しんのすけ「アローラ地方を冒険するゾ」
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13 :超超ゴルーグロボ ◆g/SXBgh1y6 :2017/06/13(火) 18:50:26.66 ID:31e3ztue0
ひろし「ハウくん……悔しいが今は逃げよう! こいつとまともにやりあって勝つのは無理だ……!」
ハウ「ううー……。ガオガエン戻ってー」
ハウがガオガエンをボールに戻そうとした時だった。テッカグヤが噴射口をこちらへと向けてきた。
ひろし&ハウ「!」
テッカグヤ「フー……」キィィン
ひろし「やばっ……!」
ハウ「おじさん……!」
噴射口が熱を帯びて光りだす! それが何を意味するのか、2人はすぐに理解したと同時に死を覚悟した。その時だった。
「カ プ ゥ ー コ ッ コ ォ ー ッ ! !」
14 :超超ゴルーグロボ ◆g/SXBgh1y6 :2017/06/13(火) 18:52:00.75 ID:31e3ztue0
バチチチッ!!
テッカグヤ「フー……!??」
ひろし&ハウ「!?」
テッカグヤに雷が落ちてきたかと思うと、電気を帯びながらそのままぐらりと再び傾き、今度こそ倒れてしまった。噴射口から、爆炎が出る気配もない。
ズシンッ
テッカグヤ「……」
ひろし「今のは……?」
ハウ「この声……!」
「カプゥー!」ギュンッ!
バチバチと電気を帯びながらふたりの前に現れたのはメレメレの守り神、カプ・コケコだった。外殻を外して、ひろしとハウを静かに見つめている。
ハウ「わー! カプ・コケコだー!」
ひろし「このポケモンが、カプ・コケコなのか!」
ドタドタドタッ
ケンタロス「モォォォッ!」
???「お二人方! ご無事ですかな?」
15 :超超ゴルーグロボ ◆g/SXBgh1y6 :2017/06/13(火) 18:53:03.56 ID:31e3ztue0
ハウ「じーちゃん!」
ひろし「ハラさん!」
ハラ「カプ・コケコを追って来てみれば、ハウとひろしさん……危ないところでしたな」
ひろし「ハラさん、ありがとうございます」
ハラ「礼なら私よりカプ・コケコに……」
ハウ「じーちゃん、実は……」
ハラ「うむ、話はイリマより聞いております。……ですが、かがやく石はそれぞれのカプがしまキングに渡す特別なもの。まずはカプ・コケコに判断を委ねましょうぞ」
ハウ「お願い、じーちゃんー……」
ハラ「ハウ、いつもの元気はどうしましたかな?」
ハウ「じーちゃん……。ごめん、おれ、ビーストに壊された街を見て、すごいショックを受けちゃってー……。こんなことになるなんて、思わなかったからー……」
ハラ「……しまキングの孫のハウよ。気を強く持ちなさい。お前は島巡りを経て心も身体も強くなったはずですぞ」
ハラ「街のことは心配めさるな。事態が収まったあとで、みなで復興すればいいのですから。ですが、ハウが折れてしまってはそれすら出来なくなってしまいますぞ!」
ハウ「うん、じーちゃん……」
16 :超超ゴルーグロボ ◆g/SXBgh1y6 :2017/06/13(火) 18:53:54.93 ID:31e3ztue0
ハラはハウの頭をなでると、カプ・コケコへと近づいた。
ハラ「今の話……お聞きになりましたかな?」
カプ・コケコ「……」
ハラ「カプ・コケコよ。お頼み申します。これは、アローラにとっても未曾有の危機なのです。どうぞ、孫たちに未来を与えてくだされ……!」
ハウ「お願いー! カプ・コケコー!」
ひろし「俺からも、頼む!」
カプ・コケコ「……」
カプ・コケコは燃える博士の研究所をバックに、ひろしとハウ、そしてハラを試すように見つめている……。
17 :超超ゴルーグロボ ◆g/SXBgh1y6 :2017/06/13(火) 18:55:53.76 ID:31e3ztue0
カプ・コケコ「カプゥー! コッコォー!」バチチチッ!!
カプ・コケコは電気を再びまとい始めると、ハウオリシティの方角へと飛んでいってしまった。
ひろし「……ダメだったか」ガックリ
終わった。自分たちの願いは、カプに届かなかったのか。落胆するひろしだが、ハラは首を横に振った。
ハラ「いえ……カプ・コケコは、『後は任せたぞ』とおっしゃられてました。その証拠にーー」
そう言って、ハラは草むらに落ちている、かがやく石をひろしたちに見せた。
ハウ「それってー……!」
ひろし「かがやく石だ!」
ハラ「……持って行きなされ。そして頼みましたぞ! アローラの存亡は、あなた方にかかっています!」つ かがやく石
ハウ「うんー! ありがとーじーちゃん! カプ・コケコー!」
ひろし「よし、それじゃあ次はハプウちゃんのところだ!」
18 :超超ゴルーグロボ ◆g/SXBgh1y6 :2017/06/13(火) 18:57:39.46 ID:31e3ztue0
カンタイシティに着いたククイ博士は、ビーストとの戦いで疲弊したマオとスイレンの代わりに、ウルトラビーストたちの相手をしていた。
ククイ博士の相手をしているのは、マッシブーンとは逆に華奢で細身の身体付きをし、髪のように伸びた羽を持つ白いウルトラビースト、フェローチェ。それが3匹、ククイ博士の前に立ちふさがっている。
対するククイ博士は、まひるのすがたのルガルガン1匹のみ。数の差で不利と思われたが……。
ククイ博士「よーしルガルガン! いわなだれだ!」
ルガルガン「ウォーーンッ!」
ルガルガンはジャンプし、フェローチェたちに向けて粉々にした岩を雨あられのごとく投げつけた!
フェローチェたち「フェロッ……!?」
ククイ博士「そして、ビーストたちにアクセルロックだ!」
ルガルガンは高速で飛び出すと、いわなだれで怯んだフェローチェたちに突っ込み、次々と跳ね飛ばしていく! そのままフェローチェたちはバタバタと道路に倒れ伏していった。
ククイ博士「ジャスト4ターン。予言通りだったろ?」
19 :超超ゴルーグロボ ◆g/SXBgh1y6 :2017/06/13(火) 18:58:32.30 ID:31e3ztue0
スイレン「いわなだれで敵を怯ませつつ、アクセルロックで素早く仕留める……さすがです!」
カキ「さすがバトルロイヤルの伝道師、ロイヤルマスク! 不謹慎だが、燃える戦いだ!」
バーネット「えっ? ククイ君がロイヤルマスクなの?」
ククイ博士「日夜技の研究をしているからね。もちろん複数の相手を倒せる技も把握しているから、このくらいお手の物さ!」
ククイ博士「そしてカキ、僕はククイ博士であって、ロイヤルマスクではない!」
バーネット「あぁ、びっくりした。そうよね、体格も戦い方もロイヤルマスクに似ているけれども、ククイ君の方が魅力的だもの」
ククイ博士「う、うーん……なんか微妙な気分」
ククイ博士「ところでバーネット、ウルトラホールの状況はどうだい?」
バーネット「今のところ、カンタイ周辺にウルトラホールが開く気配はないみたい。空間も安定しているし、ここの住民を安全な場所へ避難させるなら、今が一番かもね」
ククイ博士「わかった! それじゃあカキ! スイレン! 君たちは引き続きアーカラ各地にいる、避難している人たちの保護を頼むよ!」
カキ「わかった、おれはロイヤルアベニュー周辺に向かう。スイレンはオハナタウンを頼む」
スイレン「はい!」
20 :超超ゴルーグロボ ◆g/SXBgh1y6 :2017/06/13(火) 19:00:26.95 ID:31e3ztue0
カキはライドポケモンのリザードンに乗って空を飛んでロイヤルアベニューへ、スイレンはケンタロスにまたがってオハナタウンへと向かっていった。
バーネット「後はライチさんとマオがうまくやってくれるといいのだけれども……」
ククイ博士「うまく行くさ。さっきハウとしんのすけのお父さんから、メレメレでかがやく石を手に入れたっていう連絡が来たよ。今2人はポニ島に向かってるそうだ」
バーネット「カプ・コケコは協力的ってことね。残りのかがやく石はここを含めて3つ……。でも、きっと他のカプも手を貸してくれるわよね」
ククイ博士「ああ!」
ライチ&マオ「博士!」
ククイ博士「!」
ディグダトンネルから、ライチとマオが出てきてククイ博士たちに手を振った。ククイ博士が二人のもとへ走り寄る。
ククイ博士「どうだったかな? カプ・テテフは……」
21 :超超ゴルーグロボ ◆g/SXBgh1y6 :2017/06/13(火) 19:03:00.51 ID:31e3ztue0
ライチとマオは顔を合わせると、示し合わせたように頷いた。
ライチ「カプ・テテフもできる限り協力すると言っていたよ。もともと、カプ・テテフもビーストが襲来してきたとき、怪我した人とポケモンたちを積極的に治していったからね。……やり過ぎないよう注意しているけどさ」
マオ「これがカプ・テテフからいただいたかがやく石でっす!」
マオの手には、かがやく石が握られていた。それをククイ博士へと手渡す。
ククイ博士「よし、これでかがやく石は残り2つだ!」
ライチ「ん、メレメレかウラウラのどちらかが石を貰えたのかい?」
ククイ博士「ああ、メレメレでカプ・コケコから石を貰えたって連絡が入ってきてね。今、ハウとしんのすけのお父さんがポニ島に向かっているよ」
ライチ「となると、ウラウラとポニか。クチナシとしまキングの孫のハプウ……だったね。2人がうまくカプに取り計らってくれるといいけれども」
ククイ博士「大丈夫。きっとうまくいくさ!」
ライチ「それにしても、財団の代表……ルザミーネだっけねぇ。このアローラにビーストを解き放つだけじゃなくて、大試練を終えて疲弊したしんのすけに手を出して、ビーストの世界にさらうなんて、許せないね」
マオ(初対面でしんのすけ君をお持ち帰りしようとしたのにそれ言うんですか……)
ライチ「リーリエは、しんのすけと母親を取り戻しにビーストの行く世界に行くつもりなんだろ? なにか母に対して深い事情でもあるんだろうね。できることなら、手伝ってやりたいけどさ」
ククイ博士「それはリーリエ自身が解決しなきゃいけない問題だよ。僕らが深入りしていいことじゃない。僕らがするのは、この世界を守ることだよ」
ライチ「そうだね……」
22 :超超ゴルーグロボ ◆g/SXBgh1y6 :2017/06/13(火) 19:03:47.29 ID:31e3ztue0
ククイ博士「……ライチさん。いや、マオにも訊いてみようかな」
マオ「はい?」
ククイ博士「君たちはビーストと戦ってみて、他のポケモンと比べてなにか感じるものはあったかい?」
ライチ「ビーストと戦って感じるもの、ねぇ」
マオ「あたしは正直、早く街の人たちを避難させなきゃって思っていたので……そういうことを考えている余裕がありませんでした。強いて言うなら……なんとなくですけど、ぬしポケモンのラランテスと同じオーラをまとっていたのを見たくらいです」
ライチ「そうだね……あたしは特に何も感じなかった、かな」
マオ「えっ……?」
ライチ「確かにビーストたちと一戦交えてみると、そこらのポケモンとは比べ物にならない戦闘力を持っているよ。ひょっとしたら、1匹1匹が伝説のポケモンに肉薄するくらい強いかもね」
ライチ「だけど、それ以上だね。ビーストたちは強いポケモンだけど、後は草むらから飛び出してくる野生のポケモンとそう変わらない気がする」
23 :超超ゴルーグロボ ◆g/SXBgh1y6 :2017/06/13(火) 19:04:43.18 ID:31e3ztue0
ククイ博士「僕も同じ感情を抱いたんだ。さっき、白いビースト3匹と戦ってみたけれどもね……繰り出してくる技は、僕が知っているかくとうやむしタイプの技ばかりだったんだ」
ククイ博士「戦闘力は桁違いだし、その凶暴性もさることながら……だけど、ビーストもまた、ポケモンということかもね」
ライチ「そうだね……ビースト自身もひょっとすれば、他のポケモンと同じように心が通じ合えるかもしれないね」
ピーピーピー!
ヴ-ヴ-ヴ-!
全員「……!!」
ククイ博士「ビーストの反応……!」
バーネット「周りの空間に歪みは見られないから、どこか近くにビーストがいるっていうことかしら?」
マオ「ライチさん! あそこです!」
マオが空を指すと、遠くにマッシブーンとフェローチェの群れがこちらに向かって飛んできたではないか!
数え切れないほどのマッシブーンとフェローチェが羽音を立ててククイ博士たちの上空を通り過ぎていくが、そのうちの数匹がククイ博士たちの存在に気付いて、降り立ってきた!
マッシブーンたち「ブゥーーンッ!」フロントダブルセップス!
フェローチェたち「ローッ……!」ビシッ
24 :超超ゴルーグロボ ◆g/SXBgh1y6 :2017/06/13(火) 19:05:42.45 ID:31e3ztue0
ライチ「行くよ、マオ!」スッ
マオ「はい、ライチさん!」スッ
ククイ博士「僕も加勢するーー」
ライチ「博士、あんたは船に乗ってエーテルパラダイスに戻るんだ! この島を守るより、やるべきことがあるんだろ!」
ククイ博士「!」
ライチ「さ、ここはあたしらに任せて、早く行きな。それで、絶対にしんのすけのこと、取り戻すんだよ。あの子はライチさんを初めてナンパしてくれたからねえ。その想いに応えてあげないと」ニヤッ
マオ「ライチさん……」ジローッ
ライチ「ふふふ……ジョークはともかくとして、アローラのこと、アンタたちに託したからね」
ククイ博士「ああ、任せてくれ! バーネット、行くよ!」
バーネット「ええ!」
2人が船着場へと走り出したところで、ライチとマオは一斉に各々のボールを投げつける。
ライチ「頼んだよ、ダイノーズ!」ヒョイッ
マオ「行くよ! アママイコ!」ヒョイッ
ダイノーズ「ダノノー!!」ポンッ
アママイコ「アッマーイ!!」ポンッ
25 :超超ゴルーグロボ ◆g/SXBgh1y6 :2017/06/13(火) 19:06:36.35 ID:31e3ztue0
ライチ「ダイノーズ、いわなだれ!」
マオ「アママイコ、ふみつけ!」
ダイノーズ「ノズズッ!」ズズズッ
アママイコ「アマッ!」ダッ
ダイノーズが無数の岩をマッシブーンとフェローチェに向かって落としていき、アママイコは1匹のフェローチェに向けて頭上へジャンプし、踏み潰すように足を勢いよく振り下ろした!
マッシブーンA「ブーンッ!」グッ!
フェローチェA「フェロッ!」フッ!
しかしフェローチェは一瞬にして姿を消して回避し、マッシブーンはいわおとしを両手で受け止める。
更に、着地したアママイコを狙いすましたように、別のフェローチェがとびひざげりを放ち、ダイノーズにフェローチェと同様別個体のマッシブーンがアームハンマーを繰り出した!
ドゴッ!
ドガッ!
ダイノーズ「ダノッ!?」
アママイコ「アマィッ!」
マオ「アママイコ!」
ライチ「ダメだ、数が多いね!」
26 :超超ゴルーグロボ ◆g/SXBgh1y6 :2017/06/13(火) 19:10:52.32 ID:31e3ztue0
更にダメ押し、と次々とマッシブーンとフェローチェたちがダイノーズとアママイコ、更にはトレーナーのライチとマオに襲いかかってくる!
マッシブーンたち「ブゥゥゥンッ!」ドドドド!!
フェローチェたち「フェロォォッ!」ドドドド!!
ライチ「くっ……!」
マオ「ライチさん!」
???「ゴルバット! エアスラッシュ!」
???「ラランテス! ソーラーブレード!」
ゴルバット「ゴルルッ!」バサバサッ!
ラランテス「ラランッ!」ブンッ!
マッシブーンB&フェローチェB「!」
27 :超超ゴルーグロボ ◆g/SXBgh1y6 :2017/06/13(火) 19:11:46.26 ID:31e3ztue0
ゴルバットの空気の刃がマッシブーンたちの筋肉の身体を次々と切り裂いてその身を怯ませ、太陽の力を得た光の刃が、フェローチェたちを吹き飛ばしていく!
マッシブーンB「ブ、ブンッ!」ザクザクッ
フェローチェB「フェローッ!?」ザンッ
マオ「い、今のは……?」
ザッ
???「ビーストにダメージを与えたよスッチー!」
???「やったねスカりん!」
スッチー&スカりん「ふたりの愛の力は、ビーストにだって負けない!」
ライチ「……あんたたちは!」
マオ「スカル団?!」
マッシブーンB「ブンブーンッ!」グワッ!
フェローチェB「フェロォォ!」フシューッ!
スッチーとスカりんに倒されたマッシブーンとフェローチェが起き上がり、4人に襲いかかる!
スッチー「ひええ! こっちに来たーっ!」
スカりん「やっぱ戦わなきゃよかった怖いよスッチー!」
28 :超超ゴルーグロボ ◆g/SXBgh1y6 :2017/06/13(火) 19:15:21.10 ID:31e3ztue0
ライチ「くっ……!」
助けに行こうとも、ダイノーズは傷ついて動けない。このままじゃ大変なことになるーー。その時だった。
「カ プ ゥ ー フ フ ! !」
カッ!!
ドンドンドンッ!!
マッシブーンたち「ブッ……!?」ドッ!
フェローチェたち「ロォッ?!」ドッ!
ライチ「……!」
咆哮と供に不思議な光弾がマッシブーンとフェローチェたちへ落下したかと思うと、次々とビーストたちが倒れていく!
その直後、今度はキラキラと光る鱗粉がライチたちの前に降り注ぎ、傷ついたダイノーズとアママイコの傷が塞がっていく。
29 :超超ゴルーグロボ ◆g/SXBgh1y6 :2017/06/13(火) 19:15:58.13 ID:31e3ztue0
ダイノーズ「ノズズッ!」ギラッ
アママイコ「アッマーイ!」シャキーン!
マオ「ムーンフォースに鱗粉……ライチさん、これって!」
ライチ「ああ……」
空を見上げると、桃色の光がコニコシティの方角に向かって消えていくのが見えた。
ライチ(……ありがとう、カプ・テテフ)
スカりん「なんだか知らないけど助かったよスッチー!」ギュッ
スッチー「私たちの愛の力ね、スカりん!」ギュッ
ライチ「……」イラッ
30 :超超ゴルーグロボ ◆g/SXBgh1y6 :2017/06/13(火) 19:30:19.29 ID:31e3ztue0
その頃、ウルトラスペースではーー。
気が付くと、ルザミーネや彼女の手持ちのウルトラビーストの姿が消えており、しんのすけは優しく地面に下ろされた。
しんのすけはきょとんとしていると、他の個体より小さなフェローチェが、しんのすけの顔を覗いていた。
フェローチェ『お怪我はありませんでしたか? しんのすけ様……いえ、しん様』
しんのすけ「あんた誰? なんでオラの名前知ってんの?」
フェローチェ『覚えていませんの……。でも、わたくしはあなたに助けられたこと、忘れていませんわん』
しんのすけ「そうだっけ? てゆうか、どっかで聞いたことあると思ったら、あいちゃんみたいな声してるね」
フェローチェ『あいちゃん……とは存じませんが、どなたでしょうか?』
しんのすけ「カスカベ地方にいる、オラのお知り合いの1人。とってもお金持ちで、いつもオラに付きまとってマサオくんをこき使ってるの」
フェローチェ『それに似ていると?』
しんのすけ「そーそー、声もカザマくんたちのように似てるし、しん様って呼ぶの、まんまあいちゃんだし」
フェローチェ『まぁ、しん様のお知り合いに似ているなんて、光栄ですわ。なんなら、そのままあいと呼んでくださいませ。なにせ、人間に呼ばれる名前が無いので』
しんのすけ「じゃああいちゃん、なんでオラのこと知ってるの?」
フェローチェ(酢乙女あい)『以前、あなた方に助けていただいたからです。あなた方がアローラ地方と呼ぶ世界のアーカラ島で……』
しんのすけ「あーっ!」
ひろし「ハウくん……悔しいが今は逃げよう! こいつとまともにやりあって勝つのは無理だ……!」
ハウ「ううー……。ガオガエン戻ってー」
ハウがガオガエンをボールに戻そうとした時だった。テッカグヤが噴射口をこちらへと向けてきた。
ひろし&ハウ「!」
テッカグヤ「フー……」キィィン
ひろし「やばっ……!」
ハウ「おじさん……!」
噴射口が熱を帯びて光りだす! それが何を意味するのか、2人はすぐに理解したと同時に死を覚悟した。その時だった。
「カ プ ゥ ー コ ッ コ ォ ー ッ ! !」
14 :超超ゴルーグロボ ◆g/SXBgh1y6 :2017/06/13(火) 18:52:00.75 ID:31e3ztue0
バチチチッ!!
テッカグヤ「フー……!??」
ひろし&ハウ「!?」
テッカグヤに雷が落ちてきたかと思うと、電気を帯びながらそのままぐらりと再び傾き、今度こそ倒れてしまった。噴射口から、爆炎が出る気配もない。
ズシンッ
テッカグヤ「……」
ひろし「今のは……?」
ハウ「この声……!」
「カプゥー!」ギュンッ!
バチバチと電気を帯びながらふたりの前に現れたのはメレメレの守り神、カプ・コケコだった。外殻を外して、ひろしとハウを静かに見つめている。
ハウ「わー! カプ・コケコだー!」
ひろし「このポケモンが、カプ・コケコなのか!」
ドタドタドタッ
ケンタロス「モォォォッ!」
???「お二人方! ご無事ですかな?」
15 :超超ゴルーグロボ ◆g/SXBgh1y6 :2017/06/13(火) 18:53:03.56 ID:31e3ztue0
ハウ「じーちゃん!」
ひろし「ハラさん!」
ハラ「カプ・コケコを追って来てみれば、ハウとひろしさん……危ないところでしたな」
ひろし「ハラさん、ありがとうございます」
ハラ「礼なら私よりカプ・コケコに……」
ハウ「じーちゃん、実は……」
ハラ「うむ、話はイリマより聞いております。……ですが、かがやく石はそれぞれのカプがしまキングに渡す特別なもの。まずはカプ・コケコに判断を委ねましょうぞ」
ハウ「お願い、じーちゃんー……」
ハラ「ハウ、いつもの元気はどうしましたかな?」
ハウ「じーちゃん……。ごめん、おれ、ビーストに壊された街を見て、すごいショックを受けちゃってー……。こんなことになるなんて、思わなかったからー……」
ハラ「……しまキングの孫のハウよ。気を強く持ちなさい。お前は島巡りを経て心も身体も強くなったはずですぞ」
ハラ「街のことは心配めさるな。事態が収まったあとで、みなで復興すればいいのですから。ですが、ハウが折れてしまってはそれすら出来なくなってしまいますぞ!」
ハウ「うん、じーちゃん……」
16 :超超ゴルーグロボ ◆g/SXBgh1y6 :2017/06/13(火) 18:53:54.93 ID:31e3ztue0
ハラはハウの頭をなでると、カプ・コケコへと近づいた。
ハラ「今の話……お聞きになりましたかな?」
カプ・コケコ「……」
ハラ「カプ・コケコよ。お頼み申します。これは、アローラにとっても未曾有の危機なのです。どうぞ、孫たちに未来を与えてくだされ……!」
ハウ「お願いー! カプ・コケコー!」
ひろし「俺からも、頼む!」
カプ・コケコ「……」
カプ・コケコは燃える博士の研究所をバックに、ひろしとハウ、そしてハラを試すように見つめている……。
17 :超超ゴルーグロボ ◆g/SXBgh1y6 :2017/06/13(火) 18:55:53.76 ID:31e3ztue0
カプ・コケコ「カプゥー! コッコォー!」バチチチッ!!
カプ・コケコは電気を再びまとい始めると、ハウオリシティの方角へと飛んでいってしまった。
ひろし「……ダメだったか」ガックリ
終わった。自分たちの願いは、カプに届かなかったのか。落胆するひろしだが、ハラは首を横に振った。
ハラ「いえ……カプ・コケコは、『後は任せたぞ』とおっしゃられてました。その証拠にーー」
そう言って、ハラは草むらに落ちている、かがやく石をひろしたちに見せた。
ハウ「それってー……!」
ひろし「かがやく石だ!」
ハラ「……持って行きなされ。そして頼みましたぞ! アローラの存亡は、あなた方にかかっています!」つ かがやく石
ハウ「うんー! ありがとーじーちゃん! カプ・コケコー!」
ひろし「よし、それじゃあ次はハプウちゃんのところだ!」
カンタイシティに着いたククイ博士は、ビーストとの戦いで疲弊したマオとスイレンの代わりに、ウルトラビーストたちの相手をしていた。
ククイ博士の相手をしているのは、マッシブーンとは逆に華奢で細身の身体付きをし、髪のように伸びた羽を持つ白いウルトラビースト、フェローチェ。それが3匹、ククイ博士の前に立ちふさがっている。
対するククイ博士は、まひるのすがたのルガルガン1匹のみ。数の差で不利と思われたが……。
ククイ博士「よーしルガルガン! いわなだれだ!」
ルガルガン「ウォーーンッ!」
ルガルガンはジャンプし、フェローチェたちに向けて粉々にした岩を雨あられのごとく投げつけた!
フェローチェたち「フェロッ……!?」
ククイ博士「そして、ビーストたちにアクセルロックだ!」
ルガルガンは高速で飛び出すと、いわなだれで怯んだフェローチェたちに突っ込み、次々と跳ね飛ばしていく! そのままフェローチェたちはバタバタと道路に倒れ伏していった。
ククイ博士「ジャスト4ターン。予言通りだったろ?」
19 :超超ゴルーグロボ ◆g/SXBgh1y6 :2017/06/13(火) 18:58:32.30 ID:31e3ztue0
スイレン「いわなだれで敵を怯ませつつ、アクセルロックで素早く仕留める……さすがです!」
カキ「さすがバトルロイヤルの伝道師、ロイヤルマスク! 不謹慎だが、燃える戦いだ!」
バーネット「えっ? ククイ君がロイヤルマスクなの?」
ククイ博士「日夜技の研究をしているからね。もちろん複数の相手を倒せる技も把握しているから、このくらいお手の物さ!」
ククイ博士「そしてカキ、僕はククイ博士であって、ロイヤルマスクではない!」
バーネット「あぁ、びっくりした。そうよね、体格も戦い方もロイヤルマスクに似ているけれども、ククイ君の方が魅力的だもの」
ククイ博士「う、うーん……なんか微妙な気分」
ククイ博士「ところでバーネット、ウルトラホールの状況はどうだい?」
バーネット「今のところ、カンタイ周辺にウルトラホールが開く気配はないみたい。空間も安定しているし、ここの住民を安全な場所へ避難させるなら、今が一番かもね」
ククイ博士「わかった! それじゃあカキ! スイレン! 君たちは引き続きアーカラ各地にいる、避難している人たちの保護を頼むよ!」
カキ「わかった、おれはロイヤルアベニュー周辺に向かう。スイレンはオハナタウンを頼む」
スイレン「はい!」
20 :超超ゴルーグロボ ◆g/SXBgh1y6 :2017/06/13(火) 19:00:26.95 ID:31e3ztue0
カキはライドポケモンのリザードンに乗って空を飛んでロイヤルアベニューへ、スイレンはケンタロスにまたがってオハナタウンへと向かっていった。
バーネット「後はライチさんとマオがうまくやってくれるといいのだけれども……」
ククイ博士「うまく行くさ。さっきハウとしんのすけのお父さんから、メレメレでかがやく石を手に入れたっていう連絡が来たよ。今2人はポニ島に向かってるそうだ」
バーネット「カプ・コケコは協力的ってことね。残りのかがやく石はここを含めて3つ……。でも、きっと他のカプも手を貸してくれるわよね」
ククイ博士「ああ!」
ライチ&マオ「博士!」
ククイ博士「!」
ディグダトンネルから、ライチとマオが出てきてククイ博士たちに手を振った。ククイ博士が二人のもとへ走り寄る。
ククイ博士「どうだったかな? カプ・テテフは……」
21 :超超ゴルーグロボ ◆g/SXBgh1y6 :2017/06/13(火) 19:03:00.51 ID:31e3ztue0
ライチとマオは顔を合わせると、示し合わせたように頷いた。
ライチ「カプ・テテフもできる限り協力すると言っていたよ。もともと、カプ・テテフもビーストが襲来してきたとき、怪我した人とポケモンたちを積極的に治していったからね。……やり過ぎないよう注意しているけどさ」
マオ「これがカプ・テテフからいただいたかがやく石でっす!」
マオの手には、かがやく石が握られていた。それをククイ博士へと手渡す。
ククイ博士「よし、これでかがやく石は残り2つだ!」
ライチ「ん、メレメレかウラウラのどちらかが石を貰えたのかい?」
ククイ博士「ああ、メレメレでカプ・コケコから石を貰えたって連絡が入ってきてね。今、ハウとしんのすけのお父さんがポニ島に向かっているよ」
ライチ「となると、ウラウラとポニか。クチナシとしまキングの孫のハプウ……だったね。2人がうまくカプに取り計らってくれるといいけれども」
ククイ博士「大丈夫。きっとうまくいくさ!」
ライチ「それにしても、財団の代表……ルザミーネだっけねぇ。このアローラにビーストを解き放つだけじゃなくて、大試練を終えて疲弊したしんのすけに手を出して、ビーストの世界にさらうなんて、許せないね」
マオ(初対面でしんのすけ君をお持ち帰りしようとしたのにそれ言うんですか……)
ライチ「リーリエは、しんのすけと母親を取り戻しにビーストの行く世界に行くつもりなんだろ? なにか母に対して深い事情でもあるんだろうね。できることなら、手伝ってやりたいけどさ」
ククイ博士「それはリーリエ自身が解決しなきゃいけない問題だよ。僕らが深入りしていいことじゃない。僕らがするのは、この世界を守ることだよ」
ライチ「そうだね……」
22 :超超ゴルーグロボ ◆g/SXBgh1y6 :2017/06/13(火) 19:03:47.29 ID:31e3ztue0
ククイ博士「……ライチさん。いや、マオにも訊いてみようかな」
マオ「はい?」
ククイ博士「君たちはビーストと戦ってみて、他のポケモンと比べてなにか感じるものはあったかい?」
ライチ「ビーストと戦って感じるもの、ねぇ」
マオ「あたしは正直、早く街の人たちを避難させなきゃって思っていたので……そういうことを考えている余裕がありませんでした。強いて言うなら……なんとなくですけど、ぬしポケモンのラランテスと同じオーラをまとっていたのを見たくらいです」
ライチ「そうだね……あたしは特に何も感じなかった、かな」
マオ「えっ……?」
ライチ「確かにビーストたちと一戦交えてみると、そこらのポケモンとは比べ物にならない戦闘力を持っているよ。ひょっとしたら、1匹1匹が伝説のポケモンに肉薄するくらい強いかもね」
ライチ「だけど、それ以上だね。ビーストたちは強いポケモンだけど、後は草むらから飛び出してくる野生のポケモンとそう変わらない気がする」
23 :超超ゴルーグロボ ◆g/SXBgh1y6 :2017/06/13(火) 19:04:43.18 ID:31e3ztue0
ククイ博士「僕も同じ感情を抱いたんだ。さっき、白いビースト3匹と戦ってみたけれどもね……繰り出してくる技は、僕が知っているかくとうやむしタイプの技ばかりだったんだ」
ククイ博士「戦闘力は桁違いだし、その凶暴性もさることながら……だけど、ビーストもまた、ポケモンということかもね」
ライチ「そうだね……ビースト自身もひょっとすれば、他のポケモンと同じように心が通じ合えるかもしれないね」
ピーピーピー!
ヴ-ヴ-ヴ-!
全員「……!!」
ククイ博士「ビーストの反応……!」
バーネット「周りの空間に歪みは見られないから、どこか近くにビーストがいるっていうことかしら?」
マオ「ライチさん! あそこです!」
マオが空を指すと、遠くにマッシブーンとフェローチェの群れがこちらに向かって飛んできたではないか!
数え切れないほどのマッシブーンとフェローチェが羽音を立ててククイ博士たちの上空を通り過ぎていくが、そのうちの数匹がククイ博士たちの存在に気付いて、降り立ってきた!
マッシブーンたち「ブゥーーンッ!」フロントダブルセップス!
フェローチェたち「ローッ……!」ビシッ
24 :超超ゴルーグロボ ◆g/SXBgh1y6 :2017/06/13(火) 19:05:42.45 ID:31e3ztue0
ライチ「行くよ、マオ!」スッ
マオ「はい、ライチさん!」スッ
ククイ博士「僕も加勢するーー」
ライチ「博士、あんたは船に乗ってエーテルパラダイスに戻るんだ! この島を守るより、やるべきことがあるんだろ!」
ククイ博士「!」
ライチ「さ、ここはあたしらに任せて、早く行きな。それで、絶対にしんのすけのこと、取り戻すんだよ。あの子はライチさんを初めてナンパしてくれたからねえ。その想いに応えてあげないと」ニヤッ
マオ「ライチさん……」ジローッ
ライチ「ふふふ……ジョークはともかくとして、アローラのこと、アンタたちに託したからね」
ククイ博士「ああ、任せてくれ! バーネット、行くよ!」
バーネット「ええ!」
2人が船着場へと走り出したところで、ライチとマオは一斉に各々のボールを投げつける。
ライチ「頼んだよ、ダイノーズ!」ヒョイッ
マオ「行くよ! アママイコ!」ヒョイッ
ダイノーズ「ダノノー!!」ポンッ
アママイコ「アッマーイ!!」ポンッ
25 :超超ゴルーグロボ ◆g/SXBgh1y6 :2017/06/13(火) 19:06:36.35 ID:31e3ztue0
ライチ「ダイノーズ、いわなだれ!」
マオ「アママイコ、ふみつけ!」
ダイノーズ「ノズズッ!」ズズズッ
アママイコ「アマッ!」ダッ
ダイノーズが無数の岩をマッシブーンとフェローチェに向かって落としていき、アママイコは1匹のフェローチェに向けて頭上へジャンプし、踏み潰すように足を勢いよく振り下ろした!
マッシブーンA「ブーンッ!」グッ!
フェローチェA「フェロッ!」フッ!
しかしフェローチェは一瞬にして姿を消して回避し、マッシブーンはいわおとしを両手で受け止める。
更に、着地したアママイコを狙いすましたように、別のフェローチェがとびひざげりを放ち、ダイノーズにフェローチェと同様別個体のマッシブーンがアームハンマーを繰り出した!
ドゴッ!
ドガッ!
ダイノーズ「ダノッ!?」
アママイコ「アマィッ!」
マオ「アママイコ!」
ライチ「ダメだ、数が多いね!」
26 :超超ゴルーグロボ ◆g/SXBgh1y6 :2017/06/13(火) 19:10:52.32 ID:31e3ztue0
更にダメ押し、と次々とマッシブーンとフェローチェたちがダイノーズとアママイコ、更にはトレーナーのライチとマオに襲いかかってくる!
マッシブーンたち「ブゥゥゥンッ!」ドドドド!!
フェローチェたち「フェロォォッ!」ドドドド!!
ライチ「くっ……!」
マオ「ライチさん!」
???「ゴルバット! エアスラッシュ!」
???「ラランテス! ソーラーブレード!」
ゴルバット「ゴルルッ!」バサバサッ!
ラランテス「ラランッ!」ブンッ!
マッシブーンB&フェローチェB「!」
27 :超超ゴルーグロボ ◆g/SXBgh1y6 :2017/06/13(火) 19:11:46.26 ID:31e3ztue0
ゴルバットの空気の刃がマッシブーンたちの筋肉の身体を次々と切り裂いてその身を怯ませ、太陽の力を得た光の刃が、フェローチェたちを吹き飛ばしていく!
マッシブーンB「ブ、ブンッ!」ザクザクッ
フェローチェB「フェローッ!?」ザンッ
マオ「い、今のは……?」
ザッ
???「ビーストにダメージを与えたよスッチー!」
???「やったねスカりん!」
スッチー&スカりん「ふたりの愛の力は、ビーストにだって負けない!」
ライチ「……あんたたちは!」
マオ「スカル団?!」
マッシブーンB「ブンブーンッ!」グワッ!
フェローチェB「フェロォォ!」フシューッ!
スッチーとスカりんに倒されたマッシブーンとフェローチェが起き上がり、4人に襲いかかる!
スッチー「ひええ! こっちに来たーっ!」
スカりん「やっぱ戦わなきゃよかった怖いよスッチー!」
28 :超超ゴルーグロボ ◆g/SXBgh1y6 :2017/06/13(火) 19:15:21.10 ID:31e3ztue0
ライチ「くっ……!」
助けに行こうとも、ダイノーズは傷ついて動けない。このままじゃ大変なことになるーー。その時だった。
「カ プ ゥ ー フ フ ! !」
カッ!!
ドンドンドンッ!!
マッシブーンたち「ブッ……!?」ドッ!
フェローチェたち「ロォッ?!」ドッ!
ライチ「……!」
咆哮と供に不思議な光弾がマッシブーンとフェローチェたちへ落下したかと思うと、次々とビーストたちが倒れていく!
その直後、今度はキラキラと光る鱗粉がライチたちの前に降り注ぎ、傷ついたダイノーズとアママイコの傷が塞がっていく。
29 :超超ゴルーグロボ ◆g/SXBgh1y6 :2017/06/13(火) 19:15:58.13 ID:31e3ztue0
ダイノーズ「ノズズッ!」ギラッ
アママイコ「アッマーイ!」シャキーン!
マオ「ムーンフォースに鱗粉……ライチさん、これって!」
ライチ「ああ……」
空を見上げると、桃色の光がコニコシティの方角に向かって消えていくのが見えた。
ライチ(……ありがとう、カプ・テテフ)
スカりん「なんだか知らないけど助かったよスッチー!」ギュッ
スッチー「私たちの愛の力ね、スカりん!」ギュッ
ライチ「……」イラッ
30 :超超ゴルーグロボ ◆g/SXBgh1y6 :2017/06/13(火) 19:30:19.29 ID:31e3ztue0
その頃、ウルトラスペースではーー。
気が付くと、ルザミーネや彼女の手持ちのウルトラビーストの姿が消えており、しんのすけは優しく地面に下ろされた。
しんのすけはきょとんとしていると、他の個体より小さなフェローチェが、しんのすけの顔を覗いていた。
フェローチェ『お怪我はありませんでしたか? しんのすけ様……いえ、しん様』
しんのすけ「あんた誰? なんでオラの名前知ってんの?」
フェローチェ『覚えていませんの……。でも、わたくしはあなたに助けられたこと、忘れていませんわん』
しんのすけ「そうだっけ? てゆうか、どっかで聞いたことあると思ったら、あいちゃんみたいな声してるね」
フェローチェ『あいちゃん……とは存じませんが、どなたでしょうか?』
しんのすけ「カスカベ地方にいる、オラのお知り合いの1人。とってもお金持ちで、いつもオラに付きまとってマサオくんをこき使ってるの」
フェローチェ『それに似ていると?』
しんのすけ「そーそー、声もカザマくんたちのように似てるし、しん様って呼ぶの、まんまあいちゃんだし」
フェローチェ『まぁ、しん様のお知り合いに似ているなんて、光栄ですわ。なんなら、そのままあいと呼んでくださいませ。なにせ、人間に呼ばれる名前が無いので』
しんのすけ「じゃああいちゃん、なんでオラのこと知ってるの?」
フェローチェ(酢乙女あい)『以前、あなた方に助けていただいたからです。あなた方がアローラ地方と呼ぶ世界のアーカラ島で……』
しんのすけ「あーっ!」
しんのすけ「アローラ地方を冒険するゾ」
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