乗客Yx1
戸野 千織(トノ チオリ)
目が覚めたらそこは、走る列車の中だった
251: ◆e.A1wZTEY.:2018/4/18(水) 20:45:57 ID:18YnfYyzqU
>>250
ありがとうございます〜!!(´∀`*)
明日更新しまする!
252: ◆e.A1wZTEY.:2018/4/19(木) 22:11:36 ID:18YnfYyzqU
――昼になった頃
列車はキラサギ駅に到着した
車掌は降車すると、大きく【故障、修理点検中】と書かれた看板を立てた
車掌「・・・」
駅の周囲を見渡すが、ブリアンの姿は見当たらない
車掌「・・・使えない車掌補佐だな」
ため息をつくと、町にむかって歩き出した
253: ◆e.A1wZTEY.:2018/4/19(木) 22:12:33 ID:18YnfYyzqU
そのころ、兎兄貴の家では
兎兄貴「――ダメだダメだぁっ!腰が引けてるぞ!」 ガキィッ
兎男「ひぃっ」 バタッ
千織を守るための訓練と位置付けて、兎兄貴が兎男に対して剣の稽古をつけていた
兎兄貴「昨日の大きな黒い手を見ただろう!?車掌はおかしな術を使ってくるから、思い切って懐に飛び込む度胸をつけなきゃだめだ!」
兎男「お、おす!」
254: ◆e.A1wZTEY.:2018/4/19(木) 22:13:17 ID:18YnfYyzqU
千織「・・・はは」
苦笑いしながら眺めていると
「にゃ〜〜〜〜ご」
千織「!!」
家の外塀から聞き覚えのある声が聞こえ、目をやった
千織「ブリアンさん!」
塀の上にブリアンが立っていた
255: ◆e.A1wZTEY.:2018/4/19(木) 22:14:17 ID:18YnfYyzqU
千織(助けに来てくれたんだ・・・!!)
兎兄貴「なんだあ・・・?猫・・・?」
兎男「え、猫?どこどこ?」
すると、ブリアンは背を向けてどこかに走り出した
千織「あっ・・・!」バッ
あわてて千織が追いかける
兎兄貴「あっおい!どこ行くんだよ!!」 ダッ
兎男「あ、あれってもしかして車掌の猫じゃない・・・!?千織ちゃん、待って!!」 バッ
256: 名無しさん@読者の声:2018/4/21(土) 11:44:01 ID:iUzkpGjVKg
支援
257: ◆e.A1wZTEY.:2018/4/22(日) 19:58:38 ID:18YnfYyzqU
>>256
支援ありがとうございます!!
とても励みになります〜〜(*^。^*)
258: ◆e.A1wZTEY.:2018/4/22(日) 20:04:07 ID:18YnfYyzqU
車掌はキサラギ町にある兎男の自宅に訪れていた
車掌「――さすがにこんなバレやすいところにはいないか」
窓から家の中を眺めるが、無人のようだ
ふと、近くを歩く兎の町人を見つけ、話しかける
車掌「失礼、ちょっとよろしいですか」
町兎「はい?」
車掌「ここの家の者がどこに行ったか知りませんか?」
259: ◆e.A1wZTEY.:2018/4/22(日) 20:05:17 ID:18YnfYyzqU
町兎「兎男さんですか。さぁ・・・普段は列車で働いて、停車駅の町で寝泊まりしているらしいですからねえ」
車掌「私がその列車の車掌なのですが」
町兎「えぇっ!?これはこれは、こんな辺鄙な町へようこそ。兎男は何かしたのですか?無断欠勤とか?」
車掌「私の所有物を盗んで逃亡したので、探しています」
町兎「えええ!?そんなまさか」
どうやら兎男は、町の者たちに根回しして協力をあおいでいるわけではないらしい
車掌(馬鹿なのか、それともよほど隠れる場所に自信があるのか)
260: ◆e.A1wZTEY.:2018/4/22(日) 20:08:43 ID:18YnfYyzqU
車掌「彼の犯したことのせいで、列車を正常に稼働することができず、多くのお客様にご迷惑をかけています。兎一族は、代々列車の貨物業務にご協力いただき、私自身大変感謝しているのですが、このままでは兎一族全体に汚名をかけることになります」
町兎「ひ、ひえ」
車掌「列車はいまキサラギ駅に停車していて、今にも憤った乗客たちが町に乗り込んできそうな勢いです。それは何としても止めたいので、早急に彼を見つけなければなりません」
町兎「そ、そうですね」
261: ◆e.A1wZTEY.:2018/4/22(日) 20:10:51 ID:18YnfYyzqU
歪世界の住人はもともと「人間以外の生物」のため、知能は基本的に高くない
車掌の論術で言いくるめるのは難しくなかった
車掌「では、ご協力いただけるということでよろしいですか?兎男と少しでも交友関係があるとされる者の家を全て教えてください。他の町人の方に聞いてくださってもかまいません」
町兎「い、いますぐですか?」
車掌は静かに微笑んで見せた
車掌「今じゃなかったらいつなんですか?私の話聞いていましたか?早くどうにかしないと、列車に勤務する兎男全員を解雇します」
262: 名無しさん@読者の声:2018/4/24(火) 11:24:53 ID:A.EYkzvPoQ
楽しく読ませてもらってます!
263: ◆e.A1wZTEY.:2018/4/26(木) 22:37:49 ID:18YnfYyzqU
>>262
うおーめちゃめちゃ嬉しいです・・・!!( ;∀;)
楽しんで頂けるのがなによりの幸せ
264: ◆e.A1wZTEY.:2018/4/26(木) 22:44:59 ID:18YnfYyzqU
――ブリアンが、兎女の屋敷へ飛び込んで行くのが見えた
普段は施錠されている屋敷の扉が、この時だけは開いていた
千織「…」 ハァッ、ハァッ
千織(ここ、確か人間がいるって言っていたところ・・・!でもブリアンさんがどうして…)
兎男「千織ちゃん待ってー!」
兎兄貴「おーい!」
千織「!」
265: ◆e.A1wZTEY.:2018/4/26(木) 22:46:48 ID:18YnfYyzqU
後ろから兎男たちが走ってくる
この屋敷に勝手に入っていいのかわからないが、このままブリアンと離れるわけにはいかない
加えて、ここは恭太がいるかもしれない場所だ
千織(行かなきゃ・・・!)
千織は開いたままの扉から屋敷のなかに入った
すると、
ガタン!! ガチャッッ
千織「!」
千織の意思に関わらず、扉が勝手に締まり、施錠された
266: ◆e.A1wZTEY.:2018/4/26(木) 22:49:14 ID:18YnfYyzqU
千織「ど、どうして…」
外では、兎男と兎兄貴が入ることを許されず、立ち往生していた
兎男「あ、兄貴・・・閉まっちまったぞ」
兎兄貴「クソッ、あかねえ!」 ガチャガチャ
兎男「な、何でここに入ったんだ?兎女の差し金?」
兎兄貴「知るか!だが、こんなことできるのは屋敷主の兎女だけだろう」
兎兄貴「扉は頑丈すぎて無理だ、どこか侵入できるところを探すぞ!」
兎男「う、うん!」
267: ◆e.A1wZTEY.:2018/4/26(木) 22:51:32 ID:18YnfYyzqU
千織「・・・」
屋敷の中は薄暗く、不気味な空気が漂っていた
千織「ぶ、ブリアンさーん・・・」
千織「こ、ここにいますよね?私です、千織です・・・」
周囲を見回すが、ブリアンの姿は見当たらない
千織(も、もしかして、違う猫を見間違えちゃったのかな・・・)
おそるおそる奥へ進む
「にゃ〜」
千織「!」
268: ◆e.A1wZTEY.:2018/4/26(木) 22:53:38 ID:18YnfYyzqU
左前方の柱の陰に、ブリアンの姿が見えた
ブリアンはそのまま、ドアの隙間から一室に入った
千織「ブリアンさん・・・!」 ダッ
追いかけて、千織もその部屋に入る
――だが、部屋に入った瞬間
ガシャンッッ!!
千織「!!」
上から鉄格子の檻が降ってきて、千織を隔離した
269: 名無しさん@読者の声:2018/4/27(金) 13:43:33 ID:YGEouu4Zt6
好き!紫炎
270: 名無しさん@読者の声:2018/4/28(土) 20:29:56 ID:D8l8UUZnFg
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