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花山薫「・・・妹?」

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Part4
80 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/06/23(土) 16:26:28.72 ID:hLo96oXIO
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駆けつけた一行は、建物の中からガラス越しに外の様子が見えた
末堂「あそこだ!」
独歩「ん~?ありゃ・・・おいしいとこ持っていかれてるわ」
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突然現れた片腕をギプスで覆った男は、低く身構え、もう片方の腕を握りしめ腰に当てたまま動いていない、ようにみえた
赤「なにしやがった!!触りもしねえで!」
パンッパンッ 
先ほどスタンガンが空を舞った時と同じ、破裂音のような音と共に、青色のスーツの胸元と肩口が切り裂かれた
身構えた男の姿勢は変わらない
青「服が・・・てめえ」
?「あれ?お気に入りだったかな?悪いことしたね、許してくれ君達のファッションセンスに免じて」
赤「怪我人じゃねえか、ぶっころす!」
激昂した赤スーツの男の右フックは、立ち位置を変えない最小限動きで躱された
ブン スカッ 
?「あ、父さん!遅いですよ!」

81 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/06/23(土) 16:29:10.45 ID:hLo96oXIO
独歩達の現れた建物の入り口に目をやりながら、まるでリハーサルをしていたかのように、二人の攻撃を次々に躱して行く
青「この・・・」
スカッスカッ 
妹「・・・スゴい」
克巳「参ったなあ、うちはダンスも禁止だよ」
スカッスカッ
克巳「皆さんおそろいで・・・おや?素敵なレディまでいるじゃないですか」
スカッスカッスカッ 
独歩「こっちは末堂の彼女だ」
末堂「まだ言いますか!」
克巳「はっはっは!そうかぁ、末堂、よかったなあ!彼女が出来て!」
スカッスカッスカッスカッ 
青「ハアハア・・・こいつ」

82 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/06/23(土) 16:37:54.07 ID:hLo96oXIO
克巳への攻撃を一旦止め、身を引いた二人は独歩へ目をやった
独歩は表情を変えずに、視線を受け止める
独歩「紅蓮会だな」
赤「てめえが、頭か・・・」
克巳「ああっ、君達が彼の有名な・・・服の色で階級分けしてるって言う・・・なんとも、かわいいヤクザの人達だね」
青「・・・ゆるさねえ」
二人は再び克巳に視線を移し、同時に飛びかかった
克巳「・・・こっちのセリフだ、うちの教え子を傷付けやがって・・・キャオラッ!!」
克巳が先ほどの構えを素早く作り、独特の雄叫びを上げると、連続した破裂音が響き渡った
すると、スーツと共に身体中を切り裂かれた二人はその場に崩れ落ちた
『パパパパパパン!!』
シュウゥゥ~
ドサッドサ
末堂「・・・死んだんじゃねえか?」
独歩「ああ・・・」
克巳「ちょっと、ちょっと!人殺しにしないでよ!」
烈「息は・・・あるようだが」

83 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/06/23(土) 17:34:03.32 ID:hLo96oXIO
妹「スゴい強い・・・」
克巳「たま~にいるんだよね、こう言った命知らずのお客様が・・・えっと、お二人は、道場見学かな?」
独歩「クックッ、誰だか知ったら驚くぜえ」
克巳「ん?・・・親父の話してた、宿直室貸したい人って」
妹「お世話になります・・・」
克巳「・・・まさか女の子だとはね」
独歩「しかもなぁ・・・、まあ確定じゃねえが・・・」
克巳「ナニナニ?」

84 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/06/23(土) 19:16:04.58 ID:hLo96oXIO
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
夕暮れに染まる街の一角を、花山達の乗る車はスピードを緩めて走っていた
木崎「・・・二代目、あちらのアパートが・・・」
花山「・・・停めろ」
キッ ガチャ
花山「・・・行っていいぞ」
新垣「は、しかし・・・お帰りは・・・」
木崎「・・・分かりやした、おい、出せ」
新垣「・・・はい」
花山「・・・」
ブロロロ


85 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/06/23(土) 19:19:53.80 ID:hLo96oXIO
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
花山を降ろし、出発した車内で木崎は窓の外を物憂げに見ていた
新垣「あのアパートに何かあるんで?」
木崎「ああ・・・二代目の、腹違いの妹が住んでるらしい」
新垣「・・・そうなんですか」
木崎「先代、生前その母親に随分魅入れされていたようだ・・・聞いたことあるだろ?組の金半分消えちまった話」
新垣「・・・ええ」
木崎「その母親が病気でな、見舞いだってポーンと振込んじまったんだよ」
新垣「聞いたことはあります」
木崎「まあ、うちのモンはだ~れも文句言わなかったがな・・・」
新垣「・・・」

86 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/06/23(土) 19:23:14.38 ID:hLo96oXIO
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ことの顛末を聞き終えた克巳は、驚きを隠せないと言った表情で身を乗り出していた
克巳「・・・凄いな、運命だよそれは」
烈「まったくだ」
妹「あの時、チャイナさんに会わなかったら今頃・・・」
独歩「悪い事考えるな、良かったじゃねえか、なあ」
妹「・・・はい」
カオル「すえっちとも出会えたしね!」
末堂「・・・すえっち・・・それやめて」
コンコン 
指導員「失礼します」
克巳「どーした?」
指導員「黒服の二人なんですが・・・」
克巳「ああ、すえっちが華麗にやっつけたって言う二人組ね!」
末堂「もう・・・すえっちでいいや・・・」

87 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/06/23(土) 19:25:43.53 ID:hLo96oXIO
烈「なにか聞き出せたのかい」
指導員「・・・いえ、核心には触れられませんでした・・・どうやら完全に金で雇われた、ただのチンピラだったようです、写真を渡され『あそこに住む中学生をさらったらウン十万』と言う具合に・・・」
烈「写真を渡した者は、どのような風貌だと?」
指導員「いかにも、ヤクザと言った感じだったようです」

88 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/06/23(土) 19:26:49.23 ID:hLo96oXIO
独歩「そうか・・・それじゃあ、あの赤青に期待だな」
克巳「こっちはなかなか口を割らなそうですね」
烈「・・・ここは私にお任せを、中国4000年の伝統を持つ拷問術、とくと御覧に入れよう」
カオル「・・・チャ、チャイナさん」
克巳「あんまり・・・グロいのは・・・」

89 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/06/23(土) 20:11:54.96 ID:hLo96oXIO
烈「さあ!何処の部屋に!?」
烈は待ってましたとばかりに身体を起こし、懐より、両手に八本の投げをナイフ取り出した
シャキン 
カオル「シュリケン?」
克巳「れ・・・烈先生、落ち着いて」
指導員「さ、三階の用具室に・・・」
烈「御意ッッ!」
場所を聞くや否や踵を返し、物凄いスピードで廊下の奥へと消えて行った
スタタタ 
独歩「・・・行っちまった」
カオル「義足とは思えない身のこなし・・・」

90 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/06/23(土) 20:16:02.84 ID:hLo96oXIO
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
車を降りた花山はその場から暫く動かなかった
やがて小さく首を上げ、アパートを見上げた
花山「・・・あの部屋か・・・」
懐から煙草を取り出しながら呟く
シュボッ 
花山「・・・帰って、酒でも呑むか」
その場を去ろうと歩き始めると、気配の無かった所から突然声がした
?「・・・花山薫」
花山「・・・!!」

91 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/06/23(土) 20:20:52.88 ID:hLo96oXIO
声のした方を振り返ると、細身に長身でキャップを被った男が姿勢良く立っていた
ザッ
花山「・・・紅蓮会か」
男「いや、僕は違うよ」
花山「・・・強えな、やるかい?」
男「勘弁・・・」 
身構えようとする花山の前で、男は大きく宙を舞い、花山を飛び越す形で背を向け着地した
スタ 
男「また会いましょう、ファイター」
こちらを振り向きもせず、軽く片手を上げて男は去って行った
花山「・・・あいつ、何処かで」

92 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/06/23(土) 23:46:45.95 ID:hLo96oXIO
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
花山組の一室は、工場跡で暴れた藍色の服の紅蓮会の男を拉致するのに使われていた
木崎は自分の部屋で、部下に尋問を命じ、その結果を待っていた
そろそろ音を上げるだろうと言う頃に、扉でノックが鳴った
木崎「おう、入れ」
組員「失礼します」
木崎「どうだ?爆弾野郎は?」
組員「今、新垣の兄貴が任せろと一人で・・・」
木崎「パンチが・・・あいつ大丈夫か?」
木崎は、キャリアこそあれ、どこか抜けている所のある新垣の尋問の様子を頭に思い浮かべ、心配な表情を浮かべた
その時、その部屋の方から銃声が響いた
パァン 
木崎「チャカ!?」
組員「・・・あの部屋の方から!!」
木崎は立ち上がり、部屋の方へ駆け出した
木崎「パンチィ!!」

93 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/06/23(土) 23:53:38.31 ID:hLo96oXIO
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
烈が走り去った後、先程のロビーの席で再び座談をしていた
妹「チャイナさん・・・大丈夫かな」
独歩「まあ、殺しゃしねえとは思うがよ」
克巳「一応様子を見にいきますか・・・」
末堂「女の子達にゃ、ちと目に毒かもな・・・」
カオル「もーう、すえっち優しいんだからあ」
独歩「じゃあすえっちとお嬢ちゃん達は、ここで待っててくれ」
末堂「お願いですから、館長のすえっちだけは勘弁して・・・」

94 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/06/23(土) 23:56:40.93 ID:hLo96oXIO
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
異様な空気を漂わせた烈は、赤青スーツの二人を閉じ込めている用具室の前に着いた
扉の前には見張りの指導員が立っている
指導員「烈先生!ご苦労様です!押忍!」
烈「・・・その部屋かい?」
指導員「は、はい」
ガチャ バタン 
指導員「こ、怖い・・・」

95 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/06/24(日) 09:19:08.23 ID:UeGCLiJIO
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
扉を閉じた烈は、暗い用具室の奥へ目を凝らした
烈「さあ・・・目を覚・・・」
気を失っていると思っていた二人の意識は戻っていた、だが、何か様子がおかしい
ガタガタガタガタ 
烈「・・・震えている?」
赤「・・・来る・・・嫌だ」
青「け・・・消される、助け・・・て」
烈「来る・・・?誰が来るというのだ?」
赤「ダメだ・・・もう終わりだ」
烈「この場所まで来ると?・・・ここは神心会本部道場だ、外部の者がここまで忍び込むのは・・・不可能だ」
青「・・・どんな場所だって現れる」
赤「ヒイィィィィィーッッ!!」
烈「・・・」

96 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/06/24(日) 15:05:13.98 ID:ISEQgHJIO
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
木崎がドアを開けると部屋は硝煙の臭いが立ち込めていた
木崎「~~~ッッ!!」
  
倒れていたのは、眉間から血を流した藍色のスーツの男
新垣「・・・チャカを・・・奪われて・・・」
木崎「・・・自殺か」
新垣「何かに恐れていたようでした・・・自分は脅しの為に使おうと・・・」
木崎「・・・額を・・・死ぬ前に何か言ってたか?」
新垣「なにかが、来る・・・その前に、と」
木崎「一体・・・何が来るって言うんだ」

97 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/06/24(日) 15:09:20.91 ID:ISEQgHJIO
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
花山は先程の男の様子を脳裏に浮かべながら、帰路についていた
そこで、携帯電話がなった
ピッ 
花山「・・・どうした」
木崎『二代目・・・たった今・・・』
花山「・・・そうか・・・木崎、細身で長身の・・・ジャージを上下着て、キャップをかぶった男を探せ・・・」
ピッ 
花山「・・・」

98 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/06/26(火) 11:36:12.01 ID:f+k4AQp8o
引き込まれる 刃牙SSって面白いね

99 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/06/26(火) 18:38:20.97 ID:ePU0xSQIO
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
独歩と克巳が用具室の前に立ちドアを開けると、寄り添い固まり震える二人が目に入った
どうやら烈のせいではないようだ
独歩「・・・烈」
烈「何かに・・・相当怯えています」 
赤「・・・嫌だ・・・死にたくない」
青「・・・来る・・・来る」
克巳「・・・おいおい、君達紅蓮会が怖いもの知らずだと言うことはわかったが・・・・・忍者じゃあるまいし、こんなところまで入って来れるかなあ?」
独歩「まあ、こいつらもたった二人で乗り込んで来た訳だ・・・」
克巳「・・・クッ、神心会が・・・愚地が怖くねえのかよッッ!!」


100 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/06/26(火) 18:40:44.89 ID:ePU0xSQIO
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
ロビーでは暫く沈黙が続いていたが、娘が静かに口を開いた
妹「・・・末堂さん」 
末堂「ん?」
妹「この・・・お金、やっぱり・・・その・・・ヤクザ・・・のお金なんですか?」
末堂「ん~、どうだかなあ、なんとも言えねえけどよ・・・まあどういう形にしてもお母さんが、お前さんの為に残しておいてくれたモンな訳だろ?持ってていいと思うぜ」
カオル「うん、そうだよ」
妹「・・・私、このお金・・・」
末堂「・・・返したいのか?」
妹「・・・うん」

101 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/06/26(火) 18:44:22.40 ID:ePU0xSQIO
妹「お母さん、昼間はスーパーで働いて、夜も飲み屋さんで働いていたの・・・お金は苦労して、頑張って、やっと稼げるものなんだって、お母さんの姿を見て思っていた・・・おかげで私はなに不自由なく暮らせた・・・」
末堂「・・・」
妹「なのに・・・このお金・・・きっとこのお金は、ポンと受け取ってはいけないと思う、返すべきお金なんだと思う」
末堂「・・・嬢ちゃん・・・おお、そうだな・・・間違ってねえ」

102 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/06/26(火) 18:46:58.53 ID:ePU0xSQIO
末堂「花山組・・・連絡入れてみるかい?」
妹「え?」
カオル「そんな、すえっちヤクザの事務所なんて・・・」
末堂「ああ、その・・・名刺の、花山薫って男は察している通りヤクザだ・・・見た目も生活も、嬢ちゃん達からは、かけ離れた世界だ・・・」
妹「・・・はい」
真っ直ぐで素直な返事に、末堂は優しく顔をほころばせ、話し始めた
末堂「俺は・・・ガキの頃から空手バカでよ、頭は良くねえが、なんとなく・・・嬢ちゃんのお母さんが、その手紙の最後に・・・口座番号だけを残したのか、分かる気がすんだ」
カオル「・・・すえっち」

103 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/06/26(火) 18:48:24.31 ID:ePU0xSQIO
末堂「ガキの頃よ・・・親父と歩いてて、財布を拾ったんだよ・・・分厚いヤツだ」
妹「・・・」
末堂「ウチは貧乏でな・・・子供心にもっと金がありゃあな、なんて考える時期だったよ・・・そんとき親父、俺にその財布を渡してよ『お前の好きにしろ』ってよ」
カオル「・・・」
末堂「いや~考えたね、その日は結局家に持って帰っちまった、親父は一切そのことには触れねえしよ」
妹「・・・そのお金・・・どうしたんですか?」
末堂「一晩財布とにらめっこしてな・・・次の日、朝一で交番に届けたよ」
カオル「えらい!」
末堂「悩んだぜ?・・・この金さえあればクラスのあいつみたいにゲームが買える、好きなだけお菓子も買える・・・でもな、なんつーか・・・親父に、試されてる気がしてな・・・俺はどうするべきなんだって」

106 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/06/26(火) 21:51:50.65 ID:ePU0xSQIO
末堂「きっと・・・金ってのはよ、嬢ちゃん・・・楽して手に入れちゃいけねえモンなんだって・・・俺もその時強く思ったんだ」
妹「素晴らしいと思います」
自分の心の内を話してくれた末堂に、精一杯の笑顔で受け答えると、そこに、重く冷たい声が響いた
『なるほど・・・やはりお金は持つべき者が持つ、それが自然なんだね』
妹「!」
末堂「なんだてめえ・・・どこから入った!?」
男「いや、普通に入り口から・・・ねえ、君のところの大将にやられた派手なスーツの二人知らない?」
末堂「てめえも紅蓮会か」
男「いやいや、僕は違うの・・・バイトだよバイト」

107 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/06/26(火) 22:39:52.28 ID:OywTMQGDO
末堂△

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