キモオタ「我輩がおとぎ話の世界に行くですとwww」ティンカーベル「そう」 人魚姫編
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785 :◆oBwZbn5S8kKC :2015/06/07(日)23:07:55 ID:ffb
ライオン「ど、どうする!?もう合流しちゃったよ!?」
ドロシー「…じゃあもういいや、戻っておいでライオン。ブリキもお疲れー、二人にこんなところで怪我させるのもやだしねー」
ブンブンブオンッ バサァァー
赤鬼「さぁて、これでようやく視界が広くなったぞ…!」
赤ずきん「ええ、もうしばらく花を見るのは勘弁願いたいわね」
ドロシー「金棒で花びらを振り散らしての登場かー、かっこいいじゃん赤鬼ー!」ヒューヒュー
赤鬼「随分と厄介な魔法具だ、鬼神も少しは苦戦したんじゃねぇか?」
鬼神『無駄口を叩くな、あの小娘に集中していろ』
ドロシー「で?逃げなくてもいいわけ?私としてはさ、今さいっこーにイライラしてるから相手してやってもいいよ?死ぬけどさ、お前達」カツンカツン
赤ずきん「…私はまだ子供だけれど、鬼ヶ島であなたが出会った私よりは成長してる」
ドロシー「んー?…何が言いたいのかな?ドロシーちゃんには解りかねますケド」
赤ずきん「そのままの意味よ、私は一人じゃないと知ったし強くなる方法を間違えていたとも知った……焦りすぎていた事もね」
赤ずきん「だから私は焦らない。今はあなたと戦わない。あなたを倒すという目的を達するには大きな回り道になってしまうけれど。この回り道は…花を摘むための寄り道じゃない」
赤ずきん「あなたを確実に倒すための回り道よ。だから、いずれあなたは出会う事になる」
ドロシー「誰とかな?寄り道して食い殺される哀れな赤ずきんちゃんにかな?」クスクス
赤ずきん「いいえ、私の武器が何か忘れたの?私の武器はマスケット、言わば私は狼を根絶やしにする狩人……」
赤ずきん「それならあなたはさしずめ、満腹に気分を良くしているオオカミね。せいぜいお腹に石を詰められないようになさいね」フフッ
786 :◆oBwZbn5S8kKC :2015/06/07(日)23:10:58 ID:ffb
ドロシー「お前に腹を裂かれるほど私は間抜けじゃないし、くだらない問答をいつまでも続けられるほど私は我慢強くないけどね…!」カツンカツン
赤鬼「おい、もう良いだろう?あいつの気迫……本物だぞ?」
赤ずきん「付き合わせて悪かったわ、行きましょう」
ドロシー「あれだけ好き放題言ってサヨナラってちょーっと虫がよすぎるよ赤ずきんちゃーん?」クスクス
ヒュッ
ズダーンッ
ドロシー「あははぁ!当てる気ないの?今の威嚇射撃でしょ!そんな手加減してていいのかなぁ!」ビュオッ
赤ずきん「言いたい事だけ言って逃げるなんて少しずるいけれど…今言った通りよ、今は戦うつもりがない」ガチャッ
ドロシー「あんたにそのつもりが無くてもさ!私にはあんたをぶち殺すつもり大ありなんだよね……!」カツンカツン
ドロシー「なんで私におとぎ話消された雑魚ずきんちゃんがさぁ、私を出し抜こうとかしてんの?わたしさぁ、そういうのさぁ……」
ドロシー「詐欺師と同じくらい大っ嫌いなんだよね!!」ビュオッ
赤ずきん「ずきんよずきん、私達を……の世界へ連れて行って頂戴…!」
ビュオッ
ヒュン
海底の魔女「……ギリギリの所だったが、逃げられてしまったな?」
ドロシー「……」ギリッ
ブリキ「もう終いだ、アリスの所へ行こう。な?」
ドロシー「……解った」ガジガジ
ライオン「そ、そうだよ。今回は別に赤ずきんちゃん達を倒すのが目的じゃないから大丈夫だよ!ね!元気出してよドロシーちゃ……」
かかし「ライオン、やめておケ……ドロシーが爪を噛んでル。知っているだロ?ああなったらもう駄目だ、手がつけられないくらいの不機嫌ダ」
ライオン「……うん、でも心配だよ」ショボン
ドロシー「……」ガジガジ
787 :◆oBwZbn5S8kKC :2015/06/07(日)23:14:07 ID:ffb
今日はここまでです
ちょっとわかりにくいとこ補足
泡と消え、空気の精霊になった人魚姫は誰にもその姿を見ることができません
けれど海底の魔女の魔法で二人は人魚姫の気持ちを受け取ることができます
人魚姫編 次回最終話予定です
788 :名無しさん@おーぷん :2015/06/07(日)23:25:37 ID:ksg
よーし読んだぞ!次回も期待しています!
789 :名無しさん@おーぷん :2015/06/07(日)23:40:14 ID:NqN
メルヘンな世界が多いからたまにはダークな雰囲気の世界に行くのもいいかも。セロ弾きのゴーシュが話に出てたからドラキュラの世界なんて面白いかもな。
かなり話が難しそうだが
790 :名無しさん@おーぷん :2015/06/07(日)23:41:19 ID:zx7
更新乙です!
またまた続きが気になります!!
791 :名無しさん@おーぷん :2015/06/07(日)23:42:26 ID:9kH
乙です
思ったより悲壮感無くて安心した
792 :名無しさん@おーぷん :2015/06/07(日)23:45:12 ID:GCX
上手いよなぁ、マッチ売りと同じようにしないってのが。パターンがあって面白い
793 :名無しさん@おーぷん :2015/06/07(日)23:49:26 ID:64E
>>1さん乙です!
今日は人魚姫が最高にナイスなキャラだと思えました…
とにかくカッコ良かったです!!
消えたのが寂しいけど、マッチ売りちゃんのような悲しさを感じず、すっきりしていたのが良かったです
次回作でも頭巾で呼んで、赤鬼と赤ずきんちゃんのお助けキャラとして出して下さい(お願いします)
次回は最終回…
内心はとても寂しいですが、更新を楽しみに待ってます!!
812 :◆oBwZbn5S8kKC :2015/06/14(日)22:46:59 ID:UFH
シンデレラの世界 町はずれ
ヒュンッ
赤ずきん「……間一髪、だったわね」スタッ
赤鬼「あぁ、もう一歩遅れていればドロシーの攻撃をまともに受けていた。だがこうして無事に逃げられたんだ、まずは一安心だな」ガハハ
人魚姫の声『でもさー、あの娘めっちゃキレてたよ?なんか不思議な魔法使ってたし追いかけてくるんじゃない?」』
赤ずきん「それは大丈夫でしょう。おそらく私達がどの世界に逃げたか解らなかったでしょうし…」
赤鬼「あの怒りようじゃあ、逃げた先が解ってるなら迷わず追いかけてくるだろうからな」
赤ずきん「彼女も世界移動の手段を持っている、来ないという事はそういう事よ。ドロシー達にも目的はあるのだから私達だけに固執できないでしょうしね」
人魚姫の声『ふーん?なんか良くわかんないけど……とりあえず大丈夫って感じ?』
赤ずきん「とりあえずはね。それにこの世界なら万が一何か起きても協力を頼める王妃と魔法使いがいるもの」
人魚姫の声『二人の友達がいるって事かー、どんな友達なわけ?人間の友達?それとも鬼ー?』ヘラヘラ
赤ずきん「人間よ。優しくて綺麗なシンデレラという名前の王妃がいてね。彼女は駆ければ騎馬よりも速いし跳ねれば屋根より高く跳ねるのよ」フフッ
人魚姫の声『は?なにそれ!?人間じゃないじゃん!っていうかわたしを騙してるんじゃない?からかおうっていう作戦っしょ?』
赤ずきん「事実よ、あなたを騙す事に何の意味があるのかしら」クスクス
赤鬼「人魚姫、魔法具だ魔法具。シンデレラはガラスの靴っていう脚力が跳ね上がる魔法具を持ってるんだよ」ガハハ
人魚姫の声『もー、まぎらわしいんですけど!赤ずきんの言い方だと普通に出来るみたいな言い方だったじゃーん!』ヘラヘラ
赤ずきん「あら、そんなつもりはなかったのだけどね」クスクス
813 :◆oBwZbn5S8kKC :2015/06/14(日)22:48:53 ID:UFH
赤鬼「しかし、驚いたぞ人魚姫!すっかり消えちまったとばかり思ってたが、またこうして話せるとはな!」ガハハ
人魚姫の声『あははっ、一番びっくりしてんのは私だけどねー?私って泡になって消えるはずじゃん?あの魔法使いが魔法失敗したとかそーいうことなの?』
赤ずきん「そうじゃないわ、覚えてる?あなたが声を失ったとき、私達に思念を伝えられる魔法を掛けてもらったでしょう?」
赤鬼「そうだったな、確かおしゃべり裸王くんを対価にしたんだったか。オイラ達じゃあ人魚姫の声を取り返す対価は用意できなかったからな」
赤ずきん「そうよ。人魚姫は呪いで泡になって消えたけど……命を失ったわけじゃない、元々のおとぎ話の筋書き通り空気の精霊になったのよ。だから姿は誰にも見えない、誰にもあなたの声を聞く事も出来ないけれどね」
人魚姫の声『ふーん?わたしにはちゃんと二人が見えるし声も聞こえるからあんまり実感ないけどさ』
赤ずきん「そうね、私たちには見えなくてもあなたは確かにそこに居る。だからあなたの伝えたい言葉は私達に伝わるのよ」
人魚姫の声『んー?難しい事とかよくわかんないけどさ、姿が見えなくなってもわたしはここにいるしさ、二人に私の声が聞こえる。これは現実なわけじゃん?』
人魚姫の声『だったらもうすっごく嬉しい事っしょ!本当なら二人と話なんかできないのに、わたしってさマジでラッキーだよねー?』ヘラヘラ
赤ずきん「ラッキーという表現は……正しいのかしら?微妙に間違っている気もするけれど」
赤鬼「細かい事は良いだろう、なんにしろ嬉しい事には変わりねぇってことだ!オイラも嬉しいぞ!」ガハハ
赤ずきん「まぁ、それは私もだけどね」フフッ
人魚姫の声『あははっ、でも普通は死んじゃったら生きてる人と話なんかできないもんなのにさ、わたしだけちょっとズルいかもしんないけど』ヘラヘラ
赤鬼「ガハハ、お前は別に死んだってわけじゃねぇんだから気にする事じゃねぇさ。ところで人魚姫、人魚の国のイザコザは解決したのか?実はそれが気がかりでな…」
人魚姫の声『そっかそっか、バタバタしてて言う暇なかったしね、えっとねー……』
・・・
814 :◆oBwZbn5S8kKC :2015/06/14(日)22:50:50 ID:UFH
・・・
赤ずきん「……なるほどね、人魚王は投獄されて新たな王はお姉さんが務めるのね」
人魚姫の声『そうそう、姉ちゃんならまぁなんとかなるかなって思ってる。ちょこっとだけ心配もあっけどねー』
赤鬼「しかし、人魚王は投獄か……てっきり処刑されるもんだと思ってたがな」
人魚姫の声『うーん、わたしは無理だって言ったけど姉ちゃんは心のどっかでまだあの親父の事信じてるんだろうね、改心するって思ってるみたい』
赤ずきん「どうなのかしら、あの王が改心……?」
人魚姫の声『私は、無理だと思ってるけどね。あいつのやった事が悪い事って思っててもやっぱり親父の事好きなのかなー?…それが原因で面倒な事にならなきゃいいけどさ』
赤鬼「まぁ例え面倒な事になったとしても、それも新しい王への試練ってもんだろう」
赤鬼「王になると宣言してすぐに完璧な王になんかされないさ、人魚王への処遇に不満を持つ奴らが居るならそれに対応して処遇を見直すのもお前の姉の仕事だろうな」
人魚姫の声『まあさ、一筋縄ではいかないと思うけど…姉ちゃんならなんとか解決できるっしょ、うん、わたしは信じてる』
赤ずきん「ところで人魚姫、あなたはどうするつもりなの?」
人魚姫の声『どうするって?なにが?』
赤ずきん「あなたまで巻き込んでこの世界へ来たけれど、すぐにでもあなたが居た世界へ戻る?ドロシー達もあそこに長居はしないでしょうし、戻りたいのならいつだって送り届けるけれど」
人魚姫の声『あー、そのことなんだけどさー』
人魚姫の声『わたしも赤ずきん達の旅について行こうかなって思うんだけどさ…どーかな?』
815 :◆oBwZbn5S8kKC :2015/06/14(日)22:52:56 ID:UFH
赤ずきん「あなたが…私達の旅に?」
人魚姫の声『そうそう!今の私は空気の精霊だからさ、いろいろ二人の役に立てると思うんだよねー?』
赤ずきん「確かに、さっきはあなたのおかげで危機を脱したものね。それに視界が悪い場所でもあなたの誘導があれば私のマスケットは敵を撃ち抜く事が出来るかも…」
人魚姫の声『そうっしょ?わたしマジで二人の応援したいんだよね!二人はわたしのこといろいろ助けてくれて夢を応援してくれたじゃん?だからさ、今度はこっちの番ってわけ!二人の手伝いなんだってするかんね!』ヘラヘラ
赤鬼「嬉しい事を言ってくれるじゃないか…なぁ、そう思わないか赤ずきん?」
赤ずきん「ええ、だけど……私は少し不安ね」
人魚姫の声『えーっ?なに?わたしが二人の足を引っ張るとか思ってんの?』
赤ずきん「違うわよ。あなたと一緒に旅ができるのなら戦力的にも助かるし、一緒に旅が出来る事は私にとってもとても嬉しい事よ。でも、やっぱり危険よ」
赤ずきん「あなたの姿は私達にも見えないのだし、はぐれたら探しようがないもの。今の私ではあなたを守りながら戦うなんてできない…だから無責任に一緒に旅をしたいなんて私には…言えない」
人魚姫の声『なんかもー硬いよねー赤ずきんは。わたしは別に守ってなんて言わないっての、もっと軽く考えれば良いじゃーん』
赤ずきん「軽くというけどね、あなたは人魚として死ななかったから空気の精霊になったけれど不死身というわけではないのでしょう?何が起きるかわからない旅なのだから軽々しい決断をするのは……」
赤鬼「お前の考えも理解できるから軽く考えろとは言わないけどな…オイラは賛成だぞ?大変な旅だが大勢の方がいいじゃねぇか」ガハハ
人魚姫の声『なんかさー、そこまで拒否られるとへこむんですけど?』
赤ずきん「拒否じゃないのよ、私だってあなたと一緒に居たい。それとは別に危険だという話をしているの。さっきのドロシーとの戦いだって王との戦いだって私達は劣勢だったのよ?友達を危険にさらすのは…」
人魚姫の声『じゃあ聴き方変えるよ。もしかして、赤ずきんはわたしの事嫌いなわけ?』ニヤニヤ
赤ずきん「……っ」
人魚姫の声『ねぇねぇ、どうなわけー?』ニヤニヤ
赤ずきん「そういう質問はずるいんじゃないかしら…?」
816 :◆oBwZbn5S8kKC :2015/06/14(日)22:54:55 ID:UFH
赤ずきん「…わかったわ、私が気を張れば済むだけだもの」
赤鬼「深く考えるな赤ずきん、もしも何かあったらその時全力で対処すりゃあいいだけだ。ドロシーとの戦いは一先ず脱したんだから、肩の力を抜けばいい」ガハハ
赤ずきん「あなた達はもう少し肩の力を入れた方がいいと思うわよ?……まぁ、でもそうね。大変な旅になるけれど、私達と一緒に行きましょう、人魚姫」ニコッ
人魚姫の声『うんうん!それじゃあ決定ね!よーっし、わたしマジでやっちゃうかんね?赤ずきんの目標も赤鬼の夢もまとめて手伝っちゃうかんね!』ヒューッ
赤鬼「ガハハ、姿が見えなくなっても賑やかな所は変わらねぇな!オイラ達も四人旅、賑やかな奴がいた方が楽しいもんな」ガハハ
鬼神『待て青二才。俺を数に入れるんじゃねぇ』ゴゴゴ
赤鬼「いいじゃねぇか。今まではお前を厄介な奴だと思っていたところもあったがな、今回はお前と話す機会も多かったしオイラにとっちゃお前だって旅の仲間さ」
鬼神『……くだらん』フンッ
赤鬼「素直じゃねぇなぁ…」ガハハ
赤ずきん「あなたと鬼神の間にも変化があった…と思ってもいいのかしら?」
赤鬼「少なくともオイラは良い方に変化があったと思ってるけどな、今回の旅は…いろいろと考えさせられる事が多かったが得たものも多かった」
赤ずきん「そうね、魔法具に必要な『人魚姫の鱗』は手に入ったし【人魚姫】のおとぎ話も消えなかった。それに賑やかで素敵な友達が出来た。それと、私は自分を見つめ直す事も出来たし、あなたと同じで私にとっても実りのある旅だったわ」
817 :◆oBwZbn5S8kKC :2015/06/14(日)22:56:37 ID:UFH
赤鬼「おう、だが旅はこれからも続くんだ。オイラと赤ずきんと鬼神と人魚姫の旅がな、ここらで気合い入れ直さないとな」ガハハ
赤ずきん「そうね……魔法使いに魔法具を作ってもらわなきゃいけないし、次のおとぎ話にも行かなければいけない。突然別人のようにおとなしくなったドロシーの事も気になるしね」
赤鬼「ああ、やる事はしこたまあるからな…だがまぁ、人魚姫が旅の仲間に加わった事を祝うくらいの時間はある、今日はひとつ祝いの席を設けようじゃねぇか」ガハハ
赤ずきん「少し悠長な気もするけど…けれどそういう気持ちの余裕も必要かもね」
人魚姫の声『えっなになに?パーティーすんの?わたし食べたり飲んだり出来ないけど、楽しい雰囲気になんのは良い事じゃん!賛成賛成!』ヘラヘラ
赤鬼「そうだな、楽しい事は良い事だ!どんな時でも全力の本気でやってたらいざって言う時体がもたないからな!」ガハハ
赤ずきん「そうね、でもその前に…私には行かなければいけないところがあるのよ」
人魚姫の声『なになに?なんか用事なわけ?』
赤ずきん「今回、少し頼らせてもらった人が居てね…だから雪の女王にお礼と報告を済ませておきたいのよ。大丈夫、すぐに戻るわ」
赤鬼「一人で行くのか?なんだったらオイラ達も行くぞ?お前、雪の女王の事少し苦手じゃなかったか?」
赤ずきん「あの子供好きなところはね…でも平気よ、一人で大丈夫。心配しないで」
赤鬼「そりゃあいいが…裸王のとこでは一悶着あったから心配だな…」
818 :◆oBwZbn5S8kKC :2015/06/14(日)22:58:18 ID:UFH
人魚姫の声『赤鬼、そういうときはこうやって言えばいいんじゃね?ねぇ赤ずきんはわたし達と一緒に行きたくないって事なわけ?もしかして赤ずきんはわたし達の事嫌いなわけ?ってさ』ニヤニヤ
赤ずきん「あなたねぇ…そのセリフ使えば私が絶対断れないとでも思ってるの…?」キッ
人魚姫の声『あはは、思ってるけどー?赤ずきんはそういうところ素直になれないかんねー』ヘラヘラ
赤ずきん「……」
赤鬼「こらこら人魚姫、あんまりからかってやるなよ。赤ずきんが大丈夫って言うならオイラ達が心配するのも変な話だ、今回はお前一人で……」
赤ずきん「私は人魚姫の事も、赤鬼の事も好きよ」フイッ
赤ずきん「…でも女王の所へは一人で行くわね」スタスタ
人魚姫『あー、いっちゃったねー。でもよかったじゃん、わたし達の事好きだってさ』ヘラヘラ
赤鬼「おいおい、少しからかい過ぎじゃないか?あいつも変な意地張って律儀に答えなくてもいいだろうに…」
人魚姫の声『変な意地ー?私にはそうは見えなかったんですけどー?』
赤鬼「そうか?お前がからかい過ぎるから意地になって答えたんじゃないのか?」
人魚姫の声『わたしにはさ、言いたいけど言えない事をわたしがからかった事をうまく利用して口に出したように見えたけどね』クスクス
赤鬼「よくわからんが、照れ隠しというかそういうもんか…?」
人魚姫の声『そんなとこかなー……でもあれさぁ、言った後に逃げるように行っちゃうのはずるくない?』ヘラヘラ
人魚姫の声『わたし達もだよって言ったげたかったのにさー、まぁこれからはいつだって一緒だしいつでも言えっから今度でもいーけどさ』クスクス
819 :◆oBwZbn5S8kKC :2015/06/14(日)22:59:37 ID:UFH
雪の女王の世界 雪の女王の宮殿
ビュオオオオォォォォ
赤ずきん(…本当に、人魚姫には困ったものね。あんな風にからかってくるんだもの)
赤ずきん(でも、彼女と旅ができるのは素直にうれしいし、今回の旅は…とても得るものが多い旅だった)
赤ずきん(私の弱い部分…精神的な弱さや視野の狭さ、焦りや見当違いな強さの定義。そして私が強くなるために気がつかなければいけないもの……私の武器、私の強み、今の私には仲間がいる事……)
赤ずきん(今回の旅でそれに気がついた。いいえ、気がつかせてくれたのは他でもない……雪の女王。雪の女王のおかげで私はもっと、もっと強くなれる)
赤ずきん(一言お礼を言いたい。それに【人魚姫】のおとぎ話の行方について相談に乗ってもらったのだし、その報告もしなければね)
コンコンッ
……ガチャッ
カイ「おう…誰かと思えば、赤ずきんじゃねぇか。どうした?」
赤ずきん「連絡もせずに訪ねてごめんなさい。この間、雪の女王に相談に乗ってもらった件がひと段落ついたから報告に来たのだけど」
カイ「そりゃあご苦労な事だが、女王は何日か前から出かけていていつ帰ってくるかはわからねぇんだ」
赤ずきん「それは残念ね…タイミングが悪かったかしら」
カイ「何か伝言があれば聞いてやるけど?まぁこんなところで立ち話もなんだ、入れよ。つっても宮殿の中も寒いけどな、温かい茶ぐらい出してやるぜ?」
赤ずきん「ありがとう。でも遠慮しておくわね、また日をあらためて……でも、確かここには書庫があったかしら…?」
カイ「書庫がどうかしたか?あるぜ、あいつが収集した小難しいのやら子供向けの絵本やらいろんな本が並ぶ立派な奴がな」
赤ずきん「ねぇ、カイ。ひとつお願いしてもいいかしら?」
820 :◆oBwZbn5S8kKC :2015/06/14(日)23:01:14 ID:UFH
雪の女王の宮殿 書庫
ズラーッ
赤ずきん「これは…圧巻ね。物凄い数の書物……」
カイ「なかなかのもんだろ?まぁ俺にとってはベタベタしてきて鬱陶しい女王でも相当な魔法の使い手だからな、知識量は凄まじいぜ。ここにはこの世界以外のおとぎ話や現実世界から仕入れた書物もあるらしいからな」
赤ずきん「現実世界の書物って…雪の女王は頻繁に現実世界へ行っているの?」
カイ「さぁな、だが最近は行ってないんじゃないか?以前はグレーテル達に読んでやる本をよく買いに行ってたけどな」
赤ずきん「グレーテル…確か、ヘンゼルとグレーテルもここに住んでいたのだったわね」
カイ「ああ、女王から聞いたのか…少し前までは五人でここに暮らしてたんだ」
赤ずきん「それが今ではあなたと女王…少し寂しいんじゃない?」
カイ「どーだかな、最近は例の件で客人も多くてな。お前のような奴が入れ替わり立ち替わり来るからおちおち読書もできねぇ。ほら、おとぎ話の絵本はこの辺りの棚だな…最近は誰も使ってないだろうから少し埃っぽいかもしれねぇが」
赤ずきん「他の本棚はキチンと本が収められているのに、この本棚は随分と隙間が目立つわね…これってやっぱり…」
カイ「ああ、お前の想像どおりさ。この棚の本は全て現実世界から買って来た絵本、現実世界でそのおとぎ話が消えればここの絵本も消えていく。昔はお前の絵本【赤ずきん】もあったような気がするが…」
赤ずきん「今は無いわね、当然だけど…」ボソッ
カイ「…さて、俺は読書の続きでもするか。その辺りで適当に本を読んでるから、用事がすんだら声を掛けてくれ」
赤ずきん「ええ、ありがとう。助かったわ、カイ」ニコッ
821 :◆oBwZbn5S8kKC :2015/06/14(日)23:04:29 ID:UFH
赤ずきん「確かに少し埃っぽい……ここにあるのは全て子供向けの絵本だから、ヘンゼル達が居なくなってから誰も触れていないのかしら…?」
赤ずきん「【人魚姫】の絵本は……これね」スッ
赤ずきん「良かった…この本が消えていないという事は【人魚姫】のおとぎ話は無事ということ。彼女が空気の精霊になって物語は結末を迎えたから、もう消えてしまう事はないわね。内容を確認して、それから戻りましょうか」
・・・
人魚姫
ある海の底には平和な人魚の国がありました
その国の王には六人の美しい娘がいました、末娘の人魚姫は一番美しい歌声を持っていました
人魚姫は不思議な歌声を持っていましたが不思議な歌を歌うのは好きではありませんでした
なぜなら人魚は昔から人間に酷い事をされたと聞かされていましたが、姉達が人間への仕返しの為に不思議な歌を使っていたからです
人魚姫はいつか人間と仲良くなれたらいいなと思っていました
ある日、人魚姫には人間の友達ができました。赤頭巾という娘、そして鬼という種族の赤鬼とも仲良くなりました。
友達と過ごすうちに人間と仲良くしたいという気持ちは強くなり、人魚姫の15歳の誕生日、人魚姫は船に乗っていた王子様を好きになりました
しかし、人間が嫌いな姉はその船を襲ってしまいました。船は沈んでしまいますが、人魚姫と赤頭巾、赤鬼達は一生懸命乗客を助けました
人魚姫は沈んでしまいそうになっていた王子様を助けて海岸まで運びました。
そのせいで人魚の国は大騒ぎ、人魚姫は人魚の追ってから逃げるため…そして大好きな王子様の為に魔女に頼んで美しい声と足を引き換えにしました、それも王子と結婚できないと泡になってしまうという呪いでした
人魚姫はまるで人間のようになりましたが喋る事ができません。船の乗客を助けたお礼にお城に招かれましたが、王子様に真実を伝える事ができません
そこにはあの日海岸に王子を運んだあとに王子様を介抱してくれた娘がいました。そのおさげ髪の娘は人魚姫の代わりに真実を王子に伝えました。
王子様は大喜び、人魚姫と王子様はすぐに仲良くなり愛し合いました。
822 :◆oBwZbn5S8kKC :2015/06/14(日)23:04:39 ID:UFH
しかし、おもしろくないのは人魚の王様でした。王様は自分が人魚を殺したのにそれを人間のせいにして、自分の国を平和にしていたのです
不思議な歌の力を持つ人魚姫が人間と仲良くしては王様は都合が悪いのです、でも王様がそんな事をしているとはだれも知りません
王様は人間から人魚姫を取り戻すといって人間達を襲うつもりでいました。
けれど一番上のお姉さんが人魚姫に人魚の国で起こっている事をそっと教えました。王様につかまれば酷い事をされるに違いない、だから人魚になって帰ってきて欲しいと言って、魔女に美しい髪の毛と交換した魔法の短剣を渡しました
その短剣で王子を刺せば、人魚姫は人魚に戻れます。でも人魚姫はそうしませんでした。王子の大切な国を守るために赤頭巾と赤鬼と一緒に、人魚の王様を追い払ったのです
しかし、人魚の王様のしていた悪い事が全てばれてしまい、このままでは人魚の国は平和ではなくなってしまいます
人魚姫の願い事は人間と人魚が平和に暮らすことだったので、人魚の国が無くなってしまうのも人間を誤解したままなのも悲しい事でした。けれど人魚の国を幸せにするためには人魚姫は王子と結婚せず国へ戻らなければなりませんでした
考えた末、人魚姫は王子との結婚をあきらめました
自分がもっと幸せになるよりも大好きな王子様や人魚のみんなが幸せになる方が人魚姫にとって嬉しい事でした
海底でみんなを説得した後、人魚姫は友達の二人にあうために海を泳いでいました
けれど人魚姫の体はどんどん消えていき、やがて泡になって消えてしまいました
でも人魚姫は悲しくありませんでした。みんなが仲良くなれると、みんなが幸せになれると信じていたからです。
心優しい恋する人魚は、みんなの幸せを願って泡になり
やがて空気の精霊となって空へと昇って行きました
おしまい
・・・
ライオン「ど、どうする!?もう合流しちゃったよ!?」
ドロシー「…じゃあもういいや、戻っておいでライオン。ブリキもお疲れー、二人にこんなところで怪我させるのもやだしねー」
ブンブンブオンッ バサァァー
赤鬼「さぁて、これでようやく視界が広くなったぞ…!」
赤ずきん「ええ、もうしばらく花を見るのは勘弁願いたいわね」
ドロシー「金棒で花びらを振り散らしての登場かー、かっこいいじゃん赤鬼ー!」ヒューヒュー
赤鬼「随分と厄介な魔法具だ、鬼神も少しは苦戦したんじゃねぇか?」
鬼神『無駄口を叩くな、あの小娘に集中していろ』
ドロシー「で?逃げなくてもいいわけ?私としてはさ、今さいっこーにイライラしてるから相手してやってもいいよ?死ぬけどさ、お前達」カツンカツン
赤ずきん「…私はまだ子供だけれど、鬼ヶ島であなたが出会った私よりは成長してる」
ドロシー「んー?…何が言いたいのかな?ドロシーちゃんには解りかねますケド」
赤ずきん「そのままの意味よ、私は一人じゃないと知ったし強くなる方法を間違えていたとも知った……焦りすぎていた事もね」
赤ずきん「だから私は焦らない。今はあなたと戦わない。あなたを倒すという目的を達するには大きな回り道になってしまうけれど。この回り道は…花を摘むための寄り道じゃない」
赤ずきん「あなたを確実に倒すための回り道よ。だから、いずれあなたは出会う事になる」
ドロシー「誰とかな?寄り道して食い殺される哀れな赤ずきんちゃんにかな?」クスクス
赤ずきん「いいえ、私の武器が何か忘れたの?私の武器はマスケット、言わば私は狼を根絶やしにする狩人……」
赤ずきん「それならあなたはさしずめ、満腹に気分を良くしているオオカミね。せいぜいお腹に石を詰められないようになさいね」フフッ
786 :◆oBwZbn5S8kKC :2015/06/07(日)23:10:58 ID:ffb
ドロシー「お前に腹を裂かれるほど私は間抜けじゃないし、くだらない問答をいつまでも続けられるほど私は我慢強くないけどね…!」カツンカツン
赤鬼「おい、もう良いだろう?あいつの気迫……本物だぞ?」
赤ずきん「付き合わせて悪かったわ、行きましょう」
ドロシー「あれだけ好き放題言ってサヨナラってちょーっと虫がよすぎるよ赤ずきんちゃーん?」クスクス
ヒュッ
ズダーンッ
ドロシー「あははぁ!当てる気ないの?今の威嚇射撃でしょ!そんな手加減してていいのかなぁ!」ビュオッ
赤ずきん「言いたい事だけ言って逃げるなんて少しずるいけれど…今言った通りよ、今は戦うつもりがない」ガチャッ
ドロシー「あんたにそのつもりが無くてもさ!私にはあんたをぶち殺すつもり大ありなんだよね……!」カツンカツン
ドロシー「なんで私におとぎ話消された雑魚ずきんちゃんがさぁ、私を出し抜こうとかしてんの?わたしさぁ、そういうのさぁ……」
ドロシー「詐欺師と同じくらい大っ嫌いなんだよね!!」ビュオッ
赤ずきん「ずきんよずきん、私達を……の世界へ連れて行って頂戴…!」
ビュオッ
ヒュン
海底の魔女「……ギリギリの所だったが、逃げられてしまったな?」
ドロシー「……」ギリッ
ブリキ「もう終いだ、アリスの所へ行こう。な?」
ドロシー「……解った」ガジガジ
ライオン「そ、そうだよ。今回は別に赤ずきんちゃん達を倒すのが目的じゃないから大丈夫だよ!ね!元気出してよドロシーちゃ……」
かかし「ライオン、やめておケ……ドロシーが爪を噛んでル。知っているだロ?ああなったらもう駄目だ、手がつけられないくらいの不機嫌ダ」
ライオン「……うん、でも心配だよ」ショボン
ドロシー「……」ガジガジ
787 :◆oBwZbn5S8kKC :2015/06/07(日)23:14:07 ID:ffb
今日はここまでです
ちょっとわかりにくいとこ補足
泡と消え、空気の精霊になった人魚姫は誰にもその姿を見ることができません
けれど海底の魔女の魔法で二人は人魚姫の気持ちを受け取ることができます
人魚姫編 次回最終話予定です
788 :名無しさん@おーぷん :2015/06/07(日)23:25:37 ID:ksg
よーし読んだぞ!次回も期待しています!
789 :名無しさん@おーぷん :2015/06/07(日)23:40:14 ID:NqN
メルヘンな世界が多いからたまにはダークな雰囲気の世界に行くのもいいかも。セロ弾きのゴーシュが話に出てたからドラキュラの世界なんて面白いかもな。
かなり話が難しそうだが
更新乙です!
またまた続きが気になります!!
791 :名無しさん@おーぷん :2015/06/07(日)23:42:26 ID:9kH
乙です
思ったより悲壮感無くて安心した
792 :名無しさん@おーぷん :2015/06/07(日)23:45:12 ID:GCX
上手いよなぁ、マッチ売りと同じようにしないってのが。パターンがあって面白い
793 :名無しさん@おーぷん :2015/06/07(日)23:49:26 ID:64E
>>1さん乙です!
今日は人魚姫が最高にナイスなキャラだと思えました…
とにかくカッコ良かったです!!
消えたのが寂しいけど、マッチ売りちゃんのような悲しさを感じず、すっきりしていたのが良かったです
次回作でも頭巾で呼んで、赤鬼と赤ずきんちゃんのお助けキャラとして出して下さい(お願いします)
次回は最終回…
内心はとても寂しいですが、更新を楽しみに待ってます!!
812 :◆oBwZbn5S8kKC :2015/06/14(日)22:46:59 ID:UFH
シンデレラの世界 町はずれ
ヒュンッ
赤ずきん「……間一髪、だったわね」スタッ
赤鬼「あぁ、もう一歩遅れていればドロシーの攻撃をまともに受けていた。だがこうして無事に逃げられたんだ、まずは一安心だな」ガハハ
人魚姫の声『でもさー、あの娘めっちゃキレてたよ?なんか不思議な魔法使ってたし追いかけてくるんじゃない?」』
赤ずきん「それは大丈夫でしょう。おそらく私達がどの世界に逃げたか解らなかったでしょうし…」
赤鬼「あの怒りようじゃあ、逃げた先が解ってるなら迷わず追いかけてくるだろうからな」
赤ずきん「彼女も世界移動の手段を持っている、来ないという事はそういう事よ。ドロシー達にも目的はあるのだから私達だけに固執できないでしょうしね」
人魚姫の声『ふーん?なんか良くわかんないけど……とりあえず大丈夫って感じ?』
赤ずきん「とりあえずはね。それにこの世界なら万が一何か起きても協力を頼める王妃と魔法使いがいるもの」
人魚姫の声『二人の友達がいるって事かー、どんな友達なわけ?人間の友達?それとも鬼ー?』ヘラヘラ
赤ずきん「人間よ。優しくて綺麗なシンデレラという名前の王妃がいてね。彼女は駆ければ騎馬よりも速いし跳ねれば屋根より高く跳ねるのよ」フフッ
人魚姫の声『は?なにそれ!?人間じゃないじゃん!っていうかわたしを騙してるんじゃない?からかおうっていう作戦っしょ?』
赤ずきん「事実よ、あなたを騙す事に何の意味があるのかしら」クスクス
赤鬼「人魚姫、魔法具だ魔法具。シンデレラはガラスの靴っていう脚力が跳ね上がる魔法具を持ってるんだよ」ガハハ
人魚姫の声『もー、まぎらわしいんですけど!赤ずきんの言い方だと普通に出来るみたいな言い方だったじゃーん!』ヘラヘラ
赤ずきん「あら、そんなつもりはなかったのだけどね」クスクス
813 :◆oBwZbn5S8kKC :2015/06/14(日)22:48:53 ID:UFH
赤鬼「しかし、驚いたぞ人魚姫!すっかり消えちまったとばかり思ってたが、またこうして話せるとはな!」ガハハ
人魚姫の声『あははっ、一番びっくりしてんのは私だけどねー?私って泡になって消えるはずじゃん?あの魔法使いが魔法失敗したとかそーいうことなの?』
赤ずきん「そうじゃないわ、覚えてる?あなたが声を失ったとき、私達に思念を伝えられる魔法を掛けてもらったでしょう?」
赤鬼「そうだったな、確かおしゃべり裸王くんを対価にしたんだったか。オイラ達じゃあ人魚姫の声を取り返す対価は用意できなかったからな」
赤ずきん「そうよ。人魚姫は呪いで泡になって消えたけど……命を失ったわけじゃない、元々のおとぎ話の筋書き通り空気の精霊になったのよ。だから姿は誰にも見えない、誰にもあなたの声を聞く事も出来ないけれどね」
人魚姫の声『ふーん?わたしにはちゃんと二人が見えるし声も聞こえるからあんまり実感ないけどさ』
赤ずきん「そうね、私たちには見えなくてもあなたは確かにそこに居る。だからあなたの伝えたい言葉は私達に伝わるのよ」
人魚姫の声『んー?難しい事とかよくわかんないけどさ、姿が見えなくなってもわたしはここにいるしさ、二人に私の声が聞こえる。これは現実なわけじゃん?』
人魚姫の声『だったらもうすっごく嬉しい事っしょ!本当なら二人と話なんかできないのに、わたしってさマジでラッキーだよねー?』ヘラヘラ
赤ずきん「ラッキーという表現は……正しいのかしら?微妙に間違っている気もするけれど」
赤鬼「細かい事は良いだろう、なんにしろ嬉しい事には変わりねぇってことだ!オイラも嬉しいぞ!」ガハハ
赤ずきん「まぁ、それは私もだけどね」フフッ
人魚姫の声『あははっ、でも普通は死んじゃったら生きてる人と話なんかできないもんなのにさ、わたしだけちょっとズルいかもしんないけど』ヘラヘラ
赤鬼「ガハハ、お前は別に死んだってわけじゃねぇんだから気にする事じゃねぇさ。ところで人魚姫、人魚の国のイザコザは解決したのか?実はそれが気がかりでな…」
人魚姫の声『そっかそっか、バタバタしてて言う暇なかったしね、えっとねー……』
・・・
814 :◆oBwZbn5S8kKC :2015/06/14(日)22:50:50 ID:UFH
・・・
赤ずきん「……なるほどね、人魚王は投獄されて新たな王はお姉さんが務めるのね」
人魚姫の声『そうそう、姉ちゃんならまぁなんとかなるかなって思ってる。ちょこっとだけ心配もあっけどねー』
赤鬼「しかし、人魚王は投獄か……てっきり処刑されるもんだと思ってたがな」
人魚姫の声『うーん、わたしは無理だって言ったけど姉ちゃんは心のどっかでまだあの親父の事信じてるんだろうね、改心するって思ってるみたい』
赤ずきん「どうなのかしら、あの王が改心……?」
人魚姫の声『私は、無理だと思ってるけどね。あいつのやった事が悪い事って思っててもやっぱり親父の事好きなのかなー?…それが原因で面倒な事にならなきゃいいけどさ』
赤鬼「まぁ例え面倒な事になったとしても、それも新しい王への試練ってもんだろう」
赤鬼「王になると宣言してすぐに完璧な王になんかされないさ、人魚王への処遇に不満を持つ奴らが居るならそれに対応して処遇を見直すのもお前の姉の仕事だろうな」
人魚姫の声『まあさ、一筋縄ではいかないと思うけど…姉ちゃんならなんとか解決できるっしょ、うん、わたしは信じてる』
赤ずきん「ところで人魚姫、あなたはどうするつもりなの?」
人魚姫の声『どうするって?なにが?』
赤ずきん「あなたまで巻き込んでこの世界へ来たけれど、すぐにでもあなたが居た世界へ戻る?ドロシー達もあそこに長居はしないでしょうし、戻りたいのならいつだって送り届けるけれど」
人魚姫の声『あー、そのことなんだけどさー』
人魚姫の声『わたしも赤ずきん達の旅について行こうかなって思うんだけどさ…どーかな?』
815 :◆oBwZbn5S8kKC :2015/06/14(日)22:52:56 ID:UFH
赤ずきん「あなたが…私達の旅に?」
人魚姫の声『そうそう!今の私は空気の精霊だからさ、いろいろ二人の役に立てると思うんだよねー?』
赤ずきん「確かに、さっきはあなたのおかげで危機を脱したものね。それに視界が悪い場所でもあなたの誘導があれば私のマスケットは敵を撃ち抜く事が出来るかも…」
人魚姫の声『そうっしょ?わたしマジで二人の応援したいんだよね!二人はわたしのこといろいろ助けてくれて夢を応援してくれたじゃん?だからさ、今度はこっちの番ってわけ!二人の手伝いなんだってするかんね!』ヘラヘラ
赤鬼「嬉しい事を言ってくれるじゃないか…なぁ、そう思わないか赤ずきん?」
赤ずきん「ええ、だけど……私は少し不安ね」
人魚姫の声『えーっ?なに?わたしが二人の足を引っ張るとか思ってんの?』
赤ずきん「違うわよ。あなたと一緒に旅ができるのなら戦力的にも助かるし、一緒に旅が出来る事は私にとってもとても嬉しい事よ。でも、やっぱり危険よ」
赤ずきん「あなたの姿は私達にも見えないのだし、はぐれたら探しようがないもの。今の私ではあなたを守りながら戦うなんてできない…だから無責任に一緒に旅をしたいなんて私には…言えない」
人魚姫の声『なんかもー硬いよねー赤ずきんは。わたしは別に守ってなんて言わないっての、もっと軽く考えれば良いじゃーん』
赤ずきん「軽くというけどね、あなたは人魚として死ななかったから空気の精霊になったけれど不死身というわけではないのでしょう?何が起きるかわからない旅なのだから軽々しい決断をするのは……」
赤鬼「お前の考えも理解できるから軽く考えろとは言わないけどな…オイラは賛成だぞ?大変な旅だが大勢の方がいいじゃねぇか」ガハハ
人魚姫の声『なんかさー、そこまで拒否られるとへこむんですけど?』
赤ずきん「拒否じゃないのよ、私だってあなたと一緒に居たい。それとは別に危険だという話をしているの。さっきのドロシーとの戦いだって王との戦いだって私達は劣勢だったのよ?友達を危険にさらすのは…」
人魚姫の声『じゃあ聴き方変えるよ。もしかして、赤ずきんはわたしの事嫌いなわけ?』ニヤニヤ
赤ずきん「……っ」
人魚姫の声『ねぇねぇ、どうなわけー?』ニヤニヤ
赤ずきん「そういう質問はずるいんじゃないかしら…?」
816 :◆oBwZbn5S8kKC :2015/06/14(日)22:54:55 ID:UFH
赤ずきん「…わかったわ、私が気を張れば済むだけだもの」
赤鬼「深く考えるな赤ずきん、もしも何かあったらその時全力で対処すりゃあいいだけだ。ドロシーとの戦いは一先ず脱したんだから、肩の力を抜けばいい」ガハハ
赤ずきん「あなた達はもう少し肩の力を入れた方がいいと思うわよ?……まぁ、でもそうね。大変な旅になるけれど、私達と一緒に行きましょう、人魚姫」ニコッ
人魚姫の声『うんうん!それじゃあ決定ね!よーっし、わたしマジでやっちゃうかんね?赤ずきんの目標も赤鬼の夢もまとめて手伝っちゃうかんね!』ヒューッ
赤鬼「ガハハ、姿が見えなくなっても賑やかな所は変わらねぇな!オイラ達も四人旅、賑やかな奴がいた方が楽しいもんな」ガハハ
鬼神『待て青二才。俺を数に入れるんじゃねぇ』ゴゴゴ
赤鬼「いいじゃねぇか。今まではお前を厄介な奴だと思っていたところもあったがな、今回はお前と話す機会も多かったしオイラにとっちゃお前だって旅の仲間さ」
鬼神『……くだらん』フンッ
赤鬼「素直じゃねぇなぁ…」ガハハ
赤ずきん「あなたと鬼神の間にも変化があった…と思ってもいいのかしら?」
赤鬼「少なくともオイラは良い方に変化があったと思ってるけどな、今回の旅は…いろいろと考えさせられる事が多かったが得たものも多かった」
赤ずきん「そうね、魔法具に必要な『人魚姫の鱗』は手に入ったし【人魚姫】のおとぎ話も消えなかった。それに賑やかで素敵な友達が出来た。それと、私は自分を見つめ直す事も出来たし、あなたと同じで私にとっても実りのある旅だったわ」
817 :◆oBwZbn5S8kKC :2015/06/14(日)22:56:37 ID:UFH
赤鬼「おう、だが旅はこれからも続くんだ。オイラと赤ずきんと鬼神と人魚姫の旅がな、ここらで気合い入れ直さないとな」ガハハ
赤ずきん「そうね……魔法使いに魔法具を作ってもらわなきゃいけないし、次のおとぎ話にも行かなければいけない。突然別人のようにおとなしくなったドロシーの事も気になるしね」
赤鬼「ああ、やる事はしこたまあるからな…だがまぁ、人魚姫が旅の仲間に加わった事を祝うくらいの時間はある、今日はひとつ祝いの席を設けようじゃねぇか」ガハハ
赤ずきん「少し悠長な気もするけど…けれどそういう気持ちの余裕も必要かもね」
人魚姫の声『えっなになに?パーティーすんの?わたし食べたり飲んだり出来ないけど、楽しい雰囲気になんのは良い事じゃん!賛成賛成!』ヘラヘラ
赤鬼「そうだな、楽しい事は良い事だ!どんな時でも全力の本気でやってたらいざって言う時体がもたないからな!」ガハハ
赤ずきん「そうね、でもその前に…私には行かなければいけないところがあるのよ」
人魚姫の声『なになに?なんか用事なわけ?』
赤ずきん「今回、少し頼らせてもらった人が居てね…だから雪の女王にお礼と報告を済ませておきたいのよ。大丈夫、すぐに戻るわ」
赤鬼「一人で行くのか?なんだったらオイラ達も行くぞ?お前、雪の女王の事少し苦手じゃなかったか?」
赤ずきん「あの子供好きなところはね…でも平気よ、一人で大丈夫。心配しないで」
赤鬼「そりゃあいいが…裸王のとこでは一悶着あったから心配だな…」
818 :◆oBwZbn5S8kKC :2015/06/14(日)22:58:18 ID:UFH
人魚姫の声『赤鬼、そういうときはこうやって言えばいいんじゃね?ねぇ赤ずきんはわたし達と一緒に行きたくないって事なわけ?もしかして赤ずきんはわたし達の事嫌いなわけ?ってさ』ニヤニヤ
赤ずきん「あなたねぇ…そのセリフ使えば私が絶対断れないとでも思ってるの…?」キッ
人魚姫の声『あはは、思ってるけどー?赤ずきんはそういうところ素直になれないかんねー』ヘラヘラ
赤ずきん「……」
赤鬼「こらこら人魚姫、あんまりからかってやるなよ。赤ずきんが大丈夫って言うならオイラ達が心配するのも変な話だ、今回はお前一人で……」
赤ずきん「私は人魚姫の事も、赤鬼の事も好きよ」フイッ
赤ずきん「…でも女王の所へは一人で行くわね」スタスタ
人魚姫『あー、いっちゃったねー。でもよかったじゃん、わたし達の事好きだってさ』ヘラヘラ
赤鬼「おいおい、少しからかい過ぎじゃないか?あいつも変な意地張って律儀に答えなくてもいいだろうに…」
人魚姫の声『変な意地ー?私にはそうは見えなかったんですけどー?』
赤鬼「そうか?お前がからかい過ぎるから意地になって答えたんじゃないのか?」
人魚姫の声『わたしにはさ、言いたいけど言えない事をわたしがからかった事をうまく利用して口に出したように見えたけどね』クスクス
赤鬼「よくわからんが、照れ隠しというかそういうもんか…?」
人魚姫の声『そんなとこかなー……でもあれさぁ、言った後に逃げるように行っちゃうのはずるくない?』ヘラヘラ
人魚姫の声『わたし達もだよって言ったげたかったのにさー、まぁこれからはいつだって一緒だしいつでも言えっから今度でもいーけどさ』クスクス
819 :◆oBwZbn5S8kKC :2015/06/14(日)22:59:37 ID:UFH
雪の女王の世界 雪の女王の宮殿
ビュオオオオォォォォ
赤ずきん(…本当に、人魚姫には困ったものね。あんな風にからかってくるんだもの)
赤ずきん(でも、彼女と旅ができるのは素直にうれしいし、今回の旅は…とても得るものが多い旅だった)
赤ずきん(私の弱い部分…精神的な弱さや視野の狭さ、焦りや見当違いな強さの定義。そして私が強くなるために気がつかなければいけないもの……私の武器、私の強み、今の私には仲間がいる事……)
赤ずきん(今回の旅でそれに気がついた。いいえ、気がつかせてくれたのは他でもない……雪の女王。雪の女王のおかげで私はもっと、もっと強くなれる)
赤ずきん(一言お礼を言いたい。それに【人魚姫】のおとぎ話の行方について相談に乗ってもらったのだし、その報告もしなければね)
コンコンッ
……ガチャッ
カイ「おう…誰かと思えば、赤ずきんじゃねぇか。どうした?」
赤ずきん「連絡もせずに訪ねてごめんなさい。この間、雪の女王に相談に乗ってもらった件がひと段落ついたから報告に来たのだけど」
カイ「そりゃあご苦労な事だが、女王は何日か前から出かけていていつ帰ってくるかはわからねぇんだ」
赤ずきん「それは残念ね…タイミングが悪かったかしら」
カイ「何か伝言があれば聞いてやるけど?まぁこんなところで立ち話もなんだ、入れよ。つっても宮殿の中も寒いけどな、温かい茶ぐらい出してやるぜ?」
赤ずきん「ありがとう。でも遠慮しておくわね、また日をあらためて……でも、確かここには書庫があったかしら…?」
カイ「書庫がどうかしたか?あるぜ、あいつが収集した小難しいのやら子供向けの絵本やらいろんな本が並ぶ立派な奴がな」
赤ずきん「ねぇ、カイ。ひとつお願いしてもいいかしら?」
820 :◆oBwZbn5S8kKC :2015/06/14(日)23:01:14 ID:UFH
雪の女王の宮殿 書庫
ズラーッ
赤ずきん「これは…圧巻ね。物凄い数の書物……」
カイ「なかなかのもんだろ?まぁ俺にとってはベタベタしてきて鬱陶しい女王でも相当な魔法の使い手だからな、知識量は凄まじいぜ。ここにはこの世界以外のおとぎ話や現実世界から仕入れた書物もあるらしいからな」
赤ずきん「現実世界の書物って…雪の女王は頻繁に現実世界へ行っているの?」
カイ「さぁな、だが最近は行ってないんじゃないか?以前はグレーテル達に読んでやる本をよく買いに行ってたけどな」
赤ずきん「グレーテル…確か、ヘンゼルとグレーテルもここに住んでいたのだったわね」
カイ「ああ、女王から聞いたのか…少し前までは五人でここに暮らしてたんだ」
赤ずきん「それが今ではあなたと女王…少し寂しいんじゃない?」
カイ「どーだかな、最近は例の件で客人も多くてな。お前のような奴が入れ替わり立ち替わり来るからおちおち読書もできねぇ。ほら、おとぎ話の絵本はこの辺りの棚だな…最近は誰も使ってないだろうから少し埃っぽいかもしれねぇが」
赤ずきん「他の本棚はキチンと本が収められているのに、この本棚は随分と隙間が目立つわね…これってやっぱり…」
カイ「ああ、お前の想像どおりさ。この棚の本は全て現実世界から買って来た絵本、現実世界でそのおとぎ話が消えればここの絵本も消えていく。昔はお前の絵本【赤ずきん】もあったような気がするが…」
赤ずきん「今は無いわね、当然だけど…」ボソッ
カイ「…さて、俺は読書の続きでもするか。その辺りで適当に本を読んでるから、用事がすんだら声を掛けてくれ」
赤ずきん「ええ、ありがとう。助かったわ、カイ」ニコッ
821 :◆oBwZbn5S8kKC :2015/06/14(日)23:04:29 ID:UFH
赤ずきん「確かに少し埃っぽい……ここにあるのは全て子供向けの絵本だから、ヘンゼル達が居なくなってから誰も触れていないのかしら…?」
赤ずきん「【人魚姫】の絵本は……これね」スッ
赤ずきん「良かった…この本が消えていないという事は【人魚姫】のおとぎ話は無事ということ。彼女が空気の精霊になって物語は結末を迎えたから、もう消えてしまう事はないわね。内容を確認して、それから戻りましょうか」
・・・
人魚姫
ある海の底には平和な人魚の国がありました
その国の王には六人の美しい娘がいました、末娘の人魚姫は一番美しい歌声を持っていました
人魚姫は不思議な歌声を持っていましたが不思議な歌を歌うのは好きではありませんでした
なぜなら人魚は昔から人間に酷い事をされたと聞かされていましたが、姉達が人間への仕返しの為に不思議な歌を使っていたからです
人魚姫はいつか人間と仲良くなれたらいいなと思っていました
ある日、人魚姫には人間の友達ができました。赤頭巾という娘、そして鬼という種族の赤鬼とも仲良くなりました。
友達と過ごすうちに人間と仲良くしたいという気持ちは強くなり、人魚姫の15歳の誕生日、人魚姫は船に乗っていた王子様を好きになりました
しかし、人間が嫌いな姉はその船を襲ってしまいました。船は沈んでしまいますが、人魚姫と赤頭巾、赤鬼達は一生懸命乗客を助けました
人魚姫は沈んでしまいそうになっていた王子様を助けて海岸まで運びました。
そのせいで人魚の国は大騒ぎ、人魚姫は人魚の追ってから逃げるため…そして大好きな王子様の為に魔女に頼んで美しい声と足を引き換えにしました、それも王子と結婚できないと泡になってしまうという呪いでした
人魚姫はまるで人間のようになりましたが喋る事ができません。船の乗客を助けたお礼にお城に招かれましたが、王子様に真実を伝える事ができません
そこにはあの日海岸に王子を運んだあとに王子様を介抱してくれた娘がいました。そのおさげ髪の娘は人魚姫の代わりに真実を王子に伝えました。
王子様は大喜び、人魚姫と王子様はすぐに仲良くなり愛し合いました。
822 :◆oBwZbn5S8kKC :2015/06/14(日)23:04:39 ID:UFH
しかし、おもしろくないのは人魚の王様でした。王様は自分が人魚を殺したのにそれを人間のせいにして、自分の国を平和にしていたのです
不思議な歌の力を持つ人魚姫が人間と仲良くしては王様は都合が悪いのです、でも王様がそんな事をしているとはだれも知りません
王様は人間から人魚姫を取り戻すといって人間達を襲うつもりでいました。
けれど一番上のお姉さんが人魚姫に人魚の国で起こっている事をそっと教えました。王様につかまれば酷い事をされるに違いない、だから人魚になって帰ってきて欲しいと言って、魔女に美しい髪の毛と交換した魔法の短剣を渡しました
その短剣で王子を刺せば、人魚姫は人魚に戻れます。でも人魚姫はそうしませんでした。王子の大切な国を守るために赤頭巾と赤鬼と一緒に、人魚の王様を追い払ったのです
しかし、人魚の王様のしていた悪い事が全てばれてしまい、このままでは人魚の国は平和ではなくなってしまいます
人魚姫の願い事は人間と人魚が平和に暮らすことだったので、人魚の国が無くなってしまうのも人間を誤解したままなのも悲しい事でした。けれど人魚の国を幸せにするためには人魚姫は王子と結婚せず国へ戻らなければなりませんでした
考えた末、人魚姫は王子との結婚をあきらめました
自分がもっと幸せになるよりも大好きな王子様や人魚のみんなが幸せになる方が人魚姫にとって嬉しい事でした
海底でみんなを説得した後、人魚姫は友達の二人にあうために海を泳いでいました
けれど人魚姫の体はどんどん消えていき、やがて泡になって消えてしまいました
でも人魚姫は悲しくありませんでした。みんなが仲良くなれると、みんなが幸せになれると信じていたからです。
心優しい恋する人魚は、みんなの幸せを願って泡になり
やがて空気の精霊となって空へと昇って行きました
おしまい
・・・
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