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魔王「世界の半分はやらぬが、淫魔の国をくれてやろう」

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Part17
435 : ◆1UOAiS.xYWtC :2011/12/15(木) 03:17:40.10 ID:59deYyZzo
答えの代わりに、彼女の体を優しく抱き寄せる。
彼女の顔が、勇者の首下へと上ってくる。
俯き気味の顔を自由な左手で持ち上げさせ、横になったまま、見つめ合う。
この世界に来て、恐らく最も長い時間付き合わせた顔。
緋と闇の眼が、彼を真っ直ぐに、そして何かを求めるように見つめ返す。
――ああ、お前は。
――これが、好きだったな。
左手で彼女の顎を軽く持ち上げ、ゆっくり、吸い寄せられるように唇を近づける。
彼女は眼を閉じ、その瞬間を待ち侘びる。
一秒、二秒。
『彼』の唇が触れるまでの間を、彼女は永遠にも感じた。
焦らされている?
それとも―――
思考がとりとめなく動いた時、口先に温度を感じる。
瞬間、全ての雑念は消え、口元に全神経が集まったような、不思議な熱が篭る。
唇が、ゆっくり合わさる。
まるで、離れた二枚貝が再び組み合わさるかのように、ぴったりと。
それは唇のみを表すのではなく、心も。
こうある事が自然かのように、唇を通して二人の、――否、一人の男と、一柱の堕ちた女神の心が繋がった。

436 : ◆1UOAiS.xYWtC :2011/12/15(木) 03:28:49.47 ID:59deYyZzo
彼は、決意していた。
背負って歩んできた勇者としての旅を、嘘にしてしまわないために。
旅の仲間たちとの時間を、無駄なものとしないために。
それでも、彼は……哀しんでいた。
心を繋いだ堕女神との別れを。
二人のサキュバスとの、姦しい夜を失う事を。
幼くも凛々しい、隣女王の姿を見られない事を。
彼女は、抑え込んでいた。
『勇者』がいなくなってしまう、無限に続く洞のような哀しみを。
自分の作った料理を笑いながら食し、褒めてくれた勇者。
堕ちた後にも燻っていた、『愛』の残滓を認めてくれた事。
それでも、彼女は……望んでいた。
彼が、元の世界を救う事を。
勇者としての務めを全うし、世界の闇を討ち払う事を。
互いの心が、唇という粘膜を通して流入する。
魔法より、言葉より、その行為が互いの全てを語り尽くす、夜噺のように全てを語った。
ランプの灯が揺れる部屋に、粘膜が擦れ合う淫靡な音が響き渡る。
水音が絶え間なく続き、乱れていく息遣いが重なっていく。

437 : ◆1UOAiS.xYWtC :2011/12/15(木) 04:03:13.93 ID:59deYyZzo
唇が離れる。
もはやどちらのものかとも知れない唾液が、繋ぎとめようとするように糸を引いた。
どちらとも、呼吸が荒い。
酸素を取り入れる事すら忘れ、互いの唇を、心を求め合っていたのだから。
勇者「……しよう、か」
その言葉を合図に、体を起こし、身を包む衣類を取り去っていく。
背中合わせに、勇者はシャツを脱ぎ、ブーツを放り捨て、ズボンを荒っぽく脱ぎ捨てる。
堕女神はショールを折り畳んでエンドテーブルに置き、ドレスをゆっくりと脱ぐ。
互いが、背中越しに衣擦れを聞き、ひりひりと増していく熱い空気を感じる。
最後という哀しさを、無理やりに焼き切ろうとするかのように。
勇者が全てを脱ぎ去って向き直ると、彼女は下着を足首から抜き、一拍遅れて振り向いた。
堕女神「…どうか、私を満たして下さい。あなたが去った後も、忘れぬように」
言葉が、勇者の耳に届く。
数秒の後、勇者は彼女を、真っ白いキャンバスの上に優しく押し倒す。
立てられた腕の間で、彼女は見つめてくる。
在りし日の神性を取り戻したかのような、優しく輝く微笑みを湛えて。

438 : ◆1UOAiS.xYWtC :2011/12/15(木) 04:33:28.86 ID:59deYyZzo
首筋へ、口を寄せる。
透き通るような、白磁のようなしみ一つ無い肌。
特に薄い首の皮からは、彼女の脈動、体温、そして肌理の細かさが伝わる。
首筋へ口付けする。
身をくねらせた拍子に、小さく、声帯から声が震え出た。
吸い付くような、じわりとかいた汗を舐め取るかのような、優しく深い、キス。
ちゅ、と吸えばその度に体が揺れ、悩ましく声を上げた。
豊かな乳房に、右手を伸ばす。
左の乳房に手を伸ばせば、偶然に、乳房近くに指先が触れた。
堕女神「あぅっ……」
高まった乳房の頂点近くを指先で擦られ、甘く声が漏れた。
背筋が僅かに逸れ、ぶるん、と二つの果実が揺れる。
勇者は、黙って、彼女の乳房を下から押し上げるように揉む。
乳房の下側、アンダーと触れ合う部分にはたっぷりと汗をかいており、手に張り付くような、べたべたとした感覚が伝わった。
それでも、不快感は無かった。
むしろ、彼女の肌の質感を味わうための呼び水にすら感じる。
指先が沈み込む。
有り体だが、そう表現するしかない。
指が埋まり、見失うほどの質量と柔らかさ。
そして――大きさに見合わぬ、感度の強さ。

439 : ◆1UOAiS.xYWtC :2011/12/15(木) 05:07:48.40 ID:59deYyZzo
指先を動かせば、応じて彼女の体が魚のように跳ねた。
むにむにと沈み込んだ指先が乳房をこね回し、乳腺を揉み解されるような快感を届けるのだ。
声帯はもはや、彼女の意思を離れている。
体の各所から届けられる快楽の信号を受け取り、声を上げるだけの淫猥な機械へと化した。
首筋を吸われ、舌を這わされ、鎖骨下まで降りていく彼の感触。
そのまま、右の乳房を経由し――向かう先は。
堕女神「ひっ…う、あぁぁぁぁん!!」
遠慮会釈無く――頂点を吸われ、声帯が大きく震えた。
背が大きく逸らされ、勇者を跳ね返すように暴れる。
その瞬間、彼の左手が彼女の腰に回され、逃すまいときつく抱き締める。
更に二つの乳房への愛撫を進めると、少しずつ、彼女は大人しくなっていった。
だらしなく開けられた口元からは涎の筋が流れ、シーツに染みを作る。
乳房を弄べば、体をくねらせる。
乳首を弄べば、大きく口を開け、息遣いが激しくなった。
二つの刺激から逃れようにも、腰を強く抱かれている為、身動きを取る事はできない。
最早、されるがままに乳房をなぶられ、よがり狂う事しか許されていない。


440 : ◆1UOAiS.xYWtC :2011/12/15(木) 05:45:55.57 ID:59deYyZzo
右手を離し、彼女の左乳房を快楽の螺旋から解き放つ。
しかし、それは解放ではなかった。
向かう先は、彼女の秘所。
気付いていながらも、快感に溶けた心と、力の入らない四肢は、言う事を聞いてくれない。
尻穴の近くから割れ目をなぞり上げる、精悍な指先。
充血した陰核を擦られ、体を弛緩させたままで、びくびくと痙攣するように反応する事しかできない。
既に濡れそぼって、『彼』を迎える準備はできていた。
だが、彼はそうしない。
指先を躍らせ、彼女を更なる高みへと導こうとする。
入り口を指先で幾度かなぞり――人差し指と中指を、内側へと差し込む。
尿道側に軽く指を曲げて、内側を強く擦る。
裏側から刺激を受けた尿道が膀胱に刺激を送る。
気を抜けば、緩ませてしまいそうなまでの感覚。
耐えている間にも乳首を甘噛みされ、舌先で転がされ、意識を繋ぎ留める索が次々と千切れていく。
下から聞こえる、下品とすら表現できそうな激しい水音。
それを、彼女は自らの腺液の立てる音と認識しているだろうか。
指が内壁をこすり、指先が特に敏感な部分を探り当てて、内側から耐え難い快感をもたらす。
括約筋が二つの門を食い縛り、勇者の指先を締め付ける。
もしも男根を挿入していたのなら、瞬く間に果ててしまいそうだ。
それでも、勇者は手による愛撫と、唇を用いた愛撫を止めない。
それは、彼女へ最後まで、愛を施そうとするかのように。

500 : ◆1UOAiS.xYWtC :2011/12/16(金) 20:25:09.87 ID:44kbZ7YTo
指先を彼女の中で蠢かせていると、ある時気付く。
尿道側に人差し指の第二関節を曲げた辺りに、彼女が、より身を強張らせる部位がある。
偶然にその部位を指先で掻いた時、反応の違いは明白だった。
二度、三度。
おおよその当たりをつけて、その部位を絞り込むように、大雑把な円を描くように摩擦する。
彼女の声、呼吸、内部の締め付け、体の緊張を加味して少しずつ範囲を狭めていく。
堕女神「はぁっ……っく…ふぅ……っ!」
勇者「……ここ、か」
反応が濃く、長くなっていく。
爪先までがピンと伸ばされ、淫らに喘ぎながら体を硬直させて耐える。
『その場所』を指先が触れる度に、ぴりぴりと電流が走り、砂糖のように甘く脳髄に浸透していく。
触れる端から通過点を甘く作り変えるような、煮詰まった砂糖の塊が背筋を駆け抜ける。
送り込まれるペースも段々と速まり、快感の配達がやがて途切れ途切れの点ではなく、一本の線となった。
指先が、その部位を執拗に掻く。
切なく高まった快感の基点は、もはや彼女の正気をかき乱してならない。
緊張して伸ばされていた脚は緩み、媚びを売る犬のように、はしたなく段々と開かれる。
くちくちと音を立てて勇者の指先を飲み込み、稚児のようにしゃぶり上げる秘所を見せ付けるように。
堕女神「ぃ…い…いかせ……て……」
意味の無い嬌声を紡ぐのみだった唇と声帯が、久方ぶりに彼女の意思を伝えた。
弱々しく、それでいてはっきりとした望みを。

501 : ◆1UOAiS.xYWtC :2011/12/16(金) 20:43:11.41 ID:44kbZ7YTo
勇者は、何も答えない。
ほんの一瞬だけ指先を止め――更に激しく、内部を擦りあげる。
溶けてしまいそうなほど熱く高まった内側をめちゃくちゃに弄ばれ、
反り返った背筋が勇者を跳ね除ける如く暴れる。
腰を抱いたままの左手に更に力を込め、深く肌を密着させた。
吸われ、舐られ、歯を立てられて硬くなった乳首は、痛々しいほどに膨れ上がっている。
秘所の内側、快感の峰を掻く。
それと同時に、乳首に歯を立て、軽く引っ張る。
増幅された性感は留まる所を知らず、熱く、冷たく、そして甘く心臓と脳の奥底へと快楽の刃を突き立て、捻る。
堕女神「くあ……ぁ……!ひ、ぃあぁぁぁぁぁ!」
――意識が、白のインクを飛び散らせたように散っていく。
火中に栗を投じたように爆ぜて、あらぬ方向へと意識が飛んでいってしまう。
続け様に繰り返される快感の爆発で、既に正気は飛び、現状を把握する事はできない。
自分が今何を口走っているのか。
あのいやらしく長く喘ぐ声は、誰のものなのか。
霊体が抜け、俯瞰で見下ろしているように現実感が消える。
びくびく、と何度も痙攣し、その度に指先をきつく締め付ける。
閉じる事すら忘れた口の端から、幾筋もの唾液が流れ出て、ぐっしょりとシーツを濡らす。
目から溢れた涙は、眼前の男の姿をも滲ませ、明瞭とさせない。
痺れが全身に広がり、体をろくに動かす事すらできない。
意思に反して不規則に痙攣を繰り返すだけで、自由を取り戻せない。
くたりと脱力した彼女は、身を震わせ、全身に満ちた快楽の余韻を味わう。
心地よい脱力感、解放感。
ぽかぽかと全身を快感のベールで包み込まれ、敏感になった全身の触点から伝わるシーツの感触、
勇者の肌の暖かさ、流れ落ちる涙のくすぐったさ、全ての外的刺激を快感へと変換する。

502 : ◆1UOAiS.xYWtC :2011/12/16(金) 20:51:48.43 ID:44kbZ7YTo
甘ったるく広がる余韻に打ち震えていると、間髪を入れず、勇者が圧し掛かってきた。
膝の裏に腕を入れ、大きく脚を開かせる。
先ほどまで指先を咥え込んで離さなかった秘所は、溢れ出した蜜によって、余分なほどに潤っていた。
勇者「…いいな?」
堕女神「待っ…て……!」
抵抗はできなかった。
今も、勇者がただ触れているだけの部分にさえ、じんじんと熱を感じる有様で。
達したばかりの、それも余韻が抜けきっていない今、迎え入れてしまったら――どうなるのか。
期待と、そして恐怖が心を塗りつぶす。
入れて欲しい。
でも――入れられたら、一体自分はどうなってしまうのだろう。
ぐるぐると脳内を回り続け、その間にも、血管を浮かせて反り返った男根が近づいてくる。
絶え絶えに吐息を繰り返していても、男根の先端から、まるで目を離せない。
巨大な獣と遭遇した時のように、目を反らす事ができない。
先端が押し付けられる。
昂ぶって冷めやらない花弁から、より鋭い快楽の信号が送られる。

506 : ◆1UOAiS.xYWtC :2011/12/16(金) 21:29:27.18 ID:44kbZ7YTo
本当に、未だ挿入されてはいない。
それでも、先端を入り口で感じただけで、茨のように尖った快感を覚えてしまう。
挿入した時のそれを10としたのなら、既に7ほどの快感が。
勇者「一気に行くぞ?」
堕女神「そっ……ま、待って……お願……ん、ぐっ……う、うぅぅぅ!!」
順繰りにではなく、一気に――根元まで飲み込ませる。
ぐぶっ、という鈍く湿った音。
次いで、互いの腰が密着する快音が高らかに響く。
堕女神「…は、ぁ……はぁ……!イ……ヤ……!また……!」
突き込まれた衝撃で身体が揺れ、内部に熱した鉄の塊を突っ込まれ、
感覚神経を削ぎ落としていくような悲痛なまでの快感が生まれた。
その瞬間だけで、脳を焼かれ、心臓を冷えた手で握り潰されるように達してしまいそうになる。
抑え込んでしまうのは、何故だろう。
例え二度までも達してしまったとしても、目の前の相手は優しく受け入れ、微笑みをくれるはず。
抑え込む理由は無い。
なのに、何故か。

508 : ◆1UOAiS.xYWtC :2011/12/16(金) 22:14:52.85 ID:44kbZ7YTo
答えは分かっている。
一つに、今まではそれが許されなかったから。
先に達してしまえば、打擲を受け、詰られた。
首を締め上げられながら犯される事もあった。
彼女は、その痛みを忘れる事ができず、心にいつしか殻を形作った。
ほかにも幾つか理由は思いつきそうだが、
その中には、考えたくないものもあった。
淫魔の国に暮らす事をも否定してしまいそうな、唾棄すべき理由も。
勇者「耐えなくていい。……構わずにな」
そう言われるも、それでもつい、オーガズムへの欲望を抑え込む。
歯を食い縛り、目を硬く閉じ、内側から暴れ回るそれを、封じ込めようと。
あまりにも頑なに、快感を拒絶するかのように不要な忍耐を続ける。
勇者は、それを見て取ったのか。
微笑みとともに、繋がったままでのキスを試みる。
目を瞑っていた彼女は、唇に被さる感触で初めてそれを認識し、目を開けた。
堕女神「んぶっ……う、んっ……ぷぁ……」
驚いたように目を剥き、抗議するようにくぐもった声を上げる。
それでも、本心からの拒絶は無い。
唇から、秘所から、挟み込まれた下腹部に熱を感じた。
黒く燃え盛る淫獄の炎が、灯ったように錯覚する。

509 : ◆1UOAiS.xYWtC :2011/12/16(金) 23:06:44.35 ID:44kbZ7YTo
唇を重ねたまま、腰が動き始める。
ぴったりと張り付いた膣肉が、そのまま引き出されてしまいそうなほどに締め付ける。
捻りを加えながら、入り口近くまで肉棒を引き出し、再びゆっくりと、奥まで入り込ませる。
突き込む度、引き抜く度、何度も彼女の体が震え、膣内も一個の独立した生物のように蠢いた。
上と下、両方からの淫靡な水音が重なる。
硬く閉じていた歯は解かされるように薄開き、その間を逃さずに勇者の舌が滑り込む。
ぬるりと侵入してきたそれは、彼女の歯の裏、口蓋、歯茎を順に舐り上げる。
つるつるとした、歯の感触。
触れる度に舌先を熱くさせる、唾液をまとった口内の粘膜。
蹂躙を愉しむ暴君のように、舌が口内を暴れ回る。
途中で彼女の舌も合わさり、口内で、舌と舌が触れ合って踊る。
互いの口内を何度も逆転させて味わい合い、
どちらともなく舌先に唾液を乗せて贈り合い、
それ自体がもはや、完成した性行為にすら感じられた。
いつしか、彼女は両腕を勇者の首に回し、脚は勇者の腰に絡み付いていた。
爪先をすぼめて脚を組み合わせ、がっちりと。
ピストンを繰り返す度、塞がれた口内から吐息が漏れ、そのまま勇者の口へ届き、肺を満たす。
甘い快楽が溶け込んだような吐息が、ダイレクトに肺へ吸い込まれる。

510 : ◆1UOAiS.xYWtC :2011/12/16(金) 23:30:17.05 ID:44kbZ7YTo
勇者「……っ…姿勢、変える、ぞ…」
堕女神「えっ……?…きゃ……」
息継ぎの間に、告げる。
少し浮いた腰に両手を入れ、そのまま引っこ抜くように抱き起こす。
脚を絡ませたまま、両手を肩に回したまま、体を起こされて距離だけが縮まる。
向かい合ったまま、抱き合うように繋がる形となった。
距離が近くなり、互いの息遣いは勿論、潰れるように勇者の胸元へ押し付けられた乳房から、鼓動まで伝わる。
しばし、運動を止めて見つめ合う。
互いの体温を最大限に感じる、その姿勢で。
彼は、膣内に侵入したままの男根から、彼女の粘膜の熱さを感じる。
彼女は、未だ体内に突き立てられたモノを通して、硬さと、熱を感じる。
沈黙の後――再び、下から突き上げるように動き始める。
指の後が残りそうなほどに、互いを深く抱き締め合って。
乳房が潰れる圧迫感も、感じる体温と快感、充実感、そして幸福感に重ね塗られて消えた。
前後ではなく上下へと変化した運動の最中、涙がぽろぽろと零れる。
幸福感が箍を外し、涙へと化けてしまった。
文字通り溢れんばかりの幸せの一時。
―――本当に、これで最後なのだ。

511 : ◆1UOAiS.xYWtC :2011/12/17(土) 00:02:22.59 ID:0fXm8d2Co
心の深い部分から、じわじわと雪が解けるように哀しみが消えていく。
快楽に身を任せてはいない。
ただ、最後だから――哀しみの涙で終わらせたくは無いから。
勇者「…もう…っだ、出す……ぞ……」
堕女神「は……い……!」
一気に、運動が速くなる。
壊れそうなほどにがくがくと彼女の身体が揺れ、おもちゃ箱を引っくり返したようなデタラメな快楽が体を跳ね回る。
彼女は、その快楽に負けじと、腰を上下させて勇者のモノを扱き上げる。
最後まで、名残を惜しむように。
全てを吸出し、一滴たりとも零さぬように。
膣内に飲み込んでいたモノが、脈動する。
一回、二回。三回目の脈動で、腹腔内に熱いものが注がれるのを感じた。
堕女神「…ん、ふぁ……熱い、です……!」
叩きつけられるごとに、子宮が重力に逆らって持ち上げられるようだ。
強烈な欲望の噴水が、膣内を熱く原初の海のように満たす。
子宮内を満たされ、一拍遅れて彼女が達する。

512 : ◆1UOAiS.xYWtC :2011/12/17(土) 01:03:31.57 ID:0fXm8d2Co
内側から侵蝕される熱に浮かされ、手足に一層力が篭る。
思わず反れていきそうになる背筋を無理に押さえ込み、
強く勇者に抱きつき、紅潮した顔をごまかすように、首筋に顔を埋める。
弛んでしまいそうになる四肢に力を入れ、とにかく、離すまいと勇者にしがみ付く。
精を吐き出した肉棒が、鎮まって秘所から抜け落ちる事さえ拒むように。
押し寄せる快楽を封じ込めながら、荒く息をつき続ける。
不規則に痙攣する細い体は、快感に耐え、それでも縋り付くように勇者に抱きついたまま。
何度目かの快感の波が寄せてきた時――視界が、暗くなった。
勇者「……抑え込むな、と言ったのに」
呆れたような口調ではあるが、その顔は優しい。
彼女の体をベッドに横たえ、その体を抱きかかえたまま横になり、顔を眺める。
ふと、窓の外へ視線を送る。
もう、そろそろか。
鐘が鳴って『魔法』が解け、元の世界へと戻る時間は。

514 : ◆1UOAiS.xYWtC :2011/12/17(土) 01:44:39.47 ID:0fXm8d2Co
数分後、堕女神の目が覚める。
その時、彼女は気を失ってしまっていた事に気付き、慌てたように見えた。
堕女神「あ、あの……陛下。…先に眠ってしまい、申し訳ありません」
勇者「……硬くなるなよ。まだ『俺』だからさ」
返答され、彼女は安心しながら、体を起こす。
節々に倦怠感と余韻が残って、フラフラと安定しない。
それでも上半身を起こし、勇者の方へ顔を向けた。
勇者「でも、そろそろだな。……日付が変わって、『俺』はいなくなる」
彼も体を起こし、彼女の隣へ座る。
勇者「…世界を、救わなきゃいけないんだ」
暗い部屋で、彼がどんな顔をしたのかは彼女に分からない。
声から伝わるのは、相変わらずの堅い決意。
泣いても、縋り付いても、揺らがないだろう。

515 : ◆1UOAiS.xYWtC :2011/12/17(土) 02:04:51.64 ID:0fXm8d2Co
堕女神「…楽しんで、いただけたのでしょうか?」
勇者「ん」
堕女神「淫魔の国への滞在は、いかがでしたか」
勇者「楽しかったよ。……嘘じゃない。こんなに、魅力ある日々を送れたのは初めてだ。……だから」
―――もう、思い残す事は無い
堕女神「?」
勇者「いや、何でも。………こんなに、辛い別れは初めてだ」
堕女神「……私もです」
勇者「……すまない。お前には、かえって辛い思いをさせてしまうのかもしれない」
堕女神「いえ、私なら大丈夫です。……『今夜』が残る限り」

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