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歪世界トレイン
[8] -25 -50 

1: ◆e.A1wZTEY.:2017/4/30(日) 20:25:16 ID:4iSJ1d7xp2

乗客Yx1

戸野 千織(トノ チオリ)

目が覚めたらそこは、走る列車の中だった



546: ◆e.A1wZTEY.:2020/1/22(水) 01:00:52 ID:BVk53N/NaE

一瞬を耳を疑う

ブリアン「列車を降りるんだ。ここから飛び降りて」

千織「え、えええええ!?!?」

千織「いやいやいや無理ですよ!!怪我しちゃいますよ!!」

千織「仮に安全に降りられたとしても、また怪物に襲われてしまいますし・・・!」

ブリアン「着地は精力の手が守ってくれる。人間の臭いは消えてるからすぐに襲われることもない」

ブリアン「すぐに車掌が迎えに来てくれるよ。それまでの辛抱だ」

千織「・・・」

千織「・・・それは、車掌さんの指示ですか?」

547: ◆e.A1wZTEY.:2020/1/22(水) 01:01:57 ID:BVk53N/NaE

ブリアン「ん?」

千織「列車から降りたら、見つけてもらうのすごく大変だと思うんです。見つかるなら、沖くんだって・・・」

ブリアン「千織は気づいてないと思うけど、身体に列車の精力がついてるんだ。だからそれが目印になる」

千織「でも・・・」

ブリアン「このままだと異界警察に見つかって、人間誘拐と監禁の罪で車掌が捕まるんだよ」

千織「・・・!」



548: ◆e.A1wZTEY.:2020/1/22(水) 01:03:45 ID:BVk53N/NaE

千織(私が見つかったら、車掌さんにも危険が及ぶ・・・?)

千織「で、でも」

千織「話したらきっと、わかってくれますよね。警察だし・・・車掌さんは悪い人じゃないって、私が言えば」

ブリアン「人間界ではさ」

ブリアン「罪を犯した人間が、”この人は悪い人じゃない”って言ってもらえれば、許してもらえるの?」

ブリアン「たとえ目的が人を助けるためでもあっても、犯罪は犯罪なんだよね」

千織「・・・そんな」

千織「車掌さんは、私の身の安全を確保してくれていたんです。罪なんて犯していません」

ブリアン「そんな綺麗ごとをそのまんま信じてもらえるなんて期待しないほうが良いって話」

549:名無しさん@読者の声:2020/1/28(火) 18:22:40 ID:n4MI9ARbPE
支援〜ノC
550: ◆e.A1wZTEY.:2020/2/13(木) 20:41:00 ID:7pU5WGbVn6
>>549
支援感謝いたします!!
今週中に更新しまする〜〜
551: ◆e.A1wZTEY.:2020/2/16(日) 12:03:22 ID:7pU5WGbVn6

千織「・・・」

千織「・・・わかりました。確かに、ブリアンさんの言うことは間違ってないと思います」

ブリアン「うん」

千織「列車から飛び降りればいいんですよね。着地は精力の手が守ってくれるし、降りた後も私の身体に付いた列車の精力が目印になる」

ブリアン「そう」

千織「・・・そういうことなら、やってやりますよ」

立ち上がり、急速に流れていく地面を見つめる

千織「・・・」

ゴクンと唾をのみ込む

大丈夫だとわかっていても、やはり飛び降りるのは勇気がいる

552: ◆e.A1wZTEY.:2020/2/16(日) 12:05:44 ID:7pU5WGbVn6

ブリアン「・・・」

千織「・・・い、いきます」

目をつむり、意を決して屋根から足を外した




車掌「!!」

その一瞬に、車掌の神経に警報が響いた

車掌「なにやってる!!!!」

部下1「おわっ!なんだ!?」

553: ◆e.A1wZTEY.:2020/2/16(日) 12:08:12 ID:7pU5WGbVn6

宙を舞った千織の身体を、一瞬遅れて精力の手が追う

千織の身体が地面にぶつかる瞬間――

ズササササッッッッ

ぎりぎりのところで精力の手が千織の下に滑り込み、クッションになった

千織「きゃっ・・・」

地面を削るような衝撃が伝わる

数秒、精力の手とともに地面を引きずられた後、動きが止まった

千織「・・・」

千織「・・・しゃ、車掌さん・・・」

自分の下敷きとなり、ボロボロになった精力の手を抱きしめる

554: ◆e.A1wZTEY.:2020/2/16(日) 12:11:16 ID:7pU5WGbVn6

千織「・・・ごめんなさい・・・」

千織「助けてくれて、ありがとう・・・」

電車の姿は既に、遠く彼方へ小さくなっていた




ブリアン「・・・うーわ」

驚いたように目を丸くする

ブリアン「まじで助けたんだ」

正直、精力の手が間に合う可能性は低いと思っていた

あそこまで動かすためには、間違いなく車掌の意思が必要だ

あの一瞬で、千織の危機を察知し、精力の手を動かした

ブリアン(・・・やっぱり恐ろしいやつだね、君は)

555:名無しさん@読者の声:2020/3/10(火) 04:42:02 ID:q/tbxYcTSE
千織ちゃんが無事でよかった!
つCCCC
556: ◆e.A1wZTEY.:2020/3/15(日) 12:55:35 ID:/tDptHe//U
>>555
いっぱい支援感謝です!(*- -)(*_ _)ペコリ
557: ◆e.A1wZTEY.:2020/3/15(日) 13:01:05 ID:/tDptHe//U

車掌「・・・」ハァ、ハァ

部下1「お、おい。いきなり叫んでどうした?大丈夫か」

車掌「・・・いえ・・・」

車掌「なんでも・・・」 ハァ、ハァ

見ると、右腕を痛そうに押さえている

部下1「? 腕がどうかしたのか?」

車掌「・・・」

大きな精力を1つ損失した形だ

回復には少々時間がかかりそうだった

558: ◆e.A1wZTEY.:2020/3/15(日) 13:03:10 ID:/tDptHe//U

部下1「おい、聞いてるのか?」

車掌「・・・列車を」

部下1「ん?」

車掌「列車を、引き返します」

部下1「・・・は?」

部下1「そ、そりゃまたどういうことだ?お前、本当にどうしたんだ」

車掌「・・・」

車内アナウンスを入れる

559: ◆e.A1wZTEY.:2020/3/15(日) 13:05:56 ID:/tDptHe//U

車掌『――お客様へ、お知らせいたします』

車掌『諸事情により、次のミズカキ駅に到着後、1つ前の駅であるヒナコ駅に戻らせて頂きます』

乗客「なんだ、なんだ?」

乗客「列車を戻すだって?」

ざわざわ

車掌『10分ほど時間を要しますが、その後はふたたびミズカキ駅方面へ走り、当初の予定通り終点まで走ります』

車掌『ご迷惑をおかけして申し訳ありません。ご理解のほどよろしくお願い申し上げます』

560: ◆e.A1wZTEY.:2020/3/15(日) 13:13:18 ID:/tDptHe//U

準隊長「――ひと駅戻るなんて相当なイレギュラーね」

部下1「準隊長!」

運転室に、列車調査を行っていた準隊長たちが入ってきた

準隊長「何があったのかしら?」

車掌「・・・」

車掌(千織が落ちた地点に戻るまでおそらく10分・・・。千織を助けるところは確実に目撃される)

車掌(・・・いや。こいつらはどう見ても私を疑っている。時間の問題か)

準隊長「何を考えているの?」

車掌「人間を連れ戻します」

561: ◆e.A1wZTEY.:2020/3/15(日) 13:16:12 ID:/tDptHe//U

「―――!?」

その場の空気が凍った

準隊長「・・・へぇ。どういうこと?」

車掌「予期せず人間が列車外に落ちたので助けにいきます」

準隊長「・・・あははっ」

準隊長「問い詰める前に自分から吐いてくれるのね」

車掌「その顔をみると、そちらも何か手がかりを掴んだのでしょう?」

準隊長「えぇ。あなたが“精力”というものを操るということをね」

準隊長「人間は精力の塊・・・関連を考えずにはいられないわ」

車掌「・・・」

準隊長「まだ証拠は掴んでないけど、あなたを徹底的に調べさせてもらおうと思っていたところ」

562: ◆e.A1wZTEY.:2020/4/22(水) 16:11:55 ID:blwQXIi.BE

車掌「・・・私は人間を保護していました」

車掌「あなた方は警察だと仰いました。しかし、素性がわからず、人間・・・彼女をあなた方に引き渡しても、彼女の安全が保証されるのか疑問だったので、隠させて頂きました」

準隊長「なるほどね。で、どうして隠し通そうと思わなかったの?」

準隊長「“保護”とかいう生ぬるい言葉使えば自分の罪が許してもらえると思った?」 ニッコリ

車掌「・・・バレるのは時間の問題だと思いましたので」

車掌「列車を引き返して、人間を連れ戻すところを隠すことは無理でしょう」

準隊長「そうね。間違いないわ」

563: ◆e.A1wZTEY.:2020/4/22(水) 16:12:58 ID:blwQXIi.BE

列車はミズカキ駅に停車後、もと来た線路を引き返し始めた

準隊長「さっき列車外に落ちたって言っていたけど・・・」

準隊長「もしかして屋根の上に隠していたの?だったら見つからないわけだわ」

準隊長「でも、下に落としちゃうなんて“保護者”として詰めが甘いんじゃない?そもそも人間は生きているのかしら?」

車掌「生きています。ただ、時間が経てばこの世界の者に襲われるかもしれない」

準隊長「・・・ふぅん、いいわ。それじゃ、あなたが人間を助けるところ、この目で確認させてもらいましょう」


564: ◆e.A1wZTEY.:2020/4/22(水) 16:14:25 ID:blwQXIi.BE

千織「・・・車掌さん、大丈夫かな・・・」

見知らぬ土地で、精力の手の残骸を抱きしめながらうずくまる

線路から離れすぎない場所で、かつ人目につかない木の下に移動していた

千織(ブリアンさんの指示で下におりちゃったけど・・・迷惑かけてるよね、きっと)

千織(異界警察・・・とかいうのにも、対応しなきゃだろうし)

千織(私のせいで車掌さんが逮捕、とかないよね?)

千織(嫌な予感がする・・・)

565: ◆e.A1wZTEY.:2020/4/22(水) 16:17:49 ID:blwQXIi.BE

車掌「・・・私からも1つ、お尋ねしてもよいですか」

準隊長「内容によるかしら」

車掌「・・・」

車掌「迷い込んだ人間は、もう1人いたと思います」

車掌「彼の現在を正しく説明してくださるのであれば、あなた方のことをおおむね信用します」

準隊長「・・・はてさて、あなたに信用される必要があるのかしらね?」

車掌「・・・」

566: ◆e.A1wZTEY.:2020/4/22(水) 16:21:04 ID:blwQXIi.BE

準隊長「まぁいいわ。あなたがもう1人のことを知っているのは、”彼女”が“彼”の知り合いだからよね」

準隊長「それとも、もしかして彼を最初に捕まえたのはあなただったの?」

車掌「前者が正しいです。彼は今どうなっていますか」

準隊長「魚人に捕らえられているところを我々異界警察が保護して、人間界に帰還させたわ。ここでの記憶を消してね」

車掌「・・・」

準隊長「彼の名前は、沖恭太。記憶を消す前、何度も『ちおちゃん、ちおちゃん』と呟いていたわ。・・・可愛いわよね、恋人だったのかしら?」

567: ◆e.A1wZTEY.:2020/4/22(水) 16:28:33 ID:blwQXIi.BE

車掌「・・・あなた方は、本当に警察なのですね。そんなものがこの世界に介入していたとは、知りませんでした」

準隊長「それが普通よ、非公開の組織だもの。逆に知っていたら、怪しさ満点よ」

車掌「・・・」

車掌「私が言わなくとも、だと思いますが。彼女を保護したら、安全に人間界へ帰還させてください」

車掌「彼女はこれまで、この世界に沖恭太が残っていると思って、頑なに帰ろうとしなかったんです。だが、彼の消息がわかった今、この世界にとどまる理由はありません」

準隊長「え?なに、あなた、人間界に帰そうと思えば帰せたって言うの?」

車掌「・・・多量の精力を消費すれば」

準隊長「へえぇ。面白いわ。あなたのこと、一度調べてみたいわね」

準隊長「ちなみに、最初こちらのニオイ探査機に反応が出なかったのはどうして?」

車掌「・・・この列車は、私の精力で形成されています。1人の人間の存在を覆い隠すことは難しくない」

準隊長「なるほどね」

568: ◆e.A1wZTEY.:2020/5/21(木) 02:33:42 ID:XCexI6W0e.

ガタンゴトン ガタンゴトン

車掌(・・・そろそろ、千織が落ちた地点だ)

部下1「・・・あ!」

部下1「じゅ、準隊長!あそこの木の陰に・・・!」

準隊長「・・・!」

車掌「・・・列車を停めます」

プシューッ

車掌『お客様へご連絡いたします。当列車は5分ほどこの場で停車いたしますが、すぐミズカキ駅方面へ再出発いたしますので、そのままお待ちください』

569: ◆e.A1wZTEY.:2020/5/21(木) 02:35:00 ID:XCexI6W0e.

千織「・・・!!」

千織「列車だ!!!」

立ち上がり、思い切り手を振る

千織「車掌さん、車掌さーん!!」 ブンブン

千織(戻ってきてくれた・・・!車掌さんを信じて良かった・・・!!)

間近に列車が停まり、運転室に近いドアが開く

千織「・・・え?」

ぞろぞろと出てきたのは、警察官のような風貌をした者たち

千織「っ・・・!」

千織(ブリアンさんの言っていた、異界警察・・・!?)

570: ◆e.A1wZTEY.:2020/5/21(木) 02:36:29 ID:XCexI6W0e.

準隊長「――こんにちは」

準隊長「やっと会えたわね。無事でなにより」

千織「あ、あの・・・」

準隊長「私たちは異界警察。あなたを保護し、人間界へ送り届けます」

千織「え・・・!」

複数人の警官たちに取り囲まれる

千織「ま、待ってください。車掌さんは・・・」

準隊長「・・・車掌とは会わせないわ」

571: ◆e.A1wZTEY.:2020/5/21(木) 02:37:43 ID:XCexI6W0e.

千織「え?」

準隊長「どんな理由であろうと、彼は人間の拉致・監禁の罪を犯したことになる」

千織「そ、それは!私を助けるために・・・!!」

準隊長「安心して。あなたを人間界へ帰すことには賛同してるから」

準隊長「あと、沖恭太。あなたの恋人?友達?も、保護して人間界へ帰還ずみ。他に何か困ることあるかしら?」

千織「・・・!!!」


572: ◆e.A1wZTEY.:2020/5/21(木) 02:39:40 ID:XCexI6W0e.

車掌「・・・」

千織と準隊長のやりとりを、運転室の窓から見つめる

車掌(・・・これでいい。千織をこれ以上この世界に縛る理由はない)

ブリアン「本当にいいわけ?」

車掌「・・・ブリアン」

いつの間にか、ブリアンが横に立っていた

ブリアン「このままじゃ、車掌もあいつらにどうされるかわかんないし、いいことなさそう」

車掌「・・・お前」

車掌「なぜ、千織を車外に落とした」

ブリアン「・・・」

車掌「精力の手がうまく受け止められなかったら千織は死んでいた。返答次第ではお前を許さない」

ブリアン「・・・フフ」

ブリアン「いいね。許さない・・・か。なかなか、エモいセリフを吐くようになったね」

573: ◆e.A1wZTEY.:2020/5/21(木) 02:43:13 ID:XCexI6W0e.

ブリアン「屋根の上だっていつかは見つかるでしょ。だったらいっそ、車外に落として一時的にでもやり過ごすべきだと思ったんだ」

ブリアン「もちろん、車掌が精力の手で落下時の衝撃を守ってくれるだろうって信頼したうえでね」

車掌「だが結局、列車を引き返させたことで隠すどころではなくなった」

ブリアン「そこが僕の見込み違いだった。車掌ならもう少しうまくごまかすと思ったんだけどなあ、まさか速攻で吐くなんて」

車掌「ごまかす?どうやって?千織をあの場所に放置しておくなんて」

ブリアン「前の君ならできたよね。実際千織に人間の臭いは残ってないし、あの場所はひと気もないし、少なくとも1日くらいは安全だったと思うよ」

車掌「・・・前の私だと」

ブリアン「気づいてないとか言わないよね。自分のことだよ?」

574:名無しさん@読者の声:2020/7/4(土) 22:04:50 ID:yEz/WR3Wj.
コロナで大変だけど頑張って更新しエレストてくれぇぇぇえ!応援してるぞ!!面白いからな!!!
575: ◆e.A1wZTEY.:2020/7/6(月) 19:53:47 ID:VdGDHZ34nE
>>574
うおおお嬉しいお言葉ありがとうございます・・・!!
最近リアルがバタついておりまして、申し訳ないです
でもそのコメントのおかげで元気いっぱいになりました!
数日以内に更新しますね(*^▽^*)
576: ◆e.A1wZTEY.:2020/7/10(金) 22:57:18 ID:VdGDHZ34nE

―――人間界

恭太が紫苑と接触してから4日後

恭太のもとへ紫苑から電話がかかってきた

紫苑『やぁ、待たせてすまなかったね。戸野千織が消息を絶った千賀池周辺を調査していたんだが・・・』

紫苑『色々わかったことがあるから、君ともう一度会いたいんだ』

恭太『わかった。いつ行けばいい?』

紫苑『今日の深夜1時、千賀池で会おう』

577: ◆e.A1wZTEY.:2020/7/10(金) 22:58:31 ID:VdGDHZ34nE

――深夜、千賀池

紫苑「やぁ、こんばんは」

恭太「あぁ」

恭太「それで、何がわかったんだ?」

紫苑「まぁ落ち着いて。順を追って話すから」

恭太「・・・」

紫苑「この池に、黒猫の霊がいると言っただろう?僕の知り合いの霊たちの力を借りて、なんとかコミュニケーションを試みたんだ」

紫苑「私たちに警戒していて、ちょっと苦労したけど、粘っていたら少し心を開いてくれた」

恭太「それで、猫はなんて」

紫苑「どうやら、ここで“ご主人様”を待っているらしい」

578: ◆e.A1wZTEY.:2020/7/10(金) 23:00:10 ID:VdGDHZ34nE

恭太「ご主人様・・・?飼い主のことか」

紫苑「多分ね。よくあるのは、なんらかの事情でこの池で飼い主が死に、念が残ってしまい、棲みついてしまうケースなんだが」

紫苑「どうやらそうではないらしい」

恭太「・・・?」

紫苑「ご主人様はここから時々、死者の世界とこの世界を行き来しているから、それを見守っている、と・・・。正確じゃないかもしれないが、そんなニュアンスのことを言っていた。やはりこの池は死者の世界と人間界を繋ぐ時空間的ポイントだった」

恭太「!!」

579: ◆e.A1wZTEY.:2020/7/10(金) 23:02:11 ID:VdGDHZ34nE

恭太「つまり、そのご主人様ってやつが、ちおちゃんを死者の世界へ攫った犯人ってことなのか」

紫苑「おそらくその可能性が高いね。目的はよくわからないけど」

紫苑「どうやって行き来しているのか、その方法も尋ねた。よくわからないみたいだったけど、やはり異世界同士の波長が合う日が不定期的にやってくるようだ。そのタイミングでここで“何か”をすれば、おそらく死者の世界へ行ける」

恭太「“何か”って・・・ずいぶん曖昧だな。波長の合う日もわからないのか」

紫苑「さすがに、聞き出す相手が猫だったからね。限界があるよ」

恭太「・・・この池でできることと言ったら、池に飛び込むとかか」

580: ◆e.A1wZTEY.:2020/7/10(金) 23:03:10 ID:VdGDHZ34nE

紫苑「その可能性もあるけど。戸野千織が消えた瞬間はどうだったんだい?」

恭太「ちおちゃんが消えた瞬間・・・」

正直、あまり思い出せないが――

恭太「・・・池に飛び込んだり、というのは・・・なかった気がする」

紫苑「そうか。じゃあ何だろうな、念じるだけで行けるというのも考えにくいが・・・」

紫苑「難しいと思うが、もう一度思い出して。君の記憶が手がかりなんだ」

恭太「・・・」

しばし考え込む

恭太「・・・ダメだ、思い出せないよ」

581: ◆e.A1wZTEY.:2020/7/10(金) 23:04:26 ID:VdGDHZ34nE

恭太「本当にすっぱり、記憶が抜け落ちてるんだ。誰かに消されたみたいに・・・」

紫苑「・・・ヒントは、視界にうつったことだけとは限らないよ」

恭太「?」

紫苑「例えば、日付とかね。戸野千織が消えた日は、3月14日―――」

紫苑「ニュースにはなっていないけど、私の情報では、戸野千織はその1カ月前にも一晩だけ行方不明になっている。2月14日だ」

恭太「!」

恭太「そうだ、その日の夜、実は行方不明だったって、俺も最近ちおちゃんのお母さんから聞いて、」

紫苑「昼間は君と一緒にいたんだよね。何か変わったことはなかった?」

582: ◆e.A1wZTEY.:2020/7/10(金) 23:06:05 ID:VdGDHZ34nE

恭太「そ、れは・・・そりゃ、真っ先に思いつくことは」

恭太「バレンタインデーとホワイトデー・・・」

紫苑「そうだね」

恭太「でも、プレゼント交換したことくらいしか・・・」

紫苑「・・・そこから考えられることは、そのプレゼントを“献上”すること・・・とかかな」

恭太「献上って・・・」

紫苑「ちなみに何をあげたの?」

恭太「チョコレート・・・だったと思う」

紫苑「ふむ」

紫苑「ものは試しだ。ここで、チョコレートを献上してみようじゃないか」

583: ◆e.A1wZTEY.:2020/8/22(土) 03:12:28 ID:setgox7HOE
恭太「献上、って・・・」

恭太「今はチョコレートなんて持ってないぞ?」

紫苑「私が持っている。大好物のチロルチョコさ」

懐から小さな四角い包みを2つ取り出す

恭太「いい年してチロルチョコ持ち歩いてるのか・・・」

紫苑「ん?何か言ったかい?」

恭太「何も」

紫苑「そうかい。じゃあ、これをささげてみよう」

チロルチョコを右手にもち、池の前で腕をのばす

584: ◆e.A1wZTEY.:2020/8/22(土) 03:14:12 ID:setgox7HOE

紫苑「さぁ、貢ぎ物のチョコだよ。これと引き換えに、僕たちをそちらの世界へ繋げてくれないかい?」

恭太「・・・」

紫苑「・・・」

シーン

池は変わらず静まりかえり、何も起こらない

恭太「・・・何も起こらないぞ」

紫苑「ふむ・・・今日がそのタイミングではないのか、それともこのチョコではダメなのか・・・」

恭太「両方なんじゃないか」

ため息をつく

チョコを捧げたら死者の世界に繋がるなんでバカな話だ

585: ◆e.A1wZTEY.:2020/8/22(土) 03:17:09 ID:setgox7HOE

紫苑「諦めてはいけないよ。考えうることで一番可能性が高いのは間違いない」

紫苑「ちなみに、君があげたチョコレートはどんなもの?」

恭太「どんなって・・・手作りのだよ。ガトーショコラみたいな」

紫苑「手作り!きみ、男の子なのにやるねえ」

恭太「まぁ・・・もともとお菓子作りは好きだけど。好きな女の子にあげるものなら頑張るっしょ」

やや赤面しながら答える

紫苑「うんうん、いいと思うよ。私もそんな青春を過ごしてみたかった・・・」

586: ◆e.A1wZTEY.:2020/8/22(土) 03:18:45 ID:setgox7HOE

紫苑「じゃあ、君の手作りチョコであることに意味があるのかも」

恭太「は・・・?そんなことあるわけ・・・」

紫苑「とりあえず試してみない?今、君の家にあったりしないかな」

恭太「・・・そんな都合よくあるわけないだろ。それに、チョコ作りは・・・ちおちゃんへの想いを思い出して、今はつらいんだ」

紫苑「そのちおちゃんへの手がかりになるかもしれない。明日、作ってみてくれないか」

恭太「・・・」

紫苑「それで、明日の夜にまた落ちあおう。明日が死者の世界に繋がるタイミングの日かはわからないから、何日か試すことになるかもしれないけど」

恭太「・・・わかったよ。今できることがそれだってんなら、俺はやってやる。明日の夜にまたここで会おう」

587: ◆e.A1wZTEY.:2020/8/22(土) 03:24:26 ID:setgox7HOE

――――――


車掌「・・・確かに、私は変わったかもしれない」

車掌「前は、人間の小娘など生きても死んでも気にも留めなかった。最初、千織がこの世界に迷い込んだ時も、帰したのはただの気まぐれだった」

ブリアン「だよねえ」

車掌「だが、そういうお前はなんなんだ?」

車掌「はじめ、千織に固執したのはブリアンだ。列車の精力になる、列車の寿命を伸ばすことができるから、と・・・。しかし今は、千織を異界警察に引き渡すことに加担した」

588: ◆e.A1wZTEY.:2020/8/22(土) 03:28:26 ID:setgox7HOE

ブリアン「加担なんてしてないって。言ったでしょ、車掌なら千織を精力の手で受け止めると信じてたし、うまく奴らを言いくるめてやり過ごせるって思ってたからの判断だよ」

車掌「結果的に今、千織は我々から引き離されそうになっているわけだが。千織を列車の精力にしたかったお前は、どんな気分なんだ?」

ブリアン「最悪だよ。危機的状況だと思ってる」

そう吐き捨てながらも、どこか笑っているようにも見える

ブリアン「このままじゃこの列車は大損だ。だから・・・僕は、千織を取り返す努力をしたい」

車掌「は・・・?」

ブリアン「車掌にも協力してほしいんだ」

589: ◆e.A1wZTEY.:2020/9/13(日) 22:37:55 ID:bh825eqJEo

車掌「協力だと・・・?何を考えているか知らないが、断る」

ブリアン「そんな早く決めないでよ」

車掌「千織が安全に人間界へ戻る。沖恭太も無事だった。それでいいだろう、万事解決だ」

ブリアン「でも、車掌はきっと捕まるよ?人間監禁の罪とかなんとかで」

ブリアン「そしたらこの列車はどうなるんだろうね」

車掌「・・・それは・・・」

顔をしかめ、唇を噛む

590: ◆e.A1wZTEY.:2020/9/13(日) 22:39:10 ID:bh825eqJEo

車掌「・・・私のしたことが罪になるのなら、仕方のないことだ」

車掌「あいつらは歪世界の事情を詳しく知っているようだし、逃げるのも難しいだろう」

ブリアン「だよねえ」

ブリアン「捕まらず、なおかつ千織を取り戻すためには・・・あいつらを殺すしかないよね」

車掌「は・・・」

耳を疑った

車掌「・・・頭がおかしくなったのか?」

591: ◆e.A1wZTEY.:2020/9/13(日) 22:40:38 ID:bh825eqJEo

ブリアン「なってないよ。車掌が本気出せば、ここに来てる異界警察10数人全員を殺ることは可能でしょ?」

車掌「奴らの戦闘力は測れていない」

車掌「仮に殺ったとしても、すぐに増援を呼ばれる」

ブリアン「そいつらも全部殺すんだよ」

車掌「・・・お前、私を殺し屋かなんかと勘違いしてないか?」

ブリアン「列車に乗っている限り、ここは車掌のテリトリーだ。できないことはないでしょ?」

車掌「多量の精力を消費することになる。お前の嫌がることだろう」

592: ◆e.A1wZTEY.:2020/9/13(日) 22:43:00 ID:bh825eqJEo

ブリアン「気づいてない?あいつら、臭いも気配も違うけど中身は人間に近いみたいだよ。量はわからないけど、精力を持ってる」

ブリアン「つまり、倒して片っ端から燃料にしちゃえば、マイナスになることはないでしょ」

車掌「・・・お前は」

車掌「本当に、恐ろしいことを考えるな」

ブリアン「列車と・・・車掌のためだよ」


593: ◆e.A1wZTEY.:2020/9/13(日) 22:47:37 ID:bh825eqJEo

車掌「百歩譲って、お前の作戦が可能だとしても・・・我々の利益など、そんなに必死になってまで優先するべきことか?」

ブリアン「・・・13年」

車掌「・・・」

ブリアン「今のペースで列車稼働に精力を消費したら、13年後に精力は尽きる。間違ってないよね?」

車掌「・・・ああ」

ブリアン「これは予定より20年くらい早い。大きな原因は、乗車券に蓄えられる精力の量が大幅に削減されたことだけど」

車掌「仕方のないことだ。昔は人間界から頻繁に精力が流通していたが、今は制限が厳しくなり、この世界全体に精力が減った」

594: ◆e.A1wZTEY.:2020/9/13(日) 22:52:07 ID:bh825eqJEo

ブリアン「・・・」

車掌「13年でかまわない。私は、与えられた仕事を全うするだけだ」

ブリアン「・・・与えられた仕事、ね」

ブリアン「その大事な仕事を1年でも長くできるよう工夫することも、大事だと思うけどね?」

ブリアン「計算したんだ。若くて健康な人間ひとりをまるまる列車に投資したら、寿命は・・・20年延びる。本来の寿命と一緒だ。素晴らしいじゃないか」

車掌「・・・」

ブリアン「イコール、これは君の命の長さだ。僕は、仕事仲間であり親友である君に・・・生きてほしいんだ」

595:名無しさん@読者の声:2020/9/20(日) 02:03:39 ID:QxVPOrBXk2
ブリアン(`;ω;´)
生意気なやつめーとか思ってごめんね…
車掌長生きしてほしい
596:名無しさん@読者の声:2020/9/20(日) 04:14:00 ID:QxVPOrBXk2
今気づきましたがTOPのその他から厳選入りおめでとうございます!!
597: ◆e.A1wZTEY.:2020/9/26(土) 17:08:15 ID:oWRIfZORLo
>>595 >>596
ありがとうございますー!
その他に掲載していただいてるの、私も最近知ったので
びっくり&超感激でした…!本当にありがたいです。
これからも何卒よろしくお願いしますm(__)m

近日中に更新します!
598: ◆e.A1wZTEY.:2020/10/10(土) 20:47:35 ID:ZyA0ubr.xE

千織「ま・・・待ってください」

警戒しながら、異界警察と距離をとる

千織「まずは、車掌さんと会わせてください。でないと信じられません」

準隊長「強情ねえ。彼は罪人だって言ってるでしょ?」

千織「あなた方のことを信用できないと言ってるんです。沖くんが無事だと言っていましたけど、適当なことを言って私を信じさせようとしているだけではないですか」

千織「沖くんが本当に無事だという証拠をみせてください。もしくは・・・車掌さんがあなた方を信じると仰るなら・・・考えます」


599: ◆e.A1wZTEY.:2020/10/10(土) 20:48:45 ID:ZyA0ubr.xE

準隊長「・・・ふぅん」

準隊長「ちゃんと頭はあるみたいね。気弱な女の子だと思ってたからちょっと驚いたわぁ」

千織「・・・」

準隊長「・・・じゃあ、特別に車掌に面会することを許可してあげましょう。彼は賛同してるから、証言してくれるはずよ」

準隊長「車掌を呼んできて」

部下1「はっ」 タタッ


600: ◆e.A1wZTEY.:2020/10/10(土) 20:52:40 ID:ZyA0ubr.xE

部下1「――おい、車掌!」

ガラッ

部下1「・・・!?」

運転室のドアをあけたが、車掌の姿がない

部下1「他の車両へ行ったのか?こんなときに・・・」

運転室を出て1両目に入ろうとすると――

部下1「げっ」

乗客1「おい、いつまでここに停まってやがるんだ!?」

乗客2「5分ってきいたのに嘘じゃねーか!車掌をだせ!!」 ドンドン

待たされて気が立った乗客たちが騒ぎ始めていた

部下1「こ、これは・・・車掌はどこへ行ったんだ!?」

601: ◆e.A1wZTEY.:2020/10/10(土) 20:58:08 ID:ZyA0ubr.xE

ブリアン「――千織。千織」

千織「!」

異界警察と対峙していると、背後の草むらから小さな声が聞こえた

ブリアンだ

ブリアン「静かに、振り向かずに聞いて。今の状況は・・・とても良くないね。車掌も望んだことじゃない」

千織「・・・!」

ブリアン「あいつらは得体のしれない偽善者だ。君を人間界へ帰してくれる保証なんてどこにもない」

千織(そ、そんな・・・)

千織「車掌さんはどこに・・・」

ブリアン「あいつも見張られてるから迂闊に動けないんだ」

602: ◆e.A1wZTEY.:2020/10/10(土) 21:05:06 ID:ZyA0ubr.xE

ブリアン「でも、一度君が列車の中に戻ることができれば・・・あそこは車掌のテリトリーだ。君を守ることができる」

千織「・・・!」

ブリアン「うまく口実を作って、列車の中に戻るんだ。・・・難しかったら、最悪走って逃げて、一歩でも足を踏み入れればいい」

千織「・・・」

千織(・・・でも、そのあとは?)

千織(一時的にやり過ごせても、また追われて、車掌さんに迷惑をかけてしまうんじゃ・・・)

千織(・・・それに、ブリアンさんは・・・)

ブリアン「千織」

ブリアン「僕たちを信じて」

603:名無しさん@読者の声:2020/10/22(木) 18:04:04 ID:8XMy7bQTxY
ブリアンきた!!良かったね千織ちゃん

つCCCCC
604: ◆e.A1wZTEY.:2020/10/29(木) 17:33:58 ID:LQTjeH4R2o
>>603
たくさん支援感謝ですー!
今週中の更新めざします
605: ◆e.A1wZTEY.:2020/11/1(日) 21:02:03 ID:aDFiMekXc6

準隊長「ん〜〜遅いわねえ。車掌はまだ来ないの?」

準隊長「いっそこちらから出向きましょうか」

千織「!」

千織「あっあの」

思い切って声を出す

準隊長「うん?」

千織「た、たぶん、お客さんの対応に追われてるのだと思います。ここに停車して時間が経っていますから・・・」

準隊長「・・・あぁ、そういうこと」

606: ◆e.A1wZTEY.:2020/11/1(日) 21:04:15 ID:aDFiMekXc6

千織「ですから、私たちが列車に―――」

バンッッ

千織「!?」

千織の顔の横を銃弾がかすめた

千織「・・・」

驚きのあまり、足がふらつく

銃をかまえた準隊長がにっこりと笑った

準隊長「あら、おかしいわねえ。あなたの後ろに誰かいた気がしたんだけど」

千織「・・・!」

振り向くが、ブリアンの姿はない

607: ◆e.A1wZTEY.:2020/11/1(日) 21:07:02 ID:aDFiMekXc6

準隊長「列車には戻らないわ。車掌が姿を現さないのなら、それまで。あなたをこのまま連れて行くだけよ」

準隊長「車掌のことは後日逮捕でも処刑でもすればいいし。あなたを保護することが警察として最優先だからね」

千織「・・・」

ごくんと唾をのみ込む

千織(・・・もう、何を信じるべきなのかわからない。だけど・・・このまま車掌さんと何も話せないまま別れるのは嫌だ、嫌だ)

千織(私のことを保護すると言ってるから、少なくとも私の命は保証されてるはず。それなら・・・)

ブリアンに言われたように、思い切り走って、列車に逃げ込むしかない

だが、複数人の警官に囲まれている状況だ

とても可能そうには見えない

千織(でも、やるしかない!!)

608: ◆e.A1wZTEY.:2020/11/1(日) 21:09:13 ID:aDFiMekXc6

千織「―――っ!!」ダッ

「!!」

周囲の警官を振り切って走り出す

部下2「こいつ・・・!」

部下3「何を無茶なことを!」

すぐに手や肩をつかまれ、身体が戻されようとする

そのとき―――

ドゴッッ!!

部下2「うごっ!?!?」

部下3「ぎゃっ!!!」

飛び蹴りがとんできて、部下たちの顔面をなぎはらった

609: ◆e.A1wZTEY.:2020/11/1(日) 21:11:02 ID:aDFiMekXc6

千織「・・・!?」

部下4「大丈夫か」

千織「え・・・!?」

帽子を目深にかぶった部下4が、千織をかばうように立っている

部下5「なんだ貴様!!」バッ

バキッ!

部下5「がはっ」

部下4の拳を腹に受け、倒れ込む

610: ◆e.A1wZTEY.:2020/11/1(日) 21:13:49 ID:aDFiMekXc6

千織「車掌さん・・・!!」

風貌は警官だが、声は紛れもなく車掌だ

準隊長「はっ、部下に化けるなんて芸達者じゃないの!」

準隊長が銃をかまえ、発砲した

バンッ

千織「!」

車掌「っ・・・」

部下4の帽子が舞い、車掌の顔があらわになった

準隊長「・・・あは、まさか避けたの?今のを?」

611: ◆e.A1wZTEY.:2020/11/1(日) 21:15:59 ID:aDFiMekXc6

車掌「・・・」

車掌「・・・悪いが、今は千織を渡せない。退いてくれないか」

準隊長「は・・・?あなた、さっきは納得していたわよね」

準隊長「まさか今更になって人間の女の子を手元におきたくなっちゃった?」

車掌「・・・」

やや眉をしかめるが、問いには答えない

そのまま千織の身体を寄せ、腰を抱いた

千織「ひゃっ」

地を蹴り、ふわりと宙を舞う

612: ◆e.A1wZTEY.:2020/11/1(日) 21:21:19 ID:aDFiMekXc6

準隊長「!」

部下6「ぎゃひっ」

部下7「んげっ!!」

部下たちの顔を足台にしながら、列車に向かって飛んでいく

準隊長「ちっ」

バンッ バンッ バンッ

1発が車掌の腕をかすめたが、速度は落ちない

準隊長「くっ・・・」

顔をしかめたときには、車掌と千織は列車に到達していた

613: ◆e.A1wZTEY.:2020/11/1(日) 21:25:38 ID:aDFiMekXc6

車掌「発車だ」

ブリアン「まだ社内に警官が残ってるみたいだよー?」

横からブリアンの声がきこえた

車掌「かまわない。精力の手で追い出しておく」

準隊長「待ちなさい!!」

準隊長「こ、このまま逃げられると思っているの?列車なんてすぐに追跡できる、時間と労力の無駄よ!!」

車掌「・・・」

ブリアン「うるさいオバサンだなあ。さよなら!」

ぷしゅーっと音を立て、列車が走り出した

614: ◆e.A1wZTEY.:2020/12/23(水) 01:26:05 ID:GnFfdiuz6c
SS板が無くなってる…だと…
びっくりしましたがスレが残っていて良かったです
近日更新します

615: ◆e.A1wZTEY.:2020/12/27(日) 22:51:41 ID:v/MKOnGQpQ

千織「・・・」

へなへなと座り込み、震える瞳で車掌を見つめる

千織「車掌さん、あの人たちは・・・」

車掌「異界警察というらしい。千織を探していたようだ」

千織「っ・・・ほ、ほんとうに、警察なんですか?」

車掌「・・・わからない。私も初めて聞いた組織だ」

車掌「だが、沖恭太のことは知っていた。彼は無事だと言っていた」

千織「・・・はい・・・」

616: ◆e.A1wZTEY.:2020/12/27(日) 22:52:56 ID:v/MKOnGQpQ

車掌「・・・すまない。お前をあのまま異界警察に託したほうがよいのではないかと、私も考えた。だが・・・」

車掌「100%信用できたわけではないし、なにより・・・」

千織「・・・なにより?」

車掌「いや・・・」

車掌「・・・私にも、わからないんだ。今回の決断が正しかったのか・・・」

ブリアン「正しかったよ」

ブリアン「僕は車掌や千織と離れ離れになりたくないよ。2人だってそうだろう?」

ブリアン「車掌は、千織をあのまま手放したくないと思ったんだよ。その気持ちを尊重しようじゃないか」


617: ◆e.A1wZTEY.:2020/12/27(日) 22:55:12 ID:v/MKOnGQpQ

千織「車掌さんが・・・」

車掌「・・・」

車掌「・・・すまない。少し、休ませてくれ」

頭を押さえながら、小さく呟く

車掌「ブリアン。運転はするから、乗客の説得と誘導は頼む」

ブリアン「うん」

車掌「千織も無理に働かなくていい。奴らもすぐには追ってこれないだろうから」


618: ◆e.A1wZTEY.:2020/12/27(日) 22:58:19 ID:v/MKOnGQpQ

千織「あ、あの、車掌さん!」

千織「私は、助けてくれて嬉しかったです・・・!あのままお別れになるなんて、嫌でしたから」

千織「結果として、また迷惑かけてしまうことになると思いますけど・・・」

車掌「・・・」

車掌「千織のことは危険にさらさない。それだけは・・・約束する」

千織「・・・!」

車掌「私のことは気にするな。既に重罪のようだし、いつ捕まっても同じことだ」

千織「でも・・・!」

車掌「また、後で話そう」

帽子を被りなおすと、背を向け、運転室へ向かっていった

619:東京名無しンピック2021?:2021/2/14(日) 18:39:13 ID:lPwrypuljw
支援!
620: ◆e.A1wZTEY.:2021/3/3(水) 01:43:53 ID:MCTxRfd3dQ
>>619
支援ありがとうございます…!!
ちょっとリアルが忙しくて
少々更新お待ちいただけますと幸いです
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