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従姉に恋をした。

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Part7
223 名前:1 ◆6uSZBGBxi. [sage] 投稿日:2005/11/21(月) 16:42:40
翌日は夜勤だったから、出勤時間まで時間があり過ぎた。
起きて洗濯に取り掛かった。
チンした折り詰めを無理矢理、腹に入れた。
未開封のDVDを観た。
それでも時間はなくならない。
早く職場に行きたかった。
仕事が始まれば、考えることは仕事のことだけになる。
出勤前に少し寝ておこうとベッドに入った。
…寝れない。
何度も寝返りを打つ。
…ダメだ。
寝酒を飲んだ。
具合悪くなった。

224 名前:1 ◆6uSZBGBxi. [sage] 投稿日:2005/11/21(月) 16:43:27
結局一睡も出来ずに時間は経った。
必死に歯磨きして酒の臭いを消し、会社に行った。
こういう時に限って仕事は暇。
逃げても無駄。眺めていた天井がそう言った気がした。

225 名前:1 ◆6uSZBGBxi. [sage] 投稿日:2005/11/21(月) 16:45:53
考えよう。
みんなが笑顔でいられる方法を。
シミュレーションが始まった。
1.恵子ちゃんと付き合う。
   ↓
2.円満に交際が進み、お互い結婚の意志をもつ。
   ↓
3.彼女を親父に会わせる前に、親父と母のこれまでの経緯を話し、
  母(太田家)と親戚関係にあることを親父に言わないよう口止めする。
   ↓
4.結婚。披露宴はガーデンパーティ。
………アホか。
4の前には「両家顔合わせ」があるじゃないか。
その時に恵子ちゃん側の誰かが口を滑らしたらバレるだろ。
なら、
4.田中、太田の両家の人間全てに口止めする。
   ↓
5.結…
………無理だそんなの。

226 名前:1 ◆6uSZBGBxi. [sage] 投稿日:2005/11/21(月) 16:46:59
大体、
結婚式なんてことになったら親父か母、どちらかは参列できなくなる。
親父は妹の結婚式の時、参列を辞退した。
母に「花嫁の親」としての権利を譲ったのだ。
結果、妹はバージンロードをお父さんと歩いた。
この上、息子の晴れ姿まで見せられないなんて。
いや、俺が誰と結婚しようが、
ふたりが揃って参列することはないんだろうけど。
ええい、もう。
それに口止めが成功したって。
一生、恵子ちゃんにウソをつかせるのか?
田中や太田の人たちに、ワケのわからない約束をずっと守ってもらうのか?
そして親父を、一生だまくらかすのか?
みんなが笑顔でいられる方法?
そんなのありゃしない。
二ヶ月後、俺は恵子ちゃんにメールを送った。

227 名前:1 ◆6uSZBGBxi. [sage] 投稿日:2005/11/21(月) 16:47:52
「こんばんは。
 元気に過ごしてますか?
 まずはお返事が遅くなってしまったことをお詫びします。
 そして、ごめんなさい。
 俺は恵子ちゃんとお付き合い出来ません。
 あれから色々と考え込んでいました。
 正直な話、俺も恵子ちゃんと会っていると楽しいです。
 俺の一方的な感覚かもしれませんが、
 恵子ちゃんとはウマが合うと感じています。
 打てば響く会話、
 同調し合える価値観、
 何より恵子ちゃんの誠実さにはいつも感嘆していました。
 (いつも馬鹿なことばっかり言って、
  その気持ちは表に出ていなかったかもしれませんが)
 ですから、
 これまでの恵子ちゃんとの関係を恋愛に発展させるのは、
 俺にとって非常に良いことだと思えます。
 しかし俺は、恵子ちゃんを恋愛対象として見ていません。
 女性として見ていないわけではないのです。
 ただ今まであまりにも近いところで接していたから、
 親友としての気持ちしか持てないのです。
 残酷な言い方になって、本当にごめんなさい。
 どうかお身体をお大事に」


228 名前:1 ◆6uSZBGBxi. [sage] 投稿日:2005/11/21(月) 16:49:56
送信ボタンを押した時、吐き気がした。
二ヶ月も待たせた挙句、なんて返事だ。
こんなに残酷な言い方をする必要があったのだろうか?
だけど親父のことは出せない。
恵子ちゃんに「じゃあ、そのことがなかったら…」なんて思わせるわけにはいかないのだ。
これでいい。
こんな男を美化させる必要はない。
恵子ちゃんとの付き合いはこれで終わってしまうだろう。
それに耐えられるように、俺は強くならねば。

229 名前:1 ◆6uSZBGBxi. [sage] 投稿日:2005/11/21(月) 16:50:47
一週間後、恵子ちゃんからメールがきた。
「メールありがとう。
 正直、お返事は諦めていました。
 結果は残念ではあったけど、
 でも、健吾君が二ヶ月考えてくれたこと、
 そしてちゃんとお返事をくれたことに、
 今は感謝しています。
 本当にありがとう。
 気持ちを伝えることが出来て良かった。
 言わないときっと私は後悔してた。
 まだちゃんと気持ちの整理がついたとはいえないけど、
 でも、好きになれたことは、うれしかったよ。
 最後にお願いがひとつ。
 これからも健吾君とは今までどおりのお付き合いがしたいです。
 それだけでいいから。
 次に会う時は、従姉として普通に会えるようにするから」

230 名前:1 ◆6uSZBGBxi. [sage] 投稿日:2005/11/21(月) 16:51:57
複雑な気持ちだった。
嫌われなかったことに「ほっとした」、なんてことはない。
むしろ避けられるほどに嫌われたかった。
物理的な距離は遠いのだから、会おうと算段しなければ、会わないで済む。
一年に一回会うか会わぬかの関係なら、忘れられる日もきっと早く来る。
だが、彼女の言う「今までどおりの付き合い」
それはこれからも一緒に書展に行ったり、一緒に食事したり、
そんなことを意味するのだろう。
「こちらこそ。これからもよろしく!」
返信したメールとは裏腹に、
これからはもっと意識的に彼女を避けなければ、と思った。
彼女を傷つけないように。
彼女に悟られないように。
“意識した無意識”で。

231 名前:1 ◆6uSZBGBxi. [sage] 投稿日:2005/11/21(月) 16:52:41
秋の始め、俺はとりそびれていた夏休みを利用し帰省した。
折り良く、
他県に住んでる妹一家や、妹たちと同じ県で住み働いている義弟も
遅めの夏休みで里帰りしていた。
みんなが揃うのは久しぶりだった。
帰省最終日、みんなで食事に出た。
お父さんの行きつけの店だった。
姪っ子たちにいじられながら、合間合間で酒食を楽しむ。
忙しないが落ち着く。東京では得られない安らぎ。
と、義妹が厨房から男性を連れてきた。
「健吾君は初めて会うよね。今、付き合ってる人です」
聞けばその人とは結婚を前提に同棲も始めており、
お父さんも公認の男性だった。
「はじめまして。これからよろしくお願いします、お兄さん」
俺よりも年上なのに深々と頭を下げる彼。
こそばゆかったが、ふたりの幸せそうな顔に俺の顔も綻んだ。

232 名前:1 ◆6uSZBGBxi. [sage] 投稿日:2005/11/21(月) 16:53:34
すると義弟が口を開いた。
「俺も結婚します」
彼も同棲している彼女がいた。
会ったことはまだなかったが話だけは聞いていた。
しかも、
「子供、できちゃって(笑)」
とまで言った。
あらら。お兄ちゃん、ちょっとショックよ。
数年前には結婚一番手だったのに、いつのまにやらドンケツだ。
いや、相手もいないんだからスタートラインにすら立ててないじゃないの。
笑顔で動揺してた俺の心中を見透かしたかのように、母が言った。
「とうとう、アンタひとりだね(笑)」
ズッシーン。それを言っちゃあ、おしめぇだよ母ちゃん。
「アレでしょ?おにぃ、結婚する気ないでしょ?」と妹。
「なぜ?」
「なんか、独身で遊んでるのが楽しいって感じ」
「だね。アンタ今、結構充実してるでしょ?」
…お前ら何年、俺の母親と妹やってんだよ。
身内に遊び人と思われてるとは。
その後、みんなが俺の結婚観を代弁してくれた。
ひとっつも当たってなかったが。

233 名前:1 ◆6uSZBGBxi. [sage] 投稿日:2005/11/21(月) 16:54:17
東京に戻った俺は仕事に打ち込んだ。
というか、打ち込むしかなかった。
張り合いはなかったがヤル気は出した。
ある日、先輩(合コンに誘ってくれた人)に飲みに誘われた。
「お前に会わせたい人がいるんだ」
生ビールで乾杯した後、意味深な目つきで先輩が言った。
「誰です?女のコでも紹介してくれるんですか?(笑)」
「んふふ」
いたずらっ子のような目で先輩は笑った。

234 名前:1 ◆6uSZBGBxi. [sage] 投稿日:2005/11/21(月) 16:55:09
一時間ほど経った時、先輩の「会わせたい人」が来た。
関口さん、だった。
関口さんとは合コンの後、2〜3ヶ月ほど一緒に飲みに行った。
先輩と一緒だったり、ふたりだけで行ったこともあった。
しかしいつしかお互いに連絡もしなくなり、ここずっと疎遠になっていた。
先輩の隣に座った彼女が、眉を落として挨拶した。頬が赤い。
「お久しぶりです」
「ほんと、久しぶりだね〜」
「あのな」
先輩が俺のジョッキに自分のジョッキをぶつけながら言った。
「俺ら、結婚するんだ」
はぁ、そうですか。

235 名前:1 ◆6uSZBGBxi. [sage] 投稿日:2005/11/21(月) 16:56:05
おいおい。会社でも俺ひとりかい。
会社での独身男性もとうとう俺だけとなった。
帰りの電車の中、吊革にもたれながら外の暗闇をじっと見る。
無性にこみ上げてくる孤独感。酔ってるから尚更。
(まぁ、焦っても仕方ないのはわかってるけどさぁ)
(でも焦らないと、お前、次のコト考えないんじゃないの?)
(そうは言っても、こんな不規則な生活じゃ出会いも無いし)
(仕事のせいにすんなよ。気の持ちようだろ)
頭の中で一人で会話しながら、乗り換えのために地下鉄ホームへ。
(出会いなんて、その辺にころがってんじゃないの?)
ちょっとだけ、カッコつけてホームに立ってみた。

300 名前:1 ◆6uSZBGBxi. [sage] 投稿日:2005/11/25(金) 11:28:44
11月。夜勤明け。
携帯の留守電をチェックしたら親父からメッセージが入っていた。
「母さんのことで話がある。連絡をくれ」
大抵は忙しさに託けて電話を返さない俺だったが、
この時のメッセージはなんだか親父が普通じゃない気がした。
しかも親父の口から母のことが出るなんて。
夜、親父に電話した。
「あのな。お前には言ってなかったんだが」
前置きした親父が語った話はひどく俺を動揺させた。

301 名前:1 ◆6uSZBGBxi. [sage] 投稿日:2005/11/25(金) 11:29:54
「母さんな、俺名義のキャッシュカード持ってるんだ」
「母さん、ブラックリストに引っかかっててな。
 離婚後、母さんに頼まれて、信用金庫のやつ作ったんだ」
「目的は?理由は?」
「亜矢(妹の名だ)の私立高校の学費で生活が苦しいって」
「苦しい?待てよ、あの時は俺も母ちゃんも働いてたから、
 亜矢の学費だってなんとかなってたはずだぞ?
 借金は親父が背負ってくれてたし…」
「俺もそう思った。
 だけど私立は部活の寄付金だのなんやかんやで金がかかるって言われたんだ。
 それに、借金を背負う代わりに、亜矢の養育費はいらないって言われてたから、
 せめてカードぐらいはと思って、な。
 返済は母さんが責任持ってやるって言ってたし、
 現に返済が遅れて俺に督促の連絡が来ることもなかった。
 それにその後、亜矢は私立の短大にも入ったろ。
 だから、亜矢が短大を卒業したらカードも解約するって約束で、
 そのまま持たせてたんだ」

302 名前:1 ◆6uSZBGBxi. [sage] 投稿日:2005/11/25(金) 11:30:58
釈然としない。嫌な予感もする。
「…それで?」
「ところがな、カードが解約されてなかったんだ」
「この間、俺のアパートに督促状が来てな。二ヶ月分たまってた。
 俺も『まだ解約しないで使い続けてたのか!』って思ったら頭がカーッとなってな。
 でも母さんに連絡してアチラの家に迷惑かけるわけにもいかんから、
 直接、信用金庫に電話したんだ。別れた女房が使ってるって言っちまってな」
「それで…親父もブラックリストに入ってしまったのか?」
「いや、きちんと払って解約してくれればそこまでの処置はしないって、
 信用金庫の担当者が約束してくれた。
 それで…悪いがお前に頼みがあるんだ。
 母さんや信用金庫と連絡とって、後の処理をしてくれないか?
 俺は母さんに連絡なんてしたくないし、出来ないし、
 それに今、仕事で名古屋に来てるんだよ。
 抜けられん仕事だから、信用金庫に出向くことが出来ないんだ」
仕方ないか、としか思えなかった。夜勤明けで疲れていたせいもあると思う。

303 名前:1 ◆6uSZBGBxi. [sage] 投稿日:2005/11/25(金) 11:31:52
「わかった。やっとく」
「本当にすまん。昔からお前に頼ってばかりで…」
そこで電話が終わればよかった。
「大体、アイツは、」
親父が母に対する愚痴を言い始めた。
離婚から今に至るまで、親父が母のことを悪く言うことはなかった。
初めて聞く、親父の心情。溜め込んでいたのだ。
だが俺にそれを聞いてあげられる余裕なんてなかった。
「やめてくれよ!
 俺は親父と母ちゃんの息子だぞ!?
 そんなこと、聞かせることじゃないだろ!?」
荒々しく携帯の電源を切り、ぶん投げた。

304 名前:1 ◆6uSZBGBxi. [sage] 投稿日:2005/11/25(金) 11:33:12
翌日、信用金庫に連絡をとった。
既に親父が俺を代理人とする旨を連絡していたため話は早かった。
解約には俺の身分証と、
俺と親父が血縁であることの証明書があれば問題ないとのことだった。
夕方、役所に戸籍抄本をとりに行き、そのまま仕事に向かった。
職場に着くと、仕事を始める前に母に電話した。
夕飯の準備をしていたという母に、すぐ本題を切り出した。
「どういうことだよ?」
努めて口調は抑えた。
「ちょっと待って」
母は慌てた声を出した。別室に移ったようだった。
「お父さんから聞いたの?あれはちょっと振込みを忘れただけ。大丈夫」
「…そういう問題じゃない!!」

305 名前:1 ◆6uSZBGBxi. [sage] 投稿日:2005/11/25(金) 11:34:13
「別れた旦那のカードを、
 再婚してからも使ってる神経がわからないって、言ってんだよ!!!!」
「………」
「俺もだいぶ貸したよな?あんまり返してもらえてないけど。
 お父さんが家にあんまり金を入れてくれないから、なんて言ってたけど、本当にそうか?
 そこにお父さん、いるんだろ?俺、お父さんに聞いてもいいか?」
もちろん、そんなことはするつもりは無い。
「それは…やめて。お願い」
母の振り絞った声が、いつも思っていた疑問の答えになった。
「…つまり…そういうことなんだな。
 お父さんが原因じゃなく、自分で勝手に作った借金なんだろ?」
「…うん」
「あんた、病気だよ」
母は黙っていた。
信用金庫に返す金を準備するよう母に言い、電話を切った。
その日の仕事はやたら長く感じた。

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