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男「少し不思議な話をしようか」女「いいよ」
Part3


57 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2016/07/19(火) 18:34:58.50 ID:o/dEAF/fo
友「そうだな。そうなる」
友「そいつは、部屋の中にも入って、内側にも書いたんだ」
友「『呪』って、大量にな」
友「ああ、それでさ」
友「もちろん俺が書いたやつじゃないから、犯人が不法侵入したって事になって」
友「それで、また現場検証が始まった」
友「俺も白い手袋を渡されて」
友「出来るだけ、中の物に触らないようにしてくれって言われた上で」
友「何か盗られた物とか、逆に増えてる物とかがないかを確認して欲しいって」
友「そう言われた」

58 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2016/07/19(火) 18:35:41.88 ID:o/dEAF/fo
友「で、結果を言うと」
友「盗られた物とか、増えた物とかは、何もなかった」
友「ドア以外は何も異変がなかったんだ」
友「たださ」
友「部屋の鍵穴にピッキングされた痕跡があったらしい」
友「そうだな。そうなる」
友「多分、俺のいない間に誰かがピッキングでドアを開けて」
友「それを書いたんだ」
友「ああ。だから、これは心霊現象だとか、オカルトとかじゃなくて」
友「間違いなく、人間の仕業なんだよ」

59 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2016/07/19(火) 18:36:24.43 ID:o/dEAF/fo
友「ただ、それだと不自然な事が一つあって」
友「最初に、鍵がかかっていた事だ」
友「犯人が部屋をピッキングで開けたんなら」
友「その部屋には、鍵がかかってないはずなんだ」
友「でないと、犯人が外に出れないだろ?」
友「その部屋の窓は閉めてあって、鍵もかかってたから」
友「そこは密室って事になる」
友「どうやって犯人は外に出たんだろうな?」
友「不思議だろ?」

60 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2016/07/19(火) 18:37:30.45 ID:o/dEAF/fo
友「ああ、うん」
友「そういう方法もある」
友「と、いうか、それぐらいしか方法がないと思う」
友「警察の人も、多分、そういう事なんじゃないかって言ってた」
友「だから、ドアに鍵がかかってた理由はそれで説明がつくんだけどさ」
友「でも、それにしたって、余計に薄気味悪いよな」
友「何でそんな事をしたんだって話になるし」
友「嫌がらせやイタズラにしては、タチが悪すぎるからな」
友「しかもさ」

61 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2016/07/19(火) 18:38:10.71 ID:o/dEAF/fo
友「その、ドアに書かれた赤黒い液体」
友「俺も、それを聞いた時は鳥肌が立ったけど」
友「調べた結果、本物の血なんだと」
友「全部、同一人物の血で」
友「染色体から判断して、女」
友「使われた血液の量は、大体2リットル」
友「成人女性でも、一気にそれだけ抜くとヤバイ量だ」
友「何なんだろうな、一体」
友「誰の血なんだろうな、あれ?」

62 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2016/07/19(火) 18:41:00.41 ID:o/dEAF/fo
友「そんな事がわかったもんだから」
友「警察も事件として取り扱って」
友「本格的な捜査をしてくれたんだ」
友「だけど、目撃情報は一切なし」
友「両隣の部屋の人も、ドアの事には気が付かなかったそうだ。いつのまにか布がかぶせられてて、何だろうとは思ったらしいけどな」
友「だけど、聞き込みから犯行時刻はある程度絞れて」
友「昼間の十一時から、午後四時までの間だと断定された」
友「その頃には、俺の部屋のドアの前には布がかぶせられてたんだと。それを近所の人が見たそうだ」
友「それで、俺の知り合いやアパートの住人に、その時のアリバイを確認したそうだが」
友「誰一人、該当者なし」
友「仕事とか学校に行ってる時間だったから、全員に確かなアリバイがあった。主婦はそのアパートにいなかったしな」
友「だから、近所の誰かがイタズラでやったんじゃないかって話になったんだが」
友「じゃあ、あの血は誰の血なんだろうって事になるし」
友「警察の人は、ただのイタズラにしては、手が込みすぎてるとも言ってた」
友「ピッキングだけでなく、誰のものだかわからない、本物の血まで使ってるんだからな」
友「『本当に、誰か心当たりはいませんか?』って、警察に何回も聞かれたよ」

63 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2016/07/19(火) 18:42:12.86 ID:o/dEAF/fo
友「でも、そんな奴にはやっぱり心当たりがないし」
友「俺の知り合いの女性で、その血液に該当した奴もいなかった」
友「ああ。結局、その事件は未だに未解決のままだ」
友「犯人が捕まるどころか、目星もついてないらしい」
友「しかもさ」

64 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2016/07/19(火) 18:43:30.38 ID:o/dEAF/fo
友「俺はその事件の後、気持ち悪くて、すぐに実家にまた引っ越したんだけど」
友「でもな」
友「未だに続いてるらしいぞ」
友「警察の人の話だと、大体、半年に一回ぐらいのペースで」
友「そのアパートの、その部屋のドアに、『呪』って」
友「びっしりと書かれてるらしい」
友「本物の血で」
友「毎回、違う人の血液でさ」
友「共通してるのは、それが必ず女の血液だって事だそうだ」
友「何なんだろうな、あれ?」
友「犯人は何でその部屋にそんな事をするんだろうな?」
友「そして、どうして未だに捕まらないんだろうな?」
友「そんな目立つ事を何度もやってるのに、一回も目撃されてないらしいんだぞ」
友「気味が悪いよな」

65 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2016/07/19(火) 18:44:27.00 ID:o/dEAF/fo
友「ん?」
友「ああ、そうか。そういう方法があるか」
友「それなら、確かに短時間で済むし」
友「目立つ事もそうないよな。全部、まとめてカバンに入れられるんだからな」
友「え?」
友「…………」

66 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2016/07/19(火) 18:45:07.10 ID:o/dEAF/fo
友「ちょっと待て、お前、それって……」
友「……は?」
友「…………」
友「……いや。でも、そんな……」
友「冗談……だよな?」
友「…………」

67 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2016/07/19(火) 18:45:35.00 ID:o/dEAF/fo
第三話
【呪われてる部屋】
終了

68 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2016/07/19(火) 18:46:06.14 ID:o/dEAF/fo
次回、第四話
【消えた友達】
全て終わるまで、あと五話……

69 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2016/07/19(火) 18:53:07.30 ID:gDxB5Yz1O
不思議より不気味より気味が悪い
いいぞ〜これ

70 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2016/07/19(火) 18:55:16.23 ID:JsCWXx3Do
よいね

71 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2016/07/19(火) 19:02:13.63 ID:0ESudGTXO


72 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2016/07/19(火) 21:42:13.90 ID:m3Ws2RNj0

謎が深まる

76 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2016/07/21(木) 20:20:43.09 ID:tY3eG+Nao
第四話
【消えた友達】

77 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2016/07/21(木) 20:21:12.87 ID:tY3eG+Nao
女友「不思議な話?」
女友「あるよ。ホント、謎な話が」
女友「何て言うのかな、色々と意味がわからない話」
女友「本当に、あれは未だによくわからなくてさ」
女友「ひょっとして、夢だったんじゃないか、みたいに思う時もあるんだ」
女友「聞きたいの?」
女友「そう。じゃあ、話すけどさ」

78 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2016/07/21(木) 20:21:46.75 ID:tY3eG+Nao
女友「よく、怪談とかでさ」
女友「『いつのまにか一人増えてる』みたいな話ってあるでしょ?」
女友「うん、そう。大体は、昔そこで死んだ幽霊だったってオチがつくやつね」
女友「結構、ポピュラーな怪談だと思うんだけど」
女友「私も、それと同じような経験をしたの」
女友「うん。本当にあった事」
女友「私が高校生の時にね」

79 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2016/07/21(木) 20:22:13.71 ID:tY3eG+Nao
女友「それが起きたのは、修学旅行の時でさ」
女友「まず、グループ決めをするでしょ?」
女友「うん。それで私は、友達六人とグループを組んだんだけど」
女友「その時の一人がさ、何て言うのかな、霊感が強いって言うの?」
女友「ミキっていう名前の子だったんだけど」
女友「ちょっと、変わった子でさ」

80 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2016/07/21(木) 20:22:40.93 ID:tY3eG+Nao
女友「あー、うん。たまにさあ、ミキが何もないところを見てたりする時あるんだけど」
女友「そういう時は、大体、そこに幽霊がいるんだって」
女友「うん。幽霊」
女友「ホントかウソかは知らないけどね」
女友「私は、霊感なんてものがないし」
女友「見えないんだから、確かめようがないしさ」

81 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2016/07/21(木) 20:23:07.42 ID:tY3eG+Nao
女友「でも、その子が言うには」
女友「幽霊は、結構どこにでもいて」
女友「たまに、私達、生きてる人間にも悪さをするから気を付けて」
女友「なんて事をしょっちゅう言ってた」
女友「さあ? 悪さは悪さでしょ」
女友「なんか、とり憑いたりとかするんじゃない?」
女友「詳しくは聞かなかったけどさ」

82 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2016/07/21(木) 20:23:38.58 ID:tY3eG+Nao
女友「あー、どうだろ」
女友「それは、わかんない」
女友「お祓いとかの力はないんじゃないかなあ。そんな事は一言も聞いた事がないし」
女友「でも、その子から、お守りって言って、塩を渡されたのは覚えてる」
女友「うん。普通の塩じゃなくて、お清めの塩なんだって」
女友「神社とかで使うような、清められた塩」
女友「なんかあった時は、これを使ってって」
女友「小さな紙に包んで渡してくれたんだ」

83 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2016/07/21(木) 20:24:05.94 ID:tY3eG+Nao
女友「それで、話を戻すけど」
女友「修学旅行の時ね」
女友「私達が行ったのは、沖縄でさ」
女友「うん。そうだね。ああいうのって、もう意味がなくなってるからね」
女友「私達も、建前は、戦争の歴史を知るとかそんなんだったけど」
女友「実際は、観光旅行みたいなものだったしさ」

84 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2016/07/21(木) 20:24:33.24 ID:tY3eG+Nao
女友「え?」
女友「ああ、行ったよ。ひめゆり部隊のとこでしょ」
女友「あー、違う違う」
女友「だって、その時は、何もなかったもん」
女友「ミキも、特に何も言わなかったしさ」
女友「何もない場所を、じっと見てたりとかもしてなかったよ」
女友「うん。その日は本当に何もなくて」
女友「それが原因じゃないと思う」
女友「そ。変な事があったのは、その次の日の事なの」

85 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2016/07/21(木) 20:24:59.97 ID:tY3eG+Nao
女友「その日は、ちょっとした自由行動の時間があって」
女友「だから、私達のグループは、六人揃ってお土産とかを買いに出掛けたのね」
女友「そしたらさ、しばらくして」
女友「ミキがね、ぽつりと呟くの」
女友「『一人、多くない?』って」
女友「うん。そうなの」
女友「『私達、五人グループだよね? なのに、六人いるんだけど……』って、言うの」
女友「おかしいよね?」
女友「元から六人だったのにさ」

86 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2016/07/21(木) 20:25:27.51 ID:tY3eG+Nao
女友「最初は、ミキのタチの悪い冗談だと思った」
女友「だからさ、言ったの」
女友「『やめてよねー、ミキ。あんたが言うと冗談に聞こえないんだから』って」
女友「そうしたらね」
女友「『ううん。冗談とかじゃなくて、本当に』って」
女友「なんか、不安そうな顔でさ」
女友「『変だよ、どうして六人いるの?』って」
女友「不思議だよね」
女友「何でミキは、五人グループだと思ったんだろう」
女友「まず、これがよくわからなくてさ」

87 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2016/07/21(木) 20:25:54.03 ID:tY3eG+Nao
女友「うん、そうだよね。そう思うよね」
女友「うん。だから、私もその事をミキに聞いたらね」
女友「『それは、わかんないけど……』って、自信なさそうに言うんだ」
女友「でもさ、『わかんない』なんて事、有り得ないじゃん?」
女友「一人増えてるのが『わかる』のに、誰が増えたのかは『わかんない』なんて事、ないでしょ?」
女友「だから、それは絶対にミキの妙な勘違いとしか思えなくて」
女友「でも、それを言い出したのが、霊感があるミキでしょ?」
女友「みんな、どこか不安になってさ」

88 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2016/07/21(木) 20:26:20.99 ID:tY3eG+Nao
女友「だからさ、出来るだけ明るく」
女友「『ミキ、それもう冗談にしとこ』って」
女友「『折角の修学旅行だってのに、怖いじゃない。この話はもう終わりにしよ』って」
女友「そう言ったらさ」
女友「ミキは納得してないような感じだったんだけど」
女友「でも、わかってくれて」
女友「その事については、それ以上、言うのをやめてくれたのね」