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勇者「淫魔の国で風邪をひくとこうなる」

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Part11
397 : ◆1UOAiS.xYWtC :2017/02/13(月) 03:43:49.90 ID:tAAA/Upxo
*****
“遊び”の後の片付けは、虚しいのが常だった。
勇者「おい、全然落ちないぞ……これ……」
サキュバスB「ご、ごめんなさい……陛下……」
隣女王「髪が……ネトネトします……」
勇者「さっきから何回流しても肌に貼り付いて……! くそ、まだついてる」
サキュバスB「う、うぅぅ……石鹸じゃ全然落ちないですね……」
勇者「……俺は何とかするから、お前は隣女王の身体を洗え。……いったいどうやって作ってんだこれは!」
隣女王「あっ……も、申し訳ありませんっ……」
勇者「君は謝らなくていい!」
サキュバスB「ごめんなさい! ごめんなさい!」

398 : ◆1UOAiS.xYWtC :2017/02/13(月) 03:44:25.27 ID:tAAA/Upxo
湯で洗い流しても、垢落としの布で擦っても、身体に付着した粘性の潤滑液はとれない。
はた目には洗い流せたように見えても、布でこするとべったりと付着し糸を引く。
石鹸も香油も用を為さない。
勇者「お前……こういう物を使うんなら使うで、ちゃんと後処理の方法も訊いてこい!」
サキュバスB「こんなに落ちないなんて思いませんよ……」
腰かけに座ったまま向かう壁面の突起を拳で押し込むと、その上部にある、無数の穴の開いた管から湯が吐き出される。
幾度もこのシャワー装置を使って洗浄しても、粘りが体から剥がれない。
そこで勇者は、今しがた押し込んだスイッチの脇にある紅と蒼水晶の二つのスイッチのうち、紅い方を数度押すと、湯の温度が上がる。
勇者「っ……ちっ!」
紅を押せば熱くなり、蒼を押せば温度が下がる。
原理は不明なものの、身体を洗う際にはとても重宝するものだ。
勇者「……ふむ、熱い湯を使えばわりと落ちるな」
サキュバスB「え、ホントですか? それじゃ、隣女王陛下……いいですか? 熱かったら教えてくださいね?」
隣女王「はい、お願いいたします」

399 : ◆1UOAiS.xYWtC :2017/02/13(月) 03:45:26.81 ID:tAAA/Upxo
同じく隣女王をシャワーへ向けて俯かせて座らせ、サキュバスBは後ろから装置を操作し、そのローションがまとわりついた銀髪に指を通した。
隣女王「……っ」
サキュバスB「大丈夫ですか?」
隣女王「は、はい。……ただ、びっくりしただけ……でっ……」
勇者「……うわっーーーー!?」
隣女王「え? き、きゃあぁぁぁぁぁぁっ!」
サキュバスB「あっ……ポチ……」
髪を流しながら何気なく、勇者が視界の端に蠢くものを捉えて焦点をやるとーーーー排水溝のフタを持ち上げて、赤黒い触手が生えていた。
それは見慣れた、地下牢の主のものだ。
まるで何かの卑猥な罠のように揺れる三本の触手は、勇者の目の前で身振りを示して、意味ありげに動く。
勇者「……何? 『粘液は塩をすり込むと落とせるぞ。軽く叩きながら洗い流すのもいい。騙されたと思って試してみろ』?
    ご丁寧にありがとうよ、こんな所まで」
隣女王「……あの、そちらは……?」

400 : ◆1UOAiS.xYWtC :2017/02/13(月) 03:46:09.68 ID:tAAA/Upxo
勇者「地下牢に勝手に住みついてる巨大ローパーだ。名前はポチ。強いぞ」
サキュバスB「……ありがとうね、ポチ。おりこーさんだね。よしよし」
勇者「『……よせよ。礼には及ばないぜ』。お前はそれだけ教えにわざわざ来たのか」
触手の助言に従って、肌を軽く叩きながら流れる湯を馴染ませていくと確かに、体から粘液が剥がれていく。
ローパーのアドバイスに従い、粘液を洗い流すシュールさに耐えていると、更に別の触手が現れ、袋に詰まった塩を差し出してきた。
サキュバスB「『大丈夫だ、嬢ちゃん。俺に視覚はないぜ。それじゃあな、頑張れよ』」
隣女王「はぁ……。ありがとう、ございます……」
塩の袋を置いて、ご丁寧に排水溝の蓋も戻しながら、ポチの触手は元来た場所へ引っ込んでいった。
隣女王「……不思議なこともあるものですね」
そう呟く隣女王は、まだ……目の前で起きた事を、信じ切れていない様子だった。

401 : ◆1UOAiS.xYWtC :2017/02/13(月) 03:46:41.11 ID:tAAA/Upxo
*****
サキュバスB「ふー……一時はどうなるかと思いましたねぇ」
勇者「お前が絡むといつも何かオチがつく気がする」
サキュバスB「気のせいですって、気のせい! ……隣女王陛下も、すみませんでした」
隣女王「あ、いえ……ご教授いただき、ありがとうございました、陛下も、サキュバスB様も」
勇者「“様”はいらない」
サキュバスB「なんで陛下が言うんですか!?」
ようやく体に付着したローションを落とし終えて、湯船の中で一息つけた。
二人とも肌着を脱いでいるのに、隣女王に照れの表情は見えない。
透明度の低い湯のせいという事もあるしーーーー先ほどした行為に比べれば、湯に浸かっているだけならましなのだろう。
サキュバスB「……そんな事言うんなら、わたしだって言いますよ? わたしのおっぱい飲みながら甘えてきた事とか」
隣女王「えっ……えっっ!?」
勇者「言うな!」


402 : ◆1UOAiS.xYWtC :2017/02/13(月) 03:47:15.96 ID:tAAA/Upxo
幻覚・媚薬成分の食材のせいで、そんな事になってしまった事は確かにあった。
堕女神不在の状況で彼女に厨房を任せたせいで、いつものようにオチがつき、そんな危険な不覚の状態で一晩。
酒では無いから記憶も残り、今思い出すたびに身悶えしそうになるほどだ。
それも、ーーーー勇者、だけが。
隣女王「……出るのですか」
サキュバスB「え? ……まぁ、そういう魔法もありますけど……わたしが編み出した訳じゃないですからね?」
授乳搾精、と彼女は言った。
出るはずもないものを、魔法で乳腺を活発化させて恵みを絞り出す……何とも業の深い魔法。
隣女王「なるほど……私でも使えるでしょうか? その魔法」
サキュバスB「え? う、うーん……どうでしょうかね? 陛下」
勇者「俺に訊かれてもな……」
隣女王の視線は、サキュバスBの湯に浮かぶ双丘と虚空、そして自らの平原の間をちらちらと行き来する。
その口は……何かを言おうとして、そのたびに強靭な何かが中断させているように見えた。

403 : ◆1UOAiS.xYWtC :2017/02/13(月) 03:47:54.13 ID:tAAA/Upxo
サキュバスB「……吸って、みますか?」
隣女王「えっ……!? い、いえ、その、そういう、何も……」
彼女の申し出は、勇者は半ば耳を疑い……半ば、予想通り。
どきりと跳ねた心臓をごまかすように、隣女王はとりあえずの言葉をかき集める。
サキュバスBは、それを笑う事もせず続ける。
サキュバスB「……今日は、いっぱい恥ずかしい事したじゃないですか。何も恥ずかしくないですよ?
         陛下だって、いっぱい飲んじゃったんですから。ね?」
勇者「…………ん、まぁ……」
水音を立ててサキュバスBは立ち上がり、湯船の端ーーーーなだらかな傾斜を描く一角へと湯の中を進んだ。
隣女王の、手を引きながらだ。
行きつくと彼女は誘惑するように傾斜の上に座り、“波打ち際”で隣女王へなお説く。
サキュバスB「……誰にも言ったりしませんよ。三人だけの秘密です。だから……ね、隣女王陛下。わたしに……甘やかさせてくれませんか?」
彼女が指先へ光を灯し、乳房の上で躍らせる。
隣女王が、おずおずと怯えるように彼女の胸の中へ、抱かれるように身を寄せるまでは短かった。

404 : ◆1UOAiS.xYWtC :2017/02/13(月) 03:48:39.68 ID:tAAA/Upxo
隣女王「んっ……く……」
隣女王は、母の乳の味を知らない。
王族の立場だからではなく、彼女を産んですぐに臥せり、言葉を交わし、手を握ることしかできなかったから……甘えられなかった。
サキュバスB「っ……ふふ。隣女王陛下……ゆっくりしていいんですからね?」
そんな彼女を、初めて甘やかしてやれたのは……そう見た目の変わらない、稚気の抜けないサキュバスの一人だったのは、皮肉だろうか。
隣女王は戸惑いながらもサキュバスBの乳房に口を寄せ、歯を立ててしまわないように、おっかなびっくりと“恵み”を受ける。
口の中に流れ込む暖かな甘さと、頭を抱きしめてくれる腕と、落とされる優しい眼差し。
隣女王が、生まれて初めて触れたーーーー“母性”。
サキュバスB「よしよし、隣女王陛下……いつも、頑張ってますもんね。でも、今は……甘えちゃっていいんです。慌てないで、いいんですからね」
隣女王「……お、母……様……っ、ぅ……ふうぅ……」
サキュバスB「……泣かなくて……いえ、いっぱい泣いていいんです。ずっと、ずっと……頑張ってきたの、
        私も陛下も、知ってるんですから。えらーい、えらーい……」

405 : ◆1UOAiS.xYWtC :2017/02/13(月) 03:49:18.30 ID:tAAA/Upxo
サキュバスBが、胸の中の少女王の頭を優しく撫でる手つきは、“母の手”そのものだ。
どこかで学ぶ事ではない。
心の中に眠る弱さを見つけ、認め、受け止め、癒しを与える。
サキュバスBは、淫魔の嗅覚、天性を……そういう風に使う。
大浴場に、ちゅぱ、ちゅぱ、と“母”の奏でる音が響く。
“人”が誕生してから、絶滅するその時まで止む事の無い生命の韻律だった。
石と棒の時代から、遠き彼方の未来に至っても消えない音。
隣女王「……っ……ん、ふはっ……ぁ……」
サキュバスB「くぅんっ……、いいですよー。わたしのおっぱい……空っぽになるまで吸って、ね」
子供に還ったように。
否、生まれて初めて“子供”になれたように、隣女王は夢中でそれを吸い、飲み込む。
サキュバスBは、そんな彼女を心から慈しみ、愛おしむように優しく撫で続ける。
サキュバスB「ふふっ。いっぱい飲んでくださいね、わたしの……ミルク」
彼女は言ってーーーー腕の中の“子供”に、優しく微笑みかけた。

406 : ◆1UOAiS.xYWtC :2017/02/13(月) 03:50:44.75 ID:tAAA/Upxo
投下終了です
意外とできるもんだ、毎日更新
それではまた明日
じゃあの

407 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします :2017/02/13(月) 03:54:12.62 ID:F0jlzmrM0
乙!
ポチ、有能
サキュBの母性でダメ人間になりたい…

408 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします :2017/02/13(月) 10:01:06.05 ID:c5MT6e1Ho
>>407
まるで、まだダメ人間ではないような書き方じゃないかww

409 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします :2017/02/13(月) 10:02:35.64 ID:XXySzQ9M0

ポチ有能で笑った、そういえば浴場でヤることやヤってんだよな

410 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします :2017/02/13(月) 11:13:33.97 ID:igauxScpO

ズルいくらいにポチ△

411 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします :2017/02/13(月) 14:48:30.21 ID:+a3h4l+A0
乙んつん
勇者もポチ語分かるようになったんやね

413 : ◆1UOAiS.xYWtC :2017/02/14(火) 03:14:12.71 ID:wJHTDUsVo
*****
翌朝、目が覚めてもーーーーもうすっかり不自由にも慣れてしまった。
ようやく、残り回数は四百回を切る寸前だ。
左手の“呪いの紋章”の一本が、いくつかの点を残して消えている。
このままでいると、本当に肉体が消滅してしまうのか……疑念が尽きない。
事実は、ひとつ。
かつて訪れた男が同じ病気に罹り何もしないまま人間界に戻り、その後も禁欲を続けた結果、彼は一週間で粘液になって消失した。
“しない”からなのか、回数を減らせないまま期限を迎えたからなのか、分かるはずもない。
それと言うのもーーーー淫魔の国でこんな病気をやれば、国の誰もが放っておかないだろうし、誰も我慢しないだろうからだ。
答えの手掛かりになりそうな話が、一つしかない。
勇者「……どうせ、ポチに訊いても分からないだろうなぁ」
起き上がり、固まった首をほぐしながら着替えに袖を通す。
傍らには、サキュバスBが丸まって眠っていた。
隣女王は彼女に寝かしつけられてーーーーその後、この寝室へ来た。

414 : ◆1UOAiS.xYWtC :2017/02/14(火) 03:14:45.66 ID:wJHTDUsVo
勇者「……起きろ、ダメ人間製造魔」
サキュバスB「んー……やだ……」
勇者「“やだ”って何だ!」
サキュバスB「もぉ……後、三回……してくれないと起きないです……」
勇者「……時間じゃなくて?」
サキュバスB「あと三回してくれなきゃ……起きない……」
勇者(……寝ぼけてるのか? それとも本気でせがんでるのか? どっち……?)
サキュバスB「じゃぁ、もう……ちゅー……でいいですから……起こして、くださいよぉ……」
布団の中でくるまったまま、彼女は顔だけを出して、目も開けずにそう言った。
サキュバスBにしては珍しく寝起きが悪い事を怪訝に思いながら……勇者は、ベッドの上を這い進んで近づいた。

415 : ◆1UOAiS.xYWtC :2017/02/14(火) 03:15:13.66 ID:wJHTDUsVo
サキュバスB「ん……っ? うむぅぅっ!? っふは……な、陛……下……! くは、ぷちゅっ……んぐ、るぅっ……!」
彼女の望み通り、布団でくるんだまま、上から乗って押さえ込むように唇へ目覚めを告げてやった。
片手で顎を抑えながら何の前触れもなしに唇を奪い、その内に舌を這い回らせると、彼女は苦しそうに酸素を求めて呻いた。
サキュバスB「んぐ、ぅんっ……! ひゃ、らぁ……やぇ……やめて、なん、で……ぷはっ、いきなり……!?」
呂律の回らない声での抗議も聞かず、更に彼女の動きの鈍い舌を捕捉し、ねぶる。
サキュバスBの口と肺に残った空気を吸い出し、代わりに朝の静謐な空気を口移しで送り込んでやると、跳ねのけようとする動きが段々と強くなる。
寝室に忍び込んだ暴漢が少女を襲う、そんな危うげな快感が朝からもたげてくるのを自覚した時……勇者は飛びのき、ベッドから下りた。
サキュバスB「げほっ……! な、なんですかぁ、朝からいきなり……ダメですよ!?」
勇者「お前が寝ぼけてるからついな」

416 : ◆1UOAiS.xYWtC :2017/02/14(火) 03:15:51.74 ID:wJHTDUsVo
サキュバスB「もー……。あ、の……陛下?」
勇者「……?」
サキュバスB「せっかく、ですし……あの……ね? ちょっとだけ……しません?」
勇者「しません」
サキュバスB「ひどい!」
勇者「俺は腹が減ったんだよ!」
サキュバスB「色気より食い気ですか!?」
勇者「色気に走り過ぎた結果だ」
サキュバスB「うっ……」
勇者「それに、お前の“あれ”でも、空腹は治らないだろ?」

417 : ◆1UOAiS.xYWtC :2017/02/14(火) 03:16:39.71 ID:wJHTDUsVo
サキュバスBの“得意技”、全回復の口淫奉仕は万能ではない。
外傷、内傷、病や筋肉疲労の類は治せて体力を補充する事はできても、空腹感は消せない。
それは体の不調ではなくむしろ“健康”だから起こり、それは治すべきものとして認識できないからだ。
食事で補充すべき体力そのものは回復できても、空腹感だけはそのまま残る。
勇者「……後でな、後で。とりあえずはお前も起きて着替えて、隣女王に挨拶でもしに行け」
サキュバスB「はーい……」
勇者「ときに、隣女王の様子はどうだった? あの後だ」
サキュバスB「ん? んー……普通でしたよ、上がってからは。すごくかわいい寝顔でした」
勇者「それは良かったよ」
サキュバスB「少しお話したんですけど……隣女王陛下、お辛かったんですね」
勇者「“王”が早世する理由は……恐らく、弱さを誰にも見せられないせいなのかもな。誰にも辛さを打ち明けられないからか」
サキュバスB「ですから、陛下も。いつでもわたしに甘えていいんですよー?」
勇者「お前はバラすからもう嫌だ」


418 : ◆1UOAiS.xYWtC :2017/02/14(火) 03:17:38.86 ID:wJHTDUsVo
少量ですが今日はここまで
多分あとエロシーン、2+αぐらいか……まぁ、今月一杯をメドに
それではまた明日

419 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします :2017/02/14(火) 03:24:31.09 ID:1UnuPXqN0
乙!

423 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします :2017/02/15(水) 03:26:17.90 ID:Sc2hLGME0
サキュAのMいいな

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