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しんのすけ「アローラ地方を冒険するゾ」

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Part49
889 :超超ゴルーグロボ ◆g/SXBgh1y6 :2017/06/12(月) 18:55:29.58 ID:hqUZpqG30
ポニ島 ハプウの家
ガンッ!
ひろし「くそっ! どうして……どうしてこうなっちまったんだ……!」ワナワナ
みさえ「あいつはいったいなんなのよ! どうしてしんのすけが……!」
ひまわり「ふぇっ……えっ……えっ!」
ひろし「だいたいお前がしんのすけを島巡りさせるからだろ!」
みさえ「それを言うなら、あなただって積極的だったくせに!」
ひろし「なんだとっ!」
みさえ「なによ!」
ククイ博士「奥さん、落ち着いて……」
ハウ「おじさんもー……」
みさえ「なに? 元はといえばアンタがしんのすけを……!」
ハプウ「や め ん か っ ! !」

890 :超超ゴルーグロボ ◆g/SXBgh1y6 :2017/06/12(月) 18:56:48.34 ID:hqUZpqG30
ひろし&みさえ「!」ビクッ!
ハプウ「今は責任の擦りつけあいをしてる場合ではなかろう!」
ひまわり「ふええん! ふええん!!」
ひろし&みさえ「ひまわり……」
ハプウ「おお、びっくりしたじゃろう。大丈夫じゃ、きっと兄は無事に帰ってくる。あやつは強いからの」ユサユサ
ひろし「……すまん、みさえ。怒鳴っちまって」
みさえ「私も、ついカッとなって……ごめんなさい」
ひろし「しんのすけが奪われたって言うなら、オレ達の手で取り返しに行けばいい。ただそれだけだ」
みさえ「ひまわりがさらわれた時も私たち、そうしたものね」
ひろし「愛してるぜ、みさえ。必ずしんのすけを取り戻そうな」ダキッ
みさえ「私も……」ギュッ
ククイ博士&ハウ「…………」
ハプウ「……お前の家族は面白いのう、ひまわり」
ひまわり「……たい」

891 :超超ゴルーグロボ ◆g/SXBgh1y6 :2017/06/12(月) 18:59:07.61 ID:hqUZpqG30
ハプウ「リーリエも、しゃきっとせんか。あれは決してお前のせいではない。そう自分を責めるな」
リーリエ「……」
リーリエはほしぐもちゃんの入ったリュックを抱きしめながら、しんのすけが連れ去られた光景を思い返していた。
ーーふう、やっと捕まえた。もう逃がさないわ
ーーぬううっ! 離せ離せっ!
リーリエ(しんちゃん……っ!)

892 :超超ゴルーグロボ ◆g/SXBgh1y6 :2017/06/12(月) 19:00:10.99 ID:hqUZpqG30
ククイ博士「まずはクリアスモッグのように、1からやり直して状況を整理してみよう」
ひろし「まずは……しんのすけがハプウちゃんとの大試練を達成して、その直後にルザミーネが現れた」
ハウ「それでーウツロイドっていうビーストと合体して、しんのすけをウルトラホールの向こうへ連れ去ったんだよねー」
ハプウ「その直前に笛が壊され、ホールが消えたあとにビーストが現れ、カプ・レヒレの助けを借りながらここに戻ってきた……」
ククイ博士「逃げる途中、空にいくつものウルトラホールが開かれているのを見たんだ。おそらくだけど、前回のように……いやそれ以上に、アローラにウルトラホールが開かれている!」
ハウ「ルザミーネさんはービーストと合体してホールを開けられるようになったって言ってたよー。ひょっとしたら、コスモッグの力なしでホールを開けられちゃうのかもー」
ククイ博士「彼女の言葉が本当なら、今のところビーストが現れているのはアローラだけ……。他の地方に広がってないだけ、不幸中の幸いだね」

893 :超超ゴルーグロボ ◆g/SXBgh1y6 :2017/06/12(月) 19:11:20.82 ID:hqUZpqG30
ハウ「ルザミーネさんを止めれば、アローラに来たビーストもいなくなるかなー?」
ハプウ「どうかな……仮に元凶を倒し、ホールを閉じたところで、あやつらが煙のように消えるとは限らん。穴へ戻さねばならんだろう」
みさえ「こっちから穴を開けて、ウルトラホールの向こうへ行く手段はないの?」
ハプウ「ある。……正確には『あった』と言うべきじゃが」つ壊れた月の笛
ひろし「そいつは……グラジオくんがリーリエちゃんにあげた笛そっくりだ」
ハプウ「これなるは月の笛。かつてアローラ王朝が太陽と月、それぞれの笛を用いて伝説のポケモンを呼び出した道具じゃ」
ハプウ「本来の流れでは、しんのすけとリーリエはこの2つの笛を用いて、ポニの大峡谷の先にある月輪の祭壇で笛を吹き、伝説のポケモン『ルナアーラ』を呼び出し、その力でルザミーネを連れ帰ろうとしていたのだ」
リーリエ「……」
ハウ「そのルナアーラっていうポケモン、ウルトラホールを開けられるのー?」
ハプウ「伝承通りならば、ルナアーラもまたウルトラビーストじゃろうな。空間に穴を開け、別世界を行き来する能力……恐らくウルトラホールを自由自在に開けられる力を持っておるのじゃ」
ククイ博士「だけど、その笛が壊れているってことは……」
ハプウ「伝説のポケモンを呼び出すのが不可能になった、ということじゃ」


894 :超超ゴルーグロボ ◆g/SXBgh1y6 :2017/06/12(月) 19:12:59.87 ID:hqUZpqG30
みさえ「そんな……直すことはできないの?」
ハプウ「そうしたいのは山々じゃが、わしはあくまで祭壇の番人の末裔でしかない。月の笛も太陽の笛も、作り方はおろか、どんなもので作られているのか、わしには全くもってわからん。そもそもそんな知識を持っている人が今のアローラにいるかどうか……」
ククイ博士「最善の手段がダメなら、次善の手段で挑むしかないね。とにかく、やることが山積みだぜ」
コンコンッ!
ハプウ「む……こんな時に誰じゃ」

895 :超超ゴルーグロボ ◆g/SXBgh1y6 :2017/06/12(月) 19:14:05.60 ID:hqUZpqG30
ガチャッ!
グラジオ「……」
ハプウ「お主は……?」
リーリエ「にいさま……?」
ひろし「グラジオくん!」
ハプウ「なんじゃ、知り合いか?」
グラジオ「リーリエ、ハウ、ひろし、ここにいたのか。とりあえず無事で安心した」
リーリエ「にいさま、どうしてここに?」
グラジオ「今、アローラ全域に数え切れない程のビーストで溢れかえっている……。だからオマエらの身に何か起きたと踏んで、海の民から話を聞きながらここに来たんだ」
グラジオ「ところで……しんのすけの姿が見当たらないが。あいつはどこへ行った?」
リーリエ「……」
グラジオ「……何かあったのか?」
ハプウ「グラジオとやら、とにかく家に入れ。わしの口から話そう」
グラジオ「……ああ」

896 :超超ゴルーグロボ ◆g/SXBgh1y6 :2017/06/12(月) 19:15:51.77 ID:hqUZpqG30
グラジオ「……そうか、月の笛が壊され、しんのすけが連れ去られた、か」
ククイ博士「グラジオくん、だったね? 君は何のためにここに来たんだい? ただ心配しただけでここに来たわけではないだろう」
グラジオ「ああ、リーリエたちをエーテルパラダイスに連れ戻しに来た。ビーストがアローラに溢れかえっている今、パラダイスが一番の避難場所になるからな」
ひろし「そうだな……ここに全員揃っているより、パラダイスに避難してからこれからのことを考えたほうがいい」
グラジオ「……その前に、ポニのしまクィーンにひとつ聞きたい」
ハプウ「なんじゃ?」
グラジオ「この壊れた月の笛についてだ。これを直すことは本当にできないのか?」
ハプウ「再三言うが、修復はほぼ不可能に近い。それが作り方はおろか、どんな素材で出来ているのかすら、誰にも分からずじまいじゃ」
グラジオ「果たしてそうか? 確かウラウラには、アローラ王家の血を引くというキャプテンがいるはずだが。そいつが笛についてなにか知っているはずだ」
リーリエ「……アセロラさん、ですか?」

897 :超超ゴルーグロボ ◆g/SXBgh1y6 :2017/06/12(月) 19:16:51.43 ID:hqUZpqG30
ハプウ「あやつか……確かにアセロラは王家の血筋を引いておる。ひと握りしか知らんアローラの神話をまとめた本を出版したのもあやつの父じゃ。だからと言って、笛の作り方まで関わっているとは限らんぞ」
ひろし「だとしても、知ってる可能性はあるんだろ? だったら、そのアセロラって子から笛の作り方を教えてもらうべきだ」
グラジオ「幸い、エーテルパラダイスにはその手の設備も整っている。素材と製造方法さえ分かれば、修復は可能だろう。壊れた笛もここにあるしな」
ハプウ「……うむ! その通りじゃ! かすかな望みでも、捨ててはいかんな」
ククイ博士「よーし、ならアクアジェットのように急ごう!」
ハウ「よかったねー! おばさんー! リーリエー! しんのすけを助けられるよー!」
みさえ「ええ!」
リーリエ「……」

898 :超超ゴルーグロボ ◆g/SXBgh1y6 :2017/06/12(月) 19:17:35.34 ID:hqUZpqG30
ククイ博士「ウラウラ島へはボクが行くよ。あそこはこの中じゃボクが一番詳しいからね! すぐにキャプテンを見つけ出して合流するよ!」
ククイ博士「ハウ、キミは野原さんたちとリーリエが、ビーストたちに襲われないようポケモンとてだすけして守りぬくんだ! 任せたよ」
ハウ「わかったー!」
ハプウ「わしはここに残る。ポニ島のしまクィーンとして、カプ・レヒレと供にここを守らねばならんからの」
ハプウ「リーリエ、前を向け。おぬしが諦めなければきっと全て取り戻せる! がんばリーリエ、じゃぞ!」
リーリエ「……はい」
ハウ&グラジオ「がんばリーリエ……?」
ハプウ「ひまわりも達者でな」ナデナデ
ひまわり「たい!」
ひろし「よし、それじゃあエーテルパラダイスに急ごうぜ!」
みさえ「……ねぇ、誰か忘れている気がするのよね。誰かしら?」
ハウ「誰かー? 誰だっけー?」
全員「???」

899 :超超ゴルーグロボ ◆g/SXBgh1y6 :2017/06/12(月) 19:24:27.00 ID:hqUZpqG30
エーテルパラダイス
グラジオの小型船に乗ってポニ島からエーテルパラダイスに来たリーリエたちは、そこでウルトラビーストから逃げてきた人々やポケモンたちの光景を目の当たりにした。
財団の職員たちは避難してきた人達のために食事を作ったり、ポケモンの保護を行っている。
ビッケ「グラジオさま、リーリエさま、ご無事でなによりです」
グラジオ「ビッケ……出迎えて早々すまないが、これの解析を頼む」つ壊れた月の笛
ビッケ「これは……月の笛ですか?」
グラジオ「ああ、だが途中で壊されてしまってな……。可能なら修復を、それが不可ならせめて内部の構造や材質の解析を急ぎたい」
ビッケ「かしこまりました。至急技術部に回して解析、可能なら修復の依頼をします」
グラジオ「頼む。……それから、居住区に空いている部屋があれば、ひろしたちの部屋を用意して欲しい」
ビッケ「はい、とはいえ、避難している人たちのこともありますので……全員一人ひとりの部屋を用意することはできません。誰かと相部屋になりますが、よろしいですか?」
ひろし「俺はみさえたちと一緒で構わないです。なぁみさえ」
みさえ「ええ、私たち相部屋でいいです」
ビッケ「リーリエさまは、お屋敷の方でよろしいですか?」
リーリエ「……」コクン

900 :超超ゴルーグロボ ◆g/SXBgh1y6 :2017/06/12(月) 19:25:20.58 ID:hqUZpqG30
ひろし「じゃあ俺は、職員たちの手伝いをしてくる」
ハウ「えー? ゆっくり休めばいいのにー」
ひろし「あんなことがあったとは言え、俺はまだエーテル財団職員の野原ひろしだからな。少しでも避難している人やポケモン手助けをしてやるのが仕事だ」
みさえ「あなた……!」
ハウ「おじさん、かっこいいー」
ビッケ「ひろしさん……ありがとうございます」
ひろし「いえいえ、ビッケさんのためならなんでも朝飯前です」キリッ
ビッケ「は、はぁ……」
みさえ「おい」
ひまわり「……けッ!」

901 :超超ゴルーグロボ ◆g/SXBgh1y6 :2017/06/12(月) 19:25:59.61 ID:hqUZpqG30
ひろし「あ……で、では、まずなにをすれば……」
ビッケ「まずはザオボーさんから判断を仰いでください。今はあの方が一応、職員たちに指示を出していますから。2階にいます」
ひろし「じゃあみさえ、ひま、また後でな」
みさえ「永遠に帰ってこなくていいわよー」フリフリ
ひろし「み、みさえ……」トボトボ
ハウ「おじさん、かっこわるいー」ジトー
ビッケ「では、居住区にご案内いたしますね」
グラジオ「リーリエ……オレたちも行こう。今はお前もゆっくり休め」
リーリエ「……はい」
みさえ「……リーリエちゃん」

902 :超超ゴルーグロボ ◆g/SXBgh1y6 :2017/06/12(月) 19:29:41.82 ID:hqUZpqG30
エーテルパラダイス1F ルザミーネの屋敷
~BGM しんみリーリエ~
リーリエ「……」
ーーおわぁぁっ! リーリエちゃんっ! リーリエちゃんっ!
ーーしんちゃーーーんっ!!
リーリエは屋敷の中のひと部屋に閉じこもり、ベッドの上に座り込みながら、しんのすけがさらわれた時を回想していた。
あの時、自分が母の攻撃に怯まないで、手を離さなければ、彼はここにいたかもしれないのに……。
今までしんのすけがいてくれたおかげで、ルザミーネに暴力を振るわれ、コスモッグが動かなくなっても何とか不安を抑えていられた。
しかし、心の支えが奪われ、堤防が決壊したように、あふれんばかりの悲しみと自責の念がリーリエに押し寄せ、押し潰そうとしている。
リーリエ(わたしが……わたしがわがままを言わなければ……! しんちゃんと一緒に、島巡りなんてしなければ……!)
リーリエ「うっ……ううっ……あああっ!」ポタポタッ
リーリエ「ほしぐもちゃん……わたし、どうすればいいのか……もうわからなくなっちゃった……」
ほしぐもちゃん「……」
リーリエ「わたしの……わたしのせいで……しんちゃんが……! 守るって決めたのに……!」
コンコンッ!
リーリエ「!」
グラジオ「リーリエ、お前に会いたいっていう人がいるが……いいか?」

903 :超超ゴルーグロボ ◆g/SXBgh1y6 :2017/06/12(月) 19:31:27.19 ID:hqUZpqG30
ガチャッ
リーリエ「ーーッ!」
みさえ「リーリエちゃん……」
ひまわり「や!」
リーリエ「しんちゃんの……お母様」
みさえ「急に押しかけてごめんなさいね、ちょっとあなたの様子が気になっちゃったから……。迷惑だったかしら?」
リーリエ「いっ、いえっ! 大丈夫ですっ」
みさえ「そう? それにしたら、ずいぶん目の周りが真っ赤になってるけど」
リーリエ「え? あ、あの、これは……」アタフタ
みさえ「大丈夫、今はグラジオくんもいないから。……ねぇ、ちょっと2人でお話しない?」
ひまわり「たいっ!」
みさえ「ああ、ごめんね。ひまも入れて3人ね。どうかしら?」
リーリエ「は、はい……上がってください」
みさえ「お邪魔しまーす」
ひまわり「たいやーい!」

904 :超超ゴルーグロボ ◆g/SXBgh1y6 :2017/06/12(月) 19:32:32.65 ID:hqUZpqG30
みさえとひまわりが上がると、それぞれテーブルを挟んで向かい合うように座った。みさえは持っていた手提げバッグから魔法瓶と2つの紙コップを取り出すと、魔法瓶の中身であるロズレイティーを注いだ。部屋の中に甘い香りが漂う。
みさえ「さっき、避難所でもらってきたの。こんなこともあろうかと、魔法瓶を持ってきておいてよかったわ~」
リーリエ「そ、そうですか……」
みさえ「……」ズズズッ
リーリエ「……」
リーリエ「あ……あのっ」
みさえ「どうしたの?」
リーリエ「ごめんなさい……! わたしのせいで……しんちゃんが……」ブルブル
みさえ「リーリエちゃん、まずは落ち着いて」
リーリエ「…………」
みさえ「あのね、リーリエちゃん」
リーリエ「……はい」

905 :超超ゴルーグロボ ◆g/SXBgh1y6 :2017/06/12(月) 19:33:49.40 ID:hqUZpqG30
みさえ「私はリーリエちゃんのこと、別に怒ったり責めたりするなんてこれっぽっちも思ってないわ。それどころか、あなたには感謝しているくらいだもの」
リーリエ「……え?」
みさえ「だって、しんのすけが島巡りしている間、ハウくんと一緒にあの子の面倒を見てくれたんでしょ?」
リーリエ「そんな……わたしは……一緒になんて。それに……わたしのワガママで、しんちゃんを振り回してました」
みさえ「本当? あの子を振り回せたとしたら、あなた大したものよ? 逆にしんのすけにさんざん振り回されたんじゃないかしら?」
リーリエ「それは……」
みさえ「でしょう? きっとケツだけ星人したり、インドぞうさん出したり、ナンパしたり……びっくりしなかった?」
リーリエ「え、ええ……。メレメレ島ではびっくりしました……ポケファインダーで水着の女性の方たちを撮ったり、花園ではケツだけ星人をしてほしぐもちゃんが喜んだり……わたしが怒っても、またやったり……」
みさえ「やっぱりね! あの子、帰ってきたらおしおきフルコース決定!」
リーリエ「……」
みさえ「……でもね、ああ見えてしんのすけはたくさん辛い思いをしてきたから、人の悲しみや痛みが分かる、優しい子なの」

906 :超超ゴルーグロボ ◆g/SXBgh1y6 :2017/06/12(月) 19:36:00.23 ID:hqUZpqG30
リーリエ「……っ!」
みさえ「しんちゃんが身体を張ってリーリエちゃんを守ってくれたってことは、あの子……リーリエちゃんのことが大好きなのよ。口では言わないだけで」
ーーリーリエちゃんには、指一本触れさせないゾ!
ーーッ、リーリエちゃんっ!
リーリエ「しんちゃん……!」ウルッ
みさえ「リーリエちゃん、今は泣いちゃダメ! だって、あの子はウルトラホールの向こうに連れ去られただけでしょ? まだ死んだってわけじゃないでしょ?」
リーリエ「……」
みさえ「リーリエちゃん、しんのすけのことをただの5歳児って侮っちゃダメ。あの子……私も夫も、ひまもそうだけど、リーリエちゃんが想像もつかないような冒険をたくさんしてきたのよ?」
リーリエ「そう、なんですか?」
みさえ「ええ、きっと信じてもらえないでしょうけども……。でもこれだけは言えるわ、しんのすけは、ビーストの母だかなんだかわからないけど、そんなのに捕まったぐらいじゃ絶対に死なないってこと! しんのすけの母親の私が言うんだから、間違いないわ!」
ひまわり「たいっ!」

907 :超超ゴルーグロボ ◆g/SXBgh1y6 :2017/06/12(月) 19:36:58.45 ID:hqUZpqG30
みさえ「……だから、リーリエちゃんも諦めちゃダメ。あなたと私たちで、大切な人たちを取り戻しに行くんだから。あなたもグラジオくんも、しんのすけとお母さんをこの世界に連れ戻すんでしょ?」
リーリエ「……はい」
みさえ「下を向かないで。前を向いて、私の目を見て言いなさい」
リーリエ「……はいっ!」
みさえ「うん、その調子。最初に会った時よりも、ずっと良い顔になったじゃない」ニコッ
リーリエ「……あ、ありがとうございます」テレテレ
ひまわり「たやー」
リーリエ「……」
ーーほっほーい! どしたのー?
ーーオラやアセロラちゃんに頼ってばかりですと、将来ロクなオトナになりませんぞ! 方向音痴くらい治しなさい!
ーー今日はオラが布団になったげるから。いっぱい泣いていいよ
ーー大切な人をお守りできるような強い男になりたいんだー
リーリエ「……しんちゃんのお母様」
みさえ「みさえでもおばさんでもいいわよ」
リーリエ「では……みさえさん。お話しして、気分が晴れてきました。ありがとうございます」
みさえ「どういたしまして」

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