452 :超超ゴルーグロボ ◆g/SXBgh1y6 :2017/06/20(火) 21:04:14.23 ID:Pr7L8+H70
しんのすけとハウは、それぞれゼンリョクのポーズをする構えを取った。
同時に、2人の脳裏には島巡りで出会った人達の顔と、たくさん思い出が蘇ってきた。
ククイ博士に連れられて、ハウと出会った。
橋ではコスモッグがオニスズメに襲われて困っているリーリエを見つけた。
最初に選んだポケモンではカザマと出会った。
スカル団からリーリエを守った。
試練でカザマとぶりぶりざえもんと力を合わせて(?)ラッタを倒した。
アーカラでマサオとネネ、あいに出会った。
グラジオと戦い、敗北したものの、勝つことの意味を教えられた。
アセロラの試練でボーちゃんと会った。
スカル団に連れ去られたヤングースを助け出した。
二度目に来たエーテルパラダイスでは、ハウとグラジオ、ひろしたちが力を合わせてリーリエを助けた。
ポニ島では、ナッシーアイランドでリーリエと互いに自分の気持ちを語り合った。
ルザミーネにウルトラスペースへ連れ去られて、アローラのみんなに助けられた。
知恵を絞り、試練を乗り越えた。
友と力を合わせ、しまキングたちに打ち勝った。
453 :超超ゴルーグロボ ◆g/SXBgh1y6 :2017/06/20(火) 21:04:58.79 ID:Pr7L8+H70
そして今、自分たちはここにいる。
この旅で得たもの全てを、ゼンリョクで相手にぶつける。それだけだ。
ハウ「行くよー! しんのすけ!」
しんのすけ「おうっ!」
バッ バッ ブゥゥン バァーン!
ガオガエンは Zパワーを 身体に まとった!
ガオガエンが 解き放つ
全力の Zワザ!
ハ イ パ ー ダ ー ク ク ラ ッ シ ャ ー !
ガオガエン「ガオオオッ!!」
ガオガエンは咆哮を上げると、カザマの周囲の地面が隆起し、炎で出来た特設リングが出現した!
ジュナイパー『あぢぢぢぢっ! しんのすけまだかよ!』メラメラメラ
しんのすけ「もうちょっと待ってー!」
ガオガエン「オオッ!」ドドドド!
リングへ駆けたガオガエンは、そのままコーナーポストに乗ると、へそを中心に炎と闇の力を溜め始めた!
454 :超超ゴルーグロボ ◆g/SXBgh1y6 :2017/06/20(火) 21:07:33.81 ID:Pr7L8+H70
バッ! バッ!
A! B! B! A! A! B! →! →! ←!
ククイ博士「なんだ? あんなZポーズ、見たことがない!」
ピカッ! ゴウッ!!
カザマは Zパワーを 身体に まとった!
カザマが 解き放つ
全力の Zワザ!
ア ク シ ョ ン ビ ー ム ガ ン !
カザマは片翼を上げると、赤と青と白色の光が集まってきた。そして空いたもう片方の翼を弓状に折り曲げた。光が虹色の矢の形になると、カザマは光の矢を翼につがえて引き絞った。
ハウ「ゴーゴー! ガオガエンッ!!」バッ!!
闇と炎の力をまとったガオガエンは、コーナーポストから大きく飛び上がりカザマの頭上めがけてダイブしてくる。その様子は黒く燃える火山岩に思える。
一方、カザマも手を離すと、光の矢が先端にアクション仮面を象った赤いビームとなり、ガオガエンに向けて発射される!
キィィィン
ドゥゥゥッ!!
ガオガエン「ガオオオッ!!」
ビームガンとZパワーを纏ったガオガエンがぶつかりあい、周囲に白と黒の閃光と衝撃波が走る!
ククイ博士「うおっ! なんてワザのぶつかり合いだ! ギガインパクトも真っ青だぜ!」
455 :超超ゴルーグロボ ◆g/SXBgh1y6 :2017/06/20(火) 21:09:17.81 ID:Pr7L8+H70
ジュウウッ!
ジュナイパー『うぐっ!』
足元に展開されている炎のリングの熱がカザマに伝わり、足から全身にかけて焼けるような苦痛が走る。それがビームガンの威力を弱めてしまった!
ガオガエン「ガオオオッ!!」ズズズッ
ジュナイパー「!」
ハウ「もうちょっとだよー! 頑張れーガオガエン!」
しんのすけ「おわっ! カザマくん!!」
光に包まれながらも、ガオガエンの巨体が見えた。様子がうかがえるほどに圧されていることに、カザマは更に焦りを覚えた。
ジュナイパー(だ、ダメだ! このままじゃ負けちゃうーー!)
ビームガンを放つ手が震えて、どんどん気力が抜けていく。カザマの脳裏に、初めてしんのすけと会った時の記憶が蘇る。
ーーだーいじょぶだいじょぶ、オラにまっかせなさい
あの時は、本当に島巡りを達成できるのか不安でしょうがなかった。
だけど、新しい仲間と出会い、試練と大試練を達成して、しんのすけとカザマは大きく成長して、自分たちの足でここまでやってきた。
その結末がこれか。
ジュナイパー(くそっ……! ここまで来たのに!)
しんのすけ「カザマくん! 負けるなーーっ!!」
456 :超超ゴルーグロボ ◆g/SXBgh1y6 :2017/06/20(火) 21:10:04.47 ID:Pr7L8+H70
ジュナイパー『!』
しんのすけの応援を皮切りに、次々とボールからマサオたちが飛び出して、カザマに激を送る。
ヨワシ『諦めちゃダメだよ!』
キテルグマ『へたれてんじゃないわよ! ネネたちのエースなんだからもっと気張って!』
ミミッキュ『そのとーり!』
フェローチェ『しん様と一緒にここまで来たのなら、もっとゼンリョク出せるはずですわん!』
ジュナイパー(みんな……)
みんなの激励を聞いた瞬間、カザマは夢から覚めたような感覚になった。同時に、消えかけていた闘志と勝ちたいという意志に再び火が灯った。
ジュナイパー(そうだ、僕らのゼンリョクはこんなものじゃ終わらないはずだ!)
ジュナイパー『おおおおおっ!!』
しんのすけ「アローラ防衛隊、ファイヤーーッ! カザマくん! ファイヤーーーッ!!」
ヨワシ&キテルグマ&ミミッキュ&フェローチェ『ファイヤーーーッ!!』
ジュナイパー『ファイヤーーーーーーーッ!!』ゴウッ!!
再びカザマは赤いオーラを纏い、全身全霊、ゼンリョクをビームガンに込める。すると、ビームガンに勢いが戻り、ガオガエンを押し戻していく!
457 :超超ゴルーグロボ ◆g/SXBgh1y6 :2017/06/20(火) 21:12:55.11 ID:Pr7L8+H70
ゴォォォッ!!
ガオガエン「ガッ……ガオオッ!?」
ハウ「ガオガエンッ!」
威力が高まったビームガンに圧され、とうとうガオガエンはクリスタルの天蓋を突き破り、天空高く飛ばされてしまった。ラナキラマウンテンのてっぺんに、空を貫く勢いで赤い光の柱が立ち昇る。
ドォォォォォン……
ビームガンの光が収まると、ガオガエンが落下し、炎のリングのど真ん中に落下した。同時に、炎のリングも散るように消えてしまった。
ガオガエン「……」
ハウ「……!」
ガオガエン「ガ……ォォッ……」グググッ
ジュナイパー『……ガオガエン』
まだだ……まだ勝負はついちゃいない、ガオガエンはビームガンでボロボロになった身体に鞭を打ち、緑色の瞳でカザマを睨みつける。
ガオガエン「……!」
フラッ
ドサッ
458 :超超ゴルーグロボ ◆g/SXBgh1y6 :2017/06/20(火) 21:13:44.46 ID:Pr7L8+H70
ミミッキュ『……勝った』
キテルグマ『あたしたち、やったのね!』
ジュナイパー『うん! 僕たち勝ったんだ!』
ヨワシ『やったやったー! 勝った勝ったー!!』
フェローチェ『しん様! カザマくん、お見事ですわ!』
しんのすけ「よくやったー! カザマくんはポケモンの中のポケモンだゾ!!」
「せーのっ!」
しんのすけたち『「わーっしょい! わーっしょい!」』
しんのすけたちはカザマを囲むと、一斉にカザマに胴上げをした。カザマは照れながらも笑い返した。
ジュナイパー『ハハッ、みんなのおかげだよ。ありがとう!』
459 :超超ゴルーグロボ ◆g/SXBgh1y6 :2017/06/20(火) 21:14:27.44 ID:Pr7L8+H70
ひろし「やったーっ! しんのすけが勝ったんだーっ!!」
ひろし「みさえっ、島巡りチャンピオンだ! 俺たちのしんのすけが、島巡りチャンピオンになったんだ! それも、最年少だぞっ!」ウルウル
みさえ「うんっ、しんちゃん……! よく頑張ったね……!」ポロポロ
ひまわり「たいーっ!」
ハラ「……あっぱれ、と言う他ありませんな」
グズマ「……マジかよ。あのじゃがいも小僧」
460 :超超ゴルーグロボ ◆g/SXBgh1y6 :2017/06/20(火) 21:15:46.28 ID:Pr7L8+H70
しんのすけたち『「わーっしょい! わーっしょい!」』
ハウ「ううっ……悔しいーっ!!」
しんのすけ「!」ビクッ
ハウが今までにないほどの大声を上げて、びっくりしたしんのすけたちは胴上げをやめてハウを見た。
ジュナイパー『いでっ!!』ドスン!!
ジュナイパー『急にやめるなよ!』
ハウ「ごめんねー! 勝利を味わせられなくって……みんな、ここまで頑張ってきたのにー!」
ガオガエン「……ガオ」
ハウ「おれ、もっと強くなるー! この悔しさ、絶対に忘れないからー!」
ククイ博士「……ハウ」
ジュナイパー(ボール)『無茶しちゃダメだ! 僕が代わりにーー』
フェローチェ『あの方はカザマさんにとって不利なタイプですわん。それにハウさんの手持ちにはまだポケモンが1匹控えていますもの』
ジュナイパー(ボール)『それは……』
フェローチェ『わたくしが最悪、引き分けまで持ち込んでみせます。あと1回は耐え切れますわん』
ヨワシ(ボール)『でも、あっちにはカウンターがあるんだよ? また当たったら今度こそあいちゃん倒れちゃうよ』
しんのすけ「カウンターが当たらないところから攻撃すりゃいいじゃん。れいとうビームとか」
フェローチェ『さすがしん様! その手がありましたわね。遠距離を中心に攻めていけば、カウンターは仕掛けられませんもの』
しんのすけ「じゃ、あいちゃんおねがーい!」
フェローチェ『がってんですわん!』
あいは後方に下がると、後頭部に生えている髪のように見える翅を小刻みに震えさせた。耳障りな羽音から繰り出される超音波がマッシブーンに襲いかかる!
ジジジジジ!!
マッシブーン「ブブブッ?!」
ハウ「うー、カウンターを警戒してきたかー。でも、おれだってー! ストーンエッジ!」
445 :超超ゴルーグロボ ◆g/SXBgh1y6 :2017/06/20(火) 20:54:42.94 ID:Pr7L8+H70
マッシブーン「ブーンッ!」グワッ!
ドンッ!
マッシブーンはむしのさざめきを耐えながら拳で地面を叩くと、槍のように鋭く尖った岩が飛び出し、あいに向かって次々と伸びていく!
フェローチェ「!」
むしのさざめきを止めると、あいは足に力を溜めて頭上へ跳躍、さらに両手かられいとうビームをマッシブーンに放った。
マッシブーン「ブー……!」ビキビキビキッ!!
今度はきあいだまで相殺できる余裕はなく、れいとうビームを受けて全身が凍りついてしまった。
しかし、氷漬けになったマッシブーンは自ら震えだし、氷にひびが入る。
バリンッ!
マッシブーン「ブーーーンッ!!」ダブルバイセップス!!
ハウ「マッシブーン、いわなだれ!」
氷漬けの状態から自ら脱出すると、マッシブーンはストーンエッジで出来た石の柱を砕き、あいに向けて怒涛の勢いで投げつける。
フェローチェ『……!』シュパパパパ!!
あいは反復横跳びをするように避けつつ、確実にマッシブーンに向けて距離を詰める。そして、顔めがけて上段蹴りを繰り出す!
ドゴッ!
マッシブーン「ブブッ!?」
446 :超超ゴルーグロボ ◆g/SXBgh1y6 :2017/06/20(火) 20:55:55.72 ID:Pr7L8+H70
いわなだれを中断されながらも、再びカウンターの構えを取る。マッシブーン。しかし、
軽やかな身のこなしであいはしんのすけの傍へ戻っていった。
ククイ博士(カウンターを警戒しながらのヒット&アウェイか)
フェローチェ『うっ……』フラッ
マッシブーン『ブーン……』ゼイゼイ
マッシブーンも先ほどのむしのさざめきとれいとうビーム、そしてけたぐりでだいぶ体力が削られた。あいも、カウンターのダメージが響いている。
ククイ博士(両者ともに満身創痍だね。次の攻撃で、決着が付く)
ククイ博士(でもやっぱりーー)
ハウ(たぶん、これ以上カウンターだせる機会はなさそうだねー。だったらここで攻めて決めるー!)
ハウ「……マッシブーン! アームハンマー!」
しんのすけたち『「あいちゃん! ファイヤーッ!」』
マッシブーン「……ッ!」ダッ!
フェローチェ『はい! 行きますっ!』
両者が走り出し、急接近する。マッシブーンがアームハンマーをあいめがけて、あいはマッシブーンにとびひざげりを、それぞれ放つ!
447 :超超ゴルーグロボ ◆g/SXBgh1y6 :2017/06/20(火) 20:56:27.10 ID:Pr7L8+H70
マッシブーン「ブーーンッ!」ゴウッ
フェローチェ『はぁっ!』バッ!
ドゴッ!
マッシブーン「……!」
フェローチェ『……!』
あいのひざがマッシブーンの腹にめり込み、腹と背中がくっつきそうなほどに沈んでいく。だが、マッシブーンの大木のような右腕も、あいの腹に叩きつけていた。
マッシブーン「ブ……」フラッ
フェローチェ『しん様……あい、成し遂げましたわ』フラッ
ドサッ!
しんのすけ&ジュナイパーたち「あいちゃん!」
448 :超超ゴルーグロボ ◆g/SXBgh1y6 :2017/06/20(火) 20:57:30.45 ID:Pr7L8+H70
同時刻 ウラウラ島
エーテルハウス
アセロラ「やっぱり引き分けだねー!」
クチナシ「こうなるだろうとは思ってたけどよ」
クチナシ「っていうか、試合見んのにおじさんを巻き込むなよ……」
アセロラ「おじさん一人じゃ寂しいかなって思って! こーゆーのはみんなで見たほうが楽しいでしょ?」
クチナシ「……ま、これを見る価値はあったな。ビーストを連れたトレーナーが、こうして大大試練で戦わせるなんて……すげーもん見ちまった」ニヤッ
アセロラ「お口あんぐりしちゃったよ! だってしんちゃんもハウくんも、ビーストを捕まえてたんだもん」
クチナシ「だが……本番はこれからだね」
アセロラ「うん! まだ2人とも、Zワザを使ってないからね!」
アセロラ「しんちゃんとハウくんのゼンリョク……それでチャンピオンが決まるよ!」
ハウ「マッシブーン、よく頑張ったねー」シュンッ
フェローチェ(ボール)『ふぅ……ポケモン勝負ってこんなに大変なものですのね』
キテルグマ(ボール)『ふーん、よくやったじゃん』
ヨワシ(ボール)『あいちゃん、お疲れ様!』
ミミッキュ(ボール)『お互いに、あと残り1匹。カザマくんと……』
ジュナイパー(ボール)『ガオガエン、だね』
ミミッキュ(ボール)『タイプ相性は悪いけど……大丈夫?』
ジュナイパー(ボール)『わかってる。僕らにはあのZワザがある。それで決着をつける! ……向こうもそれをわかっててZワザを撃ってくるだろうけどね』
ククイ博士「さあ2人とも! ここまで引き分け続きだったけど、泣いても笑っても互いに残り1匹! どちらかがこの場所で立っていた方が島巡りチャンピオンだ!」
ハウ「しんのすけー」
しんのすけ「なにー?」
ハウ「おれーしんのすけと島巡り出来てよかったー! だって、こんなに楽しい勝負が出来るなんて思わなかったからー!」
しんのすけ「いやん、なんだか告白されたみたい。でも、オラもハウくんと島巡りして楽しかったゾ」
ハウ「だから最後はーおれとガオガエンのゼンリョクをしんのすけにぶつけていくねー!」
しんのすけ「じゃーオラもカザマくんと一緒にハウくんにゼンリョクぶつけちゃうねー!」
450 :超超ゴルーグロボ ◆g/SXBgh1y6 :2017/06/20(火) 21:01:48.04 ID:Pr7L8+H70
ハウ「行くよー! ガオガエン!」ヒョイッ!
ガオガエン「ガォォォッ!!」ポンッ!
しんのすけ「カザマくん! レッツラゴー!」ヒョイッ!
ジュナイパー『しんのすけ! 準備は出来てるか?』ポンッ!
しんのすけ「まっかせなさい!」
対峙するカザマとガオガエン。
唐突にハウが笑顔を浮かべた。
ハウ「ねーねー、しんのすけが初めて戦った時を思い出さない?」
しんのすけ「そーいや、そうですな」
ジュナイパー『うん、そうだね。あの時はオマエ、ろくな命令しか下さなかったんだから……』
ーーじゃ、カザマくん、オラにおしゃくしてくれたまえー
ーー指示って、そういう指示じゃなぁぁい!
451 :超超ゴルーグロボ ◆g/SXBgh1y6 :2017/06/20(火) 21:02:28.00 ID:Pr7L8+H70
しんのすけ「オラもまだまだ子供でしたなぁ」
ジュナイパー『今も子供だろっ! 大体、今だって指示出せてないじゃないか!』
ジュナイパー『まったく……ここに来ていい加減なこと言ったら、承知しないからな』
しんのすけ「ほーい!」
ハウ「あの時はおれが勝ったけどー。今度もまたおれが勝つよー!」
しんのすけ「いやいや今回はオラが勝つもんね。おねいさんが懸かってるから!」
452 :超超ゴルーグロボ ◆g/SXBgh1y6 :2017/06/20(火) 21:04:14.23 ID:Pr7L8+H70
しんのすけとハウは、それぞれゼンリョクのポーズをする構えを取った。
同時に、2人の脳裏には島巡りで出会った人達の顔と、たくさん思い出が蘇ってきた。
ククイ博士に連れられて、ハウと出会った。
橋ではコスモッグがオニスズメに襲われて困っているリーリエを見つけた。
最初に選んだポケモンではカザマと出会った。
スカル団からリーリエを守った。
試練でカザマとぶりぶりざえもんと力を合わせて(?)ラッタを倒した。
アーカラでマサオとネネ、あいに出会った。
グラジオと戦い、敗北したものの、勝つことの意味を教えられた。
アセロラの試練でボーちゃんと会った。
スカル団に連れ去られたヤングースを助け出した。
二度目に来たエーテルパラダイスでは、ハウとグラジオ、ひろしたちが力を合わせてリーリエを助けた。
ポニ島では、ナッシーアイランドでリーリエと互いに自分の気持ちを語り合った。
ルザミーネにウルトラスペースへ連れ去られて、アローラのみんなに助けられた。
知恵を絞り、試練を乗り越えた。
友と力を合わせ、しまキングたちに打ち勝った。
453 :超超ゴルーグロボ ◆g/SXBgh1y6 :2017/06/20(火) 21:04:58.79 ID:Pr7L8+H70
そして今、自分たちはここにいる。
この旅で得たもの全てを、ゼンリョクで相手にぶつける。それだけだ。
ハウ「行くよー! しんのすけ!」
しんのすけ「おうっ!」
バッ バッ ブゥゥン バァーン!
ガオガエンは Zパワーを 身体に まとった!
ガオガエンが 解き放つ
全力の Zワザ!
ハ イ パ ー ダ ー ク ク ラ ッ シ ャ ー !
ガオガエン「ガオオオッ!!」
ガオガエンは咆哮を上げると、カザマの周囲の地面が隆起し、炎で出来た特設リングが出現した!
ジュナイパー『あぢぢぢぢっ! しんのすけまだかよ!』メラメラメラ
しんのすけ「もうちょっと待ってー!」
ガオガエン「オオッ!」ドドドド!
リングへ駆けたガオガエンは、そのままコーナーポストに乗ると、へそを中心に炎と闇の力を溜め始めた!
454 :超超ゴルーグロボ ◆g/SXBgh1y6 :2017/06/20(火) 21:07:33.81 ID:Pr7L8+H70
バッ! バッ!
A! B! B! A! A! B! →! →! ←!
ククイ博士「なんだ? あんなZポーズ、見たことがない!」
ピカッ! ゴウッ!!
カザマは Zパワーを 身体に まとった!
カザマが 解き放つ
全力の Zワザ!
ア ク シ ョ ン ビ ー ム ガ ン !
カザマは片翼を上げると、赤と青と白色の光が集まってきた。そして空いたもう片方の翼を弓状に折り曲げた。光が虹色の矢の形になると、カザマは光の矢を翼につがえて引き絞った。
ハウ「ゴーゴー! ガオガエンッ!!」バッ!!
闇と炎の力をまとったガオガエンは、コーナーポストから大きく飛び上がりカザマの頭上めがけてダイブしてくる。その様子は黒く燃える火山岩に思える。
一方、カザマも手を離すと、光の矢が先端にアクション仮面を象った赤いビームとなり、ガオガエンに向けて発射される!
キィィィン
ドゥゥゥッ!!
ガオガエン「ガオオオッ!!」
ビームガンとZパワーを纏ったガオガエンがぶつかりあい、周囲に白と黒の閃光と衝撃波が走る!
ククイ博士「うおっ! なんてワザのぶつかり合いだ! ギガインパクトも真っ青だぜ!」
455 :超超ゴルーグロボ ◆g/SXBgh1y6 :2017/06/20(火) 21:09:17.81 ID:Pr7L8+H70
ジュウウッ!
ジュナイパー『うぐっ!』
足元に展開されている炎のリングの熱がカザマに伝わり、足から全身にかけて焼けるような苦痛が走る。それがビームガンの威力を弱めてしまった!
ガオガエン「ガオオオッ!!」ズズズッ
ジュナイパー「!」
ハウ「もうちょっとだよー! 頑張れーガオガエン!」
しんのすけ「おわっ! カザマくん!!」
光に包まれながらも、ガオガエンの巨体が見えた。様子がうかがえるほどに圧されていることに、カザマは更に焦りを覚えた。
ジュナイパー(だ、ダメだ! このままじゃ負けちゃうーー!)
ビームガンを放つ手が震えて、どんどん気力が抜けていく。カザマの脳裏に、初めてしんのすけと会った時の記憶が蘇る。
ーーだーいじょぶだいじょぶ、オラにまっかせなさい
あの時は、本当に島巡りを達成できるのか不安でしょうがなかった。
だけど、新しい仲間と出会い、試練と大試練を達成して、しんのすけとカザマは大きく成長して、自分たちの足でここまでやってきた。
その結末がこれか。
ジュナイパー(くそっ……! ここまで来たのに!)
しんのすけ「カザマくん! 負けるなーーっ!!」
456 :超超ゴルーグロボ ◆g/SXBgh1y6 :2017/06/20(火) 21:10:04.47 ID:Pr7L8+H70
ジュナイパー『!』
しんのすけの応援を皮切りに、次々とボールからマサオたちが飛び出して、カザマに激を送る。
ヨワシ『諦めちゃダメだよ!』
キテルグマ『へたれてんじゃないわよ! ネネたちのエースなんだからもっと気張って!』
ミミッキュ『そのとーり!』
フェローチェ『しん様と一緒にここまで来たのなら、もっとゼンリョク出せるはずですわん!』
ジュナイパー(みんな……)
みんなの激励を聞いた瞬間、カザマは夢から覚めたような感覚になった。同時に、消えかけていた闘志と勝ちたいという意志に再び火が灯った。
ジュナイパー(そうだ、僕らのゼンリョクはこんなものじゃ終わらないはずだ!)
ジュナイパー『おおおおおっ!!』
しんのすけ「アローラ防衛隊、ファイヤーーッ! カザマくん! ファイヤーーーッ!!」
ヨワシ&キテルグマ&ミミッキュ&フェローチェ『ファイヤーーーッ!!』
ジュナイパー『ファイヤーーーーーーーッ!!』ゴウッ!!
再びカザマは赤いオーラを纏い、全身全霊、ゼンリョクをビームガンに込める。すると、ビームガンに勢いが戻り、ガオガエンを押し戻していく!
457 :超超ゴルーグロボ ◆g/SXBgh1y6 :2017/06/20(火) 21:12:55.11 ID:Pr7L8+H70
ゴォォォッ!!
ガオガエン「ガッ……ガオオッ!?」
ハウ「ガオガエンッ!」
威力が高まったビームガンに圧され、とうとうガオガエンはクリスタルの天蓋を突き破り、天空高く飛ばされてしまった。ラナキラマウンテンのてっぺんに、空を貫く勢いで赤い光の柱が立ち昇る。
ドォォォォォン……
ビームガンの光が収まると、ガオガエンが落下し、炎のリングのど真ん中に落下した。同時に、炎のリングも散るように消えてしまった。
ガオガエン「……」
ハウ「……!」
ガオガエン「ガ……ォォッ……」グググッ
ジュナイパー『……ガオガエン』
まだだ……まだ勝負はついちゃいない、ガオガエンはビームガンでボロボロになった身体に鞭を打ち、緑色の瞳でカザマを睨みつける。
ガオガエン「……!」
フラッ
ドサッ
458 :超超ゴルーグロボ ◆g/SXBgh1y6 :2017/06/20(火) 21:13:44.46 ID:Pr7L8+H70
ミミッキュ『……勝った』
キテルグマ『あたしたち、やったのね!』
ジュナイパー『うん! 僕たち勝ったんだ!』
ヨワシ『やったやったー! 勝った勝ったー!!』
フェローチェ『しん様! カザマくん、お見事ですわ!』
しんのすけ「よくやったー! カザマくんはポケモンの中のポケモンだゾ!!」
「せーのっ!」
しんのすけたち『「わーっしょい! わーっしょい!」』
しんのすけたちはカザマを囲むと、一斉にカザマに胴上げをした。カザマは照れながらも笑い返した。
ジュナイパー『ハハッ、みんなのおかげだよ。ありがとう!』
459 :超超ゴルーグロボ ◆g/SXBgh1y6 :2017/06/20(火) 21:14:27.44 ID:Pr7L8+H70
ひろし「やったーっ! しんのすけが勝ったんだーっ!!」
ひろし「みさえっ、島巡りチャンピオンだ! 俺たちのしんのすけが、島巡りチャンピオンになったんだ! それも、最年少だぞっ!」ウルウル
みさえ「うんっ、しんちゃん……! よく頑張ったね……!」ポロポロ
ひまわり「たいーっ!」
ハラ「……あっぱれ、と言う他ありませんな」
グズマ「……マジかよ。あのじゃがいも小僧」
460 :超超ゴルーグロボ ◆g/SXBgh1y6 :2017/06/20(火) 21:15:46.28 ID:Pr7L8+H70
しんのすけたち『「わーっしょい! わーっしょい!」』
ハウ「ううっ……悔しいーっ!!」
しんのすけ「!」ビクッ
ハウが今までにないほどの大声を上げて、びっくりしたしんのすけたちは胴上げをやめてハウを見た。
ジュナイパー『いでっ!!』ドスン!!
ジュナイパー『急にやめるなよ!』
ハウ「ごめんねー! 勝利を味わせられなくって……みんな、ここまで頑張ってきたのにー!」
ガオガエン「……ガオ」
ハウ「おれ、もっと強くなるー! この悔しさ、絶対に忘れないからー!」
ククイ博士「……ハウ」
しんのすけ「アローラ地方を冒険するゾ」
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