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清掃員:天使

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Part4

51:名無しさん:10/11/9 02:09 ID:SgTN3iRB0U
「……」

鍵を掌の中に握りしめ、扉の前に立つ。
ここで扉を開けたら記憶は消え去り、沢登由衣との思い出も無くなっている。


「イマムラくん」

天使は僕に声を掛ける。

「彼女に言わないのかい」

「……」

沢登由衣は僕らのやりとりに首を傾げる。


「……沢登さん」

「……なんでしょう」

「また、ここを出たら会えるよね?」

突然何を言ってるんだ、と言いたげな顔を沢登由衣は浮かべた。

「……ええ、貴方が望めば」

そっか、と僕は一言返事をした。

「……じゃあ、向こうで会おう」


ええ。と彼女はにこやかな笑みを浮かべる。



さようなら

52:名無しさん:10/11/9 02:25 ID:7j/sPOVAuo






目が醒めると、私は知らない部屋に居た。

「……ここは」

辺りを見渡すと、ベッドの周りをカーテンで仕切られている。
ここは病院だろうか。


「あっ」

どこからか声が聞こえる。
声のした方に視線を動かすと、イマムラくんがカーテンを捲り、入ってきた所だった。

そうだ。確か私は大学で熱を出して倒れて、イマムラくんに医務室に運ばれたんだ。

うわぁ
こんな所を見られて恥ずかしい……。


「もう大丈夫?」

そんな事も露知らず、彼は私の体調を気遣った。
なんで優しくしてくれるのだろう――
そんなに今まで会話したこと無いし、
ひょっとしたら避けられてるんじゃないかなって思う時もあった位なのに。



だって私は、私はイマムラくんの事が――


「早く良くなるといいね。沢登さん」

53:名無しさん:10/11/9 02:27 ID:5KqIGw5982



「……それで、記憶を消したのでは無いかね」

《声》は天使に尋ねた。
性別も、肉体も持たぬ、人を超越した存在である。


「彼の咄嗟の判断に従うのは、今回の対象者を救うには適さないと思いまして」


「では記憶は消さなかった、と?」

「ええ、替わりに彼の心の一部を切り取りました」

「一部?」



「彼の『何をやっても駄目』という臆病な部分を切り取りました」


ほう、と《声》は頷いた。

「……それで、次はいつの時代に行きましょうか。以前行った開拓時代は懲りてますよ?
馬に乗るのは慣れなかったんですよねー」


「では、西暦1991年に行って貰おうか」

「場所は?性別は?」




「『イラク』と呼ばれる国だ。性別は好きにするといい」

54:名無しさん:10/11/9 02:29 ID:pzT5R6geCY
『新世界より』
1893年1月中旬

西の最果てにある未開の大陸
ポールソン・ブラッド(24)

55:名無しさん:10/11/9 02:31 ID:uXIFugrlws

行商の途中、道の真ん中に少女が倒れて居るのを見掛けた。
行き倒れだろうか。
俺は少女のそばにより、声を掛ける。

「おい、生きてるか」
「…………」

手遅れか。
こんな所で死ぬなんてな。


「……おはよう」
「……生きてやがったか」
「『死なない』ね、天使だから」

少女は身体を一切動かさず、目だけをこちらに向けて語る。

「はッ、天使か。笑えるな。羽と頭の輪っかはどうした?市場で売り飛ばされたか?」
「そんなのお前らの想像だろ。それより」
「それより?」



「あんた……困ったことない?あと一人救えば目標達成なんだよ」



終わり

56:銀杏:10/11/9 02:35 ID:NUK7FuhQGQ
長々と書かせていただきありがとうございます

なかなか書く時間も無く、設定も駆け足気味になってしまいました。
本当は天使には色んな国や時代を遊ばせたかったなぁ、なんて思ったりしました。


誰かに読んで頂けたら幸いです
本当にありがとうございます

57:名無しさん:10/11/10 21:13 ID:GJ/4yeN67E
おもろ

58:銀杏:10/11/14 20:30 ID:pzT5R6geCY
『リトル・シング』
2004年10月中旬
再び極東の国


佐伯創 (17)

59:名無しさん:10/11/14 20:31 ID:pzT5R6geCY


いつものように俺はショートホームルームが始まる10分前に学校へ着いた。
この日は妙に賑やかだった。
俺は席に着くと、前に座っていたクラスメートである岩本功貴に話をした。


「何かあるのか?」
「知らねーのか、創。今日は転入生が来るんだぞ」

へぇ、と俺は答えた。
事実、転入生にさほどの期待はしていなかった。
女だろうが男だろうが、正直どうでもいいのだ。


「可愛いかなあ」
「さあな」
「可愛いかったら、付き合いたいな!」
「好きにしろ」

そう言うと
へへ、と言いながら笑顔を浮かべる。
こいつは気楽なアタマしてるな、と俺は思った。


本当にどうでもいい。

60:名無しさん:10/11/14 20:32 ID:4sfdgTgOT2
朝礼のチャイムが鳴る。


それと同時にスーツ姿の担任教師がやって来た。
するとクラスメートたちが一斉に静まり返り、黒板の方へと姿勢を正す。
いつもだったら、担任が来ても話始めるまで賑やかな筈だが、やはり今日という日は彼らにとって特別なイベントなのだろうか。


「みんなわかってるわね、今日は転入せ――」
「は、早く呼んできてよ!先生!可愛い女の子だろ!?」


俺の前に座る岩本が先生の話を遮って急かす。

その発言にクラスメートはどっと笑い出す。



「ふふっ、当たり。女の子よ」
不適な笑みを浮かべながら先生は言う。


「イエーッ!!!!」

今度はクラスの男達が盛り上がる。
よほど現在の女子事情に不満を抱いていたようだ。

61:名無しさん:10/11/14 21:09 ID:uXIFugrlws
「じゃあ紹介するよ。さっ、入って」

先生が開いた戸へと顔を向ける。
すると、教室に一人の女が入って来た。
その姿を見てクラスの男達は息を呑む。


「アカン。め、めちゃくちゃ美少女やで……、佐伯兄やん……。」

なぜ関西弁なのかは気になる所だが、敢えて無視をした。

でも確かにさっきから
「可愛くね?」
「ヤバい!熱い!間違いない!」
などの声が周りから聞こえてくるので
やっぱりそれ相応の顔立ちなんだな、と思う。

62:名無しさん:10/11/14 21:10 ID:iNRJRKk/Ts
「あ、黒板に名前を書いて貰えるかな?」

先生は転入生にチョークを手渡す。

「はい…」

転入生は受け取ったチョークを持ち、黒板に向かって名前を書き始めた。


「ケツがもう堪らんなぁ。な?」
「……そうか」

ここまで行くと変態の一言に尽きるんじゃないかな、と軽蔑の眼差しを送る。


かっかっとチョークを持つ右手が動く。
凄く綺麗な字を書く人なんだ、と思った。書き順がおかしいけど。
名前は四文字。
書き終えた転入生が再びこちらに向きを変える。


「えっと、さ、沢登由衣と言います。今日からよろしくお願いします」

先生が促した訳でも無く、拍手が起きた。


俺の前に座る岩本も含め、野球部の連中も立ち上がって「ブラボー!!」と拍手を送る。

63:名無しさん:10/11/14 21:16 ID:pzT5R6geCY




昼休み


「なんでお前の隣なの!?ねぇ!まぁ俺も近いからいいけどさぁ!!」

転入生こと、沢登由衣は俺の右隣に座る事となった。

やはり転入生の存在というのは大きな物なんだろうか。
教室を見渡すと、微妙な距離から俺達の方に視線が向けられているという事が嫌でも分かる。
だが沢登由衣もこの状況を何となく楽しんでいるようだ。



「ねぇねぇ!沢登さん!昼飯どーすんの!」

こいつもこの状況を楽しんでいるようだ。
早速がっついている。昼飯なだけに。

「んー、どうしよっかなぁ…」

「だったら俺といっしょに」
「沢登さんで良いかな」


岩本の願いは美しい――がそれと同時に脆く崩れ易かった。
クラスの女子連中が声を掛ける。

「はい、どうしました?」
沢登由衣は笑顔でそれに応じる。


「もし良かったら、私たちとご飯食べない?」

なるほど、グループへのスカウトか。
女子特有っつうか、何というか。


「ふざけんな!俺が先に由衣にゃん誘ったってばよ!」

こいつの闘志はまだまだ燃えたぎっていた。

64:名無しさん:10/11/14 21:17 ID:GjgUYEXgk2
「沢登さん、行きましょう」

「うーん…」

何を迷っているんだ。
さっさとお友達作ればいいじゃん。

「ごめんなさい。私、佐伯くんと約束があるの」


「「えっ!?」」

女子連中だけでなく、岩本も驚いていた。
当の俺はポカーンとして、何も言えずにいた。


「ね、佐伯くん」

「え……まあ、な」

思わず頷いてしまう。


「そんな……。俺は午前中、お前らが会話しているところを見ていない………
はっ!まさか授業中にメモ紙を渡しあう文通か!!」


「どうだろうね~?さ、行こうか」

この転入生、侮れないな。

65:名無しさん:10/11/14 21:18 ID:iNRJRKk/Ts
「で、どこに行く気だよ」

あてもなく廊下を一緒に歩きながら、俺は沢登由衣に質問する。

「学食って言うんだっけ?」
「あ?」

質問、聞いてたか?

「学食。知らない?」
「知ってるよ」

あぁ、知ってるさ。学生食堂な。
だけど『って言うんだっけ?』って何だよ。

「この学校にあるなら、そこに行こうよ」
「まぁ、良いけどさ」


どうせそこに連れて行くつもりだったし、丁度良いか。

66:名無しさん:10/11/14 21:19 ID:kIHfKLixAs
この日の学食はいつもより空いていた。
もうすぐ始まる学園祭に向けた準備で昼飯どころじゃないのだろうか。




「学園祭?」

沢登由衣は年頃の女子とは思えぬ食欲を発揮していた。
もうこれでご飯三杯目だ。

「知らんのか」
「うん」
「前の学校ではやったことないのか?」
「……あ、あぁゴメン。前の学校でもやったことあるよ、うん」

うろたえるような質問だったか?

「ま、うちのクラスはまだ出し物すら決まってねーけどな」
「そうなの?」
「なんていうか、うちのクラスって纏まりが無いって言うか」
「なんで?」
「……さぁな。俺みたいな協調性ゼロなのが居るからじゃね?」
「……ふぅん」
「ま、実際学校に来てない奴も一人居るくらいだ。わかるだろ?」
「来てない?」
「引きこもりって事だよ」


こいつは一々噛み砕いて説明しなきゃ分からんのか

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