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勇者「淫魔の国は白く染まった」

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Part5
216 : ◆1UOAiS.xYWtC :2015/01/04(日) 00:11:14.40 ID:SbR5PYgYo
彼がやってきた晩、城内に張り詰めた威圧感。
その直前の、堕女神ともども正気を失ったような情欲。
この二つが目下の異変としてはある。
しかし前者はともかく、後者は口には出しづらい。
勇者「……いや、ちょっと分からないな」
サキュバスC「あっそ。まぁ、何も起こらなきゃそれでいいさ。だけどアイツをどうするかは決めときなよ?」
勇者「どうするか……か」
サキュバスC「お客さん扱いしとくワケにもいかねーだろ? 置くんなら、何かさせろって話よ」
勇者「どうするべき、なんだろうな」
サキュバスC「アタシに訊くなっつの。ちなみにだけどさ、あのデカ乳は?」
勇者「……もしかして堕女神の事を言ってるのか?」
サキュバスC「あ、そーそー。意見聞くならそっちにしな。デカ乳なのにバカじゃない貴重な人材だぜ?」
言うと、彼女は壁から離れて右の片翼をはためかせた。
やがて数歩歩くと、翼を伸ばしてから振り返る。

217 : ◆1UOAiS.xYWtC :2015/01/04(日) 00:12:13.23 ID:SbR5PYgYo
サキュバスC「でもまァ、アタシの感じた事も言っといてやるよ。……あのガキ、何か妙だ」
勇者「妙?」
サキュバスC「敵意も悪意も感じねェ。多分ヤツの親父は、人間側についたインキュバスだ。
         ……なのに、何かおかしい。猫かぶってる訳でもなさそうなのにな」
勇者「そう、思うか」
サキュバスC「どっかで覚えがあんだけどな。……ぶっちゃけ不法侵入だし、もう行くわ。念のためにアタシも注意しといてやる」
勇者「ああ、すまないな。こっちも考えをまとめておくよ」
サキュバスC「んじゃ、これで。そろそろあのガキを迎えに行っとけよ? じゃーな」
やがて彼女は反発するように浮くと、真鍮色の風を残して、一瞬でその場から消えた。
別れの挨拶さえ待たずに、去った方角を目で追う事さえできなかった。
一人残された勇者は、しばし留まりーーーーそして、ひとまずはイン娘を呼び戻すべく、庭園へ向かった。

218 : ◆1UOAiS.xYWtC :2015/01/04(日) 00:13:59.26 ID:SbR5PYgYo
その後は、隣女王と昼食を摂った後に、書斎に向かった。
滞在中はサキュバスBが常に一緒にいるらしく、この後はサロンにてチェスに興じるという。
昨晩を経て更に打ち解けたらしく、この時ばかりは、隣女王も年相応、外見相応の少女に見えた。
ともかく滞在中の心配は、しなくていいようだ。
書斎でまず探したのは、千年前の文献。
多数の淫魔と少数のインキュバスが人間につき、
ほとんどの魔族種が魔王の側についた、絶望するような、千年前の勇者と魔王の物語。
挿し絵で見るインキュバスは、一級の礼装に身を包んだ白手袋の優男の風貌をしていた。
どれもが青年もしくは少年寄りの風貌をしており、壮年以上の者はいない。
夏に見た、妙な現実感のある夢を思い出す。
悪夢のような戦場で自分を『勇者』と呼んだ、満身創痍のインキュバスの姿を。
上空からはドラゴンの死骸が降り注ぎ、あちらこちらで負傷した兵士を治癒するサキュバスの姿が見られた、残酷なおとぎ話のような夢を。
探してみれば、文献が異常なほど少ない。
宙に浮かぶ書架を呼び出して集めさせても、数冊程度でしかなかった。
それも厳密にまとめた書はなく、挿し絵を挟んだ数章程度の歴史書がせいぜいだ。
まるで、そんな事件など無かったかのようにーーーーしかし完全に無視もされていない。
タブー視はされていないが、積極的にもふれていない。
痒いところに手の届かない、あまりに奇妙な扱いだった。
机に可能な限りの書を開いて目を落としていると、書斎へ堕女神が入ってきた。
その手には、茶器を載せた銀製の盆がある。

219 : ◆1UOAiS.xYWtC :2015/01/04(日) 00:15:30.56 ID:SbR5PYgYo
堕女神「失礼いたします。……お茶をお持ちいたしました」
勇者「ん。ああ……どうも」
本を寄せて、盆を下ろすスペースを作りながらの返事は、どこか素っ気なくなってしまった。
堕女神は茶を注ぎながら、広げていた書物にちらりと目を向けた。
堕女神「何か、疑問が?」
勇者「色々と綯い交ぜに。どの疑問から片付けていいのかも分からなくてさ」
堕女神「私で何かお役に立てましたら、何なりと」
茶器を供する彼女の様子は、普段と変わりない。
少し指先が宙を泳ぐような仕草はあっても、気にするほどはない。
勇者「じゃあ、訊く。……堕女神は、どう思う。あのインキュバス」
堕女神「どう、とは……」
勇者「どうするべきなのかが分からなくてさ。どう扱うべきなんだろう」
問うと、堕女神は少し間を置き……やがて、答えた。
堕女神「この場にいるはずのない、という点では……私と同じですよ。そして陛下とも」
勇者「いるはずのない?」
寂しげな答えではあるが、彼女の表情は柔らかく澄んでいる。
続く言葉を待つ間にカップを傾けると、ほのかなブドウの芳香が口に広がった。
堕女神「私は神の座を降りてこの国へ流れ着き、貴方もまた、『勇者』の役目を終えてこの国の王となられました。
     ……異質な存在はお互い様ですよ。そういう意味では、私は彼を受け入れようと思います」

220 : ◆1UOAiS.xYWtC :2015/01/04(日) 00:16:10.54 ID:SbR5PYgYo
堕女神「ともあれ、今はまだ様子を見るべきですね。……不覚にも、彼が現れた晩は、どうにも……記憶が、その……なので」
勇者「正直……どこまで覚えてる?」
堕女神「えっ!?」
勇者「いつ頃まで意識があった?」
堕女神「…………言わねばならないのでしょうか」
勇者「どうもあの晩は様子がおかしかったんだ。俺も、君も、城の空気もな」
堕女神「そ、う……ですね。ええ。……寝所に忍んだ所、までは……」
彼女の返事は、歯切れが悪い。
何かを恥じているような、同時にどこか寂しくも感じているような、諦念をも偲ばせる声色をして、もじもじと視線を彷徨わせた。
勇者「すまない。もう……あんな事にはならないから」
堕女神「え……いえ、その。……かしこまり、ました」
何かを補おうとしていた堕女神だったが、口ごもりーーどこかずれた返事をして腰を折った。
食い違うような表情、応答に釈然としないものを感じながら、話は終えられる。
ーーーーやがて夜が来て、再び、隣女王との時がやってきた。

221 : ◆1UOAiS.xYWtC :2015/01/04(日) 00:19:35.72 ID:SbR5PYgYo
新年初投下終了です。
あと三回か四回の投下で終えたいと思います。
初代スレを思い出すと、自分の投下量よりも感想や乙レスの方がずっと多くて嬉しかったなぁと。
Twitterもいいですけれど、生の反応が読めるのはやはり格別ですね。
それではまた次回

224 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/01/04(日) 00:37:26.07 ID:r3LAOAGx0
>>1さん乙です。
イン娘がポチに3日間くらい搾りとられ続けるというのも見てみたいです。

225 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/01/04(日) 00:45:21.27 ID:emO8A+oh0

相変わらずいいキャラしてるぜサキュバスC

230 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/01/04(日) 03:44:37.57 ID:P/TPwADe0
サキュバスCの、言動は粗暴だけど以外と乙女なとこがイイ

312 : ◆1UOAiS.xYWtC :2015/01/11(日) 01:21:04.41 ID:dk6JmWero
>>220から
その晩は、雪に加えて風も強かった。
窓ががたがたと揺れて、大粒の雪が窓に吹きつけられる。
夕餉を終え、沐浴を終え、寝室で隣女王とサキュバスBを待つ間に、窓はすっかり雪と霜で覆われてしまった。
加えて室内の暖炉からくる寒暖の差によって曇り、既に窓は壁でしかない。
切れ間から覗くうすぼんやりと紫がかった空は、どこか不吉な前兆にすらも感じたほどだ。
もはや、『勇者』の剣は無い。
落ち着かない心持ちのまま、勇者は淫魔の国で受け取った剣を弄び、何度もその刃を検めた。
イレギュラーが今もこの場に存在している事が、あまりに落ち着かない。
具体的な不安は無いが、酷く落ち着かない。
中に何が詰まっているか分からない籠に、導火線が伸びーーーーちりちりと火種が近づいているような。
何が起こるかは分からなくとも、その結果は恐らく良くないという、漠然とした確信が燻っている。
それが苛立ちに変わり始めた頃に、今宵の『相手』が訪れた。
低い位置からのノックの音がして、入室の意思が示される。
勇者「……いいよ、入って」

313 : ◆1UOAiS.xYWtC :2015/01/11(日) 01:21:55.28 ID:dk6JmWero
刃を鞘に押し込み、ベッド脇に立てかけて彼女を迎え入れる。
訪れたのは、隣女王のみだった。
さながら霧をまとっているような薄衣を羽織り、前夜とは違ってどこか爛々とするような瞳が、勇者に向けられている。
勇者「サキュバスBは?」
隣女王「彼女は……少し遅れるそうです。私に、先に行くようにと」
勇者「まぁ、待つか。楽にするといい」
隣女王「はい、陛下。……それでは、失礼」
隣女王がゆっくりと、それでいて物怖じせずに歩いてベッドに近づく。
暖炉の火に照らされた彼女の揺れる影が、長く伸びて窓辺を横切った。
そして、静かにベッドに上がると、足を小さく折り畳んで座った。
隣女王「陛下。お聞きしてもよろしいでしょうか」
勇者「俺に答えられる事なら」
隣女王に続いて、一人分の距離をとってベッドの縁に腰を下ろす。
隣女王「……『人間』から見て、『淫魔』とはどのようなものなのでしょう?」
勇者「『俺から』……ではなく、『人間から』見て?」
彼女は小さく頷く。
表情はどこかぼんやりとしており、眠気をこらえて熱を帯びているような、まどろむ寸前にも似ている。

314 : ◆1UOAiS.xYWtC :2015/01/11(日) 01:22:21.32 ID:dk6JmWero
勇者「……ありきたりなイメージしか持っていないだろうな。闇に乗じて忍び込み、男をかどわかす魔界の華、とか」
事実、『勇者』でさえそうだった。
古来淫魔に対して人間が持っている印象など、その域を出はしない。
ともかく、種族に対してのイメージは貧困。
どの国、どの伝承を紐解いても不変。
隣女王「……やはり、知っていなければならないのですね」
勇者「いや、そういう訳じゃ……」
隣女王「…………サキュバスBさんがいらっしゃる前に、ひとつだけ、もう一度だけ願わせていただけないでしょうか」
窓を揺らす風が治まる。
それは、彼女のーーーー小さな淫魔の女王の言葉を、待っているかのようだった。
隣女王「陛下。どうか……私の唇を、確かめてくださいまし」

315 : ◆1UOAiS.xYWtC :2015/01/11(日) 01:23:50.06 ID:dk6JmWero
顔を上げ、隣女王の姿を目に映す。
ベッドに腰掛けたまま、彼女は小首を傾げて、瞳を潤ませて答えを待っていた。
吐息が漏れる程度に開いた唇は艶やかな薄桃色をしているのが、薄暗い室内でさえ見て取れた。
拒めば、彼女は受け入れるだろう。
受け入れてーーーー二度と口にはしないだろう。
隣女王「私は、女王です。……ですが、今だけは……陛下に焦がれる、此の国の淫魔の一人として、接してはいただけませんか?」
彼女の願いは、それだった。
生まれながらに王女であり、生まれて十年ほどで女王となり、傅く者達で世界は埋まっていた。
早世した母には、とうとう甘える事さえも満足にできなかった。
彼女にとっては、淫魔の国の王となった勇者だけが対等、あるいは上の存在。
そして、唯一、生まれて初めて目にしたーーーー異性。
勇者「……いいのか?」
隣女王「はい。……陛下でなければ、いや……です」
勇者は、彼女の願いを、聞く事に決めた。

316 : ◆1UOAiS.xYWtC :2015/01/11(日) 01:24:19.73 ID:dk6JmWero
広いベッドの上に脚を折り畳んで座る彼女の姿は、さらに小さく見えた。
海原に一人取り残された漂流者のような頼りなさに、隣国を治める女王の立ち振る舞いはない。
正真正銘、今ここにいるのはーーーーたったひとりの、小さな少女だった。
縁からベッドの上に脚を引き上げ、隣女王と向き合うと、近づいてきたのは彼女の方からだった。
小さな顔が近づくにつれて、幼さの取れはじめたような面立ちがはっきりと見えてくる。
長い銀色の睫毛は朝露のような涙を湛えて光り、その俗世離れしたような色気は、錯覚ではない。
明らかにーーーー彼女は幼さを少しずつ脱ぎ捨て、『淫魔』として咲き始めている。
心に、かすかに警戒心が募る。
彼女に自覚はなくとも、本質は、大口を開けて獲物を待つ剣呑な魔界の花なのだから。
心のどこかで、サキュバスBが早く来てくれることを願ってもいた。
気付いた時には、蜜のような吐息がかかるほど近くで彼女は目を閉じていた。
距離にして、指二本分。
最後の一押しを、彼女は勇者に委ねていた。
逡巡の後、彼女に応えるべくーーーー唇を、溶け合わせた。

317 : ◆1UOAiS.xYWtC :2015/01/11(日) 01:24:51.40 ID:dk6JmWero
隣女王の薄い唇が、ぴくりと波打ったのが伝わる。
張り詰めて暖かな唇は、乾いた冬の空気にも関わらず、柔く湿っていた。
唇の先から、ちょっとずつ、ちょっとずつ……押し付け合い、小さな唇が全て接するように、染み込ませるような口づけ。
それを遂げた時ーーーー彼女の閉じた目から、一筋だけ涙が落ちた。
風の音も、暖炉の薪の爆ぜる音も聞こえない。
時間にして数秒のそれは、長く感じた。
やがて、隣女王から……ゆっくりと、唇を離し、距離は戻っていった。
余韻に酔っていたようでもある彼女は、やがて気恥ずかしそうに顔を綻ばせ、微笑んだ。
隣女王「……私の我が儘を聞いていただき、ありがとうございました」
勇者は、返事をするかわりに微笑みを返す。
隣女王「あの、陛下っ……」
勇者「何?」
隣女王「先に、しません……か?」
勇者「先に?」
隣女王「陛下と……二人で、もう少し……だけ……」

318 : ◆1UOAiS.xYWtC :2015/01/11(日) 01:25:24.32 ID:dk6JmWero
昨晩をなぞるように、小さな手が勇者の腰部を這い回る。
上体を起こしたまま、勇者は彼女の仕草を目で追う。
もう、彼女は男根を直視したとて目を覆わない。
むしろ、つぶさに観察するような……好奇心をたたえた視線を注いでいる。
隣女王「確か……この、ように……」
触れる瞬間だけは、強張る。
冷えた指先が触れた拍子に陰茎を強張らせてしまい、彼女は竜の尾でも撫でたように一度手を引っ込めた。
隣女王「あっ……。陛下、乱暴でしたでしょうか……?」
勇者「いや。……少し冷たくて、びっくりしただけだ」
隣女王「申し訳ありません、それでは……もう一度……」
右の指先が、今度は迷いなく、茎を巻いた。
人差し指と親指の間には少しの猶予があり、接かない。
触れられてしまえば隣女王の手の冷たさがむしろ刺激となり、海綿体に血が回される感覚がある。
何よりも強いのは、背徳感。
薄暗い室内、二人きりで過ごす相手は少女の姿。
そんな彼女に、今ーーーー男を惑わす術を、手解きしている。
押し殺せない背徳感が、むくむくと鎌首をもたげてきてもいる。

319 : ◆1UOAiS.xYWtC :2015/01/11(日) 01:26:06.87 ID:dk6JmWero
自制しようと試みても、無謀だった。
目を逸らそうとすればするほど、呆気なく、滾った血が男根を起たせてしまった。
隣女王「本当、に……大きいのですね」
長さは、すぐ近くにある隣女王の顎から額までは優に超えている。
隣女王は、その雄性に怯えているようにも見えた。
少女に近づけて良いようなものではない。
まるで刃物でも突き付けているような罪悪感すらーーーー勇者は憶えた。
勇者「今さら、なんだけどさ。……止めてもいいんだ」
どうにも、この一件には徹しきれない部分がある。
それは、隣女王の意思を無視していたような感覚があったからだ。
昨晩を経て彼女は経験値を確かに詰んだし、淫魔として必要な知識と実践には違いなくとも、今である必要性はさほどに感じない。
大人になってからゼロから一気に覚える類のものではないが、些か……急すぎる。
隣女王「いえ。させてくださいまし。……そのために、私はここへ遣って来たのですから」
少女は霧のような薄衣を脱ぎ捨て、裸身を晒した。
暖炉の炎を照り返す褐色の肌は、生命に溢れた血色の良さを強調させる。
彼女は迷わず、恥じず、猫のようにそろそろとベッドの上を這い進み、右手で捕まえた陰茎の先端に口を寄せた。

320 : ◆1UOAiS.xYWtC :2015/01/11(日) 01:29:28.43 ID:dk6JmWero
手の甲へ口づけする儀礼のように、その仕草は滑らかだった。
先端に暖かな唇の感触が走ったかと思うと、亀頭に舌先が這わせられ、ゆっくりと下って行った。
勇者「うっ……く……」
隣女王「あの、何か……?」
勇者「あ、あぁ……大丈夫だ、うん」
隣女王「はい、よろしいのですね」
下って行った舌が、再び上がりながら……蛇がうねるように、じりじりとペニスに唾液を塗りこめていく。
舌の這った部分が、熱を奪われて冷たくなる。
それを見越したように、隣女王の暖まった掌が添えられ、温感を取り戻させてくれる。
冷暖の差が神経を漲らせ、感度を高めていくようだった。
隣女王「申し訳ございません。私では、お口に……収める事が、できませんので……」
隣女王のーーーー隣国に住む淫魔の口には、特徴がある。
舌の表面には柔らかく、肉眼では捉えづらいほど細かな肉の「棘」が生えている。
しかし鋭くは無く、肌はもちろん敏感な粘膜でさえ傷つける事はない。
その進化の目的は、言うまでもない。
肉の棘をまとった舌が、再び亀頭を這う。
それだけで陰嚢が脈打ち、ペニスの根元が熱く痺れた。
たったの、一嘗めで。

321 : ◆1UOAiS.xYWtC :2015/01/11(日) 01:29:56.51 ID:dk6JmWero
知ってか知らずか、隣女王は一心不乱に「それ」を続ける。
祭りの飴を舐るように、先端から先走りが溶け出せば、それを啜った。
唇がぴったりと鈴口を覆い隠し、時おり軸をずらしながら、亀頭全体を万遍なく愛撫する。
その最中にも右手は茎をさすり、左手は根本の玉を撫でる。
ここに至っては何一つ教える事も無くーーーーそれは、『淫魔』の摂食風景そのものだ。
勇者「あぐっ……女、王……! 出……っ」
呻きは、予想していたよりもたどたどしくーーーー声としての体すら、為していなかった。
上体を起こしていた手は力が抜けてベッドに沈み、肘を突っ張らせてどうにか、伏せてしまわないようにしているのみ。
耐える事すらも、もう秒読みに入る。
時間の問題でしかなかった。
再び鈴口へと戻り……限界まで開いた唇が、かぷり、と亀頭を覆った。
同時に、魂までも吸い取られてしまいそうな吸引がされ、下腹で何かが白く弾けたような感触に襲われた。
爆発の奔流は、まっすぐにペニスの中を通りーーーー少女王の口腔へと向かう。

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