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サシャ「いつだって、あなたの味方です」

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Part4
76 : ◆H4iwFNXQsw:2014/03/26(水) 20:16:54 ID:0SrVa4Qg
ーー 午前 営庭
エレン「えー……固定砲整備4班、班長のエレン・イェーガーだ! ……です」ギクシャク
ミリウス「固いぞエレン、緊張してんのかー?」
トーマス「しかもなんで敬語なんだよ」
ミーナ「あはは、サシャの真似してるのかな?」
サシャ「真似っこ一回につきパン一個です! ください!」
コニー「ていうか声でけぇよ、隣の班まで聞こえたんじゃね?」キョロキョロ
アルミン「あれだけ発声練習すればねー……」
エレン「だああああもうっ! うるせえな、静かにしろ! それとパンはやらん! ーーとにかくだな、お前らには前もって言っておくことがある!」
トーマス「実は一つ年下でした、とかか?」ハハハ
エレン「違ぇよ、真面目に聞けって。ーー俺は頭がいいわけじゃねえし、周りを見ないで突っ走ることがよくある。しかも、固定砲の整備もあまり得意じゃない。……というか、正直苦手だ」
エレン「本当のところを言っちまうと、俺は班長には向いてないんじゃないかって思ってる。……まあ、教官に言われたことだからちゃんとやるけどな」
エレン「だから、もしかすると班長なのにみんなに迷惑をかけることがあるかもしれない。……いや、あるだろうな。絶対に」
エレン「それで、まあ……その逆の場合も当然あるはずだ。そういう時は、俺はできるだけそいつのことを手助けしてやりたいし、みんなにも助けてやってほしいと思ってる。もちろん、自分ができる範囲で構わない。共倒れになったら意味ねえからな」
エレン「ーーとまあ、なんだか堅苦しい話しちまって悪いんだけどよ。これが班長としての俺からの頼みだ。……おいなんだよトーマス、笑うんじゃねえ」

77 : ◆H4iwFNXQsw:2014/03/26(水) 20:18:01 ID:0SrVa4Qg
トーマス「ははは、悪い悪い……そうかそうか、整備苦手なんだな、エレンは」
ミリウス「お前、技巧の成績もよくねえもんなぁ」
エレン「あっ、アルミンと比べるなよ!? そもそも全くできねえ訳じゃねえからな!? 細かい調整が苦手なだけでーー」
コニー「大丈夫だぞエレン、俺も苦手だから!」ポン
サシャ「私も得意ではありません! 安心してください!」ポン
ミーナ「だってさエレン。よかったね?」
エレン「……なんだか釈然としねえんだが」ムスッ...
アルミン「そう? みんなエレンが言ったことにきちんと従ってると思うけどなぁ」
トーマス「そうだそうだ、アルミンの言う通りだ」
ミリウス「俺たちちゃんと班長様のフォローしてるよな?」
ミーナ「してるしてる。ばっちりできてるよ」クスクス
エレン「……そうか、お前らがよくできた班員で安心したぞ俺は」
コニー「だろ? ーーなんたって俺は天才だからな!」エッヘン
サシャ「いよっ! 壁内いちーっ!」パチパチ
エレン「まあ……とにかくだ。所属兵科が決まるまでの短い間だが、よろしく頼む」

78 : ◆H4iwFNXQsw:2014/03/26(水) 20:18:55 ID:0SrVa4Qg
ーー しばらく後 女子寮廊下 ユミルたちの部屋の前
サシャ「いやー、気合い入ってましたね。エレン」
ミーナ「壁の防衛に直接関わる仕事だからね。普段から駆逐駆逐言ってるエレンだもの、気負っちゃうのもわかるなぁ」
サシャ「……整備中に壁から飛び降りて、巨人を駆逐しに行っちゃわなきゃいいんですけど」
ミーナ「まさか、いくらエレンでもそんなことは…………………………しないといいよね」
サシャ「援護するにしたって限度がありますよねー……ところで、ミーナの部屋ってあっちじゃありませんでしたっけ?」
ミーナ「そうだよ?」
サシャ「……ここ、私の部屋なんですけど」
ミーナ「まあまあ、そういう細かいことはいいからいいから! ーーそれじゃあ失礼しまーす!」ガチャッ

79 : ◆H4iwFNXQsw:2014/03/26(水) 20:20:29 ID:0SrVa4Qg
ユミル「……なんだミーナか」ドヨン
ミーナ「むっ、なんだとは失礼じゃない? ……って、ユミルなんだか元気ないね。どうしたの?」
サシャ「ああ、それはーー」チラッ
ユミル「ミーナには関係ない」プイ
サシャ「……だそうです」
ミーナ「隠されても大体わかるよ。クリスタと喧嘩したんでしょ?」
ユミル「……うっさい。読書の邪魔だぞ」ムスッ...
ミーナ「当たりかぁ、やっぱりね。ーーところでサシャ、ブラシと櫛持ってる? よかったら貸してくれない?」
サシャ「持ってますよ、ええっと……これですね、どうぞ」ゴソゴソ...
ミーナ「ありがと。じゃあ着替えてくれる? 今すぐに」
サシャ「はい、わかりました。…………へっ? なんでです?」
ミーナ「髪、梳いてあげるって言ってるの。梳いてから着替えたら台無しになっちゃうからね。先のほうがいいんだよ」

80 : ◆H4iwFNXQsw:2014/03/26(水) 20:21:08 ID:0SrVa4Qg
サシャ「へえ、そうなんですか……でも、お願いしちゃっていいんですか? 私としてはありがたいですけど、先にミーナが着替えてきてからでもーー」
ミーナ「いいのいいの! 私は別にこの後は用事ないし……それに、準備に手間取って待ち合わせに遅れちゃまずいでしょ?」ポン
サシャ「それは……まあ、そうですけど」
ミーナ「だよね。ーー午後からだからいつもより時間は少ないけどさ、できるだけおしゃれして……ライナーにかわいいところいっぱい見せたいよね? そうじゃない?」
サシャ「…………見せたいです」
ミーナ「でしょ? だったら私に協力させてよ。ーーっていうかむしろお願い、髪も服もいじらせてー! とびっきりの美人さんにしてあげるから!」スリスリスリスリ
サシャ「わわっ、頬ずりしなくてもさせてあげますってば! ……でも、美人さんはちょっと無理なんじゃないですか?」
ミーナ「かわいいは作れるっ!!」キリッ
サシャ「……えーっと、じゃあ少し待っててもらえます? すぐ着替えますから」ヌギヌギ


81 : ◆H4iwFNXQsw:2014/03/26(水) 20:22:02 ID:0SrVa4Qg
ーー しばらく後 ユミルたちの部屋
ミーナ「ふーんふふふーんふふふーんふふふーん♪」シュッシュッ
サシャ「……」チョコン
ユミル「…………」ジトッ...
ミーナ「サシャの髪、全然傷んでないね。元から傷みは少ない方だったけど」シュッシュッ
サシャ「そうですか? ……うーん、髪の毛は自分じゃさっぱりわかんないんですよね」
ミーナ「私の髪は湿気ですぐに広がっちゃうからさ、サシャみたいな髪質は羨ましいなぁ……さてさてお客様、今日はどのようなアレンジになさいますか? この前みたいに編みこんでみる?」
サシャ「ああ、いえ……今日は髪飾りを買いに行くので、あまり複雑な髪型だとちょっと」
ミーナ「そうなの? ならいつも通りの結い方でいいかな……っと」シュルッ
ユミル「いつもと一緒じゃ代わり映えしねえだろ。爆発させろ爆発」
ミーナ「そこが私の腕の見せどころです! あと爆発はさせません! ……それでサシャ、ヘアピンは持ってる? できれば使いたいんだけど」
サシャ「へあぴん……??」キョトン
ユミル「そいつは結ぶことしかしねえから持ってねえよ。……真ん中の机の上に置いてある、青色の紙箱の中に入ってるぞ。勝手に使え」
ミーナ「はいはい、ありがと。……ところでこれ、誰のなのかなー?」ニヤリ
ユミル「……知らん」ムスッ

82 : ◆H4iwFNXQsw:2014/03/26(水) 20:22:57 ID:0SrVa4Qg
ミーナ「サシャ、少し下向いてくれる? 髪の毛結っちゃうから」クイッ
サシャ「下ですね……こんな感じでいいですか?」ググッ
ミーナ「うん、大丈夫。ーーだいぶ梳いたけど、もしかしたら絡まって引っかかるかもしれないから痛い時は言ってね?」
サシャ「はーい、わかりました」
ミーナ「……それで、最近ライナーとはどうなの?」ボソッ
サシャ「へっ? ……ど、どうって、別に何も」ギクシャク
ミーナ「まったまたぁ、何か少しくらいあるでしょ? ーーサシャの話、何でもいいから聞かせてほしいな」
サシャ「なんでもですか? うーん……あっ! そういえば昨日、ライナーに目隠しされました!」ポン
ユミル「なんだと?」ノソッ
ミーナ「わっ、びっくりした! ……目隠しって何? 目隠しされた後に何されたの?」
サシャ「その後は、ええっと……教官室の前から兵舎の裏まで連れて行かれました。無理やり」
ユミル「ほうほう……ほうほう! なるほどな! なるほどなるほど!」ズイッ
ミーナ「それでそれで? その次は?」ワクワクワクワク
サシャ「それだけです」

83 : ◆H4iwFNXQsw:2014/03/26(水) 20:24:10 ID:0SrVa4Qg
ユミル「……」
ミーナ「……それだけ?」
サシャ「それだけです。ーーでもライナーってすごいんですよ! 手が大きいから目隠ししたまま私のほっぺた摘めましたし、片手で私のこと抱えて走ったんです! 普通の人にはちょっと無理ですよね、これって!」キャッキャッ
ユミル「……」
ミーナ「……」
サシャ「……あれ? 二人ともどうしました?」キョトン
ユミル「目隠しされて、掻っ攫われて……それで、続きはないのか?」
サシャ「ありませんよ? その後は少しお話しして帰りましたし」
ミーナ「何の話!?」ズズイッ
サシャ「今日の待ち合わせについてです」
ユミル「……」
ミーナ「……」
ユミル(なんっで人気のない兵舎裏まで来て打ち合わせなんかしてんだよこいつら……色気もへったくれもねえな)チッ
ミーナ(そこまでしておいて事務的な連絡だけって……! ああもうじれったいなぁっ! もうちょっとこう何かあるじゃないっ!? 壁際に追い詰めてキスとか、誰も見てないのをいいことに抱きしめちゃうとかっ!)ソワソワ

84 : ◆H4iwFNXQsw:2014/03/26(水) 20:24:54 ID:0SrVa4Qg
ミーナ「……二人には、甘い会話が足りないよね」ハァ
ユミル「言えてるな。……食い気と実直が混じっても化学反応は起きないらしい。勉強になった」
サシャ「甘い?」キョトン
ミーナ「サシャももう少しそういうの意識したほうがいいよ? ……ほら、鏡持って? 自分の顔が見えるようにね」スッ
サシャ「はーい……この角度でいいですか?」ギュッ
ミーナ「うん、いい感じ。前髪整えたいからそのまま持っててね」シュッシュッ
サシャ「……ミーナは、すごいですよね」
ミーナ「? 何が?」シュッシュッ
サシャ「こういうのを簡単にできることがです。ーー私、この訓練所に来るまでずーっと狩りのことしかやってきませんでしたから……髪とか服に関しては未だに疎くって。クリスタやミーナがいなかったら、どうなってたかわからないです」
ユミル「お前、非常食用に蜂蜜の匂いのする香水買ってくるくらいだもんな。香水だから食えねえのに」
サシャ「だって私、香水って空腹を紛らわせるために嗅ぐものだと思ってたんですもん……」ムー...
ユミル「んな発想誰もしねえっての」
ミーナ「あはは、いいじゃない蜂蜜の匂いでも。……熊が一匹引っかかったみたいだし?」クスクス
ユミル「ただの変態ピュアゴリラだろあいつは」ケッ

85 : ◆H4iwFNXQsw:2014/03/26(水) 20:25:48 ID:0SrVa4Qg
ミーナ「サシャは私のことすごいって言うけどさ、私から見たサシャも充分すごいよ? 立体機動も上手いし、狩りなんて私には逆立ちしたってできっこないし。かっこよくて憧れちゃうな」シュルッ
サシャ「でも、立体機動はミカサやアニのほうがもっと上手ですよ? 狩りだってお父さんに比べたら全然ーー」
ミーナ「そんなこと言ったら、私のこれだって専門の人と比べたら全然だよ。しかもサシャみたいに誰かに技術を教わったわけじゃなくて、完全に素人の独学だしね。ーーはいできた! これでどう? いつも通りのポニーテールだけど」サッ
サシャ「……ポニーテールってこんなに綺麗にまとまるんですね。驚きました」ジーッ...
ミーナ「時間をかければなんとかね。……ねっ、私に任せてよかったでしょ?」
サシャ「はい、よかったです! ……ありがとうございます、ミーナ」
ミーナ「ふふっ、どういたしまして」
ユミル「ハンカチと財布は忘れんなよ。遅くまで出るなら上着も持ってけ」
サシャ「もちろんちゃんと持っていきますよ! お財布にー、ハンカチにー」ゴソゴソ...

86 : ◆H4iwFNXQsw:2014/03/26(水) 20:26:44 ID:0SrVa4Qg
サシャ「よしっ、準備出来ました! ーーサシャ・ブラウス、いつでも行けます!」バッ!!
ミーナ「よろしいよろしい。……軍曹殿、如何です? 今日の仕上がり加減は」
ユミル「馬子にも衣装」
ミーナ「もう、素直じゃないなぁ」
ユミル「今は他人を褒める気分じゃねえんだよ。私に振るな」ペラッ
サシャ「……」
サシャ(久しぶりに出かけるので、浮かれてましたけど……クリスタとユミルが喧嘩中なんですよね)
サシャ(……私一人だけ、楽しんできてもいいんでしょうか)
サシャ「あの、ユミル……私、今日は出かけないほうがいいですか?」
ユミル「はぁ? ……なんで私に聞くんだ」
サシャ「え? ーーそれは、その……すみません」シュン
ミーナ「ああーっ! いけないサシャ、ヘアピン一本取り忘れてた! ちょっと廊下まできて!」グイッ
サシャ「わっ!? ……ヘアピンならここでも取れるんじゃ」
ミーナ「いいからいいから! ーーじゃあねユミル、また後でね!」ガチャッ バタン

87 : ◆H4iwFNXQsw:2014/03/26(水) 20:27:21 ID:0SrVa4Qg
ーー 女子寮廊下
ミーナ「駄目だよサシャ、あんな風にユミルに聞いたら」スタスタ...
サシャ「でも……クリスタとユミルが喧嘩してるのに、私だけ楽しんでくるのはーー」
ミーナ「二人が喧嘩してるのとサシャのデートは別問題でしょ? 心配なのはわかるけどね、一緒くたに考えるのは違うと思うな。ユミルにしたら『ユミルのせいで楽しめなかった』って言われてるようなものだし、そっちのほうがユミルはもっと傷つくと思うよ?」
サシャ「……言われてみればそうですね。すみませんでした」シュン
ミーナ「まあ、いつも仲良しな二人が喧嘩すれば気になるのは当然だよね。……でも今日のところはさ、クリスタとユミルのことは私に任せてよ」
サシャ「ミーナに?」
ミーナ「うん! ーー仲良しこよしに戻すのは難しいと思うけど、普通に会話するくらいにはしておくからさ。今日はライナーと一緒に楽しんでおいで? せっかくのデートなんだもん、ライナーだってサシャの笑った顔が見たいと思うよ?」
サシャ「……」
ミーナ「……? サシャ? どうしたの?」

88 : ◆H4iwFNXQsw:2014/03/26(水) 20:28:07 ID:0SrVa4Qg
サシャ「ミーナは……最初に、私がライナーと出かけるって言った時から協力してくれましたよね。髪のことも、服も……クリスタと一緒に色々教えてくれて」
サシャ「私、すごく嬉しくて……何も返せてないのに、今日も迷惑かけちゃって。それがすごく申し訳ないんです」
ミーナ「……いいんだよ、私はもう充分色々もらってるもの」ポン
ミーナ「私ね、ミカサやアニみたいに……すごい特技は何も持ってないからさ。だから、少しでもそういう人たちを応援したいだけなんだ」
ミーナ「さっきサシャは私がすごいって言ってくれたけど……私がすごいんじゃないんだよ。私の周りにいる人たちがみーんなすごいの。ただそれだけ。……ちなみに、すごい人の中にはサシャもちゃんと入ってるからね?」
サシャ「私も?」
ミーナ「もちろん! 今日のサシャ、すっごくかわいいよ。……頑張ってね」
サシャ「……! はい、頑張ります!」

89 : ◆H4iwFNXQsw:2014/03/26(水) 20:28:45 ID:0SrVa4Qg
ーー しばらく後 女子寮 ユミルたちの部屋
ユミル「……」ペラッ
ミーナ「お邪魔しまーす」ガチャッ
ユミル「……なんだミーナ、そのまま帰ったんじゃなかったのか?」
ミーナ「ちょっと用事があってね。……隣座っていい? ちゃんと着替えてきたし」
ユミル「勝手にしろよ。私に許可取るな」
ミーナ「じゃあ勝手にします」ギュムッ
ユミル「……狭い。邪魔だどけろ」ギュウギュウ
ミーナ「ユミルが座っていいって言ったんじゃない。私は悪くないよ」
ユミル「……それで、私に何の用だ? それとも他人のベッドの寝心地でも確かめて見たくなったのか?」
ミーナ「ううん、お節介焼きにきただけ。同じ部屋の人には話しにくいこともあるんじゃないかなーって思って」
ユミル「……ばーか」
ミーナ「馬鹿ですよーだ」クスクス

90 : ◆H4iwFNXQsw:2014/03/26(水) 20:30:38 ID:0SrVa4Qg
ミーナ「ねえ、二人がなんで喧嘩したか当ててあげようか? ーーずばり、この前の山岳訓練のことでしょ!」
ユミル「……さあな」
ミーナ「やっぱりね。……大方、訓練中なのにいつもの調子でふざけちゃったんでしょ? 駄目だよ、クリスタはそういうところ真面目なんだから。公私はしっかり分けないとーー」
ユミル「……? なあミーナ、お前そういや山岳訓練の時、何かの係やってたよな?」
ミーナ「うん、荷物の計量係やってたよ。ユミルは女子で二位だったよね? あの時は
ユミル「お前、今回の順位見て何かおかしいと思わなかったのか?」
ミーナ「? なんで?」キョトン
ユミル「……山岳訓練の前に貼りだされた中間成績は見たか?」
ミーナ「前……? 後じゃなくて? 前にも貼ってたの?」
ユミル「……いや、なんでもない」
ユミル(どうやらミーナは山岳訓練前の成績を見てなかったみたいだな。……口止めしなきゃならんと思ってたが、手間が省けた)
ユミル(これで、私の不正を知ってるのはクリスタとライナーだけか。ーークリスタはともかく、ライナーが何も言ってこないってのはどういうわけだ? それともミーナみたいに気づいていないのか? 気づいた上で黙っていてくれるなら助かるが……まあ、一応後でライナーも口止めしておくか)

91 :以下、名無しが深夜にお送りします:2014/03/26(水) 20:30:39 ID:9TJ3Ho2c
みな可愛いのぅ……

92 : ◆H4iwFNXQsw:2014/03/26(水) 20:31:48 ID:0SrVa4Qg
ーー 同刻 訓練所の食堂
ミカサ「……エレンが来ない」グデーン
サシャ「ライナーが来ません……」ゴローン
アルミン「二人とも、机に突っ伏して行儀悪いよ? ちゃんと座ろう?」
ミカサ「お腹が空いて、力が出ない……」キュー
サシャ「あっ、ミカサのお腹の音かわいいですね。きゅーって聞こえましたよきゅーって」グー
ミカサ「聞いちゃだめ。……恥ずかしい」モジモジ
サシャ「駄目ですもう聞いちゃいましたー」ニヤニヤ
ミカサ「サシャのいじわる……」ムー...
アルミン「……仲いいね、二人とも」
ミカサ「! そう……そう! 私たちは仲がいい! とてもいい!」ガタッ
アルミン「立たなくてもわかったよ、わかったから。どうどうミカサ」
サシャ「アルミンも混ざります? 女の子二人に男の子一人ですけど」
アルミン「あはは、お誘いは嬉しいけど遠慮しとこうかな。二人の邪魔しちゃ悪いし」

93 : ◆H4iwFNXQsw:2014/03/26(水) 20:32:37 ID:0SrVa4Qg
ミカサ「……それにしても、遅い」ムスッ...
サシャ「ですよねぇ……何してるんでしょう、二人とも」
アルミン「班長会議が長引いてるんだろうね。固定砲の整備なら駐屯兵団も関わってくるし、そこの摺り合わせに時間がかかってるのかも。……ミカサ、朝のチラシもう一度見せてくれる?」
ミカサ「チラシは食べられない」
アルミン「食べないよ。出かける前に色々確認しておきたいんだ。もし道に迷ったら更に時間かかっちゃうからね」
ミカサ「そういうことならわかった。……これ」ピラッ
アルミン「ありがとう、見せてもらうよ」ガサガサ
サシャ「三角に折ったハンカチって、サンドイッチに見えません……?」ボンヤリ
ミカサ「食べてはだめ」
アルミン「あれ? ……ねえミカサ、このチラシちゃんと確認した?」
ミカサ「当然。予習もばっちりしておいたから、立体機動装置があれば訓練所から五分で店にたどり着ける。抜かりはない」
アルミン「立体機動装置はつけていっちゃ駄目だからね? ……その新しく開店した食堂でさ、何を食べるんだっけ」
サシャ「もちろんお肉です! お肉!」
アルミン「だよね。ーーでもさ、ここの隅っこに『肉料理の提供時間は正午まで。以降は通常メニューに切り替え』って書いてあるんだけど」

94 : ◆H4iwFNXQsw:2014/03/26(水) 20:33:44 ID:0SrVa4Qg
ミカサ「……なんと」
サシャ「今何時ですか!?」ガタッ
アルミン「さっき鐘が鳴ったからね。少なくとも正午は過ぎてるよ」
ミカサ「ということは……」
サシャ「私たち……お肉は食べられないってことですか……?」
アルミン「そういうことになるかな。残念ながら」
ミカサ「……エレンにお肉を食べさせてあげたかったのに」シュン
サシャ「そんなぁー……あんまりですよぉ……」ガクッ
ミカサ「……待って。そうなると……もしかしてお出かけは中止?」ハッ
サシャ「えっ!? それだけは困ります、なんとかなりませんかアルミン!!」ユサユサ
アルミン「僕に言われても……やめてやめて揺すらないでごめんごめん無理なものは無理だよ! 揺するのやめて!」ガックンガックン
ミカサ「ならばせめて……そうだ! サシャの行きつけの食堂に行けばーー」ポン
アルミン「たぶん無理だと思うよ?」
サシャ「なんでさっきからそんないじわる言うんですかぁっ!!」バンッ!!

95 : ◆H4iwFNXQsw:2014/03/26(水) 20:34:54 ID:0SrVa4Qg
アルミン「いじわるじゃないよ。ーーほら、この前トロスト区に大雪が降ったでしょ? みんなで雪かきしたの覚えてる?」
ミカサ「もちろん覚えている」
サシャ「雪合戦楽しかったですよねー」ホンワカ
アルミン「大雪だったのは内地も同じみたいでね。実はあの時、一時的に壁内の流通がほとんどストップしちゃったらしいんだ。中でも一番深刻な被害を受けたのが畜産業でね、道が塞がれたせいで餌が届かなくて餓死したり、屋根に積もった雪で押しつぶされた家畜がかなりいたみたいだよ」
サシャ「食べましょうよそのお肉!!」
アルミン「そういうお肉は衛生上の問題で市場に卸せないんだってさ。だから食べられないよ。ーーそういう事情もあってさ、今後は肉の流通に関しては締め付けがもっときつくなるらしいんだ。だから、今まで以上に自由にお肉が食べられなくなるみたいだよ?」
ミカサ「でも、あのお店は内地の知り合いの人から直接卸していると言っていた。ので、なんとかなるのではーー」
アルミン「だから、状況が変わったんだって。今まではそういうのも見逃されてて、個人のお店でもなんとか肉料理を出せてたんだけどね。これからは商会で一元管理されるみたいだよ」
ミカサ「……世界は残酷だ」ギリッ...
サシャ「家畜の安寧は虚偽の繁栄だったんですね……」ドンヨリ
アルミン「おーい、二人とも大丈夫? 混乱してない?」ブンブン

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