弟「釣りロマンを求めて」幼友「春の淡水釣り編だよー」
Part8559 : ◆M7hSLIKnTI :2014/07/08(火) 16:48:56 2UuEhgXk
……………
………
…
…午前10時
男「お疲れさまでした」
幼馴染「う…腕が……っ」プルプル
男「今日も帰りがけには温泉でも寄るとしましょう」
弟「そんなに数は釣れなかったけど、幼友ちゃんがいいの出したよ」
幼友(恥辱と引き換えにね…)クッ
男「これは立派です、尺には僅かに及びませんが」
弟「でしょ? おかげで僕のフォルダも潤ったよ」
男「?」
560 : ◆M7hSLIKnTI :2014/07/08(火) 16:49:28 2UuEhgXk
…バタムッ、バタンッ
ズキュキュキュッ…ブオオォォォン
男「では車で移動です。そこそこ長距離になるので、眠たかったら寝ていて下さい」
幼馴染「任せておけ」
幼友「ん…?」
弟「どうしたの?」
幼友「なんだこれ──」
──ヒョイッ
幼友「ゴム、落ちてた」
男&幼馴染「!!?」ブフォッ!
561 : ◆M7hSLIKnTI :2014/07/08(火) 16:50:00 2UuEhgXk
幼馴染「男、どうしてちゃんと始末しませんか! てーい! てーい!」ビシビシ
男「そんなわけない! 俺はちゃんと…!」
幼馴染「幼友! こ、これ…ゴミ袋! 入れて下さい、早く!」
男「だめだめ! 触らせるわけにいきません、車停めるから…!」
幼友「大丈夫、汚くないよ」クスッ
男「いいから! 見るな、触るな!」
幼馴染「男、早く停めて下さい!」
幼友「…私、着けちゃおうかな」ニヤリ
弟「幼友ちゃん…」ププッ
562 : ◆M7hSLIKnTI :2014/07/08(火) 16:50:31 2UuEhgXk
幼馴染「バカな事言わないで下さい! 第一それは女性に…は…」
男「あった、待避所! 停まります!」
幼友「停まらなくて大丈夫ですよ。…どう、似合う? これで今日の幼馴染ちゃんとお揃い」キュッ
弟「うん、それもすっごく可愛い」
幼友「落ちてたけど、幼馴染ちゃんのだよね? ちょっと『髪留めのゴム』借りるよ」クスクス
男&幼馴染「髪…留め…?」
幼友「うん、ゴム。…あれ? なんのゴムだと思ったのかな? あはははっ」
弟「ただのヘアゴムなのにねー?」ニヤニヤ
幼友「ねー?」ニコッ
幼馴染「だめです…恥ずかし過ぎて…死ぬ……」ガクッ、プシュー
男「俺も運転放棄して死んでいいでしょうか…」ゲッソリ
568 : ◆M7hSLIKnTI :2014/07/10(木) 10:00:11 o1mCcXpM
………
…
弟「気持ちいい田舎道だねー」
幼友「あ、滝! 滝!」
弟「窓から撮れるかな…」カシャ
男「幼馴染、クーラーボックスからコーヒー取って下さい」
幼馴染「………」スヤスヤ
幼友「ぐっすりですよ。…よっ…と、あった。はい、どーぞ」パキュッ、ヒョイ
男「ありがとうございます」
弟「幼馴染ちゃん、寝るのと食べるの大好きだよねー」
幼友「その割には育たないけどね」クスクス
幼友「…で、自然公園と古民家街とどっちから?」
男「位置関係的に先に古民家街に先に寄ります」
弟「着いたらじきに昼だね」
幼友「蕎麦処なんでしょ? 飲んだ翌日のお蕎麦って美味しいよね」
男「少し早めでもまずは昼食にして、それから街並をブラブラしましょう」
幼友「ちなみにそこの蕎麦は何割?」
男「二八から一九。ざるではなく小皿に盛られた蕎麦を何枚も注文して、生卵を溶いたお出汁で頂くそうです」
幼馴染「………」ピクッ
570 : ◆M7hSLIKnTI :2014/07/10(木) 10:01:27 o1mCcXpM
幼友「いいですなー。ボソッとした出雲系のお蕎麦も嫌いじゃないけど、やっぱり二八から十割の歯切れざっくりなお蕎麦が好き」
幼馴染「………」ピクピクッ
男「目当てにしている店では、鶏つくねのおろし和えも名物だとか。俺はノンアルでいいので、幼友ちゃんはご遠慮なく」
幼馴染「………」ジュル
幼友「そんなー、申し訳ないですよー」キラキラ
男「弟、早く免許取れよな」
弟「教習代、親に借りられるかなー」
幼友「観光地だから食べ歩きものとかもあるんでしょーね」
男「たぶんあるでしょう。黒豆の産地なので、それを使ったソフトクリームや甘味もあるようです」
幼馴染「…あとどの位で着きますか」ムクッ
幼友「あ、起きた」
571 : ◆M7hSLIKnTI :2014/07/10(木) 10:02:35 o1mCcXpM
幼友「なんて地名なんです?」
男「◯石です。広域にしてるから、もうナビにも表示されてるはず」
弟「◯石…?」
幼友「どしたの?」
弟「……いや、なんでもないよ」
幼馴染「到着予想あと20分、はよ!」
男「さっきまで寝てたくせに…」ガコッ
ブロロロロロッ──
591 : ◆M7hSLIKnTI :2014/07/11(金) 14:06:42 yRPF7HvM
……………
………
…
幼友「おおー、良い風情ー!」
幼馴染「立派な石垣があります。元はお城が…?」
男「いいえ、もともと天守閣は造られなかったそうです」
弟「なんかすごく年季の入った時計台があるよ」
幼友「辰鼓楼…だって」
男「最初は知らせの鼓を打つために造られた櫓だそうです。後から時計台となった、その年代は札幌時計台とまさに同時期。日本一古い時計台にあたるとか」
弟「へえ…それにしちゃあんまり有名でもないね」
幼友「男さん、よく知ってますねー」
幼馴染「多分るるぶ情報です」
男「………」チッ
592 : ◆M7hSLIKnTI :2014/07/11(金) 14:07:19 yRPF7HvM
幼馴染「男、黒豆ソフトが!」
男「先に食事です」
弟「ええと…なんて店?」
幼馴染「炭火で炙ったみたらし団子が!」
男「このページに…ほら、ここが良さそうです」
幼友「11時過ぎ、まだ待ち時間も無いかな」
幼馴染「黒豆パフェだって!」
男「やかましいわ」
幼友「あ、あの店かな?」
男「そのようです」
弟「朝が早かったからお腹減ったー」
593 : ◆M7hSLIKnTI :2014/07/11(金) 14:08:11 yRPF7HvM
…カラカラカラッ
店員「いらっしゃいませ、何名様でしょうか?」ニコッ…ポヨン
幼馴染(ぐっ…幼友に迫る無駄乳!)フルフル…
男&弟「おはよおっ──」
幼友「言わせるか! とーう!」ビシィッ
幼馴染「てーい!」ゲシッ
店員「……あの」タユン
幼友「あはは、気にしないで。四人です」
店員「あ、は…はい、ご案内します。四名様ご来店でーす!」
594 : ◆M7hSLIKnTI :2014/07/11(金) 14:08:58 yRPF7HvM
男「じゃあ、皿蕎麦を…とりあえず20枚」
幼友「に、二十枚!?」
弟「大丈夫なの、それ」
店員「大丈夫だと思いますよ。男性の方なら、だいたい十枚近くは召し上がられますので」クスッ
男「あと、つくね小鉢をふたつ。瓶ビールとノンアルコールビールを一本ずつ下さい」
幼友「本当にいいんですか?」テヘヘ
男「お気になさらず。…また追加すると思いますが、とりあえず」
店員「かしこまりました。お待ち下さい」プルンッ
男「ほう…」
弟「…イエス」
幼馴染&幼友「………」イラッ
595 : ◆M7hSLIKnTI :2014/07/11(金) 14:09:58 yRPF7HvM
店員「はーい、お先にお出汁と薬味をお持ちしました。大根と山葵はお好きな量をおろしてお使い下さいね」ニコッ
男「はーい」ニヘラ
弟「あーい」ニヘラ
幼馴染&幼友「………」イライラ
幼馴染「卵は一人ひとつずつ使えば良いのでしょうか」
幼友「鶏卵まる一個入れるとか、珍しいねー」
店員「はい、この街のお蕎麦の特徴のひとつですので」タユン
男「まる一個かー」ニヤニヤ
弟「まるいの二つとも欲しいねー」グヘヘ…
幼馴染&幼友「おい、そのへんにして大根でも擦れよ」
男&弟「あい」シャコシャコシャコ
596 : ◆M7hSLIKnTI :2014/07/11(金) 14:10:56 yRPF7HvM
………
…
店員「──お待たせしました! 皿蕎麦二十枚とつくね小鉢お二つです」ドチャッ
幼友「うわ、二十枚がグラスタワーみたいに重なってる!」
幼馴染「おおおぉぉ…この『いくらでも食べてね☆キャピ』感が素晴らしい…!」
男「ひと皿が三口分くらいでしょうか、どれどれ──」チュルッ
弟「あ、そのまま一本食べた」
男「んん…蕎麦の香りが素晴らしいです。これはお出汁をつけない方がよく分かる」
幼馴染「大根おろしをちょびっと、ネギをたっぷり…私は山葵は要りません」
幼友「私、山葵入れようっと」
597 : ◆M7hSLIKnTI :2014/07/11(金) 14:11:48 yRPF7HvM
弟「僕は大根おろしたっぷりがいいけど、お出汁薄くなっちゃうかな」
店員「お出汁はこの徳利に入ってますので、ご心配なく。いくらでもお使い下さいね」ニコッ
男「弟、それ真ん中に置いといてくれよ」
弟「うん」
店員「……弟…」ボソッ
幼友「…店員さん?」
店員「えっ? あ、いえ…すぐにお飲み物お持ちしますね!」ペコリ
男「箸にとった蕎麦の下、半分強程度にしかお出汁をつけないのが粋な食べ方です」
弟「え、でも全部つけた方が美味しいよ」ゾゾゾー
幼馴染「私はたっぷりつけます」ズズズー
男「……じゃあ俺もつける」ズゾー
幼友「………」
610 : ◆M7hSLIKnTI :2014/07/12(土) 08:16:38 NA1RFLdw
男「美味い、本当に飲んだ翌日の蕎麦は堪りません」モグモグ
幼馴染「次、頂きます」ヒョイ
弟「うわ…幼馴染ちゃん、もう三枚目」ゾゾゾゾ
男「何ィ!?」ズズーッ
幼友(……店員さん、何か言いたそうだったな)
幼馴染「幼友は食べないようなので、次いきます」ヒョイ、ムグムグ
幼友「あ、こら! 食べるよっ!」
弟「なんだこのつくね団子、おろしポン酢ですっげえ美味い!」
幼馴染「おお…冷やっこいタレとおろし、温かいつくねのハーモニィ…」ウットリ
611 : ◆M7hSLIKnTI :2014/07/12(土) 08:17:28 NA1RFLdw
店員「お待たせしました、瓶ビールとノンアルコールビールです」コトッ、コトッ
男「どうも」
幼馴染「ではノンアルですが、お酌しましょう」トットットッ…
店員「………」
幼友(…やっぱり)
弟「ノンアルなら僕も飲んでみようかなー」
男「お? いいぞ、グラスは人数分あるし」
幼馴染「お蕎麦5枚目頂きます」ゾゾゾ
幼友「…店員さん、もしかしてこの中の誰か…知ってたりします?」
店員「えっ…」
男「ん?」
612 : ◆M7hSLIKnTI :2014/07/12(土) 08:18:15 NA1RFLdw
店員「……ええと…もしかして、なんですけど」モジモジ
幼友(そしてそれは…)
弟「あ…苦いけど、けっこう美味しいかも」
男「じゃあノンアルもう1本頼むか」
店員「…違ったらごめんなさい」
幼友(なんとなくだけど──)
弟「早くハタチになって本物飲んでみたいなー」
店員「…弟…くん…じゃない?」
弟「えっ」
幼友(──そう…だよね)
613 : ◆M7hSLIKnTI :2014/07/12(土) 08:19:15 NA1RFLdw
店員「久しぶり過ぎて解らないかな…」クスッ
弟「え…?」
幼友(…解らないふりなんかしなくていいのに)ジロッ
弟「うーん…僕は確かに『弟』だけど、こんな黒髪ロングの美人さんに知り合いはいないよ…?」
店員「ああ、そっか…」スッ…
男(髪を手で束ねて…まさか彼女は──)
店員「ポニテにしてみせたら…どう?」
弟「………」
弟「………」
弟「…もしか…して……弟幼ちゃん…?」
店員→弟幼「やっぱり、弟くんだ! うわぁ、久しぶり…懐かしいねっ!」ニコッ
幼友「………」
614 : ◆M7hSLIKnTI :2014/07/12(土) 08:20:06 NA1RFLdw
弟幼「じゃあ、隣にいるのはお兄さんなんだよね? お久しぶりです!」
男「本当、久しぶりです。驚きました、こんなところで」
幼友(弟君のオサナナジミ…)
幼馴染「私の事も覚えているでしょうか、何度か会っているはず」
弟幼「もちろん、幼馴染さんですよね? ああ…嬉しいなぁ、また会えるなんて」
幼友(動物園で、話…聞いたっけ)
『五年生の時に引っ越しちゃったんだ』
『それから暫くは年賀状なんかは交換してたけど』
『それも途絶えちゃった』
弟「確か、宛名にこの街の地名を書いた覚えはあったんだ」
弟幼「手紙…途絶えちゃったのに、よく覚えてたね」
『小学校の同級生で、生意気言うけど多分──』
弟「うん、なんとなく…ね。覚えてたよ」
弟幼「私も…手紙こそ絶えても、弟君の事はずっと忘れなかったよ?」
『──お互い好きだったと思う』
弟「また会えて、嬉しいよ」
弟幼「うんっ」ニコッ
幼友「………」ズキン
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