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女「あの、顔色悪いけど大丈夫ですか?」 男「・・・え?」

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Part8
145 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/08/03(月) 22:31:27.76 ID:asQMc9Fn0
女「・・・ズルいわ。そんな言い方されたら断りづらいじゃない」
男「断る気だったのかよ・・・」
女「だって、24日なんかに一緒に外出したら誰かに会ってしまうかもしれないじゃない!」
男「・・・本当はお前と一緒なら、家の中でもいい」
女「なっ・・・//」
男「でも、お前が嫌じゃなかったら、お前と外でデートしたい」
女「うう・・//」
男「クラスの奴らは、カラオケとかボーリングとかその辺だろ。そういうとこ外して行けば会わないと思うし」
女「でもっ・・・クリスマスみたいな人が多い日に、車椅子の私と一緒にいたら・・あなたが目立ってしまうから」
男「・・・可愛い彼女連れてるからって事か?」
女「・・・バカ」
男「・・・・で、ダメか?」
女「・・・わかりました・・2つ条件があります」
男「ふふっ」
女「・・・なによぉ」
男「お前、そのパターン多いなって」
女「うるさいわねっ!」

146 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/08/03(月) 22:33:25.80 ID:asQMc9Fn0
男「はいはい、で、なに?」
女「えっと・・ひとつはまず教会に行ってもいいですか?」
男「教会って、キリスト教の教会?」
女「そう。うち、キリスト教みたいだから」
男「別にいいけど、みたいだからってなんで他人事なんだよ」
女「別に、私は神様なんて信じていないから。お父さんがキリスト教だからなんとなく子供のころからクリスマスは教会に行っていたの。中学生くらいから面倒くさくて行っていなかったけど」
男「なんかテキトーだな」
女「ええ。初詣も行くし。でも外出するなら久しぶりに行きたいなと思ったの」
男「はは・・まあ日本のキリスト教なんてそんなもんだよな。別にいいぞ。で、もう一個は?」
女「ええと・・私、寒いの苦手だから、暖かい所がいいの」
男「・・分かった。じゃあ屋内でいいところ、調べとく」
女「・・ありがとう」
男「じゃあ・・思ったより元気みたいだし、オレそろそろ帰るわ」
女「・・うん」
男「・・・」
すっ
女「あっ・・・・・・・ダメ」
男「・・・ほっぺは?」
女「・・・//」こくっ
ちゅっ

147 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/08/03(月) 22:36:18.79 ID:asQMc9Fn0
ここまでにします

148 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/08/03(月) 23:05:32.02 ID:AAB5rFj+O
俺も彼女のお見舞いとかしてみたいなー

149 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/08/03(月) 23:12:17.52 ID:m+XVGpCzo
乙です
待ってる


150 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/08/04(火) 00:56:48.35 ID:t7EdpQUO0
いいなぁ

151 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/08/04(火) 23:08:13.38 ID:Qvi+aIyi0
こんばんは、つづきです

152 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/08/04(火) 23:09:23.05 ID:Qvi+aIyi0
**
The Kingdom of this world is become the Kingdom of our Lord
and of His Christ and He shall reign for ever and ever,・・・
教会というのはどうやらキリスト教徒でない人間も入れるらしい。
さっきから神父?が何かを喋り、それが終わると歌が始まる。
オレが彼女に「どうしてればいいんだ?」と聞くと、歌詞を知らない人はただ聞いていればいいと教えてくれた。
周りを見ると歌っている人が殆どだが、なるほど口が動いていない者もいる。
意外なのは、彼女もまた歌ってはいなかった。
女「もう、だいぶ前の事だし、忘れてしまったの」
彼女はそう言った。
歌が終わると、再び神父が何かを言っている。
神への信仰がどうとか。
神父の言葉を繰り返している者もいれば、ただ聞いてる者もいる。
言葉が終わると、二度目の休憩となった。

153 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/08/04(火) 23:09:51.61 ID:Qvi+aIyi0
女「疲れた?」
男「あー・・いやそんなに疲れてはいない。ただ正直言うと飽きた」
女「そうね。私も飽きたわ。もう出ましょうか?」
男「いいのか?」
女「この後は“感謝の典礼”と“聖体拝領”と書いてあるわ。つまり、ここで半分くらいね」
男「・・・結構長いんだな」
女「うん。私も別に信心深いわけじゃないし・・・それに教会って寒いから嫌なの」
男「そっか・・じゃあ途中で抜けていいなら出ようぜ」
女「うん」
男「お前のおかげで、今日初めての体験できたわ。結構面白かった」
女「あなたが、嫌じゃなかったんなら良かったわ」
男「ん。じゃあ行こうぜ」
オレは、彼女の乗り物を押して、教会の外に出た。
教会内に比べて、やはり外は寒い。
見ると彼女は寒そうに身を縮めていた。
オレは、オレのコートを彼女の膝に乗せて、コーヒーチェーンでホットココアを買った。

154 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/08/04(火) 23:10:35.37 ID:Qvi+aIyi0
女「ありがとう。ココア暖かいよ。あなたも飲んで」
男「ん」
ずず・・
女「・・・私、プラネタリウムって初めてなの」
男「オレも初めてだ」
女「あ、そうなの」
男「だって、彼女でもいない限り来ないだろ。フツー」
女「そういうものかしら?」
男「そうだよ。なんか案内によると、中はだいぶ暖かいみたいだし、かなりリクライニング出来るシートがあって、貸出しの毛布もあるらしい」
女「ありがとう・・・いろいろ気を使ってくれて」
男「・・・オレが、お前のために気を使う事って、別にお礼を言われることじゃないだろ・・・恋人なんだから//」
女「・・・うん//」
男「・・・さ、このビルの中だ」
女「うん」

155 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/08/04(火) 23:11:34.34 ID:Qvi+aIyi0
女「すごい!このイス、とっても快適そうね。部屋も暖かいし」
男「だろ?じゃあ座ってな。オレ、車椅子預けてくるから。ほら」
すっ
女「うん」
がしっ
とす
女「すごいよ。このイス、ふかふか!」
男「ん・・じゃあ、ちょっと待ってて。車椅子預けついでに、毛布も借りてくる」
女「うん」
男「はい、かけるぞ」
女「もう、赤ちゃんじゃないんだからそれくらい自分でできるわよ!」
男「はは、ゴメン」
女「・・・もうっ」
二人掛けのシートに並んで座り、大きな毛布を二人でかけた。
しばらくの後、部屋が暗くなって、天井には星空が広がった。
アナウンスが、冬の夜空の神話を語る。
だがそんなアナウンスをかき消すくらい強く、お互いの息遣いが聞こえた気がした。
毛布の中で、彼女の右手を探り、オレの左手を外れないように絡ませた。
左を見ると、彼女もオレを見ていた。
鼻と鼻がふれた。
男「・・・ダメ?」
女「・・・・・・・・だめ」
オレは彼女の頬に、再びキスをした。

156 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/08/04(火) 23:12:11.07 ID:Qvi+aIyi0
星空は消え、部屋が明るくなった。
アナウンスが客の退出を促す。
しかしながらオレたちは、その場から動かない。
施設の配慮により、オレたちの退出は最後だ。
全ての客が居なくなった後、係員が笑顔で車椅子を運んできた。
女「・・・起き上がらせてください」
リクライニングはかなりの角度になっており、そのままの状態から起き上がるのはそれなりの腹筋力が居る。
だが手元のボタンでリクライニングを起こせば、普通の椅子の角度になる。
それをしないということは、それは、オレに起こしてほしいという、彼女の甘えなのだろう。
男「背中に、手、回すぞ」
女「うん・・・ひゃっ」
男「っしょ・・・はい」
女「・・・//」
とすっ
男「じゃあ、行こうか」
女「・・・・うん//」

157 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/08/04(火) 23:12:43.95 ID:Qvi+aIyi0
女「・・・・さっき・・なんであんな抱き方したの?」
男「嫌だった?」
女「嫌じゃ・・・ないけど・・恥ずかしいじゃない」
男「お前が、そんな事しなくても、自分で動けるの分かってるけど・・・お姫様抱っこっていうの、してみたかった」
女「・・・・//」
男「・・・女」
女「ひゃ・・はいっ」
男「楽しかった?」
女「・・・うん//」
男「良かった・・・メシ、どうする?」
女「お・・男君と、一緒に食べたい・・です」
男「ん。じゃあこのビルの中のレストラン行く?席有ればだけど」
女「うん」
男「じゃあエレベーターだな」
女「うん」

158 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/08/04(火) 23:13:19.61 ID:Qvi+aIyi0
**
女「おいしかったね」
男「ん」
女「・・・じゃあ帰ろっか」
男「そうだな」
女「うん」
男「・・来年も、一緒にどっか行こうな」
女「うん・・・あ、ダメよ。来年は受験でしょ」
男「そうだけど・・・クリスマスくらいいいんじゃねーの?」
女「それはあなたの勉強進み具合で決めます」
男「はは・・・お前らしいわ」
女「もう、男君のためを思って言ってるのよ」
男「はいはい・・・・あー」
女「?」

159 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/08/04(火) 23:13:51.40 ID:Qvi+aIyi0
男「・・・これ」
女「え・・これ・・何?」
男「えっと・・クリスマスプレゼント?」
女「・・・もらっていいの?」
男「・・むしろ貰ってくれないと困る。突っ返されたらどうすりゃいいんだ」
女「うん・・開けていい?」
男「ん」
がさがさ
女「・・・これ」
男「あー・・ただのペンダントだよ。その・・指輪にしようかと思ったけど、よく考えたらお前の指のサイズ知らねーし・・」
女「・・ありがとう。つけていい?」
男「ん。つけてやる」
すっ
女「あっ・・ありがとう//」
かち
男「・・・」
女「に・・似合ってる?」
男「い・・いいんじゃねーの?」
女「うん・・ありがとう」

160 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/08/04(火) 23:15:02.56 ID:Qvi+aIyi0
女「ごめんなさい、私、男君にあげるプレゼント用意してない。今までクリスマスに誰かにプレゼントしたことなんて無かったから・・」
男「いーよ。オレは・・・その・・あれだ。今日お前と・・・その、こうやって一緒に過ごせたからそれでいい」
女「でっ・・・でも」
男「じゃあ、高校卒業して、お前がオレと一緒にいるの、誰にでも言えるようになったら、その時に・・・その・・・指輪とか作らないか?」
女「!」
女「・・・//」
女「・・・考えておきます//」
男「お、おう」
彼女は少し恥ずかしそうに、ずっと目線を落としていた。
オレは、彼女の乗り物が揺れないように慎重に道路を見ながら、彼女の横顔を何度も盗み見た。
彼女はそんなオレの目線に気付いたのか、振り返りこちらに目線を向けた。
目が合って、お互いの顔が赤いのを確認すると、二人はあからさまに目線を逸らした。
彼女は胸元のペンダントを少し触りながら、自分の指先を見ていた。
オレは危なくないようにスピード・ダウンしながら、空を見上げた。
月の明かりと街の明かりが、空の星を覆い隠していた。
さっき見た偽物の星空の方が、よほど美しかったと思った。
彼女の家に着くまで、お互い一言もしゃべれなかったのに、別れ際の“おやすみなさい”はとてももどかしく感じた。

161 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/08/04(火) 23:15:30.93 ID:Qvi+aIyi0
今日はここまでにします

162 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/08/04(火) 23:37:03.05 ID:/zdSiZTr0
いいね

163 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/08/05(水) 07:33:33.16 ID:QBzaSbpdO

待ってる

164 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/08/05(水) 11:04:53.33 ID:IawBs9D10


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