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魔王「世界の半分はやらぬが、淫魔の国をくれてやろう」
Part4


180 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) :2011/11/18(金) 04:04:05.37 ID:FWXUd3AKo
サキュバスB「……おっぱい、触るの……やめないで……」
勇者「良く言えたな」
指先を、頂に向かって進めていく。
そして―――遠慮なく、乳首を捻り上げた。
サキュバスB「あひぃぃぃっ!!」
電流が走る。
有り体にいえば、そうだ。
お預けをくらって待たされた神経は、脳細胞が焼ききれるほどの快楽をもたらした。
絶頂にこそ達してはいないが、ひとたび気を抜くだけで達してしまう。
精神年齢が低めの彼女でさえ、ここで気を抜いてはいけないと感じている。
淫魔の一人として、最も性的魅力に溢れた魔族として、達してはいけない。
乳房を弄ばれただけで達するなど、まるで人間の淫売だ。
達する訳には、いかない。

181 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) :2011/11/18(金) 04:30:39.93 ID:FWXUd3AKo
サキュバスB「…っ……ん、はぁう……」
乳首を重点的に責められながら、健気に耐える。
こりこりと指先で嬲られ、その度に意識が飛んでいきそうになる。
勇者「……顔を、向けるんだ」
言って、彼女の顔を右へ向けさせ、自身の首を右へ若干曲げる。
そのまま――仰向けに重なった状態で、唇を塞ぐ。
彼女は眼を見開き、状況を把握しようと試みた。
同時に両乳首を摘み上げる。
彼女の痙攣が少しずつ大きくなり、やがて背筋を跳ね上げる。
尿道が弛緩し、だらしなく尿を飛び散らせながら、彼女は達してしまった。
きゅうっ、と秘所が収縮し、開き、括約筋を痺れさせる快楽に彼女は震える。
サキュバスB「だ、め……ん、むちゅ……はぁ……い……っちゃう……」

183 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) :2011/11/18(金) 04:55:51.66 ID:FWXUd3AKo
シーツに染みを作り、彼女は一気に現実に戻る。
達したばかりか、失禁までしてしまった事に。
それも、王の上に乗ったままで。
サキュバスB「ご……ごめんなさい……!」
勇者「……構わん」
サキュバスB「すみません……陛下のベッドを穢してしまって……」
勇者「いいさ。こんなに広いんだしな」
サキュバスB「…怒らないんですか?」
勇者「いや。むしろ、こっちこそ調子に乗ってすまない。……お前が、あまりに可愛くてね」

185 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) :2011/11/18(金) 05:20:29.29 ID:FWXUd3AKo
サキュバスB「……Aちゃんが言ってた通りです」
勇者「?」
サキュバスB「陛下が、すごく優しくしてくれて、胸の中があったかくなるって」
勇者「そうか?」
サキュバスB「……もう一回、キスしてください」
勇者「ああ。……いいよ」
言って、彼女を隣に下ろし、横たわったまま唇を合わせる。
艶のある薄い唇を割り、磁器のような歯、歯根を舌でなぞり、じっくりと味わう。
サキュバスB「んふ……、む、ぷふぅ……」
舌先に乗せた唾液が口内へ注がれ、同時に多幸感が過剰なほどに満ち満ちる。
優しく、それでいて激しいキスが彼女の心を侵し、暖かなものが注がれていくのが分かる。
下腹部にじんわりと熱がこもり、不思議な事に、それは単純な色情へ繋がらなかった。
もっと、キスをしたい。
もっと、肌の温もりを感じたい。
もっと――抱き締めてほしい。
それは、『王』へ対して、抱いてはいけない気持ちかもしれなかった。
王の愛情を、この身に受けたい。
ほかの誰にでもなく、自分だけを愛してもらいたい。
しかし、それを望んではいけない。
理解した時、彼女の双眸から、熱いものが零れ落ちた。

204 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) :2011/11/18(金) 23:17:51.59 ID:FWXUd3AKo
勇者「……どうした」
サキュバスB「え……?い、いえ、何でもないんです。ただ……嬉しくて」
勇者「…そうか?」
勇者が、指先で彼女の涙を拭う。
金色の瞳を波立たせながら、彼女は彼の眼を見た。
あまりにも、あまりにも暖かすぎる。
淫魔として生を受けて以来、三千余年。
自分を見る「男」の目が、こんなにも穏やかであった事など無い。
『魅了』を受けた男の、蕩けたような我を失くした目とも違う。
血走り、欲望をむき出した目とも違う。
その目は、まるで。
サキュバスB「……このまま、寝ちゃってもいいですか?」
勇者「…ああ、いいよ」
言って、勇者は彼女の後ろに回していた手を離す。
サキュバスB「…お願いします、離さないで……ください」
勇者「……ああ」

205 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) :2011/11/18(金) 23:18:29.20 ID:FWXUd3AKo
三日目
勇者「ん……」
目が覚めると、すぐ目の前に、彼女の寝顔があった。
左腕を枕にして、右腕を彼女の背中に回して、眠りにつく前と全く同じ体勢で。
腕に倦怠感を感じるが、悪くは無い。
彼女の安心しきった寝顔も、規則正しい寝息も、寝息とともに感じる甘やかな芳香も。
窓の外から響く鳥の唄も、降り注ぐ陽光も、上等の寝台の温もりも。
勇者がこれまでの旅で感じる事が無かった、時の移ろいをも忘れる一時。
堕女神「失礼します、陛下。お目覚めですか?」コンコン
勇者「……入れ。静かにな」
堕女神「はい」
勇者「…おはよう」
堕女神「………これはまた珍しい」
勇者「何が?」
堕女神「彼女が、陛下の前で眠っているなんて」

206 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) :2011/11/18(金) 23:19:09.28 ID:FWXUd3AKo
勇者「……誰だって、夜は寝るだろ?」
堕女神「ですが、普段は朝に奉仕しながら起こすのが一般的な」
勇者「いいんだ。……俺が、いいと言ったんだから」
堕女神「陛下が良いのなら。……早速ですが、ご依頼の陛下の彫像と肖像画が届きました」
勇者「……見に行きたいが、これではな」
堕女神「起こせばいいでしょう」
勇者「正論だな」
堕女神「……では、後20分、部屋の外で待ちましょう。それまでに何とかしてください」
勇者「ああ、助かるよ」
堕女神「………」
勇者「どうした?」
堕女神「…いえ、何でも」パタン

207 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) :2011/11/18(金) 23:20:01.55 ID:FWXUd3AKo
勇者「……おい、起きろ」
サキュバスB「ううん……」
勇者「起きろってば」
サキュバスB「………」
勇者「………俺にも考えがあるぞ」ズブッ
サキュバスB「ひゃあぁっ!」
勇者「おはよう、よく眠れたか?」グリグリ
サキュバスB「い、ひ……お尻……に……」
勇者「俺は、早く肖像画を確かめたいんだ。困らせないでくれよ」ヌプッ
サキュバスB「…お尻なんて……汚いですよ」

208 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) :2011/11/18(金) 23:20:32.82 ID:FWXUd3AKo
勇者「…その割に、随分と気持ちよさげだったじゃないか」
サキュバスB「ち、違……びっくりしただけです……」
勇者「さて、起きたんなら俺は行くぞ」
サキュバスB「……はい」
勇者「お前の寝顔、可愛かったな」
サキュバスB「そ、そんな事ないですっ!」
勇者「照れるなよ。……それじゃ」
サキュバスB「……やっぱり、意地悪です」

209 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) :2011/11/18(金) 23:20:58.26 ID:FWXUd3AKo
勇者「さっき、何か言いたそうだったな」
堕女神「いえ、特に」
勇者「……そんな事ないだろ?」
堕女神「いえ」
勇者「……ひょっとして、妬いてるとか?」
堕女神「そんな訳はありません」
勇者「つまり、俺に興味が無いと」
堕女神「誘導尋問はやめてください」
勇者「それはそうと、まず朝食にしたい」
堕女神「はい、そう仰られると思って準備は整えております」

210 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) :2011/11/18(金) 23:21:27.89 ID:FWXUd3AKo
食後
勇者「……ふぅ。相変わらずのお手前」
堕女神「少しお休みになられたら、肖像画をご覧になってください。玉座の間に運び込んでおりますので」
勇者「堕女神は、もう見たのか?」
堕女神「とんでもない。陛下より先になど」
勇者「そうか。……さて、このお茶を飲み終えたら行くとしようか」
堕女神「……陛下、お耳に入れたい事が」
勇者「ん……?聞こうか」
堕女神「取るに足らない事ではありますが。……南方のオークの群生地で、何らかの異変が起こったとの事」
勇者「何かあったのか」
堕女神「何者かに侵略を受けたのか、それとも他種族との諍いか分かりませんが、力を失いつつあるそうです」
勇者「……あるいは内乱、という所か?」
堕女神「定かではありませんが、不安の種には違いありません。現在、調査中です」
勇者「ふむ」
堕女神「さて、行きましょう。続きは玉座の間にて」
勇者「ああ、分かったよ」

211 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) :2011/11/18(金) 23:22:16.74 ID:FWXUd3AKo
勇者「ほう……。デカいな」
玉座の間に入ると、すぐに、大きな幕で覆われた額縁が目に入る。
その傍らには、小柄な、堕天使と思われる種族の画家が立っていた。
勇者「……さて、早速だが見せてくれるか?」
そう言うと、画家は幕の縁に手をかけ、一気に引き摺り下ろす。
ばさ、と翻り、その下から、王の姿を描いた肖像画が現れた。
勇者「………どういう、事だ」
画家「……お、お気に召しませんでしたか?」
勇者「……どうして」
画家「え?」
         
勇者「どうして……『俺』が描かれているんだ?」

212 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) :2011/11/18(金) 23:22:56.97 ID:FWXUd3AKo
描かれているのは、紛れも無く……”勇者”だった。
精密に、写実的に、誤魔化しも美化も一切ない、ありのままを描いた絵。
画家「ど、どうしてと申されましても……陛下の肖像画を、との事でしたので」
勇者「……いつだ?いつから描いていた?」
画家「ご依頼をいただいてすぐ。三ヶ月ほど前から」
勇者「…………そんなはずが、あるか」
間違いなく、今日で三日目。
淫魔の国の王となって、三日目。
にもかかわらず、三ヶ月前の絵に「自分」が描かれていた。
吐き気がする。
何か、自分の理解を著しく超えた、何かの存在を感じて。
この体験には、気楽に捉えられない何かがある。
魔王の罠、というのも考えられた。
ともすれば――この国自体が、勇者に対する罠、なのか。

213 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) :2011/11/18(金) 23:23:30.97 ID:FWXUd3AKo
勇者「………すまん。寝室に戻らせてもらう」
堕女神「陛下、お体の具合でも悪いのですか?」
勇者「少しな。……誰も、部屋に近づけないでくれ」
堕女神「……肖像画に、ご不満な点が?」
勇者「違う。肖像画には……不満は無い。よくやった」
画家「お、お褒めに与り光栄です」
勇者「……少し休ませてくれ」
堕女神「はい。……後ほど、薬と食事をお運びいたします」

214 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) :2011/11/18(金) 23:23:59.93 ID:FWXUd3AKo
寝室
勇者「どういう事なんだ!」
魔王「……見てきたか。随分といい出来栄えではないか?『陛下』」
誰もいない寝室で、虚空に向かって叫ぶ。
間髪いれず、勇者にだけ聞こえる声が響く。
勇者「この国自体が、貴様のまやかしか」
魔王「……全く、貴様ら人間はいつもそうなのだな」
勇者「何だと?」
魔王「全てを我のせいにして、事態の説明をつけようとする。
   我とて神ではない。不死身ではない。『魔王』も万能ではないというのに」
勇者「では、一体何だ?何が起こっている!?」
魔王「答え合わせは、七日目を終えた時だ。それまで考える事だな」
勇者「……待て、まだ話は……!」

215 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(長屋) :2011/11/18(金) 23:24:51.71 ID:Jk8AVD54o
面白くなってきたな・・・

216 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(東京都) :2011/11/18(金) 23:29:33.90 ID:ayXqrXy0o
エロエロしてるだけのSSではないというのか

236 : ◆1UOAiS.xYWtC :2011/11/20(日) 00:39:05.18 ID:8wA7k1OJo
酉はこれで行こうと思います
それでは、投下いたします

237 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(チベット自治区) :2011/11/20(日) 00:39:44.81 ID:EpvY7uBt0
さあこい

238 : ◆1UOAiS.xYWtC :2011/11/20(日) 00:39:51.12 ID:8wA7k1OJo
勇者「………クソ、何なんだよ……意味が分からない」
どこまで、魔王が関わっている?
自分が何故、三ヶ月以上前からこの国の王となっている?
欲望のままに生き、彼女らを激しく求めていたのも自分だった?
勇者「畜生っ!!」
白い壁に、衝撃が走る。
叩きつけた拳の方が痛み、その痛みは、勇者を今少し落ち着かせた。
無言でベッドに腰掛ける。
どうやらシーツは未だ取り替えていないらしく、朝と同じ、乱れたままの状態だ。
夜を共にした淫魔の香りもまだ残っている。
勇者「魔王……全部、お前の生み出した幻なんだろう?そうだと言ってくれ……」
無力感、頭を埋め尽くす無数の疑問符、そして魔王に対しての複雑な感情。
それは堂々巡りを繰り返し、勇者の精神を蝕んでいく、毒。

239 : ◆1UOAiS.xYWtC :2011/11/20(日) 00:40:30.24 ID:8wA7k1OJo
堕女神「失礼します。お薬をお持ちしました」
勇者「………」
堕女神「……陛下?入ってもよろしいでしょうか?」
勇者「……入れ」
堕女神「それでは、失礼いたします」
勇者「おい」
堕女神「はい、何でしょう?」
勇者「……俺は、誰だ?」
堕女神「…質問の意図が分かりかねます」
勇者「…答えろよ!俺について、何を知っている!?」

240 : ◆1UOAiS.xYWtC :2011/11/20(日) 00:41:21.97 ID:8wA7k1OJo
堕女神の細い首を片手で掴み、引きずり倒す。
一瞬の事だった。
彼女は小さな悲鳴とともに、ベッドの上に叩きつけられた。
堕女神「陛下……!いったい…何を?」
勇者「命令だ。……『俺』についてお前の知っている事を、全て言え」
堕女神「…あなたは、『淫魔の国』の王です」
勇者「いつからだ!?」
堕女神「ぐっ……3年ほど前、あなたは王座に就かれました」
勇者「その他は?」
質問のたび、無意識のうちに首を掴む手に力が篭る。
あとほんの少し力を入れただけで、へし折れてしまいそうなほどにか弱い。
堕女神「…あな…た……は、か…つて……『勇者』……だった……」

241 : ◆1UOAiS.xYWtC :2011/11/20(日) 00:42:10.38 ID:8wA7k1OJo
絞り出した声、紅潮して息苦しさに喘ぐ顔、紫色に残る指の痕。
彼女の、淫魔の国の住人から初めて飛び出した、幾度と無く呼ばれた、『彼』を差す言葉。
その二つが合わさり、やっと、彼は冷静さを取り戻した。
首に巻かれていた手から力が抜けると同時に激しくむせ返り、
遮断されていた分の酸素を取り込もうと彼女の鼻と口が一気に稼動する。
勇者「……今……なんて…?」
堕女神「はぁ、はぁ……。…お忘れになられたの……ですか?あなたは、人界の『勇者』だったのです」
勇者「………え…?」
堕女神「あなたが夜毎、添い寝役をいたぶりながら口にしておられた事です」
勇者「何だ、それ」
堕女神「陛下、何が起こられたのですか?……ここ三日ほどの陛下は、まるで別人です」
勇者「……俺にも分からないよ」

242 : ◆1UOAiS.xYWtC :2011/11/20(日) 00:42:51.31 ID:8wA7k1OJo
堕女神「…お体の具合は、戻られましたか?」
会話の切れ目に発せられた言葉は、心から、勇者の体を案じているように受け取れた。
突如締め上げ詰問を浴びせるという暴挙に出てなお、彼女は『女神』のような言葉を口にした。
勇者「…すまなかった。許してくれ」
堕女神「……いえ、お気になさらないで下さい。……『慣れて』おります」
勇者「………」
堕女神「陛下?」
勇者「……今日、他の予定は?」
堕女神「午後から、南方のオークの動乱を受け国境警備の見直しを。その後も雑務が少々」
勇者「…分かった、行こう」
堕女神「はい」

243 : ◆1UOAiS.xYWtC :2011/11/20(日) 00:43:51.72 ID:8wA7k1OJo
内容として、そう難しくはならなかった。
とにかくオークの内部で何かが起こっている。あるいは外部からの刺激を受け、オーク全体が不安定になっている。
どのような事になるかの予想もつかないため、差し当たって、南方の砦へ援軍を送っておく。
調査も並行して行い、事態の把握に努める。
妥当な落とし処というか、それ以外にすべき事は見つからない。
勇者「……オーク、か」
亜人種としては耳慣れた存在。
豚のように醜く、知能が低く凶暴、最低限度として族長を上に置いた階級社会が形成されているものの、
その族長すら何度も入れ替わるという有様。
性欲が異常なほど高く、エルフであろうが人間であろうが犯し、エルフ以外の全ての種族を受胎させる事が可能。
魔族に対してもそうなのかは不明であるが、警戒するに越した事は無いだろう。
堕女神「ここ数十年は落ち着いていたのですが、それだけに気になりますね」
勇者「ふむ、なるほど」

244 : ◆1UOAiS.xYWtC :2011/11/20(日) 00:44:22.72 ID:8wA7k1OJo
勇者「一度、視察に行きたいな」
堕女神「…陛下が、御自ら……ですか?」
勇者「いけないか?」
堕女神「いえ、そのような事は……」
勇者「それとも、『珍しい』?」
堕女神「……畏れながら」
勇者「…すまん、困らせた。……ともかく、視察には行きたい」
堕女神「はい。……それでは、明日にでも出発いたしましょう」
勇者「やけに段取りが早いな」
堕女神「恐れ入ります」

249 : ◆1UOAiS.xYWtC :2011/11/20(日) 01:07:45.25 ID:8wA7k1OJo
勇者が、憂愁に閉ざされた面持ちで、中庭から夕日を見つめる。
分からない事だらけだ。
自分の存在も、そもそもこの淫魔達の国は、人界なのかそれとも魔界なのか。
四日後に、魔王とどんな面で戦えばいいのか。
どこまでが、魔王の陰謀なのか。
徐々に山の向こうに夕日が落ちていき、空が薄橙を経て紫へと変化する。
美しい、と表現はできるが、それと同時に、虚しい。
サキュバスA「お風邪を召されますよ」
勇者「お前か」
いつの間にか、隣に淫魔の一人が佇んでいた。
中庭を望む小高いテラスに、並んで夕日を見つめる勇者と淫魔。
サキュバスA「陛下、何かお悩みが?」
勇者「……まぁな」
サキュバスA「……あの日の朝から、まるで別人のようですわ」
勇者「…ある意味、別人なのかもな」
サキュバスA「さながら……『勇者』のように、活力と慈愛と、そして淀んでいない精力を感じますもの」

250 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) :2011/11/20(日) 01:18:50.93 ID:wRnvwhAVo
エロいだけじゃない!

251 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(不明なsoftbank) :2011/11/20(日) 01:29:35.17 ID:gb2Ob/nEo
この文章好きだわ