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男「少し不思議な話をしようか」女「いいよ」
Part6


140 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2016/07/27(水) 19:52:58.93 ID:K+b7Rviio
女「うちのお母さんが出てね」
女「アケミが、自分の事を伝えるじゃない? 同じクラスの子だって」
男「ああ」
女「そしたら、お母さんが『ちょっと待っててくれる』って言って」
女「それから、しばらく待った後にさ」
女「出てきたの」
男「何が?」
女「私が」
男「は?」
女「『どうしたの? いきなり家に訪ねてくるなんて』って」
女「目の前で、私が喋ってたの」
女「私がここにいるのに、目の前にも私がいるんだよ」
女「それが、普通に喋ってるの」
女「そんなはずないじゃない、私の意識は今、ここにあるんだから」
女「空っぽのはずなんだよ、私の体は」
女「じゃあ、誰が私の体の中に入ってるの?」
女「誰が私を動かしてるの?」
女「訳がわからないでしょ?」
男「…………」

141 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2016/07/27(水) 19:53:55.00 ID:K+b7Rviio
女「私もそうだったけど」
女「アケミも目の前の『そいつ』を怖がってた」
女「だってさ、私の住所をアケミは知らなかったんだから」
男「あ、そうか……」
女「そう。私が教えなければ、アケミは私の家まで来る事は出来なかったのに」
女「でも、『そいつ』がさ。私の体を動かしてるやつが家から出てきたでしょ」
女「だから、アケミはどっちが『本物の私』なのか、判断がつけられなくなって」
女「だから、怖くなって走って逃げ出したの。『そいつ』から」
女「そして、私の方にも、叫び始めたのね」
女「『やめて! もう話しかけないで! あんた一体誰なの!!』って、そんな風に」
男「…………」

142 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2016/07/27(水) 19:54:48.81 ID:K+b7Rviio
女「そうやって、アケミが叫びながら走ってたらさ」
女「その途中で、足がもつれてね」
女「アケミは転んだの、歩道で。下がコンクリートだったから、かなり痛かったはずだし」
女「その痛みは私にも伝わってきた。実際、相当痛くって」
女「その痛みで、私は目が覚めたの」
男「…………」
女「布団の中にいて、変な汗をびっしょりかいてた」
女「おかしな夢だよね。ものすごくリアルな夢だったし」
女「腕とか足とか、転んだ時の痛みがまだ残ってたしね。実際に転んだ訳じゃないのに」
男「…………」

143 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2016/07/27(水) 19:55:45.97 ID:K+b7Rviio
男「一応、確認するけど」
男「それ、夢だったんだよな?」
女「うん、そうだよ。私が見た夢。実際に起きた事じゃないから」
女「私はその時、お昼近くまで寝てたから」
女「起きたら、お母さんに寝過ぎだって怒られたのを覚えてる」
男「それ、お母さんに確認はしたのか? アケミって子が家に訪ねて来なかったかを」
女「うん。それも聞いたけど」
女「お母さんは、そんな子は訪ねて来なかったって言ってた。誰も来てないって」
女「お母さんが嘘をつく理由なんかないから」
女「だから、間違いなく夢のはずなんだよ」
男「…………」

144 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2016/07/27(水) 19:56:33.24 ID:K+b7Rviio
男「変な夢だったんだな」
女「うん。たださ」
男「?」
女「これだけなら、変な夢を見たなあで済んだんだけど」
男「何かあったのか?」
女「うん。あったって言うかさ」
女「その日から、急にアケミが私の事を避け始めたんだよね」
男「…………」
女「目が合うとさ、顔をひきつらせて、逃げてくんだ」
女「何か、化物や幽霊でも見るかのような感じで、私の事を見てさ」
女「それで、『近寄らないで! 来ないで!』って言って、逃げていくの」
女「あれは、何でなんだろうね?」
男「…………」

145 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2016/07/27(水) 19:59:02.35 ID:K+b7Rviio
女「その理由を聞きたくて、私はアケミに何回も話しかけようとしたんだけど」
女「私の顔を見るとアケミはすぐに逃げてくから、結局、話す事さえ出来なかったし」
女「卒業間近で、高校も違うところに進学したから、それっきりアケミと会う事もなかった」
女「電話番号も交換してなかったし、ホントに最後まで理由はわからず仕舞い」
女「一体、どんな理由だったんだろうね?」
男「…………」
女「どうしてアケミはその日から私を避ける様になったんだろうね?」
女「何も理由が思いつかなくてさ」
女「不思議だよね。あれは夢のはずなのに」
男「…………」
女「もしもさ」
女「アケミも私と同じ夢を見たんだったら、もっと不思議だよね」
女「そんな事、あるはずないのにさ」
男「…………」

146 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2016/07/27(水) 19:59:33.37 ID:K+b7Rviio
第五話
【他人の中に入った夢】
終了

147 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2016/07/27(水) 20:00:08.63 ID:K+b7Rviio
次回、第六話
【UFOに拐われた子供】
全て終わるまで、あと三話……

148 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2016/07/27(水) 20:05:22.08 ID:/ntCui7K0
あと3話でどうなるのか・・どうもならないのか


149 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2016/07/27(水) 20:19:38.40 ID:zxKyBZWpo
おおおつ

150 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2016/07/27(水) 20:24:45.96 ID:VxR7Bn5SO
今回もゾクゾクしたわ
最高だよ乙

151 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2016/07/27(水) 22:28:26.33 ID:JuXuERdv0
やばいなこれ


152 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2016/07/28(木) 10:14:28.35 ID:yf4DSGmKo
ふおおお
なんか妙にリアルでこええ……


155 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2016/08/03(水) 21:40:43.60 ID:bgmstPv8o
第六話
【UFOに拐われた子供】

156 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2016/08/03(水) 21:41:11.10 ID:bgmstPv8o
母「不思議な話ですか?」
母「ええ、まあ……。ありますけども……」
母「はい。うちの娘の事です……」
母「もう十年以上も昔の話ですけどね」
母「……いえ、それは」
母「あまり話したくない事ですので」
母「…………」

157 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2016/08/03(水) 21:41:38.87 ID:bgmstPv8o
母「わかりました……」
母「そういう事なら、仕方ありませんね……」
母「はい。お話しします」
母「ただ、その時、うちの娘は小学校三年生だったので」
母「今とは、全く関係ないかもしれません」
母「それに、子供の言う事です。少しぐらい変な事を言うのは珍しくありません」
母「ですので、そのつもりで聞いて下さい」
母「ええ、お願いします」
母「その事で、娘に対して妙な先入観を持たないようにして下さい」
母「それだけは、どうか宜しくお願いします……」

158 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2016/08/03(水) 21:42:10.52 ID:bgmstPv8o
母「それでは、お話しますが」
母「その前に、娘の小さい頃の事から話をさせて下さい。五歳ぐらいの時の事です」
母「というのも、その頃の娘は、何て言ったらいいのか……」
母「想像力が豊かだったとでも、言いますか……」
母「……たまに聞きませんか? こういう話」
母「子供が、誰もいない部屋で、一人で何か遊んでいて」
母「会話みたいな、話し声も聞こえてくる」
母「ええ。それで、気味が悪くなって親が呼んだら」
母「『わかった。ちょっと待っててね、〇〇ちゃん』みたいに人の名前を呼んで」
母「誰もいない空間に向かって、手を振ったりとかする」
母「そういう話を聞いた事がありませんか?」

159 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2016/08/03(水) 21:42:48.32 ID:bgmstPv8o
母「いえ、そうではなくてですね」
母「幽霊と話してる訳ではないんです」
母「『イマジナリーフレンド』って言いまして」
母「想像の中の友達、なんだそうです」
母「はい。本当にはいません」
母「架空の友達なんです」

160 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2016/08/03(水) 21:43:17.02 ID:bgmstPv8o
母「これは、子供なら誰でもそういう『想像の中の友達』を作る可能性があるそうで」
母「そんなに珍しい訳でもないそうです」
母「そうですね。ごっこ遊びの延長とでもいうのか……」
母「遊ぶ友達を、自分で、脳内に作ってしまうんですね」
母「子供には、実際に『その子』が見えていたり、話したりもするらしくて」
母「それで、一緒になって遊ぶそうです。傍目から見たら一人で遊んでいる訳ですけど」
母「はい。一人っ子だとか、そういう子供に多いそうで」
母「寂しさを紛らせる為に、そういう友達を作り出すんだそうです」

161 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2016/08/03(水) 21:43:58.52 ID:bgmstPv8o
母「それで、私のところも一人っ子で、共働きだったので」
母「うちの娘にも、そういう想像の中の友達が一人いました」
母「ユカリって娘は呼んでましたね」
母「今は、その事も覚えてないみたいですけど」
母「はい。成長するにつれて、大体、忘れてしまうそうで」
母「よくわかりませんが、そういうものなんでしょうね。だから、幽霊とかと勘違いされる事が多いそうですが」
母「特に心配する事はないそうです」
母「ええ、別に特別な事でもないそうなので」
母「五人に一人ぐらいは、子供の頃、イマジナリーフレンドと遊んでいるそうですよ」
母「ただ、その事を覚えてないだけだとか」

162 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2016/08/03(水) 21:44:47.58 ID:bgmstPv8o
母「ただ、その頃の私は、『イマジナリーフレンド』という存在を知らなかったものですから」
母「小さい頃、よく『その子』とお人形遊びだとかをしているのを見て、ぞっとしたものです」
母「誰もいない空間に向かって、娘が楽しそうに話をしてる訳ですからね」
母「幽霊と遊んでいるんじゃないかって、普通、思いますよね?」
母「ですので、恐ろしくなった私は、娘によく言って聞かせて、『その子』と遊ぶのを禁止にしました」
母「娘は、納得出来ない様な顔を見せていましたが、私が何度も言って聞かせたので、次第に『その子』と遊ぶ様な事はなくなりました」
母「そうしたら、ですね」

163 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2016/08/03(水) 21:45:28.02 ID:bgmstPv8o
母「何故かはわかりませんが、その後、娘は魔法とか占いとか、そういったものに興味を持つようになりまして」
母「私も『その子』と遊ぶよりはマシだと思いまして、そのままにしておきましたら……」
母「いつのまにか、オカルトとか、そういうものにハマっていったんですね……」
母「ええ、魔法だけでなく、幽霊とか、超能力とか、宇宙人だとか、そういったものまで」
母「もう少し別なものなら良かったんですけど、妙なものに興味を持つようになってしまいまして……」
母「ええ……そうですね。好奇心旺盛な子供の事ですからね」
母「そういうのに興味を持つのは、そこまで珍しい事ではないんですけど……」
母「ただ……」

164 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2016/08/03(水) 21:45:55.36 ID:bgmstPv8o
母「それが少し、度が過ぎる傾向がありまして……」
母「図書館とかから、宇宙人とかUFOだとかの本を借りてくるじゃないですか」
母「そうすると、それをずっと熱心に読んでいて……」
母「それで、遂にはね……」
母「UFOを見ただとか、そんな事まで言い出す様になったんです……」

165 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2016/08/03(水) 21:46:23.06 ID:bgmstPv8o
母「ええ、まあ……」
母「子供の時ってそういうものですよね」
母「大人に比べて、知識が少ないものですからね……」
母「飛行機とか、流れ星とか、そういったものでも、UFOだとかと勘違いしてしまうんでしょうね……」
母「ええ、よくある事だと思うんです、これも……」
母「でも……」

166 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2016/08/03(水) 21:49:35.26 ID:bgmstPv8o
母「ある日の事なんです」
母「私がパートから帰ってくると、娘がまだ帰ってきてなくて」
母「外で遊んでいるのかと思って、夕食の準備をしながら、しばらく待っていたら」
母「突然、警察の方がうちに来られまして」
母「はい。それで、その傍らには娘がいるんです」
母「何事かと思うじゃないですか」
母「何か事件に巻き込まれたとか、そういった風に」
母「ところが、話を聞いてみますとね」
母「うちの娘が交番まで行って」
母「それで、お巡りさんに助けを求めたんだそうです」
母「『私は四日後に、宇宙人に誘拐されちゃう。だから、助けて』って」

167 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2016/08/03(水) 21:50:02.88 ID:bgmstPv8o
母「はい……」
母「宇宙人だそうです」
母「しかも、それを言ったのが、小学校三年生にもなるうちの娘ですよ」
母「私はもう、顔から火が出るほど恥ずかしくなりまして……」
母「その来てくださったお巡りさんに、ひたすら謝りました」
母「『申し訳ありません。娘が訳のわからない事を言いって、御迷惑をおかけしました』と……」
母「ところがですね」

168 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2016/08/03(水) 21:50:40.10 ID:bgmstPv8o
母「そのお巡りさんが、少し真剣な表情で私に尋ねるんです」
母「『宇宙人とかはともかくとして、娘さんがこういう事を言う理由に、何か心当たりがありませんか?』って……」
母「何でも、話をよくよく聞いてみると」
母「そのお巡りさんも、誘拐犯が宇宙人だという事を娘から聞いて、初めは困ったそうなんですが」
母「ええ。もちろん、お巡りさんも、それを信じてはいませんでした」
母「ただね……」