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神様「神様だっ!」 神使「神力ゼロですが・・・」

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Part11
272 : ◆8YCWQhLlF2:2016/03/08(火) 04:47:35 ID:qgDacTR6
神使「それよりどうするんですか?」
神様「今日中にカタを付けるぞ。 長居無用だ」
神使「まずは、ご神体を見つけないとですね」
神様「そう言えば、幹部というのはいるのか?」モグモグ
神使「数日おきにこちらへ来るようなのですが」
神様「ふ〜ん。 今はいないんだな?」
神使「えぇ、ただ幹部専用の裏口から入るようで来ても誰も分からないそうです」
神様「よし、今のうちに私が幹部室に潜入して探してこよう」

273 : ◆8YCWQhLlF2:2016/03/08(火) 04:48:09 ID:qgDacTR6
神使「でも鍵閉まってますよ?」
神様「これ」ジャラジャラ
神使「いつの間に・・・」
神様「昨日、祝詞を読んでいるときにな」
神使「ゴソゴソしていたのはそれですか・・・」
神様「ご丁寧に鍵入れと書いた箱が祭壇の近くにあった」
神使「他の鍵も丸ごと持ってきてバレますよ?」
神様「だから早めに忍び込むんだよ」

274 : ◆8YCWQhLlF2:2016/03/08(火) 04:49:46 ID:qgDacTR6
神使「昨日の夜に忍び込めばよかったと思うのですが」
神様「私もそう思ったんだが、監視のヤツが扉の前に居てな」
神使「そうなんですか?」
神様「神であるお前が逃げないように監視でもしてるんじゃないか?」
神使「すいません、全く気がつきませんでした」
神様「まぁ、それは良い。朝も当然祝詞をあげるんだろ?」
神使「はい、その後は本殿の掃除と聞いています」
神様「よし、祝詞をあげているときに忍び込もう」

275 : ◆8YCWQhLlF2:2016/03/08(火) 04:50:21 ID:qgDacTR6
 トントン
神使「はい」
 朝の祝詞のお時間です
神使「分かりました。今参ります」
神様「よし、いくぞ」

276 : ◆8YCWQhLlF2:2016/03/08(火) 04:51:17 ID:qgDacTR6
信者「あの・・・ 祝詞の方ですが・・・」
神様「狗神様に朗誦させるのはダメだ。 今日はお前達が読め」
神使「そういう事ですので・・・」
信者「・・・分かりました」
神様「私が作った祝詞だ。 これを読むと良い」スッ
信者「はぁ、うわっ長!」
神様「いいか、集中して読めよ? 他の者は目を閉じて言葉に集中しろ」
信者「はい」
神使「いつの間にあんなの用意したんですか?」ボソッ
神様「昨日の夜中にな。 20分は時間が稼げるはずだ」ボソッ
神使「なるほど・・・」
神様「じゃぁ頼んだぞ?」コソコソ


277 : ◆8YCWQhLlF2:2016/03/08(火) 04:51:59 ID:qgDacTR6
ーーー 幹部室
 ガチャ
神様「よし! 開いた!」
 ギィー バタン
神様「向かいの扉が幹部専用の入り口か・・・ 帰ってきませんように」パンパン
神様「さてと、ご神体を探しますかね」ガサゴソ

278 : ◆8YCWQhLlF2:2016/03/08(火) 04:52:41 ID:qgDacTR6
 フンフンフーン♪
神様「嘘だろー 幹部か? ヤバいヤバい! 隠れなきゃ」イソイソ
 ガチャッ
幹部「ん? 誰か居るのか?」
 シーン
幹部「気のせいか・・・」

279 : ◆8YCWQhLlF2:2016/03/08(火) 04:53:29 ID:qgDacTR6
 prrr prrr
 ピィ
幹部「なんだ? あ〜 お前か・・・」
神様(あっぶねー、って言うか私ってついてね〜)
幹部「あぁ、順調だよ問題ない」
神様(ん? これってご神体じゃん! ラッキ〜 私ってついてる〜)

280 : ◆8YCWQhLlF2:2016/03/08(火) 04:54:18 ID:qgDacTR6
幹部「だから問題ねーよ・・・ 取りあえずうちの信者達の生前分与だけ急がせろ」
神様(・・・?)
幹部「構わねーよ、こっちにはご神体があるんだからよ。 怖いもんなしだよ」
神様(・・・・・・)
幹部「はぁ? 信者なんてただの金ズルだよ。 面倒くさくなったら切り捨てれば良いんだよ」
神様(・・・・・・)イラッ
幹部「おう、信者の数は半年以内に10倍にする。 あぁ、だいぶ稼げるぞ」

281 : ◆8YCWQhLlF2:2016/03/08(火) 04:55:03 ID:qgDacTR6
 ガタン
神様「おい!お前!!」
幹部「? なんだ、貴様どっから入りやがった! ってテメーなんでそれ持ってんだ!」
神様「うるさい! ふざけんのもいい加減にしろ!」

282 : ◆8YCWQhLlF2:2016/03/08(火) 04:55:44 ID:qgDacTR6
信者「恐み恐みも白く〜」
 ドタバタ
 ガシャーン
信者「なんだ? 幹部室か?」
神使「神ちゃん」タッ タッ タッ
 ガチャッ
神使「神ちゃん、大丈夫ですか!?」

283 : ◆8YCWQhLlF2:2016/03/08(火) 04:56:28 ID:qgDacTR6
 ドタバタ
 ガシャーン
神様「信者の心をもてあそぶな! 純粋に信仰を捧げる者達の心を踏みにじるな!」ドタバタ
信者「巫女! あんた何でこの部屋にいるんだ」スタスタ
幹部「おい! この部屋に入ってくるんじゃない!」
信者「」ピタッ
神使「神ちゃん!」
幹部「なんだ? お前、うちの信者じゃないな?」
神様「は〜な〜せ〜よ〜」ジタバタ
神使「その方を放しなさい」

284 : ◆8YCWQhLlF2:2016/03/08(火) 04:57:33 ID:qgDacTR6
幹部「なんだと? おい、お前達その男も捕まえろ!」
信者「・・・・・・」
幹部「何やってんだよ! 早くしろよ!」
神使「幹部さん、あなた達のやろうとしていることは全てバレています」
幹部「あ?」
神様「祭壇に飾っているのはレプリカ、あなたがその手に持っているのが本物ですよね?」
信者「え?」
幹部「!? 何言ってんだ・・・ これはレプリカ。 そうこっちがレプリカだ!」
信者「幹部さん、あなた・・・ もしかして騙していたんですか・・・」
幹部「は? お前達はこんな得体の知れないヤツの言うことを信じるのか!」
信者「・・・・・・」

285 : ◆8YCWQhLlF2:2016/03/08(火) 04:58:12 ID:qgDacTR6
神使「それとあなたが捕まえた巫女さんですが早く解放した方が良いですよ?」
幹部「はぁ? こんな女ごときに何が出来るってんだよ」
神使「その方は神宮の神ですよ?」
幹部「神だと? はっ、笑わせんな」
神使「その方に危害を加えると大変な神罰が下ってしまいますが・・・ 忠告はしましたからね?」
幹部「・・・・・・」チラッ
神様「いいの? 全力で行くよ?」ベー

286 : ◆8YCWQhLlF2:2016/03/08(火) 04:59:05 ID:qgDacTR6
神使「神力が本当に存在することくらい、そのご神体の効果で知っていると思うのですが・・・」
幹部「この女が神だって言う証拠でも見せてみろや」
神使「・・・・・・」ボンッ
幹部「うわぁ! なんだ??」
神使「私は狛犬です。 驚きましたか?」
幹部「うそだろ・・・」
神使「神様にわざわざ神力を使わせることなど出来ませんので」ボンッ

287 : ◆8YCWQhLlF2:2016/03/08(火) 04:59:42 ID:qgDacTR6
幹部「お前達何者だ・・・」
神使「私達は神宮から来ました」
幹部「神宮?」
神使「神職不在のしかしか神社への立ち寄りが目的です」
幹部「じゃぁ、うちと関係ないだろ! 出てけよ!」
神使「あなたの持っているご神体は、しかしか神社のものです」
幹部「・・・・・・」
神使「この土地も、しかしか神社の土地だと思うのですが?」
幹部「・・・・・・」
神使「返して頂けますか?」
幹部「ふ、ふざけるな! 渡すわけないだろ!」

288 : ◆8YCWQhLlF2:2016/03/08(火) 05:00:25 ID:qgDacTR6
神使「交換条件でどうです?」
幹部「交換条件だぁ?」
神使「そのご神体を置いて今すぐ立ち去るのでしたら一切を不問にします」
幹部「はぁ? 嫌だと言ったらどうすんだよ」
神使「全ての神の力を使って最大の苦痛を永遠に与えることになるでしょう」
幹部「・・・・・・」
神使「本気ですよ? あなたにとっては選択の余地などないと思うのですが」

289 : ◆8YCWQhLlF2:2016/03/08(火) 05:01:24 ID:qgDacTR6
神様「そうだぞ、あきらめろや!」ジタバタ
幹部「おい! ガキは大人しくしてろ!」ゲシッ
神様「あぅ」
神使「無礼はやめなさい!」
幹部「あん?」
神使「そちらの神様は多くの神の中でも神階を超越した最高神です!」
神様「え? お前なんでそれ知ってんの?」
神使「え?」
神様「え?」
 ・・・・・・

290 : ◆8YCWQhLlF2:2016/03/08(火) 05:02:12 ID:qgDacTR6
神様「あ〜 秘技! 金玉頭突き!!」ガンッ
幹部「ぁっ・・・」フラフラ
信者「うわぁ、痛そう・・・」キュン
幹部「おま・・・え・・・ そこは・・・」
 バタン
神様「どうだ! 神の力思い知ったか!」フンスッ
神使「神の力なんですか・・・ それ・・・」

291 : ◆8YCWQhLlF2:2016/03/08(火) 05:02:42 ID:qgDacTR6
信者「狗神様、お見事でした!」
神使「はい?」
信者「まるであの巫女が神のような錯覚を覚えるほどの演技。 素晴らしかったです」
神使「いえ・・・」
神様「狗神様は演技派で売り出し中なのです。 何かあればマネージャーである私を通して仕事をご依頼下さい」
神使「・・・・・・」


292 : ◆8YCWQhLlF2:2016/03/08(火) 05:03:57 ID:qgDacTR6
信者「やはりこの幹部は私達を騙していたのですか・・・」
神使「残念ながら」
信者「しかし、ご神体を取り戻して頂きありがとうございます」
神使「大変申し上げにくいのですが・・・ このご神体は回収させて頂きます」
信者「回収!?」
 ザワザワ
神使「はい」
信者「そんな・・・ ご神体なしでは私達は・・・」
神使「残念ですが、これは本来ここにあってはならない物なのです」
信者「しかし・・・」

293 : ◆8YCWQhLlF2:2016/03/08(火) 05:05:34 ID:qgDacTR6
神使「あちらのご神体でも皆さんが大切にして下さればきっと神力も入っていくでしょう」
信者「・・・そうだ! 狗神様がこれからは私達の神様になってーーー」
神様「いい加減にしろ!」
信者「!?」
神使「神ちゃん・・・」
神様「ご神体が偽物だと分かった途端、お前達は別の神を見立てるのか」
神様「そのご神体を今まで奉ってきたんだろ! 失礼だとは思わないのか!」
信者「!?」
神様「お前達の信仰はそのご神体にも伝わっている。 悲しませないでやってくれ」
信者「・・・・・・」
神様「狗神様が言ったようにこれからも大切にしろ」
信者「・・・・・・」

294 : ◆8YCWQhLlF2:2016/03/08(火) 05:06:20 ID:qgDacTR6
神様「行きましょう、狗神様」
神使「え? あっ、はい」
信者「狗神様・・・ どちらへ」
神使「長居も出来ませんので・・・ 申し訳ございませんが失礼いたします」
神様「神宮の使いの者が数日中にここへ来る。 それまでここを絶対に離れるんじゃないぞ」
信者「・・・・・・」
神様「分かったか? 絶対離れるなよ?」
信者「・・・分かりました」
神使「・・・・・・」
神様「行くぞ」ボソッ
神使「はい」

295 : ◆8YCWQhLlF2:2016/03/08(火) 05:07:09 ID:qgDacTR6
 スタスタ
神使「神様・・・」
神様「あん?」
神使「お願いがあるのですが・・・」
神様「なんだ急に」
神使「このお社は廃社にするんですよね」
神様「ん? あ〜 そうだな」
神使「その・・・ もし出来ればなのですが」
神様「?」
神使「あの方達のために、この土地を譲渡するということは出来ないでしょうか」
神様「・・・・・・」
神使「すいません、他宗教ですし無理ですよね。 忘れて下さい」
神様「・・・電車の時間がない。 急ぐぞ」
神使「はい」

296 : ◆8YCWQhLlF2:2016/03/08(火) 06:29:44 ID:qgDacTR6
ーーー あいあい神社
神様「ただいま〜」
狐神「ん? もう帰ってきたの?」
神使「御邪魔します」
狐神「おや? そちらは神使君?」
神使「初めまして、神様の神使を務めております狛犬です」
狐神「ちょっと! 格好いいじゃん!」
神様「はぁ?」
狐神「あいあい神社の主神、狐神よ。 よろしく」
神使「お初にお目にかかります。 ご丁寧にありがとうございます」
狐神「よく出来た子ね。 あんたには勿体ないわ」
神使「そんなことありません。 私の方が神様には不釣り合いでして」
神様「ねぇ、そういうのやめて? むなしくなるから・・・」
神使「どうして神様がむなしくなるんですか?」

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