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神様「神様だっ!」 神使「神力ゼロですが・・・」

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Part145

224: ◆8YCWQhLlF2 :2020/05/05(火) 22:25:40 ID:dRZoMmQw

――― 本殿裏


少女「・・・・・・。 分かったわ、あなたが物音を立てたら突っ込む」

少女「大丈夫よ、覚悟は出来てる。 準備して」

少女「絶対に・・・ 絶対に殺してやる」シャキン


 神様「あれ~ 少女ちゃん、日本刀なんか持って何してるの~?」トテトテ


少女「!?」クルッ

神様「お~こわっ、そんな怖い顔見たら流石の私でもブルッちゃうよ」

少女「あなた・・・ どうしてここに・・・」キッ


225: ◆8YCWQhLlF2 :2020/05/05(火) 22:26:17 ID:dRZoMmQw

神様「チョウセンアサガオで眠らせたと思った? あとでこっそり調合教えてよ」

少女「・・・・・・」

神様「まぁ私以外はグッスリだけど」ウヒャヒャ

少女「ちょ、大きな声を出さないで」


 盗人「!? ちっ、感づかれたか」タッタッタッ


少女「あっ!」クルッ

神様「おや、こんな遅くに参拝者かな?」


226: ◆8YCWQhLlF2 :2020/05/05(火) 22:26:50 ID:dRZoMmQw

少女「待ちなさい! 逃がさな―――」

神様「追いつかないよ」グイッ

少女「離して! あいつを殺さないと!!」

神様「・・・・・・。 そんな事聞いたら余計離せないって」

少女「!」クッ

神様「歳のわりに良い目つきだ。 中学生には出せない重みがある」

少女「・・・・・・」

神様「おい、もう一人・・・ って言って良いのか分からんが誰かいるんだろ?」


 シーン


神様「この状況でも出てこないのか」ハァ

少女「・・・・・・」


227: ◆8YCWQhLlF2 :2020/05/05(火) 22:27:35 ID:dRZoMmQw

神様「詳しい話をして欲しい」

少女「あなたに話しても信じてもらえないわ」

神様「そうかな? これでも結構その手の話には造詣が深いんだけど」

少女「今更話したところで・・・ もう、手遅れよ」

神様「じゃぁ、私から先に話をしよう」

少女「一人にして。 今はあなたと話をする気力は無いの」

神様「だったら、何で私達を招き入れたの?」

少女「え?」

神様「邪魔だったら泊めてくれるはずないよね? 普通は追い返す」

少女「・・・・・・」


228: ◆8YCWQhLlF2 :2020/05/05(火) 22:28:33 ID:dRZoMmQw

神様「さっきだって、私に気付かれるような所で話をしてた」

少女「それは・・・ たまたま油断して―――」

神様「嘘だね。 うちの諜報が2年監視してても隙を見せなかったくせに」

少女「・・・・・・」

神様「私は神宮の神、この国で最高神の役を司っている」

少女「神?」

神様「神の存在は信じない口? んな訳ないよね?」

少女「そうね。 流石神宮の神さま、話の持っていき方が上手いわ」

神様「お褒めにあずかり至極光栄だね」

少女「そんな事思ってもないくせに」フッ

神様「お互い様。 じゃ本題、詳しい話を聞かせて欲しい」

少女「・・・・・・」



229: ◆8YCWQhLlF2 :2020/05/05(火) 22:29:09 ID:dRZoMmQw

神様「たぶん私達は少女ちゃんの力になれる。 だから―――」

少女「・・・少し黙っててちょうだい」

神様「?」

少女「ごめんなさい、あなたに言ったんじゃないわ」

神様「可能なら、少女ちゃんの意思で話して欲しい」


少女「私・・・ 明日の夜に―――」


230: ◆8YCWQhLlF2 :2020/05/06(水) 17:54:23 ID:D9Lav2yM

――― 寝室


神使「Zzz」スヤスヤ


 バンッ


神様「起床!!」ゲシゲシッ

神使「痛っ! 痛たた!!」


神様「敵襲!! 夜討だー!!」

忍神「何? 夜討!? 敵はどこだ!!」ハッ


神様「二人ともやっと起きたか」

神使・忍神「神様?」

神様「話がある。 付いてこい」トテトテ

神使・忍神「?」


231: ◆8YCWQhLlF2 :2020/05/06(水) 17:55:57 ID:D9Lav2yM

――― 本殿前


神使「こんな所に連れてきて何があるんです?」

忍神「私は姿を現していても大丈夫なのでしょうか?」

神様「大丈夫。 お、居たいた」

神使「あれは・・・」

神様「お待たせ」トテトテ


少女「・・・・・・」クルッ


神使「少女さん?」


232: ◆8YCWQhLlF2 :2020/05/06(水) 17:56:34 ID:D9Lav2yM

少女「こんばんは、神使さん。 それと・・・」

神様「紹介する。 こいつは忍神」

忍神「こうしてご挨拶するのは初めてになります。 忍神と申します」

少女「そう、あなたが。 初めまして忍神さん」フフッ

神使「少女さんの雰囲気がいつもと違う気がしますが・・・」

少女「どっちが本当かなんて忘れちゃったけど、こっちの方がしっくりくるわ」

神様「見た目とのギャップが萌え萌えで良いねぇ~」

神使「あの・・・ これは一体・・・」

少女「私からも、もう一人紹介します」

神使「もう一人って、まさか・・・」

神様「どこにいるのかなぁ?」キョロキョロ


233: ◆8YCWQhLlF2 :2020/05/06(水) 17:57:06 ID:D9Lav2yM

少女「あの子は、私以外に見ることが出来ないの。 だから私を媒介にするわ」

神様「媒介?」

少女「あの子と一時的に入れ替わる」

忍神「そんな事が・・・」

少女「入れ替わっている間は私の記憶が飛ぶ。 もし、私に戻す場合は3回手を叩いて」

神様「3回拍手をすれば良いって事?」

少女「そうよ。 じゃぁ入れ替わるわ」パンッ パンッ パンッ


 ポワッ


少女「」ガクッ

神様「入れ替わった・・・ のか?」


234: ◆8YCWQhLlF2 :2020/05/06(水) 17:57:46 ID:D9Lav2yM

少女「・・・・・・」キッ

忍神「瞳が赤く・・・」ゴクリ

神使「失礼ですがあなた様は・・・」

少女「我に言葉を発するなど無礼にも程があるぞ貴様」ギロッ

神使「・・・・・・」

神様「お前は・・・」

少女「久しいな」ニヤッ

神様「・・・・・・」

少女「言葉も出ぬか。 まぁそれも仕方の無いこと、我を前にして―――」

神様「」パン パン パン

少女「ちょ、おま―――」


 ポワ ポワッ


235: ◆8YCWQhLlF2 :2020/05/06(水) 17:58:24 ID:D9Lav2yM


少女「・・・ん・・・。 あの子と話は出来た?」

神使「ちょっと神様! 何で戻してしまったんですか!?」

神様「いや、だって生意気だったから」

神使「すいません少女さん。 まだ何も話しておらず・・・

少女「・・・・・・。 まぁ理由は大体察しが付くけど」

神様「すっげー嫌な感じだったんだけど、なにアイツ」

少女「あの子、いま神ちゃんさんを全力で蹴りまくっていますよ?」フフッ

神様「え~・・・ マジかよ」

少女「あの子だと余計に話がこんがらがりそうだし、私から触りを話すわ」


236: ◆8YCWQhLlF2 :2020/05/06(水) 21:49:04 ID:D9Lav2yM

――― 本殿内


神使「人守様?」

少女「本当はどういう名称だったか今となっては分からないけど」

神様「それって少女ちゃんしか認識できないの?」

少女「この子は私専用。 一人に対して一人の人守が付いていたそうよ」

神使「いた、という事は・・・」

少女「今は私だけみたいだけど」

神様「背後霊みたいのもの?」

少女「あの子が一番嫌っている呼び名だけど、簡単に言えばそうね」クスッ


237: ◆8YCWQhLlF2 :2020/05/06(水) 21:50:32 ID:D9Lav2yM

忍神「神様はご存じで?」

神様「ん~・・・ 私もそんな存在は初耳だなぁ」

少女「嘘つけこの女、耳齧るぞ! ってツグが叫んでるわ」

神使「ツグ?」

少女「さっき私を介して会った子よ。 本名は継姫って言うらしいけど、ツグで良いわ」

神使「継々神社でツグ様ですか・・・」

少女「“様”なんて付けるほど立派じゃな――― ちょっと、耳元で大声出さないでよ」シッシッ

神様「ツグちゃ~ん、おイタしちゃダメよ~」

神使「神様、あまりちょっかい出してはダメですよ」

神様「へいへい。 んじゃ聞きましょうか、特に少女ちゃんが明日殺されるって言う件を詳しく」

神使・忍神「え!?」


238: ◆8YCWQhLlF2 :2020/05/06(水) 21:51:36 ID:D9Lav2yM

少女「私の家系は、代々ツグのような人守をもつ家だった」

神使「それが、この神社の巫女の勤めということですね?」

少女「その言い方は遠慮してもらえると助かるわ」

神使「?」

少女「私は何とも思っていないんだけど、ツグが嫌がるの」

神様「神社」

忍神「どういう事でしょうか」

神様「ここは神社じゃないんでしょ?」

少女「そうね。 ここには神なんかいないし、ご神体も無いから」

神使「しかし、本殿や鳥居も・・・ 社務所もあるようですが」


239: ◆8YCWQhLlF2 :2020/05/06(水) 21:52:35 ID:D9Lav2yM

神様「時代の流れで一緒くたにされたんだろ」

忍神「失礼ながら、ツグ様は神とは違うのですか?」

少女「さぁ、ツグは一緒にされるのは嫌みたいね」

神使「ではどうして神社の形式に?」

少女「色々あってね。 神宮の管理下にしておいた方がこっちも助かるの」

神様「背に腹は代えられないって事か」

神使「?」


240: ◆8YCWQhLlF2 :2020/05/06(水) 21:53:15 ID:D9Lav2yM

神様「毎年登記書類が提出されたって事は、神宮から補助金が支給されてる」

忍神「なるほど。 確かに神宮に運営困難神社補助制度がございますね」

少女「これでも維持にはお金がかかるの。 未成年である私の生活もあるし」

神様「わかる。 分かるよ、働かずもらうお金ほどありがたい物はないし」

神使「少女さんは中学生だから働けないだけです。 神様の不純な考えと一緒にしないで下さい」

忍神「しかし、よく今まで神宮にバレませんでしたね」

少女「こんな田舎の末端まで調べてたら切りが無いんじゃないかしら」

神様「まぁ今年は気付かれたみたいだけど」

少女「構わないわ。 私の命も明日で終わりだしね」フッ


241: ◆8YCWQhLlF2 :2020/05/06(水) 21:54:51 ID:D9Lav2yM

神使「先程、その・・・ 少女さんが殺されると仰っていましたが」

少女「えぇ。 私は明日殺される」

神使「一体誰に?」

少女「この社にある土器を盗もうとしている男よ」

神使「そんな・・・ でも、何故そんな事が分かるんですか?」

少女「だって、もう60回も殺されてるんだもん」

神使「え・・・」

少女「何度繰り返してもダメだった・・・ 土器を予め壊しても、私がこの地を離れても・・・」


242: ◆8YCWQhLlF2 :2020/05/06(水) 21:55:29 ID:D9Lav2yM

少女「必ず私はあの男に殺される・・・」

神様「そのツグとか言うヤツがその度に時間を戻しているって事?」

少女「そう。ツグの力で私が死んだ後に1年戻してくれているわ」

忍神「そんな事が・・・ 神である私達でさえ人の死は戻すことが出来ないのに・・・」

神様「・・・・・・。 ちょっとツグちゃんと話がしたいな」

少女「もう一度変わりましょうか?」

神様「いや、少女ちゃんも同伴で」

少女「でも、どうやって・・・」

神様「土器はある?」


243: ◆8YCWQhLlF2 :2020/05/06(水) 21:56:09 ID:D9Lav2yM

少女「土器ならその隅っこに転がっているわ」

神様「あ~ あれね・・・」

神使「扱いがあんまりですね・・・」

少女「何度もあれで殺されているし、正直あまり見たくないの」

神使「確かにそうですよね。 軽率な発言失礼しました」

少女「気にしないで。 はい、これが土器よ」スッ

神使「見たところ普通の土器のようですね」

忍神「特に神力が溜っているような事もございません」

神様「好都合だ。 忍神ちょっと手を出して私の手を握ってくれ」

忍神「?」



244: ◆8YCWQhLlF2 :2020/05/06(水) 21:56:54 ID:D9Lav2yM

神様「お前の力が必要だ」キリッ

忍神「仰せのままに」スッ

神様「んじゃ、歯を食いしばって」ギュ

忍神「?」

神使「この流れはまさか・・・」

忍神「一体何をなさるつもりで―― ウギャギャギャー!!」


ポワポワ


神様「お前って結構神力持ってるのな。 頑張れ~」


245: ◆8YCWQhLlF2 :2020/05/06(水) 21:57:45 ID:D9Lav2yM

忍神「ウギャギャギャー!!」

神様「男を見せろ、お前なら出来る。 もっとだ、もっと土器に力を!」


ポワポワ


神様「よしっ」

忍神「ふへっ・・・」フラフラ

神様「あっ、ごめん。 ちょっと取り過ぎちゃった」テヘッ!

忍神「・・・・・・」バタリ


246: 以下、名無しが深夜にお送りします :2020/05/07(木) 19:52:35 ID:URKiWvQg
忍神ちゃんかわいそう

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