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歪世界トレイン
[8] -25 -50 

1:🎏 ◆e.A1wZTEY.:2017/4/30(日) 20:25:16 ID:4iSJ1d7xp2

乗客Yx1

戸野 千織(トノ チオリ)

目が覚めたらそこは、走る列車の中だった



121:🎏 ◆e.A1wZTEY.:2017/5/18(木) 20:57:25 ID:spmolqlGjY

魚人母「――な、な、何だってんだい、あんたたち!」

銃をつきつけられた魚人母が、後ずさりする

???「…」

???「隊長、家の中をチェックしましたが、人間とこの魚人以外いないようです」

???「そうか。仕事が少なくて助かるな」

???「人間はかなり衰弱しているようです。急いだほうがよろしいかと」

???「あぁ」

魚人母「…!? あんたら、あの人間を連れていくつもりなのかい!」

魚人母「そうはいかないよ、あれはウチの獲物だ!!」

122:🎏 ◆e.A1wZTEY.:2017/5/18(木) 21:01:04 ID:spmolqlGjY

???「静かにしろ」

バンッ、バンッ

魚人母「ぎえぇっ」 バタッ

容赦なく発砲され、魚人母は倒れこんだ

魚人母「よ、よくも…よくもおお…!」

???「歪世界に迷い込んだ人間を捕らえ、奴隷にしたり食したりすることは異界法違反だ。たとえそれが未遂でもな」

魚人母「なん、だと」

???「貴様は刑罰に処する」

バンッ

123:🎏 ◆e.A1wZTEY.:2017/5/18(木) 21:03:59 ID:spmolqlGjY

男たちが恭太の前に立つ

???「――隊長。こちらがその人間です」

???「ふむ。意識を失っているな。身元を確認できるものは?」

???「人間のものとみられる学生?手帳を見つけました。沖恭太、東京都荒川区○○在住…」

???「よし、送り届けるぞ」

???「記憶の処理はどうなさいますか?」

???「消してやろう。恐怖でいっぱいだっただろうからな」

恭太(・・・・・・ん・・・?)

人の存在に気づき、意識を戻し始めた

124:🎏 ◆e.A1wZTEY.:2017/5/18(木) 21:05:47 ID:spmolqlGjY

恭太(だれか、いる…?魚人か…?)

???「おや、目を覚ましたようですよ」

???「沖恭太くん。もう大丈夫だ」

恭太「大丈夫…?」

???「君の身柄は、我々異界警察が保護した。安心したまえ」

恭太「警察…!?」

はっと目を開ける

125:🎏 ◆e.A1wZTEY.:2017/5/18(木) 21:13:32 ID:spmolqlGjY

???「おっと。もう少し寝ていたまえ。ちゃんと送り届けるから、大丈夫だよ」

男が恭太の目を手で覆った

恭太「っ…ちおちゃんを、ちおちゃんを助けてくれ!頼む!」

???「ちおちゃん…?」

???「まだ歪世界に人間がいるのか?」

???「調べてみます」

???「―――…いえ。この世界に、他に人間の気配はありません」

126:🎏 ◆e.A1wZTEY.:2017/5/18(木) 21:14:39 ID:spmolqlGjY

???「ニオイ探知はどうだ?」

???「反応していません」

???「…ふむ。どういうことだろう?」

???「その少年も、恐怖で記憶が混乱しているのでしょう」

恭太(ちおちゃんがいない…!?そんな、馬鹿な)

恭太(まさか、食べられちゃったのか…!?)

恭太「あああああっ!!」

127:🎏 ◆e.A1wZTEY.:2017/5/18(木) 21:15:49 ID:spmolqlGjY

恭太「ちおちゃん、ちおちゃん…!!!」

後悔のあまり、叫びをあげる

???「落ち着いて。隊長、記憶の削除を行ってよろしいですか」

???「あぁ」

恭太「ちおちゃん…!!」

その言葉を最後に、恭太は意識を失った

128:🎏 名無しさん@読者の声:2017/5/22(月) 22:43:57 ID:3/JsMTxgiM
支援
129:🎏 ◆e.A1wZTEY.:2017/5/23(火) 13:36:40 ID:spmolqlGjY
>>128
支援ありがとうございます、嬉しいです!!
更新遅れてすみません、がんばります\(^o^)/
130:🎏 ◆e.A1wZTEY.:2017/5/23(火) 13:39:48 ID:spmolqlGjY

―――千織が歪世界にきてから、3日目の朝


「――おり。ちおり」

千織「ん…」

車掌「千織。起きなさい」

千織「んん〜おかあさーん…」

千織「だいじょうぶ、まだあと5ふんねても…まにあうから…」 グーグー

車掌「…」

131:🎏 ◆e.A1wZTEY.:2017/5/23(火) 13:41:26 ID:spmolqlGjY

ブリアン「あら〜かわいい寝顔だね」 ヒョコッ

車掌「…ブリアン。機嫌は直ったのか」

ブリアン「まぁ、僕も車掌とは喧嘩したくないから。でも、この子を人間界に戻すことは反対だよ」

車掌「…」

ブリアン「今まで君は独りだったから、実感ないと思うけど。この子の髪も、顔も、手も足も、全部車掌のものなんだよ?」

ブリアン「全部、車掌の好きなようにしていいんだ」

車掌「変態くさい言い方はやめろ」

132:🎏 ◆e.A1wZTEY.:2017/5/23(火) 13:43:55 ID:spmolqlGjY

車掌「いったい何を企んでいるんだ、お前は」

ブリアン「べつにぃ?僕は車掌のためを思って言ってるだけさ」

車掌「…客が乗ってくる時間だ。行くぞ」 スッ

ブリアン「起こさないの?」

車掌「疲れているのだろう。無理に起こさなくても仕事は回る」 バタン

ブリアン「…独りに慣れすぎなんだよ、車掌は」 ボソ

133:🎏 ◆e.A1wZTEY.:2017/5/24(水) 00:09:35 ID:spmolqlGjY

ガタンゴトン

ガタンゴトン

千織「…」 スヤスヤ

千織「……ん」

千織「…ん…!?」

はっとして目を覚ました

起き上がると、明るい日差しが窓から注ぎ込んできた

千織「…」

千織「…い、いま何時だっ」

134:🎏 ◆e.A1wZTEY.:2017/5/24(水) 00:10:46 ID:spmolqlGjY

スマホをみるが、電池が切れている

だが、既に列車が動いているところをみるに、寝坊したことに間違いないようだ

千織「どど、ど、どうしようっ…」

車掌は怒っているだろうか

急いで起き上がり、寝台車両が出ようとしたが、動きを止めた

千織「…行って、いいのかな…」

ここを出れば、一般車両である

おそらく客(人外)が多く乗車しているはず

千織(む、無理だあぁ〜〜) ヘナヘナ

135:🎏 ◆e.A1wZTEY.:2017/5/24(水) 00:12:36 ID:spmolqlGjY

車掌「…」 ピク

車掌「…起きたか」

列車を運転しながら、つぶやく

ブリアン「こわ。なんでわかるの」

車掌「列車内に存在する精力の動きは全て把握している」

ブリアン「そういやそうだったね」

車掌「とりあえず、貨物と寝台の掃除でもやらせるか。ブリアン」

ブリアン「はいはい、僕が指導しに行けばいーんでしょお」 スタスタ

136:🎏 ◆e.A1wZTEY.:2017/5/24(水) 23:34:08 ID:spmolqlGjY

――――――


ブリアン「――だめだね。まだホコリが残ってる」

千織「えぇ」

ブリアン「ちゃんと隅から隅まで掃くんだよ。やりなおし」

千織「は、はい…」

いそいそと貨物車両の掃除をする

ブリアンは意外と掃除には厳しいようだ

ブリアン「魚人の家があるササノコ駅まであと3時間。それまでに雑巾がけまで終わらせてね」

千織「はい」

137:🎏 ◆e.A1wZTEY.:2017/5/24(水) 23:40:35 ID:spmolqlGjY

車掌「正確には3時間15分だ」

千織「車掌さん」

貨物車両に車掌が入ってきた

車掌「ササノコ駅を終点とした後は、直接魚人の家まで列車を走らせる」

千織「え…」

ブリアン「えぇえ?線路のないところ走るつもり?」

車掌「あぁ」

ブリアン「やめなよ〜。揺れが酷いし精力も消費しちゃう」

138:🎏 ◆e.A1wZTEY.:2017/5/24(水) 23:43:01 ID:spmolqlGjY

車掌「何かあったとき、近くに列車があったほうがいいだろう」

千織「そ、そんなことが可能なんですか」

車掌「可能だ」

千織「そもそも、どうやって魚人の家を見つけるんですか?」

車掌「昨日魚人から回収した携帯機器から、住所はわかった」

千織「な、なるほど…」

139:🎏 ◆e.A1wZTEY.:2017/5/24(水) 23:51:48 ID:spmolqlGjY

千織「あ、あの。私が頼んでおいてあれなんですけど、…私にできることありますか?」

車掌「…」

ブリアン「…」

車掌「…そうだな。おととい会った感じ、君の連れは頭を使わない猿だった。ここでまた暴れられても困るから、きちんとなだめるように」

ブリアン「ブッ」

千織「そっ、それは…!確かに沖くんは、考えるより先に行動しちゃうタイプですけど」 アセアセ

千織「でもそれは、私のことを心配してくれての行動だったので」

140:🎏 ◆e.A1wZTEY.:2017/5/24(水) 23:55:01 ID:spmolqlGjY

車掌「君を守りたいならなおさら、迂闊な行動は逆効果だろう」

千織「う…」

ブリアン「車掌から見たら、人間なんてみんな迂闊な行動しかしないよ」 ケラケラ

ブリアン「千織、そんな男やめて車掌に乗り換えたら?」

千織「はっ…!?」

ブリアン「冷静沈着、頭脳明晰。しかもほら、顔も見てよ、悪くないでしょ」

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