キモオタ「我輩がおとぎ話の世界に行くですとwww」ティンカーベル「そう」 人魚姫編
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769 :◆oBwZbn5S8kKC :2015/06/07(日)22:30:54 ID:ffb
髪の短い人魚「…前王、私はあなたに依存し過ぎていたようです。私は今でもあなたが自分自身の為でなく、国民の幸せの為に行動したのだと信じています」
人魚王「貴様、自らの意思で私を王座から引きずり下ろしたというのに勝手な事を……!」
髪の短い人魚「……私には国民を蔑ろにするあなたのやり方が許せません。ですがあなたが獄中で心の底から改心し、もう誰も悲しむことのないそんな国にするために再び王座に就き……今度こそ本当の意味で国民を守るために私に命令を下してくださるのを私は心の隅で願っています」
髪の短い人魚「ですから、獄中でどうか……御自分と向き合ってください。私は王族としてあなたを許せませんが……娘として、優しい心を取り戻される事を願っています、お父様」
人魚王「……おい、兵長。さっさと牢へと案内せよ、出来損ないの兵器の声が傷に障るのだ」
人魚兵長「は、はい。案内いたします」
人魚王「こうなれば私が投獄される事は逃れられん。だが、貴様等のような甘い考えで国を建て直せるなどと思うな」
人魚王「貴様等がどのような政策を立ち上げるのか、そして国民に見捨てられどのように国が崩れていくのか……貴様がこの選択を後悔する様を、獄中から見させてもらうとしよう」フンッ
スゥーッ
人魚姫「姉ちゃん、もうほっとけばいいのに……あいつ改心なんか絶対しないって」
髪の短い人魚「そうはいきません、国民を騙していた事は許せませんが……あんな王でも私のお父様なんですから」
ザワザワ ザワザワ
「しかし…あいつが王を辞めちまったら誰が王をやるんだ!?」
「そりゃあ……長女の姫様だろ?前王には息子がいないし王妃様ももう随分昔に……」
「姫様ー!そこんところどうなってんですかー!」
「新しい王には姫様がなってくれるんですよねー?」
「姫様が国王……つまり女王様か……女王様か……」
ザワザワ ザワザワ ザワザワ
770 :◆oBwZbn5S8kKC :2015/06/07(日)22:33:22 ID:ffb
髪の短い人魚「す、少し待ってください皆さん…!王を牢に入れた以上、確かに次の王が必要です……そしてその役目を担うべきは立場上、私です。ですが……」
髪の短い人魚「前王のやってきた事は先ほどお伝えしたとおりです。前王は罪のない国民や人間達を利用していたんです!そして私もその娘、そして王族なんですよ!?」
髪の短い人魚「国民を騙す王族がいてはいけない、国民を傷つける王族なんていない方がいい。国民の皆さんも今回の件で私達王族に失望しているはずです!あなた方の家族や恋人や友人を殺していたのは王族なんですよ!?」
髪の短い人魚「それなのに何故、私を王にと言ってくださるんですか?」
声のでかい国民「何故…って、姫様はやりたくないんですか?国王になるのは本意ではないと?」
髪の短い人魚「いいえ、私は前王の過ちを繰り返さないよう…持てる力を全て使って国を盛りたてて行くべきだと思います。今、この国をまとめるものがだれもいなければ…私の好きなこの国も皆さんもバラバラになってしまいます」
髪の短い人魚「それは…悲しいです。私は今まで国を無くすのが、国民の皆さんを失うのが嫌でディーヴァとして戦ってきたのです。ディーヴァとしての役割を失ったとしても王になれば皆さんを守れます、だから私は……」
髪の短い人魚「私は王になりたい。でもそれは皆さんが許してくださればの話です、裏切り者の父を持つ姫など王に相応しくないと仰るのでしたら私は…!」
声のでかい国民「姫様が王に相応しくなかったら誰が相応しいんですかー、そうだろ?」ハハハ
「そうですよ姫さまー!何言ってんすかー!姫様はずっと俺達の為に歌ってくれてたじゃないっすか!」
「人間が悪くなかったとしても、私達の為に姫様が戦ってくれたのは事実だものね」
「姫様はいつも傷だらけで俺達の仇を取ってくれてたじゃないか!いや、実際は敵じゃなかったけども」
「どっちにしろ姫様が私達国民の為に行動できる方だってのはみんな知ってるんですよー!」
髪の短い人魚「皆さん…!」ポロポロ
人魚姫「まぁ、そうだよねー。姉ちゃんは誤解だったとはいっても皆の為に人間と戦い続けてきたんだもん、みんなの事を思う気持ちは誰より強いっしょ」
771 :◆oBwZbn5S8kKC :2015/06/07(日)22:36:33 ID:ffb
ワーワー ヒメサマー
執事魚「……前王の虚言が判明し、人間が敵でないと解り姫様の苦労は無駄な物になってしまったと嘆いておりましたが……」
執事魚「無駄ではなかった……姫様が国民を思う気持ちは、少しも無駄ではなかった……!」ポロポロ
髪の短い人魚「私は…私は新たな王として皆さんの気持ちに必ず応えて見せます!争いのない平和な国に…必ず!」
ワーワー パチパチパチ
髪の短い人魚「ですが…まずすべき事があります」
髪の短い人魚「まずは前王の行いにケジメをつける為、被害者の遺族の方々には後ほど私が出向き……改めて謝罪に伺います。そして私には他にも謝罪すべき相手が存在します」
髪の短い人魚「私が殺してしまった、罪のない人間達です。海底を治める王として、私は陸へ赴き…人間への謝罪を行います」
ザワザワ ザワザワ
「そ、そりゃあ道理だけど……」
「俺達には人間を襲う正当な理由が無くなったんだ。のこのこ出て行っても大丈夫かな、俺達は人間にとってはただの襲撃者だってのに……」
「馬鹿!姫様を前にそんな言い方があるかよ!」
「でも、人間を殺したのは事実だ。その上で、人間と関係を持つってのは……ちょっとなぁ」
「悪いとは思うけど、黙っておいた方が……」
772 :◆oBwZbn5S8kKC :2015/06/07(日)22:38:07 ID:ffb
ザワザワ ザワザワ
髪の短い人魚「皆さんの不安はよくわかります」
髪の短い人魚「私も少し前までは共存など不可能と思いました、正直に申しますと今も人間にこの事を明かすのは……非常に恐ろしいです。どんな言い訳をしたところで私は人殺し。そこに正義も何もない……」
髪の短い人魚「ですが、私の妹……人魚姫は人間と交流を持ち、そして彼女は人間と人魚がきっと共存することができるとそう信じています」
髪の短い人魚「私は妹を信じてみるつもりです。ですから、皆さんにもどうか人魚姫を信じてもらいたいのです」
髪の短い人魚「全ての責任は私が負います。ですから私達人魚は……人間との交流に踏み出します、いつか来る共に笑いあえる日を信じて」
ザワザワ ザワザワ ザワザワ
人魚姫「姉ちゃん、あんなに共存は難しいって言ってたのに…協力してくれるって事で良いんだよね?」
髪の短い人魚「ええ、今でも難しいとは思っているけれど…今回の件、私はあなたの言葉にもう少し耳を傾けるべきだったもの。もっと妹の事を信用しなくてはね」フフッ
人魚姫「姉ちゃんが協力してくれるならさ、難しいなんてことないって!むしろ余裕だって」ヘラヘラ
髪の短い人魚「さぁここからは…あなたの仕事。皆さんに存分に教えて差し上げて」
髪の短い人魚「あなたが人間とどれだけ楽しい時間を過ごしたかをね」フフッ
人魚姫「うん、まかせて。それだったらどれだけ時間があっても話し足りないぐらいからさ!」ヘラヘラ
773 :◆oBwZbn5S8kKC :2015/06/07(日)22:39:43 ID:ffb
人魚姫「えっと、じゃあ私はみんなに人間がどんな種族なのかを、私が共存できるって信じてる理由を話すかんね!」
ワーワー パチパチ
人魚姫「皆が不安に思うのも解るけどさ、でも人間は本当は悪くないからさ!私の友達みたいに良い人もたくさんいるって事、今からチョーいっぱい話してあげっからちゃんと聞いてよー?」ニコニコ
髪の短い人魚「人魚姫!皆さまの前でそんな喋り方ではいけないとさっき言ったはずですよ!」ヒソヒソ
人魚姫「やばっ……えーっと……」
「人魚姫様ー!普段通りの喋り方でいいですよー!」ヘラヘラ
「俺達は本当の人間がどういう種族か知らないんだ、でも人魚姫様は知ってるんでしょー?」
「教えてくださいよ、私達に本当の人間がどういう種族なのかを!」
人魚姫「うん!みんながああやって言ってくれてんだから、堅苦しくなくてもいいっしょ?」ヘラヘラ
髪の短い人魚「……好きになさい」ハァー
人魚姫「オッケー!じゃあ早速話していこっかなー」ヘラヘラ
・・・
髪の短い人魚「……不思議なものです」
執事魚「と、言いますと?」
髪の短い人魚「昨日までは人間を憎んでいた人魚が、今は揃って人魚姫の話を聞いている。あの子の、人間との交流の話をね」
執事魚「実際の所、人間が犯した悪事の数々は全て前王の虚言でしたからね。非のない人間を逆恨みし続けるような輩はこの国にはいませんよ」
774 :◆oBwZbn5S8kKC :2015/06/07(日)22:41:44 ID:ffb
髪の短い人魚「運命というのはどう転がるかわからないものですね」
髪の短い人魚「信じていた王の言葉は偽りで、感じていた幸せは偽物で、私が憎んでいた敵に罪はなく、正義と思っていた歌声に正義は宿っていなかった」
髪の短い人魚「全てが偽物で塗り固められていて、それが真実だと知った時……もうこの国を失ってしまうかとも思いましたが」
髪の短い人魚「国民たちは私を信頼してくれ、そして国の復興を信じてついてきてくれる」
髪の短い人魚「そして人魚たちにわずかに残る人間への不信や不安を取り除くのが、国民の前で礼儀も形式も一切無視して楽しそうに話すあの人魚姫……」
髪の短い人魚「私や父に逆らい、自分の好きなよう自由に生きていた人魚姫が…この海底に希望をもたらしてくれる」
髪の短い人魚「こんな光景を見ることになるなんて、昨日までは思いもしませんでした」
執事魚「そうですね。でも確かに人魚姫様の演説は…いえ、あれを演説と言っていいのか疑問ですが、でもあのように楽しそうに話す人魚姫様を見ていると……」
執事魚「不思議と、人間とも手を結べるのではないかと信じてしまいますね」
髪の短い人魚「歌を口ずさみ大勢の心を魅了し、言葉を口にすることで大衆の心を動かす……彼女こそが本当の意味でのディーヴァ、人魚の歌姫なのかもしれません」フフッ
執事魚「ははっ、確かにそうかもしれませんね……ん?」
シュゥゥゥ コポコポコポ
執事魚「人魚姫様の体から気泡が……?」
髪の短い人魚「……あれがあの子の言っていた、泡になる呪い……王子との結婚が叶わなくなったから……」
775 :◆oBwZbn5S8kKC :2015/06/07(日)22:44:35 ID:ffb
人魚姫「でねー!だからー人間は本当はー」イキイキ
ワーワー イイゾビンギョヒメサマー
髪の短い人魚「人魚姫、演説はもう十分よ。中断なさい」ヒソヒソ
人魚姫「は?今良いところなんだけど?みんなもわたしの話ちゃんと聞いてくれてるしさ」
シュゥゥゥ コポコポコポ
髪の短い人魚「気が付いていないのね…あなたにはおそらくもう、呪いの効果が出始めている。まだ少しだけど気泡が上がってるもの」ヒソヒソ
人魚姫「もう……かぁ、早すぎっしょー……」シュゥゥゥ
髪の短い人魚「今はまだ気泡程度だけど、突然あなたが泡になって消えたら国民たちは大混乱です。それに…あの二人と約束しているのではないの?」ヒソヒソ
人魚姫「うん、泡になる前にもう一度あの海岸で会う約束。演説が終わったら行くって話してたんだけどさ」ヒソヒソ
髪の短い人魚「それならあとは私に任せて、あなたは行きなさい。間に合わなければ後悔してしまうわよ」
人魚姫「…ごめん、ありがと。じゃあ後は姉ちゃんに任せる」スッ
ザワザワ ザワザワ
人魚姫「ってことでさ、わたしの話は終わりにすんね!私達は人間に酷いことしたけど絶対いつか仲良くできるよう姉ちゃんは頑張ると思うからさ。姉ちゃんの事よろしくね!」ニコッ
ワーワー パチパチパチ
人魚姫「じゃあ、わたしもう行くね。あの親父が何か企んできても相手にしちゃダメだかんね?この国は姉ちゃんにかかってんだからさ」シュゥゥゥ
髪の短い人魚「ええ、あなたが安心できるような国を作るわ。いつになるかは分からないけれど、人間との関係も良くしていく。だから、心配しなくて平気よ人魚姫」
人魚姫「うん、姉ちゃんがそういうなら大丈夫っしょ!じゃあね!」ヘラヘラ
スィー
776 :◆oBwZbn5S8kKC :2015/06/07(日)22:47:03 ID:ffb
海中
スィー
シュゥゥゥゥ ゴポゴポゴポ
人魚姫「……ちょーっと急がなきゃマジやばいかも」
ゴポゴポゴポ
人魚姫「海底の国は姉ちゃんがちゃんとまとめてくれる、みんなわたしの話ちゃんと聞いてくれたし」
ゴポゴポゴポ
人魚姫「陸の上の事は王子がちゃんとしてくれるっしょ、だからわたしはもう出来る事はちゃんとやった、あとは共存が叶う事を願うだけ」
人魚姫「でも、あの二人には……赤ずきんと赤鬼にはちゃんと言わなきゃダメっしょ、二人にあえてよかったってね」
ゴポゴポゴポ
人魚姫「例え王子と結ばれなくても、泡になって消えても……わたしは悲しい事なんてなにも無い」
人魚姫「思い切り恋をして、優しくて厳しい姉ちゃんや、異種族の友達や、話を聞いてくれるみんながいて……わたしの願いは残されたみんなが紡いでくれる……こんな嬉しい事ってないっしょ」ニコニコ
ゴポゴポゴポ ゴポゴポゴポゴポ スゥゥ
人魚姫「……っ!尾びれが…消えて……!これじゃあ、進めない…!」
ゴポゴポゴポ
777 :◆oBwZbn5S8kKC :2015/06/07(日)22:47:44 ID:ffb
人魚姫「……ダメだ、もう海上にはどうやっても間に合わない……だったら、せめて二人だけには伝えなきゃ」グッ
ラーラーラララー
人魚姫「わたしは何かを恨んで泣きながら消えたりなんかしてないって、笑って歌いながら消えていったって…!」シュゥゥ ゴポゴポゴポ
ラーラーラララーラーラーラララー
ゴポゴポゴポ
ラララーラーララー
ゴポゴポゴポ
ラーラーラー
ゴポゴポゴポ
コポコポコポ…
ラーラー
コポンッ
778 :◆oBwZbn5S8kKC :2015/06/07(日)22:50:29 ID:ffb
海岸
ザザーンザザーン
赤ずきん「人魚姫、うまくいっているのかしらね」
赤鬼「あいつなら問題ないだろう、姉も協力してくれそうだったから心配いらないだろうさ」
赤ずきん「そうは言っても心配よ、人魚姫が多くの民衆を前に演説するところなんて想像つかないもの」
赤鬼「そりゃあ違いねぇな」ガハハ
鬼神『解せぬ……』
赤鬼「ん?何だ解せぬって」
鬼神『小娘が人魚の娘に与えた魔法具の事だ。鬼ヶ島であのアリスという娘が吐き捨てた出涸らしを密かに拾っていたのは知っていたが、なぜこんな事に使う?』
赤鬼「そりゃあ人魚王が罪を認めなかったとき、王の声が出せれば民衆も納得するからだろ。少々ずるい手だが、そうも言ってられないだろう」
鬼神『そんな事を話してるんじゃねぇ。あのチョークを使えばドロシーとかいう小娘に一矢報いることもできたはずだ、小娘の目的はドロシーへの仇打ちなのだからな。ならば何故このような事に貴重な魔法具を使う?』
鬼神『貴重な道具を無駄にしてまで、あの人魚の娘の願いをかなえる価値があるとは俺には思えん。理解不能だ』
赤ずきん「どうしたのかしら?」
赤鬼「鬼神が言ってるんだよ。ドロシーを倒すのに使えたかもしれないのにここで人魚姫にチョークをやったのは理解できないってな」
779 :◆oBwZbn5S8kKC :2015/06/07(日)22:52:00 ID:ffb
赤ずきん「それで友達が幸せになれるなら理由は十分でしょう?」
赤ずきん「仇を討つ事も私には大切な事だけど、人魚姫の幸せだって大切。復讐にだけ生きていたら見えないものもあるのよ、鬼神」
赤鬼「……だそうだ」
鬼神『解ったような口を……不愉快な小娘よ』
赤鬼「お前の復讐だって自分の無念を晴らすんじゃなく仲間の無念の気持ちを酌んでのもんだろ?だったら少しは理解できるところがあるんじゃねぇか?」
鬼神『この鬼神が人間の小娘と解り合う事などあり得ねぇな。だが、人間もまた感情に左右されやすい生き物だ…そういった感情を持っている事を知る事は奴らの駆逐に役立つかもしれん』
赤鬼「素直じゃ無い奴だ、理解できる所もあるって素直に言えば良いじゃねぇか」ガハハ
鬼神『相変わらず呑気な男だ、俺にあれだけ身体を乗っ取られておきながら…だが少々頭の抜けている方が俺にとって都合のいい事は確かだがな』
……ラーラララーララー
赤鬼「…今、微かだがあいつの歌が聞こえなかったか?」
赤ずきん「ええ、聞こえた……演説が終わったらここに来る手はずなのに、その道中に歌……もしかして、人魚姫は……」
海底の魔女「察しの良い小娘だ、あの娘はここへ向かっていたようだが…今頃泡となって消えただろう」クックックッ
赤鬼「お前は海底の魔女……何故お前が人間の姿で陸にいるんだ!」
ドロシー「ドロシーちゃんと仲間達もいまーす♪」ヒョコッ
赤ずきん「あなた達は手を組んでいるのだったかしら…そろいも揃って私達の所へ来るなんて、何の用事かしらね?」キッ
780 :◆oBwZbn5S8kKC :2015/06/07(日)22:54:21 ID:ffb
海底の魔女「そう睨むもんじゃない、泡になる事はあの小娘も承知の上。私は何も契約違反などしていないのだから、逆恨みはよしてくれ」
赤ずきん「別にあなたを恨むつもりはないわ。でも私達にも手を貸し、人魚王にも手を貸し、そしてドロシー達にも手を貸すなんて随分とお行儀の良い事をしていると思ってね」
海底の魔女「そりゃあそうだ、本来魔法というのは無償でばらまく様な代物じゃあない。貴様等の肩を持つ魔女が居ると聞いたぞ、確か【シンデレラ】の魔法使いがそうとか…そいつがむしろ少数派なのだ、他人の為に無償で魔法を行使するとは奇特な奴だ」
海底の魔女「魔法とは人智を超えた力、悪魔的な能力だ。だから行使には特殊な技術や素質が必要なのさ、それを素質無き者が得ようとするならば相応の対価が必要なのは当然」
海底の魔女「対価さえ支払ってもらえれば私は誰にだって魔法を引き渡すさ。渡した魔法がどう使われるかには興味がない、善悪などという定義の曖昧な物を気にしていてもしょうがあるまい」
赤ずきん「別にあなたのやり方を否定するつもりはないわよ、ただドロシーの肩を持つなら…残念だけど私はもうあなたのお客さんにはなれそうにないわね」
海底の魔女「ああそうかい、ご勝手に。お前のマスケットと頭巾はぜひとも手に入れたかったが……それはドロシーがお前を殺した時に譲ってもらうとしようかね」
赤鬼「そりゃあ無理な皮算用だ、諦めたほうがいいんじゃねぇか?」
海底の魔女「ふふっ、口の減らない奴らだよ。だがお前達に用事があるのは私じゃあないのさ、そうだなドロシー?」
ドロシー「そうそう!これでめでたく人魚姫が泡になったわけですよ、このおとぎ話は一応は消えずに済みました!拍手ー!」パチパチパチ
赤鬼「そんな事を言うためだけに来たってのか?」
ドロシー「んー…まぁなんていうか、直球なんだけどあんた達をイジメに来たってところかな……まぁ、ぶっちゃけて言うとさキレてるわけですよ、ドロシーちゃんは」
ドロシー「最初この世界であんた達見かけたときさー、人魚姫かおとぎ話かどっちか決めさせてあんた達にドーンと精神ダメージぶつけてやろうって思ってたのにさー。結局のところさ、なにこの結末?」
ドロシー「おとぎ話は消えない。人魚姫は消えたけど……なんつーかさ、一部始終見てたけどあいつ全然自分の事不幸だなんて思ってないじゃん?あんた達どころか誰を恨まずに消えてったし」
ドロシー「私が期待してたのは人魚の事も王子の事もあんたたちの事もぜーんぶ恨んで憎んで悲しみの中であいつが泡になる事だったんだよ?そもそもこれってそういうおとぎ話じゃん」
ドロシー「その方があんた達のダメージもでかいでしょ?でも、それがこんな結果じゃあさーいろいろ頑張った意味無いってのー」
赤ずきん「あら、自分の思い通りにならなかったってから愚痴を言いに来たのね。あれだけ大口叩いて私達を挑発したのに?」フフッ
ドロシー「あー、私に対抗して挑発とかすんのやめた方がいいよ。さっきも言ったっしょ?」
ドロシー「ドロシーちゃんはヘラヘラしてるけどさ、内心ブチキレてんの。いいよ、乗ってあげてもさ。そのやっすい挑発に」カツンカツン
781 :◆oBwZbn5S8kKC :2015/06/07(日)22:57:45 ID:ffb
ブリキ「おい、落ち着け…まだ機会はいつだってあるだろう」
ドロシー「……あー、ごめん。大人げなかった!大人はすぐに暴力振るったりしない、これ豆知識だよーん」テヘペロ
ドロシー「というかそもそもの話がさ……私が嫌いな物って意味不明な精神論とか巧妙な嘘なんだよねー」
赤ずきん「それが今の状況とどういう関係があるのかしら?」
ドロシー「関係ありすぎるってー、そもそも精神論とかってさ詐欺の一種だと思うわけ!」
ドロシー「ありもしない見えもしない物をさもあるように言ったりさ。これこれこういう努力をしたからなになにを得ました、でもそれは目に見えないものですって……詐欺以外の何物でも無いじゃん?宝探しに出たらさ、最終的にこの旅で手に入れた仲間が最高の宝だとかいわれちゃう感じ?」
ドロシー「私の友達がいい例だよ、詐欺師に騙されかけたからね。勇気が欲しいです、あなたは仲間の為に頑張れたから勇気があります。知識が欲しいです、あなたは仲間の為によく考えて動けたので知恵があります。
心が欲しいです、あなたは仲間の為に涙を流せたので心があります……うん、そっか、でさ、それをまず見せてよ、現物をさ。ってなるでしょ?」
赤ずきん「それで、あなたは結局何が言いたいのかしら?」
ドロシー「さからさー、私はあいつが気にいらないわけ。人魚姫の考えってこういう事でしょ?王子の事は諦めたけど王子はきっと共存の為に頑張ってくれる。
人魚は人間と仲良くなれる、なぜなら私の仲間達は良い人ばかりだからきっと共存できる、私は出来ることを頑張った!みんなも協力してくれる!だから私は幸せ!消えても悔いはない!」
ドロシー「うんうん、そっか、で?なんでそうなんの?だから結果を形にしろって言ってんだよ、お前はオズのおっさんかよってなるじゃん?」
ドロシー「共存できた証も平和になった証拠もないのに、幸せそうに消えるとか馬鹿なの?そんなくだらない精神論やら感情論でさ、勝手に幸せ気分になられてもさー?困るわけじゃん?」
赤鬼「何がダメなんだ、いいじゃねぇか仲間を信じてあとを任せたって。形に残らなくてもそこに確かに存在するもんはあるだろう、あいつが幸せに思っているなら…」
ドロシー「根拠も証拠も無いのに幸せだって思いこまれてさ、こっちはいい迷惑だよ。せっかく絶望する人魚姫や赤ずきんと赤鬼が見れると思ったのに、バカバカしいったら無いよねー」ヘラヘラ
赤ずきん「…話にならないわね、結局あなたは思い通りにいかなかったのが悔しいだけじゃないの」
ドロシー「何とでもどーぞ!あっちの玩具が楽しくないならこっちの玩具で遊ぶだけだからさ、結局あんたは私には勝てないんだしー?」クスクス
782 :◆oBwZbn5S8kKC :2015/06/07(日)23:00:20 ID:ffb
赤ずきん「そうね、まだあなたには勝てないわ」
ドロシー「いつかは勝てるみたいな言い方じゃーん?そーいうのは倒してから言ってよ、さぁさぁどうする?マスケット使う?それとも鬼神になる?」クスクス
赤ずきん「決まっているでしょう、逃げるのよ」
赤鬼「まぁ、だろうな…あっちには魔女もいるし数の時点でもう不利だ」
ドロシー「言うと思ったけど逃がさないよー?赤ずきんと赤鬼を遠ざけさえすれば、世界移動できないもんね?キモオタとティンクの時も同じふうに分断したっけ…一人しか世界移動できない奴らの共通の弱点だよねぇ」クスクス
ファサッ バサバサバサ
赤鬼「うおっ!赤ずきんとの間に茨が生い茂りやがった…!鬼神に使ったって言う魔法具か…!」
赤ずきん「急ぐわよ、赤鬼。あなたに触れてなきゃ世界移動はできない、回り込んですぐにでも……!」ダダッ
ドロシー「そんなの許すならわざわざ魔法具使ったりしないって、根っこから植物を生み出すだけがこの灰の魔法じゃないって気付きなよー」ケラケラ
ファサッファサー
赤鬼「空中に撒かれた灰が一瞬で無数の花びらに…!?まずい、視界が覆われちまって…どこだ赤ずきん!」
ドロシー「これなんだったっけ、ああ確か桜吹雪?まぁこんな感じで、灰を撒いて直接花びらを生み出すこともできるわけ!植物だったら見境なく生成できる…この魔法具は本当いろいろできてドロシーちゃんの最近のトレンドなんですわー」ファサーファサー
赤ずきん「世界移動するには赤鬼に触れてなきゃ……でも闇雲に動くのも危険、こうしている間にも次の手が来る…!」
ドロシー「さぁブリキにライオン!あんた達は目が見えなくったって気配で察知出来るでしょ?あ、かかしは今回後方支援ねー?海底の魔女は今回は見学しててー」ニヤニヤ
783 :◆oBwZbn5S8kKC :2015/06/07(日)23:03:07 ID:ffb
ブリキ「気は進まないがな…だが頼まれた以上はやってやろう」ググッ
ライオン「ね、ねぇねぇ僕どっちにいけばいい?出来れば死なない方がいいんだけど…鬼神さんが怖いから赤ずきんちゃんの方で良い?あっ、でももしブリキが……」オドオド
ブリキ「ライオンは赤ずきんの方を頼む…殺さないようにな」
ファサファサー
赤ずきん「赤鬼!無理に動かないで、今は撤退は諦めてあいつらの攻撃に集中しましょう!隙を見て逃げるのよ!」ググッ
赤鬼「ああ!視界を金棒で切り開くか…?いや、赤ずきんとの距離感がわからない以上闇雲に動いてあいつを殴っちまったりしたらまずい…!」
ドロシー「うんうん、私も花びらであいつらの表情見ること出来ないけど、辛そうな声聞けるだけでもちょーっとは気持ちが落ち着くよー!これなら赤ずきん達が苦しむ姿見ればヒーリング効果が期待できるっぽい」ケラケラ
???『……あー、これひどくない?赤ずきんも赤鬼も困ってんじゃん』
赤ずきん「……っ!?」
???『ちょっとよく聞いてほしいんですけどー?まず赤ずきんはねそのまま真後ろに走ってって、赤鬼はそのまま右に五歩くらい歩いてそっからまっすぐ右ってとこかなー?』
赤鬼「ああ……わかった……というかお前……!」ニッ
赤ずきん「忘れていたわ……あなたは消えても存在自体が無になるわけじゃなかったわね…!」フフッ
???『とりあえずそーいうのは後にした方がいいっぽいんじゃない?とりあえず逃げる方が先っしょ?』ヘラヘラ
784 :◆oBwZbn5S8kKC :2015/06/07(日)23:04:55 ID:ffb
タッタッタッタッ
ブリキ「……どういうことだ」
ライオン「あ、あれ……?な、なんで……?」
ドロシー「んー?ブリキにライオン、どうかしたー?」
ライオン「あ、赤ずきんちゃんがね?まっすぐ走りだしたんだけど……なんかね、その先に赤鬼さんが向かってる!」
ドロシー「はぁ?二人とも花びらで視界が奪われてるんだよ?そんなわけないじゃん?」
ライオン「で、でも本当だよ!見えてるみたいに走ってるよ!それか、誰かがお互いの居るところを教えてくれてるとかそんな感じの動き方で……」
ドロシー「……っ」
ドロシー「あー、はいはい……忘れてた、あいつ消滅したわけでも死んだわけでもなかったなー……ドロシーちゃんのうっかりミスですねこれはー」
かかし「うっかりミス…?どういう事だ何が起きていル?説明してくレ!」
ドロシー「おとぎ話【人魚姫】で人魚姫は泡になった後さー、そのまま消えてなくなるわけでも死んだわけでもないんだったじゃん?かかしも覚えてるでしょ?元々の内容をさー」
かかし「確か、人魚姫は泡になった後に空気の精霊になるんだったナ…!しかシ、だとしてもあいつらが精霊と会話できるってのはおかしいだロ!?」
海底の魔女「ははっ、なかなか運に恵まれている奴らだな……私があいつらに渡したのは人魚姫に声を与える魔法じゃない、人魚姫の思念をあの二人に送れる魔法だ」
海底の魔女「口が無かろうが姿が見え無かろうがあいつが精霊になろうが、そこに存在さえしていればその魔法は生きてる。あいつらには目に見えない空気の精霊が道案内してくれているというわけか」クックックッ
海底の魔女「どうするドロシー?あいつに掛けた思念伝達の魔法を解除するか?もちろん、相応の対価は頂くがな?」
ドロシー「やめとく、どーせお高いしもう手遅れっぽいし。あー……つくづくイライラさせる奴だなぁ人魚姫はぁ…!」ガリガリガリ
髪の短い人魚「…前王、私はあなたに依存し過ぎていたようです。私は今でもあなたが自分自身の為でなく、国民の幸せの為に行動したのだと信じています」
人魚王「貴様、自らの意思で私を王座から引きずり下ろしたというのに勝手な事を……!」
髪の短い人魚「……私には国民を蔑ろにするあなたのやり方が許せません。ですがあなたが獄中で心の底から改心し、もう誰も悲しむことのないそんな国にするために再び王座に就き……今度こそ本当の意味で国民を守るために私に命令を下してくださるのを私は心の隅で願っています」
髪の短い人魚「ですから、獄中でどうか……御自分と向き合ってください。私は王族としてあなたを許せませんが……娘として、優しい心を取り戻される事を願っています、お父様」
人魚王「……おい、兵長。さっさと牢へと案内せよ、出来損ないの兵器の声が傷に障るのだ」
人魚兵長「は、はい。案内いたします」
人魚王「こうなれば私が投獄される事は逃れられん。だが、貴様等のような甘い考えで国を建て直せるなどと思うな」
人魚王「貴様等がどのような政策を立ち上げるのか、そして国民に見捨てられどのように国が崩れていくのか……貴様がこの選択を後悔する様を、獄中から見させてもらうとしよう」フンッ
スゥーッ
人魚姫「姉ちゃん、もうほっとけばいいのに……あいつ改心なんか絶対しないって」
髪の短い人魚「そうはいきません、国民を騙していた事は許せませんが……あんな王でも私のお父様なんですから」
ザワザワ ザワザワ
「しかし…あいつが王を辞めちまったら誰が王をやるんだ!?」
「そりゃあ……長女の姫様だろ?前王には息子がいないし王妃様ももう随分昔に……」
「姫様ー!そこんところどうなってんですかー!」
「新しい王には姫様がなってくれるんですよねー?」
「姫様が国王……つまり女王様か……女王様か……」
ザワザワ ザワザワ ザワザワ
770 :◆oBwZbn5S8kKC :2015/06/07(日)22:33:22 ID:ffb
髪の短い人魚「す、少し待ってください皆さん…!王を牢に入れた以上、確かに次の王が必要です……そしてその役目を担うべきは立場上、私です。ですが……」
髪の短い人魚「前王のやってきた事は先ほどお伝えしたとおりです。前王は罪のない国民や人間達を利用していたんです!そして私もその娘、そして王族なんですよ!?」
髪の短い人魚「国民を騙す王族がいてはいけない、国民を傷つける王族なんていない方がいい。国民の皆さんも今回の件で私達王族に失望しているはずです!あなた方の家族や恋人や友人を殺していたのは王族なんですよ!?」
髪の短い人魚「それなのに何故、私を王にと言ってくださるんですか?」
声のでかい国民「何故…って、姫様はやりたくないんですか?国王になるのは本意ではないと?」
髪の短い人魚「いいえ、私は前王の過ちを繰り返さないよう…持てる力を全て使って国を盛りたてて行くべきだと思います。今、この国をまとめるものがだれもいなければ…私の好きなこの国も皆さんもバラバラになってしまいます」
髪の短い人魚「それは…悲しいです。私は今まで国を無くすのが、国民の皆さんを失うのが嫌でディーヴァとして戦ってきたのです。ディーヴァとしての役割を失ったとしても王になれば皆さんを守れます、だから私は……」
髪の短い人魚「私は王になりたい。でもそれは皆さんが許してくださればの話です、裏切り者の父を持つ姫など王に相応しくないと仰るのでしたら私は…!」
声のでかい国民「姫様が王に相応しくなかったら誰が相応しいんですかー、そうだろ?」ハハハ
「そうですよ姫さまー!何言ってんすかー!姫様はずっと俺達の為に歌ってくれてたじゃないっすか!」
「人間が悪くなかったとしても、私達の為に姫様が戦ってくれたのは事実だものね」
「姫様はいつも傷だらけで俺達の仇を取ってくれてたじゃないか!いや、実際は敵じゃなかったけども」
「どっちにしろ姫様が私達国民の為に行動できる方だってのはみんな知ってるんですよー!」
髪の短い人魚「皆さん…!」ポロポロ
人魚姫「まぁ、そうだよねー。姉ちゃんは誤解だったとはいっても皆の為に人間と戦い続けてきたんだもん、みんなの事を思う気持ちは誰より強いっしょ」
771 :◆oBwZbn5S8kKC :2015/06/07(日)22:36:33 ID:ffb
ワーワー ヒメサマー
執事魚「……前王の虚言が判明し、人間が敵でないと解り姫様の苦労は無駄な物になってしまったと嘆いておりましたが……」
執事魚「無駄ではなかった……姫様が国民を思う気持ちは、少しも無駄ではなかった……!」ポロポロ
髪の短い人魚「私は…私は新たな王として皆さんの気持ちに必ず応えて見せます!争いのない平和な国に…必ず!」
ワーワー パチパチパチ
髪の短い人魚「ですが…まずすべき事があります」
髪の短い人魚「まずは前王の行いにケジメをつける為、被害者の遺族の方々には後ほど私が出向き……改めて謝罪に伺います。そして私には他にも謝罪すべき相手が存在します」
髪の短い人魚「私が殺してしまった、罪のない人間達です。海底を治める王として、私は陸へ赴き…人間への謝罪を行います」
ザワザワ ザワザワ
「そ、そりゃあ道理だけど……」
「俺達には人間を襲う正当な理由が無くなったんだ。のこのこ出て行っても大丈夫かな、俺達は人間にとってはただの襲撃者だってのに……」
「馬鹿!姫様を前にそんな言い方があるかよ!」
「でも、人間を殺したのは事実だ。その上で、人間と関係を持つってのは……ちょっとなぁ」
「悪いとは思うけど、黙っておいた方が……」
772 :◆oBwZbn5S8kKC :2015/06/07(日)22:38:07 ID:ffb
ザワザワ ザワザワ
髪の短い人魚「皆さんの不安はよくわかります」
髪の短い人魚「私も少し前までは共存など不可能と思いました、正直に申しますと今も人間にこの事を明かすのは……非常に恐ろしいです。どんな言い訳をしたところで私は人殺し。そこに正義も何もない……」
髪の短い人魚「ですが、私の妹……人魚姫は人間と交流を持ち、そして彼女は人間と人魚がきっと共存することができるとそう信じています」
髪の短い人魚「私は妹を信じてみるつもりです。ですから、皆さんにもどうか人魚姫を信じてもらいたいのです」
髪の短い人魚「全ての責任は私が負います。ですから私達人魚は……人間との交流に踏み出します、いつか来る共に笑いあえる日を信じて」
ザワザワ ザワザワ ザワザワ
人魚姫「姉ちゃん、あんなに共存は難しいって言ってたのに…協力してくれるって事で良いんだよね?」
髪の短い人魚「ええ、今でも難しいとは思っているけれど…今回の件、私はあなたの言葉にもう少し耳を傾けるべきだったもの。もっと妹の事を信用しなくてはね」フフッ
人魚姫「姉ちゃんが協力してくれるならさ、難しいなんてことないって!むしろ余裕だって」ヘラヘラ
髪の短い人魚「さぁここからは…あなたの仕事。皆さんに存分に教えて差し上げて」
髪の短い人魚「あなたが人間とどれだけ楽しい時間を過ごしたかをね」フフッ
人魚姫「うん、まかせて。それだったらどれだけ時間があっても話し足りないぐらいからさ!」ヘラヘラ
773 :◆oBwZbn5S8kKC :2015/06/07(日)22:39:43 ID:ffb
人魚姫「えっと、じゃあ私はみんなに人間がどんな種族なのかを、私が共存できるって信じてる理由を話すかんね!」
ワーワー パチパチ
人魚姫「皆が不安に思うのも解るけどさ、でも人間は本当は悪くないからさ!私の友達みたいに良い人もたくさんいるって事、今からチョーいっぱい話してあげっからちゃんと聞いてよー?」ニコニコ
髪の短い人魚「人魚姫!皆さまの前でそんな喋り方ではいけないとさっき言ったはずですよ!」ヒソヒソ
人魚姫「やばっ……えーっと……」
「人魚姫様ー!普段通りの喋り方でいいですよー!」ヘラヘラ
「俺達は本当の人間がどういう種族か知らないんだ、でも人魚姫様は知ってるんでしょー?」
「教えてくださいよ、私達に本当の人間がどういう種族なのかを!」
人魚姫「うん!みんながああやって言ってくれてんだから、堅苦しくなくてもいいっしょ?」ヘラヘラ
髪の短い人魚「……好きになさい」ハァー
人魚姫「オッケー!じゃあ早速話していこっかなー」ヘラヘラ
・・・
髪の短い人魚「……不思議なものです」
執事魚「と、言いますと?」
髪の短い人魚「昨日までは人間を憎んでいた人魚が、今は揃って人魚姫の話を聞いている。あの子の、人間との交流の話をね」
執事魚「実際の所、人間が犯した悪事の数々は全て前王の虚言でしたからね。非のない人間を逆恨みし続けるような輩はこの国にはいませんよ」
髪の短い人魚「運命というのはどう転がるかわからないものですね」
髪の短い人魚「信じていた王の言葉は偽りで、感じていた幸せは偽物で、私が憎んでいた敵に罪はなく、正義と思っていた歌声に正義は宿っていなかった」
髪の短い人魚「全てが偽物で塗り固められていて、それが真実だと知った時……もうこの国を失ってしまうかとも思いましたが」
髪の短い人魚「国民たちは私を信頼してくれ、そして国の復興を信じてついてきてくれる」
髪の短い人魚「そして人魚たちにわずかに残る人間への不信や不安を取り除くのが、国民の前で礼儀も形式も一切無視して楽しそうに話すあの人魚姫……」
髪の短い人魚「私や父に逆らい、自分の好きなよう自由に生きていた人魚姫が…この海底に希望をもたらしてくれる」
髪の短い人魚「こんな光景を見ることになるなんて、昨日までは思いもしませんでした」
執事魚「そうですね。でも確かに人魚姫様の演説は…いえ、あれを演説と言っていいのか疑問ですが、でもあのように楽しそうに話す人魚姫様を見ていると……」
執事魚「不思議と、人間とも手を結べるのではないかと信じてしまいますね」
髪の短い人魚「歌を口ずさみ大勢の心を魅了し、言葉を口にすることで大衆の心を動かす……彼女こそが本当の意味でのディーヴァ、人魚の歌姫なのかもしれません」フフッ
執事魚「ははっ、確かにそうかもしれませんね……ん?」
シュゥゥゥ コポコポコポ
執事魚「人魚姫様の体から気泡が……?」
髪の短い人魚「……あれがあの子の言っていた、泡になる呪い……王子との結婚が叶わなくなったから……」
775 :◆oBwZbn5S8kKC :2015/06/07(日)22:44:35 ID:ffb
人魚姫「でねー!だからー人間は本当はー」イキイキ
ワーワー イイゾビンギョヒメサマー
髪の短い人魚「人魚姫、演説はもう十分よ。中断なさい」ヒソヒソ
人魚姫「は?今良いところなんだけど?みんなもわたしの話ちゃんと聞いてくれてるしさ」
シュゥゥゥ コポコポコポ
髪の短い人魚「気が付いていないのね…あなたにはおそらくもう、呪いの効果が出始めている。まだ少しだけど気泡が上がってるもの」ヒソヒソ
人魚姫「もう……かぁ、早すぎっしょー……」シュゥゥゥ
髪の短い人魚「今はまだ気泡程度だけど、突然あなたが泡になって消えたら国民たちは大混乱です。それに…あの二人と約束しているのではないの?」ヒソヒソ
人魚姫「うん、泡になる前にもう一度あの海岸で会う約束。演説が終わったら行くって話してたんだけどさ」ヒソヒソ
髪の短い人魚「それならあとは私に任せて、あなたは行きなさい。間に合わなければ後悔してしまうわよ」
人魚姫「…ごめん、ありがと。じゃあ後は姉ちゃんに任せる」スッ
ザワザワ ザワザワ
人魚姫「ってことでさ、わたしの話は終わりにすんね!私達は人間に酷いことしたけど絶対いつか仲良くできるよう姉ちゃんは頑張ると思うからさ。姉ちゃんの事よろしくね!」ニコッ
ワーワー パチパチパチ
人魚姫「じゃあ、わたしもう行くね。あの親父が何か企んできても相手にしちゃダメだかんね?この国は姉ちゃんにかかってんだからさ」シュゥゥゥ
髪の短い人魚「ええ、あなたが安心できるような国を作るわ。いつになるかは分からないけれど、人間との関係も良くしていく。だから、心配しなくて平気よ人魚姫」
人魚姫「うん、姉ちゃんがそういうなら大丈夫っしょ!じゃあね!」ヘラヘラ
スィー
776 :◆oBwZbn5S8kKC :2015/06/07(日)22:47:03 ID:ffb
海中
スィー
シュゥゥゥゥ ゴポゴポゴポ
人魚姫「……ちょーっと急がなきゃマジやばいかも」
ゴポゴポゴポ
人魚姫「海底の国は姉ちゃんがちゃんとまとめてくれる、みんなわたしの話ちゃんと聞いてくれたし」
ゴポゴポゴポ
人魚姫「陸の上の事は王子がちゃんとしてくれるっしょ、だからわたしはもう出来る事はちゃんとやった、あとは共存が叶う事を願うだけ」
人魚姫「でも、あの二人には……赤ずきんと赤鬼にはちゃんと言わなきゃダメっしょ、二人にあえてよかったってね」
ゴポゴポゴポ
人魚姫「例え王子と結ばれなくても、泡になって消えても……わたしは悲しい事なんてなにも無い」
人魚姫「思い切り恋をして、優しくて厳しい姉ちゃんや、異種族の友達や、話を聞いてくれるみんながいて……わたしの願いは残されたみんなが紡いでくれる……こんな嬉しい事ってないっしょ」ニコニコ
ゴポゴポゴポ ゴポゴポゴポゴポ スゥゥ
人魚姫「……っ!尾びれが…消えて……!これじゃあ、進めない…!」
ゴポゴポゴポ
777 :◆oBwZbn5S8kKC :2015/06/07(日)22:47:44 ID:ffb
人魚姫「……ダメだ、もう海上にはどうやっても間に合わない……だったら、せめて二人だけには伝えなきゃ」グッ
ラーラーラララー
人魚姫「わたしは何かを恨んで泣きながら消えたりなんかしてないって、笑って歌いながら消えていったって…!」シュゥゥ ゴポゴポゴポ
ラーラーラララーラーラーラララー
ゴポゴポゴポ
ラララーラーララー
ゴポゴポゴポ
ラーラーラー
ゴポゴポゴポ
コポコポコポ…
ラーラー
コポンッ
778 :◆oBwZbn5S8kKC :2015/06/07(日)22:50:29 ID:ffb
海岸
ザザーンザザーン
赤ずきん「人魚姫、うまくいっているのかしらね」
赤鬼「あいつなら問題ないだろう、姉も協力してくれそうだったから心配いらないだろうさ」
赤ずきん「そうは言っても心配よ、人魚姫が多くの民衆を前に演説するところなんて想像つかないもの」
赤鬼「そりゃあ違いねぇな」ガハハ
鬼神『解せぬ……』
赤鬼「ん?何だ解せぬって」
鬼神『小娘が人魚の娘に与えた魔法具の事だ。鬼ヶ島であのアリスという娘が吐き捨てた出涸らしを密かに拾っていたのは知っていたが、なぜこんな事に使う?』
赤鬼「そりゃあ人魚王が罪を認めなかったとき、王の声が出せれば民衆も納得するからだろ。少々ずるい手だが、そうも言ってられないだろう」
鬼神『そんな事を話してるんじゃねぇ。あのチョークを使えばドロシーとかいう小娘に一矢報いることもできたはずだ、小娘の目的はドロシーへの仇打ちなのだからな。ならば何故このような事に貴重な魔法具を使う?』
鬼神『貴重な道具を無駄にしてまで、あの人魚の娘の願いをかなえる価値があるとは俺には思えん。理解不能だ』
赤ずきん「どうしたのかしら?」
赤鬼「鬼神が言ってるんだよ。ドロシーを倒すのに使えたかもしれないのにここで人魚姫にチョークをやったのは理解できないってな」
779 :◆oBwZbn5S8kKC :2015/06/07(日)22:52:00 ID:ffb
赤ずきん「それで友達が幸せになれるなら理由は十分でしょう?」
赤ずきん「仇を討つ事も私には大切な事だけど、人魚姫の幸せだって大切。復讐にだけ生きていたら見えないものもあるのよ、鬼神」
赤鬼「……だそうだ」
鬼神『解ったような口を……不愉快な小娘よ』
赤鬼「お前の復讐だって自分の無念を晴らすんじゃなく仲間の無念の気持ちを酌んでのもんだろ?だったら少しは理解できるところがあるんじゃねぇか?」
鬼神『この鬼神が人間の小娘と解り合う事などあり得ねぇな。だが、人間もまた感情に左右されやすい生き物だ…そういった感情を持っている事を知る事は奴らの駆逐に役立つかもしれん』
赤鬼「素直じゃ無い奴だ、理解できる所もあるって素直に言えば良いじゃねぇか」ガハハ
鬼神『相変わらず呑気な男だ、俺にあれだけ身体を乗っ取られておきながら…だが少々頭の抜けている方が俺にとって都合のいい事は確かだがな』
……ラーラララーララー
赤鬼「…今、微かだがあいつの歌が聞こえなかったか?」
赤ずきん「ええ、聞こえた……演説が終わったらここに来る手はずなのに、その道中に歌……もしかして、人魚姫は……」
海底の魔女「察しの良い小娘だ、あの娘はここへ向かっていたようだが…今頃泡となって消えただろう」クックックッ
赤鬼「お前は海底の魔女……何故お前が人間の姿で陸にいるんだ!」
ドロシー「ドロシーちゃんと仲間達もいまーす♪」ヒョコッ
赤ずきん「あなた達は手を組んでいるのだったかしら…そろいも揃って私達の所へ来るなんて、何の用事かしらね?」キッ
780 :◆oBwZbn5S8kKC :2015/06/07(日)22:54:21 ID:ffb
海底の魔女「そう睨むもんじゃない、泡になる事はあの小娘も承知の上。私は何も契約違反などしていないのだから、逆恨みはよしてくれ」
赤ずきん「別にあなたを恨むつもりはないわ。でも私達にも手を貸し、人魚王にも手を貸し、そしてドロシー達にも手を貸すなんて随分とお行儀の良い事をしていると思ってね」
海底の魔女「そりゃあそうだ、本来魔法というのは無償でばらまく様な代物じゃあない。貴様等の肩を持つ魔女が居ると聞いたぞ、確か【シンデレラ】の魔法使いがそうとか…そいつがむしろ少数派なのだ、他人の為に無償で魔法を行使するとは奇特な奴だ」
海底の魔女「魔法とは人智を超えた力、悪魔的な能力だ。だから行使には特殊な技術や素質が必要なのさ、それを素質無き者が得ようとするならば相応の対価が必要なのは当然」
海底の魔女「対価さえ支払ってもらえれば私は誰にだって魔法を引き渡すさ。渡した魔法がどう使われるかには興味がない、善悪などという定義の曖昧な物を気にしていてもしょうがあるまい」
赤ずきん「別にあなたのやり方を否定するつもりはないわよ、ただドロシーの肩を持つなら…残念だけど私はもうあなたのお客さんにはなれそうにないわね」
海底の魔女「ああそうかい、ご勝手に。お前のマスケットと頭巾はぜひとも手に入れたかったが……それはドロシーがお前を殺した時に譲ってもらうとしようかね」
赤鬼「そりゃあ無理な皮算用だ、諦めたほうがいいんじゃねぇか?」
海底の魔女「ふふっ、口の減らない奴らだよ。だがお前達に用事があるのは私じゃあないのさ、そうだなドロシー?」
ドロシー「そうそう!これでめでたく人魚姫が泡になったわけですよ、このおとぎ話は一応は消えずに済みました!拍手ー!」パチパチパチ
赤鬼「そんな事を言うためだけに来たってのか?」
ドロシー「んー…まぁなんていうか、直球なんだけどあんた達をイジメに来たってところかな……まぁ、ぶっちゃけて言うとさキレてるわけですよ、ドロシーちゃんは」
ドロシー「最初この世界であんた達見かけたときさー、人魚姫かおとぎ話かどっちか決めさせてあんた達にドーンと精神ダメージぶつけてやろうって思ってたのにさー。結局のところさ、なにこの結末?」
ドロシー「おとぎ話は消えない。人魚姫は消えたけど……なんつーかさ、一部始終見てたけどあいつ全然自分の事不幸だなんて思ってないじゃん?あんた達どころか誰を恨まずに消えてったし」
ドロシー「私が期待してたのは人魚の事も王子の事もあんたたちの事もぜーんぶ恨んで憎んで悲しみの中であいつが泡になる事だったんだよ?そもそもこれってそういうおとぎ話じゃん」
ドロシー「その方があんた達のダメージもでかいでしょ?でも、それがこんな結果じゃあさーいろいろ頑張った意味無いってのー」
赤ずきん「あら、自分の思い通りにならなかったってから愚痴を言いに来たのね。あれだけ大口叩いて私達を挑発したのに?」フフッ
ドロシー「あー、私に対抗して挑発とかすんのやめた方がいいよ。さっきも言ったっしょ?」
ドロシー「ドロシーちゃんはヘラヘラしてるけどさ、内心ブチキレてんの。いいよ、乗ってあげてもさ。そのやっすい挑発に」カツンカツン
781 :◆oBwZbn5S8kKC :2015/06/07(日)22:57:45 ID:ffb
ブリキ「おい、落ち着け…まだ機会はいつだってあるだろう」
ドロシー「……あー、ごめん。大人げなかった!大人はすぐに暴力振るったりしない、これ豆知識だよーん」テヘペロ
ドロシー「というかそもそもの話がさ……私が嫌いな物って意味不明な精神論とか巧妙な嘘なんだよねー」
赤ずきん「それが今の状況とどういう関係があるのかしら?」
ドロシー「関係ありすぎるってー、そもそも精神論とかってさ詐欺の一種だと思うわけ!」
ドロシー「ありもしない見えもしない物をさもあるように言ったりさ。これこれこういう努力をしたからなになにを得ました、でもそれは目に見えないものですって……詐欺以外の何物でも無いじゃん?宝探しに出たらさ、最終的にこの旅で手に入れた仲間が最高の宝だとかいわれちゃう感じ?」
ドロシー「私の友達がいい例だよ、詐欺師に騙されかけたからね。勇気が欲しいです、あなたは仲間の為に頑張れたから勇気があります。知識が欲しいです、あなたは仲間の為によく考えて動けたので知恵があります。
心が欲しいです、あなたは仲間の為に涙を流せたので心があります……うん、そっか、でさ、それをまず見せてよ、現物をさ。ってなるでしょ?」
赤ずきん「それで、あなたは結局何が言いたいのかしら?」
ドロシー「さからさー、私はあいつが気にいらないわけ。人魚姫の考えってこういう事でしょ?王子の事は諦めたけど王子はきっと共存の為に頑張ってくれる。
人魚は人間と仲良くなれる、なぜなら私の仲間達は良い人ばかりだからきっと共存できる、私は出来ることを頑張った!みんなも協力してくれる!だから私は幸せ!消えても悔いはない!」
ドロシー「うんうん、そっか、で?なんでそうなんの?だから結果を形にしろって言ってんだよ、お前はオズのおっさんかよってなるじゃん?」
ドロシー「共存できた証も平和になった証拠もないのに、幸せそうに消えるとか馬鹿なの?そんなくだらない精神論やら感情論でさ、勝手に幸せ気分になられてもさー?困るわけじゃん?」
赤鬼「何がダメなんだ、いいじゃねぇか仲間を信じてあとを任せたって。形に残らなくてもそこに確かに存在するもんはあるだろう、あいつが幸せに思っているなら…」
ドロシー「根拠も証拠も無いのに幸せだって思いこまれてさ、こっちはいい迷惑だよ。せっかく絶望する人魚姫や赤ずきんと赤鬼が見れると思ったのに、バカバカしいったら無いよねー」ヘラヘラ
赤ずきん「…話にならないわね、結局あなたは思い通りにいかなかったのが悔しいだけじゃないの」
ドロシー「何とでもどーぞ!あっちの玩具が楽しくないならこっちの玩具で遊ぶだけだからさ、結局あんたは私には勝てないんだしー?」クスクス
782 :◆oBwZbn5S8kKC :2015/06/07(日)23:00:20 ID:ffb
赤ずきん「そうね、まだあなたには勝てないわ」
ドロシー「いつかは勝てるみたいな言い方じゃーん?そーいうのは倒してから言ってよ、さぁさぁどうする?マスケット使う?それとも鬼神になる?」クスクス
赤ずきん「決まっているでしょう、逃げるのよ」
赤鬼「まぁ、だろうな…あっちには魔女もいるし数の時点でもう不利だ」
ドロシー「言うと思ったけど逃がさないよー?赤ずきんと赤鬼を遠ざけさえすれば、世界移動できないもんね?キモオタとティンクの時も同じふうに分断したっけ…一人しか世界移動できない奴らの共通の弱点だよねぇ」クスクス
ファサッ バサバサバサ
赤鬼「うおっ!赤ずきんとの間に茨が生い茂りやがった…!鬼神に使ったって言う魔法具か…!」
赤ずきん「急ぐわよ、赤鬼。あなたに触れてなきゃ世界移動はできない、回り込んですぐにでも……!」ダダッ
ドロシー「そんなの許すならわざわざ魔法具使ったりしないって、根っこから植物を生み出すだけがこの灰の魔法じゃないって気付きなよー」ケラケラ
ファサッファサー
赤鬼「空中に撒かれた灰が一瞬で無数の花びらに…!?まずい、視界が覆われちまって…どこだ赤ずきん!」
ドロシー「これなんだったっけ、ああ確か桜吹雪?まぁこんな感じで、灰を撒いて直接花びらを生み出すこともできるわけ!植物だったら見境なく生成できる…この魔法具は本当いろいろできてドロシーちゃんの最近のトレンドなんですわー」ファサーファサー
赤ずきん「世界移動するには赤鬼に触れてなきゃ……でも闇雲に動くのも危険、こうしている間にも次の手が来る…!」
ドロシー「さぁブリキにライオン!あんた達は目が見えなくったって気配で察知出来るでしょ?あ、かかしは今回後方支援ねー?海底の魔女は今回は見学しててー」ニヤニヤ
783 :◆oBwZbn5S8kKC :2015/06/07(日)23:03:07 ID:ffb
ブリキ「気は進まないがな…だが頼まれた以上はやってやろう」ググッ
ライオン「ね、ねぇねぇ僕どっちにいけばいい?出来れば死なない方がいいんだけど…鬼神さんが怖いから赤ずきんちゃんの方で良い?あっ、でももしブリキが……」オドオド
ブリキ「ライオンは赤ずきんの方を頼む…殺さないようにな」
ファサファサー
赤ずきん「赤鬼!無理に動かないで、今は撤退は諦めてあいつらの攻撃に集中しましょう!隙を見て逃げるのよ!」ググッ
赤鬼「ああ!視界を金棒で切り開くか…?いや、赤ずきんとの距離感がわからない以上闇雲に動いてあいつを殴っちまったりしたらまずい…!」
ドロシー「うんうん、私も花びらであいつらの表情見ること出来ないけど、辛そうな声聞けるだけでもちょーっとは気持ちが落ち着くよー!これなら赤ずきん達が苦しむ姿見ればヒーリング効果が期待できるっぽい」ケラケラ
???『……あー、これひどくない?赤ずきんも赤鬼も困ってんじゃん』
赤ずきん「……っ!?」
???『ちょっとよく聞いてほしいんですけどー?まず赤ずきんはねそのまま真後ろに走ってって、赤鬼はそのまま右に五歩くらい歩いてそっからまっすぐ右ってとこかなー?』
赤鬼「ああ……わかった……というかお前……!」ニッ
赤ずきん「忘れていたわ……あなたは消えても存在自体が無になるわけじゃなかったわね…!」フフッ
???『とりあえずそーいうのは後にした方がいいっぽいんじゃない?とりあえず逃げる方が先っしょ?』ヘラヘラ
784 :◆oBwZbn5S8kKC :2015/06/07(日)23:04:55 ID:ffb
タッタッタッタッ
ブリキ「……どういうことだ」
ライオン「あ、あれ……?な、なんで……?」
ドロシー「んー?ブリキにライオン、どうかしたー?」
ライオン「あ、赤ずきんちゃんがね?まっすぐ走りだしたんだけど……なんかね、その先に赤鬼さんが向かってる!」
ドロシー「はぁ?二人とも花びらで視界が奪われてるんだよ?そんなわけないじゃん?」
ライオン「で、でも本当だよ!見えてるみたいに走ってるよ!それか、誰かがお互いの居るところを教えてくれてるとかそんな感じの動き方で……」
ドロシー「……っ」
ドロシー「あー、はいはい……忘れてた、あいつ消滅したわけでも死んだわけでもなかったなー……ドロシーちゃんのうっかりミスですねこれはー」
かかし「うっかりミス…?どういう事だ何が起きていル?説明してくレ!」
ドロシー「おとぎ話【人魚姫】で人魚姫は泡になった後さー、そのまま消えてなくなるわけでも死んだわけでもないんだったじゃん?かかしも覚えてるでしょ?元々の内容をさー」
かかし「確か、人魚姫は泡になった後に空気の精霊になるんだったナ…!しかシ、だとしてもあいつらが精霊と会話できるってのはおかしいだロ!?」
海底の魔女「ははっ、なかなか運に恵まれている奴らだな……私があいつらに渡したのは人魚姫に声を与える魔法じゃない、人魚姫の思念をあの二人に送れる魔法だ」
海底の魔女「口が無かろうが姿が見え無かろうがあいつが精霊になろうが、そこに存在さえしていればその魔法は生きてる。あいつらには目に見えない空気の精霊が道案内してくれているというわけか」クックックッ
海底の魔女「どうするドロシー?あいつに掛けた思念伝達の魔法を解除するか?もちろん、相応の対価は頂くがな?」
ドロシー「やめとく、どーせお高いしもう手遅れっぽいし。あー……つくづくイライラさせる奴だなぁ人魚姫はぁ…!」ガリガリガリ
キモオタ「我輩がおとぎ話の世界に行くですとwww」ティンカーベル「そう」 人魚姫編
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