しんのすけ「アローラ地方を冒険するゾ」
Part3
40 :超超ゴルーグロボ ◆g/SXBgh1y6 :2017/06/02(金) 19:34:51.16 ID:h8Rc+5Hs0
ハラが三つのモンスターボールを投げる。そこから飛び出してきたのは、くさばねポケモンのモクロー、ひねこポケモンのニャビー、あしかポケモンのアシマリの三匹だった。
モクロー「もふぅ……」
ニャビー「にゃぶ!」
アシマリ「あしゃま?」
みさえ「あらーみんな可愛いじゃない!」
ひまわり「たいやい!」
ハラ「どのポケモンを選ばれますかな?」
しんのすけ「んー……」
ハウ「やっぱ悩んじゃうよねー。おれも一時間近く悩んだもん」
ハラ「ハウよ、今はパートナーを選ぶ真剣な時。黙って見守るのですぞ」
しんのすけ「ど・れ・に・し・よ・う・か・な……」
ハウ&ハラ&ククイ博士&みさえ「」ズコッ
リーリエ「あ、当てずっぽうですか……?」
しんのすけ「て・ん・の・か・み・さ・ま・の……」
モクロー『……こんな小さい子がボクのトレーナーになるのかな?』
41 :超超ゴルーグロボ ◆g/SXBgh1y6 :2017/06/02(金) 19:35:50.27 ID:h8Rc+5Hs0
しんのすけ「お?」
モクロー『え?』
しんのすけ「キミ、今しゃべった?」
モクロー『君こそ、ボクの言葉がわかるのか?』
ハウ「しんのすけーどうしたのー? なんかモクローに言ってるけどー」
みさえ「しんちゃんったら、今みたいにポケモンに向かってブツブツ話しかけることがたまにあるんです」
リーリエ「……本で読んだことがあります。イマジナリーフレンドに似たようなものですか?」
ククイ博士「いいじゃないか! ポケモンと積極的にコミュニケーションを取ろうとするのは、トレーナーとして大事なことだぜ!」
モクロー『初めてだよ、ボクと会話できる人間がいるなんて』
しんのすけ「なんか声もしゃべり方もオラのお友達にそっくりー。ねぇ、お名前はなんていうの?」
モクロー『さぁ? ボクは生まれた時からずっと博士に『モクロー』と呼ばれているだけだから……』
しんのすけ「じゃあカザマくん、と呼んであげよう」
モクロー(風間トオル)『なんかパッとしない名前だな……。そういう君はなんていうの?』
しんのすけ「オラ? オラ野原しんのすけ、ちょっとシャイな今時のナウでヤングな5歳児」
42 :超超ゴルーグロボ ◆g/SXBgh1y6 :2017/06/02(金) 19:36:57.68 ID:h8Rc+5Hs0
ハラ「くさポケモンのモクローになされますかな?」
しんのすけ「うん、オラ、カザマくんにするー」
リーリエ「カザマくん……?」
ククイ博士「おお、もうニックネームを付けたのか! よっぽどモクローが気に入ったんだな!」
みさえ「ちょっとー、そんな名前でいいの? カスカベ地方の風間くんに手紙とか送る時ややこしくなるんじゃない?」
しんのすけ「いーのいーの。声がそっくりだし」
ハラ「なにはともあれ、お互い、選び、選ばれてこそ真のパートナーといえますな!」
しんのすけとモクロー(カザマ)は、土俵の上に立つと、互いに向き合った。みんなは一人と一匹の様子を見守っている。
ハラ「それではモクロー……もといカザマは、君を選ぶのか見ましょうぞ!」
モクロー『君がボクのトレーナーになるって言うんだから、しっかりやってくれよ?』
しんのすけ「だーいじょぶだいじょぶ、オラにまっかせなさい!」
モクロー(なんでだろう? しんのすけとはずっと前からいたような親しみやすさを感じるけど、同時に嫌な予感もする。なんとなく、これから何度も振り回されそうな……)
モクロー(まぁ、ずっとボールの中で出番を待っているよりかマシかな。外へ出て、もっといろんなことを勉強したいし)
43 :超超ゴルーグロボ ◆g/SXBgh1y6 :2017/06/02(金) 19:39:04.32 ID:h8Rc+5Hs0
モクロー『じゃあ、これからよろしくな、しんのすけ!』
しんのすけ「ほーい!」
トコトコ
モクロー「……もふぅ」
ククイ博士「おっ……!」
リーリエ「!」
みさえ「あら……!」
ハラ「お! モクローも、しんのすけを認めましたな!」
ククイ博士「互いを認めあった君たちは、永遠の友達だぜ!!」
みさえ「よかったわね~しんのすけ」
しんのすけ「いやぁオラも嬉しいぞ~大親友の風間くんと一緒に島巡りできるなんて~」モフモフ
モクロー『ははは、そんなくっつくなよ』
ハウ「あれ~? まだ出会ったばかりなのに大親友ってどういうことだー?」
リーリエ「モクロー……じゃなくて、カザマさん、ですね」
ククイ博士「よーし! これでしんのすけも、今日からポケモントレーナーだぜ! 僕からも素敵なプレゼントだ!」つポケモン図鑑
44 :超超ゴルーグロボ ◆g/SXBgh1y6 :2017/06/02(金) 19:40:45.42 ID:h8Rc+5Hs0
みさえ「あら? これって……」
しんのすけ「ハカセーなにこれ? ゲーム?」
ククイ博士「それはポケモン図鑑。ポケモン図鑑は、出会ったポケモンを自動的に記録するハイテクな道具なんだ!」
しんのすけ「ほうほう」
ククイ博士「君がパートナーにしたモクローも記録されているよ。チェックするといいぜ!」
みさえ「懐かしいわねー。パパが昔、シンオウ地方を旅してたって図鑑を見せびらかしていた頃を思い出すわー」
ククイ博士「そしてこれが、君のトレーナーパスと島巡りの証!」つトレーナーパス&証
しんのすけ「ありがとござますぅ」
みさえ「島巡りの証は私が預かっとくわね。明日、無くさないようにカバンに結んでおくから」
ハウ「なーなー! しんのすけー! 早速おれと勝負しようよー」
しんのすけ「死体ごっこで?」
リーリエ「……死体ごっこってなんですか? ポケモン勝負じゃないですか?」
45 :超超ゴルーグロボ ◆g/SXBgh1y6 :2017/06/02(金) 19:41:52.09 ID:h8Rc+5Hs0
ハウ「そのモクロー、かっこいいもん。いっぺん勝負してみたーい」
ククイ博士「おお! 初めてのポケモン勝負だね! ポケモンの技を繰り出し、勝ち負けを決めるんだぜ!!」
ハラ「孫の相手をお願いできますかな。がっぷり4つの勝負を期待しますな!」
リーリエ「わたし……ポケモンさんが傷つく勝負は、ちょっと苦手ですが……しんちゃんを応援しますね」
みさえ「しんのすけー! 頑張ってねー!」
ハウ「よーし、負けないよー!」
ハラ「では、ポケモン勝負ーー始めませいっ!」
ポケモントレーナーの ハウが
勝負を しかけてきた!
46 :超超ゴルーグロボ ◆g/SXBgh1y6 :2017/06/02(金) 19:43:32.63 ID:h8Rc+5Hs0
ハウ「ゆけっ、ニャビー!」ポイッ
ニャビー「にゃぶー!」ポンッ
しんのすけ「カザマくん! レッツラゴー!」ビシッ
モクロー『さっそくバトルか! よーし行くぞー!』バサバサッ
ハウ「ニャビー! ひっかくだー!」
ニャビー「にゃぶ!」シャンッ
ザクッ!
モクロー『うわっとっと!』
モクロー『しんのすけ! ボクに指示をくれ!』
しんのすけ「しり?」
モクロー『し・じ!』
みさえ「しんのすけー! ポケモンに命令するのよ」
47 :超超ゴルーグロボ ◆g/SXBgh1y6 :2017/06/02(金) 19:45:26.34 ID:h8Rc+5Hs0
しんのすけ「ほうほう……。じゃ、カザマくん、オラにおしゃくしてくれたまえー」
みさえ&モクロー「」ズコッ
モクロー『指示って、そういう指示じゃなぁぁい!』
みさえ「そうじゃなくて、たいあたりとか、なきごえとか、ポケモンの技に関することよ!」
しんのすけ「ほーほー」
モクロー『それも知らないで勝負を受けたのかよ、お前は!』
しんのすけ「うーん、やっぱりこのツッコミのキレの良さは風間くんそのまんまですな」
リーリエ「あの、そんな悠長なこと言ってる場合じゃないと思います……」
ハウ「ニャビー! ひのこだー!」
ニャビー「にゃぶぅ!」
ボッ! ボッ! ボッ!
モクロー『お前もう少しトレーナーとしてのメンツというか知識をだな……』
しんのすけ「カザマくん、前、前」
モクロー『え?』クルッ
48 :超超ゴルーグロボ ◆g/SXBgh1y6 :2017/06/02(金) 19:46:11.09 ID:h8Rc+5Hs0
ボウッ!
モクロー『あちゃちゃちゃ! あちゃちゃちゃちゃ!』メラメラドタドタ
モクロー「」シュウウゥ
バタッ
ハラ「勝負あり! この勝負、ハウとニャビーの勝ち!」
ハウ「やったー!」
しんのすけ「カザマくん! たいあたりだ!」
モクロー『もう遅いよ! バカ!』
みさえ「あぁ……恥ずかしい」カアアッ
ククイ博士「まぁ、いきなり指示とか技とかって言われても難しかったかな?」
リーリエ「やっぱり、5歳の子に島巡りって無茶な気がします……」
しんのすけ「いやぁ、それほどでもぉ」
リーリエ「褒めてません……」
49 :超超ゴルーグロボ ◆g/SXBgh1y6 :2017/06/02(金) 19:47:01.26 ID:h8Rc+5Hs0
自宅
ひろし(電話)『ワッハッハッハッ! それでその、ハウ君にバトルで負けちゃったのか!』
みさえ「そうなのよー恥ずかしいったらありゃしないわ」
ひろし『それにしても、しんのすけが島巡りか……。俺はてっきり11歳まで待つもんだと思ってたけどなぁ』
みさえ「あの時はつい行くって言っちゃったけど、やっぱり心配になっちゃうわねー」
ひろし『なーに、しんのすけなら大丈夫さ。それに先輩のハウ君やククイ博士もいるんだろ?』
みさえ「ええ。それにひょっとしたら、途中でお仕事中のあなたに会うかもしれないわね」
ひろし『そうだな。今度会ったときに、しんのすけがどんなポケモンゲットのか興味あるなぁ』
みさえ「ほんとねー」チラ
モクロー『ったく……こんな奴のポケモンになったボクが馬鹿だったよ。こんなことならあの時近寄らなければ良かった』
しんのすけ「んもぅ、オラとカザマくんは運命のあかいいとで繋がれているのよん。そんな冷たいこと言わないで~」
モクロー『ええいくっつくな! 気色悪い!』
ひまわり「たーいたーい」ピシャシピシャ
モクロー『いてっ、ボクの頭を叩くなよ』
50 :超超ゴルーグロボ ◆g/SXBgh1y6 :2017/06/02(金) 19:48:38.87 ID:h8Rc+5Hs0
※誤字発見したので修正
ひろし『そうだな。今度会ったときに、しんのすけがどんなポケモンゲットしているのか興味あるなぁ』
51 :超超ゴルーグロボ ◆g/SXBgh1y6 :2017/06/02(金) 19:49:38.55 ID:h8Rc+5Hs0
みさえ「こーらっひま、危ないからカザマくんの頭叩いちゃダメ!」
みさえ「……でもね、もらったポケモンはすごく気に入ってるみたいよ。ニックネームに『カザマ』なんて付けちゃって」
ひろし『へー風間くんの名前を付けたのか。それじゃあ、2匹目はマサオくんとかネネちゃんかもな』
みさえ「かもねー」
ひろし『ま、友達の名前をニックネームに付けてるってことは、それだけあいつはポケモンを大事にしてるってことだ。ちゃんとポケモンもわかってくれるさ』
ひろし『それで、島巡りは明日から始めるのか?』
みさえ「みたいね。最初はこの島からスタートするみたいだから、こっそり見に行っちゃおうかしら」
ひろし『オイオイ、あんまり邪魔になるようなことはするなよ。島巡りはアローラにおける大事な通過儀礼なんだから』
みさえ「わかってるわかってる。ところで、あなたはいつごろ帰ってくるの?」
ひろし『そうだな……俺は今、アーカラ島にいるんだ。アローラのガラガラとダグトリオの生態を調べ終わったら、しばらく休暇がもらえるからその時にこっちに戻るよ』
みさえ「そう……気を付けてね」
ひろし『おう、しんのすけによろしくな』
ガチャ
52 :超超ゴルーグロボ ◆g/SXBgh1y6 :2017/06/02(金) 19:50:27.57 ID:h8Rc+5Hs0
みさえ「しんのすけ、今日は早めに寝なさい。明日から島巡りでしょ?」
しんのすけ「オラ、カザマくんの技のチェックメイトしなくちゃいけないので」
モクロー『嘘つけ! さっきから散々ボクをいじくりまわってた癖に!』
みさえ「メイトはいらないわよ」
みさえ「そうそう、お外へ出かける用の服買ったから、明日はそれ着て行きなさい」
しんのすけ「ほーい」
53 :超超ゴルーグロボ ◆g/SXBgh1y6 :2017/06/02(金) 19:53:48.21 ID:h8Rc+5Hs0
ーー翌日
ピンポーン!
みさえ「はーい」
ガチャッ
リーリエ「あっ、こんにちは……」ペコリ
みさえ「あら? あなたは確かリーリエちゃんーー」
リーリエ「はい、しんちゃんを研究所へ来るようククイ博士に連れてくるよう言われたので、お迎えに参りました」
みさえ「あぁ、うちのしんのすけがたくさん迷惑かけるかもしれないけど、よろしくね」
リーリエ「はい」
みさえ「しんのすけー! リーリエちゃんが迎えに来たわよーっ」
ホーイ
みさえ「ちょっと待っててね」
リーリエ「あっ、お構いなく」
みさえ「それにしても、行儀のいい子ねー。うちのしんのすけにも見習わせたいわ~」
リーリエ「あ、ありがとうございます……」ペコリ
54 :超超ゴルーグロボ ◆g/SXBgh1y6 :2017/06/02(金) 19:55:16.56 ID:h8Rc+5Hs0
しんのすけ「来たぞ、みさえー」
みさえ「お母さん、でしょ! ほら、リーリエちゃんが迎えに来たわよ」
しんのすけ「よっ」
リーリエ「あっ……どうも」
みさえ「ほら、しんのすけ、新しいリュックよ」
しんのすけ「おおっ、アクション仮面のリュック! それにマサオくんたちから貰ったカスカベ防衛隊のバッジも付けてある! かーちゃん太もも~」
みさえ「太っ腹、でしょ? 島巡りの証もそこに結んであるけど、なくしちゃダメよ? カザマくんの入ったボールは持った?」
しんのすけ「持った」
55 :超超ゴルーグロボ ◆g/SXBgh1y6 :2017/06/02(金) 19:55:50.94 ID:h8Rc+5Hs0
みさえ「Zリングは?」
しんのすけ「持った」
みさえ「ポケモン図鑑は?」
しんのすけ「持った」
みさえ「フウロの写真集は?」
しんのすけ「持った」
みさえ「んなもん持ってかなくてよろしい!」
しんのすけ「あ~ん、自分で言ったんじゃ~ん」
リーリエ「……クスッ」
56 :超超ゴルーグロボ ◆g/SXBgh1y6 :2017/06/02(金) 19:56:31.72 ID:h8Rc+5Hs0
みさえ「それじゃ、カザマ君とも仲良くするのよ! いってらっしゃい!!」
しんのすけ「ほいっ」
バタン
シロ「クーン」
しんのすけ「シロ、じゃーね!」
シロ「アンッ!」
リーリエ「優しそうなおかあさま……ですね」
しんのすけ「そうでもないよ。ケチでおケツはでかいし、もうすぐ三十路だし、小皺は目立つし、そろそろきのみの食べ過ぎて体重が……」
バタンッ!!!
みさえ「なんか言った?」ギロッ
しんのすけ「……とっても若くてキレイなおかあさまです、はい」
みさえ「よろしい。旅立つ前に目の前を真っ暗にされたくないなら、発言に気をつけなさい」
バタン
リーリエ「……ふふっ」
57 :超超ゴルーグロボ ◆g/SXBgh1y6 :2017/06/02(金) 19:57:23.52 ID:h8Rc+5Hs0
しんのすけ「で、オラに何の用?」
リーリエ「ククイ博士に「おぉ、リーリエ! 期待の新人トレーナーを研究所に連れてきてよ!」と、頼まれたものですから、わたし、案内いたしますね」
しんのすけ「モノマネあんまし上手くないね」
リーリエ「……と、とにかくついてきてください」
しんのすけ「ほーい」
58 :超超ゴルーグロボ ◆g/SXBgh1y6 :2017/06/02(金) 19:57:59.36 ID:h8Rc+5Hs0
研究所周辺
リーリエ「博士の研究所は、草むらの先にあります。なんでもポケモンに囲まれ、技の調査もはかどるそうです。トレーナーではないわたしは、むしよけスプレーが欠かせません」
しんのすけ「なんでリーリエちゃんはトレーナーじゃないのにうしぞらくんをバッグに入れて連れてるの?」
リーリエ「ほしぐもちゃん、です」
リーリエ「ほしぐもちゃん……。コスモッグは、遠いトコロからやってきた珍しいポケモンなんです」
ほしぐもちゃん「ぴゅう!」
リーリエ「不思議な力を秘めていて、わたし……危ないところを、助けてもらったこともあります」
リーリエ「それゆえ、必要としている人もいて……ですから、博士やハラさん……信頼できる人にだけコスモッグのことを教えています」
リーリエ「ですので、秘密ということであらためてよろしくお願いします」
しんのすけ「ほうほう、つまりリーリエちゃんは、後ろ暗くて誰かに見られたくないから、ほしぐもちゃんをバッグに突っ込んでるというわけですな」
リーリエ「……そ、そうです」
ハラが三つのモンスターボールを投げる。そこから飛び出してきたのは、くさばねポケモンのモクロー、ひねこポケモンのニャビー、あしかポケモンのアシマリの三匹だった。
モクロー「もふぅ……」
ニャビー「にゃぶ!」
アシマリ「あしゃま?」
みさえ「あらーみんな可愛いじゃない!」
ひまわり「たいやい!」
ハラ「どのポケモンを選ばれますかな?」
しんのすけ「んー……」
ハウ「やっぱ悩んじゃうよねー。おれも一時間近く悩んだもん」
ハラ「ハウよ、今はパートナーを選ぶ真剣な時。黙って見守るのですぞ」
しんのすけ「ど・れ・に・し・よ・う・か・な……」
ハウ&ハラ&ククイ博士&みさえ「」ズコッ
リーリエ「あ、当てずっぽうですか……?」
しんのすけ「て・ん・の・か・み・さ・ま・の……」
モクロー『……こんな小さい子がボクのトレーナーになるのかな?』
41 :超超ゴルーグロボ ◆g/SXBgh1y6 :2017/06/02(金) 19:35:50.27 ID:h8Rc+5Hs0
しんのすけ「お?」
モクロー『え?』
しんのすけ「キミ、今しゃべった?」
モクロー『君こそ、ボクの言葉がわかるのか?』
ハウ「しんのすけーどうしたのー? なんかモクローに言ってるけどー」
みさえ「しんちゃんったら、今みたいにポケモンに向かってブツブツ話しかけることがたまにあるんです」
リーリエ「……本で読んだことがあります。イマジナリーフレンドに似たようなものですか?」
ククイ博士「いいじゃないか! ポケモンと積極的にコミュニケーションを取ろうとするのは、トレーナーとして大事なことだぜ!」
モクロー『初めてだよ、ボクと会話できる人間がいるなんて』
しんのすけ「なんか声もしゃべり方もオラのお友達にそっくりー。ねぇ、お名前はなんていうの?」
モクロー『さぁ? ボクは生まれた時からずっと博士に『モクロー』と呼ばれているだけだから……』
しんのすけ「じゃあカザマくん、と呼んであげよう」
モクロー(風間トオル)『なんかパッとしない名前だな……。そういう君はなんていうの?』
しんのすけ「オラ? オラ野原しんのすけ、ちょっとシャイな今時のナウでヤングな5歳児」
42 :超超ゴルーグロボ ◆g/SXBgh1y6 :2017/06/02(金) 19:36:57.68 ID:h8Rc+5Hs0
ハラ「くさポケモンのモクローになされますかな?」
しんのすけ「うん、オラ、カザマくんにするー」
リーリエ「カザマくん……?」
ククイ博士「おお、もうニックネームを付けたのか! よっぽどモクローが気に入ったんだな!」
みさえ「ちょっとー、そんな名前でいいの? カスカベ地方の風間くんに手紙とか送る時ややこしくなるんじゃない?」
しんのすけ「いーのいーの。声がそっくりだし」
ハラ「なにはともあれ、お互い、選び、選ばれてこそ真のパートナーといえますな!」
しんのすけとモクロー(カザマ)は、土俵の上に立つと、互いに向き合った。みんなは一人と一匹の様子を見守っている。
ハラ「それではモクロー……もといカザマは、君を選ぶのか見ましょうぞ!」
モクロー『君がボクのトレーナーになるって言うんだから、しっかりやってくれよ?』
しんのすけ「だーいじょぶだいじょぶ、オラにまっかせなさい!」
モクロー(なんでだろう? しんのすけとはずっと前からいたような親しみやすさを感じるけど、同時に嫌な予感もする。なんとなく、これから何度も振り回されそうな……)
モクロー(まぁ、ずっとボールの中で出番を待っているよりかマシかな。外へ出て、もっといろんなことを勉強したいし)
43 :超超ゴルーグロボ ◆g/SXBgh1y6 :2017/06/02(金) 19:39:04.32 ID:h8Rc+5Hs0
モクロー『じゃあ、これからよろしくな、しんのすけ!』
しんのすけ「ほーい!」
トコトコ
モクロー「……もふぅ」
ククイ博士「おっ……!」
リーリエ「!」
みさえ「あら……!」
ハラ「お! モクローも、しんのすけを認めましたな!」
ククイ博士「互いを認めあった君たちは、永遠の友達だぜ!!」
みさえ「よかったわね~しんのすけ」
しんのすけ「いやぁオラも嬉しいぞ~大親友の風間くんと一緒に島巡りできるなんて~」モフモフ
モクロー『ははは、そんなくっつくなよ』
ハウ「あれ~? まだ出会ったばかりなのに大親友ってどういうことだー?」
リーリエ「モクロー……じゃなくて、カザマさん、ですね」
ククイ博士「よーし! これでしんのすけも、今日からポケモントレーナーだぜ! 僕からも素敵なプレゼントだ!」つポケモン図鑑
44 :超超ゴルーグロボ ◆g/SXBgh1y6 :2017/06/02(金) 19:40:45.42 ID:h8Rc+5Hs0
みさえ「あら? これって……」
しんのすけ「ハカセーなにこれ? ゲーム?」
ククイ博士「それはポケモン図鑑。ポケモン図鑑は、出会ったポケモンを自動的に記録するハイテクな道具なんだ!」
しんのすけ「ほうほう」
ククイ博士「君がパートナーにしたモクローも記録されているよ。チェックするといいぜ!」
みさえ「懐かしいわねー。パパが昔、シンオウ地方を旅してたって図鑑を見せびらかしていた頃を思い出すわー」
ククイ博士「そしてこれが、君のトレーナーパスと島巡りの証!」つトレーナーパス&証
しんのすけ「ありがとござますぅ」
みさえ「島巡りの証は私が預かっとくわね。明日、無くさないようにカバンに結んでおくから」
ハウ「なーなー! しんのすけー! 早速おれと勝負しようよー」
しんのすけ「死体ごっこで?」
リーリエ「……死体ごっこってなんですか? ポケモン勝負じゃないですか?」
ハウ「そのモクロー、かっこいいもん。いっぺん勝負してみたーい」
ククイ博士「おお! 初めてのポケモン勝負だね! ポケモンの技を繰り出し、勝ち負けを決めるんだぜ!!」
ハラ「孫の相手をお願いできますかな。がっぷり4つの勝負を期待しますな!」
リーリエ「わたし……ポケモンさんが傷つく勝負は、ちょっと苦手ですが……しんちゃんを応援しますね」
みさえ「しんのすけー! 頑張ってねー!」
ハウ「よーし、負けないよー!」
ハラ「では、ポケモン勝負ーー始めませいっ!」
ポケモントレーナーの ハウが
勝負を しかけてきた!
46 :超超ゴルーグロボ ◆g/SXBgh1y6 :2017/06/02(金) 19:43:32.63 ID:h8Rc+5Hs0
ハウ「ゆけっ、ニャビー!」ポイッ
ニャビー「にゃぶー!」ポンッ
しんのすけ「カザマくん! レッツラゴー!」ビシッ
モクロー『さっそくバトルか! よーし行くぞー!』バサバサッ
ハウ「ニャビー! ひっかくだー!」
ニャビー「にゃぶ!」シャンッ
ザクッ!
モクロー『うわっとっと!』
モクロー『しんのすけ! ボクに指示をくれ!』
しんのすけ「しり?」
モクロー『し・じ!』
みさえ「しんのすけー! ポケモンに命令するのよ」
47 :超超ゴルーグロボ ◆g/SXBgh1y6 :2017/06/02(金) 19:45:26.34 ID:h8Rc+5Hs0
しんのすけ「ほうほう……。じゃ、カザマくん、オラにおしゃくしてくれたまえー」
みさえ&モクロー「」ズコッ
モクロー『指示って、そういう指示じゃなぁぁい!』
みさえ「そうじゃなくて、たいあたりとか、なきごえとか、ポケモンの技に関することよ!」
しんのすけ「ほーほー」
モクロー『それも知らないで勝負を受けたのかよ、お前は!』
しんのすけ「うーん、やっぱりこのツッコミのキレの良さは風間くんそのまんまですな」
リーリエ「あの、そんな悠長なこと言ってる場合じゃないと思います……」
ハウ「ニャビー! ひのこだー!」
ニャビー「にゃぶぅ!」
ボッ! ボッ! ボッ!
モクロー『お前もう少しトレーナーとしてのメンツというか知識をだな……』
しんのすけ「カザマくん、前、前」
モクロー『え?』クルッ
48 :超超ゴルーグロボ ◆g/SXBgh1y6 :2017/06/02(金) 19:46:11.09 ID:h8Rc+5Hs0
ボウッ!
モクロー『あちゃちゃちゃ! あちゃちゃちゃちゃ!』メラメラドタドタ
モクロー「」シュウウゥ
バタッ
ハラ「勝負あり! この勝負、ハウとニャビーの勝ち!」
ハウ「やったー!」
しんのすけ「カザマくん! たいあたりだ!」
モクロー『もう遅いよ! バカ!』
みさえ「あぁ……恥ずかしい」カアアッ
ククイ博士「まぁ、いきなり指示とか技とかって言われても難しかったかな?」
リーリエ「やっぱり、5歳の子に島巡りって無茶な気がします……」
しんのすけ「いやぁ、それほどでもぉ」
リーリエ「褒めてません……」
49 :超超ゴルーグロボ ◆g/SXBgh1y6 :2017/06/02(金) 19:47:01.26 ID:h8Rc+5Hs0
自宅
ひろし(電話)『ワッハッハッハッ! それでその、ハウ君にバトルで負けちゃったのか!』
みさえ「そうなのよー恥ずかしいったらありゃしないわ」
ひろし『それにしても、しんのすけが島巡りか……。俺はてっきり11歳まで待つもんだと思ってたけどなぁ』
みさえ「あの時はつい行くって言っちゃったけど、やっぱり心配になっちゃうわねー」
ひろし『なーに、しんのすけなら大丈夫さ。それに先輩のハウ君やククイ博士もいるんだろ?』
みさえ「ええ。それにひょっとしたら、途中でお仕事中のあなたに会うかもしれないわね」
ひろし『そうだな。今度会ったときに、しんのすけがどんなポケモンゲットのか興味あるなぁ』
みさえ「ほんとねー」チラ
モクロー『ったく……こんな奴のポケモンになったボクが馬鹿だったよ。こんなことならあの時近寄らなければ良かった』
しんのすけ「んもぅ、オラとカザマくんは運命のあかいいとで繋がれているのよん。そんな冷たいこと言わないで~」
モクロー『ええいくっつくな! 気色悪い!』
ひまわり「たーいたーい」ピシャシピシャ
モクロー『いてっ、ボクの頭を叩くなよ』
50 :超超ゴルーグロボ ◆g/SXBgh1y6 :2017/06/02(金) 19:48:38.87 ID:h8Rc+5Hs0
※誤字発見したので修正
ひろし『そうだな。今度会ったときに、しんのすけがどんなポケモンゲットしているのか興味あるなぁ』
51 :超超ゴルーグロボ ◆g/SXBgh1y6 :2017/06/02(金) 19:49:38.55 ID:h8Rc+5Hs0
みさえ「こーらっひま、危ないからカザマくんの頭叩いちゃダメ!」
みさえ「……でもね、もらったポケモンはすごく気に入ってるみたいよ。ニックネームに『カザマ』なんて付けちゃって」
ひろし『へー風間くんの名前を付けたのか。それじゃあ、2匹目はマサオくんとかネネちゃんかもな』
みさえ「かもねー」
ひろし『ま、友達の名前をニックネームに付けてるってことは、それだけあいつはポケモンを大事にしてるってことだ。ちゃんとポケモンもわかってくれるさ』
ひろし『それで、島巡りは明日から始めるのか?』
みさえ「みたいね。最初はこの島からスタートするみたいだから、こっそり見に行っちゃおうかしら」
ひろし『オイオイ、あんまり邪魔になるようなことはするなよ。島巡りはアローラにおける大事な通過儀礼なんだから』
みさえ「わかってるわかってる。ところで、あなたはいつごろ帰ってくるの?」
ひろし『そうだな……俺は今、アーカラ島にいるんだ。アローラのガラガラとダグトリオの生態を調べ終わったら、しばらく休暇がもらえるからその時にこっちに戻るよ』
みさえ「そう……気を付けてね」
ひろし『おう、しんのすけによろしくな』
ガチャ
52 :超超ゴルーグロボ ◆g/SXBgh1y6 :2017/06/02(金) 19:50:27.57 ID:h8Rc+5Hs0
みさえ「しんのすけ、今日は早めに寝なさい。明日から島巡りでしょ?」
しんのすけ「オラ、カザマくんの技のチェックメイトしなくちゃいけないので」
モクロー『嘘つけ! さっきから散々ボクをいじくりまわってた癖に!』
みさえ「メイトはいらないわよ」
みさえ「そうそう、お外へ出かける用の服買ったから、明日はそれ着て行きなさい」
しんのすけ「ほーい」
53 :超超ゴルーグロボ ◆g/SXBgh1y6 :2017/06/02(金) 19:53:48.21 ID:h8Rc+5Hs0
ーー翌日
ピンポーン!
みさえ「はーい」
ガチャッ
リーリエ「あっ、こんにちは……」ペコリ
みさえ「あら? あなたは確かリーリエちゃんーー」
リーリエ「はい、しんちゃんを研究所へ来るようククイ博士に連れてくるよう言われたので、お迎えに参りました」
みさえ「あぁ、うちのしんのすけがたくさん迷惑かけるかもしれないけど、よろしくね」
リーリエ「はい」
みさえ「しんのすけー! リーリエちゃんが迎えに来たわよーっ」
ホーイ
みさえ「ちょっと待っててね」
リーリエ「あっ、お構いなく」
みさえ「それにしても、行儀のいい子ねー。うちのしんのすけにも見習わせたいわ~」
リーリエ「あ、ありがとうございます……」ペコリ
54 :超超ゴルーグロボ ◆g/SXBgh1y6 :2017/06/02(金) 19:55:16.56 ID:h8Rc+5Hs0
しんのすけ「来たぞ、みさえー」
みさえ「お母さん、でしょ! ほら、リーリエちゃんが迎えに来たわよ」
しんのすけ「よっ」
リーリエ「あっ……どうも」
みさえ「ほら、しんのすけ、新しいリュックよ」
しんのすけ「おおっ、アクション仮面のリュック! それにマサオくんたちから貰ったカスカベ防衛隊のバッジも付けてある! かーちゃん太もも~」
みさえ「太っ腹、でしょ? 島巡りの証もそこに結んであるけど、なくしちゃダメよ? カザマくんの入ったボールは持った?」
しんのすけ「持った」
55 :超超ゴルーグロボ ◆g/SXBgh1y6 :2017/06/02(金) 19:55:50.94 ID:h8Rc+5Hs0
みさえ「Zリングは?」
しんのすけ「持った」
みさえ「ポケモン図鑑は?」
しんのすけ「持った」
みさえ「フウロの写真集は?」
しんのすけ「持った」
みさえ「んなもん持ってかなくてよろしい!」
しんのすけ「あ~ん、自分で言ったんじゃ~ん」
リーリエ「……クスッ」
56 :超超ゴルーグロボ ◆g/SXBgh1y6 :2017/06/02(金) 19:56:31.72 ID:h8Rc+5Hs0
みさえ「それじゃ、カザマ君とも仲良くするのよ! いってらっしゃい!!」
しんのすけ「ほいっ」
バタン
シロ「クーン」
しんのすけ「シロ、じゃーね!」
シロ「アンッ!」
リーリエ「優しそうなおかあさま……ですね」
しんのすけ「そうでもないよ。ケチでおケツはでかいし、もうすぐ三十路だし、小皺は目立つし、そろそろきのみの食べ過ぎて体重が……」
バタンッ!!!
みさえ「なんか言った?」ギロッ
しんのすけ「……とっても若くてキレイなおかあさまです、はい」
みさえ「よろしい。旅立つ前に目の前を真っ暗にされたくないなら、発言に気をつけなさい」
バタン
リーリエ「……ふふっ」
57 :超超ゴルーグロボ ◆g/SXBgh1y6 :2017/06/02(金) 19:57:23.52 ID:h8Rc+5Hs0
しんのすけ「で、オラに何の用?」
リーリエ「ククイ博士に「おぉ、リーリエ! 期待の新人トレーナーを研究所に連れてきてよ!」と、頼まれたものですから、わたし、案内いたしますね」
しんのすけ「モノマネあんまし上手くないね」
リーリエ「……と、とにかくついてきてください」
しんのすけ「ほーい」
58 :超超ゴルーグロボ ◆g/SXBgh1y6 :2017/06/02(金) 19:57:59.36 ID:h8Rc+5Hs0
研究所周辺
リーリエ「博士の研究所は、草むらの先にあります。なんでもポケモンに囲まれ、技の調査もはかどるそうです。トレーナーではないわたしは、むしよけスプレーが欠かせません」
しんのすけ「なんでリーリエちゃんはトレーナーじゃないのにうしぞらくんをバッグに入れて連れてるの?」
リーリエ「ほしぐもちゃん、です」
リーリエ「ほしぐもちゃん……。コスモッグは、遠いトコロからやってきた珍しいポケモンなんです」
ほしぐもちゃん「ぴゅう!」
リーリエ「不思議な力を秘めていて、わたし……危ないところを、助けてもらったこともあります」
リーリエ「それゆえ、必要としている人もいて……ですから、博士やハラさん……信頼できる人にだけコスモッグのことを教えています」
リーリエ「ですので、秘密ということであらためてよろしくお願いします」
しんのすけ「ほうほう、つまりリーリエちゃんは、後ろ暗くて誰かに見られたくないから、ほしぐもちゃんをバッグに突っ込んでるというわけですな」
リーリエ「……そ、そうです」
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