サシャ「中味が大事なんですよ」
Part9
194 : ◆H4iwFNXQsw:2013/12/25(水) 20:42:04 ID:joV9ZTJ.
ライナー(あの時は……もちろん、サシャのことも考えてはいたが)
ライナー(俺みたいなクソ野郎が、壁内の誰かと一緒になるなんてことは……そんな可能性は、完全に諦めていたからな)
ライナー(今も、サシャの想いに応えてやることはできそうにないが……しかし、あれだな。誰かに本気で好かれるってのは、悪い気がしないな)
ライナー(……ったく、あからさまに嬉しそうな顔しやがって)
サシャ(嘘、だったんだ……よかったぁ……)
サシャ(ということは私、このままライナーのこと好きでいていいんですよね?)
サシャ(わぁっ……嬉しすぎて、ほっぺた落ちそうです……! でも、あまりだらしない顔してたら変に思われちゃいますよね!)キリッ
ライナー「……」
サシャ「……」キリッ
サシャ(……ふへへ)ヘニャン
ライナー(何やってんだこいつかわいい)ニヤニヤ
サシャ(このままじゃいけませんね……落ちないように持ち上げときましょう)ムニー
195 : ◆H4iwFNXQsw:2013/12/25(水) 20:42:48 ID:joV9ZTJ.
サシャ(……あれ? でも好きな人はいないって言っても、気になる人はいたんですよね?)
サシャ(なんか、言い方が違うだけで……結局は、同じな気がするんですけど)
サシャ(…………気にしなくても、いいんですよね?)
サシャ「……」
ライナー「そういうわけだからな、あの時俺が言ったことは水に流しといてくれ。……大体、あの時とは俺の心持ちも変わってるしな」
サシャ「……それで、誰だったんですか?」
ライナー「? 何がだ?」
サシャ「その、ライナーが気になってた女の子です。……誰だったんですか?」
ライナー「いや、それは流石に伏せさせてくれ。そのせいで、お前とそいつとの関係が悪くなられちゃ困る」
サシャ「じゃ、じゃあ……その子、お料理できたんですか? 勉強は? 立体機動は上手でした? 馬術とか技巧とか、得意な物はなんでした?」
ライナー「おいおい……その質問全部に答えたら、誰なのかわかっちまうだろ。却下だ」
サシャ「だ、だって……」
ライナー「そんな無理矢理張りあおうとしなくたってな、お前はお前でかわいいぞ? ーーだから安心しろ」ポン
196 : ◆H4iwFNXQsw:2013/12/25(水) 20:43:29 ID:joV9ZTJ.
ライナー(……まあ、これくらいはいいよな。うん)ナデナデ
ライナー「……? サシャ、どうした?」
サシャ「いえ、その……ありがとう、ございます。嬉しいです。とっても」モジモジ
ライナー「あー……まあ、その、なんだ。ーーどういたしまして」
サシャ「最初に言った好きな人が、嘘だったっていうのは……わかりました。信じます」
ライナー「そうか、信じてくれるか」ホッ
サシャ「はい。……それで、今はいるんですか?」
ライナー「……」
サシャ「いるんですね?」
ライナー「いないいない」ピーヒョロロ
サシャ「なんですかその反応」
ライナー「……なあ、疲れたからちょっと一旦休憩挟まないか?」
サシャ「何言ってるんですか。ダメですよ」
ライナー(こっちはもう余裕ねえんだよ……勘弁してくれって)ハァ
197 : ◆H4iwFNXQsw:2013/12/25(水) 20:44:19 ID:joV9ZTJ.
サシャ「あの……ライナーは、私と一緒にいるの……嫌じゃなかったんですよね? 今までのこと、否定しなくてもいいんですよね?」
ライナー「……お前、あの時から今まで、ずっと気にしてたのか?」
サシャ「してましたよ。ずっとじゃないですけど……付き合わせて悪いなって気持ちは、いつもどこかにありました」
サシャ「でも、私からやめるなんて……どうしても、怖くて……言えなくて」
サシャ「自分でも……わがままで、悪い子だなって思ったんですけど」
ライナー「……そうか」
ライナー(こういう時は、抱きしめてやるべきなんだろうな……好きな女なら、余計に)
ライナー(……いいや、ダメだ。そこまでやったら本当に戻れなくなりそうだ)グッ
ライナー(俺だって、安心させてやりたいんだがな……全部話しちまえたら、どんなに楽か……)
198 : ◆H4iwFNXQsw:2013/12/25(水) 20:45:29 ID:joV9ZTJ.
ライナー「なあサシャ。ーー巨人は、怖いよな」
サシャ「へ? ……まあ、怖くないと言ったら嘘になりますけど」
ライナー「だよなぁ……」
サシャ「? なんでいきなり巨人が出てきたんですか?」
ライナー「……俺にだってな、逃げたくなる時くらいある。嫌なもんや怖いもんがないわけじゃない。……巨人だって、そこそこ怖い」
サシャ「はぁ、そこそこなんですか……それはそれですごいですね」
ライナー「それはともかく。ーーお前には、俺が色々上手く押し殺してるように見えるんだろうが……本当はそうでもないんだ。いくら格好つけようったってまだガキだしな。誰かに当たり散らしたくなる時だってある」
ライナー「今まで、そういうことができる相手なんかベルトルトぐらいしかいなかったんだが……さっきは、ついお前にもやっちまった。ーー悪かったな」
サシャ「いえ、私は私で嬉しかったので……もう気にしてませんよ。大丈夫です」
ライナー「それでな、その上で、聞いてほしいんだが…………その」
サシャ「聞いてますよ。……ちゃんと、聞いてます」
ライナー「わかってる、急かすなって…………あのな、俺もこういう時間は嫌いじゃないんだ。お前みたいな奴と……本音を出せる相手と一緒にいるのは、正直ほっとする」
ライナー「それで、お前がもし、よければなんだがーーこれからも、付き合ってほしい」
199 : ◆H4iwFNXQsw:2013/12/25(水) 20:47:10 ID:joV9ZTJ.
サシャ「……」
ライナー「ーーと、思ってるんだが……どうだろうか」
サシャ「……本当に、私でいいんですか? 他の子がよかったんじゃないですか?」
ライナー「いや……他の、誰かじゃなくてだな」
サシャ「……」
ライナー「……っあー……………………続きも、言わないとダメか?」
サシャ「だめです。……ライナーから、今聞きたいです」
ライナー「そうか…………そう、だな。また変にこじれても困るよな」
サシャ「……」
ライナー「他の奴じゃなくて……お前がいいんだ。お前じゃないと、ダメだ」
サシャ「……そうですか。私じゃないとだめ、ですか」
ライナー「ったく、こんなこと言わせんなよ……あー、恥ずかしい」ブツブツ
サシャ「えへへ……すみません」
200 : ◆H4iwFNXQsw:2013/12/25(水) 20:48:11 ID:joV9ZTJ.
サシャ「いやぁ、それにしても……おかげで色々すっきりしましたね! 今日の夜は気持ちよくご飯が食べられそうです!」スッキリ
ライナー「そうかぁー……よかったなぁー…………」グッタリ
ライナー(ちくしょう……脳天気な馬鹿が羨ましいと思ったのは、生まれてはじめてだ……)
サシャ(そういえば……好きな人がいないなら、もうちょっとだけ甘えてもいいんですかね)
サシャ(……ちょっとだけ、ちょっとだけ)
サシャ「……」ピト
ライナー「!? ……ど、どうした? 俺の腕は食い物じゃないぞ?」ギクシャク
サシャ「いえ……やっぱりちょっと寒くなってきちゃったので、暖を取らせてもらおうかなぁって思いまして」
ライナー「そ、そうか、そうだな、もう暗くなってきたしな、やっぱり上着貸してやろうか? 寒いだろ?」モソモソ
サシャ「上着もいいんですけど……こっちのほうも好きなんですよね」ギュッ
ライナー「……矛盾してるぞ。それこそお前、昨日は耳触られて嫌がってたじゃねえか」
サシャ「あれはびっくりしたっていうか、くすぐったかっただけで……その、基本的には」
サシャ「ライナーに触られるの、……好き、なんですけど」ギュッ
201 : ◆H4iwFNXQsw:2013/12/25(水) 20:49:00 ID:joV9ZTJ.
ライナー「……」
サシャ「だって、ライナーの手って大きいから……頭撫でられると気持ちいいんですよね。すごく安心するっていうか」モジモジ
ライナー「…………」
サシャ「あっ、そうだ! よかったら手の比べあいっこしませんか? ライナーと私じゃ、指の太さとかも大分違うと思うんですよねー」
ライナー「……………………」グイッ シュルッ
サシャ「わっ……何、なんで髪ほどいたんですか? 髪ゴム返してくださいよ」ピョンピョン
ライナー「…………………………………………」ガシッ
サシャ(? 頭掴んで、一体何をーー)
ライナー「ったくお前は人の気も知らないで!!」ガシガシガシガシ!!
サシャ「いっ!? ーーぎゃああああなにするんですかぁっ!!」ジタバタジタバタ
ライナー「うるせえ仕返しだ!! お前はもうちょっと言葉選んで喋れ!! ……こっちは辛抱たまらん」ボソ
サシャ「え? ーーだから、我慢しなくてもいいですって」
ライナー「お前が構わなくても、俺が構うんだよ……もう身がもたねえっての……」ブツブツ
サシャ「? ??」
202 : ◆H4iwFNXQsw:2013/12/25(水) 20:50:30 ID:joV9ZTJ.
サシャ「ライナーってば掻き回しすぎですよ、髪の毛ぐっちゃんぐっちゃんじゃないですか……ううっ、クリスタに怒られる……」ワシャワシャ
ライナー「抜かなかっただけありがたいと思え」ツーン
サシャ「ああ、この年でハゲは嫌ですね……じゃなくて。髪の毛まとめたいので、それ返してくださいよ。髪ゴム」
ライナー「ん? ああ、これか。……そういえば、前も同じの買ってなかったか?」
サシャ「そうですよ、よく覚えてますね。ーーそれ、他のと比べて一回りくらい安いんですよ。すぐ切れちゃうのが難点ですけど」
ライナー「……」ビョ-ンビョ-ン
サシャ「ああっ、あんまり伸ばさないでください! 切れちゃいますって!!」アタフタアタフタ
ライナー「この髪ゴム、今は予備があるのか?」
サシャ「この前街に出た時に買い足しましたからね。まだいっぱいありますよ」
ライナー「そうか。……じゃあ、これはもらっとく」ゴソッ
サシャ「へ?」
203 : ◆H4iwFNXQsw:2013/12/25(水) 20:51:45 ID:joV9ZTJ.
ライナー「代わりに今度、街に出た時に新しいの買ってやるよ」
サシャ「ま、また……? って、そんなのダメですってば! 私ばっかり色々もらって悪いですよ!」ブンブン
ライナー「だから、これと交換するんだよ。俺がもらっても困らないんだろ? じゃあいいじゃねえか」
サシャ「ライナーってば、そんなものがほしいんですか? っていうか、髪ゴムなんて何に使うんです?」
ライナー「なんでもいいだろ。お前には関係ない」
サシャ「だって、ライナーの髪の長さじゃまとめられないと思いますよ? 無理やりまとめても鳥のしっぽみたいになっちゃうと思うんですが」
ライナー「髪を結うわけじゃない。心配するな」
サシャ「お菓子の袋でも留めるんですか? だったら寮に戻って新しいの持ってきますけど」
ライナー「いや……これでいいんだ」
ライナー(これくらいなら……持っていても、邪魔にはならないだろうしな。切れちまったら諦めもつく)
サシャ(使わない髪ゴムなんかもらって、ライナーったらどうするんですかね……変なの)
204 : ◆H4iwFNXQsw:2013/12/25(水) 20:52:38 ID:joV9ZTJ.
ライナー「そろそろ夕食の時間だな。すっかり暗くなっちまった」
サシャ「ああ、そうですね……日が落ちるの早くなりましたよね」
ライナー「一旦営庭に戻ってから食堂に行くか。……あいつらにも謝らないとな」
サシャ「そうですね、すっぽかして話し込んじゃいましたからね。……というわけで、はいどうぞ」スッ
ライナー「……? 掴めばいいのか?」
サシャ「いつもは私がライナーから手を借りてるので、たまには逆もいいかなって思いまして。さあさあ、遠慮しないで掴まってください!」
ライナー「それじゃ、ありがたく借りるか。……よっと」グイッ
サシャ「わわ……っと、やっぱりライナー重いですね」ヨロッ
ライナー「お前は軽そうだよな。……どれ、ちょっと試してみるか」ヒョイッ
サシャ「え? 試すってーーわぁっ!?」
205 : ◆H4iwFNXQsw:2013/12/25(水) 20:53:29 ID:joV9ZTJ.
ライナー「何度か運んじゃいるが、やっぱり軽いな」
サシャ「あ、あの、ライナー……っ!? この年で抱っこされるのは……恥ずかしいんですけど……っ!」
ライナー「何言ってんだ、担ぐよりマシだろ?」
サシャ「そりゃそうかもしれませんが、これっ、手はどこに……!」
ライナー「そこまで面倒見切れるか。……取り敢えず、頭でも掴んでろ」
サシャ「は、はい……」ギュッ
ライナー「お前、身長の割に軽いな。アニと同じくらいか?」
サシャ「え? ……さあ、どうでしょう。アニと比べたことありませんし」
サシャ(アニと同じくらいだって、すぐにわかっちゃうってことは……アニの体重知ってるんですかね)
サシャ(そりゃあ、対人格闘の時にアニと組んでるのよく見かけますし、それでまあ、持ち上げることもあるでしょうし……でも…………他の女の子と、比べるなんて)
サシャ「……」ムカムカ
206 : ◆H4iwFNXQsw:2013/12/25(水) 20:54:19 ID:joV9ZTJ.
サシャ「……」ナデナデ
ライナー「……おい、何してんだ」
サシャ「ぐちゃぐちゃにされた仕返しです。……それに、ライナーの頭に触れる機会ってあまりありませんからね。やれる時にやっておこうかなって思いまして」ワシャワシャ
ライナー「……下ろすぞ。手を離せ」
サシャ「もしかして、照れてます?」ニヤニヤ
ライナー「……」
サシャ「かなり素直になりましたねぇ、ライナー」ナデナデ
ライナー「……悪いか。ーー背が高いから、こういうのは慣れてねえんだよ」ブツブツ
サシャ「じゃあ、たーっぷり撫でて甘やかしてあげないといけませんねー」ナーデナーデ
ライナー「……」ポイッ
サシャ「あいたぁっ!? ーーなっ、何も雪の中に放り投げることないじゃないですかぁっ!!」プンスカ
ライナー「遊んでないで行くぞー」ザクザク
サシャ「遊んでたのはライナーでしょうにぃ……」ブーブー
207 : ◆H4iwFNXQsw:2013/12/25(水) 20:55:10 ID:joV9ZTJ.
ーー 同刻 営庭
エレン「ミカサ、もう行こうぜ? 座るところなくなっちまうよ」ツンツン
ミカサ「もうちょっとだけ待って」
エレン「早く見せたいのはわかるけどさ、大したものでもないんだから食堂で渡せばいいだろ? ーーほら、行くぞ」グイッ
ミカサ「行かない。サシャを待ってる」ブンブン
エレン「……ああそうかよ。そんなにサシャがいいのかよ」イラッ
ミカサ「そんなこと言ってない」フルフル
アルミン「まあまあエレン、そこまでにしときなよ。……ミカサ、先に行って席取っとくね」スタスタ...
ミカサ「うん、また後で」フリフリ
エレン「いいんだな!? 行っちゃうからな!? 本当にいいんだな!?」
アルミン「ほらほらエレン、わかったから行こうよ」グイッ
エレン「ほら行っちまうぞ!? 本当にいいのか!? 止めるなら今だぞ!? 行っちゃうぞ!?」ズルズル...
208 : ◆H4iwFNXQsw:2013/12/25(水) 20:56:03 ID:joV9ZTJ.
ミカサ(あっ……せっかく今まで一緒に待っていてくれたのに、お礼も言わないで別れてしまった。……後で二人に謝ろう)
ミカサ(サシャは、うまくライナーから聞き出せただろうか……)コロコロ...
ミカサ「……」コロコロコロコロ...
ミカサ「……」ゴロゴロゴロゴロ...
ミカサ「……」ゴーロゴーロゴーロゴーロ ノシッ
ミカサ「……ふぅ、できた」
ミカサ(調子に乗って大きくしすぎてしまった。……どうしよう、エレンに見えない)シュン
ミカサ(これはベルトルトということにして、次はエレンを作ろう)コロコロ...
ミカサ「……」コロコロコロコロ...
ミカサ(……楽しくなってきた)ゴロゴロゴロゴロ...
ミカサ「♪~」ゴーロゴーロゴーロゴーロ
ライナー「……何やってんだ、ミカサ」
サシャ「随分と大きい雪だるまですねー」
209 : ◆H4iwFNXQsw:2013/12/25(水) 20:57:03 ID:joV9ZTJ.
ミカサ「! サシャ、おかえり。……あとライナーも」
ライナー「俺はついでかよ」
サシャ「ミカサってば、こんなところでずっと待ってたんですか? 寒かったでしょうに……手は冷えてません?」
ミカサ「平気。ミーナが上着と手袋を持ってきてくれたから」モコモコ
サシャ「そうですか、よかったですねぇ。ーーところでこの子は誰ですか? もしかしてエレンとか?」
ミカサ「違う。この子はベルトルト。今作ってるのがエレン」
ライナー「最初にベルトルトを作ったのか?」
ミカサ「本当はエレンとアルミンを作る予定だったのだけれど、間違った」
サシャ「ライナーと同じくらい背丈あるのに、よく雪玉のせましたねー」
ミカサ「こうやって持った」ガシッ
ライナー「持ち上げてるっていうか雪玉にしがみついてるみたいだな」
210 : ◆H4iwFNXQsw:2013/12/25(水) 20:58:04 ID:joV9ZTJ.
サシャ「それにしても……こんなところで雪遊びなんかしてどうしたんです? エレンとアルミンはどこに行ったんですか?」キョロキョロ
ミカサ「食堂に行った。私は置いて行かれた」
ライナー「珍しいな。一緒じゃないのか」
ミカサ「さっきまでここにいたのだけれど、流石に待ちきれなかったらしい。宝物を渡したら、すぐに追いかけるつもりだから大丈夫。心配いらない」ゴソゴソ
サシャ「宝物……?」
ミカサ「そう。……はい、サシャにあげる」スッ
サシャ「これは……みかんですか? でも確か、昨日ので最後だったんじゃ」チラッ
211 : ◆H4iwFNXQsw:2013/12/25(水) 20:59:01 ID:joV9ZTJ.
ライナー「コニーはそう言ってたぞ。ーーミカサ、これはどこから持ってきたんだ?」
ミカサ「雪の中」
サシャ「雪の中って、なんでそんなところから…………あっ」
ライナー「……この前の、化石か」
ミカサ「そう。発掘者はベルトルトとアニ。あとでお礼を言うといい」
サシャ「そうなんですか……取り敢えず、皮を剥いてみましょうかね。……ふぐぐぐぐ」ググググ...
ライナー「そんなにガチガチじゃ剥けねえだろ。少し溶かしたほうがいいんじゃないか?」
ミカサ「そんな時はこれ。ーー なんでも切れちゃうはんばとうしーん」チャララチャッチャラー
ライナー「どうやって持ってきた」
ミカサ「細かいことは気にしちゃいけない。ーーさあ、開けてみよう」ザクッ パカッ
212 : ◆H4iwFNXQsw:2013/12/25(水) 21:00:25 ID:joV9ZTJ.
ライナー「……」
ミカサ「……」
サシャ「……」
ライナー「……これは、食えるのか?」
ミカサ「さあ……?」
サシャ「……中味、見なきゃよかったですね」
おわり
213 : ◆H4iwFNXQsw:2013/12/25(水) 21:02:22 ID:joV9ZTJ.
というわけで雪合戦回でした 書き直しまくってたら今回とんでもなく長くなりましたが、好きな人発言もようやく回収です
それと今後についての話を少しだけ
今のペースだと年内に終わるのが絶望的になってきたんですがっていうかもう無理なんですが、駆け足で仕上げたくないのでじっくりやります というわけであと5話です もう少しだけお付き合いください
それではまた次回、山岳訓練・冬です どうなるかわかりませんが予定通りだとイチャイチャは少なめ たぶん年明けになると思います 少し早いですがよいお年をー!
214 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/12/25(水) 21:17:05 ID:X8JVr/8o
乙!やっと思いが伝わった…こっちまで感慨深いな…
あとちょっとで終わっちゃうのかと思ったらまだ5話もあると聞いて安心した
215 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/12/25(水) 21:58:36 ID:5n8zan0c
乙
待ってました!あと5話もあるなんて嬉しいな。
216 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/12/25(水) 23:30:08 ID:ZguF5fjU
乙!あと5話かあ…寂しいような。
好きな人はやっぱり女神だったのかな。
217 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/12/26(木) 00:30:50 ID:fNHZGHE.
乙!
伝わって良かったのに切ない!
218 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/12/26(木) 18:31:18 ID:oeaXBiIg
髪ゴムに切ない予感がするのは俺だけか…?
219 :以下、名無しが深夜にお送りします:2014/01/08(水) 19:08:03 ID:smDet.qk
あけおめ
次はまだでしょうか。待ってます。
220 : ◆H4iwFNXQsw:2014/01/08(水) 19:15:23 ID:c8MPZ0H2
あけましておめでとうございます 今年もよろしくお願いします
年末年始で忙しかったりラストに向けてお話練ったり気分転換にコニーというかマルコSS進めたりしてました、申し訳ありませんがもう少しお待ちください
書きためはちゃんとしてますのでご安心を 来週辺りには投下したい……です
221 :以下、名無しが深夜にお送りします:2014/01/09(木) 02:02:27 ID:b9g2W/Us
あけましておめでとう
>>1のペースでいいんだよ
ピンクわたウサギの赤ちゃんの方も楽しませてもらってるよ
222 : ◆H4iwFNXQsw:2014/01/14(火) 19:43:07 ID:8JU9gYSs
>>221 ありがとうございます そう言っていただけるとありがたいです
そんなわけでお待たせしてすみません、やっと目処がついたので今週中に次スレ立てて山岳訓練前半投下します
ですのでこのスレはageないようにお願いします
ライサシャ描写少なめと予告しましたが、やっぱり欲が出てしまいまして現在大幅に追加中です
223 :以下、名無しが深夜にお送りします:2014/01/14(火) 20:43:53 ID:oQjUO6kM
おおっ!楽しみにしてます!
ライナー(あの時は……もちろん、サシャのことも考えてはいたが)
ライナー(俺みたいなクソ野郎が、壁内の誰かと一緒になるなんてことは……そんな可能性は、完全に諦めていたからな)
ライナー(今も、サシャの想いに応えてやることはできそうにないが……しかし、あれだな。誰かに本気で好かれるってのは、悪い気がしないな)
ライナー(……ったく、あからさまに嬉しそうな顔しやがって)
サシャ(嘘、だったんだ……よかったぁ……)
サシャ(ということは私、このままライナーのこと好きでいていいんですよね?)
サシャ(わぁっ……嬉しすぎて、ほっぺた落ちそうです……! でも、あまりだらしない顔してたら変に思われちゃいますよね!)キリッ
ライナー「……」
サシャ「……」キリッ
サシャ(……ふへへ)ヘニャン
ライナー(何やってんだこいつかわいい)ニヤニヤ
サシャ(このままじゃいけませんね……落ちないように持ち上げときましょう)ムニー
195 : ◆H4iwFNXQsw:2013/12/25(水) 20:42:48 ID:joV9ZTJ.
サシャ(……あれ? でも好きな人はいないって言っても、気になる人はいたんですよね?)
サシャ(なんか、言い方が違うだけで……結局は、同じな気がするんですけど)
サシャ(…………気にしなくても、いいんですよね?)
サシャ「……」
ライナー「そういうわけだからな、あの時俺が言ったことは水に流しといてくれ。……大体、あの時とは俺の心持ちも変わってるしな」
サシャ「……それで、誰だったんですか?」
ライナー「? 何がだ?」
サシャ「その、ライナーが気になってた女の子です。……誰だったんですか?」
ライナー「いや、それは流石に伏せさせてくれ。そのせいで、お前とそいつとの関係が悪くなられちゃ困る」
サシャ「じゃ、じゃあ……その子、お料理できたんですか? 勉強は? 立体機動は上手でした? 馬術とか技巧とか、得意な物はなんでした?」
ライナー「おいおい……その質問全部に答えたら、誰なのかわかっちまうだろ。却下だ」
サシャ「だ、だって……」
ライナー「そんな無理矢理張りあおうとしなくたってな、お前はお前でかわいいぞ? ーーだから安心しろ」ポン
196 : ◆H4iwFNXQsw:2013/12/25(水) 20:43:29 ID:joV9ZTJ.
ライナー(……まあ、これくらいはいいよな。うん)ナデナデ
ライナー「……? サシャ、どうした?」
サシャ「いえ、その……ありがとう、ございます。嬉しいです。とっても」モジモジ
ライナー「あー……まあ、その、なんだ。ーーどういたしまして」
サシャ「最初に言った好きな人が、嘘だったっていうのは……わかりました。信じます」
ライナー「そうか、信じてくれるか」ホッ
サシャ「はい。……それで、今はいるんですか?」
ライナー「……」
サシャ「いるんですね?」
ライナー「いないいない」ピーヒョロロ
サシャ「なんですかその反応」
ライナー「……なあ、疲れたからちょっと一旦休憩挟まないか?」
サシャ「何言ってるんですか。ダメですよ」
ライナー(こっちはもう余裕ねえんだよ……勘弁してくれって)ハァ
197 : ◆H4iwFNXQsw:2013/12/25(水) 20:44:19 ID:joV9ZTJ.
サシャ「あの……ライナーは、私と一緒にいるの……嫌じゃなかったんですよね? 今までのこと、否定しなくてもいいんですよね?」
ライナー「……お前、あの時から今まで、ずっと気にしてたのか?」
サシャ「してましたよ。ずっとじゃないですけど……付き合わせて悪いなって気持ちは、いつもどこかにありました」
サシャ「でも、私からやめるなんて……どうしても、怖くて……言えなくて」
サシャ「自分でも……わがままで、悪い子だなって思ったんですけど」
ライナー「……そうか」
ライナー(こういう時は、抱きしめてやるべきなんだろうな……好きな女なら、余計に)
ライナー(……いいや、ダメだ。そこまでやったら本当に戻れなくなりそうだ)グッ
ライナー(俺だって、安心させてやりたいんだがな……全部話しちまえたら、どんなに楽か……)
198 : ◆H4iwFNXQsw:2013/12/25(水) 20:45:29 ID:joV9ZTJ.
ライナー「なあサシャ。ーー巨人は、怖いよな」
サシャ「へ? ……まあ、怖くないと言ったら嘘になりますけど」
ライナー「だよなぁ……」
サシャ「? なんでいきなり巨人が出てきたんですか?」
ライナー「……俺にだってな、逃げたくなる時くらいある。嫌なもんや怖いもんがないわけじゃない。……巨人だって、そこそこ怖い」
サシャ「はぁ、そこそこなんですか……それはそれですごいですね」
ライナー「それはともかく。ーーお前には、俺が色々上手く押し殺してるように見えるんだろうが……本当はそうでもないんだ。いくら格好つけようったってまだガキだしな。誰かに当たり散らしたくなる時だってある」
ライナー「今まで、そういうことができる相手なんかベルトルトぐらいしかいなかったんだが……さっきは、ついお前にもやっちまった。ーー悪かったな」
サシャ「いえ、私は私で嬉しかったので……もう気にしてませんよ。大丈夫です」
ライナー「それでな、その上で、聞いてほしいんだが…………その」
サシャ「聞いてますよ。……ちゃんと、聞いてます」
ライナー「わかってる、急かすなって…………あのな、俺もこういう時間は嫌いじゃないんだ。お前みたいな奴と……本音を出せる相手と一緒にいるのは、正直ほっとする」
ライナー「それで、お前がもし、よければなんだがーーこれからも、付き合ってほしい」
サシャ「……」
ライナー「ーーと、思ってるんだが……どうだろうか」
サシャ「……本当に、私でいいんですか? 他の子がよかったんじゃないですか?」
ライナー「いや……他の、誰かじゃなくてだな」
サシャ「……」
ライナー「……っあー……………………続きも、言わないとダメか?」
サシャ「だめです。……ライナーから、今聞きたいです」
ライナー「そうか…………そう、だな。また変にこじれても困るよな」
サシャ「……」
ライナー「他の奴じゃなくて……お前がいいんだ。お前じゃないと、ダメだ」
サシャ「……そうですか。私じゃないとだめ、ですか」
ライナー「ったく、こんなこと言わせんなよ……あー、恥ずかしい」ブツブツ
サシャ「えへへ……すみません」
200 : ◆H4iwFNXQsw:2013/12/25(水) 20:48:11 ID:joV9ZTJ.
サシャ「いやぁ、それにしても……おかげで色々すっきりしましたね! 今日の夜は気持ちよくご飯が食べられそうです!」スッキリ
ライナー「そうかぁー……よかったなぁー…………」グッタリ
ライナー(ちくしょう……脳天気な馬鹿が羨ましいと思ったのは、生まれてはじめてだ……)
サシャ(そういえば……好きな人がいないなら、もうちょっとだけ甘えてもいいんですかね)
サシャ(……ちょっとだけ、ちょっとだけ)
サシャ「……」ピト
ライナー「!? ……ど、どうした? 俺の腕は食い物じゃないぞ?」ギクシャク
サシャ「いえ……やっぱりちょっと寒くなってきちゃったので、暖を取らせてもらおうかなぁって思いまして」
ライナー「そ、そうか、そうだな、もう暗くなってきたしな、やっぱり上着貸してやろうか? 寒いだろ?」モソモソ
サシャ「上着もいいんですけど……こっちのほうも好きなんですよね」ギュッ
ライナー「……矛盾してるぞ。それこそお前、昨日は耳触られて嫌がってたじゃねえか」
サシャ「あれはびっくりしたっていうか、くすぐったかっただけで……その、基本的には」
サシャ「ライナーに触られるの、……好き、なんですけど」ギュッ
201 : ◆H4iwFNXQsw:2013/12/25(水) 20:49:00 ID:joV9ZTJ.
ライナー「……」
サシャ「だって、ライナーの手って大きいから……頭撫でられると気持ちいいんですよね。すごく安心するっていうか」モジモジ
ライナー「…………」
サシャ「あっ、そうだ! よかったら手の比べあいっこしませんか? ライナーと私じゃ、指の太さとかも大分違うと思うんですよねー」
ライナー「……………………」グイッ シュルッ
サシャ「わっ……何、なんで髪ほどいたんですか? 髪ゴム返してくださいよ」ピョンピョン
ライナー「…………………………………………」ガシッ
サシャ(? 頭掴んで、一体何をーー)
ライナー「ったくお前は人の気も知らないで!!」ガシガシガシガシ!!
サシャ「いっ!? ーーぎゃああああなにするんですかぁっ!!」ジタバタジタバタ
ライナー「うるせえ仕返しだ!! お前はもうちょっと言葉選んで喋れ!! ……こっちは辛抱たまらん」ボソ
サシャ「え? ーーだから、我慢しなくてもいいですって」
ライナー「お前が構わなくても、俺が構うんだよ……もう身がもたねえっての……」ブツブツ
サシャ「? ??」
202 : ◆H4iwFNXQsw:2013/12/25(水) 20:50:30 ID:joV9ZTJ.
サシャ「ライナーってば掻き回しすぎですよ、髪の毛ぐっちゃんぐっちゃんじゃないですか……ううっ、クリスタに怒られる……」ワシャワシャ
ライナー「抜かなかっただけありがたいと思え」ツーン
サシャ「ああ、この年でハゲは嫌ですね……じゃなくて。髪の毛まとめたいので、それ返してくださいよ。髪ゴム」
ライナー「ん? ああ、これか。……そういえば、前も同じの買ってなかったか?」
サシャ「そうですよ、よく覚えてますね。ーーそれ、他のと比べて一回りくらい安いんですよ。すぐ切れちゃうのが難点ですけど」
ライナー「……」ビョ-ンビョ-ン
サシャ「ああっ、あんまり伸ばさないでください! 切れちゃいますって!!」アタフタアタフタ
ライナー「この髪ゴム、今は予備があるのか?」
サシャ「この前街に出た時に買い足しましたからね。まだいっぱいありますよ」
ライナー「そうか。……じゃあ、これはもらっとく」ゴソッ
サシャ「へ?」
203 : ◆H4iwFNXQsw:2013/12/25(水) 20:51:45 ID:joV9ZTJ.
ライナー「代わりに今度、街に出た時に新しいの買ってやるよ」
サシャ「ま、また……? って、そんなのダメですってば! 私ばっかり色々もらって悪いですよ!」ブンブン
ライナー「だから、これと交換するんだよ。俺がもらっても困らないんだろ? じゃあいいじゃねえか」
サシャ「ライナーってば、そんなものがほしいんですか? っていうか、髪ゴムなんて何に使うんです?」
ライナー「なんでもいいだろ。お前には関係ない」
サシャ「だって、ライナーの髪の長さじゃまとめられないと思いますよ? 無理やりまとめても鳥のしっぽみたいになっちゃうと思うんですが」
ライナー「髪を結うわけじゃない。心配するな」
サシャ「お菓子の袋でも留めるんですか? だったら寮に戻って新しいの持ってきますけど」
ライナー「いや……これでいいんだ」
ライナー(これくらいなら……持っていても、邪魔にはならないだろうしな。切れちまったら諦めもつく)
サシャ(使わない髪ゴムなんかもらって、ライナーったらどうするんですかね……変なの)
204 : ◆H4iwFNXQsw:2013/12/25(水) 20:52:38 ID:joV9ZTJ.
ライナー「そろそろ夕食の時間だな。すっかり暗くなっちまった」
サシャ「ああ、そうですね……日が落ちるの早くなりましたよね」
ライナー「一旦営庭に戻ってから食堂に行くか。……あいつらにも謝らないとな」
サシャ「そうですね、すっぽかして話し込んじゃいましたからね。……というわけで、はいどうぞ」スッ
ライナー「……? 掴めばいいのか?」
サシャ「いつもは私がライナーから手を借りてるので、たまには逆もいいかなって思いまして。さあさあ、遠慮しないで掴まってください!」
ライナー「それじゃ、ありがたく借りるか。……よっと」グイッ
サシャ「わわ……っと、やっぱりライナー重いですね」ヨロッ
ライナー「お前は軽そうだよな。……どれ、ちょっと試してみるか」ヒョイッ
サシャ「え? 試すってーーわぁっ!?」
205 : ◆H4iwFNXQsw:2013/12/25(水) 20:53:29 ID:joV9ZTJ.
ライナー「何度か運んじゃいるが、やっぱり軽いな」
サシャ「あ、あの、ライナー……っ!? この年で抱っこされるのは……恥ずかしいんですけど……っ!」
ライナー「何言ってんだ、担ぐよりマシだろ?」
サシャ「そりゃそうかもしれませんが、これっ、手はどこに……!」
ライナー「そこまで面倒見切れるか。……取り敢えず、頭でも掴んでろ」
サシャ「は、はい……」ギュッ
ライナー「お前、身長の割に軽いな。アニと同じくらいか?」
サシャ「え? ……さあ、どうでしょう。アニと比べたことありませんし」
サシャ(アニと同じくらいだって、すぐにわかっちゃうってことは……アニの体重知ってるんですかね)
サシャ(そりゃあ、対人格闘の時にアニと組んでるのよく見かけますし、それでまあ、持ち上げることもあるでしょうし……でも…………他の女の子と、比べるなんて)
サシャ「……」ムカムカ
206 : ◆H4iwFNXQsw:2013/12/25(水) 20:54:19 ID:joV9ZTJ.
サシャ「……」ナデナデ
ライナー「……おい、何してんだ」
サシャ「ぐちゃぐちゃにされた仕返しです。……それに、ライナーの頭に触れる機会ってあまりありませんからね。やれる時にやっておこうかなって思いまして」ワシャワシャ
ライナー「……下ろすぞ。手を離せ」
サシャ「もしかして、照れてます?」ニヤニヤ
ライナー「……」
サシャ「かなり素直になりましたねぇ、ライナー」ナデナデ
ライナー「……悪いか。ーー背が高いから、こういうのは慣れてねえんだよ」ブツブツ
サシャ「じゃあ、たーっぷり撫でて甘やかしてあげないといけませんねー」ナーデナーデ
ライナー「……」ポイッ
サシャ「あいたぁっ!? ーーなっ、何も雪の中に放り投げることないじゃないですかぁっ!!」プンスカ
ライナー「遊んでないで行くぞー」ザクザク
サシャ「遊んでたのはライナーでしょうにぃ……」ブーブー
207 : ◆H4iwFNXQsw:2013/12/25(水) 20:55:10 ID:joV9ZTJ.
ーー 同刻 営庭
エレン「ミカサ、もう行こうぜ? 座るところなくなっちまうよ」ツンツン
ミカサ「もうちょっとだけ待って」
エレン「早く見せたいのはわかるけどさ、大したものでもないんだから食堂で渡せばいいだろ? ーーほら、行くぞ」グイッ
ミカサ「行かない。サシャを待ってる」ブンブン
エレン「……ああそうかよ。そんなにサシャがいいのかよ」イラッ
ミカサ「そんなこと言ってない」フルフル
アルミン「まあまあエレン、そこまでにしときなよ。……ミカサ、先に行って席取っとくね」スタスタ...
ミカサ「うん、また後で」フリフリ
エレン「いいんだな!? 行っちゃうからな!? 本当にいいんだな!?」
アルミン「ほらほらエレン、わかったから行こうよ」グイッ
エレン「ほら行っちまうぞ!? 本当にいいのか!? 止めるなら今だぞ!? 行っちゃうぞ!?」ズルズル...
208 : ◆H4iwFNXQsw:2013/12/25(水) 20:56:03 ID:joV9ZTJ.
ミカサ(あっ……せっかく今まで一緒に待っていてくれたのに、お礼も言わないで別れてしまった。……後で二人に謝ろう)
ミカサ(サシャは、うまくライナーから聞き出せただろうか……)コロコロ...
ミカサ「……」コロコロコロコロ...
ミカサ「……」ゴロゴロゴロゴロ...
ミカサ「……」ゴーロゴーロゴーロゴーロ ノシッ
ミカサ「……ふぅ、できた」
ミカサ(調子に乗って大きくしすぎてしまった。……どうしよう、エレンに見えない)シュン
ミカサ(これはベルトルトということにして、次はエレンを作ろう)コロコロ...
ミカサ「……」コロコロコロコロ...
ミカサ(……楽しくなってきた)ゴロゴロゴロゴロ...
ミカサ「♪~」ゴーロゴーロゴーロゴーロ
ライナー「……何やってんだ、ミカサ」
サシャ「随分と大きい雪だるまですねー」
209 : ◆H4iwFNXQsw:2013/12/25(水) 20:57:03 ID:joV9ZTJ.
ミカサ「! サシャ、おかえり。……あとライナーも」
ライナー「俺はついでかよ」
サシャ「ミカサってば、こんなところでずっと待ってたんですか? 寒かったでしょうに……手は冷えてません?」
ミカサ「平気。ミーナが上着と手袋を持ってきてくれたから」モコモコ
サシャ「そうですか、よかったですねぇ。ーーところでこの子は誰ですか? もしかしてエレンとか?」
ミカサ「違う。この子はベルトルト。今作ってるのがエレン」
ライナー「最初にベルトルトを作ったのか?」
ミカサ「本当はエレンとアルミンを作る予定だったのだけれど、間違った」
サシャ「ライナーと同じくらい背丈あるのに、よく雪玉のせましたねー」
ミカサ「こうやって持った」ガシッ
ライナー「持ち上げてるっていうか雪玉にしがみついてるみたいだな」
210 : ◆H4iwFNXQsw:2013/12/25(水) 20:58:04 ID:joV9ZTJ.
サシャ「それにしても……こんなところで雪遊びなんかしてどうしたんです? エレンとアルミンはどこに行ったんですか?」キョロキョロ
ミカサ「食堂に行った。私は置いて行かれた」
ライナー「珍しいな。一緒じゃないのか」
ミカサ「さっきまでここにいたのだけれど、流石に待ちきれなかったらしい。宝物を渡したら、すぐに追いかけるつもりだから大丈夫。心配いらない」ゴソゴソ
サシャ「宝物……?」
ミカサ「そう。……はい、サシャにあげる」スッ
サシャ「これは……みかんですか? でも確か、昨日ので最後だったんじゃ」チラッ
211 : ◆H4iwFNXQsw:2013/12/25(水) 20:59:01 ID:joV9ZTJ.
ライナー「コニーはそう言ってたぞ。ーーミカサ、これはどこから持ってきたんだ?」
ミカサ「雪の中」
サシャ「雪の中って、なんでそんなところから…………あっ」
ライナー「……この前の、化石か」
ミカサ「そう。発掘者はベルトルトとアニ。あとでお礼を言うといい」
サシャ「そうなんですか……取り敢えず、皮を剥いてみましょうかね。……ふぐぐぐぐ」ググググ...
ライナー「そんなにガチガチじゃ剥けねえだろ。少し溶かしたほうがいいんじゃないか?」
ミカサ「そんな時はこれ。ーー なんでも切れちゃうはんばとうしーん」チャララチャッチャラー
ライナー「どうやって持ってきた」
ミカサ「細かいことは気にしちゃいけない。ーーさあ、開けてみよう」ザクッ パカッ
212 : ◆H4iwFNXQsw:2013/12/25(水) 21:00:25 ID:joV9ZTJ.
ライナー「……」
ミカサ「……」
サシャ「……」
ライナー「……これは、食えるのか?」
ミカサ「さあ……?」
サシャ「……中味、見なきゃよかったですね」
おわり
213 : ◆H4iwFNXQsw:2013/12/25(水) 21:02:22 ID:joV9ZTJ.
というわけで雪合戦回でした 書き直しまくってたら今回とんでもなく長くなりましたが、好きな人発言もようやく回収です
それと今後についての話を少しだけ
今のペースだと年内に終わるのが絶望的になってきたんですがっていうかもう無理なんですが、駆け足で仕上げたくないのでじっくりやります というわけであと5話です もう少しだけお付き合いください
それではまた次回、山岳訓練・冬です どうなるかわかりませんが予定通りだとイチャイチャは少なめ たぶん年明けになると思います 少し早いですがよいお年をー!
乙!やっと思いが伝わった…こっちまで感慨深いな…
あとちょっとで終わっちゃうのかと思ったらまだ5話もあると聞いて安心した
215 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/12/25(水) 21:58:36 ID:5n8zan0c
乙
待ってました!あと5話もあるなんて嬉しいな。
216 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/12/25(水) 23:30:08 ID:ZguF5fjU
乙!あと5話かあ…寂しいような。
好きな人はやっぱり女神だったのかな。
217 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/12/26(木) 00:30:50 ID:fNHZGHE.
乙!
伝わって良かったのに切ない!
218 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/12/26(木) 18:31:18 ID:oeaXBiIg
髪ゴムに切ない予感がするのは俺だけか…?
219 :以下、名無しが深夜にお送りします:2014/01/08(水) 19:08:03 ID:smDet.qk
あけおめ
次はまだでしょうか。待ってます。
220 : ◆H4iwFNXQsw:2014/01/08(水) 19:15:23 ID:c8MPZ0H2
あけましておめでとうございます 今年もよろしくお願いします
年末年始で忙しかったりラストに向けてお話練ったり気分転換にコニーというかマルコSS進めたりしてました、申し訳ありませんがもう少しお待ちください
書きためはちゃんとしてますのでご安心を 来週辺りには投下したい……です
221 :以下、名無しが深夜にお送りします:2014/01/09(木) 02:02:27 ID:b9g2W/Us
あけましておめでとう
>>1のペースでいいんだよ
ピンクわたウサギの赤ちゃんの方も楽しませてもらってるよ
222 : ◆H4iwFNXQsw:2014/01/14(火) 19:43:07 ID:8JU9gYSs
>>221 ありがとうございます そう言っていただけるとありがたいです
そんなわけでお待たせしてすみません、やっと目処がついたので今週中に次スレ立てて山岳訓練前半投下します
ですのでこのスレはageないようにお願いします
ライサシャ描写少なめと予告しましたが、やっぱり欲が出てしまいまして現在大幅に追加中です
223 :以下、名無しが深夜にお送りします:2014/01/14(火) 20:43:53 ID:oQjUO6kM
おおっ!楽しみにしてます!
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