魔法使い「メラしか使えない」
Part7
92 : ◆J9pjHtW.ylNB :2014/12/14(日) 01:03:00.85 ID:cFZqRu7AO
エルフ兵「人間……こんな奥地にまで……」
どうやら普通のエルフには歓迎されていないらしい
これが普通だよね
なんだか落ち着いた
女兵士「ちょっと手合わせしないっすか?」
エルフ兵「なに?」
エルフ長老「あ、面白そう〜!」
魔法使い「ふむ、戦力は把握しておきたい」
魔法使い「確認するけど、戦争を止めたらいいんだよね?」
エルフ長老「うん……ん…………まさか……?」
勘は悪くないんだなあ、流石はエルフの長老だ
エルフ長老「魔法使い殿〜、お主も悪よのう〜!」
魔法使い「長老こそ」
エルフ長老「んふふ、あいつらにうちの娘だいぶ拐かされたからね〜!」
エルフ長老「はっきり言ってご立腹なの〜!」
エルフ長老「エルフ兵ちゃん、思いっきりやっておしまい!」
エルフ兵「えっ、はあ……」
女兵士「さあさあ、やるっすよ〜!」
エルフ兵と女兵士はその場で打ち合いを始めた
エルフ兵は隙を見ては魔法を放つ
攻撃魔法から呪詛まで、かなり幅が広い
だが金に物を言わせて揃えた女兵士の装備は魔法に強い、いわゆる魔法の鎧だ
面白い戦いになってきた
93 : ◆J9pjHtW.ylNB :2014/12/14(日) 01:04:39.88 ID:cFZqRu7AO
エルフ兵「くっ、やるな!」
女兵士「力じゃ負けないっす!」
そうは言いつつも女兵士も頭を使い、剣を振りかざし魔法を放つ
対ドラゴンに用意した剣、吹雪の剣だ
勝負は女兵士に分があった
エルフ長老「まあ、そこまでだね〜」
魔法使い「そうそう、力の振るい所が違うしね」
エルフの長老はしっかりとした口調で言った
エルフ長老「エルフ兵さん、女兵士さん、懲らしめてやりなさい!」
導師「誰を?!」
魔法使い「南の国の軍を沈黙させ、こちらに有利な条約を突きつける」
導師「ひょえっ!?」
導師はたった四人で軍隊と戦うと思ったらしく、かなり慌てた
まあそれでも良いのだが
魔法使い「軍隊はエルフさんたちに借りる」
魔法使い「私達は敵陣をかき回すだけ」
女兵士「おおっ」
エルフ兵「出来るのか?」
魔法使い「まあ多分」
導師「でも……場合によってはドラゴンより厳しい敵ですよ?」
魔法使い「まあね」
94 : ◆J9pjHtW.ylNB :2014/12/14(日) 01:07:55.64 ID:cFZqRu7AO
私達は長老に書状と証をもらい、エルフ軍本陣に向かう
本陣ではエルフにしてはゴツゴツした兵士達がたむろしていた
いい雰囲気だ
士気は低くない
やはり弓兵が多い
基本的な戦術は森での待ち伏せのようだ
エルフの将軍に会う
エルフ将軍「ふむ、この間延びした文体は確かに長老の書状、協力傷み入る」
そこで判断するのか
私は戦場の状況、密偵の報告から割り出した敵陣の形状を把握する
敵兵は二万、こちらは五千
これで良く守っているな……
まず私は全軍を退かせるように提案
エルフ将軍「なっ……」
導師「守りの軍退いちゃうんですか?」
魔法使い「うん」
エルフ将軍「なるほど、敵を……誘い入れると言う事か」
魔法使い「察しがいい」
私は地図を指し示す
魔法使い「ここに水場があるから、多分この辺りに兵糧庫がある」
魔法使い「私達はそれを焼きに行く」
エルフ将軍「むう……」
将軍は頭を掻いた
私の提案をどうして思いつかなかったのか、と言った風だ
しかし敵陣奥に斬り込める兵がいないとこの策は成立しない
だから今
私達が来たから出来る策なのだ
95 : ◆J9pjHtW.ylNB :2014/12/14(日) 01:11:01.42 ID:cFZqRu7AO
翌朝、私達は数人の兵を伴い移動
部隊を退く前に前線から森の中に隠れる
エルフの特徴である尖った耳を隠し、エルフ兵達が先導する
もし見つかっても旅人と見せるためだ
準備が整うとゆっくり前線の部隊が退いていく
しばらくは息を潜めるしかない
非常用の糧食を食べる
火が使えないので冷えてるが、仕方ない
そのまま数日……冷たい糧食に飽きた頃
導師「……敵が動き始めました!」
女兵士「早くこい〜早くこい〜」
エルフ兵「これで……」
魔法使い「敵の補給線は延びきり、そのタイミングで兵糧庫を焼き討ちしたらパニックに陥る」
エルフ兵「そこを本陣から火矢で攻める……」
魔法使い「挟み撃ち」
エルフ兵「森を焼いてしまうのは胸が痛むが、しかし……」
魔法使い「エルフさん達には思い付きづらい戦術かもね……」
導師「森が無くなっちゃう……」
女兵士「戦争っすから、仕方ないっすね……」
エルフ兵「だが、だからこそ敵の裏を突ける……!」
魔法使い「ぐずぐずしてたら兵站を移されてしまう、敵の大隊が通り過ぎたら行くよ」
エルフ兵「分かりました」
女兵士「ラジャっす」
導師「緊張してきました〜!」
96 : ◆J9pjHtW.ylNB :2014/12/14(日) 01:13:44.42 ID:cFZqRu7AO
しばらくは森の中を進む
しかし街道に出ると所々警戒が強い場所がある
強行突破するには距離があるので遠回りして奥へ、奥へ
女兵士「あ、美味そうな猪がいる」
魔法使い「勝ったらたっぷり食べよう」
女兵士「しばらくはひもじいのも仕方ないっすね」
ほぼ半日歩き、ようやく水場を確認
この近くに兵糧庫が無ければ不味いが、当然敵も隠しているはず
どこにあるのか……
暗闇の中、兵の出入りの激しいポイントを見つけた
エルフ兵「ここだな……!」
女兵士「行きましょう!」
やっと思いっきり戦える
一度に五十人程度なら不意打ちで倒せるはず
まず森の中から兵糧庫に
魔法使い「メラメラメラメラメラ……」
積み上がった小麦粉が吹き出し、爆発を起こす
導師「わわっ、フバーハ!」
導師は炎を防ぐ呪文を放った
魔法使い「少し離れた方がいい」
かなり広い兵糧庫を焼き尽くし、敵の退路を断つために数ヶ所で火を放つ
何人かなぎ倒した末、敵将と思しき人物に遭遇した
敵将「ひ、火を放ったは貴様等か!」
敵将「……ネズミがっ!」
あの敵将が着ている鎧は魔法の鎧だ
私は前に出た
97 : ◆J9pjHtW.ylNB :2014/12/14(日) 01:16:40.26 ID:cFZqRu7AO
女兵士「お師さん、そいつにメラは……!」
私は、にやりと笑う
魔法使い「メラメラメラメラメラメラメラメラメラメラ」
敵将「な、なんじゃこのメラは……空中で止まっとる……」
魔法使い「メラメラメラメラメラメラメラメラメラ……」
敵将「はははっ、ワシにこんな小さい魔法など効く……きぐっ?!」
敵将は急にもがき始めた
魔法使い「残念……酸素を吸わないと人間は死ぬ」
導師「お師匠様、空気を焼いて……」
女兵士「魔法防御関係ねえな……!」
私はメラを消し、敵将を縛り上げ
導師に蘇生をかけさせた
導師「ザオラル!」
敵将「……はっ!?」
魔法使い「捕虜ゲット〜」
エルフ兵「ははっ、お見事だ」
私達は捕虜に聞き出した敵兵の手薄な所を奇襲し、焼き討ち
これで南の国への退路を断った
その後エルフ達の攻勢に遭った敵の大隊は城塞都市に逃げていった
私達は南の国に程近い山の中に身を隠してタイミングを見計らう
……南の国に乗り込む
エルフ達はもぬけの殻になった敵の砦を次々に占領
これで勝ちは決まった
98 : ◆J9pjHtW.ylNB :2014/12/14(日) 01:19:13.43 ID:cFZqRu7AO
……………………
南の王「して」
南の王「エルフの森への不可侵」
南の王「武装の解除と降伏宣言、これは分かる」
南の王「ふふふ……エルフに不埒を働いた者達の処刑、これも当然と言えよう」
南の王「……で、じゃ……」
南の王「なんでワシが裸で土下座行脚せねばならんのじゃ!!」
魔法使い「メラ」
南の王「痛いッ!」
魔法使い「パンツははいて良い」
魔法使い「まだ何か?」
南の王「じゃって、ワシ六十……」
魔法使い「メラ」
南の王「ギャッ!」
南の王「その小さいメラ地味に痛いのじゃ!」
魔法使い「犬の躾用?」
南の王「動物虐待反対じゃっ!」
魔法使い「あんたが無駄に戦争を起こした結果苦しんだ領民に謝罪するだけ」
魔法使い「別に敵に謝れとは言ってない」
南の王「しかしっ、王の威厳が……」
魔法使い「あんたが居なくても代わりいっぱいいるから」
魔法使い「あんたんとこの捕虜に聞いた所、反戦派の王族がいるらしいね」
魔法使い「その人に治めてもらうわ」
南の王「ワシ恥のかき損ッ!!」
魔法使い「メラ」
南の王「痛いッ!」
魔法使い「ちょっと面白かった」
南の王「ひどい」
99 : ◆J9pjHtW.ylNB :2014/12/14(日) 01:22:39.12 ID:cFZqRu7AO
こうして数日後には南の国は反戦派の国王を立て、エルフとの共存を宣言した
魔法使い「よし、なんとか終わった、帰ろ」
エルフ兵「エルフの国で戦勝祝いの準備がしてあります」
導師「やっとゆっくり温かいもの食べられますね〜」
女兵士「もう今ならマタンゴ肉でもかじりつきたいっすよ〜」
魔法使い「長老に頼んどく」
女兵士「ちょっ」
冗談っすよ〜、とか言ってたが晩餐にマタンゴ肉の塩漬けがあったのを気付かず食べていた
美味しそうな顔をしてたから内緒にしておこう
エルフ長老「いや〜、魔法使いちゃんお見事〜!」
エルフ長老「ひと月も待たずに戦争終わっちゃったよ〜!」
魔法使い「森焼いちゃったけどね」
エルフ長老「それはこれから人間達と植樹してなんとか蘇らせる〜」
魔法使い「そう言えば呪いを解ける人を教えてもらえるんだった」
導師「……いよいよですね……!」
エルフ長老「まあまあ、ちょっとアレな話だからさ〜」
エルフ長老「今日は戦勝祝いを楽しんでね〜!」
魔法使い「楽しむ」
導師「お師匠様、鹿肉がありますよ〜!」
魔法使い「食う」
エルフ兵「面白い人だ……」
エルフ長老「エルフ兵ちゃん〜、分かってるよね〜?」
エルフ兵「はい」
エルフ兵「彼女を無事にあそこに送り届けます」
100 : ◆J9pjHtW.ylNB :2014/12/14(日) 01:25:09.67 ID:cFZqRu7AO
楽しい宴が始まる
ドラゴン肉パーティー以来の充実感
ただエルフは小食でお酒はわりと飲むタイプ
私は森で猪を見つけ、エルフの弓兵に捕らえてもらう
森の中で手早く解体し、スライスして野菜と炒めたりして調理
晩餐を盛り上げた
エルフ長老「主役なのに何やってんの〜、あははっ!」
女兵士「いや美味いっすよこれ!」
導師「久し振りのたっぷりお肉っ!」
エルフ兵「ははっ、飽きない旅が出来そうだな」
女兵士「おー、楽しいよ!」
導師「けものパーティーにようこそ!」
エルフ長老「いーねー、ナチュラルでワイルドだね〜!」
たっぷりと楽しんだ後、エルフの宿屋でお風呂とベッドにありついた
すっかり疲れが取れて、朝
長老の下に集まる
長老「じゃあ皆、ちょっと魔王の国に行ってもらうよ〜!」
魔法使い「まあここまで来たら魔王の国しか無いよね」
導師「い、いよいよですね」
女兵士「めっちゃ駆け足だった気がするなあ」
エルフ兵「……」
エルフ兵「道案内は任せて欲しい」
魔法使い「魔王の国なのに道案内、ね……」
エルフ長老「魔法使いちゃん察しがいいね〜、隠しても無駄かな〜」
101 : ◆J9pjHtW.ylNB :2014/12/14(日) 01:27:25.55 ID:cFZqRu7AO
エルフ兵「魔王の国で会うのは、私の姉です」
魔法使い「!」
導師「魔王の国に住むエルフもいるんですね?」
女兵士「何のために?」
エルフ兵「それは……知らない」
魔法使い「その回答、無難」
導師「言えない事情も有りますよね」
エルフ長老「怖いな〜」
魔法使い「まあ、聞かないでおく」
エルフ兵「すみません……」
恐らくエルフと魔王の間には何らかの密約があるのだろう
その事を人間に知られたらまた再び攻められるかも知れない、と……
エルフ兵はロバ車に荷物を積み込んだ
いよいよ魔王の拠点、魔王領へ……!
導師「ふぁいとーっ!」
女兵士「叫んだら魔物出るよ姐さん」
エルフ兵「この近くに沼がある……ガメゴンに気をつけろ」
魔法使い「焼きガメか……滋養によさげ」
エルフ兵「食うんですか?!」
女兵士「いつもの事っすね」
導師「ドラゴン系だからだいぶマシかな〜」
女兵士「もう無くなったけど巨人肉食ってたからね」
エルフ兵「きょじっ……!?」
導師「ドラゴン肉はまだ干したのが」
エルフ兵「ドラゴン肉……そう言えば森の娘が食べたって言ってましたね……」
魔法使い「ぜひ食べてみて」
エルフ兵「人間……こんな奥地にまで……」
どうやら普通のエルフには歓迎されていないらしい
これが普通だよね
なんだか落ち着いた
女兵士「ちょっと手合わせしないっすか?」
エルフ兵「なに?」
エルフ長老「あ、面白そう〜!」
魔法使い「ふむ、戦力は把握しておきたい」
魔法使い「確認するけど、戦争を止めたらいいんだよね?」
エルフ長老「うん……ん…………まさか……?」
勘は悪くないんだなあ、流石はエルフの長老だ
エルフ長老「魔法使い殿〜、お主も悪よのう〜!」
魔法使い「長老こそ」
エルフ長老「んふふ、あいつらにうちの娘だいぶ拐かされたからね〜!」
エルフ長老「はっきり言ってご立腹なの〜!」
エルフ長老「エルフ兵ちゃん、思いっきりやっておしまい!」
エルフ兵「えっ、はあ……」
女兵士「さあさあ、やるっすよ〜!」
エルフ兵と女兵士はその場で打ち合いを始めた
エルフ兵は隙を見ては魔法を放つ
攻撃魔法から呪詛まで、かなり幅が広い
だが金に物を言わせて揃えた女兵士の装備は魔法に強い、いわゆる魔法の鎧だ
面白い戦いになってきた
93 : ◆J9pjHtW.ylNB :2014/12/14(日) 01:04:39.88 ID:cFZqRu7AO
エルフ兵「くっ、やるな!」
女兵士「力じゃ負けないっす!」
そうは言いつつも女兵士も頭を使い、剣を振りかざし魔法を放つ
対ドラゴンに用意した剣、吹雪の剣だ
勝負は女兵士に分があった
エルフ長老「まあ、そこまでだね〜」
魔法使い「そうそう、力の振るい所が違うしね」
エルフの長老はしっかりとした口調で言った
エルフ長老「エルフ兵さん、女兵士さん、懲らしめてやりなさい!」
導師「誰を?!」
魔法使い「南の国の軍を沈黙させ、こちらに有利な条約を突きつける」
導師「ひょえっ!?」
導師はたった四人で軍隊と戦うと思ったらしく、かなり慌てた
まあそれでも良いのだが
魔法使い「軍隊はエルフさんたちに借りる」
魔法使い「私達は敵陣をかき回すだけ」
女兵士「おおっ」
エルフ兵「出来るのか?」
魔法使い「まあ多分」
導師「でも……場合によってはドラゴンより厳しい敵ですよ?」
魔法使い「まあね」
94 : ◆J9pjHtW.ylNB :2014/12/14(日) 01:07:55.64 ID:cFZqRu7AO
私達は長老に書状と証をもらい、エルフ軍本陣に向かう
本陣ではエルフにしてはゴツゴツした兵士達がたむろしていた
いい雰囲気だ
士気は低くない
やはり弓兵が多い
基本的な戦術は森での待ち伏せのようだ
エルフの将軍に会う
エルフ将軍「ふむ、この間延びした文体は確かに長老の書状、協力傷み入る」
そこで判断するのか
私は戦場の状況、密偵の報告から割り出した敵陣の形状を把握する
敵兵は二万、こちらは五千
これで良く守っているな……
まず私は全軍を退かせるように提案
エルフ将軍「なっ……」
導師「守りの軍退いちゃうんですか?」
魔法使い「うん」
エルフ将軍「なるほど、敵を……誘い入れると言う事か」
魔法使い「察しがいい」
私は地図を指し示す
魔法使い「ここに水場があるから、多分この辺りに兵糧庫がある」
魔法使い「私達はそれを焼きに行く」
エルフ将軍「むう……」
将軍は頭を掻いた
私の提案をどうして思いつかなかったのか、と言った風だ
しかし敵陣奥に斬り込める兵がいないとこの策は成立しない
だから今
私達が来たから出来る策なのだ
95 : ◆J9pjHtW.ylNB :2014/12/14(日) 01:11:01.42 ID:cFZqRu7AO
翌朝、私達は数人の兵を伴い移動
部隊を退く前に前線から森の中に隠れる
エルフの特徴である尖った耳を隠し、エルフ兵達が先導する
もし見つかっても旅人と見せるためだ
準備が整うとゆっくり前線の部隊が退いていく
しばらくは息を潜めるしかない
非常用の糧食を食べる
火が使えないので冷えてるが、仕方ない
そのまま数日……冷たい糧食に飽きた頃
導師「……敵が動き始めました!」
女兵士「早くこい〜早くこい〜」
エルフ兵「これで……」
魔法使い「敵の補給線は延びきり、そのタイミングで兵糧庫を焼き討ちしたらパニックに陥る」
エルフ兵「そこを本陣から火矢で攻める……」
魔法使い「挟み撃ち」
エルフ兵「森を焼いてしまうのは胸が痛むが、しかし……」
魔法使い「エルフさん達には思い付きづらい戦術かもね……」
導師「森が無くなっちゃう……」
女兵士「戦争っすから、仕方ないっすね……」
エルフ兵「だが、だからこそ敵の裏を突ける……!」
魔法使い「ぐずぐずしてたら兵站を移されてしまう、敵の大隊が通り過ぎたら行くよ」
エルフ兵「分かりました」
女兵士「ラジャっす」
導師「緊張してきました〜!」
96 : ◆J9pjHtW.ylNB :2014/12/14(日) 01:13:44.42 ID:cFZqRu7AO
しばらくは森の中を進む
しかし街道に出ると所々警戒が強い場所がある
強行突破するには距離があるので遠回りして奥へ、奥へ
女兵士「あ、美味そうな猪がいる」
魔法使い「勝ったらたっぷり食べよう」
女兵士「しばらくはひもじいのも仕方ないっすね」
ほぼ半日歩き、ようやく水場を確認
この近くに兵糧庫が無ければ不味いが、当然敵も隠しているはず
どこにあるのか……
暗闇の中、兵の出入りの激しいポイントを見つけた
エルフ兵「ここだな……!」
女兵士「行きましょう!」
やっと思いっきり戦える
一度に五十人程度なら不意打ちで倒せるはず
まず森の中から兵糧庫に
魔法使い「メラメラメラメラメラ……」
積み上がった小麦粉が吹き出し、爆発を起こす
導師「わわっ、フバーハ!」
導師は炎を防ぐ呪文を放った
魔法使い「少し離れた方がいい」
かなり広い兵糧庫を焼き尽くし、敵の退路を断つために数ヶ所で火を放つ
何人かなぎ倒した末、敵将と思しき人物に遭遇した
敵将「ひ、火を放ったは貴様等か!」
敵将「……ネズミがっ!」
あの敵将が着ている鎧は魔法の鎧だ
私は前に出た
女兵士「お師さん、そいつにメラは……!」
私は、にやりと笑う
魔法使い「メラメラメラメラメラメラメラメラメラメラ」
敵将「な、なんじゃこのメラは……空中で止まっとる……」
魔法使い「メラメラメラメラメラメラメラメラメラ……」
敵将「はははっ、ワシにこんな小さい魔法など効く……きぐっ?!」
敵将は急にもがき始めた
魔法使い「残念……酸素を吸わないと人間は死ぬ」
導師「お師匠様、空気を焼いて……」
女兵士「魔法防御関係ねえな……!」
私はメラを消し、敵将を縛り上げ
導師に蘇生をかけさせた
導師「ザオラル!」
敵将「……はっ!?」
魔法使い「捕虜ゲット〜」
エルフ兵「ははっ、お見事だ」
私達は捕虜に聞き出した敵兵の手薄な所を奇襲し、焼き討ち
これで南の国への退路を断った
その後エルフ達の攻勢に遭った敵の大隊は城塞都市に逃げていった
私達は南の国に程近い山の中に身を隠してタイミングを見計らう
……南の国に乗り込む
エルフ達はもぬけの殻になった敵の砦を次々に占領
これで勝ちは決まった
98 : ◆J9pjHtW.ylNB :2014/12/14(日) 01:19:13.43 ID:cFZqRu7AO
……………………
南の王「して」
南の王「エルフの森への不可侵」
南の王「武装の解除と降伏宣言、これは分かる」
南の王「ふふふ……エルフに不埒を働いた者達の処刑、これも当然と言えよう」
南の王「……で、じゃ……」
南の王「なんでワシが裸で土下座行脚せねばならんのじゃ!!」
魔法使い「メラ」
南の王「痛いッ!」
魔法使い「パンツははいて良い」
魔法使い「まだ何か?」
南の王「じゃって、ワシ六十……」
魔法使い「メラ」
南の王「ギャッ!」
南の王「その小さいメラ地味に痛いのじゃ!」
魔法使い「犬の躾用?」
南の王「動物虐待反対じゃっ!」
魔法使い「あんたが無駄に戦争を起こした結果苦しんだ領民に謝罪するだけ」
魔法使い「別に敵に謝れとは言ってない」
南の王「しかしっ、王の威厳が……」
魔法使い「あんたが居なくても代わりいっぱいいるから」
魔法使い「あんたんとこの捕虜に聞いた所、反戦派の王族がいるらしいね」
魔法使い「その人に治めてもらうわ」
南の王「ワシ恥のかき損ッ!!」
魔法使い「メラ」
南の王「痛いッ!」
魔法使い「ちょっと面白かった」
南の王「ひどい」
99 : ◆J9pjHtW.ylNB :2014/12/14(日) 01:22:39.12 ID:cFZqRu7AO
こうして数日後には南の国は反戦派の国王を立て、エルフとの共存を宣言した
魔法使い「よし、なんとか終わった、帰ろ」
エルフ兵「エルフの国で戦勝祝いの準備がしてあります」
導師「やっとゆっくり温かいもの食べられますね〜」
女兵士「もう今ならマタンゴ肉でもかじりつきたいっすよ〜」
魔法使い「長老に頼んどく」
女兵士「ちょっ」
冗談っすよ〜、とか言ってたが晩餐にマタンゴ肉の塩漬けがあったのを気付かず食べていた
美味しそうな顔をしてたから内緒にしておこう
エルフ長老「いや〜、魔法使いちゃんお見事〜!」
エルフ長老「ひと月も待たずに戦争終わっちゃったよ〜!」
魔法使い「森焼いちゃったけどね」
エルフ長老「それはこれから人間達と植樹してなんとか蘇らせる〜」
魔法使い「そう言えば呪いを解ける人を教えてもらえるんだった」
導師「……いよいよですね……!」
エルフ長老「まあまあ、ちょっとアレな話だからさ〜」
エルフ長老「今日は戦勝祝いを楽しんでね〜!」
魔法使い「楽しむ」
導師「お師匠様、鹿肉がありますよ〜!」
魔法使い「食う」
エルフ兵「面白い人だ……」
エルフ長老「エルフ兵ちゃん〜、分かってるよね〜?」
エルフ兵「はい」
エルフ兵「彼女を無事にあそこに送り届けます」
100 : ◆J9pjHtW.ylNB :2014/12/14(日) 01:25:09.67 ID:cFZqRu7AO
楽しい宴が始まる
ドラゴン肉パーティー以来の充実感
ただエルフは小食でお酒はわりと飲むタイプ
私は森で猪を見つけ、エルフの弓兵に捕らえてもらう
森の中で手早く解体し、スライスして野菜と炒めたりして調理
晩餐を盛り上げた
エルフ長老「主役なのに何やってんの〜、あははっ!」
女兵士「いや美味いっすよこれ!」
導師「久し振りのたっぷりお肉っ!」
エルフ兵「ははっ、飽きない旅が出来そうだな」
女兵士「おー、楽しいよ!」
導師「けものパーティーにようこそ!」
エルフ長老「いーねー、ナチュラルでワイルドだね〜!」
たっぷりと楽しんだ後、エルフの宿屋でお風呂とベッドにありついた
すっかり疲れが取れて、朝
長老の下に集まる
長老「じゃあ皆、ちょっと魔王の国に行ってもらうよ〜!」
魔法使い「まあここまで来たら魔王の国しか無いよね」
導師「い、いよいよですね」
女兵士「めっちゃ駆け足だった気がするなあ」
エルフ兵「……」
エルフ兵「道案内は任せて欲しい」
魔法使い「魔王の国なのに道案内、ね……」
エルフ長老「魔法使いちゃん察しがいいね〜、隠しても無駄かな〜」
101 : ◆J9pjHtW.ylNB :2014/12/14(日) 01:27:25.55 ID:cFZqRu7AO
エルフ兵「魔王の国で会うのは、私の姉です」
魔法使い「!」
導師「魔王の国に住むエルフもいるんですね?」
女兵士「何のために?」
エルフ兵「それは……知らない」
魔法使い「その回答、無難」
導師「言えない事情も有りますよね」
エルフ長老「怖いな〜」
魔法使い「まあ、聞かないでおく」
エルフ兵「すみません……」
恐らくエルフと魔王の間には何らかの密約があるのだろう
その事を人間に知られたらまた再び攻められるかも知れない、と……
エルフ兵はロバ車に荷物を積み込んだ
いよいよ魔王の拠点、魔王領へ……!
導師「ふぁいとーっ!」
女兵士「叫んだら魔物出るよ姐さん」
エルフ兵「この近くに沼がある……ガメゴンに気をつけろ」
魔法使い「焼きガメか……滋養によさげ」
エルフ兵「食うんですか?!」
女兵士「いつもの事っすね」
導師「ドラゴン系だからだいぶマシかな〜」
女兵士「もう無くなったけど巨人肉食ってたからね」
エルフ兵「きょじっ……!?」
導師「ドラゴン肉はまだ干したのが」
エルフ兵「ドラゴン肉……そう言えば森の娘が食べたって言ってましたね……」
魔法使い「ぜひ食べてみて」