花山薫「・・・妹?」
Part2
26 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/06/22(金) 19:12:59.66 ID:O9enF0FIO
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
二人が入った洋服屋は、大きいサイズの服専門店
ヒロシは店の奥へ威嚇するように声を上げた
花山「おい」
ヒロシ「ええ、任しといて下さいよ、二代目に似合わねえの用意しようもんなら・・・」
花山「普通にやらせろ」
ヒロシ「え?あっ、はい」
店長「い、い、い、いらっしゃしゃいままませ」
花山「・・・普通に見えるヤツ頼む」
店長「そ、うですね・・・でしたら、こちらのスリム系デニムなんかは・・・」
ヒロシ「ああ?!二代目にデニムだあ?なめてんのか?!」
花山「・・・くれ」
ヒロシ「ええ?!」
27 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/06/22(金) 19:15:23.67 ID:O9enF0FIO
店長「一度・・・お召しになったほうが」
花山「・・・そうだな」
ヒロシ「二代目が・・・試着・・・」
店員の持つジーンズを囲み、あれこれやりとりしていると、店の入り口に現れた巨大な影
店長「あ!いらっしゃいませ!」
ヒロシ「なんだあいつ・・・でけえ」
花山「・・・あれは・・・」
28 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/06/22(金) 19:28:57.16 ID:O9enF0FIO
ジャック「マタ服がボロボロになっちまった・・・」
店長「毎度ありがとうございます!」
花山「・・・」
ヒロシ「二代目より全然でけえ・・・」
ジャック「・・・ン?」
29 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/06/22(金) 19:40:22.97 ID:O9enF0FIO
ジャック「オオ・・・ミスターハナヤマ、ショッピングかい?」
ヒロシ「!二代目・・・マブな感じすか?」
花山「・・・怪我はいいのか」
ジャック「ハハハ!生きてりゃケガは尽きないゼ!ボス!」
花山「・・・フッ」
ヒロシ「二代目がわらったあ・・・」
ジャック「ソレ・・・アンタが履くのカイ?」
花山「・・・試しにな」
ジャック「試し・・・アンタらしくねえセリフだな・・・」
ヒロシ「ああ?こらあ!外人!!喧嘩売ってんのかあ?!」
花山「・・・やめとけ」
花山はヒロシを制し、ジャックに顔を向けた
花山「・・・なあ」
ジャック「・・・ン?」
30 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/06/22(金) 19:41:15.01 ID:O9enF0FIO
花山「・・・兄弟・・・」
ジャック「ナニ?」
花山「兄弟ってのは・・・どんな感じだ」
ジャック「・・・」
ヒロシ「・・・?」
31 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) :2012/06/22(金) 19:42:34.35 ID:LNZlxUdno
おもろい
32 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/06/22(金) 19:47:26.93 ID:O9enF0FIO
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
アパートの部屋の線香の香りは、烈の煎じた茶の臭いで優しく消されていった
コポコポ
烈「・・・お待たせした」
妹「ンー・・・いい香り」
カオル「・・・ふぅーん」
カチャカチャ
烈「時間はいいのかな?二人で出かけるはずだったのでは・・・」
カオル「いーのいーの、どーせこの娘の気晴らしさせたかっただけだし」
妹「・・・カオル」
烈はカオルの一言に笑いかけ、テーブルに茶碗を置きながら話し始めた
烈「・・・我が国の国民は、愛国心が強い・・・誇りに思う、そして・・・また謝ることになってしまうかな・・・日本には愛国心のある者が・・・失礼ながら、いないと思っていた」
妹「・・・」
カオル「間違ってないと思う」
烈「・・・愛国心の無い者は・・・『愛』を知らない者、人との繋がりが・・・深く保てない者・・・」
カオル「・・・つまり日本人は人を愛せないと」
烈「思っていた・・・」
33 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/06/22(金) 19:53:47.92 ID:O9enF0FIO
カオル「そう考えるのも仕方ないと思うよ・・・だってうちも正直・・・」
妹「・・・」
烈「・・・さあ、冷めないうちに・・・」
カオル「あ、はーい」
カオルは柔らかい香りのする薄茶色の茶を口に運んだ
カオル「・・・おい・・・しい!」
妹「ね!おいしいよね!」
烈「謝謝・・・そう、そうなんだ、君達の繋がりを見ていると・・・自分の愛国心すら・・・些細なことに思えてくる」
妹「チャイナさん・・・」
烈「国境すら・・・ね」
カオル「いいこと言うわあ・・・」
烈「最近・・・なんだか情緒的でね・・・」
烈は照れたように笑い、慣れた手つきで茶碗を口にした
34 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/06/22(金) 19:59:25.71 ID:O9enF0FIO
烈は唇に茶碗が付く寸前に、手を止めた
そして玄関の方へ鋭く目を向け、そちらへ歩み寄った
カオル「ん?どうし・・・」
妹「シッ!」
烈「・・・」
烈はドアの覗き穴を覆うように唇を被せ、瞬時に矢のような吐息を吐き出した
プンッ
「うあああああああ!」
ドアの外から聞こえてきた悲鳴
それと同時に逃げ去る足音
タタタタ
カオル「なに?!」
烈「捕えましょうか?姫」
カオル「イヤン、姫て」
妹「・・・もう逃げちゃったよ」
烈「まだ十分追い付く」
妹「ううん・・・いい」
カオル「・・・昨日の・・・着けてきたヤツ?」
38 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/06/22(金) 21:05:20.99 ID:O9enF0FIO
烈「ちらと見えたが・・・まともな職についているようには、見えなかったな」
妹「・・・」
カオル「やだ、ヤクザ?」
烈「一概には言えないが」
40 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/06/22(金) 21:23:12.53 ID:O9enF0FIO
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
商店街の角にあるオープンカフェは、装飾と背反して異様な空気に包まれていた
原因は、巨大な身体の極道の男と、それ以上に大きい2メートルを越す白人の男と、若いチンピラの三人組が座る席から発する雰囲気だった
ジャック「アンタとカフェに来ることになるとはなァ」
花山「・・・」
ヒロシ「・・・これは・・・どんな状況だよ、まったく・・・」
ジャックの向かいに座る花山が、店に入って初めて口を開いた
花山「・・・妹が・・・」
ヒロシ「・・・え?二代目、妹萌え?」
ジャック「俺はな、ミスターハナヤマ・・・兄弟がいることを知ったのが・・・トーナメントの1週間前だった・・・」
ジャックはカップの中のコーヒーを飲み干すと、獣のような青い目をむき出した
ジャック「闘争の勝利の為なら、兄弟の絆など、犬に食わせてやろうと思ったゼ」
ハナヤマ「・・・」
ジャック「つまり、とっくに脳みそに、ドラッグがまわっていた訳だ、ハハハハハハ!!」
ヒロシ「こいつ・・・あぶねー」
42 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/06/22(金) 21:29:05.76 ID:O9enF0FIO
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
アパートの三人は茶を飲み終えた
そして、烈は二人に申し訳なさそうに話し始めた
烈「今夜は・・・私はここにいることが出来ない」
妹「そう・・・ですよね」
カオル「チャイナさんもいそがしいんだね」
烈「だが・・・私の世話になっている道場に来るといい」
妹「え?」
烈「日本中のどこよりも安全な場所だ、話をつけてみよう」
カオル「道場・・・プロレスとかの人?」
烈「まあ、そんなところだ」
43 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/06/22(金) 21:37:07.50 ID:O9enF0FIO
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
烈が道場に電話をかけ、了承を得ると、間もなくして烈の電話が鳴った
ピロロロンピロロロン
ピッ
烈「・・・私だ・・・うむ、ご苦労様、わざわざ君が来てくれるとはね・・・ああ、今出るよ」
妹「本当にいいんですか?」
烈「話は通してある、総帥直々だ」
カオル「よかったじゃん」
妹「なんか緊張するなあ・・・」
烈「さあ、いこうか」
44 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/06/22(金) 21:41:57.28 ID:O9enF0FIO
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
花山とヒロシはジャックと別れ、来た時と同様電車で商店街のあった街から離れて、駅のホームに降り立った
ヒロシ「・・・結局服買わなかったっすね」
花山「・・・」
ヒロシ「二代目って・・・妹いたんすか?」
花山「・・・今日知った」
ヒロシ「そうすか・・・自分一人っ子だから、気持ちわかんないすけど・・・ちょいうらやましいっすね」
花山「・・・そうか」
ピンポーン
ヒロシ「あ!二代目!キップいれないと!」
花山「・・・」
ヒロシ「行きにもやったじゃないすか、もー」
花山「・・・」
45 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/06/22(金) 21:50:15.76 ID:O9enF0FIO
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
二人が組に戻ると、入り口の前の組員が迎え入れた
組員「おかえりなさい!」
ヒロシ「二代目、楽しかったっすね」
花山「・・・」
ヒロシ「また、遊びにいきましょうね」
花山「・・・」
ヒロシ「・・・なんて・・・すんません・・・じゃあ、自分帰ります」
花山「・・・ヒロシ」
ヒロシ「は、はいっ」
ヒロシに背を向けていた花山は、振り返り軽く唇の端を上げてみせた
花山「・・・また付き合え」
ヒロシ「え・・・あ、はい!喜んで!」
46 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/06/22(金) 23:26:02.22 ID:O9enF0FIO
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
三人は荷物をまとめ、アパートの前に立ち待っていると、一台の車がこちらへ向かって来た
プップッー
烈「あの車だ」
末堂「烈さーん!こっちですよー!」
カオル「なんか・・・怖そうな人」
烈「ハハハ、見かけよりずっと優しいよ」
妹「よろしくお願いします」
末堂「おお、烈先生の頼みとあっちゃあ断れねえや」
カオル「先生なんだ・・・」
末堂「君達の想像してる以上にスゴい人だぜ」
烈「・・・」
カオル「赤くなってる!かわいー」
47 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/06/22(金) 23:34:47.84 ID:O9enF0FIO
妹「ちょっとカオルー」
烈「いや、いいんだ」
カオル「じゃあうちは帰るね」
妹「カオル、今日はありがとね、本当に」
カオル「フフ、今度ディズニーランドね!チャイナさんもまたね!」
烈「きっとまた会えるだろう・・・再見」
末堂「なんだい、君も送ってくぜ」
カオル「近いからいいの、ありがとう怖い人」
末堂「・・・怖い人」
カオル「ウソウソ、じゃあね!」
妹「じゃあね!」
バタンバタン ブーン
烈は助手席に、娘は後部座席に乗り込み
車は出発した
妹「本当にいいのかなあ・・・」
烈「人との縁は大切にするものだよ」
末堂「まあ、肩肘張らずに気軽にな・・・ほらお友達まだ手を振ってるぜ」
妹「ほんと・・・え?!」
ルームミラーが映したのは、黒服の二人組に取り押さえされているカオルの姿だった
烈「車を止めてくれ!!」
48 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/06/22(金) 23:38:42.75 ID:O9enF0FIO
キキーッ
末堂は状況を察し、車を急ブレーキさせた
妹「カオル!!やだ!連れていかれちゃう!どうしよう!」
ザッ
車から飛び降りる烈と末堂
烈「間に合うか!?」
末堂「任せといて下さい、細い道に入った・・・靴脱いで走ったほうが早えや」
スポンスポン タタタタ
末堂は靴を脱ぎ捨て、裸足でカオルが連れ去られた細道へ走った
妹「は・・・早い」
烈「ここは彼に任せよう」
49 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/06/22(金) 23:44:55.43 ID:O9enF0FIO
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
腕を掴み、押さえ込もうとする黒服の二人組に身体全体を使って必死に抵抗するカオル
黒服A「こいつっ!大人しくしやがれ!」
黒服B「暴れるな!」
カオル「さわんじゃねーよ!てめー!キー!」
黒服A「待て!こいつ・・・写真と違う?」
黒服の片割れが、カオルの顔を覗き込み、何かに気付くと同時に、路地に飛び込んで来た末堂の脚刀が襲う
末堂「シャア!!」
バコーン
黒服A「ぐあ!」
末堂「裸足の蹴りは痛えだろう」
黒服B「なんだてめ・・・でけえ」
末堂「シャッ!」
黒服B「ゲフッ」
もう一人も末堂のキックの餌食となった
カオル「こ、怖い人~」
末堂「・・・怖い人・・・」
50 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/06/22(金) 23:48:45.45 ID:O9enF0FIO
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
花山組組長室、レザーの椅子に腰掛ける花山の前に立つ神妙な面持ちの木崎
花山「・・・紅蓮会?」
木崎「金の為ならなんでもやるそうです」
花山「・・・」
木崎「最近至るところで、やりたい放題・・・ガキの集まりがそのまま大人になったような連中です」
花山「・・・耳に入れておく」
木崎「はい・・・ところで、あの・・・いかがいたしやしょう」
花山「・・・」
木崎「妹さん・・・若い衆でも使って、連れて来させますか」
花山「・・・やめとけ」
木崎「・・・はい」
花山「極道が・・・素人に関わるモンじゃねえな・・・」
花山は軽く笑い、煙草に火を着けた
木崎「・・・二代目」
51 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/06/22(金) 23:51:58.64 ID:O9enF0FIO
コンコン
木崎「おう、入れ」
ノックの音に木崎が返事をすると、新垣がただ事では無い様子で飛び込んできた新垣
「失礼しやす!」
木崎「なんだ、騒々しい」
新垣「あの・・・」
木崎「はっきりしやがれ、何があった」
新垣「ヒッ、ヒロシが・・・」
花山「・・・どうした」
新垣「拉致されたようです」
花山「!」
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
二人が入った洋服屋は、大きいサイズの服専門店
ヒロシは店の奥へ威嚇するように声を上げた
花山「おい」
ヒロシ「ええ、任しといて下さいよ、二代目に似合わねえの用意しようもんなら・・・」
花山「普通にやらせろ」
ヒロシ「え?あっ、はい」
店長「い、い、い、いらっしゃしゃいままませ」
花山「・・・普通に見えるヤツ頼む」
店長「そ、うですね・・・でしたら、こちらのスリム系デニムなんかは・・・」
ヒロシ「ああ?!二代目にデニムだあ?なめてんのか?!」
花山「・・・くれ」
ヒロシ「ええ?!」
27 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/06/22(金) 19:15:23.67 ID:O9enF0FIO
店長「一度・・・お召しになったほうが」
花山「・・・そうだな」
ヒロシ「二代目が・・・試着・・・」
店員の持つジーンズを囲み、あれこれやりとりしていると、店の入り口に現れた巨大な影
店長「あ!いらっしゃいませ!」
ヒロシ「なんだあいつ・・・でけえ」
花山「・・・あれは・・・」
28 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/06/22(金) 19:28:57.16 ID:O9enF0FIO
ジャック「マタ服がボロボロになっちまった・・・」
店長「毎度ありがとうございます!」
花山「・・・」
ヒロシ「二代目より全然でけえ・・・」
ジャック「・・・ン?」
29 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/06/22(金) 19:40:22.97 ID:O9enF0FIO
ジャック「オオ・・・ミスターハナヤマ、ショッピングかい?」
ヒロシ「!二代目・・・マブな感じすか?」
花山「・・・怪我はいいのか」
ジャック「ハハハ!生きてりゃケガは尽きないゼ!ボス!」
花山「・・・フッ」
ヒロシ「二代目がわらったあ・・・」
ジャック「ソレ・・・アンタが履くのカイ?」
花山「・・・試しにな」
ジャック「試し・・・アンタらしくねえセリフだな・・・」
ヒロシ「ああ?こらあ!外人!!喧嘩売ってんのかあ?!」
花山「・・・やめとけ」
花山はヒロシを制し、ジャックに顔を向けた
花山「・・・なあ」
ジャック「・・・ン?」
30 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/06/22(金) 19:41:15.01 ID:O9enF0FIO
花山「・・・兄弟・・・」
ジャック「ナニ?」
花山「兄弟ってのは・・・どんな感じだ」
ジャック「・・・」
ヒロシ「・・・?」
おもろい
32 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/06/22(金) 19:47:26.93 ID:O9enF0FIO
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
アパートの部屋の線香の香りは、烈の煎じた茶の臭いで優しく消されていった
コポコポ
烈「・・・お待たせした」
妹「ンー・・・いい香り」
カオル「・・・ふぅーん」
カチャカチャ
烈「時間はいいのかな?二人で出かけるはずだったのでは・・・」
カオル「いーのいーの、どーせこの娘の気晴らしさせたかっただけだし」
妹「・・・カオル」
烈はカオルの一言に笑いかけ、テーブルに茶碗を置きながら話し始めた
烈「・・・我が国の国民は、愛国心が強い・・・誇りに思う、そして・・・また謝ることになってしまうかな・・・日本には愛国心のある者が・・・失礼ながら、いないと思っていた」
妹「・・・」
カオル「間違ってないと思う」
烈「・・・愛国心の無い者は・・・『愛』を知らない者、人との繋がりが・・・深く保てない者・・・」
カオル「・・・つまり日本人は人を愛せないと」
烈「思っていた・・・」
33 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/06/22(金) 19:53:47.92 ID:O9enF0FIO
カオル「そう考えるのも仕方ないと思うよ・・・だってうちも正直・・・」
妹「・・・」
烈「・・・さあ、冷めないうちに・・・」
カオル「あ、はーい」
カオルは柔らかい香りのする薄茶色の茶を口に運んだ
カオル「・・・おい・・・しい!」
妹「ね!おいしいよね!」
烈「謝謝・・・そう、そうなんだ、君達の繋がりを見ていると・・・自分の愛国心すら・・・些細なことに思えてくる」
妹「チャイナさん・・・」
烈「国境すら・・・ね」
カオル「いいこと言うわあ・・・」
烈「最近・・・なんだか情緒的でね・・・」
烈は照れたように笑い、慣れた手つきで茶碗を口にした
34 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/06/22(金) 19:59:25.71 ID:O9enF0FIO
烈は唇に茶碗が付く寸前に、手を止めた
そして玄関の方へ鋭く目を向け、そちらへ歩み寄った
カオル「ん?どうし・・・」
妹「シッ!」
烈「・・・」
烈はドアの覗き穴を覆うように唇を被せ、瞬時に矢のような吐息を吐き出した
プンッ
「うあああああああ!」
ドアの外から聞こえてきた悲鳴
それと同時に逃げ去る足音
タタタタ
カオル「なに?!」
烈「捕えましょうか?姫」
カオル「イヤン、姫て」
妹「・・・もう逃げちゃったよ」
烈「まだ十分追い付く」
妹「ううん・・・いい」
カオル「・・・昨日の・・・着けてきたヤツ?」
38 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/06/22(金) 21:05:20.99 ID:O9enF0FIO
烈「ちらと見えたが・・・まともな職についているようには、見えなかったな」
妹「・・・」
カオル「やだ、ヤクザ?」
烈「一概には言えないが」
40 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/06/22(金) 21:23:12.53 ID:O9enF0FIO
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
商店街の角にあるオープンカフェは、装飾と背反して異様な空気に包まれていた
原因は、巨大な身体の極道の男と、それ以上に大きい2メートルを越す白人の男と、若いチンピラの三人組が座る席から発する雰囲気だった
ジャック「アンタとカフェに来ることになるとはなァ」
花山「・・・」
ヒロシ「・・・これは・・・どんな状況だよ、まったく・・・」
ジャックの向かいに座る花山が、店に入って初めて口を開いた
花山「・・・妹が・・・」
ヒロシ「・・・え?二代目、妹萌え?」
ジャック「俺はな、ミスターハナヤマ・・・兄弟がいることを知ったのが・・・トーナメントの1週間前だった・・・」
ジャックはカップの中のコーヒーを飲み干すと、獣のような青い目をむき出した
ジャック「闘争の勝利の為なら、兄弟の絆など、犬に食わせてやろうと思ったゼ」
ハナヤマ「・・・」
ジャック「つまり、とっくに脳みそに、ドラッグがまわっていた訳だ、ハハハハハハ!!」
ヒロシ「こいつ・・・あぶねー」
42 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/06/22(金) 21:29:05.76 ID:O9enF0FIO
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
アパートの三人は茶を飲み終えた
そして、烈は二人に申し訳なさそうに話し始めた
烈「今夜は・・・私はここにいることが出来ない」
妹「そう・・・ですよね」
カオル「チャイナさんもいそがしいんだね」
烈「だが・・・私の世話になっている道場に来るといい」
妹「え?」
烈「日本中のどこよりも安全な場所だ、話をつけてみよう」
カオル「道場・・・プロレスとかの人?」
烈「まあ、そんなところだ」
43 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/06/22(金) 21:37:07.50 ID:O9enF0FIO
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
烈が道場に電話をかけ、了承を得ると、間もなくして烈の電話が鳴った
ピロロロンピロロロン
ピッ
烈「・・・私だ・・・うむ、ご苦労様、わざわざ君が来てくれるとはね・・・ああ、今出るよ」
妹「本当にいいんですか?」
烈「話は通してある、総帥直々だ」
カオル「よかったじゃん」
妹「なんか緊張するなあ・・・」
烈「さあ、いこうか」
44 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/06/22(金) 21:41:57.28 ID:O9enF0FIO
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
花山とヒロシはジャックと別れ、来た時と同様電車で商店街のあった街から離れて、駅のホームに降り立った
ヒロシ「・・・結局服買わなかったっすね」
花山「・・・」
ヒロシ「二代目って・・・妹いたんすか?」
花山「・・・今日知った」
ヒロシ「そうすか・・・自分一人っ子だから、気持ちわかんないすけど・・・ちょいうらやましいっすね」
花山「・・・そうか」
ピンポーン
ヒロシ「あ!二代目!キップいれないと!」
花山「・・・」
ヒロシ「行きにもやったじゃないすか、もー」
花山「・・・」
45 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/06/22(金) 21:50:15.76 ID:O9enF0FIO
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
二人が組に戻ると、入り口の前の組員が迎え入れた
組員「おかえりなさい!」
ヒロシ「二代目、楽しかったっすね」
花山「・・・」
ヒロシ「また、遊びにいきましょうね」
花山「・・・」
ヒロシ「・・・なんて・・・すんません・・・じゃあ、自分帰ります」
花山「・・・ヒロシ」
ヒロシ「は、はいっ」
ヒロシに背を向けていた花山は、振り返り軽く唇の端を上げてみせた
花山「・・・また付き合え」
ヒロシ「え・・・あ、はい!喜んで!」
46 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/06/22(金) 23:26:02.22 ID:O9enF0FIO
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
三人は荷物をまとめ、アパートの前に立ち待っていると、一台の車がこちらへ向かって来た
プップッー
烈「あの車だ」
末堂「烈さーん!こっちですよー!」
カオル「なんか・・・怖そうな人」
烈「ハハハ、見かけよりずっと優しいよ」
妹「よろしくお願いします」
末堂「おお、烈先生の頼みとあっちゃあ断れねえや」
カオル「先生なんだ・・・」
末堂「君達の想像してる以上にスゴい人だぜ」
烈「・・・」
カオル「赤くなってる!かわいー」
47 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/06/22(金) 23:34:47.84 ID:O9enF0FIO
妹「ちょっとカオルー」
烈「いや、いいんだ」
カオル「じゃあうちは帰るね」
妹「カオル、今日はありがとね、本当に」
カオル「フフ、今度ディズニーランドね!チャイナさんもまたね!」
烈「きっとまた会えるだろう・・・再見」
末堂「なんだい、君も送ってくぜ」
カオル「近いからいいの、ありがとう怖い人」
末堂「・・・怖い人」
カオル「ウソウソ、じゃあね!」
妹「じゃあね!」
バタンバタン ブーン
烈は助手席に、娘は後部座席に乗り込み
車は出発した
妹「本当にいいのかなあ・・・」
烈「人との縁は大切にするものだよ」
末堂「まあ、肩肘張らずに気軽にな・・・ほらお友達まだ手を振ってるぜ」
妹「ほんと・・・え?!」
ルームミラーが映したのは、黒服の二人組に取り押さえされているカオルの姿だった
烈「車を止めてくれ!!」
48 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/06/22(金) 23:38:42.75 ID:O9enF0FIO
キキーッ
末堂は状況を察し、車を急ブレーキさせた
妹「カオル!!やだ!連れていかれちゃう!どうしよう!」
ザッ
車から飛び降りる烈と末堂
烈「間に合うか!?」
末堂「任せといて下さい、細い道に入った・・・靴脱いで走ったほうが早えや」
スポンスポン タタタタ
末堂は靴を脱ぎ捨て、裸足でカオルが連れ去られた細道へ走った
妹「は・・・早い」
烈「ここは彼に任せよう」
49 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/06/22(金) 23:44:55.43 ID:O9enF0FIO
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
腕を掴み、押さえ込もうとする黒服の二人組に身体全体を使って必死に抵抗するカオル
黒服A「こいつっ!大人しくしやがれ!」
黒服B「暴れるな!」
カオル「さわんじゃねーよ!てめー!キー!」
黒服A「待て!こいつ・・・写真と違う?」
黒服の片割れが、カオルの顔を覗き込み、何かに気付くと同時に、路地に飛び込んで来た末堂の脚刀が襲う
末堂「シャア!!」
バコーン
黒服A「ぐあ!」
末堂「裸足の蹴りは痛えだろう」
黒服B「なんだてめ・・・でけえ」
末堂「シャッ!」
黒服B「ゲフッ」
もう一人も末堂のキックの餌食となった
カオル「こ、怖い人~」
末堂「・・・怖い人・・・」
50 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/06/22(金) 23:48:45.45 ID:O9enF0FIO
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
花山組組長室、レザーの椅子に腰掛ける花山の前に立つ神妙な面持ちの木崎
花山「・・・紅蓮会?」
木崎「金の為ならなんでもやるそうです」
花山「・・・」
木崎「最近至るところで、やりたい放題・・・ガキの集まりがそのまま大人になったような連中です」
花山「・・・耳に入れておく」
木崎「はい・・・ところで、あの・・・いかがいたしやしょう」
花山「・・・」
木崎「妹さん・・・若い衆でも使って、連れて来させますか」
花山「・・・やめとけ」
木崎「・・・はい」
花山「極道が・・・素人に関わるモンじゃねえな・・・」
花山は軽く笑い、煙草に火を着けた
木崎「・・・二代目」
コンコン
木崎「おう、入れ」
ノックの音に木崎が返事をすると、新垣がただ事では無い様子で飛び込んできた新垣
「失礼しやす!」
木崎「なんだ、騒々しい」
新垣「あの・・・」
木崎「はっきりしやがれ、何があった」
新垣「ヒッ、ヒロシが・・・」
花山「・・・どうした」
新垣「拉致されたようです」
花山「!」
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