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神様「神様だっ!」 神使「神力ゼロですが・・・」

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Part126
604: ◆8YCWQhLlF2 :2018/09/15(土) 23:10:16 ID:vEtqBjXo
─── 数分後
剣士「くっ!」ガタッ
大神「良い剣筋だった」
剣士「・・・恥を忍んで、もう一勝負付けてもらえないでしょうか!」
大神「何度やっても同じだ。 私とお前では剣の重みが違う」
剣士「重み?」
大神「私は後ろにいる者達を身命を賭して守るために剣を振るった。 勝ち負けのために振るったお前の剣が勝てるわけない」
剣士「!?」
大神「そんな軟弱な剣で私を倒すことなど何度やっても無理だ」

605: ◆8YCWQhLlF2 :2018/09/15(土) 23:11:13 ID:vEtqBjXo
剣士「しかし! あなたは私へ一度も有効をつかなかった!」
大神「ほぉ、そこまで見ていたとは見事だ」
剣士「まさか!? わざと・・・」
大神「狼娘、この者に水を」
狼娘「は、はい!」タッタッタッ
大神「ところで狼娘、傷は大丈夫なのか?」チラッ
狼娘「うっ・・・」ピクッ
大神「なら、良い」フッ
狼娘「あの!」
大神「?」
狼娘「私も稽古をお願いしても良いでしょうか!」
大神「・・・・・・。 もちろん」

606: ◆8YCWQhLlF2 :2018/09/15(土) 23:12:15 ID:vEtqBjXo
神様「♪〜」ニヤニヤ
神使(あ〜 これはきっと神様の作戦通りに事が進んでしまっているんでしょうね・・・)
神様「んじゃ、次は“いつも通り”の大神と狼娘ちゃんの稽古開始!」
狼娘「よろしくお願いします!」
大神「こちらこそ。 久しぶりの道場だ、遠慮なく行くぞ」タッ
パンパン!
剣士「!?」
神使「これは・・・ 凄いですね・・・」
剣士「凄いなんてものじゃ・・・ これが普段の稽古!?」ゴクリ
大神「入り方が雑だ! いつも言っているだろう!」パンッ
狼娘「はい!」
大神「刀の長さを考えろ! それでは守れんぞ!」パンッ
剣士「・・・・・・」

607: ◆8YCWQhLlF2 :2018/09/15(土) 23:13:24 ID:vEtqBjXo
─── 数分後
神様「は〜い。 見てるの飽きたから終わり〜!」
大神・狼娘「・・・・・・」
神様「どうよ、うちの秘蔵っ子の力は」
剣士「こんな方達がいたなんて・・・」
神様「二人ともご苦労様〜 ゆっくりと休んで下さいな」
剣士「・・・・・・。 あの!」
神様「おや〜 何かな?」
剣士「お願いがあります」フカブカ
大神「私か?」
剣士「弟子として私を鍛え直して頂けないでしょうか!」
大神「はぁ!?」
神様「」ウヒャヒャヒャ
神使(もはや隠す気すらないようですね・・・)

608: ◆8YCWQhLlF2 :2018/09/15(土) 23:14:36 ID:vEtqBjXo
剣士「先生の剣の心得、感動しました! 是非私にもその心を!」
狼娘「!? だ、ダメです! 大神さまの右腕は私だけです! 私以外と稽古だなんて許しません!」プンプン
剣士「そこを何とか!」
狼娘「大神さまと剣を交えられるのは日に30分だけ。 私の稽古時間が減ってしまいます!」
剣士「姉さん! 雑用からでも結構です! 側でお二人の剣を見させて頂くだけでも結構です!」
狼娘「ね、姉さん!?」
神様「まぁまぁ、皆さんそう熱くならずに」トテトテ
神使(うわっ、神様が出てきた・・・ 〆の小芝居開始ですね)


609: ◆8YCWQhLlF2 :2018/09/15(土) 23:16:06 ID:vEtqBjXo
神様「大神師範も色々と忙しい」
大神「師範!?」
神様「あんた一人だけのために貴重な時間を割くというのも、ねぇ?」
剣士「確かに・・・ ではどうすれば」
神様「もう少し教えを請いたいという人がいればねぇ〜」
大神「おいおい神ちゃん、何を言っているんだ!? 私は剣術を教えるなどそんな気は───」
神様「お前だって大好きな剣を振るって余生を過ごしたいだろ?」ボソッ
大神「ま、まぁ・・・ 剣を振るうのは好きだが・・・ しかし、私の剣は勝負事の物でなく───」
神様「おいおい、私に全部任せるんじゃなかった〜? そう言ったよね? 昨日そう言ったよね?」ニヤッ
大神「うっ・・・」
神様「狼娘ちゃんのためを思ってやってるんだけどなぁ〜」ボソッ
大神「・・・・・・。 分かった」ガクッ
神様「というわけで、あんたの知り合いに声を掛けて人集めてくれ。 話はそれからだ」
剣士「」コクッ

610: ◆8YCWQhLlF2 :2018/09/17(月) 04:03:45 ID:/gkUaJus
─── 翌日
大神「・・・・・・」
ガヤガヤ
狼娘「受付はこちらになりま〜す!」
神様「本日特価! “武神の水”は1本100円! 24本以上は配送料無料だよ〜」
大神「なぁ、狛犬の神使よ」
神使「はい」
大神「この人の量は何だ?」
神使「みんさん凄腕の剣士さん達のようです」
大神「・・・・・・」

611: ◆8YCWQhLlF2 :2018/09/17(月) 04:04:57 ID:/gkUaJus
神様「も〜 大神遅いって」トテトテ
大神「昨日は茶番に付き合ってやったが、今日は勝負などしないぞ?」
神様「だれも勝負なんかしろなんて言ってないだろうが」
大神「そうか」ホッ
神様「ちょっと相手してやるだけで良いって」
大神「・・・それを勝負と言うんじゃないのか? 」
神様「時代は違えど、こいつらは武の道を極めんとする剣士だぞ? お前、その元締めじゃないのか?」
大神「うっ・・・」
神様「この時代で武を志す者達を見捨てるの〜? 大神さんて何の神なの?」
大神「・・・・・・」
神様「それしか才がないんだよね〜? 他にできることなんか無いんだよね〜?」
大神「・・・しかし」

612: ◆8YCWQhLlF2 :2018/09/17(月) 04:05:44 ID:/gkUaJus
神様「狼娘ちゃんはどうすんの?」ボソッ
大神「それを言えば私が頷くとでも?」
神様「思ってるよ? 当たり前じゃん」
大神「・・・・・・」
神様「何か問題でも?」
大神「分かった・・・」ガクッ
神様「よーし! 狼娘ちゃん、皆さんを道場へお連れして」
狼娘「は、はい!」タッタッタッ
神様「神使君は水売って」
神使「え〜・・・」

613: ◆8YCWQhLlF2 :2018/09/17(月) 04:07:15 ID:/gkUaJus
─── 道場
神様「さて、皆さん防具は着けましたね?」
剣士達「はい!」
神様「それでは、大神総師範よりご挨拶! ババン!」
大神「・・・・・・」
剣士達「」ゴクリ
大神「あ〜・・・ 私は、このような───」
神様「はい、ありがとうございました」
大神「・・・・・・」

614: ◆8YCWQhLlF2 :2018/09/17(月) 04:08:07 ID:/gkUaJus
神様「んじゃ、最初に対戦したい人は前へ」
剣士「はい! 幸運館・館長です! よろしくお願いいたします!」
大神「待て待て」
剣士「?」
大神「面倒だ。 全員まとめてかかってこい」
ザワザワ
大神「武神・大神の力を見せてやる」ニヤッ

615: ◆8YCWQhLlF2 :2018/09/17(月) 04:09:04 ID:/gkUaJus
神使「だ、大丈夫でしょうか? 30人はいると思いますが」
神様「楽勝だろ。 本物の戦で先陣切って剣を振るってた奴だぞ?」
狼娘「大神さま凄く楽しそうです。 何十年ぶりだろう・・・ こんな大神さま見たの」
神様「アイツの本気の剣は凄いぞ? 今相手したら私でも厳しいかもな」
神使「はいはい」
神様「」ゲシッ
大神「どうした? 来ないのならこちらから行くぞ!」タッ
剣士達「!?」

616: ◆8YCWQhLlF2 :2018/09/17(月) 04:10:00 ID:/gkUaJus
─── 10分後
パン! パンッ!
大神「剣士A! お前の狙った場所は違うはずだ!! 敵は常に動いていることを忘れるな!」
剣士A「はい!」
大神「剣士B! 残心が無いぞ!」
剣士B「はい!」
パン! パンッ!
神使「凄いですね・・・ これだけの人数を相手にしながら一人ずつ助言するなんて・・・」
神様「あれでも全然本気出してないな」
狼娘「そうですね、大神さまの本気の一振りは当たらなくても気絶しますから」
神使「・・・・・・」

617: ◆8YCWQhLlF2 :2018/09/17(月) 04:11:12 ID:/gkUaJus
─── 30分後
剣士達「参りました!」フカブカ
大神「こちらこそ相手頂き感謝する」ペコリ
神様「どうよ、剣士達の腕は」トテトテ
大神「皆良い腕を持っている。 正直少し見くびっていた私が恥ずかしい程だ」
神様「まだまだ上達すると思わない?」
大神「あぁ、さらなる高みへ登る可能性は秘めている」
ザワザワ
神様「お聞きになりましたか皆さん! うちの総師範が皆さんの上達を約束しました!」
剣士達「うおー!!」
大神「!?」

618: ◆8YCWQhLlF2 :2018/09/17(月) 04:12:24 ID:/gkUaJus
神様「と、いうわけで当“神ちゃん道場”で指導を希望する方はこちらの入門届を提出して下さい」
大神「は?」
神様「指導料は月1万円、キッズクラスも併設予定なので知り合いの子供の入門を希望される方は割引がありますよ〜」
剣士「入門届下さい!」
剣士「私にも!」
剣士「キッズクラスの分も一緒に下さい!」
大神「ちょ、ちょっと待て! どういう事だ!?」
神様「は? 入門届を配ってんだけど?」
大神「いや、そうじゃなくて。 まさか私が稽古を付けるのか?」
神様「他に誰がいるんだよ。 あ、キッズクラスは狼娘ちゃんが師範で稽古付けるから心配すんな」
狼娘「え!? 私ですか?」

619: ◆8YCWQhLlF2 :2018/09/17(月) 04:13:48 ID:/gkUaJus
神様「二人とも毎日ちょー暇だろ? 少し位は武道の役に立てよ。 武神とその神使なんだから」
大神・狼娘「・・・・・・」
神様「お前は剣を教え、その対価を貰う。 お前の一つしか無い才を使ってな」
大神「・・・・・・」
神様「こいつらは戦のない今の時代で“武”を守っていく者達だ」
大神「!?」
神様「何かお前のこだわりに反することでも?」
大神「いいや、なさそうだ」フッ
神様「狼娘ちゃんはキッズクラスで頑張って。 駄菓子屋に子供も来て一石二鳥!」
狼娘「はい!!」
神様「皆さ〜ん、当道場へ入門すると大神師範も毎日飲んでいる“武神の水”が80円で買えますよ〜」
剣士「師範も飲んでいる!? すいません、武神の水を下さい!」
剣士「私も!」

620: ◆8YCWQhLlF2 :2018/09/17(月) 04:14:44 ID:/gkUaJus
神様「はいはい押さないで! うひょ〜 バカ売れだよ、笑いが止まんねーよ」ウヒャヒャ
神使「神様・・・」ハァ
大神「なぁ、さっきから思っていたんだがあの水は何だ?」
神使「本殿の裏から汲んだ湧き水をボトルに詰めただけです」
大神「・・・・・・」
神様「狼娘ちゃん、急いで水汲んできて」
狼娘「え? あ、はい!」タッタッタッ

621: ◆8YCWQhLlF2 :2018/09/17(月) 04:17:35 ID:/gkUaJus
大神「神ちゃんは相変わらずだな」
神使「すいません、勝手なことをして・・・」ペコリ
大神「いや・・・ どうやら、私はまた神ちゃんに救われてしまったようだ」フッ
神使「?」
大神「何の取り柄もない私を武神へ指南してくれたのは神ちゃんなんだ」
神使「神様が?」
大神「知っているか? 神ちゃんは私より強いんだぞ?」
神使「え!?」
大神「おっと、これは喋ってはいけないことだったかな?」
神使「・・・・・・」

622: ◆8YCWQhLlF2 :2018/09/17(月) 04:19:07 ID:/gkUaJus
神様「よっしゃ! んじゃ、早速明日から道場オープン!」
大神「まてまて」
神様「なんだよ、この期に及んで嫌だとか言うなよ?」
大神「言わんよ。 一つだけ条件がある」
神様「あ?」
大神「日が昇っている時間だけだ。 日が沈む前には皆この村から出ること」
神様「そんな事か。 おっけ〜 おっけ〜」
剣士「水を! 武神の水を60本下さい!」
神様「はい喜んで! 今汲んでくるからちょい待ちね」ウヒャヒャ

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