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サシャ「中味が大事なんですよ」

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Part3
46 : ◆H4iwFNXQsw:2013/12/13(金) 19:44:48 ID:2E33IU4o
ライナー「あっぶねえ……」ギシッ...
ライナー(梯子から落ちるところだった……)ドキドキドキドキ
サシャ「ミカサ、どうかしたんですかー?」ヒョコッ
ライナー「……あ」ビクッ
サシャ「……………………」
ライナー「……よ、よお、いい夜だな」ギクシャク
サシャ「え、あ……あの、いつから……?」
ライナー「……お前が歌い始めた、ちょっと前くらいだ」
サシャ「……」
ライナー「すまん、上に登るからちょっと手を貸してくれないか?」
サシャ「……どうぞ」スッ
ライナー「よっと」グイッ

47 : ◆H4iwFNXQsw:2013/12/13(金) 19:45:47 ID:2E33IU4o
ライナー「助かった、ありがとな。ーー梯子から落ちそうになるなんて、俺もまだまだ甘いな」ハハハ
サシャ「…………」スタスタ...
ライナー「……? おーい、どうしたサシャ」スタスタ...
サシャ「こっ、来ないでくださいよぅ……」モジモジ
ライナー「なんだ、さっきの気にしてるのか? お前山岳訓練の時も変な歌歌ってただろ。さっきのなんてあれとそう変わらんぞ」
サシャ「この前のは、なんていうか……よそ行きの歌だからいいんです。でもさっきのは……人に聞かせるために歌ってたわけじゃないので、すっごく恥ずかしくて……」イジイジ
ライナー「歌によそ行きがあるのか?」
サシャ「あるんですよぅ……ううっ、穴があったら入りたいです……さっきのは、忘れてくださいぃ……」モジモジ
ライナー「いや、ありゃちょっと忘れられそうにないな。ーーまた歌ってもいいんだぞ?」
サシャ「~~~~っ!! も、もうっ、からかわないでくださいよっ! さっきのは他の人には言わないでくださいね!?」
ライナー「どうすっかなー」ニヤニヤ
サシャ「ぐあああああああああああ!!」ジタバタジタバタ
ライナー(……もったいなくて話せるか。独り占めするに決まってんだろ)

48 : ◆H4iwFNXQsw:2013/12/13(金) 19:47:55 ID:2E33IU4o
ライナー「それで、こんな寒いところで何してたんだ? もう雪下ろしは終わったんだろ?」
サシャ「……鳥を見てたんです。部屋からじゃ、よく見えませんし」
ライナー「鳥? こんな時間にか?」
サシャ「いますよ。今も飛んでます。ーーほらあそこ」
ライナー「……どこだ?」ジーッ...
サシャ「あれです、あれ」
ライナー「んん……?? ーーもしかして、あの動いてる白い点か?」
サシャ「そうですそうです、その点です」
ライナー「こんな暗いのに、よくあの点が見えるな」ジーッ...

49 : ◆H4iwFNXQsw:2013/12/13(金) 19:48:44 ID:2E33IU4o
サシャ「狩人は目が命ですからね。遠くの獲物を射るのなんかしょっちゅうでしたし、鳥を見つけるのは割と得意なんですよ」
ライナー「ほー……お前、弓もできるのか?」
サシャ「百発百中ってわけじゃないですけどね。銃を使った射撃よりは得意です。ーーところでうさぎって空飛ぶんですかね」
ライナー「いきなり何の話だ。……うさぎは飛ばねえだろ。少なくとも俺は見たことない」
サシャ「だってうさぎって、一羽二羽って数えるじゃないですか。なんで鳥と同じ数え方なんです?」
ライナー「知らん。ーー今度アルミンに聞いてみるか」
サシャ「そうですね、そうしましょう」

50 : ◆H4iwFNXQsw:2013/12/13(金) 19:49:45 ID:2E33IU4o
ライナー「! ーーそうだ、忘れるところだった」ゴソゴソ
サシャ「……金平糖と、みかん?」
ライナー「ミーナとコニーからの預かりもんだ。下にいけばアルミンからの差し入れもあるぞ」
サシャ「……」ジーッ...
ライナー「……? どうした? 早く受け取れよ」
サシャ「ライナーの上着のポケットを叩いたら、ビスケットとか出て来ません?」ペチペチ
ライナー「出ねえよ。……こら、上着を叩くな」
サシャ「じゃあ上着ください!」
ライナー「やらん」
サシャ「ちぇっ……いいなぁ、私も食べ物がいっぱい出てくる上着がほしいです」ムー...
ライナー「ということは、こっちの食い物はいらないんだな」ゴソゴソ
サシャ「ああああああああ!? すいませんすいませんいります必要ですください!!」ガシッ!!


51 : ◆H4iwFNXQsw:2013/12/13(金) 19:50:41 ID:2E33IU4o
サシャ「わぁ……っ! 金平糖、キレイですね……!」キラキラキラキラ
ライナー「……」ジーッ...
サシャ「……? なんです? 金平糖食べたいんですか? 欲しいならあげますよ?」キョトン
ライナー「みかんよりもそっちの菓子のほうが好きなのか?」
サシャ「へ? ……ええと、まあそうですね。今はちょっと頭使いすぎて、肉か糖分が欲しい気分だったので……こっちのほうが嬉しいです」
ライナー「そんな小さい砂糖粒じゃ、お前の腹の足しにはならんだろ。それでもそっちがいいのか?」
サシャ「うーん……足しにはならないかもしれませんが、お菓子ってそもそもお腹いっぱいになるために食べるものじゃないですからね。……もちろん、お腹いっぱいになるまで食べられたらいいなぁとは思いますが」ジュルリ
ライナー「涎出てるぞ」
サシャ「はっ! ……いけないいけない」フキフキ

52 : ◆H4iwFNXQsw:2013/12/13(金) 19:52:24 ID:2E33IU4o
サシャ「ええと、それでですね……何の話してたんでしたっけ?」
ライナー「お前の胸ポケットにしまったみかんは食わないのかって話だな」
サシャ「ああ、そうでしたそうでした。ーーえーっと……本当にひもじい思いしている時なら、私も迷わずみかんを選んだと思いますよ。でも、今は腹の足しより別の物が欲しいなあって思ったので、金平糖を選んだわけです」
ライナー「別の物ってなんだ?」
サシャ「さあ……?」
ライナー「おい」
サシャ「だって、今までそんなの考えたこともありませんでしたし……急に聞かれても困りますよ。これでもない頭で一生懸命考えたんですから、無理矢理にでも納得してください。ていうか、なんでいきなりそんなこと聞くんです?」
ライナー「いや……お前もちゃんと女だったんだなぁと思ってな」シミジミ
サシャ「むむっ! 失礼ですね、今まで私のことなんだと思ってたんですか!」
ライナー「食い意地の張った子ども」キッパリ
サシャ「……まあ、子どもですから否定はしません」シュン

53 : ◆H4iwFNXQsw:2013/12/13(金) 19:53:20 ID:2E33IU4o
サシャ(そういえば、今って二人っきりですよね)
サシャ(……聞いてしまいましょうか。他の誰かに聞かれる心配もないですし)
サシャ(『今も好きな人、いるんですか?』ってーー)チラッ
サシャ「……ライナー」
ライナー「? なんだ?」
サシャ「好きな……………………………………………………好きな、食べ物なんですか?」
ライナー「は? ……なんで今更」
サシャ「……ほら、今度食堂に二人で食べに行くじゃないですか。その下調べですよ」
ライナー「……好き嫌いは特にないぞ。前にも言わなかったか?」
サシャ「ですよねー……知ってまーす……」
ライナー「?」
サシャ(ううっ、私のお馬鹿ぁ……意気地なしぃ……)

54 : ◆H4iwFNXQsw:2013/12/13(金) 19:54:27 ID:2E33IU4o
ライナー「話を戻すが……お前、なんで鳥なんか見てたんだ? 弓も銃もないんだから、仕留めたりはできんだろ?」
サシャ「仕留めるって……なんでもかんでも食べる方向に持って行かないでくださいよ。ーー来週の山岳訓練のために、色々慣らしておこうと思ったんです」
ライナー「慣らす?」
サシャ「はい。目とか寒さとか……まあ、色々ですね」
ライナー「目はわからなくもないが……寒さはこれ以上慣らす必要ねえだろ」
サシャ「でも、雪山ってここよりもずーっと寒いですし。備えは必要ですよ」
ライナー「そうじゃなくてだな、山に行く前にしっかり防寒対策していけば済む話じゃないのか? なんで自分が耐える方向に持っていくんだ?」
サシャ「……なんかその言葉、ライナーには言われたくない気がするんですが」
ライナー「何言ってんだ。事をやらかす前に手を尽くすのは当然だろ」
サシャ「それはその通りなんですけど、でも……」ブツブツ

55 : ◆H4iwFNXQsw:2013/12/13(金) 19:55:17 ID:2E33IU4o
ライナー「その髪型だったら、耳も気をつけないとな。剥き出しにしてると凍傷になるぞ」
サシャ「そんな大袈裟な……なりませんよ、今までなったことありませんし」
ライナー「今までならなかったからって、これからもならないって保証はない。……お前、今日は外に何時間いた?」
サシャ「え? ……えーっと、しばらく時計は見てませんが二時間半くらいですかね。たぶん」
ライナー「それだけありゃ充分冷える。少なくとも俺の手よりは冷えてると思うぞ? なんなら試してみるか?」
サシャ「? 試すってどうやってーー」
ライナー「触ればすぐわかるだろ」ギュッ
サシャ「ひぇっ!?」ビクッ

56 : ◆H4iwFNXQsw:2013/12/13(金) 19:56:08 ID:2E33IU4o
ライナー「ほら、両耳とも冷えてんじゃねえか」ムニムニ
サシャ「あ、あの……何を……」
ライナー「だから、耳がどれだけ冷えてるかを教えてやってんだろ?」グニグニ
サシャ「それはわかります、わかりました、わかりましたけどーーひぁっ!?」ビクッ!!
ライナー「? なんだ、変な声出して」
サシャ「……さっきから、何を……何を、してるんですか?」
ライナー「はぁ? 話聞いてなかったのか? つまりだな、防寒対策をしておかないと耳が凍傷になるってーー」
サシャ「だから、それはわかりましたよ! ……でもそれって、私の耳を握る必要はあったんですか? 耳たぶ摘むだけとかでも、よかったんじゃないですか?」
ライナー「……」

57 : ◆H4iwFNXQsw:2013/12/13(金) 19:57:00 ID:2E33IU4o
ライナー「……だ、だよな、握る必要はなかったよな? 痛かったか?」パッ
サシャ「いえ、痛くはありませんでしたけど……くすぐったいので、やめてください」
ライナー「そう……だよな、すまん」
サシャ「……第一、いつまで触ってるんですか。少し触ればわかるでしょうに」
ライナー「そりゃ、思ったより触り心地がーー」
サシャ「……」
ライナー「……触り心地が、よくて、だな」
サシャ「……」
ライナー「……」ポリポリ
サシャ「……」
ライナー「その、……悪い」
サシャ「……別に、いいですけど」

58 : ◆H4iwFNXQsw:2013/12/13(金) 19:57:55 ID:2E33IU4o
サシャ(……耳、隠しておきましょう。なんだかまだくすぐったい気がしますし)ササッ
ライナー「ところで、すっかり聞きそびれてたんだが」
サシャ「はい? なんです?」
ライナー「さっき一人で話してたのは、お前の故郷の言葉なのか?」
サシャ「……何の話です?」
ライナー「独り言だよ。俺が登ってくる前に何か言ってただろ」
サシャ「…………」
ライナー「いきなり頭の上から聞き慣れない言葉が聞こえてきて驚いたぞ。そのせいで梯子から落ちかけるとは自分でも思わなかったがな。……そうか、あれが元々のお前なのか」
サシャ「……ち、違います」
ライナー「? 違うって何がーー」
サシャ「それ、私じゃありません。……きっと鳥の鳴き声か何かだったんですよ。きっとそうです」

59 : ◆H4iwFNXQsw:2013/12/13(金) 19:59:08 ID:2E33IU4o
サシャ「そもそも、私にはなんにも聞こえませんでしたよ? ライナーが来るまで、今日は静かな夜でした」
ライナー「聞こえなかったって……お前が言ったんだろ。独り言」
サシャ「何を言ってるんですか? 私、歌った以外には口開いてませんけど」
ライナー「いや、ありゃどう考えても鳥じゃなくて人のーー」
サシャ「聞ーこーえーまーせーんーでーしーたー! 全っ然、なーんにもっ、聞こえませんでしたっ!!」バンッ!!
ライナー「わかった、わかったから静かにしろ! 女子寮の真上だぞここは!」シーッ
サシャ「……ライナーが変なこと言うせいですよ。私は悪くありません」イジイジ
ライナー「……」ポリポリ
ライナー(サシャがずっと隠してたのはこのことか……なるほどな。故郷の言葉が恥ずかしいから、ずっと敬語で話してたのか)
ライナー(かわいらしい悩みで羨ましいもんだ。……さて、どうするか)

60 : ◆H4iwFNXQsw:2013/12/13(金) 20:00:55 ID:2E33IU4o
ライナー「そうだな、お前の言ったとおり、俺が聞いたのは鳥の鳴き声だったのかもしれん。ーーちなみに、その鳥の名前はわかるか?」
サシャ「え? いえ、私は、その……鳥の声は聞いてないので、ちっともわかりません」
ライナー「できればもう一度くらいは声を聞きたいと思ったんだが、名前もわからないんじゃ無理だろうな。残念だ」
サシャ「何言ってるんですか、変な鳴き声だったでしょう? 正直に言ってください」
ライナー「正直に言ってるんだがな……だいたいお前、鳴き声を聞いてもないのに悪く言うなよ」
サシャ「いいじゃないですか。そんなの私の勝手でしょう」
ライナー「好きなもんを悪く言われたら、お前だって腹が立つだろ」
サシャ「ーーす……好きって、一度しか聞いてないのに、好きだなんて……おかしいですよ、ライナーはおかしいです」ブツブツ
ライナー「そうか? 聞いてもない鳥の声を嫌いだって言い張る奴も大概おかしいだろ」
サシャ「もう聞かない方がいいですよ。あまり聞きすぎると耳が腐って落ちますから」
ライナー「サラリと怖ぇこと言うなよ……少し独特かもしれんが、俺は変だなんて思わなかったけどな」
サシャ「……嘘ばっかり」プイッ
ライナー「嘘吐いてどうするんだ。鳥がここにいるわけじゃあるまいし」
サシャ「いいえ、もしかしたら物陰で聞いてるかもしれませんよ。……きっとライナーは思ってもないことを言った罰で、鳥さんにツンツンつつかれてそのうち穴だらけになっちゃうんです。ーーああ、かわいそうに」
ライナー「人を勝手にかわいそうな奴にするな。大体なんでつつかれなきゃならないんだ?」

61 : ◆H4iwFNXQsw:2013/12/13(金) 20:02:03 ID:2E33IU4o
サシャ「その鳥は、自分の鳴き声が恥ずかしいから……今まで誰にも聞かれないように、必死で隠してきたんです」
ライナー「いい声なのにな。もったいない」
サシャ「ライナーはそう思っても、他の人は違うんですよ。変だって思う人は必ずいます」
ライナー「……気にしなけりゃいいんだ、そんなもん。他にも色々言われてるだろ」
サシャ「他のことは、別に気にならないんですけど……言葉に、声について何かを言われるのって、自分の故郷まで馬鹿にされてるような気がして嫌なんですよ。……考えすぎって言ったら、それまでかもしれませんけど」
ライナー「……確かに、故郷のことを悪く言われれるのは嫌だな」
サシャ「そうでしょう? ……その故郷の森が好きだったら、悪く言われるのは余計に嫌ですよ」

62 : ◆H4iwFNXQsw:2013/12/13(金) 20:02:58 ID:2E33IU4o
ライナー「それなら、その鳥には悪いことしちまったな。無理に聞こうって気はなかったんだが」
サシャ「……大丈夫ですよ。ちゃんと、わかってますから」
ライナー「そりゃ助かる。穴だらけにされないで済むな」ハハハ
サシャ「あの……さっき言ってたの、本当ですか?」
ライナー「? どの話だ?」
サシャ「変じゃないっていうのです。嘘じゃないんですよね?」
ライナー「確かめてみるか?」
サシャ「いえ、いいです。……信じます。ライナーの言ってること」
サシャ「ただ、もうちょっとだけ……時間をください。ほしいって、言ってました。……もうちょっと経ったら、また聞かせてあげてもいいそうです」
ライナー「鳥が言ってたのか?」
サシャ「そうですよ。……私じゃないですからね」
ライナー「そうか。……楽しみにしてるって、その鳥に言っておいてくれ」
サシャ「……わかりました。伝えておきます」

63 : ◆H4iwFNXQsw:2013/12/13(金) 20:03:57 ID:2E33IU4o
ーー 女子寮 軒下
ミカサ「ただいま、遅くなった。……二人とも、何してるの?」
ユミル「なあミカサ……どう思う? あれ」
ミカサ「どれのこと?」
クリスタ「屋根の上の二人だよ。あそこ」
ミカサ「……にゃんにゃんしてるように見える」
クリスタ「にゃんにゃん?」
ユミル「だよなぁ。……で、あっちの森のほうには誰かいたのか?」
ミカサ「うん、いた。アニとベルトルトがにゃんにゃんしてた」
クリスタ「にゃんにゃん……??」キョトン
ユミル「へー……ベルトルさん、やるなぁ」
クリスタ「ねえねえユミル、にゃんにゃんって何?」クイクイ
ユミル「いつも私とクリスタがやってるようなことだよ」
クリスタ「ふーん……よくわかんないけど、まあいいや」

64 : ◆H4iwFNXQsw:2013/12/13(金) 20:04:56 ID:2E33IU4o
ーー 翌日夕方 営庭
エレン「……」
アルミン「……」
ライナー「……」
ジャン「……」
エレン「昨日まで、ここに道があったよな」
ジャン「ああ、あったぜ。それぞれの建物を繋ぐ道がな」
ライナー「地味に便利だったよな、あの道」
アルミン「雪を漕いで歩くと服もブーツも濡れちゃうもんね。今の時期は乾かすのも大変だし」
ジャン「なくなってわかるありがたさ、か……これがそうなのか」
エレン「こんなもんで感じるなよ」

65 : ◆H4iwFNXQsw:2013/12/13(金) 20:06:00 ID:2E33IU4o
エレン「なあ、昨日の夜って雪降ったのか?」
ライナー「……まあ、多少は降ったんだろう」
ジャン「多少な……へえ、これが多少か」
アルミン「今日の昼間も降ったからね。……いくらかね」
ライナー「……埋もれちまったんだろうな。雪で」
エレン「駆逐してやる」
ジャン「じゃあやれよ。今すぐ溶かせ」
エレン「……」
ライナー「ジャン、あまり無茶を言ってやるな。エレンもできないことを簡単に口にするんじゃない」
アルミン「それに、道はなくなったわけじゃないよ。……ほら、ここにうっすらとあるじゃないか」
ジャン「うっすらとな」
エレン「街の人が引いていった轍もあるぞ」
ライナー「全く役に立たんがな」


66 : ◆H4iwFNXQsw:2013/12/13(金) 20:07:04 ID:2E33IU4o
ジャン「……サボったんだろうなー。当番」
エレン「でも昨日やってたんだろ? ライナーは見たんだよな?」
ライナー「そのはずだが……今思えば、営庭までは手を付けてなかったような気がするな」
ジャン「誰だよ昨日の当番! 一言言ってやんねえと気がすまねえ!」ダッ
アルミン「ミカサたちだよ」
ジャン「……まあ、腹でも痛かったんじゃねえの?」クルッ
ライナー「変わり身早いな」
エレン「さてはあいつら、昨日手ぇ抜きやがったな……!」
アルミン「まあまあ、昨日は女子寮の屋根の雪下ろしもあったみたいだし、きっとここまで手が回らなかったんだよ。そういうことにしておこう、ね?」
ライナー「いくら文句言っても雪は減らないしな。……手分けしてやってくぞ」ザクザク

67 : ◆H4iwFNXQsw:2013/12/13(金) 20:08:06 ID:2E33IU4o
ーー しばらく後 営庭
エレン「……」ザクザク
アルミン「……」ザクザク
ジャン「……」ザクザク
ライナー「……」ザクザク
一同(飽きた……)
エレン(なんだこれ、すっげえつまんねえ……雪下ろしの時はあんなに楽しかったのに、なんでだ……?)ザクザク
ライナー(やることがあらかじめ決まってる作業って、退屈だな……)ザクザク
ジャン(むさ苦しい男ども四人で単純作業って、どんな罰則だよ……いや罰則じゃなくて当番だが)ザクザク
アルミン(うーん、猫車で引かれた轍が地味に邪魔だなぁ……気を抜いたら足元取られるし、転ばないように気をつけないと)テクテク...

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