サシャ「中味が大事なんですよ」
Part8
170 : ◆H4iwFNXQsw:2013/12/20(金) 23:06:24 ID:fClzEl3E
サシャ「……落ち着きました?」
ライナー「取り敢えずはな。……本当に、すまなかった」シュン
サシャ「いえ、元はと言えば私が引っ張ったのが悪いんですし……ところで、ライナーって体重どれくらいあるんですか?」
ライナー「春に測った時は、確か……90はあったな。あれからしばらく経ってるし、いくらか増えてるかもしれんが」
サシャ「きゅっ、きゅうじゅう!? そんなに!?」
ライナー「だから言ったろ。重いって」
サシャ「う、ううーん……数値を聞いたら余計に重たく感じてきましたね……寄りかかられるのはまだしも、担ぐのは無理かも……」ブツブツ
ライナー「は? 担ぐ気だったのか?」
サシャ「だってライナーが倒れたらいちいちベルトルトを呼びに行かなくちゃいけないんですよ? それって不便じゃありません?」
ライナー「倒れるのが前提なのか」
サシャ「そうですよ。……もうこうなったらソリに乗せて引き摺っていくくらいしかないですかね。それか猫車に載せるとか……?」ウーン...
171 : ◆H4iwFNXQsw:2013/12/20(金) 23:07:19 ID:fClzEl3E
ライナー「……」
サシャ「……? なんですか? 変な顔して黙りこんじゃって」キョトン
ライナー「いや……お前って、本当に馬鹿なんだなぁと思ってな」シミジミ
サシャ「ばっ、馬鹿!? 今更馬鹿だってことは否定しませんけど、改まって言うことないでしょう!?」
ライナー「いいや、お前は馬鹿だ。ーー普通の人間だったらな、こんなでかい図体の奴が倒れてたら放っておくぞ? もしくは他の誰かを呼んでくるはずだ」
サシャ「そんなこと言われたって……近くに誰かがいるとは限りませんし、それにーー」
サシャ(……他の誰かじゃなくて、私は、私の実力だけでライナーを支えたいのに)ムー...
ライナー「お前みたいに馬鹿な奴は、壁の外にもいないだろうなぁ」ハハハ
サシャ「巨人レベル!? ちょっと待ってくださいよライナー、私そこまで馬鹿じゃないですよ!?」
ライナー「ばーかばーか」ニヤニヤ
サシャ「~~~~っ!! もうっ、馬鹿って言ったほうが馬鹿なんですからね!!」プンスカ
172 : ◆H4iwFNXQsw:2013/12/20(金) 23:08:10 ID:fClzEl3E
ーー しばらく後
ライナー「あー笑った笑った。久しぶりにここまで笑ったな」ハハハ
サシャ「そーですかー、よかったですねー……」ムスッ...
ライナー「拗ねるなよ。……ほら、膝抱えてないで顔見せてくれ」
サシャ「……」チラッ
ライナー「……………………ぷっ」
サシャ「また笑ったぁっ!!」ポカポカポカポカ
ライナー「わかった、わかったから叩くな! 俺が悪かったから!!」
サシャ「……」プクーッ...
サシャ(むぅ……馬鹿馬鹿言われてるのは気になりますが……)
ライナー「いてて……お前、本気で殴るなよな。結構痛ぇんだぞ?」サスサス
サシャ「………………そんなの知りませんっ」プイッ
サシャ(……まあ、ライナーが楽しそうなのでよしとしますか)
173 : ◆H4iwFNXQsw:2013/12/20(金) 23:09:44 ID:fClzEl3E
今日はここまで 次回で最後まで行けると思います
今更だけどこんなイチャイチャさせていいんだろうか……?
174 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/12/20(金) 23:50:27 ID:oKcdPEK2
いいんです!!見たいです!
175 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/12/21(土) 00:21:18 ID:UWDYkQzU
可愛いのね
176 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/12/21(土) 02:14:46 ID:Vfg8dHwQ
心がホンワカ温かい
続き楽しみにしてます
177 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/12/21(土) 20:08:15 ID:3OEkd4Tw
イチャイチャも大好物です!
続き楽しみです
178 : ◆H4iwFNXQsw:2013/12/25(水) 20:27:13 ID:joV9ZTJ.
サシャ(そういえば……ライナーが笑った顔、こんなに近くで見たのはじめてですね)
サシャ(笑ってる顔、好きだなぁ……)ジーッ...
ライナー「……? なんだ?」
サシャ「あぁ、いえ……なんでもないです。ーーそれよりこれ、上着返しますからちゃんと着てください」スッ
ライナー「……いいのか?」
サシャ「風邪引かれたら困りますから。試験前ですし」
ライナー「これくらいで引かねえよ。そんなにひ弱に見えるか?」
サシャ「ひ弱かどうかは知りませんけど……鼻の頭、真っ赤ですよ」
ライナー「……」ギュッ
サシャ「摘んでも一時的にしかあったかくなりませんって。いいから着てくださいよ」
ライナー「けどなぁ、お前二回も雪の中に倒れ込んだから上着が濡れちまってるだろ? そのままだと冷えるぞ?」
サシャ「平気ですってば。それを言うなら今のライナーのほうがよっぽど寒そうな姿してますよ。見てるとこっちまで冷えそうなので、早くなんとかしてください」
ライナー「……それじゃあ、忠告通り着ておくか」モソモソ
179 : ◆H4iwFNXQsw:2013/12/25(水) 20:28:49 ID:joV9ZTJ.
ライナー(急に元気なくなったな。少しからかいすぎたか?)
ライナー(かといって、上着を持って帰られても困るしな……腹でも減ったんなら、何か食わせればいいんだろうが)ウーン...
ライナー(……何かあったっけかな)ゴソゴソ
サシャ(上着も、笑ってる顔も……本当は私のじゃなくて、他の誰かのなんですよね)
サシャ(早くはっきりさせなきゃいけないのに……ここまで、ずっと聞けなかったのは)
サシャ(こういう時間がなくなっちゃうことが、……怖かったからで)
サシャ(私のわがままで、散々振り回して……うんざりだって言われても、追いかけちゃうくらいそばにいたくて)
サシャ(嫌がられてるかもしれないって思っても……一緒にいるのが心地よくて)
サシャ(……なんで私、こんなにずるくて、臆病で、弱虫なんでしょう)
サシャ(せめて……ずるい子のままでは、いたくないな……もう遅いかもしれませんけど、そんな風に思われたくない……)
サシャ(ライナーの優しさに寄りかかるのは、やめないと……やめなきゃ、いけないのに)
サシャ(……ああ、怖いな……すごく、怖い……ライナーから、「嫌だ」って聞くのが、怖い……)
サシャ(でも、今聞かないと……また……)
180 : ◆H4iwFNXQsw:2013/12/25(水) 20:29:33 ID:joV9ZTJ.
サシャ「……」
ライナー「……」ゴソゴソ
サシャ「……」
ライナー「……」バサバサ
サシャ「……早く着てくださいよ。何してるんですか」
ライナー「食うもんないか探してるんだ。……やっぱりないか」シュン
サシャ「お腹空いたんですか? 私、昨日もらった金平糖なら持ってますよ。食べます?」ゴソゴソ
ライナー「おお、用意がいいな」
サシャ「休憩時間中に摘んでたんですよね。えーっと、確か胸ポケットに突っ込んでたはず……あっ、あった」ヒョイ
ライナー「そんなところに入れてたのか。転んだ時によく零れなかったな」
サシャ「前にぶちまけちゃったことがあったので、その点は対策済みです。ーーほら、ちゃんと無事でしょう?」ジャーン!!
ライナー「紙と布の二重包装か。無駄に気合入ってるな」
サシャ「もうあんな思いをするのは真っ平ですからね。ーーはいどうぞ、ライナーも遠慮せず摘んでください」スッ
ライナー「おう、ありがとな」
181 : ◆H4iwFNXQsw:2013/12/25(水) 20:30:14 ID:joV9ZTJ.
ライナー「……」ポリポリ
サシャ「……」ポリポリ
ライナー「甘いな」ポリポリ
サシャ「おいしいですよねー、金平糖」ポリポリ
サシャ(……あれ? 何か忘れてるような気が)ポリポリ
ライナー「昨日は腹の足しにもならんと言ったが、菓子も馬鹿にしたもんじゃないな」
サシャ「まあ、小さくても砂糖の塊ですし。……あ、もうなくなっちゃいましたね」シュン
ライナー「あっけなかったな。ーーそれで、元気出たか?」
サシャ「? まあ、そこそこ幸せにはなりましたけど」キョトン
ライナー「そうか、ならよかった」
サシャ「……お腹が空いてたわけじゃないですよ?」
ライナー「それくらいわかる。お前の表情は見分けやすいからな」
182 : ◆H4iwFNXQsw:2013/12/25(水) 20:30:51 ID:joV9ZTJ.
ライナー「こういう時はうまいもんでも食っておけって誰かさんに教えてもらったから、実践してみようと思ったんだが……今回は失敗したな。今度からは俺も何か持っておくか」
サシャ「……私、そんなに元気なさそうに見えました?」
ライナー「ああ、見えた。……さっきは笑い過ぎたな。悪かった」
サシャ「いえ……馬鹿馬鹿言われたのは気にしてません。本当のことですし」
ライナー「じゃあ、いったい何に落ち込んでたんだ? ーーってのは、聞かないほうがいいか」
サシャ「……聞いてくれます?」
ライナー「話したら少しは楽になるかもしれんしな。……いいぞ、話してみろ」
ライナー(……どうせ俺にはこれくらいしかしてやれないからな。なんとか気が晴れればいいんだが)
183 : ◆H4iwFNXQsw:2013/12/25(水) 20:31:53 ID:joV9ZTJ.
サシャ「あの……こうやって二人で過ごすのって、珍しくなくなりましたよね」
ライナー「ん? ……ああ、そういやそうだな」
サシャ「最初はこそこそ会ってたのに、少しずつ一緒に行動することが多くなって……今では、そばにいるのが当たり前みたいになっちゃってて」
ライナー「今にして思えば、訓練の時もあまり接点なかったよな。せいぜい同じ班に割り振られた時ぐらいか?」
サシャ「そうですね、それくらいだったと思います。私とライナーってほぼ真逆の性格ですから、いまいち生活圏というか、活動範囲が重ならないんですよね。対人格闘とかでも全然組んだことありませんし。……だから、今でもこうして一緒にいると、なんだかとっても不思議な気分になります」
ライナー「確かに、俺もお前といると珍妙な体験ばっかりしてるな。……いったい何度振り回されたことやら」ハァ
サシャ「あはは、すみません。ーーでも、ライナーは嫌だったかもしれませんが……私、結構この時間気に入ってたんですよ」
ライナー「……ああいや、別に嫌だって言いたいわけじゃないぞ?」
サシャ「いいですよ、嘘吐かなくても」
ライナー「嘘じゃねえって、今のはーー」
サシャ「……好き、なんです」
184 : ◆H4iwFNXQsw:2013/12/25(水) 20:32:27 ID:joV9ZTJ.
サシャ「私、こうやって二人で過ごすのがすごく好きなんです。いろいろ話したり、何か食べたり、遊んだり……何か特別なことしてるわけじゃないのに、ライナーと一緒にいるだけでとっても楽しくて」
サシャ「一番最初に……最初は、キスの味を教えてくれましたよね? あの時私、本当に嬉しかったんですよ? 他の人とは違って……ちゃんと、私のこと見てくれて、向き合ってくれましたから」
サシャ「あれから、一緒にいる時間が増えて……会う度に、ライナーは私が知らない味をたくさん教えてくれて」
サシャ「こういう気持ちがはじめてで、戸惑った時もあったんですけど……それでも、ずっとこのまま……そばにいたくって……いたいって気持ちは、変わらなくて」
サシャ「一緒にいちゃいけないってわかってても、離れたくなくて……諦めきれなかったんです」
サシャ「本当は、今だって……他の子に渡したくないくらい、この時間が好きなんです。でもーー」
サシャ(好きな人がいるのに、私が独り占めしてちゃダメなんですよね)
サシャ(振り回すのは……もう、終わりにしないと)
サシャ「ーーライナーが嫌なら、もうやめようと思います」
185 : ◆H4iwFNXQsw:2013/12/25(水) 20:33:26 ID:joV9ZTJ.
サシャ「……」
ライナー「……」
サシャ(……? 返事がないですね、どうかしたんでしょうか)
サシャ「ライナー? 聞いてます?」
ライナー「……聞いてる、聞いてたが」
ライナー(今のは…………告白されたわけじゃ、ないんだよな?)
ライナー(しかも、俺の勘違いじゃなけりゃあ……告白されたすぐ後に、フラれたような気がするんだが)
ライナー「…………あの、なぁ」
ライナー(まいったな……サシャはあくまで悩みを相談してる気なんだろうが)
ライナー(薄々気づいていたとはいえ、こうして改めて言われてみるとーー)チラッ
サシャ「?」キョトン
ライナー(ああくそ、安請け合いするんじゃなかった……)
186 : ◆H4iwFNXQsw:2013/12/25(水) 20:34:16 ID:joV9ZTJ.
ライナー(……いや待てよ? こいつのことだから、今の話にも深い意味なんかないかもしれん)
ライナー(はっきりさせる方法が、ないわけじゃないが……)チラチラ
サシャ(なんだかチラチラ私のほう見てきて挙動不審ですね……もしかして、まだ私に気を遣ってくれてるんでしょうか)ムー...
サシャ「あの……言いたいこととか聞きたいことがあるなら、なんでも話してくれていいですよ? ……私、どんな答えでもちゃんと聞き入れますから」
ライナー「……なあ、サシャ」
サシャ「はい、なんでしょう?」
ライナー「お前、肉を持ったベルトルトと何も持ってない俺がいたらどっちを選ぶ?」
サシャ「へ? ……えーっと、ベルトルトが持ってるのは何肉ですか?」
ライナー「……そこは関係あるのか?」
サシャ「大ありですよ! ーーそれで、何肉なんですか? 鶏ですか? 豚ですか? 馬ですか? ウサギですか? 猪ですか?」
ライナー「そうだな、じゃあ……牛肉ってことにしておくか。高そうだしな」
サシャ「そうですか、牛肉ですか……うーん、ベルトルトにお願いしたら分けてくれませんかね」
ライナー「あいつは食いしん坊だからくれないぞ」
サシャ「えっ、ベルトルトって食いしん坊だったんですか?」
ライナー「そうだ。いくらお前がお願いしたってくれないんだ。だから、肉だけベルトルトからもらって俺を選ぶとかはなしだからな。……それで、どっちなんだよ」
187 : ◆H4iwFNXQsw:2013/12/25(水) 20:34:57 ID:joV9ZTJ.
サシャ「それじゃあ、仕方がないですねーー」
ライナー「……」ドキドキ
サシャ「お肉はもったいないですけど、ライナーにします。……お肉は一緒に食べに行けばいいだけの話ですし」
ライナー「……」
サシャ「……?」
ライナー「……いっ、いいのか? 本当に俺でいいのか? 何も持ってねえんだぞ?」オロオロ
サシャ「いいって言ってるじゃないですか。答えは変わりませんから、何回も確認しなくていいですよ」
ライナー「金も何もないんだぞ? 一文無しじゃ食うのにきっと困るだろ?」アタフタ
サシャ「別にお金目当てじゃないですし。食べれなくなったらその辺から狩ってくればいいだけの話ですよ」
ライナー「いいやお前は何もわかっちゃいないっ!! ーーいいか、何も持ってねえってことはな、俺は裸同然ってことなんだぞ!? お前は裸の男を選ぶのか!?」ダンッ!!
サシャ「はだっ……!? そ、そんな大声で言わなくってもいいじゃないですか!! 誰か通りがかったらどうするんです!?」シーッ!!
ライナー「お前が考えなしなのが悪いんだろうがぁっ!!」
サシャ「なっ……! 失礼ですね、ちゃんと考えましたってば!!」
188 : ◆H4iwFNXQsw:2013/12/25(水) 20:36:10 ID:joV9ZTJ.
ライナー「……」ゼエハア
サシャ「……」ゼエハア
ライナー(……取り敢えず、今の答えではっきりした)
ライナー(こっちの細かい事情を知らないとはいえ……こいつは、サシャは本気で俺のことを好いてくれてるらしい)
ライナー「…………」
ライナー(……やべえ、なんて答えたらいいんだこれ)ドキドキ
ライナー(先に誤解を解いたほうがいいのか? けど俺フラれたんだよな? いやでもさっき一緒にいたいって言ってなかったっけか? どっちなんだ??)グルグルグルグル
ライナー(返事をすりゃいいんだよな? ……返事ってどっちのだ? なんて言ってやりゃいいんだ?)
ライナー(だああああもうっ!! 展開が早すぎてついていけねえよ! なんだよもう! どこからどう答えればいいってんだ!!)アタフタアタフタ
サシャ「あの……黙られちゃったら、どうしたらいいのかわからないんですけど」
ライナー「……お、おう。そうだな、困るよな」ギクシャク
189 : ◆H4iwFNXQsw:2013/12/25(水) 20:37:04 ID:joV9ZTJ.
ライナー「……わかった、じゃあこうしよう。まず、これから二人で営庭に戻る」
サシャ「? 戻るんですか?」
ライナー「そうだ。ーーそこでみんなと合流して、そのまま食堂に向かうだろ? 食事を取った後は、寮に戻ってお互い明日の準備を済ませる。それから風呂に入って、消灯のあと就寝だ。以上」
サシャ「なるほど……って答えになってないじゃないですか!! 誤魔化さないでくださいよ!!」プンスカ
ライナー「バレたか」チッ
サシャ「さすがにそこまで馬鹿じゃないです!!」ムキーッ!!
ライナー「お前さぁ……疲れてんだよ。ちょっと休んだほうがいいぞ? なっ?」ポンッ
サシャ「…………」ジトッ...
ライナー(おお、ジト目もなかなか……じゃねえな。いかんいかん、意識したら余計可愛く見えてきやがった)ブンブン
ライナー「あー……せめて、答えるために考える時間がほしいんだが」
サシャ「でも私は今聞きたいんですけど」
ライナー「そうか、今か…………今!? 今聞くのか!?」
ライナー(お前よくこの状態の俺に聞けるな!? なんでそんなに容赦ねえんだよお前は巨人か!! ……あっ巨人は俺だった)
ライナー(そもそもこっちは浮かれたくても浮かれられねえってのに……! 気軽に好き好き言ってきやがって、こんな状態で頭回るわけねえだろ!!)イライラ
190 : ◆H4iwFNXQsw:2013/12/25(水) 20:37:52 ID:joV9ZTJ.
ライナー(……落ち着けライナー・ブラウン。お前は兵士だろ? 己の感情を抑制しろ)ググッ
サシャ(眉間の皺が更に深くなりましたね……なんだか怒ってるように見えるんですが……)
ライナー(そうだ。俺は、今は兵士だが……その前に、戦士でもある。だからサシャの気持ちに応えてやることはできん。……じゃない、何考えてんだ俺は)
ライナー(あいつは純粋に相談を持ちかけてきただけだ。返事もそれに沿ったものじゃないといかん。相談してみろと言った手前だ、俺はこいつの悩みを解決してやる義務がある。サシャもきっとそういう答えを期待しているんだろう)
ライナー(しかし、サシャ・ブラウンもライナー・ブラウスもなかなかいいな…………じゃねえよ!! 違うだろ!! そうじゃあねえだろ!!)ブンブン
ライナー(このまま話を有耶無耶にするのは、さっきの反応からして無理そうだ……仕方がない、話してる間に頭も回ってくるだろうし、とにかく思いついた順番から片付けていくしかないな。ということでまずはーー)
ライナー「あのな、サシャ。俺は……お前と一緒にいるのが嫌だなんて、一言も言った覚えがないんだが」
サシャ「さっき私の子守はうんざりだって言いました」
ライナー「そんなこと言ったか?」
サシャ「言いましたよ」
ライナー「……そうか、言ってたのか」
ライナー(俺の馬鹿野郎……)ズーン...
ライナー(くそ、勢いとはいえ失敗したな……謝ったくらいで撤回できそうにもねえし)
ライナー(だが、どうもそれだけが原因ってわけでもなさそうなんだよな……もう少し詳しく聞いてみるか)ウーン...
191 : ◆H4iwFNXQsw:2013/12/25(水) 20:38:39 ID:joV9ZTJ.
ライナー「大体、なんで今更そんなこと言い出したんだ? お前がやめたくないって思ってるなら黙っておけばよかっただろ?」
サシャ「……ダメですよ、そんなの」
ライナー「なんで」
サシャ「だって……他の子に、悪いですもん」
ライナー「それだ。他の子ってのはいったい誰のことだ? その話はどこから出てきた?」
サシャ「どこからって……元はといえばライナーが言ったんじゃないですか」
ライナー「……? 俺が何か言ったのか?」
サシャ「覚えてないんですか?」
ライナー「……すまん、ちっとも思い出せない。教えてくれ」
192 : ◆H4iwFNXQsw:2013/12/25(水) 20:39:16 ID:joV9ZTJ.
サシャ「……一番、最初の……キスの味を、教えてくれる前に」
ライナー「前に? ……後じゃなくて、前にか?」
サシャ「そうです。その時に………………………………好きな人、いるって言ってました。けど」
ライナー「……誰に?」
サシャ「だからぁ……ライナーに、ですってば」
ライナー「…………いつの話持ち出してんだ、お前」
サシャ「いつの話って……私はずっと気にしてたんですよ? この前断ったのだって、本当は好きな人がいるからなんじゃないかって思ってーー」
ライナー「この前……?」
サシャ「私が贈り物したいって言った時ですよ。……いらないって、言いましたよね」
ライナー「……お前、そんな風に思ってたのか」
193 : ◆H4iwFNXQsw:2013/12/25(水) 20:40:59 ID:joV9ZTJ.
ライナー(そうか、サシャが引っかかってるのはこれか……俺に好きな奴がいると思って、遠慮しようとしてたのか。……してたかぁ??)
ライナー(……まあいい、これで今回の理由もはっきりした。ーー解決はしてないが)
ライナー(本当は、ここで突き放すべき、なんだろうが……)チラッ
ライナー「……」
サシャ「……」
ライナー「……あのな、それ嘘だ」
サシャ「……はい? 嘘?」
ライナー「半分だけな。気になる奴は確かにいた。……いたんだが、そこまで本気じゃなかったんだ」
サシャ「……な、なんで、嘘なんか」
ライナー「あの時ああ言えば諦めると思ったんだが……お前が想像以上に馬鹿だったんだよ」
サシャ「うぐっ……馬鹿ですみません」シュン
ライナー「そうだな、今からでも遅くないから治してくれ。ーーそれは置いといてだな、この前のはその話とは別だ。他に好きな奴がいるから断ったとか、そういうわけじゃない」
サシャ「そうなんですか……」ホッ
サシャ「……落ち着きました?」
ライナー「取り敢えずはな。……本当に、すまなかった」シュン
サシャ「いえ、元はと言えば私が引っ張ったのが悪いんですし……ところで、ライナーって体重どれくらいあるんですか?」
ライナー「春に測った時は、確か……90はあったな。あれからしばらく経ってるし、いくらか増えてるかもしれんが」
サシャ「きゅっ、きゅうじゅう!? そんなに!?」
ライナー「だから言ったろ。重いって」
サシャ「う、ううーん……数値を聞いたら余計に重たく感じてきましたね……寄りかかられるのはまだしも、担ぐのは無理かも……」ブツブツ
ライナー「は? 担ぐ気だったのか?」
サシャ「だってライナーが倒れたらいちいちベルトルトを呼びに行かなくちゃいけないんですよ? それって不便じゃありません?」
ライナー「倒れるのが前提なのか」
サシャ「そうですよ。……もうこうなったらソリに乗せて引き摺っていくくらいしかないですかね。それか猫車に載せるとか……?」ウーン...
171 : ◆H4iwFNXQsw:2013/12/20(金) 23:07:19 ID:fClzEl3E
ライナー「……」
サシャ「……? なんですか? 変な顔して黙りこんじゃって」キョトン
ライナー「いや……お前って、本当に馬鹿なんだなぁと思ってな」シミジミ
サシャ「ばっ、馬鹿!? 今更馬鹿だってことは否定しませんけど、改まって言うことないでしょう!?」
ライナー「いいや、お前は馬鹿だ。ーー普通の人間だったらな、こんなでかい図体の奴が倒れてたら放っておくぞ? もしくは他の誰かを呼んでくるはずだ」
サシャ「そんなこと言われたって……近くに誰かがいるとは限りませんし、それにーー」
サシャ(……他の誰かじゃなくて、私は、私の実力だけでライナーを支えたいのに)ムー...
ライナー「お前みたいに馬鹿な奴は、壁の外にもいないだろうなぁ」ハハハ
サシャ「巨人レベル!? ちょっと待ってくださいよライナー、私そこまで馬鹿じゃないですよ!?」
ライナー「ばーかばーか」ニヤニヤ
サシャ「~~~~っ!! もうっ、馬鹿って言ったほうが馬鹿なんですからね!!」プンスカ
172 : ◆H4iwFNXQsw:2013/12/20(金) 23:08:10 ID:fClzEl3E
ーー しばらく後
ライナー「あー笑った笑った。久しぶりにここまで笑ったな」ハハハ
サシャ「そーですかー、よかったですねー……」ムスッ...
ライナー「拗ねるなよ。……ほら、膝抱えてないで顔見せてくれ」
サシャ「……」チラッ
ライナー「……………………ぷっ」
サシャ「また笑ったぁっ!!」ポカポカポカポカ
ライナー「わかった、わかったから叩くな! 俺が悪かったから!!」
サシャ「……」プクーッ...
サシャ(むぅ……馬鹿馬鹿言われてるのは気になりますが……)
ライナー「いてて……お前、本気で殴るなよな。結構痛ぇんだぞ?」サスサス
サシャ「………………そんなの知りませんっ」プイッ
サシャ(……まあ、ライナーが楽しそうなのでよしとしますか)
173 : ◆H4iwFNXQsw:2013/12/20(金) 23:09:44 ID:fClzEl3E
今日はここまで 次回で最後まで行けると思います
今更だけどこんなイチャイチャさせていいんだろうか……?
174 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/12/20(金) 23:50:27 ID:oKcdPEK2
いいんです!!見たいです!
可愛いのね
176 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/12/21(土) 02:14:46 ID:Vfg8dHwQ
心がホンワカ温かい
続き楽しみにしてます
177 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/12/21(土) 20:08:15 ID:3OEkd4Tw
イチャイチャも大好物です!
続き楽しみです
178 : ◆H4iwFNXQsw:2013/12/25(水) 20:27:13 ID:joV9ZTJ.
サシャ(そういえば……ライナーが笑った顔、こんなに近くで見たのはじめてですね)
サシャ(笑ってる顔、好きだなぁ……)ジーッ...
ライナー「……? なんだ?」
サシャ「あぁ、いえ……なんでもないです。ーーそれよりこれ、上着返しますからちゃんと着てください」スッ
ライナー「……いいのか?」
サシャ「風邪引かれたら困りますから。試験前ですし」
ライナー「これくらいで引かねえよ。そんなにひ弱に見えるか?」
サシャ「ひ弱かどうかは知りませんけど……鼻の頭、真っ赤ですよ」
ライナー「……」ギュッ
サシャ「摘んでも一時的にしかあったかくなりませんって。いいから着てくださいよ」
ライナー「けどなぁ、お前二回も雪の中に倒れ込んだから上着が濡れちまってるだろ? そのままだと冷えるぞ?」
サシャ「平気ですってば。それを言うなら今のライナーのほうがよっぽど寒そうな姿してますよ。見てるとこっちまで冷えそうなので、早くなんとかしてください」
ライナー「……それじゃあ、忠告通り着ておくか」モソモソ
179 : ◆H4iwFNXQsw:2013/12/25(水) 20:28:49 ID:joV9ZTJ.
ライナー(急に元気なくなったな。少しからかいすぎたか?)
ライナー(かといって、上着を持って帰られても困るしな……腹でも減ったんなら、何か食わせればいいんだろうが)ウーン...
ライナー(……何かあったっけかな)ゴソゴソ
サシャ(上着も、笑ってる顔も……本当は私のじゃなくて、他の誰かのなんですよね)
サシャ(早くはっきりさせなきゃいけないのに……ここまで、ずっと聞けなかったのは)
サシャ(こういう時間がなくなっちゃうことが、……怖かったからで)
サシャ(私のわがままで、散々振り回して……うんざりだって言われても、追いかけちゃうくらいそばにいたくて)
サシャ(嫌がられてるかもしれないって思っても……一緒にいるのが心地よくて)
サシャ(……なんで私、こんなにずるくて、臆病で、弱虫なんでしょう)
サシャ(せめて……ずるい子のままでは、いたくないな……もう遅いかもしれませんけど、そんな風に思われたくない……)
サシャ(ライナーの優しさに寄りかかるのは、やめないと……やめなきゃ、いけないのに)
サシャ(……ああ、怖いな……すごく、怖い……ライナーから、「嫌だ」って聞くのが、怖い……)
サシャ(でも、今聞かないと……また……)
180 : ◆H4iwFNXQsw:2013/12/25(水) 20:29:33 ID:joV9ZTJ.
サシャ「……」
ライナー「……」ゴソゴソ
サシャ「……」
ライナー「……」バサバサ
サシャ「……早く着てくださいよ。何してるんですか」
ライナー「食うもんないか探してるんだ。……やっぱりないか」シュン
サシャ「お腹空いたんですか? 私、昨日もらった金平糖なら持ってますよ。食べます?」ゴソゴソ
ライナー「おお、用意がいいな」
サシャ「休憩時間中に摘んでたんですよね。えーっと、確か胸ポケットに突っ込んでたはず……あっ、あった」ヒョイ
ライナー「そんなところに入れてたのか。転んだ時によく零れなかったな」
サシャ「前にぶちまけちゃったことがあったので、その点は対策済みです。ーーほら、ちゃんと無事でしょう?」ジャーン!!
ライナー「紙と布の二重包装か。無駄に気合入ってるな」
サシャ「もうあんな思いをするのは真っ平ですからね。ーーはいどうぞ、ライナーも遠慮せず摘んでください」スッ
ライナー「おう、ありがとな」
181 : ◆H4iwFNXQsw:2013/12/25(水) 20:30:14 ID:joV9ZTJ.
ライナー「……」ポリポリ
サシャ「……」ポリポリ
ライナー「甘いな」ポリポリ
サシャ「おいしいですよねー、金平糖」ポリポリ
サシャ(……あれ? 何か忘れてるような気が)ポリポリ
ライナー「昨日は腹の足しにもならんと言ったが、菓子も馬鹿にしたもんじゃないな」
サシャ「まあ、小さくても砂糖の塊ですし。……あ、もうなくなっちゃいましたね」シュン
ライナー「あっけなかったな。ーーそれで、元気出たか?」
サシャ「? まあ、そこそこ幸せにはなりましたけど」キョトン
ライナー「そうか、ならよかった」
サシャ「……お腹が空いてたわけじゃないですよ?」
ライナー「それくらいわかる。お前の表情は見分けやすいからな」
182 : ◆H4iwFNXQsw:2013/12/25(水) 20:30:51 ID:joV9ZTJ.
ライナー「こういう時はうまいもんでも食っておけって誰かさんに教えてもらったから、実践してみようと思ったんだが……今回は失敗したな。今度からは俺も何か持っておくか」
サシャ「……私、そんなに元気なさそうに見えました?」
ライナー「ああ、見えた。……さっきは笑い過ぎたな。悪かった」
サシャ「いえ……馬鹿馬鹿言われたのは気にしてません。本当のことですし」
ライナー「じゃあ、いったい何に落ち込んでたんだ? ーーってのは、聞かないほうがいいか」
サシャ「……聞いてくれます?」
ライナー「話したら少しは楽になるかもしれんしな。……いいぞ、話してみろ」
ライナー(……どうせ俺にはこれくらいしかしてやれないからな。なんとか気が晴れればいいんだが)
183 : ◆H4iwFNXQsw:2013/12/25(水) 20:31:53 ID:joV9ZTJ.
サシャ「あの……こうやって二人で過ごすのって、珍しくなくなりましたよね」
ライナー「ん? ……ああ、そういやそうだな」
サシャ「最初はこそこそ会ってたのに、少しずつ一緒に行動することが多くなって……今では、そばにいるのが当たり前みたいになっちゃってて」
ライナー「今にして思えば、訓練の時もあまり接点なかったよな。せいぜい同じ班に割り振られた時ぐらいか?」
サシャ「そうですね、それくらいだったと思います。私とライナーってほぼ真逆の性格ですから、いまいち生活圏というか、活動範囲が重ならないんですよね。対人格闘とかでも全然組んだことありませんし。……だから、今でもこうして一緒にいると、なんだかとっても不思議な気分になります」
ライナー「確かに、俺もお前といると珍妙な体験ばっかりしてるな。……いったい何度振り回されたことやら」ハァ
サシャ「あはは、すみません。ーーでも、ライナーは嫌だったかもしれませんが……私、結構この時間気に入ってたんですよ」
ライナー「……ああいや、別に嫌だって言いたいわけじゃないぞ?」
サシャ「いいですよ、嘘吐かなくても」
ライナー「嘘じゃねえって、今のはーー」
サシャ「……好き、なんです」
184 : ◆H4iwFNXQsw:2013/12/25(水) 20:32:27 ID:joV9ZTJ.
サシャ「私、こうやって二人で過ごすのがすごく好きなんです。いろいろ話したり、何か食べたり、遊んだり……何か特別なことしてるわけじゃないのに、ライナーと一緒にいるだけでとっても楽しくて」
サシャ「一番最初に……最初は、キスの味を教えてくれましたよね? あの時私、本当に嬉しかったんですよ? 他の人とは違って……ちゃんと、私のこと見てくれて、向き合ってくれましたから」
サシャ「あれから、一緒にいる時間が増えて……会う度に、ライナーは私が知らない味をたくさん教えてくれて」
サシャ「こういう気持ちがはじめてで、戸惑った時もあったんですけど……それでも、ずっとこのまま……そばにいたくって……いたいって気持ちは、変わらなくて」
サシャ「一緒にいちゃいけないってわかってても、離れたくなくて……諦めきれなかったんです」
サシャ「本当は、今だって……他の子に渡したくないくらい、この時間が好きなんです。でもーー」
サシャ(好きな人がいるのに、私が独り占めしてちゃダメなんですよね)
サシャ(振り回すのは……もう、終わりにしないと)
サシャ「ーーライナーが嫌なら、もうやめようと思います」
185 : ◆H4iwFNXQsw:2013/12/25(水) 20:33:26 ID:joV9ZTJ.
サシャ「……」
ライナー「……」
サシャ(……? 返事がないですね、どうかしたんでしょうか)
サシャ「ライナー? 聞いてます?」
ライナー「……聞いてる、聞いてたが」
ライナー(今のは…………告白されたわけじゃ、ないんだよな?)
ライナー(しかも、俺の勘違いじゃなけりゃあ……告白されたすぐ後に、フラれたような気がするんだが)
ライナー「…………あの、なぁ」
ライナー(まいったな……サシャはあくまで悩みを相談してる気なんだろうが)
ライナー(薄々気づいていたとはいえ、こうして改めて言われてみるとーー)チラッ
サシャ「?」キョトン
ライナー(ああくそ、安請け合いするんじゃなかった……)
186 : ◆H4iwFNXQsw:2013/12/25(水) 20:34:16 ID:joV9ZTJ.
ライナー(……いや待てよ? こいつのことだから、今の話にも深い意味なんかないかもしれん)
ライナー(はっきりさせる方法が、ないわけじゃないが……)チラチラ
サシャ(なんだかチラチラ私のほう見てきて挙動不審ですね……もしかして、まだ私に気を遣ってくれてるんでしょうか)ムー...
サシャ「あの……言いたいこととか聞きたいことがあるなら、なんでも話してくれていいですよ? ……私、どんな答えでもちゃんと聞き入れますから」
ライナー「……なあ、サシャ」
サシャ「はい、なんでしょう?」
ライナー「お前、肉を持ったベルトルトと何も持ってない俺がいたらどっちを選ぶ?」
サシャ「へ? ……えーっと、ベルトルトが持ってるのは何肉ですか?」
ライナー「……そこは関係あるのか?」
サシャ「大ありですよ! ーーそれで、何肉なんですか? 鶏ですか? 豚ですか? 馬ですか? ウサギですか? 猪ですか?」
ライナー「そうだな、じゃあ……牛肉ってことにしておくか。高そうだしな」
サシャ「そうですか、牛肉ですか……うーん、ベルトルトにお願いしたら分けてくれませんかね」
ライナー「あいつは食いしん坊だからくれないぞ」
サシャ「えっ、ベルトルトって食いしん坊だったんですか?」
ライナー「そうだ。いくらお前がお願いしたってくれないんだ。だから、肉だけベルトルトからもらって俺を選ぶとかはなしだからな。……それで、どっちなんだよ」
187 : ◆H4iwFNXQsw:2013/12/25(水) 20:34:57 ID:joV9ZTJ.
サシャ「それじゃあ、仕方がないですねーー」
ライナー「……」ドキドキ
サシャ「お肉はもったいないですけど、ライナーにします。……お肉は一緒に食べに行けばいいだけの話ですし」
ライナー「……」
サシャ「……?」
ライナー「……いっ、いいのか? 本当に俺でいいのか? 何も持ってねえんだぞ?」オロオロ
サシャ「いいって言ってるじゃないですか。答えは変わりませんから、何回も確認しなくていいですよ」
ライナー「金も何もないんだぞ? 一文無しじゃ食うのにきっと困るだろ?」アタフタ
サシャ「別にお金目当てじゃないですし。食べれなくなったらその辺から狩ってくればいいだけの話ですよ」
ライナー「いいやお前は何もわかっちゃいないっ!! ーーいいか、何も持ってねえってことはな、俺は裸同然ってことなんだぞ!? お前は裸の男を選ぶのか!?」ダンッ!!
サシャ「はだっ……!? そ、そんな大声で言わなくってもいいじゃないですか!! 誰か通りがかったらどうするんです!?」シーッ!!
ライナー「お前が考えなしなのが悪いんだろうがぁっ!!」
サシャ「なっ……! 失礼ですね、ちゃんと考えましたってば!!」
188 : ◆H4iwFNXQsw:2013/12/25(水) 20:36:10 ID:joV9ZTJ.
ライナー「……」ゼエハア
サシャ「……」ゼエハア
ライナー(……取り敢えず、今の答えではっきりした)
ライナー(こっちの細かい事情を知らないとはいえ……こいつは、サシャは本気で俺のことを好いてくれてるらしい)
ライナー「…………」
ライナー(……やべえ、なんて答えたらいいんだこれ)ドキドキ
ライナー(先に誤解を解いたほうがいいのか? けど俺フラれたんだよな? いやでもさっき一緒にいたいって言ってなかったっけか? どっちなんだ??)グルグルグルグル
ライナー(返事をすりゃいいんだよな? ……返事ってどっちのだ? なんて言ってやりゃいいんだ?)
ライナー(だああああもうっ!! 展開が早すぎてついていけねえよ! なんだよもう! どこからどう答えればいいってんだ!!)アタフタアタフタ
サシャ「あの……黙られちゃったら、どうしたらいいのかわからないんですけど」
ライナー「……お、おう。そうだな、困るよな」ギクシャク
189 : ◆H4iwFNXQsw:2013/12/25(水) 20:37:04 ID:joV9ZTJ.
ライナー「……わかった、じゃあこうしよう。まず、これから二人で営庭に戻る」
サシャ「? 戻るんですか?」
ライナー「そうだ。ーーそこでみんなと合流して、そのまま食堂に向かうだろ? 食事を取った後は、寮に戻ってお互い明日の準備を済ませる。それから風呂に入って、消灯のあと就寝だ。以上」
サシャ「なるほど……って答えになってないじゃないですか!! 誤魔化さないでくださいよ!!」プンスカ
ライナー「バレたか」チッ
サシャ「さすがにそこまで馬鹿じゃないです!!」ムキーッ!!
ライナー「お前さぁ……疲れてんだよ。ちょっと休んだほうがいいぞ? なっ?」ポンッ
サシャ「…………」ジトッ...
ライナー(おお、ジト目もなかなか……じゃねえな。いかんいかん、意識したら余計可愛く見えてきやがった)ブンブン
ライナー「あー……せめて、答えるために考える時間がほしいんだが」
サシャ「でも私は今聞きたいんですけど」
ライナー「そうか、今か…………今!? 今聞くのか!?」
ライナー(お前よくこの状態の俺に聞けるな!? なんでそんなに容赦ねえんだよお前は巨人か!! ……あっ巨人は俺だった)
ライナー(そもそもこっちは浮かれたくても浮かれられねえってのに……! 気軽に好き好き言ってきやがって、こんな状態で頭回るわけねえだろ!!)イライラ
ライナー(……落ち着けライナー・ブラウン。お前は兵士だろ? 己の感情を抑制しろ)ググッ
サシャ(眉間の皺が更に深くなりましたね……なんだか怒ってるように見えるんですが……)
ライナー(そうだ。俺は、今は兵士だが……その前に、戦士でもある。だからサシャの気持ちに応えてやることはできん。……じゃない、何考えてんだ俺は)
ライナー(あいつは純粋に相談を持ちかけてきただけだ。返事もそれに沿ったものじゃないといかん。相談してみろと言った手前だ、俺はこいつの悩みを解決してやる義務がある。サシャもきっとそういう答えを期待しているんだろう)
ライナー(しかし、サシャ・ブラウンもライナー・ブラウスもなかなかいいな…………じゃねえよ!! 違うだろ!! そうじゃあねえだろ!!)ブンブン
ライナー(このまま話を有耶無耶にするのは、さっきの反応からして無理そうだ……仕方がない、話してる間に頭も回ってくるだろうし、とにかく思いついた順番から片付けていくしかないな。ということでまずはーー)
ライナー「あのな、サシャ。俺は……お前と一緒にいるのが嫌だなんて、一言も言った覚えがないんだが」
サシャ「さっき私の子守はうんざりだって言いました」
ライナー「そんなこと言ったか?」
サシャ「言いましたよ」
ライナー「……そうか、言ってたのか」
ライナー(俺の馬鹿野郎……)ズーン...
ライナー(くそ、勢いとはいえ失敗したな……謝ったくらいで撤回できそうにもねえし)
ライナー(だが、どうもそれだけが原因ってわけでもなさそうなんだよな……もう少し詳しく聞いてみるか)ウーン...
191 : ◆H4iwFNXQsw:2013/12/25(水) 20:38:39 ID:joV9ZTJ.
ライナー「大体、なんで今更そんなこと言い出したんだ? お前がやめたくないって思ってるなら黙っておけばよかっただろ?」
サシャ「……ダメですよ、そんなの」
ライナー「なんで」
サシャ「だって……他の子に、悪いですもん」
ライナー「それだ。他の子ってのはいったい誰のことだ? その話はどこから出てきた?」
サシャ「どこからって……元はといえばライナーが言ったんじゃないですか」
ライナー「……? 俺が何か言ったのか?」
サシャ「覚えてないんですか?」
ライナー「……すまん、ちっとも思い出せない。教えてくれ」
192 : ◆H4iwFNXQsw:2013/12/25(水) 20:39:16 ID:joV9ZTJ.
サシャ「……一番、最初の……キスの味を、教えてくれる前に」
ライナー「前に? ……後じゃなくて、前にか?」
サシャ「そうです。その時に………………………………好きな人、いるって言ってました。けど」
ライナー「……誰に?」
サシャ「だからぁ……ライナーに、ですってば」
ライナー「…………いつの話持ち出してんだ、お前」
サシャ「いつの話って……私はずっと気にしてたんですよ? この前断ったのだって、本当は好きな人がいるからなんじゃないかって思ってーー」
ライナー「この前……?」
サシャ「私が贈り物したいって言った時ですよ。……いらないって、言いましたよね」
ライナー「……お前、そんな風に思ってたのか」
193 : ◆H4iwFNXQsw:2013/12/25(水) 20:40:59 ID:joV9ZTJ.
ライナー(そうか、サシャが引っかかってるのはこれか……俺に好きな奴がいると思って、遠慮しようとしてたのか。……してたかぁ??)
ライナー(……まあいい、これで今回の理由もはっきりした。ーー解決はしてないが)
ライナー(本当は、ここで突き放すべき、なんだろうが……)チラッ
ライナー「……」
サシャ「……」
ライナー「……あのな、それ嘘だ」
サシャ「……はい? 嘘?」
ライナー「半分だけな。気になる奴は確かにいた。……いたんだが、そこまで本気じゃなかったんだ」
サシャ「……な、なんで、嘘なんか」
ライナー「あの時ああ言えば諦めると思ったんだが……お前が想像以上に馬鹿だったんだよ」
サシャ「うぐっ……馬鹿ですみません」シュン
ライナー「そうだな、今からでも遅くないから治してくれ。ーーそれは置いといてだな、この前のはその話とは別だ。他に好きな奴がいるから断ったとか、そういうわけじゃない」
サシャ「そうなんですか……」ホッ
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