キモオタ「我輩がおとぎ話の世界に行くですとwww」ティンカーベル「そう」 人魚姫編
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739 :◆oBwZbn5S8kKC :2015/05/31(日)23:29:52 ID:mx2
王子「君が種族の共存を望むなら、君と私の婚姻はそれが可能な事を証明する材料にもなる。だから改めて私は君に……」
グイッ
人魚姫「あははっ、ごめん王子。それはできないや」ヘラヘラ
王子「……姫っ!」
人魚姫「確かに王子の言う通りかもしれないけどさ、やっぱり私達の関係は人魚を嫌う人たちの目には良いものに映らないよ。何かを憎んでる人がどういう感情を持つかなんて、子供の時からいっぱい見てきたから知ってんの」
人魚姫「私たちの関係はいい影響より、悪い影響のほうを強く生むと思うんだ。だからできない」
王子「何故だ!?……君がそこまで耐えなければいけない理由はなんなんだい!?どうしても無理というのなら…私は夢や王子という地位を捨ててでも君と……!」
人魚姫「ストップ!それ以上は言っちゃだめだって。王子が諦めてどうすんの?王子の夢は私の夢なんだからそんなの許さないかんね?」
王子「しかし……!」
人魚姫「ごめん…それに私はもう一個王子に隠してる事があるんだよね」
王子「それがいまさら何だというんだ、君が何を隠していたとしても私はもう驚かない…!」
人魚姫「私の歌を聞いた王子は……『寝ちゃう。でも夕方くらいまでね』……」スゥッ
ラーラララーララー
王子「何故だ……突然、睡魔が……まさか姫、君の……」バタッ
王子「……zzz」
740 :◆oBwZbn5S8kKC :2015/05/31(日)23:34:06 ID:mx2
人魚姫「ごめんね王子、夢を捨ててまでわたしと一緒に居たいって思ってくれたのは正直うれしかったけど…」
人魚姫「やっぱり、夢を叶えて幸せになってよ。王子の夢はわたしの夢、その方がわたしも幸せだしさ」ヘラヘラ
人魚姫「でもさ、わたしの事は忘れちゃった方がいいよ。わたしはもうすぐ泡になって消えるんだ、もう会えないのに思い続けるのって辛いしさ。だからさ、こうしよ」
人魚姫「わたしの歌を聞いた王子は……『目覚めたら、わたしの事全部忘れてる。助けられたことも、恋したことも、存在も全部』…そんで、どこかの優しくて可愛くてさ王子の事大好きな女の子と結婚して、一緒に夢をかなえてよ」スゥッ
人魚姫「……」
人魚姫「……ダメだ、やっぱこれだけは出来ないや……。完全にわたしのわがままだけど、全部忘れるとか、他の女の子と結婚するとか……マジで辛すぎるし……そう思うとどうしても、声が出ない……」ポロポロ
王子「……zzz」
人魚姫「ごめん、王子。王子に辛い思いさせるの嫌とか言ってたくせに、結局わたし自分のことしか考えてないや……わたしは王子に忘れられるのだけは……マジ無理だよ」ポロポロ
人魚姫「どうしても……この恋が無かった事になるのは……耐えられない……」ポロポロ
人魚姫「……」グスングスン
人魚姫「……もう会えなくてもわたしはずっと王子の味方だかんね……だからわたしの歌を聞いた王子は……『夢をあきらめない』。いつか絶対に自分の力で叶えられる」ラーラララーララー
人魚姫「……わたしはもう行くね、でも無理しちゃだめだかんね?わたしがいないからって無茶したらおこだかんね?」クスクス
ナデナデ
人魚姫「じゃあね。バイバイ、王子」スッ
バタンッ
741 :◆oBwZbn5S8kKC :2015/05/31(日)23:36:20 ID:mx2
・・・
数時間後 海底 珊瑚で出来た王宮
ザワザワ ザワザワ
執事魚「えぇーっ!?人間が人魚を襲っているというのは人魚王様の虚言だったんですか!?」
人魚重鎮「その上、被害者の人魚を手に掛けていたのは人魚王様御本人…!?」
人魚兵長「こ、このような事前代未聞ですよ!?いくら平和の為とはいえ国王様が民に手を掛けるなど…!」
ザワザワ ザワザワ
人魚姫「王宮の中心人物だけ集めて会議しただけでこれだけ大騒ぎになんだもん、国民に説明する時はこんなもんじゃないだろーね」
髪の短い人魚「しかし、お父様の悪事は見過ごせるものではありませんからね。もうすでに国民には王宮前に集まってもらうよう連絡を回しています」
人魚姫「後には引けないってことかー……今更、そんなつもりないけどさ」
人魚王「……」モガモガ ギロリッ
人魚兵「しかし、とても信じられない…!国王様が…!」
人魚兵2「だが、仲間の兵が帰ってこないのだって一部は国王様が殺害したからだって姫様は仰ってるし、姫様が嘘を吐いているようには思えないぜ」
人魚兵「ああ、髪の短い姫様はファザコン気味だったしな……国王様を裏切るとは思えないし…」
人魚兵2「そうだよな、しかし……国民がどういう反応を取るか……」
執事魚「姫様、どうして人魚王様の口を縛っておられるのですか?」
髪の短い人魚「……虚言を吐いたとはいえ、お父様の功績は事実ですから……お父様が言葉巧みに兵や国民を騙す可能性は拭えませんからね」
742 :◆oBwZbn5S8kKC :2015/05/31(日)23:38:02 ID:mx2
執事魚「しかし…人魚王様が自らの行いを認めなければ、国民も納得しないのでは…?兵士の中にも信じ切れずにいるものが多くいるようですし…」
ザワザワ ザワザワ
「マジか…?えー…マジで?転職考えるか?」
「うーん、しかしあの国王様が……でも姫様は嘘付いてないだろ、あの方は真面目だから…」
「確かに国王様は姫様への暴力とかやり過ぎなところはあったけど、流石に人魚を殺すとかないんじゃ…?」
「でも傷だらけの姫様もそれはそれで……」
ザワザワ ザワザワ
人魚姫「うん、だから親父の口から直接言わせる。自分がした事と、国民への謝罪をさ」
髪の短い人魚「問題は、お父様が素直に応じてくださるかどうか……」
執事魚「少し、難しいのではありませんか?今だから言いますけど……国王様は少し御自分の考えに固執し過ぎるところがありましたから、だから姫様の意見など聞き入れてくれませんでしたし」
髪の短い人魚「そうですね……まずは私から国民の皆さんに事の顛末と謝罪を行い、そのあとにお父様に自白していただく予定ですが……」
人魚姫「もうそのお父様って言うのやめなよ姉ちゃん、こいつは国を守るためにみんな騙してたんだよ?悪い奴じゃん」
髪の短い人魚「人魚姫、私はお父様がこれを機に心を入れ替えてくださればと思っているんです」
人魚姫「えー…?無理っしょ、だってそもそもが守るために守るべきものを殺すって発想……普通なら出てこないって」
髪の短い人魚「しかし、お父様の行動の根本にあるのは平和を望む心、まだお父様はやり直せると思うの」
743 :◆oBwZbn5S8kKC :2015/05/31(日)23:40:21 ID:mx2
人魚姫「そんなにうまくいかないと思うけどなー……」
髪の短い人魚「容易くない事を夢見ているのは、私もあなたも一緒よ?人魚姫」フフッ
人魚姫「うー、それ言われちゃうと…反論できないんですけどー……」
執事魚「しかし、もしも大勢の前でまた虚言を漏らされては…!場合によっては姫様達を犠牲にする可能性もありますよ!?」
髪の短い人魚「可能性はありますね、お父様にとっては平和の為なら私達を娘としてみてくださらないですから……」
人魚姫「姉ちゃんが親父がまともになる可能性を信じてるってなら……まずは親父の様子を見るよ、予定通りちゃんと直接悪事を告白して貰うことにしてさ」
執事魚「でも、もし、素直に白状されなかったらどうするんです?何か起こってからでは対応が遅れてしまいます…大勢の国民が暴徒と化したら、兵を失っている我が国の軍では…」
髪の短い人魚「お父様の願いは平和です、そのような無茶はしないと思いますが…しかし、あなたには何か考えがあるのですか?人魚姫」
人魚姫「考えって言うかさ……友達に貰った魔法具があるんだ、本当は初めから使ってもいいかなって思うけど、やっぱ親父が罪を認めないときに使うよ」
執事魚「魔法具…いったいどのような…?」
人魚姫「それはその時まで秘密、親父の耳にはいっちゃまずいもんね」
ザワザワ ガヤガヤ
人魚兵「姫様方!お時間です、国民もすでに集まっております……では壇上の方へ、お願いいたします」
髪の短い人魚「いよいよ……ね。うまくいってもいかなくても、私達人魚の世界の歴史が動く瞬間……」ゴクリ
人魚姫「そんなに緊張しなくていいじゃん、むしろ今まで私達の歴史なんて親父の嘘で固められた偽物だったんだしさ」
人魚姫「だからこれは始まりだよ、人魚の世界の。ううん、人魚と人間の歴史のね」
744 :◆oBwZbn5S8kKC :2015/05/31(日)23:42:22 ID:mx2
海底 珊瑚で出来た王宮前
人魚姫「うわっ、これすごいね……めっちゃ集まってんじゃん」
髪の短い人魚「ここからは公の場です、言葉遣いには注意なさい」キリッ
人魚姫「えー、やりにくいなー……」
髪の短い人魚「…普段のような口調では、国民の信用も得られませんよ」ボソッ
人魚姫「うん、わかった…ですわお姉様」
ワーワー ザワザワ ワーワー
「今日は重要な報告があるって事だったが…なんなのかね?」
「人魚姫様の奪還に成功した報告じゃね?」
「しかし、一番上と下の姫様だけで…国王様がおられないようだ」
「見ろよ、一番上の姫様今日もボロボロだぜ、我々の為に戦ってくださったから…人間ども許せん!」
「キャァー!姫様ー!ショートも似合ってますわー!」
「皆の者、静粛に!静粛に!」
ザワザワ……シーン……
髪の短い人魚「みなさん、本日は突然のお願いにも係わらずお集まりいただき感謝しております」
髪の短い人魚「本日皆様にお集まりいただいたのは、我々人魚のこれまでと……そして今後について、重大な報告があるからです」
髪の短い人魚「私達は昨日、国王陛下の指揮の元…人間の住む陸地へと侵攻を試みました。そこで…私にも信じられない真実を知ったのです」
745 :◆oBwZbn5S8kKC :2015/05/31(日)23:43:54 ID:mx2
「あの姫様でも知らないって相当だよな?なんだろ……」
「人間共の更なる悪事に違いねぇだろ…!あいつら恐ろしい奴らだからな…!」
「しかし、それにしても国王様…ま、まさか!?人間の卑劣な刃に…?」
ザワザワ
「静粛に!静粛に!」
髪の短い人魚「これは我々人魚にとって、非常に信じがたい事実でした」
髪の短い人魚「以前より、我々人魚は相次ぐ人魚の行方不明…及び誘拐死亡事件に悩まされてきました。そして、その悪事は……」
「人間だー!全て人間の仕業だー!あいつらをぶち殺せー!」
「そうだそうだー!こっちには姫様の歌声があるんだ!あんな奴ら一捻りだぜ!」
髪の短い人魚「…違います、人魚が襲われていたのは人間の仕業では無かった。それどころか、人間達は私達人魚の存在すら知り得なかったのです」
ザワザワ ザワザワ ザワザワ ザワザワ
「はっ?なに?どゆこと…?」
「姫様は何を仰って…人間が我々の敵では無いなど…ありえんですぞ!」
「きっと極悪な人間に言いくるめられちまったんだ!姫さまー!目ぇ覚ましてくれー!」
髪の短い人魚「いいえ、目を覚ますのは私達人魚の方だったのです。兵士長、お父様をこちらへ」
人魚兵長「はっ!只今!」ザザッ
髪の短い人魚「私達人魚を襲っていたのは……この国を治める王、人魚王だったのです」
746 :◆oBwZbn5S8kKC :2015/05/31(日)23:45:29 ID:mx2
ザワザワ ザワザワ ザワザワ ザワザワ ザワザワ ザワザワ
ザワザワ ザワザワ ザワザワ ザワザワ ザワザワ ザワザワ
「ちょ、姫様ー!いくらなんでもそんな冗談……!」
髪の短い人魚「皆様が驚かれるのも無理ありません、私も信じられませんでした」
髪の短い人魚「ですが…国王陛下自ら人魚を殺し、それを人間の仕業だとすることでこの国は団結を増し、平穏な日常を手に入れていたのです」
髪の短い人魚「陛下は国の平和の為と称し、罪のない人魚を……」
「ちょっと待ってくれ姫様!そんな突拍子もない事言われて信用できねぇよー!」
「そうだそうだー!俺達の人間への怒りを何かに利用しようってならいくら姫様といえど許せねェぞー!」
「国王陛下はどうしたー!陛下が直接申し開きをしてくれねぇと信用できねぇー!」
ザワザワザワザワ
人魚王「……私はここだ、皆の衆」ユラユラ
「こ、国王陛下!?何故そのように縛られておいでで……!」
「国王様ー!姫様の言葉は事実なのですか!?そんなことありませんよねー!?」
「国王陛下ー!真実を、真実を我々国民に!」
人魚王「案ずるな、我は少々……手を打ち損じただけだ。おい、私が演説を開始する……貴様ら、余計な口出しをせぬように」ボソッ
髪の短い人魚「……はい、きちんとした謝罪。お願いします、お父様」スッ
人魚姫「……」
747 :◆oBwZbn5S8kKC :2015/05/31(日)23:52:24 ID:mx2
人魚王「まず、このような大きな騒ぎになった事を諸君に謝罪しよう。すまなかった」
人魚王「平和に暮らす皆の衆を呼び出した事、心苦しく思うが……だが更なる平和の為、大目に見て欲しい」
人魚王「我々は昨日、陸地へと侵攻した……そこで新たな種族に遭遇した。鬼と呼ばれる……悪魔のような角と海獣の如き巨体を持つ恐ろしき種族だ」
髪の短い人魚「……」
人魚姫「……赤鬼の事、恐ろしいとか…!」イライラ
人魚王「そこで出会った鬼という種族…本当に恐ろしいのは身体能力の高さでは無かったのだ……!」
ザワザワ ザワザワ ザワザワ ザワザワ
人魚王「……貴様等、私が民衆の前で謝罪をするなどと……よくもそのような夢物語にすがったものだな」ボソッ
髪の短い人魚「やはり…駄目なのですか?もう、良いでしょうお父様……これ以上、被害を広げる事は……!」
人魚王「私は間違っていない。今まで通りに事を運ぶ事が一番なのだ。私のシナリオはこうだ、『精神を操る鬼という種族の魔手に長女である貴様が犠牲となり、我を捕え虚言を吐いている』とな」
髪の短い人魚「お父様…!何故、何故わかってくださらないのですか…!お父様の望む平和はほかの形で手に入れられます!」
人魚王「わかっていないのは貴様らだ。最優先すべきは真実でも立場でも威厳でも無い、平和を得ることだ」
人魚王「平和こそ全て、争いが起きず全ての民が過ごせるならそれが一番なのだ」
748 :◆oBwZbn5S8kKC :2015/05/31(日)23:55:40 ID:mx2
人魚姫「よーくわかったよ、姉ちゃんがあんなに言うからさ……ちょっと様子見たかったけど、もういいっしょ?姉ちゃん」
髪の短い人魚「……」
人魚王「フン、我に演説の自由を与えた時点で貴様等の負けだ。私は瞬く間に民衆を味方につけ、新たな悪である貴様等を討ち……平和を取り戻す。貴様等には鬼に操られた哀れな人魚として、我が国の平和の礎となってもらう」
ババッ
人魚王「皆の者、よく聞いてほしい!愚かにも私の娘は鬼という種族の魔手によって……」
コロンッ
人魚王の声「皆、よく聞いてよ…いや、よく聞くのだ皆の者!!」
人魚王「何っ…?」バッ
人魚王の声「人魚を殺してたのは実は人間じゃない、人魚を殺していたのは親j…いや、このわたし……!」
人魚王の声「この国王が、人魚を襲撃した張本人!私こそが全ての元凶だったんだ!」
ザワザワ ザワザワ ザワザワ ザワザワ
人魚王「……なんだ、この声は……!貴様か…貴様の仕業か……!」ギロリ
人魚姫「さぁ…私には何の事かよくわかんないんですけどー?どうすんの親父、いやおとーさま?」ヘラヘラ
749 :◆oBwZbn5S8kKC :2015/05/31(日)23:59:31 ID:mx2
今日はここまでです
使い古しの小さな魔法具。
そして王子のキャラ付けに限界訪れる、王子何人出てくるんだよこのss
人魚姫編 次回に続きます
750 :名無しさん@おーぷん :2015/06/01(月)00:01:35 ID:NUB
乙です
ホント人魚王ゲスいなw
751 :名無しさん@おーぷん :2015/06/01(月)00:11:28 ID:37i
乙です
また声が変わる魔法具出てきたww チョークかと思ったけど玉って言ってるしなんだろうね?
752 :名無しさん@おーぷん :2015/06/01(月)00:22:45 ID:PLw
>>1さん乙です!!
先の展開が全く読めない所が最高です
次回の更新も楽しみに待ってます!!
754 :名無しさん@おーぷん :2015/06/01(月)22:32:10 ID:k5l
救いようがねぇなクズ王www
もう殺しちゃいなよwww
755 :名無しさん@おーぷん :2015/06/01(月)23:09:05 ID:cp9
人魚王のクズっぷり一覧
・娘を兵器扱い
・娘への暴力と暴言
・娘を拘束するため鉄を打ち込む
・薬の力を試すために兵を殺す
・国をまとめるため国民を殺す
・それを人間の仕業にして人魚の憎しみを煽る
・口封じに部下を殺す
・娘誕生の第一声が「能力を教えろ」
・拘束されても反省すらしてない
・真実を公表されると、娘の発言は操られてのものだと嘘をつく(未遂)
・その際、鬼は精神を操る能力があると嘘をつく(未遂)
海底で改心するかな?とか思ってたらそんなことはなかった
清々しいクズっぷり
756 :名無しさん@おーぷん :2015/06/02(火)16:22:18 ID:8Sk
>>755
こうして見るとひでえな……
757 :名無しさん@おーぷん :2015/06/02(火)17:00:05 ID:Jrp
うっひょー!もりあがってきたー!
766 :◆oBwZbn5S8kKC :2015/06/07(日)22:23:41 ID:ffb
人魚姫(人魚王ボイス)「もう一度言う!今まで襲撃された人魚は全部私が殺したんだ!人間は本当は全然悪くないんだよ、国王の私が国をまとめるために人間に罪をなすりつけたんだから!」
人魚王「おのれ……!違う!皆の者騙されるな…!この声は……」ゲホゲホ
人魚姫(人魚王ボイス)「これが全ての真相なんだ!人間は私達人魚の事を知りすらしない!それを良いことに人間に憎しみの感情が向くように仕向けて偽物の平和を手に入れたんだ!」
人魚王「クッ…鬼との戦いで消耗してしまったか…民衆へ届くほどの声を張り上げる事が出来ぬ…!」ギリッ
人魚姫「そりゃあさ、わたしだってチョー嫌嫌だったけどレッスンはさせられてんだし、声量には自信あんだよね」ヘラヘラ
人魚王「兵器としての精度を高めようとした事が仇となったか……」ギリッ
人魚姫「結局サボってばっかだったけどさ、戦った後でボロボロの親父の声に勝てるくらいにはでかい声だせるっての」ヘラヘラ
ザワザワ ザワザワ ザワザワ ザワザワ
「に、人魚を殺していたのは人間じゃなかっただって!?」
「それどころか本当の犯人は国王様!?国王は国民を自ら殺していたってのか!?」
「おいおい!いくらなんでもそんなこと……えっ、人間はどうなるんだ?あいつらは悪くないってのか!?」
「いや、でも国王様が自ら仰っていたぞ!?これ…どうなるんだこれ!?」
ザワザワ ザワザワ ザワザワ ザワザワ
髪の短い人魚「望んだ方法では無かったけど、国民たちに真実を伝える事は出来た……でも人魚姫、あなた一体どうやって国王の声を…?」
人魚姫「友達に貰ったんだよ、チョークだったかな?声を自在に変えられる道具?でも出涸らしみたいなもんだから少ししか使えないってさ。でも十分っしょ、親父の声で真実を告げられたんだしさ」
髪の短い人魚「陸にはこのような不思議な道具が……しかし、まだ終わっていません。本当の説得はここからです」
人魚姫「うん、大変なのはこっから。わかってたけど…みんな混乱しちゃてるっぽいしね」
767 :◆oBwZbn5S8kKC :2015/06/07(日)22:26:00 ID:ffb
人魚王「混乱するに決まっているだろう…!何が魔法具だ、何が声の変わるチョークだバカバカしい…貴様がしたことは平和を踏みにじる行為だとわからんのか…!」ギロリ
人魚姫「平和を踏みにじる?なんないでしょそんな事。あんたが皆を騙してたって事を教えただけじゃん、本当の事を教えて何が悪いっての?」
人魚王「馬鹿者め、何度も言わせるな……真実は重要ではない!見ろ、貴様が真実を告げた結果を!大勢の民衆が混乱している、やがてそれは怒りや恐怖に変わる…!無益な人魚同士の争いがまた始まる!」
ザワザワ ザワザワ
人魚王「貴様は青臭い正義感を振り回し、国民を苦しめているに過ぎん!自らのエゴで平和を乱す逆賊め…私が築き上げた国をよくも…!」ギリッ
人魚姫「あーもう!なんとでもいいえばいいじゃん!どーせわたしは不良娘だからさ。でも私は人間も人魚もみんな幸せにするよ、あんたみたいな偽物の平和じゃなくて本物を手に入れるから」
人魚王「平和に本物も偽物も無いのだ、どのような手段を使ってでも手に入れてしまえばそれに違いなど存在しない…!」
人魚姫「もういい…あんた黙っててよ!国民のみんなはあんたが立派な王だって思ってくれてたってのにさ、その気持ちを踏みにじってんのは誰なわけ?あんたっしょ!?」
髪の短い人魚「人魚姫、今は王と言い争う時ではありません。あとは私が皆さんに説明します、あなたにはまだすべき事があるのだから落ち着きなさい」スッ
人魚姫「……わかった、このままじゃみんな混乱したままだもんね」
髪の短い人魚「ええ、真実を知る私達が国民を導かなければ、この国に未来はありません。そして…兵長、もしも暴動が起きてしまった際は私達よりも、国民の安全を優先してください」
人魚兵長「し、しかし……これだけの数の国民が暴徒と化せば……」
髪の短い人魚「お父様の側に居ながらその嘘に長年気がつかなかった私の責任です。それよりも巻き込まれた国民が怪我などせぬよう、お願いします」
人魚兵長「は、はい…お任せください、姫様…!」
人魚王「愚かな…また無意味な争いが人魚同士で行われるだけだ…人間を唯一の敵としていればいいものを…私が、私が唯一正しいというのに…」ブツブツ
768 :◆oBwZbn5S8kKC :2015/06/07(日)22:28:03 ID:ffb
ザワザワ ザワザワ ザワザワ
「こんな時に王達は何をもめているんだ…?この騒ぎで何話しているのか聞こえないが…」
「そんな事どうだってかまわねぇよ!俺達は王に騙されてたって事は事実なんだ、俺達が恨む相手は人間じゃあなかったんだ!」
「俺達はずっと騙されてた!無関係な人間をだしに使われて…あいつの良いように操られていたんだ!」
「うちの娘を殺したのも国王だったんだ…!それを国の為と称して…許せない!」
ザワザワ ザワザワ ザワザワ
髪の短い人魚「真実はみなさんお聞きの通りです。国王は長きにわたる南北の海域間の争いを鎮めるため、そして人魚同士の争いを無くすため…自ら罪のない人魚を殺し、それを人間の仕業とすることで……」
髪の短い人魚「私達の怒りや恨みを人間へと向けさせました。そして、私達姉妹をディーヴァとして海上へ送り出し人間を襲撃させることでその憎しみを少しずつ晴らさせているように見せかけていたのです」
髪の短い人魚「私達が過ごしていた平和な日々は大きな犠牲と国王の虚言によって覆われていたのです。平和のため国民の為とはいえ……国民の平和の為に国民が嘆く事などあってはなりません。そしてそれに気が付けなかった私達も…同罪です」
髪の短い人魚「いくら交流がないとはいえ、比の無い人間を巻き込み無関係な人間を殺すなど……悪魔の所業です」
髪の短い人魚「お父様……いいえ、前王。あなたは国を守る者として……それ以前に、人魚として失格です!」キッ
人魚王「兵器風情が……好き勝手いいおって……!」ギリッ
ザワザワ ザワザワ ザワザワ
髪の短い人魚「兵長、前王を牢へ。決して取り逃がさないよう、そしてどんな言葉であっても耳を貸さないように」
兵長「はい!かしこまりました!」ビシッ
王子「君が種族の共存を望むなら、君と私の婚姻はそれが可能な事を証明する材料にもなる。だから改めて私は君に……」
グイッ
人魚姫「あははっ、ごめん王子。それはできないや」ヘラヘラ
王子「……姫っ!」
人魚姫「確かに王子の言う通りかもしれないけどさ、やっぱり私達の関係は人魚を嫌う人たちの目には良いものに映らないよ。何かを憎んでる人がどういう感情を持つかなんて、子供の時からいっぱい見てきたから知ってんの」
人魚姫「私たちの関係はいい影響より、悪い影響のほうを強く生むと思うんだ。だからできない」
王子「何故だ!?……君がそこまで耐えなければいけない理由はなんなんだい!?どうしても無理というのなら…私は夢や王子という地位を捨ててでも君と……!」
人魚姫「ストップ!それ以上は言っちゃだめだって。王子が諦めてどうすんの?王子の夢は私の夢なんだからそんなの許さないかんね?」
王子「しかし……!」
人魚姫「ごめん…それに私はもう一個王子に隠してる事があるんだよね」
王子「それがいまさら何だというんだ、君が何を隠していたとしても私はもう驚かない…!」
人魚姫「私の歌を聞いた王子は……『寝ちゃう。でも夕方くらいまでね』……」スゥッ
ラーラララーララー
王子「何故だ……突然、睡魔が……まさか姫、君の……」バタッ
王子「……zzz」
740 :◆oBwZbn5S8kKC :2015/05/31(日)23:34:06 ID:mx2
人魚姫「ごめんね王子、夢を捨ててまでわたしと一緒に居たいって思ってくれたのは正直うれしかったけど…」
人魚姫「やっぱり、夢を叶えて幸せになってよ。王子の夢はわたしの夢、その方がわたしも幸せだしさ」ヘラヘラ
人魚姫「でもさ、わたしの事は忘れちゃった方がいいよ。わたしはもうすぐ泡になって消えるんだ、もう会えないのに思い続けるのって辛いしさ。だからさ、こうしよ」
人魚姫「わたしの歌を聞いた王子は……『目覚めたら、わたしの事全部忘れてる。助けられたことも、恋したことも、存在も全部』…そんで、どこかの優しくて可愛くてさ王子の事大好きな女の子と結婚して、一緒に夢をかなえてよ」スゥッ
人魚姫「……」
人魚姫「……ダメだ、やっぱこれだけは出来ないや……。完全にわたしのわがままだけど、全部忘れるとか、他の女の子と結婚するとか……マジで辛すぎるし……そう思うとどうしても、声が出ない……」ポロポロ
王子「……zzz」
人魚姫「ごめん、王子。王子に辛い思いさせるの嫌とか言ってたくせに、結局わたし自分のことしか考えてないや……わたしは王子に忘れられるのだけは……マジ無理だよ」ポロポロ
人魚姫「どうしても……この恋が無かった事になるのは……耐えられない……」ポロポロ
人魚姫「……」グスングスン
人魚姫「……もう会えなくてもわたしはずっと王子の味方だかんね……だからわたしの歌を聞いた王子は……『夢をあきらめない』。いつか絶対に自分の力で叶えられる」ラーラララーララー
人魚姫「……わたしはもう行くね、でも無理しちゃだめだかんね?わたしがいないからって無茶したらおこだかんね?」クスクス
ナデナデ
人魚姫「じゃあね。バイバイ、王子」スッ
バタンッ
741 :◆oBwZbn5S8kKC :2015/05/31(日)23:36:20 ID:mx2
・・・
数時間後 海底 珊瑚で出来た王宮
ザワザワ ザワザワ
執事魚「えぇーっ!?人間が人魚を襲っているというのは人魚王様の虚言だったんですか!?」
人魚重鎮「その上、被害者の人魚を手に掛けていたのは人魚王様御本人…!?」
人魚兵長「こ、このような事前代未聞ですよ!?いくら平和の為とはいえ国王様が民に手を掛けるなど…!」
ザワザワ ザワザワ
人魚姫「王宮の中心人物だけ集めて会議しただけでこれだけ大騒ぎになんだもん、国民に説明する時はこんなもんじゃないだろーね」
髪の短い人魚「しかし、お父様の悪事は見過ごせるものではありませんからね。もうすでに国民には王宮前に集まってもらうよう連絡を回しています」
人魚姫「後には引けないってことかー……今更、そんなつもりないけどさ」
人魚王「……」モガモガ ギロリッ
人魚兵「しかし、とても信じられない…!国王様が…!」
人魚兵2「だが、仲間の兵が帰ってこないのだって一部は国王様が殺害したからだって姫様は仰ってるし、姫様が嘘を吐いているようには思えないぜ」
人魚兵「ああ、髪の短い姫様はファザコン気味だったしな……国王様を裏切るとは思えないし…」
人魚兵2「そうだよな、しかし……国民がどういう反応を取るか……」
執事魚「姫様、どうして人魚王様の口を縛っておられるのですか?」
髪の短い人魚「……虚言を吐いたとはいえ、お父様の功績は事実ですから……お父様が言葉巧みに兵や国民を騙す可能性は拭えませんからね」
742 :◆oBwZbn5S8kKC :2015/05/31(日)23:38:02 ID:mx2
執事魚「しかし…人魚王様が自らの行いを認めなければ、国民も納得しないのでは…?兵士の中にも信じ切れずにいるものが多くいるようですし…」
ザワザワ ザワザワ
「マジか…?えー…マジで?転職考えるか?」
「うーん、しかしあの国王様が……でも姫様は嘘付いてないだろ、あの方は真面目だから…」
「確かに国王様は姫様への暴力とかやり過ぎなところはあったけど、流石に人魚を殺すとかないんじゃ…?」
「でも傷だらけの姫様もそれはそれで……」
ザワザワ ザワザワ
人魚姫「うん、だから親父の口から直接言わせる。自分がした事と、国民への謝罪をさ」
髪の短い人魚「問題は、お父様が素直に応じてくださるかどうか……」
執事魚「少し、難しいのではありませんか?今だから言いますけど……国王様は少し御自分の考えに固執し過ぎるところがありましたから、だから姫様の意見など聞き入れてくれませんでしたし」
髪の短い人魚「そうですね……まずは私から国民の皆さんに事の顛末と謝罪を行い、そのあとにお父様に自白していただく予定ですが……」
人魚姫「もうそのお父様って言うのやめなよ姉ちゃん、こいつは国を守るためにみんな騙してたんだよ?悪い奴じゃん」
髪の短い人魚「人魚姫、私はお父様がこれを機に心を入れ替えてくださればと思っているんです」
人魚姫「えー…?無理っしょ、だってそもそもが守るために守るべきものを殺すって発想……普通なら出てこないって」
髪の短い人魚「しかし、お父様の行動の根本にあるのは平和を望む心、まだお父様はやり直せると思うの」
743 :◆oBwZbn5S8kKC :2015/05/31(日)23:40:21 ID:mx2
人魚姫「そんなにうまくいかないと思うけどなー……」
髪の短い人魚「容易くない事を夢見ているのは、私もあなたも一緒よ?人魚姫」フフッ
人魚姫「うー、それ言われちゃうと…反論できないんですけどー……」
執事魚「しかし、もしも大勢の前でまた虚言を漏らされては…!場合によっては姫様達を犠牲にする可能性もありますよ!?」
髪の短い人魚「可能性はありますね、お父様にとっては平和の為なら私達を娘としてみてくださらないですから……」
人魚姫「姉ちゃんが親父がまともになる可能性を信じてるってなら……まずは親父の様子を見るよ、予定通りちゃんと直接悪事を告白して貰うことにしてさ」
執事魚「でも、もし、素直に白状されなかったらどうするんです?何か起こってからでは対応が遅れてしまいます…大勢の国民が暴徒と化したら、兵を失っている我が国の軍では…」
髪の短い人魚「お父様の願いは平和です、そのような無茶はしないと思いますが…しかし、あなたには何か考えがあるのですか?人魚姫」
人魚姫「考えって言うかさ……友達に貰った魔法具があるんだ、本当は初めから使ってもいいかなって思うけど、やっぱ親父が罪を認めないときに使うよ」
執事魚「魔法具…いったいどのような…?」
人魚姫「それはその時まで秘密、親父の耳にはいっちゃまずいもんね」
ザワザワ ガヤガヤ
人魚兵「姫様方!お時間です、国民もすでに集まっております……では壇上の方へ、お願いいたします」
髪の短い人魚「いよいよ……ね。うまくいってもいかなくても、私達人魚の世界の歴史が動く瞬間……」ゴクリ
人魚姫「そんなに緊張しなくていいじゃん、むしろ今まで私達の歴史なんて親父の嘘で固められた偽物だったんだしさ」
人魚姫「だからこれは始まりだよ、人魚の世界の。ううん、人魚と人間の歴史のね」
海底 珊瑚で出来た王宮前
人魚姫「うわっ、これすごいね……めっちゃ集まってんじゃん」
髪の短い人魚「ここからは公の場です、言葉遣いには注意なさい」キリッ
人魚姫「えー、やりにくいなー……」
髪の短い人魚「…普段のような口調では、国民の信用も得られませんよ」ボソッ
人魚姫「うん、わかった…ですわお姉様」
ワーワー ザワザワ ワーワー
「今日は重要な報告があるって事だったが…なんなのかね?」
「人魚姫様の奪還に成功した報告じゃね?」
「しかし、一番上と下の姫様だけで…国王様がおられないようだ」
「見ろよ、一番上の姫様今日もボロボロだぜ、我々の為に戦ってくださったから…人間ども許せん!」
「キャァー!姫様ー!ショートも似合ってますわー!」
「皆の者、静粛に!静粛に!」
ザワザワ……シーン……
髪の短い人魚「みなさん、本日は突然のお願いにも係わらずお集まりいただき感謝しております」
髪の短い人魚「本日皆様にお集まりいただいたのは、我々人魚のこれまでと……そして今後について、重大な報告があるからです」
髪の短い人魚「私達は昨日、国王陛下の指揮の元…人間の住む陸地へと侵攻を試みました。そこで…私にも信じられない真実を知ったのです」
745 :◆oBwZbn5S8kKC :2015/05/31(日)23:43:54 ID:mx2
「あの姫様でも知らないって相当だよな?なんだろ……」
「人間共の更なる悪事に違いねぇだろ…!あいつら恐ろしい奴らだからな…!」
「しかし、それにしても国王様…ま、まさか!?人間の卑劣な刃に…?」
ザワザワ
「静粛に!静粛に!」
髪の短い人魚「これは我々人魚にとって、非常に信じがたい事実でした」
髪の短い人魚「以前より、我々人魚は相次ぐ人魚の行方不明…及び誘拐死亡事件に悩まされてきました。そして、その悪事は……」
「人間だー!全て人間の仕業だー!あいつらをぶち殺せー!」
「そうだそうだー!こっちには姫様の歌声があるんだ!あんな奴ら一捻りだぜ!」
髪の短い人魚「…違います、人魚が襲われていたのは人間の仕業では無かった。それどころか、人間達は私達人魚の存在すら知り得なかったのです」
ザワザワ ザワザワ ザワザワ ザワザワ
「はっ?なに?どゆこと…?」
「姫様は何を仰って…人間が我々の敵では無いなど…ありえんですぞ!」
「きっと極悪な人間に言いくるめられちまったんだ!姫さまー!目ぇ覚ましてくれー!」
髪の短い人魚「いいえ、目を覚ますのは私達人魚の方だったのです。兵士長、お父様をこちらへ」
人魚兵長「はっ!只今!」ザザッ
髪の短い人魚「私達人魚を襲っていたのは……この国を治める王、人魚王だったのです」
746 :◆oBwZbn5S8kKC :2015/05/31(日)23:45:29 ID:mx2
ザワザワ ザワザワ ザワザワ ザワザワ ザワザワ ザワザワ
ザワザワ ザワザワ ザワザワ ザワザワ ザワザワ ザワザワ
「ちょ、姫様ー!いくらなんでもそんな冗談……!」
髪の短い人魚「皆様が驚かれるのも無理ありません、私も信じられませんでした」
髪の短い人魚「ですが…国王陛下自ら人魚を殺し、それを人間の仕業だとすることでこの国は団結を増し、平穏な日常を手に入れていたのです」
髪の短い人魚「陛下は国の平和の為と称し、罪のない人魚を……」
「ちょっと待ってくれ姫様!そんな突拍子もない事言われて信用できねぇよー!」
「そうだそうだー!俺達の人間への怒りを何かに利用しようってならいくら姫様といえど許せねェぞー!」
「国王陛下はどうしたー!陛下が直接申し開きをしてくれねぇと信用できねぇー!」
ザワザワザワザワ
人魚王「……私はここだ、皆の衆」ユラユラ
「こ、国王陛下!?何故そのように縛られておいでで……!」
「国王様ー!姫様の言葉は事実なのですか!?そんなことありませんよねー!?」
「国王陛下ー!真実を、真実を我々国民に!」
人魚王「案ずるな、我は少々……手を打ち損じただけだ。おい、私が演説を開始する……貴様ら、余計な口出しをせぬように」ボソッ
髪の短い人魚「……はい、きちんとした謝罪。お願いします、お父様」スッ
人魚姫「……」
747 :◆oBwZbn5S8kKC :2015/05/31(日)23:52:24 ID:mx2
人魚王「まず、このような大きな騒ぎになった事を諸君に謝罪しよう。すまなかった」
人魚王「平和に暮らす皆の衆を呼び出した事、心苦しく思うが……だが更なる平和の為、大目に見て欲しい」
人魚王「我々は昨日、陸地へと侵攻した……そこで新たな種族に遭遇した。鬼と呼ばれる……悪魔のような角と海獣の如き巨体を持つ恐ろしき種族だ」
髪の短い人魚「……」
人魚姫「……赤鬼の事、恐ろしいとか…!」イライラ
人魚王「そこで出会った鬼という種族…本当に恐ろしいのは身体能力の高さでは無かったのだ……!」
ザワザワ ザワザワ ザワザワ ザワザワ
人魚王「……貴様等、私が民衆の前で謝罪をするなどと……よくもそのような夢物語にすがったものだな」ボソッ
髪の短い人魚「やはり…駄目なのですか?もう、良いでしょうお父様……これ以上、被害を広げる事は……!」
人魚王「私は間違っていない。今まで通りに事を運ぶ事が一番なのだ。私のシナリオはこうだ、『精神を操る鬼という種族の魔手に長女である貴様が犠牲となり、我を捕え虚言を吐いている』とな」
髪の短い人魚「お父様…!何故、何故わかってくださらないのですか…!お父様の望む平和はほかの形で手に入れられます!」
人魚王「わかっていないのは貴様らだ。最優先すべきは真実でも立場でも威厳でも無い、平和を得ることだ」
人魚王「平和こそ全て、争いが起きず全ての民が過ごせるならそれが一番なのだ」
748 :◆oBwZbn5S8kKC :2015/05/31(日)23:55:40 ID:mx2
人魚姫「よーくわかったよ、姉ちゃんがあんなに言うからさ……ちょっと様子見たかったけど、もういいっしょ?姉ちゃん」
髪の短い人魚「……」
人魚王「フン、我に演説の自由を与えた時点で貴様等の負けだ。私は瞬く間に民衆を味方につけ、新たな悪である貴様等を討ち……平和を取り戻す。貴様等には鬼に操られた哀れな人魚として、我が国の平和の礎となってもらう」
ババッ
人魚王「皆の者、よく聞いてほしい!愚かにも私の娘は鬼という種族の魔手によって……」
コロンッ
人魚王の声「皆、よく聞いてよ…いや、よく聞くのだ皆の者!!」
人魚王「何っ…?」バッ
人魚王の声「人魚を殺してたのは実は人間じゃない、人魚を殺していたのは親j…いや、このわたし……!」
人魚王の声「この国王が、人魚を襲撃した張本人!私こそが全ての元凶だったんだ!」
ザワザワ ザワザワ ザワザワ ザワザワ
人魚王「……なんだ、この声は……!貴様か…貴様の仕業か……!」ギロリ
人魚姫「さぁ…私には何の事かよくわかんないんですけどー?どうすんの親父、いやおとーさま?」ヘラヘラ
749 :◆oBwZbn5S8kKC :2015/05/31(日)23:59:31 ID:mx2
今日はここまでです
使い古しの小さな魔法具。
そして王子のキャラ付けに限界訪れる、王子何人出てくるんだよこのss
人魚姫編 次回に続きます
750 :名無しさん@おーぷん :2015/06/01(月)00:01:35 ID:NUB
乙です
ホント人魚王ゲスいなw
751 :名無しさん@おーぷん :2015/06/01(月)00:11:28 ID:37i
乙です
また声が変わる魔法具出てきたww チョークかと思ったけど玉って言ってるしなんだろうね?
752 :名無しさん@おーぷん :2015/06/01(月)00:22:45 ID:PLw
>>1さん乙です!!
先の展開が全く読めない所が最高です
次回の更新も楽しみに待ってます!!
754 :名無しさん@おーぷん :2015/06/01(月)22:32:10 ID:k5l
救いようがねぇなクズ王www
もう殺しちゃいなよwww
755 :名無しさん@おーぷん :2015/06/01(月)23:09:05 ID:cp9
人魚王のクズっぷり一覧
・娘を兵器扱い
・娘への暴力と暴言
・娘を拘束するため鉄を打ち込む
・薬の力を試すために兵を殺す
・国をまとめるため国民を殺す
・それを人間の仕業にして人魚の憎しみを煽る
・口封じに部下を殺す
・娘誕生の第一声が「能力を教えろ」
・拘束されても反省すらしてない
・真実を公表されると、娘の発言は操られてのものだと嘘をつく(未遂)
・その際、鬼は精神を操る能力があると嘘をつく(未遂)
海底で改心するかな?とか思ってたらそんなことはなかった
清々しいクズっぷり
756 :名無しさん@おーぷん :2015/06/02(火)16:22:18 ID:8Sk
>>755
こうして見るとひでえな……
757 :名無しさん@おーぷん :2015/06/02(火)17:00:05 ID:Jrp
うっひょー!もりあがってきたー!
766 :◆oBwZbn5S8kKC :2015/06/07(日)22:23:41 ID:ffb
人魚姫(人魚王ボイス)「もう一度言う!今まで襲撃された人魚は全部私が殺したんだ!人間は本当は全然悪くないんだよ、国王の私が国をまとめるために人間に罪をなすりつけたんだから!」
人魚王「おのれ……!違う!皆の者騙されるな…!この声は……」ゲホゲホ
人魚姫(人魚王ボイス)「これが全ての真相なんだ!人間は私達人魚の事を知りすらしない!それを良いことに人間に憎しみの感情が向くように仕向けて偽物の平和を手に入れたんだ!」
人魚王「クッ…鬼との戦いで消耗してしまったか…民衆へ届くほどの声を張り上げる事が出来ぬ…!」ギリッ
人魚姫「そりゃあさ、わたしだってチョー嫌嫌だったけどレッスンはさせられてんだし、声量には自信あんだよね」ヘラヘラ
人魚王「兵器としての精度を高めようとした事が仇となったか……」ギリッ
人魚姫「結局サボってばっかだったけどさ、戦った後でボロボロの親父の声に勝てるくらいにはでかい声だせるっての」ヘラヘラ
ザワザワ ザワザワ ザワザワ ザワザワ
「に、人魚を殺していたのは人間じゃなかっただって!?」
「それどころか本当の犯人は国王様!?国王は国民を自ら殺していたってのか!?」
「おいおい!いくらなんでもそんなこと……えっ、人間はどうなるんだ?あいつらは悪くないってのか!?」
「いや、でも国王様が自ら仰っていたぞ!?これ…どうなるんだこれ!?」
ザワザワ ザワザワ ザワザワ ザワザワ
髪の短い人魚「望んだ方法では無かったけど、国民たちに真実を伝える事は出来た……でも人魚姫、あなた一体どうやって国王の声を…?」
人魚姫「友達に貰ったんだよ、チョークだったかな?声を自在に変えられる道具?でも出涸らしみたいなもんだから少ししか使えないってさ。でも十分っしょ、親父の声で真実を告げられたんだしさ」
髪の短い人魚「陸にはこのような不思議な道具が……しかし、まだ終わっていません。本当の説得はここからです」
人魚姫「うん、大変なのはこっから。わかってたけど…みんな混乱しちゃてるっぽいしね」
767 :◆oBwZbn5S8kKC :2015/06/07(日)22:26:00 ID:ffb
人魚王「混乱するに決まっているだろう…!何が魔法具だ、何が声の変わるチョークだバカバカしい…貴様がしたことは平和を踏みにじる行為だとわからんのか…!」ギロリ
人魚姫「平和を踏みにじる?なんないでしょそんな事。あんたが皆を騙してたって事を教えただけじゃん、本当の事を教えて何が悪いっての?」
人魚王「馬鹿者め、何度も言わせるな……真実は重要ではない!見ろ、貴様が真実を告げた結果を!大勢の民衆が混乱している、やがてそれは怒りや恐怖に変わる…!無益な人魚同士の争いがまた始まる!」
ザワザワ ザワザワ
人魚王「貴様は青臭い正義感を振り回し、国民を苦しめているに過ぎん!自らのエゴで平和を乱す逆賊め…私が築き上げた国をよくも…!」ギリッ
人魚姫「あーもう!なんとでもいいえばいいじゃん!どーせわたしは不良娘だからさ。でも私は人間も人魚もみんな幸せにするよ、あんたみたいな偽物の平和じゃなくて本物を手に入れるから」
人魚王「平和に本物も偽物も無いのだ、どのような手段を使ってでも手に入れてしまえばそれに違いなど存在しない…!」
人魚姫「もういい…あんた黙っててよ!国民のみんなはあんたが立派な王だって思ってくれてたってのにさ、その気持ちを踏みにじってんのは誰なわけ?あんたっしょ!?」
髪の短い人魚「人魚姫、今は王と言い争う時ではありません。あとは私が皆さんに説明します、あなたにはまだすべき事があるのだから落ち着きなさい」スッ
人魚姫「……わかった、このままじゃみんな混乱したままだもんね」
髪の短い人魚「ええ、真実を知る私達が国民を導かなければ、この国に未来はありません。そして…兵長、もしも暴動が起きてしまった際は私達よりも、国民の安全を優先してください」
人魚兵長「し、しかし……これだけの数の国民が暴徒と化せば……」
髪の短い人魚「お父様の側に居ながらその嘘に長年気がつかなかった私の責任です。それよりも巻き込まれた国民が怪我などせぬよう、お願いします」
人魚兵長「は、はい…お任せください、姫様…!」
人魚王「愚かな…また無意味な争いが人魚同士で行われるだけだ…人間を唯一の敵としていればいいものを…私が、私が唯一正しいというのに…」ブツブツ
ザワザワ ザワザワ ザワザワ
「こんな時に王達は何をもめているんだ…?この騒ぎで何話しているのか聞こえないが…」
「そんな事どうだってかまわねぇよ!俺達は王に騙されてたって事は事実なんだ、俺達が恨む相手は人間じゃあなかったんだ!」
「俺達はずっと騙されてた!無関係な人間をだしに使われて…あいつの良いように操られていたんだ!」
「うちの娘を殺したのも国王だったんだ…!それを国の為と称して…許せない!」
ザワザワ ザワザワ ザワザワ
髪の短い人魚「真実はみなさんお聞きの通りです。国王は長きにわたる南北の海域間の争いを鎮めるため、そして人魚同士の争いを無くすため…自ら罪のない人魚を殺し、それを人間の仕業とすることで……」
髪の短い人魚「私達の怒りや恨みを人間へと向けさせました。そして、私達姉妹をディーヴァとして海上へ送り出し人間を襲撃させることでその憎しみを少しずつ晴らさせているように見せかけていたのです」
髪の短い人魚「私達が過ごしていた平和な日々は大きな犠牲と国王の虚言によって覆われていたのです。平和のため国民の為とはいえ……国民の平和の為に国民が嘆く事などあってはなりません。そしてそれに気が付けなかった私達も…同罪です」
髪の短い人魚「いくら交流がないとはいえ、比の無い人間を巻き込み無関係な人間を殺すなど……悪魔の所業です」
髪の短い人魚「お父様……いいえ、前王。あなたは国を守る者として……それ以前に、人魚として失格です!」キッ
人魚王「兵器風情が……好き勝手いいおって……!」ギリッ
ザワザワ ザワザワ ザワザワ
髪の短い人魚「兵長、前王を牢へ。決して取り逃がさないよう、そしてどんな言葉であっても耳を貸さないように」
兵長「はい!かしこまりました!」ビシッ
キモオタ「我輩がおとぎ話の世界に行くですとwww」ティンカーベル「そう」 人魚姫編
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キモオタ「我輩がおとぎ話の世界に行くですとwww」ティンカーベル「そう」一覧に戻る
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