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神様「神様だっ!」 神使「神力ゼロですが・・・」

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Part29
760 : ◆8YCWQhLlF2:2016/06/12(日) 01:51:08 ID:i5s7HS9E
ーー 神宮裏参道
神使「どうされるんですか?」
神様「・・・コーラ買ってくる! 適当にブラブラしてろ!」ズカズカ
神使「ちょ、神様・・・」ハァ
猫神「神ちゃん、ご機嫌ななめだね〜」
神使「猫神様!? やっぱり神宮にいらしてたんですか」
猫神「うん、呼び出し受けちゃってさぁ〜」
神使「先日はどうもありがとうございました」ペコッ
猫神「こっちこそ〜」
神使「呼び出しというのは・・・」
猫神「ちょっとね〜」
神使「・・・・・・」

761 : ◆8YCWQhLlF2:2016/06/12(日) 01:52:50 ID:i5s7HS9E
神使「やはり、神法大改正がらみですか?」
猫神「神使君は神ちゃんからどこまで聞いたの〜?」
神使「神様が最高神で、二人いるところまでは伺いました」
猫神「そっか〜・・・ ねぇ、少し時間ある〜?」
神使「はい」
 テクテク
猫神「今から話すことはたぶん神ちゃんから絶対聞くこと出来ないだろうから、私から話すね〜」
神使「そんなに話しにくいことなんですか?」
猫神「そうだね〜 正直私もどうしようか悩んだよ〜 誰にも話すなって言われてるし〜」
神使「無理には伺いませんが・・・」
猫神「う〜ん、でも神使君には知っておいてもらいたいかなぁ〜って。 神ちゃん絶対自分のことは喋らないし〜」
神使「・・・・・・」

762 : ◆8YCWQhLlF2:2016/06/12(日) 01:54:32 ID:i5s7HS9E
猫神「神ちゃんねぇ、千三百年位前に当時の偉い人から頼まれてある役を引き受けたんだよ」
神使「千三百年前!?」
猫神「神ちゃんが居る小さなお社ってねぇ、国を滅ぼす悪い龍が眠っているの〜」
神使「はい?」
猫神「その龍が、出てこないように神ちゃんに封印してもらいたいって」
神使「そんな・・・ 迷信ですよね?」
猫神「もちろんそんな悪い龍とか居ないし、封印だとかそんなこと出来ないしね〜」
神使「では、なぜ神様はそんな役を・・・」
猫神「当時の人たちにとってはもの凄い不安だったんだよ〜 それこそこの国を揺るがしかねないくらい」
神使「・・・・・・」

763 : ◆8YCWQhLlF2:2016/06/12(日) 01:55:49 ID:i5s7HS9E
猫神「神ちゃんさぁ〜 それが皆の願いだったら自分が死ぬまでその願いを守るって約束したの」
神使「死ぬまで・・・」
猫神「そんな神ちゃんに人は敬意を表して神宮を作ったんだよ」
神使「神宮は神様のために作られたんですか!?」
猫神「そうだね〜 でも神ちゃんって、そう言うの嫌いだから神話を作ってね〜」
神使「天照大神・・・」
猫神「そうそう、よく出来てるでしょ〜」

764 : ◆8YCWQhLlF2:2016/06/12(日) 01:57:06 ID:i5s7HS9E
猫神「でも、神ちゃんも神を作らないといけないから仕事を両立させるのが大変だったんだ〜」
神使「どちらも神様しか出来ない事ですよね」
猫神「神宮に入れない時間は、信頼の置ける巫女さんに神ちゃんの代理をしてもらってたんだけどね〜」
神使「代理・・・」
猫神「しばらくは何とかまわってたんだけど、五百年前にバレちゃってさぁ〜」
猫神「当時の神宮の大宮司がちょっと癖のある人でね? 巫女が天照大神様の代理などケシカラン! って」
猫神「その時代は神ちゃんの存在自体を皆は知らなかったし、架空の最高神がねじ曲がった存在になってたんだよね〜」
神使「ねじ曲がった存在?」
猫神「人が最高神を見ること自体処刑の対象になるくらい神格化されて・・・」
神使「それじゃぁ、その巫女さんは・・・」
猫神「・・・・・・」
神使「まさか!」


765 : ◆8YCWQhLlF2:2016/06/12(日) 01:58:08 ID:i5s7HS9E
猫神「神ちゃん相当ショックだったみたいで・・・ 自分のせいだって、少し塞ぎ込んじゃったんだよね〜」
神使「・・・・・・」
猫神「あの時の神ちゃん、凄く苦しそうだった。 笑顔も消えちゃって・・・」
神使「そんな神様なんて想像できません・・・」
猫神「全部自分の責任だって背負い込んで、社に籠もってひっそり最高神役を続けてたんだ〜」
猫神「私と、仲の良かった昭宮神君と何度も神ちゃんの所に足を運んだんだけど・・・」
神使「・・・・・・」
猫神「そんな期間が二百年くらい続いてさぁ〜」
神使「二百年も・・・」

766 : ◆8YCWQhLlF2:2016/06/12(日) 02:00:07 ID:i5s7HS9E
猫神「でね、ある日突然神ちゃんが二人になったの」
神使「その原因が分からないんですが、一体何がおこったんですか?」
猫神「分からないんだよね〜 神ちゃん自身も驚いてたくらいだし」
神使「原因不明ですか・・・」
猫神「そうだね〜 でも神ちゃんが二つに分かれて問題が起ったの・・・ 神ちゃんの神力が使えなくなっちゃって・・・」
神使「その時に神様は神力ゼロに・・・」
猫神「う〜ん、表現が難しいんだけどそんな感じかな〜」
神使「・・・・・・」
猫神「それで、私が片割れの神ちゃんを見習い神として神宮に入れたんだ〜」
神使「最高神の神様と、最低神の神様・・・」
猫神「そうだね〜 それ以来少しずつ神ちゃんも元気になってくれてね〜」
神使「そんな過去が神様にあったなんて・・・」

767 : ◆8YCWQhLlF2:2016/06/12(日) 02:01:29 ID:i5s7HS9E
猫神「もう、神ちゃんの苦しむ姿は絶対見たくなな〜」
神使「お任せ下さい。 私が絶対にそんな事させません。 これでも神様の神使ですから」
猫神「神ちゃんってあんな性格だけど、他人の事ばっかり気にして自分の事は二の次で〜」
猫神「何千年もそうやって・・・ 少し休ませてあげたいなぁ〜って・・・」
神使「神様も先日猫神様の事をそう仰っていました」
猫神「神ちゃんが?」
神使「猫神様の願いを叶えて、少し休ませてやりたいって」
猫神「・・・・・・そう」フッ

768 : ◆8YCWQhLlF2:2016/06/12(日) 02:04:41 ID:i5s7HS9E
神使「これからどうなるんでしょうか・・・」
猫神「さぁ〜 どうなるんだろうね〜・・・」
神使「神様がどう出るか全く分かりません」
猫神「今回ばかりはね〜 でも、何かあったら言ってね? どんなことでも協力するから〜」
神使「最大級の神力をもつ猫神様が付いて下さるなら負ける気はしません!」
猫神「私は、猫娘ちゃんと近くのホテルにいるから何かあったら電話ちょうだいね?」
神使「神様にお会いにならなくてもよろしいのですか?」
猫神「やめとくよ〜 たぶん神ちゃん私を巻き込まないようにするはずだし〜」
神使「分かりました。 色々教えて頂いてありがとうございます」ペコリ
猫神「今の神ちゃんのお付きが神使君で本当によかった〜」ニコッ
神使「・・・・・・」
猫神「それじゃぁ〜」テクテク

769 : ◆8YCWQhLlF2:2016/06/12(日) 02:09:25 ID:i5s7HS9E
ーー 離れのお社
 ギィー
神使「あれ? 神様、コーラを買いに行ったのでは?」
内宮神「あ? 私は千年以上前からここにいるぞ」
神使「あっ、すいません・・・・・・」
内宮神「・・・・・・」
神使「あの〜」
内宮神「なんだ?」ムスッ
神使「何か怒ってらっしゃいます?」
内宮神「次期大宮司と話をしていた私とここにいる私は同じだ」
神使「そうでした・・・」
内宮神「・・・・・・」
神使「・・・・・・」

770 : ◆8YCWQhLlF2:2016/06/12(日) 02:10:35 ID:i5s7HS9E
内宮神「なぁ、犬ころ」
神使「はい」
内宮神「私は・・・ 必要だと思うか?」
神使「え?」
内宮神「もしかしたら、神という存在をこの時代は必要としていないんじゃないか?」
神使「・・・・・・」
内宮神「昔はさぁ、神なんかになりたいなんて思うヤツいなかったんだよ。 神にする者を探すが大変だった」
神使「神様?」
内宮神「神は権力者じゃない、人の上に立つような存在でもない。 神は・・・・・・」

771 : ◆8YCWQhLlF2:2016/06/12(日) 02:12:13 ID:i5s7HS9E
神使「神様はどうして居もしない悪い龍の封印のマネなんてしているんですか?」
内宮神「お前何でそれ知ってんだよ・・・ ま〜た猫神か」ハァ
神使「はい、先ほどお会いいたしました」
内宮神「誰にも言うなっていったのに・・・」ムスッ
神使「どうして秘密になさるのですか?」
内宮神「・・・・・・」
神使「秘密にしているから皆勘違いすると思うのですが」
内宮神「・・・・・・」
神使「みんなが神の存在なんて知らないのに必要としていないって言うのは変だと思うのですが」
内宮神「やっぱ、お前最近遠慮なしに言うようになったよな」
神使「すいません・・・」
内宮神「謝ることじゃない」
神使「・・・・・・」

772 : ◆8YCWQhLlF2:2016/06/12(日) 02:13:09 ID:i5s7HS9E
内宮神「今からでも受入れてくれると思うか?」
神使「わかりません」
内宮神「そうだよな」フッ
 ギィー
神様「腐れ犬ころのくせに生意気」
神使「あっ、神様」
神様「でも・・・」
内宮神「一応礼は言っておく」
神様「ほら、奢りだ。 飲め」ポイッ
神使「おっと、ありがとうございます(トクターペッパー・・・)」

773 : ◆8YCWQhLlF2:2016/06/12(日) 02:14:21 ID:i5s7HS9E
B夫「何の話? オレも混ぜて」
神様「ひやーーっ!」ビクッ
B夫「神ちゃん驚きすぎ」
神様「いつから後ろ居たんだよ!」
B夫「神ちゃんがコーラとトクペを間違えて買って全部の自販機の釣り銭の所をゴソゴソして、その後少し涙を流しながら歩いていた位のとーーー」
神様「アッチョー」ゲシッ
B夫「痛っ!」ガクン
神様「ほとんど最初からじゃねーかよ! それに泣いてねーし!」

774 : ◆8YCWQhLlF2:2016/06/12(日) 02:17:00 ID:i5s7HS9E
ーー 外宮宮司室
次期宮司「では、よろしくお願いします。 正一位猫神様」
猫神「本当に神ちゃんには手を出さないんですね〜?」
次期宮司「無論です」
猫神「・・・他に方法はないんですか〜?」
次期宮司「ここまでこじれてしまった以上、修復は難しいと思います。 神社界もこのままでは維持できません」
猫神「・・・・・・」
次期宮司「二日後に開かれる宮司会の決定を神々代表として、正一位猫神様の名において神勅頂きたく思います」
猫神「・・・・・・」
次期宮司「どうぞよろしくお願いいたします」

776 : ◆8YCWQhLlF2:2016/06/14(火) 01:21:49 ID:Ki0Gjrog
ーー 離れのお社
B夫「で、作戦プランは?」
神様「う〜ん、宮司会の模様をテレビで生中継するとか!」
神使「そんなものを全国に流してどうされるんですか・・・」
神様「アイツらの黒い部分を一滴も残さずお茶の間にお届けする」
内宮神「どう?」
B夫「無理」
神使「私も無理だと思います」

777 : ◆8YCWQhLlF2:2016/06/14(火) 01:23:09 ID:Ki0Gjrog
B夫「宮司会は開催場所と時間がトップシークレット。 場所も分からないようじゃ中継のセッティングが出来ない」
神様「そうか〜・・・」
神使「それにテレビだなんて・・・ なにか他の手を考えないと」
 ゴソゴソ
 ちょっと押しちゃダメだよ
 ごめんニャ
内宮神「!?」バッ
神使「扉の前に誰かいますね」
内宮神「誰だ!」
 バン!
A子「あっ、神ちゃん」
猫娘「ごめんなさい。ニャ!」
内宮神「A子ちゃん! 牡蠣娘!」

778 : ◆8YCWQhLlF2:2016/06/14(火) 01:23:46 ID:Ki0Gjrog
A子「いや〜 夜のお供えを持ってきたら中から神ちゃんと神使さんの声が聞こえたもんで」
神使「どうして猫娘さんまで・・・」
猫娘「A子さんに境内を案内してもらって見学してたんです。ニャ」
神様「もう夕飯の時間だったか・・・」
A子「わっ! 神ちゃんが二人いる!!」
神様「あ〜・・・ うん」
神使「取りあえずお二人に入って頂いた方がよろしいかと」
内宮神「そうね。 二人とも入って」

779 : ◆8YCWQhLlF2:2016/06/14(火) 01:24:44 ID:Ki0Gjrog
A子「ごめんね神ちゃん、盗み聞きするつもり無かったんだけど・・・」
神様「私でも中から声が聞こえたら聞き耳立てるし、気にしないで」
A子「それより・・・」
内宮神「あ〜」
A子「私の知ってる神ちゃんはどっち?」
神様・内宮神「はい」
A子「・・・・・・?」
神使「神様、お二方にはきちんとお話になった方がよろしいかと」
神様「うん。 実は・・・・・・」




780 : ◆8YCWQhLlF2:2016/06/14(火) 01:25:36 ID:Ki0Gjrog



A子「マジっすか!」
神様「黙っててゴメン!」
猫娘「びっくりしたニャ〜 神様が最高神だったなんて。ニャ」
A子「なるほど、私は神ちゃんに毎日お供えをしてたって事か」フム
神様・内宮神「タダ飯くらっててすいませんでした!」ドゲザ
A子「いや〜 最高神様にご飯を食べて頂けていたなんて光栄でございますよー」
神様「すいません・・・」


781 : ◆8YCWQhLlF2:2016/06/14(火) 01:26:30 ID:Ki0Gjrog
A子「それに、毎日最高神様と一緒にお守り売っていたなんて光栄でございますよー」
神様「ごめんA子ちゃん! そんな呼び方しないで! 普通に接して! お願い!」ドゲザ
A子「冗談だよ〜 それよりその次期大宮司? ちょっとお仕置きしないとダメだね」
猫娘「猫神様もこっちに来てから頻繁に呼び出されています。ニャ」
神様「そうか・・・ それと猫娘さぁ」
猫娘「?」
神様「さすがに語尾にニャを付けるならそろそろ馴れようよ・・・」
B夫「いや、これかなりグレード高い。 その計算されたぎこちなさが世の男を引きつける。 策士?」
神様「B夫さぁ、気持ち悪い」ゲシッ ゲシッ
B夫「痛っ」

782 : ◆8YCWQhLlF2:2016/06/14(火) 01:27:36 ID:Ki0Gjrog
A子「あっ、そうだ。 これお供えのご飯なんだけど」コトッ
神様「おいちそ〜 でも、他の人の分がない・・・」
神使「私コンビニで買ってきましょうか」
神様「お〜 犬ころ気が利くじゃん。 よろぴこ」
猫娘「私も一緒に行きます。ニャ」
神使「ありがとうございます。 では、行って参ります」
 スタスタ
 ギィー バタン

783 : ◆8YCWQhLlF2:2016/06/14(火) 01:31:41 ID:Ki0Gjrog
A子「ねぇ、その宮司会ってもしかして明後日のやつ?」
神様「そう」
B夫「場所と時間が分からないから手の打ちようがない」
A子「私、式次第持ってるよ?」ゴソゴソ
神様「え?」
A子「ほら」
B夫「どれどれ・・・ 間違いない。 宮司会の式次第。 時間場所、それにタイムスケジュールも書かれてる」
神様「どうしてA子ちゃんがこれを?」
A子「ん? 私、当日資料配りとかお茶入れの係だから」
B夫「ナイスA子ちん」

784 : ◆8YCWQhLlF2:2016/06/14(火) 01:32:27 ID:Ki0Gjrog
A子「あっ」
神様「どったの?」
A子「他の人に見せたり無くしたらクビって言われてた」
神様「私は人じゃないから大丈夫」
A子「そうだね、でもB夫さんは・・・」
B夫「オレ紳士だから」
A子「へ〜 B夫さんって神使さんだったんだ。 んじゃ良いか」
神様「・・・・・・」

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