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男「少し不思議な話をしようか」女「いいよ」
Part4


89 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2016/07/21(木) 20:26:51.60 ID:tY3eG+Nao
女友「それで、何事もなく、修学旅行は終わって」
女友「家に帰ってくるでしょ」
女友「で、お土産とかを家族に渡して」
女友「その後、疲れてたのか、割と早い時間にすぐ寝ちゃったのね」
女友「それで、次の日になって」
女友「その日は休みだったから、家でゴロゴロしててさ」
女友「修学旅行の時に、デジカメで撮った写真とか」
女友「携帯とかで撮った写真を見直すじゃない?」
女友「そうしたらさ」
女友「おかしいんだよね」
女友「写真に、四人しか写ってないんだ」

90 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2016/07/21(木) 20:27:40.42 ID:tY3eG+Nao
女友「うん。六人のはずなんだよ」
女友「何枚も写真を撮ったのにさ」
女友「どの写真も、四人しか写ってないの」
女友「変なんだよ。写ってないはずがないのに」
女友「うん、そうだよ。同じクラスだし、ずっと一緒だった」
女友「ホテルでも、同じ部屋で六人で泊まったんだし」
女友「六人でずっと行動してたんだよ」
女友「なのに、写ってないって」
女友「どう考えても、おかしいよね?」

91 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2016/07/21(木) 20:28:11.82 ID:tY3eG+Nao
女友「ううん、そうじゃない」
女友「偶然や勘違いとかじゃないよ。覚えてるもん」
女友「確かに皆で写真を撮ったし」
女友「確かに六人いた」
女友「夜に、お菓子を皆で分けようってなった時とかもさ」
女友「そのお菓子が八個入りだったから、二つ余って」
女友「だから、ジャンケンした事まで覚えてる」
女友「四人なら二個ずつになって、ジャンケンにはならないでしょ? だから、あの時はちゃんと六人いたはずなのに」
女友「写真には四人しか写ってないんだ」
女友「どの写真も全部」
女友「何でなんだろうね?」

92 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2016/07/21(木) 20:28:43.91 ID:tY3eG+Nao
女友「うん。それはすぐに確かめた」
女友「ミキが『五人なのに六人いる』とか言ってたから」
女友「ソッコーで、ミキに電話をかけたんだけど」
女友「でも、出なかったのね」
女友「だから、別の子にかけたの。カコって子に」
女友「そしたら、カコはすぐに出てくれたから」
女友「『一緒にカコも写真を撮ったよね、その写真を見て』って頼んで」
女友「それで、そこに何人写ってるか、尋ねたの」
女友「そうしたらね」

93 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2016/07/21(木) 20:29:20.50 ID:tY3eG+Nao
女友「最初はカコも、『なにそれ? ミキの一人増えてるとかいう話の続き?』って、苦笑いしてたんだけど」
女友「実際に確かめてもらったらさ」
女友「カコの写真にも、四人しか写ってなかったの」
女友「うん。カコも声が震えてた」
女友「そりゃそうだよね。六人で撮ったのに、四人しかいないって変だもん」
女友「普通に怖いよ、そんなの」
女友「名前? うん。全員、覚えてるよ」
女友「あんな事があったんだもん。忘れようがないじゃん」
女友「全員の名前を言うとね」
女友「私、ミキ、カコ、マリコ、カスミ、ユカリの六人」
女友「この内、写真に写ってなかったのは」
女友「カスミとユカリの二人」
女友「この二人は、どの写真にも写ってなかった」

94 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2016/07/21(木) 20:30:07.70 ID:tY3eG+Nao
女友「うん。それでね」
女友「カコと相談して、マリコにも電話して」
女友「うん。マリコは写真に写ってた子。だから、マリコにも写真を確かめてもらったんだけど」
女友「やっぱり、カスミとユカリは写ってなくて」
女友「それで、三人で話し合ったんだけど」
女友「カスミとユカリにも、電話をかけてみようってなったの」
女友「え? ああ、うん。そうだよ」
女友「そりゃ、電話番号ぐらい知ってるよ。友達なんだもの」
女友「でもさ」
女友「実際、その二人に電話するのって、なんだか怖いじゃない? 電話に出なくても怖いし、出てもなんか怖いしさ」
女友「だから、三人とも、ためらって」

95 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2016/07/21(木) 20:30:52.14 ID:tY3eG+Nao
女友「うん。だから、ミキにかけてもらおうっていう話になったの」
女友「ミキは写真に写ってたし」
女友「霊感があるから、私達がかけるよりいいんじゃないかって思って」
女友「だから、先にミキに電話をかけたの」
女友「もう一度ね」
女友「そしたら、今度はミキ、普通に電話に出たからさ」
女友「すぐにこれまでの事を話したの」
女友「『ミキ、私達って修学旅行、六人グループだったよね? でも、今、写真見たら四人しか写ってなくて』って」
女友「そう話したの。そしたらさ」
女友「ミキが言うの」
女友「『私達、元から四人だったじゃない』って」
女友「不思議そうに」
女友「何でそんな電話してくるんだろう? みたいな感じでさ」
女友「何なんだろうね?」
女友「やっぱり、何かおかしいよね?」

96 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2016/07/21(木) 20:31:23.08 ID:tY3eG+Nao
女友「うん、そう。元々は、ミキが『一人多い』って言い出したのに」
女友「ミキは、その事を全く覚えてなくて」
女友「初めから四人だったって言うの」
女友「でも、その時は確かに、ミキは五人グループなのに一人多くて六人になってるって言ってたんだよ」
女友「でも、実際に写真に写ってるのは、四人しかいなくて」
女友「ミキは、『一人多い』って言った事を完全に忘れてるの」
女友「もう何がなんだか、私達もわからなくてさ」
女友「とにかく、カスミとユカリにも電話しようって話になったの」
女友「それで、ミキに電話してくれるようお願いしたんだけど」
女友「ミキはその二人を知らないって言ってるし、電話番号も知らないって言うから」
女友「だから仕方なく、私がカスミに、カコがマリコに、それぞれ電話をかける事になったのね」
女友「それで、実際にかけてみたらさ」
女友「ううん。電話には出たよ」
女友「でもね」
女友「全然、知らない人に繋がったの」

97 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2016/07/21(木) 20:32:08.91 ID:tY3eG+Nao
女友「ううん、違う違う。その人は、幽霊とかじゃなくて、普通の人だった」
女友「多分、若い男の人だったと思うけど、その人に繋がって」
女友「『違います。番号、間違えてませんか?』って、そう言われたんだ」
女友「カコもそうだったみたい」
女友「知らない人に繋がったって、電話でそう報告されて」
女友「私もそうだったんだけど、って言って」
女友「念の為に、お互いの番号を確かめ合ったんだけどね」
女友「合ってるの。番号を間違えたとかじゃなくて」
女友「うん。カコもマリコも私と同じ番号を登録してたし」
女友「それに、今までは普通にカスミとユカリに、その番号で繋がったのにさ」
女友「今は、全然知らない人に繋がるし」
女友「うん。ホントにもう訳がわからなくてさ」
女友「スゴい不気味だった」
女友「いつのまにか、友達二人が消えてるんだよ?」
女友「怖いじゃない、そんなの」

98 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2016/07/21(木) 20:33:11.82 ID:tY3eG+Nao
女友「ああ、うん」
女友「結論から言っちゃうとさ」
女友「その二人は、どこにもいなかったの」
女友「カスミもユカリも、どちらとも」
女友「クラスの名簿にも載ってなかったし」
女友「その二人の事を知ってる人は誰もいなかった」
女友「だから、その二人が元からいなかった二人だったっていうのは、確かだと思うんだけど」
女友「だったら、何で私達三人には、そのカスミとユカリの記憶があるのかがわからないんだよね」
女友「うん。三人とも、全く同じ記憶で」
女友「外見や癖や仕草とかまで、三人ともちゃんと覚えてたし」
女友「同じ電話番号が、三人の携帯に登録されてたのにさ」
女友「それが全部、『あるはずのない記憶』なんだよね」
女友「これって、不思議じゃない?」

99 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2016/07/21(木) 20:34:00.33 ID:tY3eG+Nao
女友「あと、不思議な事は」
女友「ミキだけ、その二人の事を覚えてないっていう事と」
女友「ミキが言った、『五人グループなのに、六人いる』って言葉ね」
女友「これもミキは覚えてないんだけどさ」
女友「でも、何で『五人』なんだろうね? 四人だったのが、二人増えて六人になったんじゃないの?」
女友「おかしいよね?」
女友「あれも、未だにわかんない。何でミキは五人なんて言ったんだろ?」

100 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2016/07/21(木) 20:34:57.66 ID:tY3eG+Nao
女友「うん、そう。だからさ」
女友「私達はカスミとユカリの事を、多分、幽霊だったんだろうなって思ってる」
女友「その二人の幽霊が、私達が修学旅行に行った時に、どこかで紛れ込んで」
女友「それで、私達の記憶を操作したんじゃないかって」
女友「そういう風に思ってる」
女友「でもさ、ミキだけはずっと、そんな事はないって言ってた」
女友「修学旅行の時には、そういう事をしそうな霊の気配は全然なかったし」
女友「もし、いたとしても、全員に清めの塩を渡してるから、大丈夫なはずだって」
女友「うん、そうだよね。でもさ」
女友「幽霊以外で、説明つかないじゃない?」
女友「他に考えられないもん」
女友「そうでしょ?」
女友「だから、あの二人は幽霊としか思えないんだよね」

101 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2016/07/21(木) 20:35:32.77 ID:tY3eG+Nao
女友「それとも、何?」
女友「実は、本当は元から六人いたけど」
女友「その内の二人が、いきなり社会から抹消されて」
女友「初めからいなかった事にされてる」
女友「なんて、言うの? そっちの方が有り得ないよね」
女友「だから、カスミとユカリは幽霊」
女友「そうとしか考えられないから」

102 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2016/07/21(木) 20:35:59.54 ID:tY3eG+Nao
女友「え?」
女友「どんな風に?」
女友「……それ、どういう事?」
女友「…………」

103 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2016/07/21(木) 20:36:43.68 ID:tY3eG+Nao
女友「…………」
女友「そんな、まさか」
女友「それはないってば。絶対に」
女友「確かにそれだと、あの二人は幽霊じゃなくなるかもしれないけどさ」
女友「でも、皆そういう事、するような子じゃないし」
女友「私も流石に気付くって、それ」
女友「うん。絶対そう。だから、いくらなんでも、それはないってば」

104 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2016/07/21(木) 20:37:34.74 ID:tY3eG+Nao
女友「大体、それだとさ」
女友「ミキだけ覚えてないって変じゃない?」
女友「もし、そうだったとしたら、ミキもカスミとユカリの事を覚えてないと変だもん」
女友「え?」
女友「何?」
女友「…………」
女友「……ううん。違う」
女友「私は、してない。そんな事」

105 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2016/07/21(木) 20:38:31.48 ID:tY3eG+Nao
女友「だから、違う。やってない」
女友「あの二人は幽霊だったの。本当に」
女友「そうでなきゃ、おかしいじゃない!」
女友「違うってば! そうじゃないの!」
女友「私はそんな事されてもいないし、してもいない! 違う!!」
女友「……あの二人は、ただの幽霊なの」
女友「本当に、ただそれだけ」

106 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2016/07/21(木) 20:38:58.43 ID:tY3eG+Nao
第四話
【消えた友達】
終了

107 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2016/07/21(木) 20:39:25.45 ID:tY3eG+Nao
次回、第五話
【他人の中に入った夢】
全て終わるまで、あと四話……

108 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2016/07/21(木) 20:41:26.27 ID:R7AVsRfLO
この意味不明さ最高だわ


109 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2016/07/21(木) 20:42:24.03 ID:GlvWLMGbo

どんなオチなのか楽しみ

110 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2016/07/21(木) 20:44:15.56 ID:ZGyzzMKFo
乙。これは不気味だね

116 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2016/07/27(水) 19:33:55.08 ID:K+b7Rviio
訂正
>>79
女友「うん。それで私は、友達六人とグループを組んだんだけど」
訂正後
女友「うん。それで私は、友達と六人グループを組んだんだけど」
>>96
女友「だから仕方なく、私がカスミに、カコがマリコに、それぞれ電話をかける事になったのね」
訂正後
女友「だから仕方なく、私がカスミに、カコがユカリに、それぞれ電話をかける事になったのね」
以上