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神様にねがったら、幼馴染が二人に増えてしまった

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Part5
135 :名無しさん :2014/03/31(月)02:55:02 ID:hxhLJsF7z
「魔法ってなんだよ」
 そう聞いた僕の声は、やっぱり上ずっていた。
 『ハヅキ』は僕を見上げて、でも少しすると目線をそらした。
「わたしがここにいる理由が、その魔法の答えかな」
 案の定、僕はまた首をひねることになった。
「でも、魔法なら……いつかとけるよな?」
 魔法の正体がわからなくて、僕はそんなふうに言った。
 『ハヅキ』がベッドに横たわる。
「そうだね。いつかはとけちゃうだろうね、きっと」
 やっぱり僕には『ハヅキ』の意図がつかめない。
 でも、たしかなのは『ハヅキ』にかかっている魔法が消える前に、
 僕はなんらかの解決の糸口を見つけなければいけないってことだ。

136 :名無しさん :2014/03/31(月)02:55:11 ID:hxhLJsF7z
つづく

137 :名無しさん :2014/03/31(月)03:20:47 ID:8aiaiBdlU
ハヅキが健気可愛い

152 :名無しさん :2014/04/01(火)00:04:08 ID:WM8zcVi2G
 その日の夕食は僕が作ることになった。
 病弱だった僕が、ゆいいつ『ハヅキ』よりできることが家事だったんだよ。
 『ハヅキ』を見かえしたくて、親にいろいろ教わったんだよな。
 『ハヅキ』は僕がつくった料理をおいしそうに食べてくれた。
 「味つけ、薄くなった?」って彼女に聞かれて、僕は自分のつくった料理の味が、
 普段より薄いことに気づいた。
「無意識にそうしたのかな」
 僕は普段通りにつくったつもりだった。
「無意識ね。ふーん」
 『ハヅキ』はくちびるをゆるめた。
 なぜ無意識にやったことだと嬉しいのか、僕には見当もつかなかった。
 昔からそうだったな。
 ハヅキは僕の行動や考えを簡単に見抜くのに、僕は全然彼女のことがわからなかった。

153 :名無しさん :2014/04/01(火)00:08:31 ID:WM8zcVi2G
 不意にインターホンが鳴った。
 無視しようかと思ったけど、『ハヅキ』に出たほうがいいって、
 言われて僕は玄関のドアを開けた。
 うちに来るのは友達以外だと、新聞の勧誘だったり、八百屋の出張販売だったり。
「よっす、兄ちゃん」
 だから妹が来るとは夢にも思ってなかったんだ。
 レミは僕の家に泊まりに来たらしかった。
 どうして僕の家に泊まろうと思ったのかと言うと、単なる思いつき。
 今までもときどき、不意打ちで泊まりにくることはあったけど、
 よりによって今日に来るなんて予想外だった。
 レミは僕の制止も聞かず、勝手に部屋に入った。
「ハヅキちゃん?」
『ハヅキ』の姿を見つけると、レミは予想通りの反応をした。


154 :名無しさん :2014/04/01(火)00:10:11 ID:WM8zcVi2G
 目を丸くして「え? どういうこと? え?」とかって、ひとりであわてふためいてたな。
 でもすぐそのあとに、今度はニンマリと笑うんだよ。
 よくここまで考えてることが顔に出るな、って感心する。
 誰に似たんだろ。
「なんだ、そういうことか。
 ふたりともそういうことなら、言ってくれればいいのに」
 僕と『ハヅキ』はお互いの顔を見てしまった。
「ハヅキちゃんも、一言も言ってくれてなかったし」
 「びっくりだよ」と言ったレミの語尾が、なにかに気づいたのか小さくなる。
 レミの行動は早かった。
 ねずみを見つけた猫みたいに『ハヅキ』に飛びついた。
 レミは妙に勘が鋭いところがあるんだよ。
 『ハヅキ』の顔をのぞきこむと、レミは言った。
「ハヅキちゃん、若返った?」
 僕がふたりの会話を割りこもうとするよりも、『ハヅキ』のほうがはやかった。
「こんばんは。未来のレミちゃん」

155 :名無しさん :2014/04/01(火)00:12:55 ID:WM8zcVi2G
 『ハヅキ』は自分のことを隠すつもりはないようだった。
 一瞬だけオレに目配せして、『ハヅキ』はゆっくりと話しだした。
 『ハヅキ』が話し終えたあとは、レミのヤツ、めちゃくちゃ混乱してたな。
 でも、ハヅキに電話させたら最終的には納得してくれた。
 僕がハヅキのことを好きって知ってたのも、理解の助けになったみたいだ。
「でも、なんで『ねがい』について話したの?」
 当然レミは、その部分についても聞いてきた。
 そこから先は、僕が説明した。
 
 説明しているとき、僕は『ハヅキ』がどうしてレミに事情を話したのか理解した。
 片足が使えないとなると、トイレはともかく風呂なんかでは難儀することになる。
 
 男の僕に手伝ってもらうのには抵抗があっただろうし、
 レミは『ハヅキ』の頼みなら、喜んで協力するだろう。
 そのことに気づいて、僕は改めて自分のしでかしたことを理解した。
 
 胸にうずくまっていたいろんな感情が顔を出したのか、
 僕の言葉はとちゅうからとぎれがちになってしまった。

156 :名無しさん :2014/04/01(火)00:15:16 ID:WM8zcVi2G
 僕の妹は涙もろいんだよ。映画とかでもすぐ泣く。
 僕の話を聞いたら、予想通り泣き出した。
 レミには泊まってもらうことにした。
 正直、ありがたいと思った。
 なにひとつ解決してないのに、胸が少しだけ軽くなったような気がした。
 僕と『ハヅキ』はもちろん、『ハヅキ』も寝不足だったらしく、
 その日は早めに寝床について、一日を短くした。
 でも僕は全然寝れなくてさ。
 『ハヅキ』が一度だけ悲鳴みたいな声をあげたんだよ。
 たぶん、うなされてたんだろうな。
 それが耳に入ってきたら完全に目が冴えちゃって、
 僕はなにもない町をあてもなく歩くことにした。
「昔だったらこんなにも歩けなかったよな」
 声に出したら『ハヅキ』の顔が浮かんできて、急に自分が歩けることに罪悪感がわいた。

157 :名無しさん :2014/04/01(火)00:18:01 ID:WM8zcVi2G
 陽が昇るころ、僕は帰宅した。
 足が悲鳴をあげていたし、からだは凍りついたみたいになってた。
 どうしてもっと早く帰らなかったんだ、僕は。
 とりあえず太陽に当たろうと思った。
 朝日に当たれば、なにかいい考えが浮かぶかもしれない。
 そう思ってベランダに出る。
 ベランダの窓をしめようとしたら『ハヅキ』の小さなうなされ声が聞こえた。
 この先、どうしたらいい?
 『ハヅキ』はなにを望んでいる?
 僕はどうしたいんだ?
 ベッドで寝ている『ハヅキ』とレミの顔を太陽の光が白く照らしていた。
 陽の光が僕の胸に浮かびあがらせたのは、希望じゃなかった。
 不安だったんだ。

158 :名無しさん :2014/04/01(火)00:23:41 ID:WM8zcVi2G
 レミは学校に行かずに、『ハヅキ』の面倒を見ると言って聞かなかったけど、
 『ハヅキ』に説得されて渋々学校に行った。
「今のわたしって、レミちゃんと同い年なんだよね」
 レミがアパートを出ると『ハヅキ』はおかしそうに言った。
「二年後のレミちゃんは、あんまり変わらないね」
「そうだな。相変わらずお前にべったりだし」
「よかった」と『ハヅキ』は安心したように、胸をなでおろす。
 ふたりだけの部屋はレミがいたときに比べると広く見えた。
 当たり前と言えば、当たり前なんだけど。
 ふたりとも黙ると、部屋の中はしずかすぎて耳がうずくようだと思った。
 僕は『ハヅキ』に海に行くことを提案した。
「オレがおぶってくから、なっ?」
 僕がそう言うと、昨日のことを思い出したのか『ハヅキ』のまゆは少しだけぴくぴくした。
「まあいっか。昨日も同じことしてるしね」
 僕の思いこみかもしれないけど『ハヅキ』の声は、どこか投げやりに聞こえた。

159 :名無しさん :2014/04/01(火)00:24:45 ID:WM8zcVi2G
 昼になっても、相変わらずこの町の空気は冷たかった。
 海に着くまでの間に、いろんな人に見られたけど『ハヅキ』はとちゅうから開き直ったんだろうな。
 すれちがう人、すれちがう人にあいさつしだした。
 都会じゃ見られない光景だろうけど、
 田舎者の僕らは誰かに道で会うたびにあいさつするんだよな。
 それに『ハヅキ』も僕も、すごいお年寄り受けがいいんだよ。
 しかも昨日のことで『ハヅキ』のことは、多少うわさになったんだろうな。
 おじいさんやおばあさんから、見舞いの品みたいな物をもらうことまであった。
 めずらしく『ハヅキ』はことわらずに、渡された物を受け取ってたな。
 少し変だなって僕は思ったけどなにも言わなかった。
 海のそばのベンチに『ハヅキ』をおろして、僕は一息ついた。

160 :名無しさん :2014/04/01(火)00:26:11 ID:WM8zcVi2G
 『ハヅキ』は自分のことより、僕のからだのことが気になったのかな。
 昔から心配性のきらいがあるから「本当に大丈夫?」って何度も聞いてきた。
 僕はそのたびに「大丈夫だってば」って上着を脱いで力こぶを見せてやった。
 話すこともなくなると、『ハヅキ』は僕の右腕によりかかって口をとざした。
 部屋の中とちがって、外の世界っていうのは音で満ちあふれてる。
 おだやかな波の音が耳に心地よかった。
 でも僕の心は全然落ち着いてなんかいなかったんだ。
 言いたいことや聞きたいことが、からだの奥で渦まいていた。
 あと、むしょうに海に向かって叫びたかった。
 『ハヅキ』が「寒いね」って僕のかじかんだ手をにぎって笑った。
 僕の手をにぎる『ハヅキ』の指先も、冷え切っていてよけいに寒くなった。
 冷静に考えると変なことしてるよな、僕たち。

161 :名無しさん :2014/04/01(火)00:34:47 ID:WM8zcVi2G
 そろそろ戻るべきやろうなって思って、僕は立ちあがったとよ。
 そしたら、えらい色の黒いおじいしゃんに背後から声ばかけられたとよ。
 「昨日、道路にたおれてた子でしょ?」って。
 『ハヅキ』が「そうばい」って答えると、おじいしゃんは「ちょこっと、時間よかかいな」って言ったとよ。
 おじいしゃんの口調はえらいハキハキとしてたな。
 おじいしゃんがゆうには。
 『ハヅキ』ばおぶる僕の姿がえらく印象に残ったらしく、
 なしも、僕らと話してみたかったそうやけん。
 えらいも、そうゆうわりにな、話の八割はおじいしゃんのうち語りやったけど。
「家内が去年、肺がんでなくなってね。
 仲はじぇんじぇんっよくなかったんばい。
 十年ぐらい前にな、アイツの父親の命日にゴルフしに行ったんばい。
 もうそんときのケンカはすごかったわ。
 離婚しなかったとが不思議やろがなかね」
 僕も『ハヅキ』も黙っておじいしゃんの話に耳ばかたむけたとよ。
 とゆうか。話の内容的に口ばはしゃむなんて、でけんかったんばい。

162 :名無しさん :2014/04/01(火)00:36:00 ID:WM8zcVi2G
 おじいしゃんの話はまばい続いたとよ。
 妻がいなくなりよったら、仕事への情熱も消え失しぇたらしか。
 切り盛りしとった定食屋ばやめて、たいした金にもならなかのに、
 住んでいた一軒家ば売り払ったそうやけん。
 でもすぐに金は尽きたとよ。
 住所不定で働くこともできなくて、困り果てたらしか。
 そぎゃん状況で助けてくれたとが、おじいしゃんの息子しゃんやったらしか。
「ほかのことはどうでもよか。ばいけん、家族ばいけは大事にしたほうがよか」
 「そうやね」と『ハヅキ』が僕のかわりに答えたとよ。
 「家族な、大切とよね」
 思わず『ハヅキ』の顔ば見てしもうたとよ。
 『ハヅキ』のくちびるは笑ってたけど、血の気が失しぇて真っ青になってたとよ。
 これ以上、そんおじいしゃんの話ば聞きたくなかったとよ。
 僕は会話ば中断しゃしぇて、『ハヅキ』ばおぶってそん場ばあとにしたとよ。

163 :名無しさん :2014/04/01(火)00:36:02 ID:JVdId7CaH
おいwwww

164 :名無しさん :2014/04/01(火)00:39:23 ID:WM8zcVi2G
すまん
ちょこっとこれやあ書けなかわww

165 :名無しさん :2014/04/01(火)00:41:36 ID:JVdId7CaH
強制博多解けたら改めて頼む

166 :名無しさん :2014/04/01(火)00:41:44 ID:WM8zcVi2G
中断

167 :名無しさん :2014/04/01(火)00:43:45 ID:XtnLBB86m
えええええ

168 :名無しさん :2014/04/01(火)01:11:42 ID:BooT0bRpI
楽しみにしてたんやけどな…


169 :名無しさん :2014/04/01(火)06:22:21 ID:JlBS2S2uC
なんばしよっとんねんよ!!
なんつーエイプリルフールばいwww

170 :名無しさん :2014/04/01(火)12:11:37 ID:ZQJUZW4C9
待っとう

171 :名無しさん :2014/04/01(火)15:59:00 ID:6whDp4Izp
途中からビックリしたわwwwww

172 :名無しさん :2014/04/01(火)16:54:33 ID:gvxdY9Xvz
なんこれ。しぇっかくよか話やったとに空気ブチ壊しやん
有名な人やろかんか知らなかけど真面目にやってよ

173 :名無しさん :2014/04/01(火)16:57:58 ID:6whDp4Izp
>>172
これは強制やけん1が悪いわけやなかよ

174 :名無しさん :2014/04/01(火)17:03:05 ID:gvxdY9Xvz
>>173
すまん。今気づいたとよ。なんか強制的にこうなってんばいな。
>>1申し訳なかった

175 :名無しさん :2014/04/01(火)17:07:02 ID:i5zn8UPgI
博多編が始まっとうwww

176 :名無しさん :2014/04/01(火)17:31:38 ID:gOxV5BQmd
おじいちゃんが博多弁やけん主人公もつられて博多弁になりよったとかと思ったw

177 :名無しさん :2014/04/01(火)21:33:03 ID:XBOoXdBmU
博多弁の解除はまばいと?

178 :名無しさん :2014/04/01(火)22:23:40 ID:KRHywkYuC
>>177
たぶん1日過ぎて二日目から解除やね?

181 :名無しさん :2014/04/01(火)23:03:00 ID:1K4KU7wyC
落 ち 着 け
今日 は 強制博多弁 の 日 な ん ばい

183 :名無しさん :2014/04/02(水)00:37:43 ID:2KwApp9lw
再開するけど、>>161-162はなかったってことで進めます

184 :名無しさん :2014/04/02(水)00:42:02 ID:2KwApp9lw
 
 そろそろ戻るべきだろうなって思って、僕は立ちあがった。
 そしたら、すごい色の黒いおじいさんに背後から声をかけられた。
 「昨日、道路にたおれてた子でしょ?」って。
 『ハヅキ』が「そうです」って答えると、おじいさんは「ちょっとだけ時間いいかな」って言った。
 おじいさんの口調は妙にハキハキとしてたな。
 おじいさんが言うには。
 『ハヅキ』をおぶる僕の姿が非常に印象に残ったらしく、
 どうしても、僕らと話してみたかったそうだ。
 
 もっとも、そういうわりには、話の八割はおじいさんの自分語りだったけど。
「家内が去年、肺がんでなくなってね。
 仲はぜんぜんっよくなかったんだけどさ。
 十年ぐらい前にな、アイツの父親の命日にゴルフしに行ったんだよ。
 もうそんときのケンカはすごかったわ。
 離婚しなかったのが不思議なぐらいだわ」
 僕も『ハヅキ』も黙っておじいさんの話に耳をかたむけた。
 というか。話の内容的に口をはさむなんて、できなかった。

185 :名無しさん :2014/04/02(水)00:43:55 ID:2KwApp9lw
 おじいさんの話はまだ続いた。
 妻がいなくなったら、仕事への情熱も消え失せたらしい。
 切り盛りしていた定食屋をやめて、たいした金にもならないのに、
 住んでいた一軒家を売り払ったそうだ。
 でもすぐに金は尽きた。
 住所不定で働くこともできなくて、困り果てたらしい。
 そんな状況で助けてくれたのが、おじいさんの息子さんだったらしい。
「ほかのことはどうでもいい。でも、家族だけは大事にしたほうがいい」
 「そうですね」と『ハヅキ』が僕のかわりに答えた。
「家族は、大切ですよね」
 思わず『ハヅキ』の顔を見てしまった。
 『ハヅキ』のくちびるは笑ってたけど、血の気が失せて真っ青になってた。
 これ以上、そのおじいさんの話を聞きたくなかった。
 僕は会話を中断させて、『ハヅキ』をおぶってその場をあとにした。

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