勇者「淫魔の国は白く染まった」
Part7
386 : ◆1UOAiS.xYWtC :2015/01/18(日) 07:11:38.86 ID:jeXGouFNo
執務室へ入室すると、いの一番にーーーー執務机に不遜に腰掛ける淫魔から、矢のような視線が飛ばされた。
ふてくされたような不機嫌な空気は、場の空気を重くしていたが、決して陰気なそれではない。
サキュバスC「おっせーよ。……なんだってアタシがあんな目に遭わなきゃなんねェ?」
堕女神「……下りなさい。そして、口を慎みなさい」
サキュバスC「へいへい。で、どーしてだ? 『おーさま』のピンチに駆け付けたのはアタシだぜ?」
堕女神「窓を割りました。隣女王陛下を気絶させました。そして別館の扉を壊しました」
サキュバスC「だからよ、不可抗力つってんだろ。乳は柔っこいくせに頭は固ェのか? あぁ、両方デッカチかよ」
堕女神「一体何の話ですか!」
勇者「……それまでだ、二人とも」
不毛な応酬を止めると、一応は治まった。
だが、どこか険悪そうな空気は未だ抜けない。
サキュバスC「だいたいアンタのせいだろ!? 気付いたら城の連中に囲まれてて! 牢屋送りになるトコだったんだ!」
堕女神「侵入者ですからね」
サキュバスC「あァっ!?」
勇者「だから、止せ!」
387 : ◆1UOAiS.xYWtC :2015/01/18(日) 07:13:12.31 ID:jeXGouFNo
イン娘をベッドに放り出して来た道を戻れば、ちょうど
サキュバスCと異変に気付いた城内の者達が一悶着を起こしているところだったのだ。
どうにか割って入って場は収めたが、それきり、サキュバスCはどうにも不機嫌だった。
それと言うのもーーーー
堕女神「……陛下が申しておりましたのでこれでも融通は利かせております。そもそも昨晩だけではなく、
昼にも不法侵入を試みていたとか」
ーーーー横紙破りの彼女とあくまで規律遵守の堕女神は、あまりに反りが合わないのだ。
サキュバスC「わっかんねェ奴だな、テメェも! だいたいそっちだって昨日は寝こけて……」
勇者「いい加減にしろっ! 話が進んでないぞ!」
たまりかねて本気で怒鳴りつけて、ようやく水と油はおとなしくなった。
堕女神は叱られた子犬のように目を伏せ、サキュバスCは不服そうに目を逸らして舌打ちし、
ひとまず、落ち着いて話せる場は整った。
勇者「……昨日起こった事をまとめてくれ、堕女神」
堕女神「はい」
彼女は巻いた羊皮紙を広げ、目を落とす。
そこには、昨晩の顛末が記されていた。
388 : ◆1UOAiS.xYWtC :2015/01/18(日) 07:14:09.40 ID:jeXGouFNo
ーーーーーー昨夜未明、城の敷地内の使用人全員が突如として同時に昏倒した。
就寝時間は過ぎて大半が自室でベッドやソファに落ち着いていたため、それによる負傷や事故はない。
ただし、一部酒場に繰り出していた者は影響を受けなかった。
この際、イン娘の部屋の前にいた二人の番は加えて体力を酷く奪われており、命に別状はないが二、三日は寝込むと思われている。
隣女王は突如として何らかの魔力の影響を受け、昏倒は免れたが豹変。
勇者から強制的に搾精行動を行おうとした折、サキュバスCが乱入、これを鎮圧する。
彼女は遠くから城の様子を観察していたため、魔力の影響を受けずに行動できた。
この後勇者と合流、城内の散策を行い、別館の扉を壊して侵入。
直後に彼女もまた変調をきたして行動不能に陥るが、すぐに回復。
時を同じくして城内の者達も目を覚まし、駆けつけた使用人達にこの異変の犯人と誤認されて投獄されかかる。
ーーーーなお、異変の収束は、物音を聞きつけたイン娘の起床と同時であった。
389 : ◆1UOAiS.xYWtC :2015/01/18(日) 07:15:06.87 ID:jeXGouFNo
勇者「……どう思う? サキュバスC」
サキュバスC「どうもこうもねェよ。 あのガキが元凶だろ? 城の全員を眠らせ、
一番間近にいたヤツらから精気を吸い取った。……規模のデカさは説明がつかねェ」
堕女神「だとすれば、彼の危険度は今後さらに上がるでしょう。明らかに勢いを増しています」
サキュバスC「そういうこった。……あのガキ、今度は誰か殺すぜ? どうやってんだか知らんけどよ」
命はあるとはいえ、「犠牲者」が出た。
その点は、もはや静観できない。
勇者「だが……どうすればいい?」
サキュバスC「方法ならいくつかあんじゃねェの?」
彼女の言うとおり。
対処法は、確かにある。
サキュバスC「ひとつめ。ーーーーあのガキを、殺す」
広域催眠と精気吸収が彼によるものだとすれば、単純な方法だ。
元を断てば、いい。
サキュバスC「ふたつ。ーーーーあのガキを追い出す。人間界なり魔界の果てなりな」
前者に比べると穏便だがーーーーそれでも酷薄だ。
390 : ◆1UOAiS.xYWtC :2015/01/18(日) 07:15:50.03 ID:jeXGouFNo
堕女神「……どちらも、採りたくないものですね」
原因を絶つか、遠ざけるか。
この二つが選択肢としてはまず考えられた。
勇者「……分かった。俺は少し、イン娘と話をしてくる」
サキュバスC「情が移っちまうんじゃねェのか?」
堕女神「いえ、そうでもないかと」
サキュバスC「へぇ」
勇者「イン娘が……体力も精神力も回復したというのなら、少しはマシな話を聞けるかもしれない。
情報が少なすぎるんだ」
サキュバスC「……ンだから、そういうのを情が移るってんだろーが」
堕女神「それでは……お伴いたします、陛下」
サキュバスC「オイオイ」
391 : ◆1UOAiS.xYWtC :2015/01/18(日) 07:16:37.23 ID:jeXGouFNo
勇者「いいのか?」
堕女神「はい。……私も、興味がありますので」
サキュバスC「何が飛び出しても知んねーぞ、アタシゃ」
勇者「望むところさ」
サキュバスC「あっ、そ。アタシは城ん中テキトーに見て回ってんよ。何か分かったら聞かせとくれ」
堕女神「……ごめんなさい、サキュバスC」
サキュバスC「あ? どれに対してよ?」
堕女神「……先ほどは……いやな事を言う役目を、押し付けてしまいました」
堕女神がそう述べ、目を見てから頭を下げ、勇者の後に続く。
サキュバスCは、藍玉色の目を瞬いて、きまりの悪そうな表情を浮かべながらそれを見送った。
392 : ◆1UOAiS.xYWtC :2015/01/18(日) 07:18:26.37 ID:jeXGouFNo
投下終了です
サキュバスCは本当に動かしやすい
ではまた
393 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/01/18(日) 07:27:08.40 ID:odP59SPBO
乙
394 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/01/18(日) 07:31:04.23 ID:48PvgyJEO
乙です
423 : ◆1UOAiS.xYWtC :2015/01/26(月) 05:20:48.09 ID:/dz9FJgZo
>>391
別館の扉はひとまず、木製の間に合わせに付け替えられていた。
装飾も無く、全体として城館や庭園の雰囲気に合っているとは言い難い。
無惨に蹴り砕かれた扉の残骸はすでに片付けられている。
堕女神「せめて、壊すのなら施錠部分だけにしてくれれば」
勇者「緊急だったからな。あまり厳しく当たらないでくれよ」
堕女神「それにしてもです。いったいどんな力で蹴ったのですか、彼女は」
勇者「……まぁ、いいじゃないか」
別館での、イン娘への警備は見直された。
扉の前に立つ事はなく、やや遠巻きに監視するような距離へと。
昨晩の二の舞になってしまうことを防ぎ、異変があればすぐに遠ざかるためにもだ。
堕女神「何か話を聞ければよいのですが」
勇者「昨晩見た限り、体力は回復している。……別に拷問や尋問をするわけじゃない。楽にしよう」
堕女神「はい、かしこまりました」
424 : ◆1UOAiS.xYWtC :2015/01/26(月) 05:24:06.70 ID:/dz9FJgZo
やがてイン娘の居室に到着し、堕女神がノックし入室の意思を示す。
イン娘「は、はいっ! どうぞっ!」
裏返った声は、明らかにーーーー張りを増していた。
扉の向こうにいた彼は、ベッドに臥せる事も無く、あてがわれた服に着替えて、まっすぐに立って出迎えてくれた。
勇者「楽にしていい。とりあえず、どこかに座るんだ」
イン娘「はい。……あ、あの。怒って……ます?」
勇者「?」
イン娘は、促されても座ることなくそう問う。
顔色を窺うような卑屈さは、前日までにあった臆病さとは、また別だ。
勇者「……何を?」
イン娘「え、えーと……その……す、すみません! すみません!」
勇者「だから、何が?」
ぺこぺこと、今にも床に頭をこすりつけてしまいそうな様子に埒が明かずーーこちらから口火を切る。
そうでもしないと、またしても話が進まないからだ。
勇者「とにかく座れ。……で、何かあったのか?」
425 : ◆1UOAiS.xYWtC :2015/01/26(月) 05:24:44.12 ID:/dz9FJgZo
本題を告げると、彼は身を強張らせると同時に、真後ろに下がってベッドに腰を下ろした。
それを見て勇者も近くのチェアに腰を下ろすが、堕女神はあくまで間に立ったままだ。
その視線は両者の間を彷徨い、イン娘に向くときには、どこか憂いを帯びて唇にも力が籠もった。
イン娘「…………」
促しても、唇を噛み締め、ときに解し、何を言い、何を答えないかーーーー決めあぐねている様子だった。
勇者「言いたくない事があるならそれでもいい。……ただ、お前がどこから来たのかだけは知りたいんだ」
イン娘「どこから……」
勇者「ああ。それだけでいい」
視線が跳ね上がり、戻りーーやがて、口を開く。
イン娘「人間の世界です。……ボクは、そこにいました」
勇者「一人で?」
イン娘「い、え……村で……人間と、いっしょに……暮らして、ました」
426 : ◆1UOAiS.xYWtC :2015/01/26(月) 05:26:08.76 ID:/dz9FJgZo
答えた彼の姿は、吐き気を堪えてもいるように見えた。
しゃくりあげるように細い首に微かに張った喉が震えるように揺れる。
それは、思い出したくない事を必死に胸の中に留めようとしているような、身体の本能だった。
勇者「……いやなことまで思い出してしまったのか?」
イン娘「……は」
勇者「?」
イン娘「ボク、の『お母さん』は……どこかに、いるのかな」
彼の手は、拳を軽く握ったまま、腿の上で震えていた。
昨夜を経て、時間をおいた事によって、今の状況の異様さをあらためて噛み締めているのだろう。
気付けば、淫魔の国にいた。
気付けば、見知らぬ国で王と話していた。
急に呼び起されてしまった記憶と今の状況とのズレが、パニックに繋がりかけているのかもしれない。
ふるふると小刻みに震える手に覆い被せられたのはーーーー誰でも無く、サキュバスでもない。
遠い昔に同じく淫魔の国へと辿り着いた、女神の手だった。
427 : ◆1UOAiS.xYWtC :2015/01/26(月) 05:26:59.43 ID:/dz9FJgZo
イン娘「え……?」
堕女神「……ゆっくりと。ゆっくりと、息を吸ってください」
イン娘が気付く。
いつの間にか、隣に堕女神が座りーーーー背を撫でてくれている事に。
すすめられるように息を深く吸い、深く吐く。
その動作を三たびほど行うと、手の震えは止まり、身の強張りもほぐれていったようだ。
更に置く事、数分。
彼の様子を見ていた堕女神が訊ねた。
堕女神「落ち着きましたか?」
イン娘「は、い。すみません、こんな……」
堕女神「何より。……名乗っておりませんでしたね。私は堕女神と申します。この国にて、陛下にお仕えしております」
彼方を見つめるような目を、堕女神はしていた。
その静かに寄り添う様子に若干のむず痒さを覚えながら、勇者は少し黙ってから、慮るようにして話を続けた。
勇者「人間界と言っていたな。それは……いつ頃の?」
イン娘「あ、はい。……分からないです。ただ、村にいたみんなは……たまに、『魔王』の話をしていました」
勇者「『魔王』だって?」
イン娘「でも、『魔王』そのものは……もういませんでした」
428 : ◆1UOAiS.xYWtC :2015/01/26(月) 05:27:25.74 ID:/dz9FJgZo
勇者「話を変えよう。何か、……母、の事で覚えてないのか?」
イン娘「何も知らないんです。……この国に、いませんか? 淫魔の……国、ですよね……?」
ここは、確かに淫魔の国だ。
だが、「女性型」に限られる。
彼の血縁がいるとしたら、それは女性ではない。
サキュバスからはサキュバスしか生まれず、男性種、父祖となる者は暮らしてなどいない。
勇者「……分かった。探してみようか。数日だけ時間をくれ」
そう言うと、堕女神の目が向けられるのが分かった。
勇者自身でも、分かる。
この言葉は、欺瞞だ。
分かりすぎる程に分かっているからーーーー逆に、自然を演じてそう言えた。
勇者「そろそろ腹が減っただろう。話の続きは、後にしようか」
彼の顔は、見られない。
目を瞑ったまま、落ち着いた風を装って立ち上がる事しかできなかった。
すぐに振り返ると、扉へ足を向ける。
それに続き、堕女神もイン娘の背を一度撫でてから立った。
しかし。
イン娘「……待って、ください」
引き留めたのは、彼の方からだった。
429 : ◆1UOAiS.xYWtC :2015/01/26(月) 05:27:51.49 ID:/dz9FJgZo
イン娘「……ボクの事、聞いてください。王さま」
なけなしの勇気を振り絞るような……そんな、震えた声だった。
弱々しく、懇願じみた。
世界を救う旅の最中にも幾度となく聞いた、呼び声と同じ。
勇者「急にどうしたんだ」
イン娘「聞いてほしいんです。全て、お話します。ですからーーーー」
その詞の続きは紡がれなかった。
かわりに、彼は語り始めた。
自らに起こった事。
生まれと、育ちと、今に至ったその理由を。
イン娘「……ボクのいた場所は、人間界の小さな村、でした」
430 : ◆1UOAiS.xYWtC :2015/01/26(月) 05:29:01.96 ID:/dz9FJgZo
ーーーーーー時は、千年前の少し後。
ーーーーーー人間が「魔王」の恐怖を忘れることができ、世界を立て直しはじめた頃の事だ。
吹けば飛ぶような、数十人しか住んでいない小さな村。
彼はこの村の一員だった。
生えている角も、背を飾る漆黒の翼も、蒼月のような肌も、尻尾も、村人は意に介していなかった。
村に数人だけいた子供達にからかわれはしても……その事で虐げられる事は無かった。
恐らくは、淫魔達が世界を救ってくれた記憶を、親達から語り継がれていたからだ。
「親」の記憶はない。
村長に訊けば、物心がつくかつかないかの頃、フラリと訪れた淫魔が預けて去ったという。
ただ、一つ。
小さな淫魔の事を恃む手紙を一通だけ持たされて。
着ていた衣類、持たされた衣類は、すべて女物だった。
村長は受け入れ、村人達は、「彼女」を育てた。
やがて十年少し経つ頃に、小さな家を与えられーーーーそこで、家畜の世話をしながら過ごしていた。
431 : ◆1UOAiS.xYWtC :2015/01/26(月) 05:29:57.47 ID:/dz9FJgZo
やがて、淫魔の子とともに成長した子供たちが、親の世代となり、更にその子が成長した頃、少しずつ変わっていった。
ーーーー変わらない姿のままのイン娘を見る村人の目が、小さな針に変わり始めた。
自分たちが成長し、親になり、子を宿してもーーーーその魔族は姿が変わらない。
野山を駆け、虫を採り、共に遊んだあの頃の姿のまま。
昔と同じスカートを繕いながら使い、出会った時と同じ「少女」の姿のまま、今度は自分たちの子と笑い合っている。
すでに「彼女」を引き取った村長は世を去り、新たな村長も決まっていた。
時にして、数十年。
人間にしては長い時で、魔族にとってはほんの数分の事。
その時間は、記憶を薄れさせ、畏怖を育てさせるには充分だった。
馬に飼葉を与え、鶏を追い、村人達には変わらぬ笑顔を振りまき、明るく接する。
その一方、「彼女」と遊んだ者達は、だんだんと老いていく。
皺は深くなり、背は縮み、産んだ子供たちにも、子供ができはじめた。
村人はずいぶんと増えた。
流れの旅人や行商人が居着き、復興した都との往来も盛んになってきた。
村人も、村そのものも、世代も変わりゆくのにーーーーひとりだけ、変わらない。
「畏怖」は、「恐怖」へと遷ってしまいかけていた。
432 : ◆1UOAiS.xYWtC :2015/01/26(月) 05:30:33.59 ID:/dz9FJgZo
すでに、魔王の恐怖を知る生き証人はいない。
淫魔は伝説の中へ姿を消していった。
ーーーーイン娘は、それでも村人たちへの態度を変えない。
十年かけて少しだけ背が伸び、スカートの丈が少しだけ足りなくなった頃に、妙に色づいた視線をちらちらと感じていながらも。
それは単に、種族の違いを意識してだけの視線と思っていた。
そして、ある晩の事。
体にふらつきを感じて少し早くベッドに入ったイン娘を、強いノックの音が叩き起こした。
寝ぼけ眼を擦ってドアを開くとーーーーそこには、殺気立った村の男達がいて、なだれ込んできた。
何事か、と訊ねると、津波のような怒声で掻き消されてしまった。
いわく、村のすべての女たちが同じ時間に倒れたと、それだけが聞き取れた。
戸惑いながらも、彼らの勢いを押し留めていた時、村人の最後方から新たな声が聴こえた。
「村の女たちが、いっせいに目を覚ました」と。
その報せを皮切りに確信を持って振り返った男達の目は、さらに鈍く暗い光を伴っていた。
ーーーーーーイン娘が気付いた時には、裂かれた服の胸元を押さえながら、森の中を逃げていた。
浅く切られた胸から血を一筋流しながら、裸足のまま、どこまでも駆けていた。
明かり一つない夜の森に、たった一人で。
執務室へ入室すると、いの一番にーーーー執務机に不遜に腰掛ける淫魔から、矢のような視線が飛ばされた。
ふてくされたような不機嫌な空気は、場の空気を重くしていたが、決して陰気なそれではない。
サキュバスC「おっせーよ。……なんだってアタシがあんな目に遭わなきゃなんねェ?」
堕女神「……下りなさい。そして、口を慎みなさい」
サキュバスC「へいへい。で、どーしてだ? 『おーさま』のピンチに駆け付けたのはアタシだぜ?」
堕女神「窓を割りました。隣女王陛下を気絶させました。そして別館の扉を壊しました」
サキュバスC「だからよ、不可抗力つってんだろ。乳は柔っこいくせに頭は固ェのか? あぁ、両方デッカチかよ」
堕女神「一体何の話ですか!」
勇者「……それまでだ、二人とも」
不毛な応酬を止めると、一応は治まった。
だが、どこか険悪そうな空気は未だ抜けない。
サキュバスC「だいたいアンタのせいだろ!? 気付いたら城の連中に囲まれてて! 牢屋送りになるトコだったんだ!」
堕女神「侵入者ですからね」
サキュバスC「あァっ!?」
勇者「だから、止せ!」
387 : ◆1UOAiS.xYWtC :2015/01/18(日) 07:13:12.31 ID:jeXGouFNo
イン娘をベッドに放り出して来た道を戻れば、ちょうど
サキュバスCと異変に気付いた城内の者達が一悶着を起こしているところだったのだ。
どうにか割って入って場は収めたが、それきり、サキュバスCはどうにも不機嫌だった。
それと言うのもーーーー
堕女神「……陛下が申しておりましたのでこれでも融通は利かせております。そもそも昨晩だけではなく、
昼にも不法侵入を試みていたとか」
ーーーー横紙破りの彼女とあくまで規律遵守の堕女神は、あまりに反りが合わないのだ。
サキュバスC「わっかんねェ奴だな、テメェも! だいたいそっちだって昨日は寝こけて……」
勇者「いい加減にしろっ! 話が進んでないぞ!」
たまりかねて本気で怒鳴りつけて、ようやく水と油はおとなしくなった。
堕女神は叱られた子犬のように目を伏せ、サキュバスCは不服そうに目を逸らして舌打ちし、
ひとまず、落ち着いて話せる場は整った。
勇者「……昨日起こった事をまとめてくれ、堕女神」
堕女神「はい」
彼女は巻いた羊皮紙を広げ、目を落とす。
そこには、昨晩の顛末が記されていた。
388 : ◆1UOAiS.xYWtC :2015/01/18(日) 07:14:09.40 ID:jeXGouFNo
ーーーーーー昨夜未明、城の敷地内の使用人全員が突如として同時に昏倒した。
就寝時間は過ぎて大半が自室でベッドやソファに落ち着いていたため、それによる負傷や事故はない。
ただし、一部酒場に繰り出していた者は影響を受けなかった。
この際、イン娘の部屋の前にいた二人の番は加えて体力を酷く奪われており、命に別状はないが二、三日は寝込むと思われている。
隣女王は突如として何らかの魔力の影響を受け、昏倒は免れたが豹変。
勇者から強制的に搾精行動を行おうとした折、サキュバスCが乱入、これを鎮圧する。
彼女は遠くから城の様子を観察していたため、魔力の影響を受けずに行動できた。
この後勇者と合流、城内の散策を行い、別館の扉を壊して侵入。
直後に彼女もまた変調をきたして行動不能に陥るが、すぐに回復。
時を同じくして城内の者達も目を覚まし、駆けつけた使用人達にこの異変の犯人と誤認されて投獄されかかる。
ーーーーなお、異変の収束は、物音を聞きつけたイン娘の起床と同時であった。
389 : ◆1UOAiS.xYWtC :2015/01/18(日) 07:15:06.87 ID:jeXGouFNo
勇者「……どう思う? サキュバスC」
サキュバスC「どうもこうもねェよ。 あのガキが元凶だろ? 城の全員を眠らせ、
一番間近にいたヤツらから精気を吸い取った。……規模のデカさは説明がつかねェ」
堕女神「だとすれば、彼の危険度は今後さらに上がるでしょう。明らかに勢いを増しています」
サキュバスC「そういうこった。……あのガキ、今度は誰か殺すぜ? どうやってんだか知らんけどよ」
命はあるとはいえ、「犠牲者」が出た。
その点は、もはや静観できない。
勇者「だが……どうすればいい?」
サキュバスC「方法ならいくつかあんじゃねェの?」
彼女の言うとおり。
対処法は、確かにある。
サキュバスC「ひとつめ。ーーーーあのガキを、殺す」
広域催眠と精気吸収が彼によるものだとすれば、単純な方法だ。
元を断てば、いい。
サキュバスC「ふたつ。ーーーーあのガキを追い出す。人間界なり魔界の果てなりな」
前者に比べると穏便だがーーーーそれでも酷薄だ。
390 : ◆1UOAiS.xYWtC :2015/01/18(日) 07:15:50.03 ID:jeXGouFNo
堕女神「……どちらも、採りたくないものですね」
原因を絶つか、遠ざけるか。
この二つが選択肢としてはまず考えられた。
勇者「……分かった。俺は少し、イン娘と話をしてくる」
サキュバスC「情が移っちまうんじゃねェのか?」
堕女神「いえ、そうでもないかと」
サキュバスC「へぇ」
勇者「イン娘が……体力も精神力も回復したというのなら、少しはマシな話を聞けるかもしれない。
情報が少なすぎるんだ」
サキュバスC「……ンだから、そういうのを情が移るってんだろーが」
堕女神「それでは……お伴いたします、陛下」
サキュバスC「オイオイ」
勇者「いいのか?」
堕女神「はい。……私も、興味がありますので」
サキュバスC「何が飛び出しても知んねーぞ、アタシゃ」
勇者「望むところさ」
サキュバスC「あっ、そ。アタシは城ん中テキトーに見て回ってんよ。何か分かったら聞かせとくれ」
堕女神「……ごめんなさい、サキュバスC」
サキュバスC「あ? どれに対してよ?」
堕女神「……先ほどは……いやな事を言う役目を、押し付けてしまいました」
堕女神がそう述べ、目を見てから頭を下げ、勇者の後に続く。
サキュバスCは、藍玉色の目を瞬いて、きまりの悪そうな表情を浮かべながらそれを見送った。
392 : ◆1UOAiS.xYWtC :2015/01/18(日) 07:18:26.37 ID:jeXGouFNo
投下終了です
サキュバスCは本当に動かしやすい
ではまた
393 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/01/18(日) 07:27:08.40 ID:odP59SPBO
乙
394 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/01/18(日) 07:31:04.23 ID:48PvgyJEO
乙です
423 : ◆1UOAiS.xYWtC :2015/01/26(月) 05:20:48.09 ID:/dz9FJgZo
>>391
別館の扉はひとまず、木製の間に合わせに付け替えられていた。
装飾も無く、全体として城館や庭園の雰囲気に合っているとは言い難い。
無惨に蹴り砕かれた扉の残骸はすでに片付けられている。
堕女神「せめて、壊すのなら施錠部分だけにしてくれれば」
勇者「緊急だったからな。あまり厳しく当たらないでくれよ」
堕女神「それにしてもです。いったいどんな力で蹴ったのですか、彼女は」
勇者「……まぁ、いいじゃないか」
別館での、イン娘への警備は見直された。
扉の前に立つ事はなく、やや遠巻きに監視するような距離へと。
昨晩の二の舞になってしまうことを防ぎ、異変があればすぐに遠ざかるためにもだ。
堕女神「何か話を聞ければよいのですが」
勇者「昨晩見た限り、体力は回復している。……別に拷問や尋問をするわけじゃない。楽にしよう」
堕女神「はい、かしこまりました」
424 : ◆1UOAiS.xYWtC :2015/01/26(月) 05:24:06.70 ID:/dz9FJgZo
やがてイン娘の居室に到着し、堕女神がノックし入室の意思を示す。
イン娘「は、はいっ! どうぞっ!」
裏返った声は、明らかにーーーー張りを増していた。
扉の向こうにいた彼は、ベッドに臥せる事も無く、あてがわれた服に着替えて、まっすぐに立って出迎えてくれた。
勇者「楽にしていい。とりあえず、どこかに座るんだ」
イン娘「はい。……あ、あの。怒って……ます?」
勇者「?」
イン娘は、促されても座ることなくそう問う。
顔色を窺うような卑屈さは、前日までにあった臆病さとは、また別だ。
勇者「……何を?」
イン娘「え、えーと……その……す、すみません! すみません!」
勇者「だから、何が?」
ぺこぺこと、今にも床に頭をこすりつけてしまいそうな様子に埒が明かずーーこちらから口火を切る。
そうでもしないと、またしても話が進まないからだ。
勇者「とにかく座れ。……で、何かあったのか?」
425 : ◆1UOAiS.xYWtC :2015/01/26(月) 05:24:44.12 ID:/dz9FJgZo
本題を告げると、彼は身を強張らせると同時に、真後ろに下がってベッドに腰を下ろした。
それを見て勇者も近くのチェアに腰を下ろすが、堕女神はあくまで間に立ったままだ。
その視線は両者の間を彷徨い、イン娘に向くときには、どこか憂いを帯びて唇にも力が籠もった。
イン娘「…………」
促しても、唇を噛み締め、ときに解し、何を言い、何を答えないかーーーー決めあぐねている様子だった。
勇者「言いたくない事があるならそれでもいい。……ただ、お前がどこから来たのかだけは知りたいんだ」
イン娘「どこから……」
勇者「ああ。それだけでいい」
視線が跳ね上がり、戻りーーやがて、口を開く。
イン娘「人間の世界です。……ボクは、そこにいました」
勇者「一人で?」
イン娘「い、え……村で……人間と、いっしょに……暮らして、ました」
426 : ◆1UOAiS.xYWtC :2015/01/26(月) 05:26:08.76 ID:/dz9FJgZo
答えた彼の姿は、吐き気を堪えてもいるように見えた。
しゃくりあげるように細い首に微かに張った喉が震えるように揺れる。
それは、思い出したくない事を必死に胸の中に留めようとしているような、身体の本能だった。
勇者「……いやなことまで思い出してしまったのか?」
イン娘「……は」
勇者「?」
イン娘「ボク、の『お母さん』は……どこかに、いるのかな」
彼の手は、拳を軽く握ったまま、腿の上で震えていた。
昨夜を経て、時間をおいた事によって、今の状況の異様さをあらためて噛み締めているのだろう。
気付けば、淫魔の国にいた。
気付けば、見知らぬ国で王と話していた。
急に呼び起されてしまった記憶と今の状況とのズレが、パニックに繋がりかけているのかもしれない。
ふるふると小刻みに震える手に覆い被せられたのはーーーー誰でも無く、サキュバスでもない。
遠い昔に同じく淫魔の国へと辿り着いた、女神の手だった。
427 : ◆1UOAiS.xYWtC :2015/01/26(月) 05:26:59.43 ID:/dz9FJgZo
イン娘「え……?」
堕女神「……ゆっくりと。ゆっくりと、息を吸ってください」
イン娘が気付く。
いつの間にか、隣に堕女神が座りーーーー背を撫でてくれている事に。
すすめられるように息を深く吸い、深く吐く。
その動作を三たびほど行うと、手の震えは止まり、身の強張りもほぐれていったようだ。
更に置く事、数分。
彼の様子を見ていた堕女神が訊ねた。
堕女神「落ち着きましたか?」
イン娘「は、い。すみません、こんな……」
堕女神「何より。……名乗っておりませんでしたね。私は堕女神と申します。この国にて、陛下にお仕えしております」
彼方を見つめるような目を、堕女神はしていた。
その静かに寄り添う様子に若干のむず痒さを覚えながら、勇者は少し黙ってから、慮るようにして話を続けた。
勇者「人間界と言っていたな。それは……いつ頃の?」
イン娘「あ、はい。……分からないです。ただ、村にいたみんなは……たまに、『魔王』の話をしていました」
勇者「『魔王』だって?」
イン娘「でも、『魔王』そのものは……もういませんでした」
428 : ◆1UOAiS.xYWtC :2015/01/26(月) 05:27:25.74 ID:/dz9FJgZo
勇者「話を変えよう。何か、……母、の事で覚えてないのか?」
イン娘「何も知らないんです。……この国に、いませんか? 淫魔の……国、ですよね……?」
ここは、確かに淫魔の国だ。
だが、「女性型」に限られる。
彼の血縁がいるとしたら、それは女性ではない。
サキュバスからはサキュバスしか生まれず、男性種、父祖となる者は暮らしてなどいない。
勇者「……分かった。探してみようか。数日だけ時間をくれ」
そう言うと、堕女神の目が向けられるのが分かった。
勇者自身でも、分かる。
この言葉は、欺瞞だ。
分かりすぎる程に分かっているからーーーー逆に、自然を演じてそう言えた。
勇者「そろそろ腹が減っただろう。話の続きは、後にしようか」
彼の顔は、見られない。
目を瞑ったまま、落ち着いた風を装って立ち上がる事しかできなかった。
すぐに振り返ると、扉へ足を向ける。
それに続き、堕女神もイン娘の背を一度撫でてから立った。
しかし。
イン娘「……待って、ください」
引き留めたのは、彼の方からだった。
429 : ◆1UOAiS.xYWtC :2015/01/26(月) 05:27:51.49 ID:/dz9FJgZo
イン娘「……ボクの事、聞いてください。王さま」
なけなしの勇気を振り絞るような……そんな、震えた声だった。
弱々しく、懇願じみた。
世界を救う旅の最中にも幾度となく聞いた、呼び声と同じ。
勇者「急にどうしたんだ」
イン娘「聞いてほしいんです。全て、お話します。ですからーーーー」
その詞の続きは紡がれなかった。
かわりに、彼は語り始めた。
自らに起こった事。
生まれと、育ちと、今に至ったその理由を。
イン娘「……ボクのいた場所は、人間界の小さな村、でした」
430 : ◆1UOAiS.xYWtC :2015/01/26(月) 05:29:01.96 ID:/dz9FJgZo
ーーーーーー時は、千年前の少し後。
ーーーーーー人間が「魔王」の恐怖を忘れることができ、世界を立て直しはじめた頃の事だ。
吹けば飛ぶような、数十人しか住んでいない小さな村。
彼はこの村の一員だった。
生えている角も、背を飾る漆黒の翼も、蒼月のような肌も、尻尾も、村人は意に介していなかった。
村に数人だけいた子供達にからかわれはしても……その事で虐げられる事は無かった。
恐らくは、淫魔達が世界を救ってくれた記憶を、親達から語り継がれていたからだ。
「親」の記憶はない。
村長に訊けば、物心がつくかつかないかの頃、フラリと訪れた淫魔が預けて去ったという。
ただ、一つ。
小さな淫魔の事を恃む手紙を一通だけ持たされて。
着ていた衣類、持たされた衣類は、すべて女物だった。
村長は受け入れ、村人達は、「彼女」を育てた。
やがて十年少し経つ頃に、小さな家を与えられーーーーそこで、家畜の世話をしながら過ごしていた。
431 : ◆1UOAiS.xYWtC :2015/01/26(月) 05:29:57.47 ID:/dz9FJgZo
やがて、淫魔の子とともに成長した子供たちが、親の世代となり、更にその子が成長した頃、少しずつ変わっていった。
ーーーー変わらない姿のままのイン娘を見る村人の目が、小さな針に変わり始めた。
自分たちが成長し、親になり、子を宿してもーーーーその魔族は姿が変わらない。
野山を駆け、虫を採り、共に遊んだあの頃の姿のまま。
昔と同じスカートを繕いながら使い、出会った時と同じ「少女」の姿のまま、今度は自分たちの子と笑い合っている。
すでに「彼女」を引き取った村長は世を去り、新たな村長も決まっていた。
時にして、数十年。
人間にしては長い時で、魔族にとってはほんの数分の事。
その時間は、記憶を薄れさせ、畏怖を育てさせるには充分だった。
馬に飼葉を与え、鶏を追い、村人達には変わらぬ笑顔を振りまき、明るく接する。
その一方、「彼女」と遊んだ者達は、だんだんと老いていく。
皺は深くなり、背は縮み、産んだ子供たちにも、子供ができはじめた。
村人はずいぶんと増えた。
流れの旅人や行商人が居着き、復興した都との往来も盛んになってきた。
村人も、村そのものも、世代も変わりゆくのにーーーーひとりだけ、変わらない。
「畏怖」は、「恐怖」へと遷ってしまいかけていた。
432 : ◆1UOAiS.xYWtC :2015/01/26(月) 05:30:33.59 ID:/dz9FJgZo
すでに、魔王の恐怖を知る生き証人はいない。
淫魔は伝説の中へ姿を消していった。
ーーーーイン娘は、それでも村人たちへの態度を変えない。
十年かけて少しだけ背が伸び、スカートの丈が少しだけ足りなくなった頃に、妙に色づいた視線をちらちらと感じていながらも。
それは単に、種族の違いを意識してだけの視線と思っていた。
そして、ある晩の事。
体にふらつきを感じて少し早くベッドに入ったイン娘を、強いノックの音が叩き起こした。
寝ぼけ眼を擦ってドアを開くとーーーーそこには、殺気立った村の男達がいて、なだれ込んできた。
何事か、と訊ねると、津波のような怒声で掻き消されてしまった。
いわく、村のすべての女たちが同じ時間に倒れたと、それだけが聞き取れた。
戸惑いながらも、彼らの勢いを押し留めていた時、村人の最後方から新たな声が聴こえた。
「村の女たちが、いっせいに目を覚ました」と。
その報せを皮切りに確信を持って振り返った男達の目は、さらに鈍く暗い光を伴っていた。
ーーーーーーイン娘が気付いた時には、裂かれた服の胸元を押さえながら、森の中を逃げていた。
浅く切られた胸から血を一筋流しながら、裸足のまま、どこまでも駆けていた。
明かり一つない夜の森に、たった一人で。
勇者「淫魔の国は白く染まった」
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