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男「少し不思議な話をしようか」女「いいよ」
Part2


30 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2016/07/17(日) 15:36:24.60 ID:9LNo3peso
女「ひょっとしたら、そういう事が理由でかけてきてるのかもしれないけどさ」
女「でもね」
女「その電話をかけてくるの、一人だけじゃないんだ」
男「は?」
女「毎回、声が違うの」
女「男の人の時もあれば、女の人の時もあるし」
女「たまに、子供の声の時もあるんだ」
女「時間帯も、朝から夜中まで全部バラバラだしさ」
女「なのに、その人たち全員が同じ様に」
女「公衆電話から、私の番号にかけてきて」
女「暗い声で、でもはっきりと」
女「『生きてます』って一言だけ」
男「…………」
女「どうしてだろうね?」
女「その事を私に伝えて、どうしたいんだろうね?」
男「…………」

31 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2016/07/17(日) 15:37:31.38 ID:9LNo3peso
女「そんな電話が、週に一回か二回はかかってくるからさ」
女「迷惑以前に、気味が悪いじゃない?」
女「だから、私もこれまでに何回も携帯を変えたの」
女「機種変更とかじゃないから、その度に、電話番号も変わってるんだけど」
女「なのに、必ずかかってくるんだよね。私の携帯に」
女「公衆電話から」
女「色んな人達から」
女「その人たちは、どうやって私の携帯の番号を知ったんだろう?」
男「…………」

32 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2016/07/17(日) 15:40:15.95 ID:9LNo3peso
男「何かお前に恨みがあるやつがいて、そいつがどこかに携帯の番号を晒してるとかは?」
男「『生きてますっていうイタズラ電話をかけて下さい』みたいなメッセージと一緒にさ」
女「うん。普通、そう思うよね」
女「でも、それも違うんだ」
男「どうして?」
女「さっき、携帯を何回も変えてるって言ったけどさ」
女「その時にね、新しいのに変えたばかりの時。まだ誰にも電話番号を教えてなかった時にだよ」
女「かかってきたんだ。また公衆電話から」
女「『生きてます』って」
男「…………」
女「電話会社の人じゃないと、私の番号はわからないはずなんだけどね」
女「でも、ドコモとかソフトバンクとか、会社も何回も変えてるんだよ」
女「なのに、誰にも教えてなくても、絶対にその電話はかかってくるの」
女「全部の電話会社の人達がグルになってない限り、そういう事は有り得ないんだよね」
男「…………」

33 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2016/07/17(日) 15:41:06.19 ID:9LNo3peso
男「……警察とかに相談はしたのか?」
女「したよ。でも、特に実害がないって事で、捜査はしてくれなかった」
女「そのイタズラ電話をかけてくる人が、ずっと同じ人だったり」
女「『お前を殺す』とかそういう事を言ってくるなら」
女「ストーカーとか脅迫とかで対処してくれるそうなんだけど」
女「でも、『生きてます』っていう言葉だけでさ」
女「それに、かけてくる相手も毎回違うから」
女「多分、あなたの知り合いにネットだとかで番号を書き込んでる人がいるはずだから、番号を教える人を選んで下さい、ってそれだけ」
女「誰にも教えてないのにかかってきた、って事も話したんだけど、流石にそれは信じてくれなかったの」
女「だから、警察への相談はムダだったんだ」
男「……そっか」

34 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2016/07/17(日) 15:41:59.53 ID:9LNo3peso
男「なら、電話会社にイタズラを受けてるって事を相談してみたらどうだ?」
女「うん、それもしたよ。そうしたらね、公衆電話を着信拒否にする事を勧められたの」
男「ああ、そうか。全部、公衆電話だから、着信拒否に設定すればいいのか」
女「うん、そう。だから、私もそれで解決したと思ったんだけどさ」
男「?」
女「着信拒否にしても、かかってくるんだよね」
男「は?」
女「公衆電話から」
女「『生きてます』って」
男「……有り得ないだろ、それ」

35 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2016/07/17(日) 15:42:52.98 ID:9LNo3peso
女「うん。電話会社の人も、そんな事は有り得ないって言ってた」
女「『そもそも、そんな電話、本当にかかってきてるんですか?』とも言われたよ」
男「何で?」
女「その電話の通信記録がさ」
女「向こうには残ってないんだって」
男「は?」

36 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2016/07/17(日) 15:44:12.91 ID:9LNo3peso
女「電話会社の人が言うには」
女「私の電話には、公衆電話からの着信が一回もなかったそうなの」
男「…………」
女「でも、かかってくるんだよ」
女「着信音が鳴ってさ、画面を見ると、公衆電話からって出るの」
女「私の携帯の着歴には、それがちゃんと残ってるんだよ。でも、しばらくするとそれが消えるの。私が消した訳じゃないのに」
女「その事に気付いてから、もう怖くて出れなくなってさ」
女「それからずっと、公衆電話からの着信は全部無視してるんだけど」
女「それでも、今もかかってきてるんだよね」
女「ずっと、十年間、違う人達から」
女「あの電話は何なんだろうね?」
女「何の目的で、どういう方法で、私の携帯に電話をかけてきてるんだろうね?」
男「……さあな」

37 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2016/07/17(日) 15:44:50.97 ID:9LNo3peso
第二話
【生きてますという電話】
終了

38 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2016/07/17(日) 15:45:18.80 ID:9LNo3peso
次回、第三話
【呪われてる部屋】
全て終わるまで、あと六話……

39 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2016/07/17(日) 17:17:05.34 ID:DQUW6rZ/0
怖い

40 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2016/07/17(日) 17:34:22.50 ID:DcIHFDnI0


41 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2016/07/17(日) 18:27:50.00 ID:wgKKDe+OO
乙、面白い
一時期、毎日2時頃に無言電話がかかってくることがあったことを思い出した
その中で一度女性の笑い声が聞こえてきて怖かったわ

42 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2016/07/18(月) 02:28:52.24 ID:uM09lVpXO
どの話も真相は不明のまま終わるんだろうか
そういう怖さってのもあるけど

43 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2016/07/18(月) 10:48:42.97 ID:iDrAnEFCO
不明だからこその不気味さも好きだから問題ない

44 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2016/07/18(月) 17:09:04.16 ID:TuJC9kAkO
全部の話が繋がるとしても俺の好みだから問題ないな

45 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2016/07/19(火) 18:23:29.50 ID:o/dEAF/fo
第三話
【呪われてる部屋】

46 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2016/07/19(火) 18:24:24.51 ID:o/dEAF/fo
友「不思議な話?」
友「ああ、あるよ」
友「不思議っていうか、どっちかって言うと、ヤバイって言うかさ」
友「そんな話が」
友「ああ、うん。怖い話に入るのかな」
友「少なくとも、俺はこれまであれが一番怖かった」
友「ああ、そうだよ。実際に俺が体験した話なんだ」
友「聞きたいのか?」
友「ん。なら、話すけどさ」

47 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2016/07/19(火) 18:25:33.08 ID:o/dEAF/fo
友「わかりやすく、最初から話すと」
友「あれは、俺が大学二年の時だ」
友「通ってた学校が家から遠かったからさ」
友「ちょっとした憧れもあって、一人暮らしを始めようって思ったんだ」
友「まあな。それで、両親を説得して、大学近くに部屋を借りる事になったんだよ」
友「ああ。でも、家賃は自分のバイト代で出せって言われたから」
友「出来るだけ安いところを探してたんだ」
友「で、とあるアパートを見つけた」
友「六畳一間に、キッチン、バス、トイレ付きで、月々3万円」
友「結構、綺麗だったし、敷金も礼金も必要なかったからさ」
友「すぐに、そこに決めて」
友「早速、そのアパートを借りて生活を始めたんだ」

48 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2016/07/19(火) 18:26:21.98 ID:o/dEAF/fo
友「ん?」
友「ああ、そう思うよな」
友「だけど、違うぞ」
友「別に、心霊物件とかそういうのじゃなくてさ」
友「普通の部屋だ。家賃も他と同じ。俺の部屋だけ安いとかはなかった」
友「まあ、怖い思いをしたとか言ったら、普通はそう思うだろうからな」
友「でも、そうじゃなくてさ」

49 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2016/07/19(火) 18:27:09.48 ID:o/dEAF/fo
友「多分、そこで半年ぐらい過ごした頃かな」
友「丁度、一人暮らしが楽しくて仕方なかった頃だったんだけど」
友「『それ』が起きてさ」
友「ああ、あまり思い出したくもない話なんだがな」
友「その日、俺は大学終わった帰りに」
友「そのまま、ツレと飲み会に行って」
友「それで、アパートに帰ってきたのが夜の十時頃だ」
友「で、俺が住んでた部屋は、二階の端から三番目の部屋なんだけど」
友「何故か、その部屋のドアの前に、真っ白な布がかぶせられてるんだよ」

50 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2016/07/19(火) 18:28:01.82 ID:o/dEAF/fo
友「そう、布」
友「カーテンみたいなものかな。それですっぽりドアが隠されててさ」
友「上にガムテープみたいなものが貼られてて、それでとめられてた」
友「だよな。変なイタズラだろ?」
友「一体、誰がこんな事をしたんだと思ってさ」
友「とりあえずそのガムテープみたいなのをはがして、布を取り外すよな」
友「そうしたらさ」
友「書いてあるんだ」
友「ドア全体に、びっしりと」
友「赤黒い液体で」
友「小さな文字でさ」
友「『呪』って、大量に」

51 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2016/07/19(火) 18:28:42.03 ID:o/dEAF/fo
友「それを見て、流石に俺も血の気が引いた」
友「鳥肌も全身に立ってさ」
友「本当にその時は、どうすればいいのか、わからなくなったし」
友「とにかく、怖かった。酔いなんか一気に冷めた」
友「だから、とりあえず、すぐツレに電話をかけて」
友「来てもらったんだよ、俺の家まで」

52 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2016/07/19(火) 18:29:34.53 ID:o/dEAF/fo
友「ツレも、かなり気味悪がってたけど」
友「それでも、一人より二人の方が安心するだろ?」
友「ある程度、時間が経った事もあって、俺も頭が回り始めてさ」
友「ツレと相談して、警察に電話する事に決めたんだ」
友「ああ、ドアに変なイタズラされたって話してさ」
友「それで、『呪』って、びっしりと書き込まれてる事を伝えたんだ」
友「そうしたら、『その部屋の近くで待っていて下さい』って言われて」
友「あと、ドアにも触らない様に言われた」
友「それと、一人かどうかも聞かれて」
友「俺がツレと一緒にいるって伝えたら、『それなら、念の為、周辺には警戒していて下さい』って」
友「まだ、犯人が近くにいるかもしれないからってさ」
友「それで、俺とツレは言われた通り、周りを気にしながら、そこで警察が来るのを待ってたんだ」

53 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2016/07/19(火) 18:30:34.52 ID:o/dEAF/fo
友「それから、十分ぐらいしてからかな。警察が来た」
友「警察の人は二人組で」
友「ドアを見せると、二人とも、やっぱり最初は驚いてた。『酷いな、これは……』ってそんな事を言ってたのを覚えてる」
友「それで、片方の警察官が、一旦パトカーに戻って無線で何か話してて」
友「もう片方の警察官が、俺とツレに事情を聞いてきた」
友「って、言っても、ツレはただ呼ばれただけだったから」
友「ほとんど、俺だけが事情を聞かれたんだけどな」

54 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2016/07/19(火) 18:31:19.55 ID:o/dEAF/fo
友「そうだな。事情って言っても、こっちは帰ってきたらそうなってただけだし」
友「何も知らないから、特に話す事もなかったんだけど」
友「それでも、質問は多くて」
友「特に俺が詳しく聞かれたのは、最後に家を出た時刻と」
友「こんな事をする人物に心当たりはないかって事だった」
友「いや、なかったな」
友「そりゃ、俺を内心では嫌ってるやつもいたかもしれないし」
友「知らない間に、恨みを買ってた事もあるかもしれないけどさ」
友「でも、ここまでする奴には、流石に心当たりはなかった」

55 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2016/07/19(火) 18:32:24.90 ID:o/dEAF/fo
友「で、そういう質問をずっとされてる内にさ」
友「パトカーがもう一台来て、更に三人、警察官が増えたんだ」
友「その警察の人達は、白い手袋を両手につけて」
友「まず、写真を撮り始めた」
友「ああ、現場検証ってやつだと思う」
友「それから、ドアについてた赤黒い液体を、ヘラみたいなものですくって、小さなビンに入れてたしな」
友「他に多分、指紋とかもとってたと思う」
友「俺も、とられたしな」
友「ん?」
友「ああ、違う違う」
友「俺はその部屋に住んでるから、まず俺の指紋をとらないと、誰のものかわからないだろ。俺のが一番多い訳だし」
友「そうだな。別に、俺が疑われてたとかそういうんじゃないはずだ」
友「で、その後も警察の人達は色んな事をしてた。詳しい事はよくわからないけど、とにかく色々と調べてたと思う」

56 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2016/07/19(火) 18:34:04.93 ID:o/dEAF/fo
友「それでさ、そういうのを一通り終えた後にさ」
友「警察の人が、部屋のドアを開けるから鍵を渡して欲しいって言うんだ」
友「ん? ああ、そうそう」
友「まだ一回も開けてなくってさ」
友「それで、一応、部屋の中も確認しておきたいからって事を言われたんだ」
友「だから、俺はその部屋の鍵を渡して」
友「指紋がつかないようにって、白い手袋をしてたその警察官の人がドアを開けたんだ」
友「そうしたらさ」
友「あるんだよ」
友「部屋の、内側のドアにもさ」
友「びっしりと、『呪』って文字が」